説明

建設機械のコントロールバルブ取り付け構造

【課題】部品数の増加を招くことなく同一機種の別々の建設機械の車体に、小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブを選択的に取り付けることができる。
【解決手段】本発明はミニショベルに備えられるものであり、コントロールバルブは小型の第1コントロールバルブ11Aと大型のコントロールバルブ11Bを含んでいる。これらのコントロールバルブ11A,11Bが取り付けられるブラケット10は、第1,第2コントロールバルブ11A,11Bが選択的に取り付けられるものである。また本発明は、ブラケット10に第1,第2コントロールバルブ11A,11Bを取り付けるに際し、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gがブラケット10の一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置するように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニショベル等の建設機械に備えられ、作業装置等を駆動する油圧アクチュエータをそれぞれ制御する複数の方向制御弁が連設されて成るコントロールバルブを、ブラケットを介して車体に取り付けるようにした建設機械のコントロールバルブ取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この特許文献1には、油圧ショベル等の建設機械のコントロールバルブ取り付け構造が示されている。この従来技術は、予めブラケットにコントロールバルブを取り付けるとともに、コントロールバルブに油圧管の一端を接続して一体構造物を作製し、この一体構造物に含まれるブラケットを旋回フレームにボルトで固定することによって、コントロールバルブを旋回体に取り付けるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−291065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで昨今、建設機械例えばミニショベルにあっては、同一機種のものであっても省エネを考慮して、今まで設置されている型式のエンジンとは別に出力の小さなエンジンを設置することが検討されている。この場合、出力の小さなエンジンを設置した場合でもポンプ出力は、今までと同等のポンプ出力を維持したい。したがって、今までと同等のポンプ出力を維持するために、出力の小さなエンジンを設ける場合に、配管系の圧損を今までよりも低減させるために管径を大きく設定し、配管接続されるコントロールバルブを今までよりも大型にすることが考えられる。すなわち、同一機種の別々のミニショベルにあって、同等のポンプ出力を維持させるために、今までと同等の出力のエンジンを設置する場合には、今までどおりのコントロールバルブ(以下「第1コントロールバルブ」という)を設け、出力の小さなエンジンを設置する場合には、第1コントロールバルブよりも大型のコントロールバルブ(以下「第2コントロールバルブ」という)を設けることが考えられる。
【0005】
このように同一機種の別々のミニショベルにおいて、小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブをそれぞれ個別に設けることを考慮したとき、上述した従来技術の考え方を採用した場合には、第1コントロールバルブ、第2コントロールバルブのそれぞれ毎に形状寸法の異なる別々のブラケットを設けることが必要になる。したがって、同一機種の別々のミニショベルの製作を併せて考えた場合、今までに比べて部品数が増加し、製作費が高くなる問題がある。
【0006】
また、上述した従来技術の考え方を採用した場合には、ブラケットに小型の第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、ブラケットに大型の第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置とが異なる結果、第1コントロールバルブを取り付けたブラケットを吊り上げ下げする吊り具と、第2コントロールバルブを取り付けたブラケットを吊り上げ下げする吊り具とが個別に必要になる。これにより、同一機種の別々のミニショベルの製作を併せて考えた場合、コントロールバルブの取り付け作業の作業性が今までよりも低下する。また、用意しなければならない吊り具の数が増加することによって今までよりも製作費が高くなる問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、部品数の増加を招くことなく、同一機種の別々の建設機械の車体に、小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブを選択的に取り付けることができる建設機械のコントロールバルブ取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、上記作業装置を駆動する油圧アクチュエータ及び上記車体を駆動する油圧アクチュエータと、上記油圧アクチュエータのそれぞれを制御する複数の方向制御弁が連設されて成るコントロールバルブとを有する建設機械に備えられ、上記コントロールバルブが取り付けられるブラケットを有し、このブラケットを上記車体に固定するようにした建設機械のコントロールバルブの取り付け構造において、上記コントローバルブは、第1コントロールバルブと、この第1コントロールバルブに含まれる複数の方向制御弁の配設ピッチよりも大きな配設ピッチに設定された複数の方向制御弁を有し、上記第1コントロールバルブよりも大型に形成された第2コントロールバルブとを含み、上記ブラケットは、一対の吊り具装着部を有し、上記第1コントロールバルブと上記第2コントロールバルブのいずれも取り付け可能であるものの、上記第1コントロールバルブと上記第2コントロールバルブのうちの一方のコントロールバルブのみが取り付けられるものから成り、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブあるいは上記第2コントロールバルブを取り付けるに際し、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、上記ブラケットに上記第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置が上記一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置するように、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブを取り付けることを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、ブラケットには小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブのそれぞれが取り付け可能であることから、同一機種の別々の建設機械の製作を併せて考えた場合に、第1コントロールバルブが取り付けられるブラケットと第2コントロールバルブが取り付けられるブラケットの共通化を実現できる。すなわち、共通化したブラケットにより、部品数の増加を招くことなく、第1コントロールバルブと第2コントロールバルブを選択的に建設機械の車体に取り付けることができる。
【0010】
また本発明は、ブラケットに小型の第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、ブラケットに大型の第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置がブラケットに設けた一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置することから、同一機種の別々の建設機械の製作を併せて考えた場合、コントロールバルブを取り付けたブラケットを吊り上げ下げする吊り具の共通化を実現できる。すなわち、共通化した吊り具により部品数の増加を招くことなく、第1コントロールバルブと第2コントロールバルブを選択的に建設機械の車体に取り付けることができる。
【0011】
また本発明は、上記発明において、上記ブラケットは、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、上記ブラケットに上記第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置とが一致するように、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブを取り付けることを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、ブラケットに第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、ブラケットに第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置とが一致することから、ブラケットに第2コントロールバルブを取り付けた場合も、ブラケットに第1コントロールバルブを取り付けた場合と同様に、安定してブラケットを吊り上げることができる。
【0013】
また本発明は、上記発明において、上記ブラケットは、上記第1コントロールバルブを取り付けるためのボルトが挿入されるボルト穴と、上記第2コントロールバルブを取り付けるためのボルトが挿入されるボルト穴を有する平板部と、この平板部から突出形成され、上記車体に固定するためのボルトが挿入されるボルト穴を有する取り付け部とを備えたことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、第1コントローバルブと第2コントロールバルブのいずれのコントロールバルブをブラケットに取り付けるに際しても、ブラケットの平板部に設けたボルト穴にボルトを挿入して、該当するコントロールバルブをブラケットに強固に固定することができる。また、平板部から突出形成させた取り付け部に設けたボルト穴にボルトを挿入して、取り付け部すなわちブラケットを車体に強固に固定することができる。
【0015】
また本発明は、上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブと上記油圧アクチュエータとを接続する油圧ホースを備えるとともに、上記ブラケットが上記車体に固定される前に作製され、上記ブラケットと、このブラケットに取り付けた該当するコントロールバルブと、この該当するコントロールバルブに一端が接続され、他端が上記油圧アクチュエータに接続されていない上記油圧ホースとを一体的に含むコントロールバルブブロックを設け、上記コントロールバルブブロックに含まれる上記ブラケットの上記取り付け部を、上記車体に固定したことを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、予め作製されたブラケットと、第1コントロールバルブ及び第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブと、この該当するコントロールバルブに一端が接続され、他端が油圧アクチュエータに接続されていない油圧ホースとを一体的に含むコントロールバルブブロックを設け、このコントロールバルブブロックごと当該建設機械の車体に取り付けるようにしたことから、該当するコントロールバルブの車体への取り付け作業を能率良く行うことができる。
【0017】
また本発明は、上記発明において、当該建設機械がミニショベルから成り、上記車体が、走行体と、この走行体の上に配置され、運転室を有する旋回体とから成り、上記コントロールバルブブロックを上記運転室の下方に配置し、上記ブラケットの上記取り付け部を、上記旋回体の旋回フレームに固定したことを特徴としている。
