説明

建具

【課題】網戸等の機能面材の脱落を防止しつつ円滑かつ確実に着脱することができる建具を提供すること。
【解決手段】網戸4の取り付けや取り外しに際して、脱落防止部材20によって網戸4の脱落が防止できるとともに、傾斜状態において、脱落防止部材20の角部24A、傾斜片部24および突出片部23の順で縦枠見付け面部72に当接させることで、網戸4の下框42と障子の下框との干渉を防止することができ、円滑かつ確実に網戸4の取付作業や取外作業を実施することができる。さらに、網戸4の取り付けに際して、脱落防止部材20の角部25Aおよび底片部25の順で下枠見込み面部63に当接させることで、網戸4を上下方向に位置決めすることができ、取付作業をさらに円滑に実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、外壁開口部に固定される枠体と、この枠体に開閉可能に支持される面材と、この面材よりも屋外側に取り付けられる機能面材とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内側に回動して開放可能な障子を有した内倒し窓等の建具において、障子の開閉と干渉しないように、網戸等の機能面材は、障子よりも屋外側にて窓枠に取り付けられることが一般的である。このような建具が建物外壁開口部に設けられる場合には、屋外側から網戸等を着脱するのが困難となることから、屋内側から着脱可能とする網戸の固定構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載された内倒し窓の網戸固定構造は、網戸の縦框下部から側方に突出する一対のロッドと、左右の縦枠に形成された外部長足フィンとを備え、ロッドを外部長足フィンに当接させることで、脱落を防止しつつ網戸を窓枠に固定することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭60−40791号公報
【特許文献2】実公昭63−22293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1、2に記載されたような従来の建具では、網戸を窓枠に固定した取付状態、および窓枠に取り付ける際に網戸の下部を屋外側に向けて傾斜させた傾斜状態、のいずれの状態においてもロッドが外部長足フィンに当接するように構成されている。このような構成では、取付状態と傾斜状態とで網戸の下部が略同一の見込み位置にあり、取り付けや取り外しに際し、外部長足フィンに沿った略同一の見込み位置を網戸の下部が上下に移動することとなる。このため、従来の建具では、障子を屋内側に開放した状態で網戸を窓枠に取り付ける(または取り外す)場合に、網戸の下部が障子の下部と干渉してしまい、網戸の着脱が困難になるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、網戸等の機能面材の脱落を防止しつつ円滑かつ確実に着脱することができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、外壁開口部に固定される枠体と、この枠体に開放可能に支持される面材と、この面材よりも屋外側にて前記枠体に取り付けられる機能面材とを備えた建具であって、前記枠体は、上枠、下枠および左右の縦枠を有して構成され、これら四周の枠材のうち互いに対向して配置される一対の枠材には、見付け方向内側に延びる見付け面部が形成され、前記機能面材における前記一対の枠材に対向する対向辺には、前記見付け面部に屋内側から当接して係止される脱落防止手段が設けられ、前記脱落防止手段は、前記機能面材の対向辺から見付け方向外側に延びて設けられる第1当接部と、この第1当接部から当該対向辺に沿った一方側に所定距離だけ離隔して設けられる第2当接部とを少なくとも有して構成され、前記第1当接部は、前記機能面材を前記枠体に取り付けた取付状態において、前記見付け面部に当接可能に構成され、前記第2当接部は、前記機能面材を前記枠体に対して着脱する際に当該機能面材における前記対向辺と交差する一方側の端辺を屋外側とし他方側の端辺を屋内側として傾斜させた傾斜状態において、前記見付け面部に当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の建具としては、内倒し窓や内開き窓などのように面材が屋内側に回動して開放される開閉形式のものの他に、引違い窓や片引き窓、上げ下げ窓などのように面材がスライドして開放される開閉形式のものであってもよく、開放した面材が屋外側の機能面材と干渉しないものであれば適宜な開閉形式が適用可能である。さらに、機能面材としては、網戸に限らず、日射や屋外からの視線を遮蔽するためのルーバー等の遮蔽面材でもよいし、換気用の換気面材や防犯用の防犯面材でもよく、さらには窓の屋外面を装飾するためのものや広告用の看板に利用されるものなど機能面材の機能は特に限定されず、適宜な機能を有した機能面材とすることができる。
