説明

建屋の局所送風機と、その局所送風方法

【課題】 ハウス壁面に設ける屋外側フードと、フードに連通する吸気側ダクトとで構成し、吸気側ダクトはハウス内に開放され、かつこの給気側クダクトにはダンパーで開閉される開口と、ファンを設け、吸気側ダクトに給気ダクトを連設する発明は、内外空気を混合し、冬期の外気を内気と混合し、作物への冷気の弊害を解消する。しかし、単なる内外空気の混合であり、屋外用フードは常時開放で、防虫ネットがなく、昨今では十分機能しない。
【解決手段】 本発明は、建屋の壁面に設置した、内外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、外気吸込口は、外気導入室の開口に連通し、外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつ外気導入口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機であり、混合空気を、局所給気ダクトに送風できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト、胡瓜、その他の作物、等に最適な建屋(植物工場、ハウス等)の建屋の送風機と、その局所送風方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トマト、胡瓜等の植物に最適な、例えば、一般のハウス、その他の植物棚栽培用のハウス(建屋とする)の建屋の送風機と、その局所送風方法において、群落(密植)栽培のトマト株間局所送風(株間局所送風)で、トマト灰色かび病、及び葉かび病の発病を抑制できる。例えば、「トマト株条間に配置したダクトチューブを使用し、株に局所的に送風することで、トマト灰色かび病等の発病を効率的に抑制できる。そして、比較的小型の送風機による導入が可能であり、導入コストも低い。」と紹介されている。この株間局所送風は、従来の建屋全体の換気を図るシステム(従来換気システムとする)に対して、設備投資・ランニングコストの軽減化と、エコハウスとして有効であること、等の利点がある。
【0003】
しかし、この株間局所送風は、妻面に設けた送風機を介して、建屋内に設けた給気ダクト(ダクトチューブ)に給気し、この給気ダクトに開設した細孔より、株間に噴射、供給する構造である。しかし、株間に、均一に給気し、かつ全ての株間に、給気するには、十分でないことが判明した。また、外気の高低に対応して、常時、ハウス内に、所定の暖かい混合空気を、低コストで、かつスムーズに供給するには、改良の余地がある。
【0004】
以上のような種々の特性と効果を備えた反面、前記した改良点があることから、この課題と問題を解決するために、従来技術を、参照して説明する。
【0005】
文献(1)としては、特開平5−284860号の「植物栽培ハウス用吸気装置」であり、この発明は、ハウスの壁面に設ける屋外側フードと、このフードに連通する吸気側ダクトとで構成し、この吸気側ダクトはハウス内に開放され、かつ給気側ダクトにはダンパーで開閉される開口と、ファンを設けるとともに、この吸気側ダクトには、ハウスに配備される給気ダクトを連設する構造である。この発明は、冬期における内外気と混合し、作物への冷気による弊害解消を意図しており、内外空気を混合し、外気を暖めるか、ヒータで積極的に暖めることにある。しかし、本発明の如く、給気ダクトに関する工夫がなく、単なる内外空気の混合に留まっている。また、屋外用フードは、常時開放であることと、防虫ネットの設備がなく、昨今のハウスでは、十分、機能しないことが考えられる。
【0006】
また、文献(2)としては、特開平1−252231号の「チューブ型ハウス環境制御機構」であり、この発明は、ハウスに設けた送風機と、この送風機に連設した送風パイプには、分岐パイプを介して、他数本のチューブを設け、このチューブをハウス内に、略均等に配備し、このハウス内に、例えば、炭酸ガス、防除用の薬液、又は高水分空気等の気体、液体等を、均等に拡散噴霧することを意図する。この発明は、単に、外気を導入するのみであり、内外空気を混合し、外気を暖め、作物に適する混合空気を、低コストで給気構造でないこと、また、送風機は、常時開放であることと、防虫ネットの設備がなく、昨今のハウスでは、十分、機能しないことが考えられる。
【0007】
さらに、文献(3)としては、特表昭62−502866号の「温室その他の保護された囲いの雰囲気を処理する方法及びこの方法を実施する設備」であり、この発明は、主管パイプと、この主管パイプから分岐した多数のダクトを、温室内に配備し、生育作物に、規則的で、かつダクトの細孔より、微細で柔らかい空気を拡散することを意図する。しかし、この発明は、前記文献(1)と文献(2)と同様な改良点を抱えている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−284860号
【特許文献2】特開平1−252231号
【特許文献3】特表昭62−502866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上で説明した文献(1)〜(3)は、前述した如く、内外空気を混合し、外気を暖め、作物に適する混合空気を、低コストで給気構造でないこと、また、送風機は、常時開放であることと、防虫ネットの設備がなく、昨今のハウスでは、十分、機能しないことが考えられる。従って、この調査では、本発明が意図する建屋の局所送風機と、この送風機を利用した建屋の局所送風方法に関する文献は、調査の結果、好ましい文献は見当たらなかった。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、下記の目的を達成することを意図する。
[イ] 外気の温度に対応し、そのまま外気を給気するか、又は内外空気を混合し、外気を暖めることで、作物に適する混合空気を、低コストで給気することで、この種の局所送風機として、最適な構造を提案する。
[ロ] また、局所送風機と、各種の給気ダクトとの相乗効果を利用することで、建屋の株間局所送風方法として機能し、かつ成長する植物(トマト株等)の花房、果実か、この花房、果実の付け根、又は葉裏か、葉の付け根(花房か、又は葉の付け根とする)に送風(噴出)することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な生育環境(送風)を維持すること、葉面における空気の流れと(葉裏の空気の滞留をなくし得る)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化を図ること、等を意図する。
[ハ] さらに、この株間局所送風方法として、好ましい一例は、妻面に設けた局所送風機に給気ダクトを接続し、給気ダクトに設けた分岐給気ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐給気ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制することを意図する。
[ニ] また、建屋の株間局所送風において、この建屋の妻面にファンと、シャッターを備えた局所送風機の外気導入室にフードと、防虫ネットを設ける構造とし、外部からの風雨と、害虫の侵入防止と、益虫の逃避防止を図り、また、この局所送風機に内気吸込口を介して、混合室を設けることで、外気と内気の混合(ミキシング)を図り、植物に適した混合空気の供給と、換気の効率化が図れる局所送風方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、前記[イ]と、[ロ]を達成することを意図する。
【0012】
請求項1は、建屋の壁面に設置した、内外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、前記外気吸込口は、箱形の外気導入室の開口に連通し、この外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつこの外気導入口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機である。
【0013】
請求項2・3の発明は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[ホ]を達成することを意図する。
[ホ] 局所送風機を構成する混合室の最適な構造と、装備品を提供する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記混合室を、長方形状とし、かつ第一室と、同第二室とで形成し、この第一室には、その壁面に設けた枢軸を介して、切換えダンパーを設置し、この切換えダンパーで、この一方室の壁面に設けた、前記内外気吸込口を開閉自在とし、また、この第二室の壁面には、前記吹出口を設けるとともに、この第二室には、羽根車と、この羽根車用モータを配備する構成とした建屋の局所送風機である。
【0015】
