説明

建物開口部用スクリーン装置取付枠及びその施工方法

【課題】スクリーン装置を設置する建物開口部の額縁内面に凸形段差や凹形段差がある場合に、容易にそれ対応できるようにした取付枠を、各種設置現場に適合させて作業性よく設置できるようにした該取付枠及びその施工方法を提供する。
【解決手段】建物開口部1の額縁2内面に固定してスクリーン装置3の設置枠を形成させるための取付枠10を、スクリーン装置の取付面10aの両側端から同一方向に折曲された立壁10bを備えた断面コ字状に形成する。該立壁の先端にはモヘア等の埋設部材12を取り付ける取付溝10dを設ける。上記立壁10bは、上記額縁の凸形段差2aの高さに相当する長さだけ先端側から切り込んで、その切り込みの先端位置で立壁を折曲することにより該立壁を破断可能にするため、該取付枠の長手方向に延びる折り溝10cの多数を小間隔で立壁10bに凹設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の玄関などにみられる戸毎に適宜形態をとる建物開口部の額縁に対し、収納網戸等の設置枠を有するスクリーン装置の取り付けを容易にするための、建物開口部用スクリーン装置取付枠及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の玄関などの開口部に、防虫網戸等のスクリーン装置を設置したいという要求が多々あるが、該スクリーン装置を玄関の額縁に取り付ける場合、その額縁の内周面は凹凸のない矩形状である必要がある。しかしながら、一般的には、各種機能性や意匠性等について配慮することにより配設される巾木や付け框などの凸形段差があるだけでなく、例えば玄関の土間の立ち上がり部とスクリーン装置の取付面の間等に凹形段差があり、上記スクリーン装置の設置に際しては、それらの凸形段差及び凹形段差についてそれぞれ個別的に凹凸をなくすための作業を行っているのが通例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の技術的課題は、スクリーン装置を設置しようとする建物開口部の額縁内面に、上述した凸形段差だけでなく、凹形段差もあるような場合にも容易に対応できるようにしたスクリーン装置を設置するための簡易な構成の取付枠を、各種設置現場に適合させて作業性よく設置できるようにした建物開口部用スクリーン装置取付枠及びその施工方法を提供することにある。
また、本発明の他の技術的課題は、戸毎に適宜形態をとる建物開口部の額縁内面に対して適用できるようにしたスクリーン装置取付枠を、同一形態の枠材に対して簡単な加工を施すことにより得られるようにした上記スクリーン装置取付枠及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部の額縁内面に固定してスクリーン装置の設置枠を形成させるための取付枠であって、該取付枠が、スクリーン装置設置用の平坦な取付面の両側端から同一方向に折曲された同長の立壁を備えて断面コ字状に形成され、該立壁には、その先端から更に突出する方向に埋設部材を取り付ける取付溝を設けると共に、上記額縁の凸形段差の高さに相当する長さだけ該立壁を先端側から切り込んで、その切り込みの先端位置で立壁を折曲することにより該位置で立壁を破断可能にするための、該取付枠の長手方向に延びる折り溝の多数を小間隔で凹設していることを特徴とする建物開口部用スクリーン装置取付枠が提供される。
【0005】
また、上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部の額縁内面に固定してスクリーン装置の設置枠を形成する取付枠の施工方法であって、スクリーン装置設置用の平坦な取付面の両側端から同一方向に折曲された同長の立壁を備えて断面コ字状に形成された枠材を用い、該立壁における上記額縁の凸形段差に対応する位置において、該立壁をその先端側から該凸形段差の高さに相当する長さだけ切り込み、その切り込みの先端位置で立壁を折曲することにより、該枠材の長手方向に小間隔で多数凹設している折り溝のうちで上記切り込みの先端位置に対応する折り溝に沿って該立壁を破断し、更に、上記額縁の凹形段差に対応する位置において、該立壁先端の埋設部材の取付溝に上記凹形段差の深さ相当長の埋設部材を取り付け、それによって構成される上記取付枠を、建物開口部の額縁内面の凸形段差及び凹形段差に対応させて該額縁内面に固定することによりスクリーン装置の設置枠を形成することを特徴とする建物開口部用スクリーン装置取付枠の施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上述した本発明の建物開口部用スクリーン装置取付枠及びその施工方法によれば、スクリーン装置を設置しようとする建物開口部の額縁内面に、上述した凸形段差だけでなく、凹形段差もあるような場合にも容易に対応できるようにしたスクリーン装置を設置するための簡易な構成の取付枠を、各種設置現場に適合させて作業性よく設置することができ、また、戸毎に適宜形態をとる建物開口部の額縁内面に対して適用できるようにしたスクリーン装置取付枠を、同一形態の枠材に対して簡単な加工を施すことにより容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る建物開口部用スクリーン装置取付枠を用いたスクリーン装置の取付例を示す平断面図である。