【0008】
以上の本発明によれば、取付状態において枠材の見付け面部に当接可能な第1当接部に加え、着脱の際の傾斜状態において見付け面部に当接可能な第2当接部を備えて脱落防止手段が構成されるので、第2当接部の位置を適宜に設定することで着脱時の機能面材と面材との干渉を防止することができる。そして、着脱時においては第2当接部を見付け面部に当接させることで機能面材の脱落を防止し、取付状態においては第1当接部を見付け面部に当接させることで機能面材の脱落を防止することができる。従って、機能面材の脱落を確実に防止しつつ、着脱時における面材との干渉を防止して機能面材を円滑かつ確実に枠体に取り付けるまたは枠体から取り外すことができ、利便性を高めることができる。
【0009】
この際、本発明の建具では、前記第2当接部は、前記第1当接部よりも所定距離だけ屋内側に位置して設けられ、前記脱落防止手段は、前記第1当接部と前記第2当接部とに渡って連続する第1連続部を有し、この第1連続部は、前記傾斜状態において、前記見付け面部に当接可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1当接部よりも所定距離だけ屋内側に位置して第2当接部を設けることで、着脱の際の傾斜状態において第2当接部を見付け面部に当接させた場合に、機能面材の一方側の端辺が屋外側に突出する突出量を大きくすることができ、機能面材と面材との干渉をより確実に防止することができる。さらに、第1当接部と第2当接部とに渡って連続する第1連続部を設けることで、着脱時に機能面材の傾斜角度を徐々に変化させた場合においても、第1連続部が見付け面部に当接することによって機能面材の脱落を確実に防止することができる。
【0010】
また、本発明の建具では、前記脱落防止手段は、前記第2当接部よりも屋内側に設けられる第3当接部を有し、この第3当接部は、前記傾斜状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見込み面に見付け方向内側から当接可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、脱落防止手段に第3当接部を設け、傾斜状態において一方側の枠材の見込み面に第3当接部を当接させることで、枠体に取り付ける際に一方側の枠材に対する機能面材の位置決めができ、取り付け作業性を向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明の建具では、前記脱落防止手段は、前記第2当接部と前記第3当接部とに渡って連続する第2連続部を有し、この第2連続部は、前記取付状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見込み面に見付け方向内側から当接可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、取付状態において第2連続部を一方側の枠材の見込み面に当接させることで、前述の位置決め状態を維持したままで機能面材を枠体に取り付けることができ、取り付け作業性および取り付け時の位置決め精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の建具では、前記脱落防止手段は、前記第3当接部よりも屋内側に設けられる第4当接部を有し、この第4当接部は、前記取付状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見付け面に屋外側から当接可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、脱落防止手段に第4当接部を設け、取付状態において一方側の枠材の見付け面に第4当接部を当接させることで、枠体における見込み方向に沿った機能面材の位置決めができ、取り付けた状態での位置精度を向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明の建具では、前記脱落防止手段は、前記第1当接部と前記第2当接部とに渡って連続する第1連続部と、前記第2当接部と前記第3当接部とに渡って連続する第2連続部と、前記第3当接部と前記第4当接部とに渡って連