請求項3は、請求項2に記載の建屋の局所送風機であって、
前記混合室の第一室の壁面に設けた内気吸込口と、前記第二室の壁面に設けた給気口を並設する構成とした建屋の局所送風機である。
【0016】
請求項4の発明は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[へ]を達成することを意図する。
[へ] 局所送風機を構成する外気導入室の最適な構造と、装備品を提供する。
【0017】
請求項4は、請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記外気導入室を、長方形状とし、かつフードを備えた構造とし、この外気導入室のフードの下側の開放口に防虫ネットを設け、かつこの開放口を、前記シャッターで開閉自在とする構成とした建屋の局所送風機である。
【0018】
請求項5の発明は、前記[ハ]と、[ニ]を達成することを意図する。
【0019】
請求項5は、請求項1に記載の建屋の局所送風機を利用した、建屋の局所送風方法であって、
この送風機の混合室を、建屋内に設け、また、この外気導入室を、建屋外に設け、この外気導入室を介して、外気を混合室に導き、この混合室に導入した内気を、外気と混合して混合空気を生成し、この混合空気を、混合室の給気口を介して、前記建屋内の給気ダクトに導き、この給気ダクト内において、建屋内の空気との熱交換で昇温し、この昇温した混合空気を、この建屋内に配備した分岐給気ダクトに送風し、この分岐給気ダクトから、棚下、又は棚上に設けた局所給気ダクトに送風する構成とした建屋の局所送風方法である。
【0020】
請求項6の発明は、前記[ハ]と、[ニ]の他に、下記の[ト]を達成することを意図する。
[ト] 局所送風機を設置するに最適な場所と、吸込位置と給気位置の構造を提供する。
【0021】
請求項6は、請求項5に記載の建屋の局所送風方法であって、
前記送風機を、前記建屋の妻面の天井梁材に取付ける構成とした建屋の局所送風方法である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明は、建屋の壁面に設置した、内外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、外気吸込口は、箱形の外気導入室の開口に連通し、外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつ外気導入口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機である。
【0023】
従って、下記の特徴を有する。
[イ] 外気の温度に対応し、そのまま外気を給気するか、又は内外空気を混合し、外気を暖めることで、作物に適する混合空気を、低コストで給気することで、この種の局所送風機として、最適な構造を提案できる。
[ロ] また、局所送風機と、各種の給気ダクトとの相乗効果を利用することで、建屋の株間局所送風方法として機能し、かつ成長する植物(トマト株等)の花房、果実か、この花房、果実の付け根、又は葉裏か、葉の付け根(花房か、又は葉の付け根とする)に送風(噴出)することで、この株間局所送風を最適化し、例えば、この株間局所送風のスムーズな流れと、微風の流れを介して、栽培植物に、最適な生育環境(送風)を維持できる。また、葉面における空気の流れを確保し(葉裏の空気の滞留をなくす)、又は栽培植物の健全な生育環境維持と、収穫量の拡充化が図れる。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
混合室を、長方形状とし、かつ第一室と、同第二室とで形成し、第一室には、壁面に設けた枢軸を介して、切換えダンパーを設置し、切換えダンパーで、一方室の壁面に設けた、内外気吸込口を開閉自在とし、また、第二室の壁面には、吹出口を設けるとともに、第二室には、羽根車と、羽根車用モータを配備する構成とした建屋の局所送風機である。
【0025】
請求項3の発明は、請求項2に記載の建屋の局所送風機であって、
混合室の第一室の壁面に設けた内気吸込口と、第二室の壁面に設けた給気口を並設する構成とした建屋の局所送風機である。
【0026】
従って、請求項2・3の発明は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[ホ]の特徴を有する。
[ホ] 局所送風機を構成する混合室の最適な構造と、装備品を提供できる。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