【図2】同取付枠の装着過程を示す説明図である。
【図3】同取付枠の装着状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係る取付枠によってスクリーン装置を取り付けるのに適した建物開口部(玄関)の斜視図である。
【図5】本発明に係るスクリーン装置取付枠の取付加工前の枠材の形態を示す斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、上記枠材の加工状態を示す要部斜視図である。
【図7】上記枠材の加工を完了した状態の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る建物開口部用スクリーン装置取付枠10は、図1〜図3によって以下に説明するような態様で、建物開口部1の額縁2の内面に固定されるものである。上記取付枠10によってスクリーン装置3を取り付けるのに適した建物開口部1としては、図4に例示する玄関のように、額縁2の左右内面に、巾木や付け框などの凸形段差2aがあるだけでなく、玄関の土間の立ち上がり部とスクリーン装置3の取付面の間に凹形段差2bがあるような場合である。通常、上記額縁2の上下内面には凸形あるいは凹形段差が存在しないので、ここでは額縁の上下内面の段差をなくすことについては触れないが、必要があれば、以下に説明する取付枠10を額縁2の左右内面に適用する場合と同様な手法で、額縁2の上下内面にも適用することができる。
【0009】
建物開口部1の額縁2内面に固定してスクリーン装置3の設置枠を形成させる上記取付枠10は、図5に示すようなアルミニウムあるいは合成樹脂等の一定断面形状の押出材からなる長尺の枠材11を素材とし、図6の(a)及び(b)に示すような後述する簡単な加工を行うことにより構成されるものである。該加工前の上記枠材11は、スクリーン装置設置用の平坦な取付面10aの両側端から同一方向に折曲された同長の立壁10b,10bを備えて断面コ字状に形成され、該立壁10bには、その先端から更に突出する方向に向けて、モヘアやゴムあるいは合成樹脂などからなる埋設部材12(図2参照)を取り付けるための取付溝10dを設けた断面形状を有するものである。
【0010】
また、上記立壁10b,10bの外面には、枠材11の長手方向に延びるV形の折り溝10cの多数を小間隔で凹設している。この折り溝10cは、図6(a)に示すように、立壁10bをその先端側から上記額縁2の凸形段差2aに相当する長さだけ金鋸20等で切り込んだ後に、図6(b)に示すように、ペンチ等の工具21を用いて、その切り込み11aの先端位置にある折り溝10c′で立壁10bを矢印方向へ折曲することにより、該位置での立壁10bを破断可能にするためのものである。上記金鋸20等で切り込んだ位置で立壁10bを折り溝10cに沿う方向に再び金鋸20等で切り込むことは、作業性に問題があり、そのため、上記工具21等による折り溝10cでの破断は現場での作業性の改善のために非常に有効なものである。
【0011】
但し、上記V形の折り溝10cは、その多数を小間隔で凹設するにしても、例えば、2〜3mmという一定の間隔で配設するため、上記金鋸20等で切り込んだ位置で立壁10bを折曲して破断した場合、その破断位置が額縁2の凸形段差2aの高さに正確に対応するとは限らないが、その寸法差は、上記凸形段差2aと加工した枠材11との間に緩衝材や充填材等を介在させることによって目立たないものにすることができる。
【0012】
上記立壁10bの先端から更に突出する方向に向けてモヘア等の埋設部材12を取り付けるための上記取付溝10dは、図2に示すように、上記額縁2の凹形段差2bに対応する位置において、該取付溝10dに上記凹形段差2bの深さに相当する毛長のモヘア、あるいはそれに相当する長さのゴムや合成樹脂などの埋設部材12を取り付け、該凹形段差2bを目立たないものにするためのものである。
【0013】
ついで、上記取付枠10を用いて、前記凸形段差2aや凹形段差2bのある建物開口部1の額縁2内面にスクリーン装置3の設置枠を取り付ける施工方法について説明する。
上述したところからわかるように、スクリーン装置3の設置枠を形成する取付枠10を得るには、図5に示すようなアルミニウム等の押出材からなる長尺の枠材11を使用し、図6(a)及び(b)に示すような加工により、図7に示すように、スクリーン装置3の設置枠を取り付ける額縁2に適合する取付枠10を得る。
【0014】
上記枠材11は、平坦なスクリーン装置の取付面10aの両側端に同長の立壁10b,10bを設けて断面コ字状に形成したもので、上記加工では、まず最初に、図6の(a)及び(b)に示すように、上記立壁10b,10bにおける上記額縁2の凸形段差2aに対応する位置において、該立壁10bをその先端側から該凸形段差2aの高さに相当する長さだけ切り込み、複数の切り込み11aを入れる。次に、図6の(b)に示すように、ペンチ等の工具21を用い、上記切り込み11aの先端位置にある折り溝10c′で立壁10bを矢印方向へ折曲することにより、該位置での立壁10bを破断し、その結果、立壁10bに図7に示すような段差対応凹部13を有する取付枠10を得る。