【0018】
このように構成した本発明は、部品数の増加に制約を受けやすく、またコントロールバルブの設置領域に制約を受けやすいミニショベルに特に好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、同じブラケットに、小型の第1コントロールバルブと大型のコントロールバルブのいずれもが取り付け可能であることから、同一機種の別々の建設機械の車体に小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブを選択的に取り付ける場合、第1コントロールバルブが取り付けられるブラケットと、第2コントロールバルブが取り付けられるブラケットを共通化でき、このブラケットに関して部品数の増加を招くことがない。また本発明は、ブラケットが一対の吊り具装着部を有し、ブラケットに第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、ブラケットに第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置が一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置するようにしたことから、第1コントロールバルブが取り付けられたブラケットを吊り上げ下げする吊り具と、第2コントロールバルブが取り付けられたブラケットを吊り上げ下げする吊り具とを共通化でき、この吊り具に関しても部品数の増加を招くことがない。
【0020】
すなわち本発明は、部品数の増加を招くことなく、同一機種の別々の建設機械の車体に、小型の第1コントロールバルブと大型の第2コントロールバルブを選択的に取り付けることができる。これにより、同一機種であって、コントロールバルブの大きさの異なる別々の建設機械の製作を併せて考慮したとき、従来技術に比べて製作費を安くすることができ、またコントロールバルブの取り付け作業の能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のコントロールバルブ取り付け構造が備えられる建設機械の一例として挙げたミニショベルの要部側面図である。
【図2】図1に示すミニショベルの要部平面図である。
【図3】図2に示すミニショベルから運転室を除いた旋回フレーム上のレイアウトを示す平面図である。
【図4】本実施形態によって形成されるコントロールバルブブロックが取り付けられる前の旋回フレーム上のレイアウトを示す平面図である。
【図5】本実施形態の要部構成を示す図で、(a)図は配設ピッチの小さい第1コントロールバルブをブラケットに取り付けた状態を示す平面図、(b)図は配設ピッチの大きい第2コントロールバルブをブラケットに取り付けた状態を示す平面図である。
【図6】本実施形態に備えられるブラケットを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、(c)図は裏面図である。
【図7】本実施形態によって構成されるコントロールバルブブロックを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は斜視図である。
【図8】本実施形態を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る建設機械のコントロールバルブ取り付け構造の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明のコントロールバルブ取り付け構造が備えられる建設機械の一例として挙げたミニショベルの要部側面図、図2は図1に示すミニショベルの要部平面図である。
【0024】
本発明のコントロールバルブ取り付け構造の一実施形態が適用される建設機械は例えば、部品数の増加に制約を受けやすく、またコントロールバルブの設置領域に制約を受けやすい建設機械であるミニショベルである。
【0025】
このミニショベルは、図1,2に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2とを備え、これらの走行体1と旋回体2とによって車体が構成されている。旋回体2にはブーム、アーム、バケット等を含む図示しない作業装置が装着される。また、この図示しない作業装置は、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダ等の油圧アクチュエータを含んでいる。なお、走行体1、旋回体2のそれぞれも、走行モータ、旋回モータから成る油圧アクチュエータによって駆動される。走行体1上には運転室3が設けられ、運転室3の後方位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト4を設けてある。
【0026】
図3は図2に示すミニショベルから運転室を除いた旋回フレーム上のレイアウトを示す平面図、図4は本実施形態によって形成されるコントロールバルブブロックが取り付けられる前の旋回フレーム上のレイアウトを示す平面図である。
【0027】
運転室3の例えば下方位置に形成された図4に示す取り付け空間16には、図3に示すように、上述した各油圧アクチュエータを制御する複数の方向制御弁が連設されて成るコントロールバルブ11を配置してあり、また、このコントロールバルブ11が取り付けられたブラケット10を旋回体2の旋回フレーム2aに固定してある。
【0028】
なお、図3,4に示すように、このミニショベルの旋回体2の中央位置には、センタジョイント12が配置され、このセンタジョイント12の前側には、旋回体2を駆動する旋回モータ13が配置されている。センタジョイント12の後側のエンジン室内には、エンジン14と、このエンジン14によって駆動され、コントロールバルブ11を介して上述した各油圧アクチュエータへ圧油を供給する油圧ポンプ15が配置されている。
【0029】