続する第3連続部とが、互いに連続して一体に形成された脱落防止部材で構成され、この脱落防止部材が前記機能面材の対向辺に固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1連続部、第2連続部および第3連続部が連続した一体の脱落防止部材を機能面材の対向辺に固定することで、対向辺に各部を形成する場合と比較して脱落防止手段を容易に構成することができるとともに、面材の開閉形式や開閉角度などに応じた脱落防止部材を準備しておけば、各種の建具に容易に対応させて取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図2】前記建具を示す横断面図である。
【図3】前記建具に設けられる機能面材を示す斜視図である。
【図4】前記機能面材の取付手順を説明する図である。
【図5】図4に続く前記機能面材の取付手順を説明する図である。
【図6】前記機能面材の取付手順を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6に続く前記機能面材の取付手順を拡大して示す縦断面図である。
【図8】図7に続く前記機能面材の取付手順を拡大して示す縦断面図である。
【図9】図8に続く前記機能面材の取付手順を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての内倒し窓1を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、内倒し窓1は、建物の外壁開口部に設けられて屋内空間と屋外空間とを仕切るものであって、外壁開口部の躯体に固定される枠体としての窓枠2と、この窓枠2に内倒し開閉自在に支持される面材としての障子3と、この障子3よりも屋外側にて窓枠2に取り付けられる機能面材としての網戸4とを備えて構成されている。窓枠2は、それぞれアルミ形材製の枠材である上枠5、下枠6、および左右の縦枠7を四周枠組みして形成され、障子3は、上框11、下框12および左右の縦框13を四周框組みした内部にガラスパネル14を嵌め込んで構成され、下框12が下枠6の回動支持部61に回動自在に支持され、障子3の上框11側が屋内側に回動して開放されるようになっている。
【0016】
上枠5は、図1に示すように、見込み方向(屋内外方向)の延びる上枠見込み面部51と、この上枠見込み面部51の屋外側端部から下方(見付け方向)に延びる上枠見付け面部52とを有して形成され、上枠見付け面部52の下端部屋内側には、気密材53が取り付けられている。下枠6は、回動支持部61の下側にて上下(見付け方向)に延びる下枠見付け面部62と、この下枠見付け面部62の下端部から見込み方向屋外側に延びる下枠見込み面部63と、この下枠見込み面部63よりも一段下がった位置で屋外側に下がり傾斜して延びる下枠水切り面部64とを有して形成されている。左右の縦枠7は、それぞれ図2に示すように、見込み方向に延びる縦枠見込み面部71と、この縦枠見込み面部71の屋外側端部から見付け方向内側に延びる見付け面部としての縦枠見付け面部72とを有して形成され、縦枠見付け面部72の先端部屋内側には、気密材73が取り付けられている。
【0017】
網戸4は、図3にも示すように、上框41、下框42および左右の縦框43を四周框組みした内部に防虫ネット44を保持して構成されている。上框41は、図1にも示すように、中空状の上框本体411と、この上框本体411の上面を構成するとともに屋外側に下がり勾配を有した段付き状の上面部412と、この上面部412の屋内側端縁から立ち上がる係止片部413とを有して形成されている。下框42は、中空状の下框本体421と、この下框本体421の下面を構成するとともに屋内側に下がり勾配を有した段付き状の下面部422と、この下面部422の屋内側端縁から立ち下がる垂下片部423とを有して形成されている。また、縦框43は、図2にも示すように、中空状の縦框本体431と、この縦框本体431の見付け方向外側端部(縦枠7側の端部)から屋内側に延びる延長片部432とを有して形成されている。
【0018】
このような網戸4は、左右の縦枠7に対向する対向辺としての縦框43に設けられる脱落防止部材(脱落防止手段)20と、上框41に設けられる係合部材30とによって窓枠2に取り付けられる。この取付状態において、上框41の係止片部413が上枠5の気密材53に屋内側から当接するとともに、縦框43の延長片部432が縦枠7の気密材73に見付け方向内側から当接し、さらに下框42の垂下片部423が下枠水切り面部64にわずかな隙間を介して近接することで、網戸4が窓枠2の開口内部を略閉鎖して虫等の侵入が防止できるようになっている。ここで、係合部材30は、上框本体411に固定される係合部材本体31と、この係合部材本体31から上方に突没自在に設けられるとともに上框41の上面部412を貫通する係合突部32とを有して構成され、係合突部32と係止片部413とで上枠見付け面部52を挟み込むことで、網戸4の上框41が上枠5に対して移動不能に係合されるように構成されている。