【0015】
なお、図6の(a)及び(b)、並びに図7においては、一方の立壁10bのみに上記切り込み等の加工を施した状態を示しているが、図1及び図4に示すように凸形段差2a及び凹形段差2bが連続して設けられている場合には、当然に他方の立壁10bにも同様の加工を施すことになる。
しかしながら、上記凸形段差2a及び凹形段差2bが取付枠10の設置位置までの場合や、取付枠10の設置位置において凸形段差2a及び凹形段差2bの形状が変わる場合には、それに応じて他方の立壁10bの加工を行えばよく、結果的に、上記取付枠10は多様な額縁2の形態だけでなく、その形態の部分的な変化にも対応させることができる。
【0016】
得られた取付枠10を建物開口部1の額縁2に取り付けるに際しては、図2及び図3に示すように、取付枠10における上記額縁2の凹形段差2bに対応する位置において、立壁10bの先端の埋設部材12の取付溝10dに、上記凹形段差2bの深さに相当する毛長の埋設部材12を取り付けたうえで、該埋設部材12及び建物開口部1の額縁2内面の凸形段差2aに対応する上記段差対応凹部13を有する取付枠10を、図3にその断面形状を付記した向きにおいて額縁2内面に取り付けることにより、額縁2内面にその凹形段差2bを埋設部材12で目立たないものにして取付枠10を固定し、スクリーン装置3の設置枠を形成することができる。
【0017】
なお、図1では、スクリーン装置3として、建物開口部1の両側に網戸の側枠5,6を固定し、交互に逆方向に折り畳むことにより横方向に拡縮自在に形成されたプリーツ状のスクリーン7の両端を、建物開口部1における額縁2の一方の内側面に取り付けた取付枠10に固定の側枠5と横方向にスライド自在の可動框8との間に連結することにより構成したアコーディオン式の網戸を示しているが、上述したスクリーン装置3は防虫のための網戸のみに限るものではなく、上記取付枠10は、例えば、遮光、目隠し等のためのスクリーン装置にも適用することができる。
【0018】
図1中において、符号9は玄関ドアを示し、また、上記取付枠10の取付面10aに設けた溝10eは、該取付枠10を額縁2に固定する取付ネジ15を螺挿したときにそのネジ頭を沈めるためのものであり、上記網戸の側枠5,6は、該溝10eに螺挿するネジ16により取付枠10に対して取り付けることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 建物開口部
2 額縁
2a 凸形段差
2b 凹形段差
3 スクリーン装置
10 取付枠
10a 取付面
10b 立壁
10d 取付溝
11 枠材
11a 切り込み
12 埋設部材
10c,10c′ 折り溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の額縁内面に固定してスクリーン装置の設置枠を形成させるための取付枠であって、
該取付枠が、スクリーン装置設置用の平坦な取付面の両側端から同一方向に折曲された同長の立壁を備えて断面コ字状に形成され、
該立壁には、その先端から更に突出する方向に埋設部材を取り付ける取付溝を設けると共に、上記額縁の凸形段差の高さに相当する長さだけ該立壁を先端側から切り込んで、その切り込みの先端位置で立壁を折曲することにより該位置で立壁を破断可能にするための、該取付枠の長手方向に延びる折り溝の多数を小間隔で凹設している、
ことを特徴とする建物開口部用スクリーン装置取付枠。
【請求項2】
建物開口部の額縁内面に固定してスクリーン装置の設置枠を形成する取付枠の施工方法であって、
スクリーン装置設置用の平坦な取付面の両側端から同一方向に折曲された同長の立壁を備えて断面コ字状に形成された枠材を用い、
該立壁における上記額縁の凸形段差に対応する位置において、該立壁をその先端側から該凸形段差の高さに相当する長さだけ切り込み、その切り込みの先端位置で立壁を折曲することにより、該枠材の長手方向に小間隔で多数凹設している折り溝のうちで上記切り込みの先端位置に対応する折り溝に沿って該立壁を破断し、
更に、上記額縁の凹形段差に対応する位置において、該立壁先端の埋設部材の取付溝に上記凹形段差の深さ相当長の埋設部材を取り付け、
それによって構成される上記取付枠を、建物開口部の額縁内面の凸形段差及び凹形段差に対応させて該額縁内面に固定することによりスクリーン装置の設置枠を形成する、
ことを特徴とする建物開口部用スクリーン装置取付枠の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−132199(P2012−132199A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285022(P2010−285022)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000107930)セイキ販売株式会社 (57)