本実施形態に係るコントロールバルブ取り付け構造は、コントロールバルブ11として、後述するように通常出力のエンジン14を設置する場合には、比較的小型の第1コントロールバルブ11Aが設けられ、省エネを考慮した出力のエンジン14を設置するものの、通常出力のエンジン14における場合のポンプ出力と同等のポンプ出力を得ようとするときには、前述のように配管系の圧損低減を考慮して、第1コントロールバルブ11Aに比べて大型のコントロールバルブ11Bが設置されるようになっている。
【0030】
図5は本実施形態の要部構成を示す図で、(a)図は配設ピッチの小さい第1コントロールバルブをブラケットに取り付けた状態を示す平面図、(b)図は配設ピッチの大きい第2コントロールバルブをブラケットに取り付けた状態を示す平面図、図6は本実施形態に備えられるブラケットを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、(c)図は裏面図である。
【0031】
図5に示すように、上述の第1コントロールバルブ11Aに含まれる複数の方向制御弁の配設ピッチL1よりも、上述の第2コントロールバルブ11Bに含まれる複数の方向制御弁の配設ピッチL2の方が大きくなっており、これに応じて第2コントロールバルブ11Bは第1コントロールバルブ11Aよりも大型に形成されている。
【0032】
これらの第1コントロールバルブ11A、第2コントロールバルブ11Bが取り付けられるブラケット10は、図5の(a)(b)図に示すように、第1コントロールバルブ11Aと第2コントロールバルブ11Bのいずれも取り付け可能であるものの、第1コントロールバルブ11Aと第2コントロールバルブ11Bのうちの一方のコントロールバルブのみが取り付けられるものから成っている。
【0033】
また、図5の(a)(b)図に示すように、ブラケット10は、ブラケット10の吊り上げ下げを行う吊り具が装着される一対の吊り具装着部を備えている。これらの一対の吊り具装着部のうちの第1吊り具装着部は、図6の(a)図に示すようにブラケット10に形成したボルト穴27と、図6の(c)図に示すようにブラケット10の裏面に溶接固定され、ボルト穴27に適合させたナット27aとから成り、第1吊り具である図示しない第1吊りボルトがボルト穴27に挿入されて、ナット27aと螺合するようになっている。同様に、第2吊り具装着部も、図6の(a)図に示すようにブラケット10に形成したボルト穴28と、図6の(c)図に示すようにブラケット10の裏面に溶接固定され、ボルト穴28に適合させたナット28aとから成り、第2吊り具である図示しない第2吊りボルトがボルト穴28に挿入されて、ナット28aと螺合するようになっている。
【0034】
また、同図5の(a)(b)に示すように、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aあるいは第2コントロールバルブ11Bを取り付けるに際し、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gが上述した一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置するように、例えば一対の吊り具装着部を結ぶ線上にあって、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gが一致するように、ブラケット10に、第1コントロールバルブ11A及び第2コントロールバルブ11Bのうちの該当するコントロールバルブを取り付けるようにしてある。
【0035】
図5の(a)(b)図に示すように、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gは、例えばボルト穴28を基準とすると、横寸法X1、縦寸法Y1の位置に設定してある。また、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gは、例えばボルト穴28を基準とすると、横寸法X2、縦寸法Y2の位置に設定してある。ここで、X1=X2、Y1=Y2とすることにより、上述のようにブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gを一致させることができる。
【0036】
図6に示すように、ブラケット10は、平板部10aと、この平板部10aから突出形成され、旋回フレーム2aに固定される第1取り付け部10b及び第2取り付け部10cとを有している。このブラケット10の平板部10aには、同図6の(a)図に示すように、第1コントロールバルブ11Aを取り付けるためのボルト(図8のボルト29)が挿入される4つのボルト穴24と、これらの4つのボルト穴24の外側に形成され、第2コントロールバルブ11Bを取り付けるための図示しないボルトが挿入される4つのボルト穴25と、オプションアクチュエータ等の取り付けに際し活用される4つのボルト穴26と、上述の吊り具装着部を構成する2つのボルト穴27,28が形成されている。
【0037】
また、ブラケット10の第1取り付け部10bには、同図6の(c)図に示すように、旋回フレーム2aに固定するためのボルト(図8のボルト22)のそれぞれが挿入される2つのボルト穴10b1を形成してあり、第2取り付け部10cには、旋回フレーム2aに固定するためのボルト(図8のボルト23)のそれぞれが挿入される2つのボルト穴10c1を形成してある。また、図6の(b)図に示すように、第1取り付け部10bの上面のボルト穴10b1に適合する位置には、上述の図8に示すボルト22のそれぞれが螺合する2つのナット10b2を溶接固定してあり、第2取り付け部10cの上面のボルト穴10c1に適合する位置には、上述の図8に示すボルト23のそれぞれが螺合する2つのナット10c2を溶接固定してある。
【0038】
図7は本実施形態によって構成されるコントロールバルブブロックを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は斜視図、図8は本実施形態を斜め下方から見た斜視図である。
