説明

建築物

【課題】蓄電装置が高温になるのを防止するとともに、当該蓄電装置が発する騒音を人に聞こえ難くすることができる建築物を提供する。
【解決手段】蓄電装置40からの電力を負荷50へと供給可能な電力供給システム1を具備する住宅100(建築物)であって、蓄電装置40は、外壁100aに沿うように形成される蓄電装置収納空間110に配置され、蓄電装置収納空間110の空気は、外壁100aに形成された貫通孔115及び当該貫通孔115に設けられた送風機117によって外気と換気可能とされ、蓄電装置収納空間110と他の空間とを仕切る壁面(側壁111・111、上部仕切壁112及び防音扉113)には、防音材(防音材114等)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置からの電力を負荷へと供給可能な電力供給システムを具備する建築物の技術に関し、より詳細には、当該蓄電装置の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電装置を備え、商用電源が停電した場合には当該蓄電装置から負荷に電力を供給することが可能な電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の電力供給システムでは、商用電源が停電し、当該商用電源から負荷への電力の供給が絶たれた場合、商用電源に代えて蓄電装置に充電された電力を当該負荷に供給することができる。また、商用電源の停電が解消された(復旧した)場合、商用電源からの電力を負荷だけでなく蓄電装置にも供給することによって当該蓄電装置を再び充電することができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の如き電力供給システムを具備する建築物においては、運転中に熱及び騒音を発する蓄電装置をどのような場所に配置するかが問題となる。
【0005】
すなわち、蓄電装置が発する騒音が建築物内の人に聞こえないように、当該蓄電装置を建築物内の密閉された空間に配置すると、当該蓄電装置が高温になり、当該蓄電装置に故障や不具合が発生するおそれがある。
一方、蓄電装置が高温にならないように、当該蓄電装置を建築物内の風通しの良い場所(例えば、広く開放された室内等)に配置すると、当該蓄電装置が発する騒音によって建築物内の人に不快感を与えるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−284060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、蓄電装置が高温になるのを防止するとともに、当該蓄電装置が発する騒音を人に聞こえ難くすることができる建築物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、蓄電装置からの電力を負荷へと供給可能な電力供給システムを具備する建築物であって、前記蓄電装置は、外壁に沿うように形成される蓄電装置収納空間に配置され、前記蓄電装置収納空間の空気は、前記外壁に形成された貫通孔及び当該貫通孔に設けられた送風機によって外気と換気可能とされ、前記蓄電装置収納空間と他の空間とを仕切る壁面には、防音材が設けられるものである。
【0010】
請求項2においては、前記蓄電装置と前記蓄電装置収納空間の天井とを連結する連結部材を具備するものである。
【0011】
請求項3においては、前記蓄電装置収納空間は、他の収納空間の内部に配置されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記建築物は住宅であり、前記他の収納空間は階段の下に配置された階段下収納であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
即ち、請求項1においては、蓄電装置が高温になるのを防止することができる。また、当該蓄電装置が発する騒音を建築物内の人に聞こえ難くすることで、当該人に不快感を与えるのを防止することができる。
【0015】
請求項2においては、蓄電装置の転倒を防止することができる。
【0016】
請求項3においては、蓄電装置が発する騒音を、より建築物内の人に聞こえ難くすることができる。
【0017】
請求項4においては、階段下の空間を有効利用しつつ、蓄電装置が発する騒音が住宅の居住者に聞こえ難い位置に蓄電装置を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る住宅の1階部分を示した平面図。
