説明

建設機械

【課題】 エンジン等に対する点検作業を行うときの作業スペースを大きく確保する。
【解決手段】 前端側がサポート部材23に前ヒンジ機構33を介して取付けられた上面カバー32と、上端側が上面カバー32の後端側に後ヒンジ機構35を介して折畳み可能に連結され、下端側に左,右のガイドローラ36が設けられた後面カバー34とによってエンジンカバー31を構成し、後面カバー34の各ガイドローラ36を、カウンタウエイト26に設けたL字状のガイド溝30に係合させる。これにより、エンジンカバー31を開位置に移動させると、上面カバー32と後面カバー34とをサポート部材23の近傍位置で互いに対面した状態に折畳むことができ、エンジン5の上面側と後面側とを同時に開放することができる。これにより、エンジン5等に対する点検作業を行うときの作業スペースを大きく確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に関し、特にエンジンを開,閉可能に覆うエンジンカバーを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に設けられた作業装置とにより大略構成されている。そして、上部旋回体を構成する旋回フレームの後端側には、作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトが設けられ、該カウンタウエイトの前側には、エンジン、油圧ポンプ、熱交換装置等が設けられ、これらエンジン等の搭載機器は、エンジンカバーによって覆われる構成となっている。
【0003】
ここで、エンジンカバーは、通常、エンジン等の保守、点検作業を行うための開位置と、エンジン等を覆う閉位置との間で開,閉可能に構成されており、例えば油圧ショベルを用いて掘削作業等を行う前には、エンジンカバーを閉位置から開位置へと移動させることにより、エンジン等に対する点検作業を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−23781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術では、カウンタウエイトにエンジン等の点検作業等を行うための点検口を設けると共に、カウンタウエイトンにリンク機構を介してエンジンカバーを取付け、このエンジンカバーを上,下方向に移動させることにより、エンジンの点検口を開,閉する構成となっている。
【0006】
従って、従来技術においては、エンジンカバーを上方に移動させて点検口を開いた状態で、カウンタウエイトの後面側から点検口を通じてエンジン等に対する点検作業を行うようになっている。このため、エンジン等に対する点検作業を行うときの作業スペースを十分に確保することができず、点検作業の作業性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
また、エンジンカバーを上方に移動させて点検口を開いた状態では、点検作業を行う作業者の頭上にエンジンカバーの下端部が存在するため、作業者の頭等がエンジンカバーの下端部に接触する虞れがある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、エンジン等に対する点検作業を行うときの作業スペースを大きく確保することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなし前部側に前記作業装置が設けられた旋回フレームと、該旋回フレームの後部側に設けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレームに左,右方向に延びる横置き状態に設けられたエンジンと、該エンジンを跨いで前記旋回フレームに立設されたサポート部材と、該サポート部材に取付けられ前記エンジンを開,閉可能に覆うエンジンカバーとを備えてなる建設機械に適用される。
【0010】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記カウンタウエイトは、前記旋回フレームに取付けられ円弧状に湾曲しつつ左,右方向に延びる下側周壁部と、該下側周壁部の左,右方向の両端側から上向きに立上り上端側が前方に向けて張出したL字状の左,右の立上り支柱部と、前記エンジンに対応して前記左,右の立上り支柱部間に形成された凹窪部とを有し、前記カウンタウエイトの左,右の立上り支柱部の内側面にはL字状の左,右のガイド溝を設け、前記エンジンカバーは、前記カウンタウエイトの凹窪部内で前記エンジンを上方から覆う位置に配置され、前端側が前記サポート部材にヒンジ機構を介して取付けられることにより後端側が上,下方向に回動可能となった上面カバーと、前記カウンタウエイトの凹窪部内で前記エンジンを後方から覆う位置に配置され、上端側が前記上面カバーの後端側に折畳み可能に連結され前記左,右のガイド溝によって案内される後面カバーとにより構成したことにある。
【0011】
請求項2の発明は、前記後面カバーには、前記カウンタウエイトの左,右のガイド溝によって案内される左,右のガイド部材を設ける構成としたことにある。
【0012】
請求項3の発明は、前記カウンタウエイトと前記エンジンカバーとの間には、前記カウンタウエイトの凹窪部に設けられたフック部材と、前記エンジンカバーの後面カバーに設けられ前記フック部材に係合することにより前記エンジンカバーを閉じた状態に保持するキャッチ部材とからなる施錠機構を設ける構成としたことにある。
【0013】