【0019】
また、網戸4は、図4、図5に示すように、障子3を屋内側に開放した状態において、一方側の端辺としての下框42を屋外側に向け、かつ他方側の端辺としての上框41を屋内側に向けるとともに、屋外側に下がり傾斜となるように障子3の上側かつ屋外側に沿う傾斜状態を経て窓枠2に取り付けられる(または取り外される)ようになっている。このような着脱の際に、脱落防止部材20が縦枠見付け面部72に屋内側から当接または摺接することで、網戸4の屋外側への脱落が防止できるように構成され、さらに取付状態において、脱落防止部材20が縦枠見付け面部72と、下枠見付け面部62および下枠見込み面部63とに当接することで、網戸4の下部が移動不能に位置決めされるように構成されている。以下、脱落防止部材20の具体的な構成および作用を説明する。
【0020】
脱落防止部材20は、金属板材から折り曲げ加工等によって一体成形された部材であって、縦框本体431の屋内面に固定される固定片部21と、この固定片部21から屋内側に折れ曲がって延びる折曲片部22と、この折曲片部22の屋内側端縁に連続して見付け方向外側に突出する第1当接部としての突出片部23と、この突出片部23の下端縁に連続して下方かつ屋内側に傾斜して延びる第1連続部としての傾斜片部24と、この傾斜片部24の下端部に連続して屋内側に延びる第2連続部としての底片部25と、この底片部25の屋内側端部に連続して屋内側上方に傾斜して延びる第3連続部としての折返し片部26とを有して形成されている。
【0021】
固定片部21は、縦框本体431の中空内部に設けられる裏板433に対して屋内側からビス21Aによって固定され、固定片部21と裏板433とで縦框本体431の屋内面を挟持して締め付け固定されている。なお、裏板433は、ビス21Aとは別のビス433Aによって予め縦框本体431の内部に固定されており、ビス21Aを外しても裏板433が脱落しないようになっている。また、折曲片部22は、縦框43の延長片部432に沿って設けられ、固定片部21がビス止め固定された状態で折曲片部22が延長片部432に当接することで、脱落防止部材20が縦框43に対して移動不能かつ回転不能に固定されるようになっている。
【0022】
突出片部23は、縦框43の延長片部432よりも見付け方向外側に延びて設けられ、図2に示す取付状態において、縦枠7の気密材73を介して縦枠見付け面部72に屋内側から当接可能に設けられ、この当接によって網戸4の屋外側への移動が規制される、つまり突出片部23によって網戸4の脱落が防止されるとともに、網戸4の下部が窓枠2に対して屋外方向に位置決めされるようになっている。また、取付状態において、図1に示すように、底片部25は、下枠見込み面部63に上方(見付け方向内側)から当接して載置され、これにより網戸4が上下方向に位置決めされるとともに、折返し片部26は、その先端部26Aが下枠見付け面部62に屋外側から当接し、これにより網戸4が屋内方向に位置決めされるようになっている。このような折返し片部26の先端部26Aによって第4当接部が構成されている。
【0023】
一方、網戸4を着脱する際の傾斜状態において、傾斜片部24と底片部25とが交差する角部24Aは、縦枠7の気密材73を介して縦枠見付け面部72に屋内側から当接可能に設けられ、この角部24Aによって第2当接部が構成されている。そして、角部24Aが縦枠見付け面部72に当接する状態よりも網戸4の傾斜角度を大きく、つまり網戸4を立てた傾斜状態とすることで、傾斜片部24が縦枠見付け面部72に屋内側から当接可能となり、網戸4の傾斜角度をさらに大きくすることで、突出片部(第1当接部)23が縦枠見付け面部72に当接するようになっている。そして、角部24Aや傾斜片部24、突出片部23を縦枠見付け面部72に当接させた傾斜状態のままで網戸4を下降させると、底片部25と折返し片部26とが交差する角部25Aが下枠見付け面部62に上方から当接し、これにより傾斜状態の網戸4が上下方向に位置決めされ、この角部25Aによって第3当接部が構成されている。
【0024】
以上の網戸4を窓枠2に取り付ける際の取付手順を図4、5および図6〜9に基づいて説明する。なお、網戸4を窓枠2から取り外す取外手順は、取付手順の逆の手順となるため、その説明を省略する。