外気導入室を、長方形状とし、かつフードを備えた構造とし、外気導入室のフードの下側の開放口に防虫ネットを設け、かつ開放口を、シャッターで開閉自在とする構成とした建屋の局所送風機である。
【0028】
従って、請求項4は、前記[イ]と、[ロ]の他に、下記の[へ]の特徴を有する。
[へ] 局所送風機を構成する外気導入室の最適な構造と、装備品を提供できる。
【0029】
請求項5の発明は、請求項1に記載の建屋の局所送風機を利用した、建屋の局所送風方法であって、
送風機の混合室を、建屋内に設け、また、外気導入室を、建屋外に設け、外気導入室を介して、外気を混合室に導き、混合室に導入した内気を、外気と混合して混合空気を生成し、混合空気を、混合室の給気口を介して、建屋内の給気ダクトに導き、給気ダクト内において、建屋内の空気との熱交換で昇温し、昇温した混合空気を、建屋内に配備した分岐給気ダクトに送風し、分岐給気ダクトから、棚下、又は棚上に設けた局所給気ダクトに送風する構成とした建屋の局所送風方法である。
【0030】
従って、請求項5は、下記の[ハ]と、[ニ]の特徴を有する。
[ハ] さらに、この株間局所送風方法として、好ましい一例は、妻面に設けた局所送風機に給気ダクトを接続し、給気ダクトに設けた分岐給気ダクトを、植物の株間と同じ間隔に設け、かつ分岐給気ダクトは、植物条間の下位展開葉の位置(高さ約40cm)に設置し、花房か、又は葉の付け根の下側に向って送風する。例えば、その稼働時間は、24時間の連続で、毎秒1〜1.5m程度の送風を、花房か、又は葉の付け根にあてることで、少なくとも、湿度管理を図り、病害の発生抑制は植物体表面の環境条件改善ととともに、トマト灰色かび病、葉かび病、ベト病等の発病を抑制できる。
[ニ] また、建屋の株間局所送風において、この建屋の妻面にファンと、シャッターを備えた局所送風機の外気導入室にフードと、防虫ネットを設ける構造とし、外部からの風雨と、害虫の侵入防止と、益虫の逃避防止を図り、また、この局所送風機に内気吸込口を介して、混合室を設けることで、外気と内気の混合(ミキシング)を図り、植物に適した混合空気の供給と、換気の効率化が図れる局所送風方法を提供できる。
【0031】
請求項6の発明は、請求項5に記載の建屋の局所送風方法であって、
送風機を、建屋の妻面の天井梁材に取付ける構成とした建屋の局所送風方法である。
【0032】
従って、請求項6は、前記[ハ]と、[ニ]の他に、下記の[ト]の特徴を有する。
[ト] 局所送風機を設置するに最適な場所と、吸込位置と給気位置の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】局所送風機の仰視した模式図
【図2】局所送風機を建屋(ハウス)側より見た模式図
【図3】局所送風機を妻面より見た模式図
【図4】局所送風機を連棟ハウスに設置した状態を俯瞰した平面模式図
【図5】局所送風機を連棟ハウスに設置した状態を棟方向より見た側面模式図
【図6】局所送風機を連棟ハウスに設置した状態を妻面方向より見た正面模式図
【図7】ハウスの棚に群生(密植)したトマト株の二本の茎幹を示し、かつこの棚下に局所給気ダクトを配置した拡大正面模式図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい、一実施例を説明する。
【0035】
図中、1はハウスA(建屋)の一方の妻面A1の天井梁材A2(壁面)に設置される局所送風機(送風機とする)で、この送風機1は、ハウスA内に設けた長方形状で、第一室200と、第二室201とでなる混合室2と、ハウスA外に設けた長方形状で、フード5を有する外気導入室3とで外郭部を形成する。そして、この混合室2の第一室200には、その背面側の壁面200aに設けた枢軸6を介して切換えダンパー7が可動可能に設けられている。そして、この切換えダンパー7を介して、この第一室200の左右側の壁面200b、200cに設けた外気吸込口8と、内気吸込口9を開閉する。例えば、図1において、切換えダンパー7が、向かって(以下、同じ)、右側に可動した場合には、内気吸込口9が閉塞され、逆に、外気吸込口8が開放されていることから、この第一室200には、外気が吸込まれて、この第一室200は、外気で満たされる。一方、切換えダンパー7が左側に可動した場合には、外気吸込口8が閉塞され、逆に、内気吸込口9が開放されていることから、この第一室200には、内気が吸込まれて、この第一室200は、内気で満たされる。また、切換えダンパー7が中心に位置する場合には、内外気吸込口9、8が、それぞれ開放されていることから、この第一室200には、内気と外気が吸込まれて、この第一室200は、混合された内外気で満たされる。即ち、この切換えダンパー7を利用して、内外気を個別に吸込み、内外気が維持する暖かさ、又は冷たさを、有効利用するか、又は内外気を同時に吸込み混合空気を生成して有効利用する方法が考えられる。尚、この切換えダンパー7を利用することで、混合空気の湿度調整も可能と思われ、各作物に最適な、空気湿度を確保できる。