請求項4の発明は、前記旋回フレーム上には前記エンジンの前側に位置してキャブを配設し、前記サポート部材には該キャブの後端部下側をマウント部材を介して弾性的に取付ける構成としたことにある。
【0014】
請求項5の発明は、前記エンジンカバーを構成する後面カバーは、平板状または前記カウンタウエイトの下側周壁部に沿って左,右方向に円弧状に延びる湾曲面状に形成したことにある。
【0015】
請求項6の発明は、前記左,右のガイド溝は、前記カウンタウエイトを構成する左,右の立上り支柱部の内側面に直接的に凹設する構成としたことにある。
【0016】
請求項7の発明は、前記左,右のガイド溝は前記カウンタウエイトとは別部材からなる溝形成部材に形成し、該溝形成部材は前記左,右の立上り支柱部の内側面に取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、エンジンカバーを開くときには、後面カバーの下端側を上方に持上げ、カウンタウエイトのガイド溝に沿って後方から前方へと移動させることにより、上面カバーの後端側が後面カバーの前端側を伴って上方に回動するので、上面カバーと後面カバーとをサポート部材の近傍位置で互いに対面した状態に折畳むことができる。
【0018】
この結果、エンジンの上面側と後面側とを同時に開放することができるので、カウンタウエイトの凹窪部を通じてエンジン等に対する点検作業を行うときの作業スペースを大きく確保することができ、その作業性を高めることができる。また、エンジンカバーを開いた状態では、上面カバーと後面カバーとを、サポート部材の近傍位置に折畳んだ状態に配置することができるので、点検作業を行う作業者が、不用意にエンジンカバーに接触してしまうのを確実に抑えることができ、点検作業の安全性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、後面カバーに設けた左,右のガイド部材を、カウンタウエイトの左,右のガイド溝によって案内することにより、後面カバーをガイド溝によって定められた移動経路に沿って移動させることができ、エンジンカバーを円滑に開,閉させることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、エンジンカバーを閉じたときに、このエンジンカバーの後面カバーに設けたキャッチ部材が、カウンタウエイトの凹窪部に設けたフック部材に係合することにより、エンジンカバーを閉じた状態に保持することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、エンジンカバーの上面カバーを支持するための部材と、キャブの後端部下側を支持するための部材とを、それぞれ別部材として用意する必要がなく、旋回フレーム上に設けられた既設のサポート部材を利用して、キャブの後端部下側とエンジンカバーの上面カバーとを支持することができるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、後面カバーを平板状に形成することにより、エンジンカバーを開いたときに後面カバーと上面カバーとを前,後方向にコンパクトに折畳むことができ、作業スペースを可及的に大きくすることができる。また、後面カバーをカウンタウエイトの下側周壁部に沿って円弧状に延びる湾曲面状に形成することにより、エンジンカバーを閉じたときに、後面カバーとカウンタウエイトの後面とが滑らかに連続するようになり、建設機械全体の外観美を高めることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、カウンタウエイトを構成する左,右の立上り支柱部の内側面に、左,右のガイド溝を直接的に凹設することにより、例えばエンジンカバーをガイドするための部材をカウンタウエイトとは別個に設ける場合に比較して、部品点数を削減することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、カウンタウエイトとは別部材からなる溝形成部材にガイド溝を形成し、この溝形成部材を左,右の立上り支柱部の内側面に取付けることにより、例えばカウンタウエイトに直接的にガイド溝を凹設するといった手間のかかる作業を不要とすることができ、ガイド溝を備えたカウンタウエイトの生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態による建設機械としての油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】油圧ショベルのエンジン、エンジンカバー等を拡大して示す一部破断の正面図である。
【図4】油圧ショベルの旋回フレームにサポート部材を取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】カウンタウエイトを単体で示す斜視図である。
【図6】カウンタウエイトにエンジンカバーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図7】エンジンカバーを開いた状態を示す図6と同様位置からみた斜視図である。
【図8】第1の実施の形態によるエンジンカバー単体を内側からみた斜視図である。
【図9】エンジンカバーを閉じた状態を図6中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】エンジンカバーを途中まで開いた状態を示す図9と同様位置の断面図である。
【図11】エンジンカバーを開いた状態を示す図9と同様位置の断面図である。
【図12】第2の実施の形態によるカウンタウエイトと溝形成部材を示す分解斜視図である。