【図2】住宅が具備する電力供給システムを示したブロック図。
【図3】(a)折り返し階段を示した平面図。(b)図3(a)におけるA−A断面を示した図。
【図4】(a)図3(a)におけるB−B断面を示した図。(b)同じく、B−B断面の一部拡大図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る住宅の1階部分を示した平面図。
【図6】蓄電装置収納空間を示した側面断面図。
【図7】(a)同じく、正面断面図。(b)同じく、平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図1を用いて、本発明に係る建築物の第一実施形態に係る住宅100(1階部分のみ)の全体構成について説明する。なお、本発明は住宅に限るものではなく、オフィスビル、駅舎、ホテル等の種々の建築物に広く適用することが可能である。
【0020】
住宅100の1階には、玄関101、玄関ホール102、廊下103、トイレ104、折り返し階段105、階段下収納106、デッキ107及び車庫108が配置される。
【0021】
住宅100の北東部分には玄関101が配置され、当該玄関101の南西側には玄関ホール102が配置される。玄関ホール102の西側には、西方向に向かって廊下103が延設される。廊下103の北側には、東から西に向かって順にトイレ104及び折り返し階段105が住宅100の外壁100aに沿うように配置される。また、折り返し階段105の下方には階段下収納106が配置される。
【0022】
階段下収納106内には、後述する蓄電装置収納空間110が配置され、さらに当該蓄電装置収納空間110内には、後述する蓄電装置40が配置される。
【0023】
廊下103の西端(住宅100の南西部分)には、デッキ107が配置される。デッキ107の東側(住宅100の南東部分)には、車庫108が配置される。
【0024】
次に、図2を用いて、住宅100が具備する電力供給システム1について説明する。
【0025】
電力供給システム1は、住宅等に設けられ、商用電源90からの電力及び自然エネルギーにより発電された電力を特定の負荷へと供給するものである。電力供給システム1は、主として発電部10、パワーコンディショナ20、分電盤30、蓄電装置40、負荷50(特定の負荷)、その他の負荷80、ホームサーバ60及び携帯型端末70等を具備する。
【0026】
発電部10は、太陽光を利用して発電する装置であり、太陽電池パネル等により構成される。発電部10は、例えば、住宅の屋根の上に設置される。
【0027】
パワーコンディショナ20は、発電部10において発電された直流電力を交流電力に変換し、商用電源90の電圧、周波数、位相に合わせる機能を有するものである。パワーコンディショナ20は、発電部10に接続される。
パワーコンディショナ20には、停電時(商用電源90からの電力が供給不能な場合)における「自立運転モード」のONとOFFとを切り換えるための運転切換スイッチ20aが設けられる。
また、パワーコンディショナ20には、停電時(非常時)において発電部10からの電力を取り出すための非常用コンセント21が接続される。
【0028】
分電盤30は、漏電遮断器、配線遮断器及び制御ユニット等をまとめたものである。分電盤30は、パワーコンディショナ20及び商用電源90に接続される。
分電盤30には、後述する蓄電装置40が充電、放電及び情報(データ)のやり取りを行うための充放電用コンセント群31(より詳細には、充放電用コンセント群31のうち後述する充電用コンセント32及びLAN用コンセント33のみ)が接続される。
【0029】
充放電用コンセント群31は、充電用コンセント32、LAN用コンセント33及び放電用コンセント34を具備する。
【0030】
蓄電装置40は、電力を充電するとともに、当該充電した電力を放電するものである。本実施形態に係る蓄電装置40は、電力を充放電可能なリチウムイオン電池及び当該リチウムイオン電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータ等を具備する。
蓄電装置40は、停電時(非常時)における充電用のケーブル41を介して非常用コンセント21に接続される。
また、蓄電装置40は、通常時における充電用のケーブル42を介して充放電用コンセント群31の充電用コンセント32に、放電用のケーブル43を介して充放電用コンセント群31の放電用コンセント34に、それぞれ接続される。
また、蓄電装置40は、LANケーブル44を介して充放電用コンセント群31のLAN用コンセント33に接続される。
【0031】
負荷50は、住宅内において電力が消費される電化製品等であり、特に、停電時(非常時)においても電力を供給する必要がある「特定の負荷」である。
本実施形態においては、負荷50(特定の負荷)として、リビングに設けられるリビングコンセント51、冷蔵庫52、及びリビングに設けられるリビング照明53を用いるものとする。また、リビングコンセント51には、テレビ51aが接続されるものとする。
負荷50は、それぞれ間接的に(本実施形態においては、充放電用コンセント群31の放電用コンセント34及び図示しない漏電遮断器等を介して)蓄電装置40に接続される。
【0032】
その他の負荷80は、住宅内において電力が消費される電化製品等であり、前述の負荷50(特定の負荷)とは異なり、停電時(非常時)においては電力を供給する必要がない(非常時に電力を供給する必要性が低い)負荷である。その他の負荷80としては、例えば、リビング以外に設けられるコンセントや照明等が挙げられる。
その他の負荷80は、分電盤30に接続される。
【0033】
ホームサーバ60は、電力供給システム1内の情報を管理する制御手段である。
ホームサーバ60は、分電盤30に接続される。ホームサーバ60は、パワーコンディショナ20及び蓄電装置40等と情報のやり取りが可能とされ、当該パワーコンディショナ20及び蓄電装置40等の運転を制御することができる。
【0034】
携帯型端末70は、住宅の居住者が電力供給システム1の状態を確認したり、当該電力供給システム1の運転状態を変更するための操作をしたりするためのものである。携帯型端末70としては、表示装置と入力装置を組み合わせたタッチパネル等を用いることができる。
携帯型端末70は、無線によりホームサーバ60と情報のやり取りをすることができる。
【0035】
次に、図1を用いて、上述の如く構成された電力供給システム1において、商用電源90からの電力が問題なく供給される場合の電力の供給態様について説明する。
【0036】
通常、すなわち商用電源90からの電力が問題なく供給可能な場合、パワーコンディショナ20の運転切換スイッチ20aは居住者によってOFFに切り換えられている。この場合、パワーコンディショナ20の自立運転モードはOFFとされ、当該パワーコンディショナ20の非常用コンセント21からの電力の取り出しはできない。
【0037】
この状態においては、発電部10において発電された直流電力は、パワーコンディショナ20において交流電力に変換され、分電盤30に供給される。また、商用電源90からの交流電力も分電盤30に供給される。
【0038】
当該発電部10及び商用電源90から分電盤30に供給された電力は、適宜の時間帯にケーブル42を介して蓄電装置40に充電される。当該充電する時間帯は、携帯型端末70を用いて任意に設定することができる。例えば深夜に充電するように設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電装置40に充電することができる。また、昼間の太陽光が十分に照射される時間帯に発電部10からの電力を充電するように設定すれば、当該発電部10において自然エネルギー(太陽光)を利用して発電された電力を蓄電装置40に充電することができる。
なお、この場合(通常時)においては、発電部10及び商用電源90からの電力を蓄電装置40に充電する際、同時に当該蓄電装置40からその他の負荷80へと電力が供給(放電)されることはない。このように、充電と放電とを同時に行わないようにすることによって、蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化を防止することができる。
【0039】
また、発電部10及び商用電源90から分電盤30に供給された電力は、その他の負荷80に供給される。すなわち、居住者は、発電部10及び商用電源90からの電力によって、リビング以外に設けられるコンセントに接続された機器を利用したり、リビング以外の照明等を点灯させたりすることができる。
【0040】
また、その他の負荷80で消費する電力が、発電部10からの電力だけで十分まかなえる場合は、商用電源90からの電力を用いないようにすることも可能である。これによって、電力料金を節約することができる。
【0041】
さらに、蓄電装置40に充電された電力を、ケーブル43を介して負荷50に供給することも可能である。当該蓄電装置40から負荷50に電力を供給する時間帯は、携帯型端末70を用いて任意に設定することができる。例えば深夜に充電した電力を昼間に負荷50に供給するように設定することで、電力料金を節約することができる。