先ず、図4(A)に示すように、障子3を屋内側に開放した状態において、この障子3の上側から傾斜状態の網戸4の下框42側を窓枠2の縦枠7間に挿入し、図4(B)に示すように、脱落防止部材20の角部(第2当接部)24Aが縦枠見付け面部72に屋内側から当接する位置まで、網戸4を屋外側に移動させる。
次に、図4(C)および図6に示すように、脱落防止部材20の角部24Aを縦枠見付け面部72(気密材73)に摺接させて、網戸4の脱落を防止しつつ網戸4を下方に移動させ、この網戸4が障子3の上側(屋外側側面)に載置されるまで網戸4を下降させる。この際、脱落防止部材20の角部24Aが縦枠見付け面部72に当接することから、網戸4の下框42の屋内側端部(垂下片部423)は、障子3の下框12の屋外側端部よりも屋外側に位置し、これにより網戸4と障子3とで下框42,12同士が干渉しないようになっている。
【0025】
次に、図5(A)および図7に示すように、網戸4の上框41側を屋外側に回動させて網戸4の傾斜角度を大きくし(立てて)、脱落防止部材20の傾斜片部24を縦枠見付け面部72に当接させて、網戸4の脱落を防止しつつ網戸4をさらに下降させる。
次に、図5(B)および図8に示すように、網戸4をさらに屋外側に回動させることで、脱落防止部材20の突出片部(第1当接部)23の下端部が縦枠見付け面部72に当接し、さらに網戸4を下降させることで、脱落防止部材20の角部(第3当接部)25Aが下枠見込み面部63に当接し、網戸4の脱落を防止しつつ網戸4の下降が停止される。
次に、図5(C)および図9に示すように、網戸4をさらに屋外側に回動させることで、脱落防止部材20の突出片部(第1当接部)23の全体が縦枠見付け面部72に当接するとともに、脱落防止部材20の底片部25が下枠見込み面部63に載置されて網戸4が位置決めされ、折返し片部26の先端部(第4当接部)26Aが下枠見付け面部62に当接して網戸4が見込み方向に位置決めされる。
この後、図1に示すように、係合部材30の係合突部32を上側にスライドさせて、この係合突部32および上框41の係止片部413を上枠5に係合させることで、窓枠2に対する網戸4の取付作業が完了する。
【0026】
以上のような本実施形態によれば、網戸4の取り付け(または取り外し)に際し、脱落防止部材20によって脱落が防止できるとともに、傾斜状態において、脱落防止部材20の角部24A、傾斜片部24および突出片部23の順で縦枠見付け面部72に当接させることで、網戸4の下框42と障子3の下框12との干渉を防止することができ、円滑かつ確実に網戸4の取付作業(または取外作業)を実施することができる。さらに、網戸4の取り付けに際して、脱落防止部材20の角部25Aおよび底片部25の順で下枠見込み面部63に当接させることで、網戸4を上下方向に位置決めすることができ、取付作業をさらに円滑に実施することができる。そして、取付状態において、脱落防止部材20の突出片部23を縦枠見付け面部72に当接させ、折返し片部26の先端部26Aを下枠見付け面部62に当接させることで、見込み方向についても自動的に網戸4を位置決めすることができる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態において、建具の一例として内倒し窓1を例示したが、本発明の建具は、左右いずれかの縦框13側が屋内側に開閉可能な内開き窓であってもよいし、下框12側が屋内側に開閉可能な窓であってもよい。さらに、本発明の建具は、面材が屋内側に回動して開放される開閉形式のものの他に、引違い窓や片引き窓、上げ下げ窓などのように面材がスライドして開放される開閉形式のものであってもよい。
また、前記実施形態において、機能面材として網戸4を例示したが、本発明における機能面材としては、網戸4に限らず、日射や屋外からの視線を遮蔽するためのルーバー等の遮蔽面材でもよいし、換気用の換気面材や防犯用の防犯面材等として利用可能な格子体などでもよく、さらには装飾用面材や広告用面材など、適宜な機能や用途を有した機能面材を採用することができる。
【0028】
また、前記実施形態において、脱落防止手段は、第1当接部としての突出片部23や、第1連続部としての傾斜片部24、第2連続部としての底片部25、第3連続部としての折返し片部26等が折り曲げ加工等で一体成形された脱落防止部材20で構成されていたが、脱落防止手段の構成は前記実施形態に限定されるものではない。すなわち、第1、第2、第3および第4の当接部を各々別体の部材で構成し、それぞれ個別に網戸4等の機能面材に取り付けてもよいし、これらの各当接部と第1、第2および第3の連続部とを各々別体の部材で構成し、それぞれ個別に機能面材に取り付けてもよい。さらには、各当接部や各連続部から任意のものを組み合わせて1つまたは複数の部材を形成し、これらによって脱落防止手段を構成してもよく、その組み合わせ方や部材の形態などは特に限定されない。