【図13】カウンタウエイトに溝形成部材を取付けた状態を示す図11と同様位置の断面図である。
【図14】第3の実施の形態によるエンジンカバーをカウンタウエイトに取付けた状態を示す斜視図である。
【図15】エンジンカバーを開いた状態を示す図14と同様位置からみた斜視図である。
【図16】第3の実施の形態によるエンジンカバー単体を内側からみた斜視図である。
【図17】エンジンカバーの変形例を示す図8と同様位置からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
まず、図1ないし図11は本発明の第1の実施の形態を示し、図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示している。そして、この油圧ショベル1は、図1ないし図3に示すように、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられたスイング式の作業装置4とにより大略構成されている。
【0028】
ここで、作業装置4の基端側にはスイングポスト4Aが設けられ、該スイングポスト4Aは、後述のスイングブラケット15に左,右方向に揺動可能に支持されている。従って、作業装置4は、上部旋回体3に対して左,右方向に揺動可能に、かつ上,下方向に俯仰動可能に取付けられ、土砂等の掘削作業を行う構成となっている。
【0029】
一方、上部旋回体3は、ベースとなる後述の旋回フレーム9と、該旋回フレーム9の後端側に設けられ作業装置4との重量バランスをとる後述のカウンタウエイト26と、該カウンタウエイト26の前側に左,右方向に延びる横置き状態に配設されたエンジン5と、旋回フレーム9の左前部に配設されオペレータが乗降する運転室を画成するキャブ6と、後述のエンジンカバー31と、該エンジンカバー31を挟んで左側に配設されエンジン5等を左側方から覆う左外装カバー7と、エンジンカバー31を挟んで右側に配設されエンジン5等を右側方から覆う右外装カバー8とにより大略構成されている。
【0030】
9は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム9は、図4に示すように、後述のセンタフレーム10、左サイドフレーム17、右サイドフレーム21等により、強固な支持構造体として構成されている。
【0031】
10は旋回フレーム9の中央部分を構成するセンタフレームで、該センタフレーム10は、厚肉な鋼板等を用いて前,後方向に延びる平板状に形成された底板11と、該底板11の上面側に立設され前,後方向に延びた左,右の縦板12,13と、底板11の前,後方向の中間部に立設され左,右方向に延びた横板14とにより構成されている。
【0032】
ここで、左,右の縦板12,13の前部側は、横板14から前方に向けて略「ハ」字状に延び、これら左,右の縦板12,13の前端側には、作業装置4のスイングポスト4Aを左,右方向に揺動可能に支持する円筒状のスイングブラケット15が設けられている。また、横板14よりも後側となる左,右の縦板12,13の後部側には、エンジン5が左,右方向に延びる横置き状態で搭載される構成となっている。また、底板11の後端側には平板状のウエイト取付板16が設けられ、該ウエイト取付板16にはボルト等を用いて後述のカウンタウエイト26が取付けられる構成となっている。
【0033】
17はセンタフレーム10の左側に配設された左サイドフレームで、該左サイドフレーム17は、例えば角筒状のパイプ材を用いて形成され、円弧状に湾曲しつつ前,後方向に延びる左曲げ枠部17Aと、該左曲げ枠部17Aの前端側から左縦板12に向けて左,右方向に延びる左前枠部17Bとにより構成されている。そして、左サイドフレーム17は、左,右方向に延びる左横梁18を介して底板11の左端側に連結されている。また、左サイドフレーム17の上方には、該左サイドフレーム17に沿って略L字状に屈曲したキャブ支持部材19が、複数のブラケット20を介して配設されている。
【0034】
21はセンタフレーム10の右側に配設された右サイドフレームで、該右サイドフレーム21も角筒状のパイプ材を用いて形成され、円弧状に湾曲しつつ前,後方向に延びる右曲げ枠部21Aと、該右曲げ枠部21Aの前端側から右縦板13に向けて左,右方向に延びる右前枠部21Bとにより構成されている。そして、右サイドフレーム21は、左,右方向に延びる右横梁22を介して底板11の右端側に連結されている。
【0035】
23はエンジン5を跨いで旋回フレーム9上に設けられたサポート部材で、該サポート部材23は、図3に示すキャブ6の後端部下側6Aを支持すると共に、後述するエンジンカバー31の上面カバー32が取付けられるものである。ここで、サポート部材23は、図3および図4に示すように、矩形の断面形状を有しエンジン5の上方を左,右方向に延びる角筒状に形成されている。そして、サポート部材23は、旋回フレーム9の横板14等に固定された4本の支持脚24A,24B,24C,24Dにより、エンジン5を跨いで旋回フレーム9上に立設されている。
【0036】
そして、サポート部材23の上面側には左,右方向に離間して2個のマウント取付孔23A,23Aが穿設され、これら各マウント取付孔23Aには、例えば防振マウント等のマウント部材25が取付けられるようになっている(図3参照)。これにより、図3に示すように、キャブ6の後端部下側6Aは、サポート部材23にマウント部材25を介して弾性的に支持される構成となっている。また、キャブ6の前端部下側は、図4に示す旋回フレーム9のキャブ支持部材19にマウント部材(図示せず)を介して弾性的に支持される構成となってる。
【0037】