【0039】
また本実施形態は、第1コントロールバルブ11A及び第2コントロールバルブ11Bのうちの該当するコントロールバルブ、例えば図7に示すように第1コントロールバルブ11Aと上述の油圧アクチュエータとを接続する油圧ホース21を備えるとともに、ブラケット10を旋回フレーム2aに固定する前に予め作製され、ブラケット10と、このブラケット10に取り付けた例えば第1コントロールバルブ11Aと、この第1コントロールバルブ11Aに一端が接続され、他端が油圧アクチュエータに接続されていない油圧ホース21とを一体的に含むコントロールバルブブロック20を設けるようにしてある。第1コントロールバルブ11Aを旋回体2に取り付ける際には、このコントロールバルブ20ごと、図8に示す取り付け空間16に収納し、このコントロールバルブブロック20に含まれるブラケット10の第1取り付け部10bと第2取り付け部10cを、それぞれボルト22,23によって旋回フレーム2aに固定することが行われる。なお、第2コントロールバルブ11Bを旋回フレーム2aに取り付ける場合も、上述と同様のコントロールバルブブロックが予め作製される。
【0040】
このように構成した本実施形態によれば、ブラケット10には、エンジン出力の大小に応じて配置される小型の第1コントロールバルブ11Aと大型の第2コントロールバルブ11Bのそれぞれが取り付け可能であることから、同一機種の別々の建設機械、今の場合は別々のミニショベルの製作を併せて考えた場合に、第1コントロールバルブ11Aが取り付けられるブラケット10と第2コントロールバルブ11Bが取り付けられるブラケット10の共通化を実現できる。すなわち、共通化したブラケット10により、部品数の増加を招くことなく。第1コントロールバルブ11Aと第2コントロールバルブ11Bを選択的に同一機種のミニショベルの車体、すなわち旋回体2の旋回フレーム2aに取り付けることができる。
【0041】
また本実施形態は、ブラケット10に小型の第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に大型の第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gとがブラケット10に設けた一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置することから、同一機種の別々のミニショベルの製作を併せて考えた場合、コントロールバルブを取り付けたブラケット10を吊り上げ下げする吊り具、すなわち吊りボルトの共通化を実現させることができる。すなわち、共通化した吊りボルトにより部品数の増加を招くことなく、第1コントロールバルブ11Aと第2コントロールバルブ11Bを選択的にミニショベルに取り付けることができる。
【0042】
すなわち本実施形態は、部品数の増加を招くことなく、同一機種の別々のミニショベルの旋回体2の旋回フレーム2aに、小型の第1コントロールバルブ11Aと大型の第2コントロールバルブ11Bを選択的に取り付けることができる。これにより、同一機種であって、コントロールバルブの大きさの異なる別々のミニショベルの製作を併せて考慮したときに、製作費を安くすることができ、またコントロールバルブの取り付け作業の能率を向上させることができる。
【0043】
また本実施形態は、重心位置Gを通る直線上の重心位置Gを挟むボルト穴27とナット27a、及びボルト穴28とナット28aのそれぞれに図示しない吊りボルトを挿入し、螺合させることによって、第1コントロールバルブ11Aが取り付けられたブラケット10、第2コントロールバルブ11Bが取り付けられたブラケット10のそれぞれを、安定して吊り上げ下げすることができる。これにより、本実施形態はコントロールバルブの取り付け作業の能率の向上に貢献する。
【0044】
また本実施形態は、第1コントロールバルブ11Aと第2コントロールバルブ11Bのいずれのコントロールバルブをブラケット10に取り付けるに際しても、ブラケット10の平板部10aに設けた4つのボルト穴24、あるいは4つのボルト穴25にボルトを挿入して、該当するコントロールバルブをブラケット10に固定することができる。また、平板部10aから突出形成された第1取り付け部10bに設けた2つのボルト穴10b1とナット10b2にボルト22を挿入し、螺合させて、また、第2取り付け部10cに設けた2つのボルト穴10c1とナット10c2にボルト23を挿入し、螺合させて、これらの第1,第2取り付け部10b,10c、すなわちブラケット10を旋回体2の旋回フレーム2aに強固に固定することができる。これにより本実施形態は、第1コントロールバルブ11Aを旋回体2の旋回フレーム2aに取り付ける場合も、第2コントロールバルブ11Bを旋回体2の旋回フレーム2aに取り付ける場合も、いずれも安定して旋回体2にコントロールバルブを取り付けることができる。
【0045】
また本実施形態は、予め作製されたブラケット10と、第1コントロールバルブ11A及び第2コントロールバルブ11Bのうちの該当するコントロールバルブと、この該当するコントロールバルブに一端が接続され、他端が油圧アクチュエータに接続されていない油圧ホース21とを一体的に含むコントロールバルブブロック20を設け、このコントロールバルブブロック20ごとミニショベルの旋回体2に取り付けるようにしたことから、該当するコントロールバルブの旋回体2への取り付け作業を能率良く行うことができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aあるいは第2コントロールバルブ11Bを取り付けるに際し、一対の吊り具装着部を結ぶ線上にあって、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gが一致するように、ブラケット10に、第1コントロールバルブ11A及び第2コントロールバルブ11Bのうちの該当するコントロールバルブを取り付けるように構成してあるが、本発明はこのように構成することには限られない。一対の吊り具装着部を結ぶ線上にあって、ブラケット10に第1コントロールバルブ11Aを取り付けたときの重心位置Gと、ブラケット10に第2コントロールバルブ11Bを取り付けたときの重心位置Gが異なるように、ブラケット10に、第1コントロールバルブ11A及び第2コントロールバルブ11Bのうちの該当するコントロールバルブを取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 走行体