【0029】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1…内倒し窓(建具)、2…窓枠(枠体)、3…障子(面材)、4…網戸(機能面材)、5…上枠、6…下枠(一方側の枠材)、7…縦枠(一対の枠材)、20…脱落防止部材、23…突出片部(第1当接部)、24…傾斜片部(第1連続部)、24A…角部(第2当接部)、25…底片部(第2連続部)、25A…角部(第3当接部)、26…折返し片部(第3連続部)、26A…先端部(第4当接部)、41…上框(他方側の端辺)、42…下框(一方側の端辺)、43…縦框(対向辺)、62…下枠見付け面部(見付け面)、63…下枠見込み面部(見込み面)、72…縦枠見付け面部(見付け面部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁開口部に固定される枠体と、この枠体に開放可能に支持される面材と、この面材よりも屋外側にて前記枠体に取り付けられる機能面材とを備えた建具であって、
前記枠体は、上枠、下枠および左右の縦枠を有して構成され、これら四周の枠材のうち互いに対向して配置される一対の枠材には、見付け方向内側に延びる見付け面部が形成され、
前記機能面材における前記一対の枠材に対向する対向辺には、前記見付け面部に屋内側から当接して係止される脱落防止手段が設けられ、
前記脱落防止手段は、前記機能面材の対向辺から見付け方向外側に延びて設けられる第1当接部と、この第1当接部から当該対向辺に沿った一方側に所定距離だけ離隔して設けられる第2当接部とを少なくとも有して構成され、
前記第1当接部は、前記機能面材を前記枠体に取り付けた取付状態において、前記見付け面部に当接可能に構成され、
前記第2当接部は、前記機能面材を前記枠体に対して着脱する際に当該機能面材における前記対向辺と交差する一方側の端辺を屋外側とし他方側の端辺を屋内側として傾斜させた傾斜状態において、前記見付け面部に当接可能に構成されている建具。
【請求項2】
前記第2当接部は、前記第1当接部よりも所定距離だけ屋内側に位置して設けられ、前記脱落防止手段は、前記第1当接部と前記第2当接部とに渡って連続する第1連続部を有し、この第1連続部は、前記傾斜状態において、前記見付け面部に当接可能に構成されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記脱落防止手段は、前記第2当接部よりも屋内側に設けられる第3当接部を有し、この第3当接部は、前記傾斜状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見込み面に見付け方向内側から当接可能に構成されている請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記脱落防止手段は、前記第2当接部と前記第3当接部とに渡って連続する第2連続部を有し、この第2連続部は、前記取付状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見込み面に見付け方向内側から当接可能に構成されている請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記脱落防止手段は、前記第3当接部よりも屋内側に設けられる第4当接部を有し、この第4当接部は、前記取付状態において、前記一対の枠材に交差する一方側の枠材における見付け面に屋外側から当接可能に構成されている請求項3または請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記脱落防止手段は、前記第1当接部と前記第2当接部とに渡って連続する第1連続部と、前記第2当接部と前記第3当接部とに渡って連続する第2連続部と、前記第3当接部と前記第4当接部とに渡って連続する第3連続部とが、互いに連続して一体に形成された脱落防止部材で構成され、この脱落防止部材が前記機能面材の対向辺に固定されている請求項5に記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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