次に、本実施の形態に用いられるカウンタウエイト26の構成について説明する。
【0038】
即ち、26は旋回フレーム9の後部部に設けられたカウンタウエイトを示し、該カウンタウエイト26は作業装置4との重量バランスをとるものである。ここで、カウンタウエイト26は、図4に示す旋回フレーム9のウエイト取付板16に取付けられ円弧状に湾曲しつつ左,右方向に延びる下側周壁部27と、該下側周壁部27の左,右方向の両端側から上方に立上って設けられた左,右の立上り支柱部28と、エンジン5に対応して左,右の立上り支柱部28間に形成された凹窪部29とを有している。この場合、下側周壁部27の後面27Aと左,右の立上り支柱部28の後面28Aとは、円弧状に湾曲した湾曲面となり、図1および図2に示す左,右の外装カバー7,8の外側面に滑らかに連続する構成となっている。
【0039】
また、カウンタウエイト26の左,右の立上り支柱部28は、下側周壁部27から上向きに立上る立上り部28Bと、該立上り部28Bの上端側から前方に向けて水平方向に張出す張出し部28Cとにより構成され、張出し部28Cの上面は、左,右の外装カバー7,8の上面と同一平面を形成している。また、左,右の立上り支柱部28の互いに対向する内側面28Dには、後述のガイド溝30が設けられる構成となっている。
【0040】
30は左,右の立上り支柱部28の内側面28Dにそれぞれ設けられたガイド溝で、該ガイド溝30は、後述するエンジンカバー31のガイドローラ36を案内するものである。ここで、ガイド溝30は、立上り部28Bに沿って上,下方向に延びる立上り溝部30Aと、該立上り溝部30Aの上端側から張出し部28Cに沿って前,後方向に延びる張出し溝部30BとによりL字状に形成され、立上り支柱部28の内側面28Dに直接的に凹設されている。
【0041】
そして、立上り溝部30Aの下端部は下側ストッパ30Cとなり、図9に示すように、後述のガイドローラ36が下側ストッパ30Cに係合した状態で、エンジンカバー31が閉位置を保持する構成となっている。一方、張出し溝部30Bの前端部は下向きに凹んだ前側ストッパ30Dとなり、図11に示すように、ガイドローラ36が前側ストッパ30Dに係合した状態で、エンジンカバー31が開位置を保持する構成となっている。
【0042】
31はカウンタウエイト26の凹窪部29内に配置されたエンジンカバーを示し、該エンジンカバー31は、エンジン5等を上方および後方から開,閉可能に覆うもので、後述の上面カバー32と、後面カバー34とにより大略構成されている。そして、エンジンカバー31は、図6および図9に示す如くカウンタウエイト26の凹窪部29を閉塞する閉位置と、図7および図11に示す如くカウンタウエイト26の凹窪部29を開放する開位置との間で開,閉され、閉位置に移動したときには、上面カバー32と後面カバー34とが互いに前,後方向に重り合うように折畳まれるものである。
【0043】
32はエンジンカバー31の前側部分を構成する上面カバーで、該上面カバー32は、例えば鋼板材を用いて左,右方向に延びる長方形の平板状に形成され、カウンタウエイト26の凹窪部29内でエンジン5等を上方から覆う位置に配置されている。
【0044】
ここで、上面カバー32の前端部内側面には、左,右方向に延びる断面U字状のブラケット32Aが、溶接等の手段を用いて固着され、該ブラケット32Aの左,右方向の両端側には、左,右の前ヒンジ機構(蝶番)33,33の後ヒンジ片33Aがそれぞれ取付けられている。そして、サポート部材23の左,右方向の両端側には、左,右の前ヒンジ機構33の前ヒンジ片33Bがそれぞれ固着されている。
【0045】
このように、サポート部材23は、マウント部材25を介してキャブ6の後端部下側6Aを支持すると共に、各前ヒンジ機構33を介して上面カバー32の前端側を支持するものである(図3参照)。これにより、上面カバー32の後端側は、サポート部材23に対し、前ヒンジ機構33を中心として上,下方向に回動する構成となっている。
【0046】
34はエンジンカバー31の後側部分を構成する後面カバーで、該後面カバー34も、例えば鋼板材を用いて左,右方向に延びる長方形の平板状に形成され、カウンタウエイト26の凹窪部29内でエンジン5等を後方から覆う位置に配置されている。
【0047】
ここで、後面カバー34の上端部内側面には、左,右方向に延びる断面U字状のブラケット34Aが、溶接等の手段を用いて固着され、該ブラケット34Aの左,右方向の両端側には、左,右の後ヒンジ機構35,35の後ヒンジ片35Aがそれぞれ固着されている。そして、左,右の後ヒンジ機構35の前ヒンジ片35Bは、上面カバー32の後端部内側面にそれぞれ固着されている。
【0048】
これにより、図7に示すように、サポート部材23に対して前ヒンジ機構33を中心として上面カバー32の後端側を上方に回動させると、後ヒンジ機構35を介して上面カバー32の後端側に連結された後面カバー34の前端側が上方に立上がり、上面カバー32と後面カバー34とをサポート部材23の近傍位置で互いに対面した状態に折畳むことができる構成となっている。
【0049】
また、後面カバー34の下端部内側面のうち左,右方向の両端側には、L字状に折曲げられた左,右のガイドブラケット34B,34Bが突設され、これら各ガイドブラケット34Bの突出端部には、それぞれ後述のガイドローラ36が回転可能に取付けられる構成となっている。
【0050】