なお、通常時においては、蓄電装置40から負荷50に電力を供給(放電)する際、同時に発電部10及び商用電源90からの電力が蓄電装置40に充電されることはない。このように、充電と放電とを同時に行わないようにすることによって、蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化を防止することができる。
【0042】
上述の如く発電部10、商用電源90及び蓄電装置40からの電力を適宜負荷50及びその他の負荷80に供給するための制御は、ホームサーバ60に記憶された制御プログラムに基づいてなされる。
また、上述の如き電力の供給状態は携帯型端末70の表示装置に表示され、居住者は当該携帯型端末70により電力の供給状態を確認することができる。
【0043】
次に、停電時(商用電源90からの電力が供給不能な場合)における電力の供給態様について説明する。
【0044】
停電時(非常時)においては、電力会社の電力復旧作業を妨げないように、商用電源90から分電盤30への電力系統及びパワーコンディショナ20から分電盤30への電力系統(分電盤30を介する電力系統)に電力が流されることがない。従って、発電部10および商用電源90からの電力が分電盤30を介して蓄電装置40に充電されることはない。一方、蓄電装置40に充電されている電力は、ケーブル43を介して負荷50に供給(放電)することが可能である。すなわち、停電した場合であっても、負荷50のスイッチがONにされた場合、蓄電装置40に充電された電力を用いて負荷50(テレビ51a等)を使用することが可能である。
【0045】
また、この停電時(非常時)においては、居住者は、パワーコンディショナ20の運転切換スイッチ20aをONに切り換える。これによって、パワーコンディショナ20の自立運転モードがONとされ、当該パワーコンディショナ20の非常用コンセント21からの電力の取り出しが可能となる。
但し、運転切換スイッチ20aは、分電盤30において停電であることが検知された情報をパワーコンディショナ20に送信し、自動的にONに切り換えられるように構成することも可能である。
【0046】
この状態においては、発電部10において発電された電力は、パワーコンディショナ20、非常用コンセント21及びケーブル41を介して蓄電装置40に充電される。
【0047】
また、蓄電装置40が充電中であっても、負荷50のスイッチがONにされた場合、蓄電装置40に充電された電力(通常時においてあらかじめ充電されていた電力及び非常時において発電部10から供給された電力)は、ケーブル43を介して負荷50に供給される。なお、停電時において電力を供給するのは必要最低限の負荷(負荷50)のみであり、その他の負荷80には電力は供給されない。
【0048】
上述の如く、停電時においては、発電部10からの電力を蓄電装置40に充電しながら、同時に当該蓄電装置40の電力を負荷50に供給することができる。このように、蓄電装置40の電力を放電するだけでなく、並行して充電も行うことで、あらかじめ蓄電装置40に充電された電力及び発電部10において新たに発電された電力を効率良く負荷50へ供給することができる。また、このように蓄電装置40の充電と放電とを同時に行うことで当該蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化が懸念されるが、充電と放電とを同時に行うのは停電時(非常時)のみであるため、当該蓄電装置40の劣化を最小限に抑えつつ、非常時には電力を効率良く負荷50へと供給することができる。
【0049】
次に、図1から図4までを用いて、住宅100における蓄電装置40の配置に関する構成について説明する。
なお、図3及び図4においては、便宜上、住宅100の内側から外壁100aに向かう方向を前方と、住宅100の内側から外壁100aに向かって左側を左方と、それぞれ定義して説明を行う(図中の矢印参照)。
【0050】
図1に示すように、蓄電装置40は、折り返し階段105の下の階段下収納106の内部に配置された蓄電装置収納空間110に配置される。
【0051】
図3(a)に示すように、折り返し階段105は、1階側の下部階段105aと、2階側の上部階段105bと、当該下部階段105a及び上部階段105bの間に形成される踊り場105cと、当該下部階段105a、踊り場105c及び上部階段105bに亘って設けられる手すり105dと、を具備する。