尚、切換えダンパー7の可動については、後述するハンドルでの手動で行う他、自動で行うことも可能である。例えば、手動で行う場合は、切換えダンパー7に連接したハンドル7bを操作し、切換えダンパー7を可動させる。また、例えば、自動で行う場合は、図示しない、モータや自動制御装置等の装置を利用し、この切換えダンパー7を自動で可動する。また、自動では、遠隔操作ができる。
【0036】
そして、この混合室2の第二室201には、羽根車10と、この羽根車用モータ11を設けるとともに、その右側の壁面201aに給気口12を設ける。この給気口12は、望ましくは、前記内気吸込口9と並設する構造とし、この送風機1のハウスA内への設置と、後述する給気ダクトの取付けの容易化、また、外気導入室3、及び/又は、混合室2内の空気の流れの確保と、また、この空気のスムーズな流れ(送風)を確保すること、或いは、混合室2のスペースの有効利用を図ること、等を意図する。尚、切換えダンパー7の自由端7aの先には、羽根車10の吸込口10aを設けることで、外気導入室3、及び/又は、混合室2内の空気の流れを確保できること、また、この空気のスムーズな流れを確保できること、等の特徴を有する。
【0037】
また、前記外気導入室3の外気導入口15と、混合室2に接触する壁面3aに開口14を設け、この開口14と前記外気吸込口8を連設する(同じ開口部とする)。尚、壁面3aと、混合室2の壁面200bを兼用する構造も可能である。そして、この外気導入室3の外気導入口15の全体には、防虫ネット16を張装し、かつ外気導入口15の全体を、シャッター18で開閉する構成である。このシャッター18はフード5の下端で、外気導入口15の近傍に設けた枢軸19で支持される。尚、壁面3aは、混合室2の左側の壁面200bで代用することも可能である。この代用例では、装置の簡略化、低コスト化と、小型化等に寄与できる。
【0038】
尚、本発明では、前述の如く、送風機1を、天井梁材A2に設置することで、ハウスAの躯体に負荷を掛けずに、かつ安定設置できること、又は農作業の邪魔とならず重宝し、かつその効率化が図れること、等の特徴がある。
【0039】
以上の構造でなる送風機1を、ハウスAの一方の妻面A1の天井梁材A2に設置し、その給気口12に給気ダクト21をハウスAの棟方向に設け、他方の妻面A1−1の内側に至らしめる。そして、この給気ダクト21には、連結給気ダクト22を介して、多数本の分岐給気ダクト23を接続し、この分岐給気ダクト23から多数の棚Bの下側(この実施例である)か、上側(図示しない)に設けた局所給気ダクト24、及び/又は、局所枝給気ダクト24aにそれぞれ連結される。
【0040】
以下、前記送風機1と給気ダクト21〜局所給気ダクト24、及び/又は、局所枝給気ダクト24aを介して、ハウスA内に外気、内気と、又は混合空気をそれぞれ送風する方法に関して説明すると、この送風方法としては、下記の[チ]〜[ル]の例がある。尚、外気の導入と、その混合空気の生成は、状況により、ハウスA内の湿度調整もできる。
【0041】
そして、本発明では、一方の妻面A1において、その天井梁材A2に設置される送風機1であって、そのハウスA内に設けた長方形状で、第一室200と、第二室201とでなる混合室2と、ハウスA外に設けた長方形状で、フード5を有する外気導入室3とで外郭部を形成する構造である。従って、この長方形状の外気導入室3が、ハウスA外に設置されていることで、例えば、地上より上方のハウスAの外気を、防虫し、かつ多く導入できる(吸込みできる)。そして、この外気は、開口14と、外気吸込口8を介して、確実、かつスムーズに、混合室2の第一室200に送るが、この混合室2が、ハウスA内に設置されていることで、例えば、この吸込んだ外気を、第二室201の給気口12を介して、ハウスA内の給気ダクト21に、確実、かつスムーズに送ることが可能となる。また、この混合室2が、ハウスA内に設置されていることで、例えば、この吸込んだ外気を、内気と混合し、混合空気の生成を容易とすることと、この混合空気を、第二室201の給気口12を介して、ハウスA内の給気ダクト21に、確実、かつスムーズに送ることが可能となる。そして、内外気の導入の容易化と、外気・混合空気の確実、かつスムーズな送風が図れる実益がある。