36,36は後面カバー34の下端側に設けられたガイド部材としての左,右のガイドローラで、これら左,右のガイドローラ36は、後面カバー34に設けられた左,右のガイドブラケット34Bにそれぞれ回転可能に取付けられている。ここで、各ガイドローラ36は、カウンタウエイト26の左,右の立上り支柱部28に設けたガイド溝30に回転可能に係合し、エンジンカバー31が図9に示す閉位置と図11に示す開位置との間で開,閉するときに、後面カバー34の下端部が、ガイド溝30によって定められた移動経路に沿って移動するようにガイドするものである。
【0051】
そして、エンジンカバー31が図9に示す閉位置にあるときには、ガイドローラ36は、ガイド溝30の下側ストッパ30Cに係合する。また、エンジンカバー31を開位置へと移動させるため、図10に示す如く後面カバー34の下端部を上方に持上げたときには、ガイドローラ36が、ガイド溝30の立上り溝部30Aから張出し溝部30B内を移動(転動)することにより、後面カバー34の下端部は、ガイド溝30によって定められた移動経路に沿って上方および前方へと移動していく。
【0052】
このとき、後ヒンジ機構35を介して後面カバー34の上端側に連結された上面カバー32の後端側は、サポート部材23に取付けられた前ヒンジ機構33を中心として上方に回動し、後面カバー34は上面カバー32に向けて接近していく。そして、エンジンカバー31が図11に示す開位置に達すると、ガイドローラ36は、張出し溝部30Bの前端部に設けられた前側ストッパ30Dに係合し、上面カバー32と後面カバー34とは、サポート部材23の近傍位置で互いに対面するように折畳まれる構成となっている。
【0053】
37はカウンタウエイト26とエンジンカバー31との間に設けられた施錠機構で、該施錠機構37は、カウンタウエイト26の凹窪部29の下端面に立設された逆U字状のフック部材38と、後述のキャッチ部材39とにより構成され、エンジンカバー31を図6および図9に示す閉位置に保持するものである。
【0054】
39はフック部材38と共に施錠機構37を構成するキャッチ部材で、該キャッチ部材39は、後面カバー34の下端側に配設され、エンジンカバー31を閉位置に移動させたときにフック部材38に係合するものである。ここで、キャッチ部材39は、後面カバー34に取付けられた箱状のケーシング39Aと、該ケーシング39Aからエンジンカバー31の内側に向けて突出した係合爪39Bとにより大略構成されている。
【0055】
そして、エンジンカバー31を図9に示す閉位置としたときに、キャッチ部材39の係合爪39Bがフック部材38に係合することにより、エンジンカバー31をこの閉位置に保持することができる構成となっている。また、図6等に示すように、キャッチ部材39のうち後面カバー34の外側となる部位には解除レバー39Cが設けられ、この解除レバー39Cを操作して係合爪39Bとフック部材38との係合状態を解除することにより、エンジンカバー31を閉位置から開位置へと移動させることができる構成となっている。
【0056】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂等の掘削作業を行う。
【0057】
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、エンジンカバー31によって覆われたエンジン5等に対する保守、点検作業を行うときの作業性を高めることができるようになっており、以下、エンジン5等の点検作業を行う場合について説明する。
【0058】
まず、エンジンカバー31を閉位置から開位置へと移動させるときには、後面カバー34に設けられたキャッチ部材39の解除レバー39Cを操作し、キャッチ部材39の係合爪39Bを、カウンタウエイト26の凹窪部29に設けられたフック部材38から離脱させた状態で、図10に示すように、後面カバー34を上方に持上げる。
【0059】
この場合、後面カバー34の下端側に設けた左,右のガイドローラ36は、カウンタウエイト26の左,右の立上り支柱部28に設けたガイド溝30に係合しているので、これら各ガイドローラ36が、ガイド溝30の立上り溝部30Aから張出し溝部30B内を移動することにより、後面カバー34の下端部は、ガイド溝30によって定められた移動経路に沿って円滑に上方および前方へと移動することができる。
【0060】
このとき、後面カバー34の上端側は、後ヒンジ機構35を介して上面カバー32の後端側に回動可能に連結されているので、後面カバー34を上方に持上げることにより、上面カバー32の後端側は、サポート部材23に取付けられた前ヒンジ機構33を中心として上方に回動する。これにより、上面カバー32と後面カバー34とは、後ヒンジ機構35を中心として互いに接近しながら徐々に折畳まれていく。
【0061】
そして、図11に示すように、後面カバー34の各ガイドローラ36が、張出し溝部30Bの前端部に設けられた前側ストッパ30Dに係合した状態で、後面カバー34の移動が停止し、エンジンカバー31は開位置に達する。
【0062】
このとき、上面カバー32は、サポート部材23の上方でほぼ垂直に立上り、後面カバー34は、斜め上向きに立上った状態で上面カバー32と前,後方向で対面する。このように、エンジンカバー31を開位置に移動させることにより、上面カバー32と後面カバー34とを、サポート部材23の近傍位置で互いに対面するように折畳むことができる。
【0063】
この結果、エンジン5の上面側と後面側とを同時に開放することができ、エンジン5の周囲に点検作業用の大きな作業スペースを確保することができるので、カウンタウエイト26の凹窪部29を通じてエンジン5等に対する点検作業を行うときの作業性を高めることができる。また、上面カバー32と後面カバー34とを平板状に形成することにより、エンジンカバー31を開いたときに上面カバー32と後面カバー34とを前,後方向にコンパクトに折畳むことができるので、一層大きな作業スペースを形成することができる。