【0052】
図4(a)に示すように、階段下収納106は、上部階段105b及び踊り場105cの下方に配置される。階段下収納106の後部には、廊下103側から開閉可能な階段下収納扉106aが設けられ、当該階段下収納106と廊下103との空間が仕切られる。
【0053】
階段下収納106のさらに内部、より詳細には階段下収納106の前部には、蓄電装置収納空間110が配置される。蓄電装置収納空間110は、図3(b)及び図4に示すように、側壁111・111と、上部仕切壁112と、防音扉113と、外壁100aと、により仕切られた空間である。
【0054】
側壁111・111は、蓄電装置収納空間110の左右両側方において、当該蓄電装置収納空間110と他の空間(例えば、トイレ104等)とを仕切るものである。
上部仕切壁112は、蓄電装置収納空間110の上方において、当該蓄電装置収納空間110と他の空間(例えば、折り返し階段105のすぐ下方の空間等)とを仕切り、蓄電装置収納空間110の天井となるものである。
側壁111・111及び上部仕切壁112の蓄電装置収納空間110側の壁面(内側面)には、防音材114が設けられる。
また、右方に配置される側壁111には、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31が互いに近接するように一箇所に集中して配置される。
【0055】
蓄電装置収納空間110の後部には、後方から開閉可能な防音扉113が設けられ、当該蓄電装置収納空間110と階段下収納106の後部との空間が仕切られる。防音扉113は、適宜防音材が設けられた(又は、防音効果のある材料を用いて形成された)扉である。
【0056】
住宅100の外壁100aのうち、蓄電装置収納空間110と対向する部分には、当該蓄電装置収納空間110と住宅100の外部とを連通する貫通孔115・115が形成される。
本実施形態においては、上下に並ぶように2つの貫通孔115・115が形成されるものとするが、本発明はその数及び位置を限定するものではない。
【0057】
貫通孔115・115の外側端部には、防音カバー116・116がそれぞれ設けられる。また、上方に配置された防音カバー116内には、送風機117が設けられる。当該送風機117を駆動させることにより、下方に配置された貫通孔115から外気を蓄電装置収納空間110内へと取り込むとともに、上方に配置された貫通孔115から蓄電装置収納空間110内の空気を外部へと排出して、当該蓄電装置収納空間110内の空気を換気することができる。これによって、蓄電装置40が発する熱によって蓄電装置収納空間110内の空気の温度が上昇するのを防止することができる。また、当該空気の温度の上昇を防止することで、蓄電装置40の冷却効果を高め、当該蓄電装置40が高温になるのを防止することができる。さらに、蓄電装置40は一定の温度以上になると作動(充電及び放電等)を停止するため、上記の如く蓄電装置40が高温になるのを防止することで、当該蓄電装置40の作動が停止するのを防止することもできる。
【0058】
なお、防音カバー116及び送風機117は、貫通孔115の内側端部や中途部に設けることも可能である。
また、送風機117は、下方に配置された防音カバー116内や下方に配置された貫通孔115に設けることも可能である。
また、送風機117は蓄電装置収納空間110内の温度を検知して、当該検知した温度が設定温度以上の場合(例えば、蓄電装置収納空間110内の温度が35度以上になった場合)に駆動される。また、蓄電装置40に備えられる冷却ファンと連動するように送風機117と接続し、蓄電装置40を冷却する構成としてもよい。
【0059】
このように構成された蓄電装置収納空間110内に蓄電装置40が配置され、ケーブル41・42・43及びLANケーブル44を介して非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31と接続される(図2参照)。蓄電装置40の上部には、当該蓄電装置40を移動させる際等に把持することが可能なハンドル40aが形成される。
【0060】
図4(b)に示すように、蓄電装置40のハンドル40aと上部仕切壁112とは、連結部材としての取付金具119及びワイヤー120を介して連結される。