2 旋回体
2a 旋回フレーム
3 運転室
10 ブラケット
10a 平板部
10b 第1取り付け部
10b1 ボルト穴
10c 第2取り付け部
10c1 ボルト穴
11 コントロールバルブ
11A 第1コントロールバルブ
11B 第2コントロールバルブ
13 旋回モータ
14 エンジン
15 油圧ポンプ
16 取り付け空間
20 コントロールバルブブロック
21 油圧ホース
22 ボルト
23 ボルト
24 ボルト穴
25 ボルト穴
27 ボルト穴(第1吊り具装着部)
27a ナット(第1吊り具装着部)
28 ボルト穴(第2吊り具装着部)
28a ナット(第2吊り具装着部)
29 ボルト
L1 配設ピッチ
L2 配設ピッチ
G 重心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、上記作業装置を駆動する油圧アクチュエータ及び上記車体を駆動する油圧アクチュエータと、上記油圧アクチュエータのそれぞれを制御する複数の方向制御弁が連設されて成るコントロールバルブとを有する建設機械に備えられ、
上記コントロールバルブが取り付けられるブラケットを有し、このブラケットを上記車体に固定するようにした建設機械のコントロールバルブの取り付け構造において、
上記コントローバルブは、第1コントロールバルブと、この第1コントロールバルブに含まれる複数の方向制御弁の配設ピッチよりも大きな配設ピッチに設定された複数の方向制御弁を有し、上記第1コントロールバルブよりも大型に形成された第2コントロールバルブとを含み、
上記ブラケットは、一対の吊り具装着部を有し、上記第1コントロールバルブと上記第2コントロールバルブのいずれも取り付け可能であるものの、上記第1コントロールバルブと上記第2コントロールバルブのうちの一方のコントロールバルブのみが取り付けられるものから成り、
上記ブラケットに上記第1コントロールバルブあるいは上記第2コントロールバルブを取り付けるに際し、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、上記ブラケットに上記第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置が上記一対の吊り具装着部を結ぶ線上に位置するように、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブを取り付けることを特徴とする建設機械のコントロールバルブ取り付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のコントロールバルブ取り付け構造において、
上記ブラケットは、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブを取り付けたときの重心位置と、上記ブラケットに上記第2コントロールバルブを取り付けたときの重心位置とが一致するように、上記ブラケットに上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブを取り付けることを特徴とする建設機械のコントロールバルブ取り付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械のコントロールバルブ取り付け構造において、
上記ブラケットは、上記第1コントロールバルブを取り付けるためのボルトが挿入されるボルト穴と、上記第2コントロールバルブを取り付けるためのボルトが挿入されるボルト穴を有する平板部と、この平板部から突出形成され、上記車体に固定するためのボルトが挿入されるボルト穴を有する取り付け部とを備えたことを特徴とする建設機械のコントロールバルブ取り付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械のコントロールバルブ取り付け構造において、
上記第1コントロールバルブ及び上記第2コントロールバルブのうちの該当するコントロールバルブと上記油圧アクチュエータとを接続する油圧ホースを備えるとともに、
上記ブラケットが上記車体に固定される前に作製され、上記ブラケットと、このブラケットに取り付けた該当するコントロールバルブと、この該当するコントロールバルブに一端が接続され、他端が上記油圧アクチュエータに接続されていない上記油圧ホースとを一体的に含むコントロールバルブブロックを設け、
上記コントロールバルブブロックに含まれる上記ブラケットの上記取り付け部を、上記車体に固定したことを特徴とする建設機械のコントロールバルブ取り付け構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械のコントロールバルブ取り付け構造において、
当該建設機械がミニショベルから成り、
上記車体が、走行体と、この走行体の上に配置され、運転室を有する旋回体とから成り、
上記コントロールバルブブロックを上記運転室の下方に配置し、
上記ブラケットの上記取り付け部を、上記旋回体の旋回フレームに固定したことを特徴とする建設機械のコントロールバルブ取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−172465(P2012−172465A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37353(P2011−37353)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】