【0064】
さらに、エンジンカバー31を開位置に移動させた状態では、上面カバー32と後面カバー34とを、サポート部材23の近傍位置に折畳んだ状態に配置することができるので、凹窪部29を通じてエンジン5等に対する点検作業を行う作業者が、誤って後面カバー34の下端部等に接触してしまうのを確実に抑えることができ、点検作業の安全性をも高めることができる。
【0065】
そして、エンジン5等に対する点検作業が終了した後には、開位置となったエンジンカバー31の後面カバー34の後端部を僅かに上方に持上げた状態で、当該後面カバー34を後方へと移動させる。
【0066】
これにより、後面カバー34に設けられた各ガイドローラ36が、カウンタウエイト26に設けられたガイド溝30の前側ストッパ30Dから離脱し、図10に示すように、張出し溝部30Bから立上り溝部30A内を移動する。このようにして、後面カバー34の下端部は、ガイド溝30によって定められた移動経路に沿って円滑に後方および下方へと移動することができる。
【0067】
そして、図9に示すように、後面カバー34の各ガイドローラ36が、立上り溝部30Aの下端部に設けられた下側ストッパ30Cに係合した状態で、後面カバー34の移動が停止し、エンジンカバー31は閉位置に達する。
【0068】
このとき、後面カバー34の下端側に設けたキャッチ部材39の係合爪39Bが、カウンタウエイト26の凹窪部29に設けたフック部材38に係合することにより、エンジンカバー31を閉位置に保持(ロック)することができる。この結果、図3に示すように、エンジンカバー31の上面カバー32によってエンジン5等を上方から覆うと共に、後面カバー34によってエンジン5等を後方から覆うことができる。
【0069】
かくして、本実施の形態による油圧ショベル1は、前端側がサポート部材23に前ヒンジ機構33を介して取付けられた上面カバー32と、上端側が上面カバー32の後端側に後ヒンジ機構35を介して折畳み可能に連結され、下端側に左,右のガイドローラ36が設けられた後面カバー34とによってエンジンカバー31を構成し、後面カバー34の各ガイドローラ36を、カウンタウエイト26の左,右の立上り支柱部28に設けたL字状のガイド溝30に係合させる構成としている。
【0070】
これにより、エンジンカバー31を開くときには、後面カバー34を上方に持上げ、ガイドローラ36をカウンタウエイト26のガイド溝30に沿って移動させることにより、上面カバー32の後端側が、後面カバー34の前端側を伴って上方に回動するので、上面カバー32と後面カバー34とを、サポート部材23の近傍位置で互いに対面した状態に折畳むことができる。
【0071】
この結果、エンジン5の上面側と後面側とを同時に開放することができるので、エンジン5等に対する点検作業を行うときの作業スペースを大きく確保することができ、その作業性を高めることができる。また、上面カバー32と後面カバー34とを、サポート部材23の近傍位置に折畳んだ状態に配置することにより、点検作業を行う作業者が、不用意に後面カバー34の下端部等に接触してしまうのを確実に抑えることができ、点検作業の安全性を高めることができる。
【0072】
また、本実施の形態による油圧ショベル1は、キャブ6の後端部下側6Aを支持するために旋回フレーム9上に設けられたサポート部材23を利用して、エンジンカバー31を構成する上面カバー32の前端側を支持する構成としている。このため、エンジンカバー31の上面カバー32を支持するための部材を、サポート部材23とは別部材として用意する必要がなく、既設のサポート部材23を有効に利用して上面カバー32を支持することができるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態による油圧ショベル1では、カウンタウエイト26を構成する左,右の立上り支柱部28の内側面28Dに、左,右のガイド溝30を直接的に凹設し、このガイド溝30によって後面カバー34の各ガイドローラ36をガイドする構成としている。これにより、後面カバー34の各ガイドローラ36をガイドするための部材を、例えばカウンタウエイト26とは別個に設ける必要がなく、この分、部品点数を削減することができる。
【0074】
次に、図12および図13は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2の実施の形態の特徴は、カウンタウエイトとは別部材からなる溝形成部材によってガイド溝を形成し、この溝形成部材をカウンタウエイトの立上り支柱部の内側面に取付ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0075】
図中、41はカウンタウエイト26とは別部材として形成された溝形成部材で、該溝形成部材41は、第1の実施の形態によるガイド溝30に代えて、本実施の形態に用いたものである。
【0076】
ここで、溝形成部材41は、例えばL字状に屈曲した平板状のベース板42と、該ベース板42のほぼ全長に亘って形成されたL字状の長溝孔43とにより構成されている。そして、溝形成部材41は、カウンタウエイト26を構成する左,右の立上り支柱部28の内側面28Dに、それぞれ複数のボルト44を用いて着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0077】