より詳細には、上部仕切壁112の蓄電装置収納空間110側の壁面(内側面)には、前後方向に亘って図示せぬ桟が設けられ、当該桟に取付金具119が固定される。取付金具119は防音材114の下面に配置され、釘等の取付部材によって前記桟に対して固定される。当該取付金具119と蓄電装置40のハンドル40aとを連結するようにワイヤー120が設けられる。この際、ワイヤー120は弛みがない状態で取付金具119とハンドル40aとを連結する。また、取付金具119は蓄電装置40のハンドル40aの位置に合わせて前記桟に固定される。また、蓄電装置40にハンドル40aが付設されていない場合には、蓄電装置40全体をワイヤー120で縛る構成としてもよい。また、ワイヤー120の代わりにフック等を用いてもよい。
【0061】
以上の如く、本実施形態に係る住宅100は、蓄電装置40からの電力を負荷50へと供給可能な電力供給システム1を具備する住宅100であって、蓄電装置40は、外壁100aに沿うように形成される蓄電装置収納空間110に配置され、蓄電装置収納空間110の空気は、外壁100aに形成された貫通孔115及び当該貫通孔115に設けられた送風機117によって外気と換気可能とされ、蓄電装置収納空間110と他の空間とを仕切る壁面(側壁111・111、上部仕切壁112及び防音扉113)には、防音材(防音材114等)が設けられるものである。
【0062】
このように構成することにより、蓄電装置40が高温になるのを防止することができる。
すなわち、送風機117を駆動させることで、蓄電装置収納空間110内の空気を住宅100の外部の空気(外気)と換気することができ、蓄電装置40が発する熱によって蓄電装置収納空間110内の空気の温度が上昇するのを防止することができ、ひいては当該空気の温度が上昇することによって蓄電装置40が高温になることを防止することができる。
また、蓄電装置40が発する騒音を居住者に聞こえ難くすることで、居住者に不快感を与えるのを防止することができる。
すなわち、蓄電装置収納空間110と他の空間(より詳細には、住宅100内の廊下103やトイレ104や居室等の他の空間)とを仕切る壁面に防音材114を設けることで、蓄電装置40が発する騒音が住宅100内に漏れ聞こえるのを防止することができ、ひいては居住者に不快感を与えるのを防止することができる。
【0063】
なお、本発明において「蓄電装置収納空間と他の空間とを仕切る壁面」の「壁」とは、開閉不能に設けられる壁だけでなく、開閉可能な扉も含むものとする。また、本発明において、「壁面に防音部材を設ける」とは、空間を仕切る壁に防音材を設ける(例えば、壁の表面に防音材を貼り付ける)ことだけでなく、当該壁自身を防音効果のある材料で形成することも含むものとする。
【0064】
また、住宅100は、蓄電装置40と蓄電装置収納空間110の天井(上部仕切壁112)とを連結する連結部材(取付金具119及びワイヤー120)を具備するものである。
【0065】
このように構成することにより、蓄電装置40の転倒を防止することができる。
すなわち、地震が発生した場合等においても、蓄電装置40のハンドル40aが蓄電装置収納空間110の天井(上部仕切壁112)から吊り下げられるように支持されているため、当該蓄電装置40の転倒を防止することができる。
なお、蓄電装置40の下部には、当該蓄電装置40が運搬し易いように車輪が設けてあるが、当該蓄電装置40が蓄電装置収納空間110に配置される場合においては、当該車輪は図示せぬブレーキ機構や車輪の歯止め等によって勝手に転がらないように構成される。
【0066】
また、蓄電装置収納空間110は、他の収納空間(階段下収納106)の内部に配置されるものである。
【0067】
このように構成することにより、蓄電装置40が発する騒音を、より居住者に聞こえ難くすることができる。
すなわち、壁面に防音材が設けられた蓄電装置収納空間110を、さらに他の収納空間(階段下収納106)内に配置することで、居住者の居住空間と蓄電装置40とを二重の壁(扉)で仕切ることができ、当該蓄電装置40が発する騒音を、より居住者の居住空間に聞こえ難くすることができる。
【0068】
また、本実施形態における他の収納空間は、階段(折り返し階段105)の下に配置された階段下収納106である。
【0069】
このように構成することにより、階段(折り返し階段105)下の空間を有効利用しつつ、蓄電装置40が発する騒音が居住者に聞こえ難い位置に蓄電装置40を配置することができる。
すなわち、階段の下には居住者の居住空間としては利用し難い空間があるため、当該空間を階段下収納106として有効利用することができる。また、通常、階段下収納106の付近には居住者が長時間滞在するような空間(リビングやダイニング等)が存在せず、本実施形態の如く、居住者が移動する際に利用する廊下103や折り返し階段105が存在するだけである。このように、付近に居住者が長時間滞在することがない階段下収納106に蓄電装置収納空間110を配置することで、蓄電装置40の騒音が居住者に不快感を与えるのをより効果的に防止することができる。