【0042】
以下、前記送風方法の[チ]〜[ル]の例であって、その好ましい、実例を説明する。
また、本発明は、単棟ハウスをはじめ、連棟ハウスにおいても、有効に採用できる構造である。
【0043】
[チ] 冬期の外気の導入と、この外気の昇温、並びにハウスAの多数のトマトCに、内気と略同温となった外気を噴射する構造では、例えば、外気導入室3のシャッター18を開放し、第一室200の切換えダンパー7を可動し、この第一室200の外気吸込口8を開放し、また、同内気吸込口9を閉塞する。このルートにより、外気は、第二室201に設けた給気口12から、給気ダクト21に至るが、この給気ダクト21は、一方の妻面A1から、他方の妻面A1−1に至ることから、ハウスAの室温空気との熱交換を介して、導入された外気は昇温される(昇温外気となる)。この昇温外気は、その後、この給気ダクト21に連通し、かつ他方の妻面A1−1に沿って延びる連結給気ダクト22に至ることで、このハウスAの全体に、昇温外気を送風する下地を作る。続いて、この連結給気ダクト22に連通し、かつ分岐された分岐給気ダクト23を介して、分岐する多数本の局所給気ダクト24に送り、各棚B下に至る。そして、この昇温外気は、局所枝給気ダクト24aの細孔(図示せず)から(以下、「この給気ダクト21に連通する連結給気ダクト22、及び/又は、分岐給気ダクト23を介して、局所給気ダクト24を経由し、局所枝給気ダクト24aの細孔から、」とする。)、ハウスAの多数のトマトCに、この昇温外気を、略均等に噴射する構造である。このルートを利用することで、冷えた外気を直接、ハウスAの多数のトマトCに噴射せず、略内気と同温となった昇温外気を噴射することで、このトマトCに対する弊害をなくすことができ、有益である。
【0044】
[リ] 冬期の外気の導入と、内気との混合を図りつつ、かつこの混合空気の昇温、並びにハウスAの多数のトマトCに、内気と略同温となった混合空気(昇温混合空気)を噴射する構造では、例えば、外気導入室3のシャッター18を開放し、第一室200の切換えダンパー7を中心に位置する。これにより、内外気吸込口9、8がともに開放される。このルートにより、外気は、第二室201内で混合され、昇温混合空気は、この第二室201に設けた給気口12から、給気ダクト21に至るが、この給気ダクト21は、一方の妻面A1から、他方の妻面A1−1に至ることから、ハウスAの室温空気との熱交換を介して、昇温混合空気となる。この昇温混合空気は、その後、この給気ダクト21に連通する連結給気ダクト22、及び/又は、分岐給気ダクト23を介して、局所給気ダクト24を経由し、局所枝給気ダクト24aの細孔から、ハウスAの多数のトマトCに、この昇温混合空気を、噴射する構造である。このルートを利用することで、冷えた混合空気を直接、ハウスAの多数のトマトCに噴射せず、内気と略同温となった混合空気を、略均等に噴射することで、このトマトCの生育に最適な混合空気を噴射できる有益がある。
【0045】
[ヌ] 夏期の外気の導入と、この外気のハウスAの高温内気との熱交換を介して、このハウスAの室温の低下に役立てる構造では、例えば、外気導入室3のシャッター18を開放し、第一室200の切換えダンパー7を可動し、この第一室200の外気吸込口8を開放し、また、同内気吸込口9を閉塞する。このルートにより、外気は、第二室201に設けた給気口12から、給気ダクト21に至るが、この給気ダクト21は、一方の妻面A1から、他方の妻面A1−1に至ることから、ハウスAの高温内気との熱交換を介して、このハウスAの室温の低下に役立てるとともに、内気より幾分低い外気は、その後、この給気ダクト21に連通する連結給気ダクト22、及び/又は、分岐給気ダクト23を介して、局所給気ダクト24を経由し、局所枝給気ダクト24aの細孔(図示せず)から、ハウスAの多数のトマトCに、この内気より幾分低い外気を、噴射する構造である。このルートを利用することで、内気より幾分低い外気を直接、ハウスAの多数のトマトCに、略均等に噴射することで、このトマトCに対する弊害をなくすことができ、有益である。
【0046】