この場合、ベース板42に形成された長溝孔43は、第1の実施の形態によるガイド溝30と同様に、上,下方向に延びる立上り溝部43Aと、該立上り溝部43Aの上端側から前,後方向に延びる張出し溝部43BとによりL字状に形成され、立上り溝部43Aの下端部は下側ストッパ43Cとなり、張出し溝部43Bの前端部は下向きに凹んだ前側ストッパ43Dとなっている。
【0078】
本実施の形態は上述の如き構成を有するもので、エンジンカバー31を閉位置と開位置との間で移動させるときに、カウンタウエイト26(立上り支柱部28)に取付けた溝形成部材41の長溝孔43によって、後面カバー34に設けたガイドローラ36をガイドするという基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0079】
然るに、本実施の形態によれば、カウンタウエイト26とは別部材からなる溝形成部材41によってガイド溝を形成し、この溝形成部材41をボルト44を用いて立上り支柱部28の内側面28Dに取付ける構成としている。これにより、例えば立上り支柱部28の内側面28Dに直接的にガイド溝を凹設するといった手間のかかる作業を不要とすることができ、カウンタウエイト26の生産性を高めることができる。
【0080】
次に、図14ないし図16は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3の実施の形態の特徴は、エンジンカバーを構成する後面カバーを、カウンタウエイトの下側周壁部に沿って左,右方向に円弧状に延びる湾曲面状に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0081】
図中、51は上述した第1の実施の形態によるエンジンカバー31に代えて本実施の形態に用いたエンジンカバーを示し、該エンジンカバー51は、第1の実施の形態によるものと同様に、後述の上面カバー52と、後面カバー53とにより構成されるものである。しかし、エンジンカバー51の後面カバー53が、左,右方向に円弧状に湾曲した湾曲面状に形成されている点で、第1の実施の形態による平板状の後面カバー34とは異なっている。
【0082】
52はエンジンカバー51の前側部分を構成する上面カバーで、該上面カバー52は、例えば鋼板材を用いて左,右方向に延びる略長方形の平板状に形成され、カウンタウエイト26の凹窪部29内でエンジン等を上方から覆う位置に配置されている。ここで、上面カバー52の後端縁52Aは、カウンタウエイト26の下側周壁部27に沿って左,右方向に円弧状に延びている。また、上面カバー52の前端部内側面には、左,右方向に延びる断面U字状のブラケット52Bが固着され、該ブラケット52Bの左,右方向の両端側には、左,右の前ヒンジ機構33の後ヒンジ片33Aがそれぞれ取付けられている。
【0083】
53はエンジンカバー51の後側部分を構成する後面カバーで、該後面カバー53は、例えば鋼板材を用いて形成され、カウンタウエイト26の凹窪部29内でエンジン等を後方から覆う位置に配置されている。ここで、後面カバー53は、カウンタウエイト26の下側周壁部27に沿って左,右方向に円弧状に延びる湾曲面53Aをもって形成され、図14に示すように、エンジンカバー51を閉位置としたときに、後面カバー53の湾曲面53Aが、カウンタウエイト26を構成する下側周壁部27の後面27A、左,右の立上り支柱部28の後面28Aに滑らかに連続する構成となっている。
【0084】
そして、後面カバー53の上端部内側面には、左,右方向に延びる断面U字状のブラケット53Bが固着され、該ブラケット53Bの左,右方向の両端側には、左,右の後ヒンジ機構35の後ヒンジ片35Aがそれぞれ固着されている。また、後面カバー53の下端部内側面のうち左,右方向の両端側には、L字状に折曲げられた左,右のガイドブラケット53C,53Cが突設され、これら各ガイドブラケット53Cの突出端部には、それぞれガイドローラ36が回転可能に取付けられる構成となっている。
【0085】
これにより、図15に示すように、サポート部材23に対して前ヒンジ機構33を中心として上面カバー52の後端側を上方に回動させると、後ヒンジ機構35を介して上面カバー52の後端側に連結された後面カバー53の前端側が上方に立上がり、上面カバー52と後面カバー53とをサポート部材23の近傍位置で互いに対面した状態に折畳むことができる構成となっている。
【0086】
本実施の形態は上述の如き構成を有するもので、エンジンカバー51を図15に示す開位置に移動させたときに、サポート部材23の近傍位置で上面カバー52と後面カバー53とを折畳んだ状態に配置できるという基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
【0087】
然るに、本実施の形態によれば、後面カバー53をカウンタウエイト26の下側周壁部27に沿って左,右方向に円弧状に延びる湾曲面53Aをもった湾曲面状に形成したので、エンジンカバー51を図14に示す閉位置としたときに、後面カバー53の湾曲面53Aと、カウンタウエイト26を構成する下側周壁部27の後面27Aおよび各立上り支柱部28の後面28Aとが滑らかに連続するようになり、油圧ショベル全体の外観美を高めることができる。
【0088】
なお、上述した第1の実施の形態では、長方形の平板状に形成された上面カバー32と、同じく長方形の平板状に形成された後面カバー34とによってエンジンカバー31を構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図17に示す変形例によるエンジンカバー61のように構成してもよい。