【0070】
また、蓄電装置収納空間110の壁面(側壁111)には、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31が一箇所に集中するように配置されている。このように非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31を配置することにより、蓄電装置40と当該非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31とを接続する作業を効率良く行うことができる。
【0071】
以下では、本発明の第二実施形態について説明する。
まず、図5を用いて、本発明の第二実施形態に係る住宅200(1階部分のみ)の全体構成について説明する。
【0072】
住宅200の1階には、玄関201、玄関ホール202、リビング203、ダイニング204、キッチン205、折り返し階段206、階段下収納207、廊下208、トイレ209、洗面室210、洗面室収納211及び浴室212が配置される。
【0073】
住宅200の北東部分には玄関201が配置され、当該玄関201の西側には玄関ホール202が配置される。玄関ホール202の南側にはリビング203が配置され、当該リビング203の西側にはダイニング204が配置され、当該ダイニング204の西側(住宅200の南西部分)にはキッチン205が配置される。
【0074】
ダイニング204の北側(住宅200の略中央部分)には、折り返し階段206が配置される。折り返し階段206の下方には、階段下収納207が配置される。
【0075】
玄関ホール202の西側には廊下208が配置され、当該廊下208の北側にはトイレ209が配置される。
【0076】
廊下208の西側には洗面室210が配置され、当該洗面室210の北東部分には住宅200の外壁200aに沿うように洗面室収納211が配置される。洗面室収納211内には、後述する蓄電装置収納空間220が配置され、さらに当該蓄電装置収納空間220内には、蓄電装置40が配置される。
【0077】
洗面室210の西側(住宅200の北西部分)には、浴室212が配置される。
【0078】
住宅200が具備する電力供給システム1の構成は、第一実施形態に係る住宅100が具備する電力供給システム1と同様である(図2参照)ため、本実施形態においては第一実施形態と同じ符号を用いて、詳細な説明を省略する。
【0079】
次に、図5から図7までを用いて、住宅200における蓄電装置40の配置に関する構成について説明する。
なお、図6及び図7においては、便宜上、住宅200の内側から外壁200aに向かう方向を前方と、住宅200の内側から外壁200aに向かって左側を左方と、それぞれ定義して説明を行う(図中の矢印参照)。
【0080】
図5から図7までに示すように、蓄電装置40は、洗面室210内の洗面室収納211の内部に配置された蓄電装置収納空間220に配置される。
【0081】
図6及び図7に示すように、洗面室収納211は、住宅200の外壁200aに沿うように配置される。洗面室収納211の後部には、洗面室210側から開閉可能な洗面室収納扉211aが設けられ、当該洗面室収納211と洗面室210との空間が仕切られる。
【0082】
洗面室収納211のさらに内部、より詳細には、洗面室収納211の下部には、蓄電装置収納空間220が配置される。蓄電装置収納空間220は、側壁221・221と、上部仕切壁222と、防音扉223と、外壁200aと、により仕切られた空間である。
【0083】
側壁221・221は、蓄電装置収納空間220の左右両側方において、当該蓄電装置収納空間220と他の空間(例えば、トイレ209や洗面室210)とを仕切るものである。
上部仕切壁222は、蓄電装置収納空間220の上方において、当該蓄電装置収納空間220と他の空間(洗面室収納211のうち、蓄電装置収納空間220以外の空間)とを仕切り、蓄電装置収納空間220の天井となるものである。
側壁221・221及び上部仕切壁222の蓄電装置収納空間220側の壁面(内側面)には、防音材224が設けられる。
また、左方に配置される側壁221には、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31が互いに近接するように一箇所に集中して配置される。