[ル] 夏期の外気の導入と、高温内気との混合を図りつつ、かつ内気よりやや低温となった混合空気を生成し、この低温となった混合空気を、ハウスAの多数のトマトCに噴射する構造では、例えば、外気導入室3のシャッター18を開放し、第一室200の切換えダンパー7を中心に位置する。これにより、内外気吸込口9、8がともに開放される。このルートにより、外気は、第二室201内で混合され低温となった混合空気となり、この低温となった混合空気は、この第二室201に設けた給気口12から、給気ダクト21に至るが、この給気ダクト21は、一方の妻面A1から、他方の妻面A1−1に至ることから、ハウスAの高温空気との熱交換を介して、このハウスAの高温内気の降温に役立てる。そして、低温となった混合空気は、その後、この給気ダクト21に連通する連結給気ダクト22、及び/又は、分岐給気ダクト23を介して、局所給気ダクト24を経由し、局所枝給気ダクト24aの細孔から、ハウスAの多数のトマトCに、噴射する構造である。このルートを利用することで、低温となった混合空気を、ハウスAの多数のトマトCに、略均等に噴射することで、このトマトCの生育に最適な混合空気を噴射できる有益がある。
【符号の説明】
【0047】
1 送風機
2 混合室
200 第一室
200a 壁面
200b 壁面
200c 壁面
201 第二室
201a 壁面
3 外気導入室
3a 壁面
5 フード
6 枢軸
7 切換えダンパー
7a 自由端
7b ハンドル
8 外気吸込口
9 内気吸込口
10 羽根車
10a 吸込口
11 モータ
12 給気口
14 開口
15 外気導入口
16 防虫ネット
18 シャッター
19 枢軸
21 給気ダクト
22 連結給気ダクト
23 分岐給気ダクト
24 局所給気ダクト
24a 局所枝給気ダクト
A ハウス
A1 一方の妻面
A1−1 他方の妻面
A2 天井梁材
B 棚
C トマト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の壁面に設置した、内外気吸込口と、外気、内気、又は混合空気の給気用の空気給気口とを備えた混合室内に、切換えダンパーと、羽根車、並びに羽根車用モータを配備し、前記外気吸込口は、箱形の外気導入室の開口に連通し、この外気導入室の外気導入口に防虫ネットを張装し、かつこの外気導入口を、シャッターで開閉する構成とした建屋の局所送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記混合室を、長方形状とし、かつ第一室と、同第二室とで形成し、この第一室には、その壁面に設けた枢軸を介して、切換えダンパーを設置し、この切換えダンパーで、この一方室の壁面に設けた、前記内外気吸込口を開閉自在とし、また、この第二室の壁面には、前記吹出口を設けるとともに、この第二室には、羽根車と、この羽根車用モータを配備する構成とした建屋の局所送風機。
【請求項3】
請求項2に記載の建屋の局所送風機であって、
前記混合室の第一室の壁面に設けた内気吸込口と、前記第二室の壁面に設けた給気口を並設する構成とした建屋の局所送風機。
【請求項4】
請求項1に記載の建屋の局所送風機であって、
前記外気導入室を、長方形状とし、かつフードを備えた構造とし、この外気導入室のフードの下側の開放口に防虫ネットを設け、かつこの開放口を、前記シャッターで開閉自在とする構成とした建屋の局所送風機。
【請求項5】
請求項1に記載の建屋の局所送風機を利用した、建屋の局所送風方法であって、
この送風機の混合室を、建屋内に設け、また、この外気導入室を、建屋外に設け、この外気導入室を介して、外気を混合室に導き、この混合室に導入した内気を、外気と混合して混合空気を生成し、この混合空気を、混合室の給気口を介して、前記建屋内の給気ダクトに導き、この給気ダクト内において、建屋内の空気との熱交換で昇温し、この昇温した混合空気を、この建屋内に配備した分岐給気ダクトに送風し、この分岐給気ダクトから、棚下、又は棚上に設けた局所給気ダクトに送風する構成とした建屋の局所送風方法。
【請求項6】
請求項5に記載の建屋の局所送風方法であって、
前記送風機を、前記建屋の妻面の天井梁材に取付ける構成とした建屋の局所送風方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−142827(P2011−142827A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4338(P2010−4338)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】