【0089】
即ち、エンジンカバー61を構成する上面カバー62を、水平方向に延びる長方形状の水平面部62Aと、該水平面部62Aの後端側から鉛直下向きに折曲げられた折曲面部62Bとによって断面L字状に形成し、この折曲面部62Bに後ヒンジ機構35を介して、長方形の平板状に形成された後面カバー63を折畳み可能に連結する構成としてもよい。これにより、上面カバー62と後面カバー63との連結部の隙間が、上面カバー62の折曲面部62Bの下端部と後面カバー63の上端部との間に形成されるので、これら上面カバー62と後面カバー63との連結部の隙間内に雨水等が侵入するのを抑えることができる。
【0090】
また、上述した第1の実施の形態では、後面カバー34の下端側に左,右のガイドローラ36を回転可能に設け、これら各ガイドローラ36をカウンタウエイト26のガイド溝30に係合させた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば後面カバーの下端側に棒状体からなる左,右のガイド軸を固定して設け、該各ガイド軸の先端部をガイド溝30に係合させる構成としてもよい。
【0091】
さらに、上述した各実施の形態では、建設機械として油圧ショベルを例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 油圧ショベル(建設機械)
4 作業装置
5 エンジン
6 キャブ
6A 後端部下側
9 旋回フレーム(フレーム)
23 サポート部材
26 カウンタウエイト
27 下側周壁部
28 立上り支柱部
29 凹窪部
30 ガイド溝
31,51,61 エンジンカバー
32,52,62 上面カバー
33 前ヒンジ機構
34,53,63 後面カバー
35 後ヒンジ機構
36 ガイドローラ(ガイド部材)
37 施錠機構
38 フック部材
39 キャッチ部材
41 溝形成部材(ガイド溝)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなし前部側に前記作業装置が設けられた旋回フレームと、該旋回フレームの後部側に設けられ前記作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレームに左,右方向に延びる横置き状態に設けられたエンジンと、該エンジンを跨いで前記旋回フレームに立設されたサポート部材と、該サポート部材に取付けられ前記エンジンを開,閉可能に覆うエンジンカバーとを備えてなる建設機械において、
前記カウンタウエイトは、前記旋回フレームに取付けられ円弧状に湾曲しつつ左,右方向に延びる下側周壁部と、該下側周壁部の左,右方向の両端側から上向きに立上り上端側が前方に向けて張出したL字状の左,右の立上り支柱部と、前記エンジンに対応して前記左,右の立上り支柱部間に形成された凹窪部とを有し、
前記カウンタウエイトの左,右の立上り支柱部の内側面にはL字状の左,右のガイド溝を設け、
前記エンジンカバーは、
前記カウンタウエイトの凹窪部内で前記エンジンを上方から覆う位置に配置され、前端側が前記サポート部材にヒンジ機構を介して取付けられることにより後端側が上,下方向に回動可能となった上面カバーと、
前記カウンタウエイトの凹窪部内で前記エンジンを後方から覆う位置に配置され、上端側が前記上面カバーの後端側に折畳み可能に連結され前記左,右のガイド溝によって案内される後面カバーとにより構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記後面カバーには、前記カウンタウエイトの左,右のガイド溝によって案内される左,右のガイド部材を設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記カウンタウエイトと前記エンジンカバーとの間には、前記カウンタウエイトの凹窪部に設けられたフック部材と、前記エンジンカバーの後面カバーに設けられ前記フック部材に係合することにより前記エンジンカバーを閉じた状態に保持するキャッチ部材とからなる施錠機構を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記旋回フレーム上には前記エンジンの前側に位置してキャブを配設し、前記サポート部材には該キャブの後端部下側をマウント部材を介して弾性的に取付ける構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記エンジンカバーを構成する後面カバーは、平板状または前記カウンタウエイトの下側周壁部に沿って左,右方向に円弧状に延びる湾曲面状に形成してなる請求項1,2,3または4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記左,右のガイド溝は、前記カウンタウエイトを構成する左,右の立上り支柱部の内側面に直接的に凹設する構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械。
【請求項7】
前記左,右のガイド溝は前記カウンタウエイトとは別部材からなる溝形成部材に形成し、該溝形成部材は前記左,右の立上り支柱部の内側面に取付ける構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−216156(P2010−216156A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64731(P2009−64731)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】