【0084】
蓄電装置収納空間220の後部には、後方から開閉可能な防音扉223が設けられ、当該蓄電装置収納空間220と洗面室収納211との空間が仕切られる。防音扉223は、適宜防音材が設けられた(又は、防音効果のある材料を用いて形成された)扉である。
【0085】
住宅200の外壁200aのうち、蓄電装置収納空間220と対向する部分には、当該蓄電装置収納空間220と住宅200の外部とを連通する貫通孔225・225が形成される。
本実施形態においては、上下に並ぶように2つの貫通孔225・225が形成されるものとするが、本発明はその数及び位置を限定するものではない。
【0086】
貫通孔225・225の外側端部には、防音カバー226・226がそれぞれ設けられる。また、上方に配置された防音カバー226内には、送風機227が設けられる。当該送風機227を駆動させることにより、下方に配置された貫通孔225から外気を蓄電装置収納空間220内へと取り込むとともに、上方に配置された貫通孔225から蓄電装置収納空間220内の空気を外部へと排出して、当該蓄電装置収納空間220内の空気を換気することができる。
【0087】
このように構成された蓄電装置収納空間220内に蓄電装置40が配置され、ケーブル41・42・43及びLANケーブル44を介して非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31と接続される(図2参照)。
【0088】
また、本実施形態においては図示及び説明を省略するが、第一実施形態と同様に、蓄電装置40のハンドル40aと上部仕切壁222とは、連結部材としての取付金具及びワイヤー(第一実施形態に係る取付金具119及びワイヤー120を参照)を介して連結される。
【0089】
本実施形態においては、蓄電装置収納空間220は、他の収納空間である洗面室収納211の内部に配置されるものである。
【0090】
このように構成することにより、蓄電装置40が発する騒音を、より居住者に聞こえ難くすることができる。
すなわち、壁面に防音材が設けられた蓄電装置収納空間220を、さらに他の収納空間(洗面室収納211)内に配置することで、居住者の居住空間と蓄電装置40とを二重の壁(扉)で仕切ることができ、当該蓄電装置40が発する騒音を、より居住者の居住空間に聞こえ難くすることができる。
さらに、通常、洗面室210内には居住者が長時間滞在することがないため、当該洗面室210の洗面室収納211内に蓄電装置収納空間110を配置することで、蓄電装置40の騒音が居住者に不快感を与えるのをより効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 電力供給システム
40 蓄電装置
50 負荷
100 住宅
100a 外壁
105 折り返し階段
106 階段下収納
110 蓄電装置収納空間
111 側壁
112 上部仕切壁
113 防音扉
114 防音材
115 貫通孔
117 送風機
119 取付金具
120 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置からの電力を負荷へと供給可能な電力供給システムを具備する建築物であって、
前記蓄電装置は、外壁に沿うように形成される蓄電装置収納空間に配置され、
前記蓄電装置収納空間の空気は、前記外壁に形成された貫通孔及び当該貫通孔に設けられた送風機によって外気と換気可能とされ、
前記蓄電装置収納空間と他の空間とを仕切る壁面には、防音材が設けられる、
建築物。
【請求項2】
前記蓄電装置と前記蓄電装置収納空間の天井とを連結する連結部材を具備する請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
前記蓄電装置収納空間は、他の収納空間の内部に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の建築物。
【請求項4】
前記建築物は住宅であり、
前記他の収納空間は階段の下に配置された階段下収納である、
請求項3に記載の建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76280(P2013−76280A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217210(P2011−217210)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】