説明

弁開閉制御装置

【課題】吸気弁の外部ロータと内部ロータとの相対回転角を最遅角に設定してエンジンを始動する際の相対回転角を安定させる。
【解決手段】エンジンを自動始動する際に、外部ロータ11と内部ロータ12との間に形成される遅角室Cbにアキュムレータ27の作動油を供給し、外部ロータ11と内部ロータ12と一時的に最遅角に拘束し、この後、相対回転角を進角方向に変化させて中間ロック機構Lによるロック状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁開閉制御装置に関し、詳しくは、運転者による停止操作が行われない状況で停止条件が成立した場合に自動停止し、この後に始動条件が成立した場合に自動始動する内燃機関において、クランク軸と同期回転する駆動側回転体と、内燃機関のカム軸と一体回転し、且つ、駆動側回転体と相対回転可能な従動側回転体とを備え、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を、内燃機関の吸気圧縮比を最も高くする最進角と、内燃機関の吸気圧縮比を最も低くする最遅角との間の制御領域で設定する弁開閉制御装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された弁開閉制御装置として特許文献1には、ハイブリッド型の車両にエンジンのクランク軸と同期して回転する駆動側回転体(文献ではハウジング)を備え、カム軸と一体回転する従動側回転体(文献では複数のベーンを有した部材)を備えて構成される位相変更機構が示されている。この位相変更機構では、駆動側回転体の内部に軸芯側に突出する複数の突部を形成し、この複数の突部の間に形成される空間に複数のベーンを配置することで、ベーンを基準にして回転方向の一方側に進角室が形成され、回転方向の他方側に遅角室が形成され、この進角室と遅角室との一方を選択して作動油を供給するコントロールバルブを備えた構成が示されている。
【0003】
この特許文献1では、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を進角側に設定することで吸気圧縮比を高め、遅角側に設定することで吸気圧縮比を低減する作動を行う点が示され、コントロールバルブの制御により駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を進角側又は遅角側に設定して内燃機関の吸気タイミングを調整するために制御される。
【0004】
ハイブリッド型の車両では運転者が内燃機関を停止させる操作を行わずとも、条件が成立した際に、ECUが内燃機関を自動的に停止させ、この停止の後に条件が成立した際にEUCが内燃機関を自動的に始動させる制御が行われる。このような理由から、特許文献1では、ECUによって内燃機関が停止させる際には、前述した相対回転角を最遅角に変化させロック機構でロックすることで、この後の内燃機関の始動を容易にする点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−227236号公報 (段落番号〔0054〕、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイブリッド型の車両に限らず、車両が信号待ち等で一時停止した場合に内燃機関を停止させるアイドルストップ型の車両でも、内燃機関を停止させる制御と始動させる制御とが頻繁に行われる。従って、内燃機関を始動させる場合には、特許文献1に記載される吸気圧縮比を低く設定して、圧縮行程の負荷を小さくて始動を行いやすくすると共に、始動時の振動を抑制するように、ECUで内燃機関を停止する際には駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に設定する制御が有効と考えられている。
【0007】
しかしながら、ロック機構によって最遅角に維持する構成ではロック機構を構成する部品点数が増大することになり、相対回転角を最遅角に維持するロック機構を用いずに装置を構成することも望まれている。
【0008】
また、この種の弁開閉制御装置では、内燃機関で駆動される油圧ポンプからの作動油によって駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を制御するため、内燃機関の始動時には油圧ポンプから必要とする圧力の作動油を得ることができない。従って、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に設定した状態で内燃機関が停止した後に、この内燃機関の始動制御が行われた場合には、油圧ポンプから供給される作動油の圧力では相対回転角を最遅角に維持できず、相対回転角が変動するため吸気タイミングが乱れ適正な始動に移行できない不都合を招くものであった。
【0009】
特に、特許文献1に記載されるように、相対回転角が最遅角に設定された場合に駆動側回転体の突部に、従動側回転体のベーンが近接する位置関係となるものでは、内燃機関の始動時に相対回転角が変動した場合に突部に対してベーンが当接することにより異音が発生することもあり改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に設定した状態で内燃機関を始動した場合に、相対回転角を安定させて円滑な始動を実現する弁開閉制御装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、運転者による停止操作が行われない状況で停止条件が成立した場合に機関制御部により自動停止し、この後に始動条件が成立した場合に前記機関制御部により自動始動する内燃機関が構成されると共に、前記内燃機関のクランク軸と同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカム軸と一体回転し、且つ、前記駆動側回転体と相対回転可能な従動側回転体とを備え、圧油が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を進角方向に変化させる進角室と、圧油が供給されることにより前記相対回転角を遅角方向に変化させる遅角室とが前記駆動側回転体と前記従動側回転体の間に形成され、前記相対回転角を、最進角と最遅角との間の制御領域で設定する相対回転角制御ユニットを備え、前記相対回転角制御ユニットが、前記進角室と前記遅角室との一方を選択して作動油を供給する相対回転角制御弁と、この相対回転角制御弁を制御するタイミング制御部と、前記作動油を加圧状態で貯留するアキュムレータと、このアキュムレータを制御する蓄圧制御弁とを備えて構成され、前記相対回転角制御ユニットは、前記自動停止が行われる際に、前記相対回転角を最遅角に設定する最遅角設定制御を実行し、前記自動始動が開始された際に、前記自動始動の開始から設定タイミングまで遅角ポジションに前記相対回転角制御弁を制御し、前記アキュムレータの作動油の圧力を前記遅角室に作用させるように前記蓄圧制御弁を制御する点にある。
【0012】
この構成によると、機関制御部により内燃機関が自動停止する際には、相対回転角制御ユニットが最遅角設定制御を実行することで駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角が最遅角に設定される。この後に、機関制御部により内燃機関が自動始動する際には、相対回転角制御ユニットが最遅角拘束制御を実行することで、自動始動の開始から設定タイミングまでタイミング制御部が相対回転角制御弁を遅角ポジションに操作し、アキュムレータの作動油の圧力を遅角室に作用させ、相対回転角を最遅角に拘束することが可能となる。これにより、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を変動させることなく、内燃機関の始動に伴う駆動側回転体の回転力を従動側回転体に直接的に伝え、駆動側回転体の内部に内壁と従動側回転体のベーン等の部材とが当接する等の現象を招くこともない。
従って、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に設定した状態で内燃機関を始動した場合に、相対回転角を安定させて円滑な始動を実現し、この始動時に異音を発生させることもない弁開閉制御装置がロック機構を備えずに構成された。
【0013】
本発明は、前記内燃機関で駆動される油圧ポンプと前記相対回転角制御弁との間にはチェック弁を有し、前記相対回転角制御ユニットは、前記自動停止から前記自動始動までの間、遅角ポジションに前記相対回転角制御弁を制御しても良い。
【0014】
これによると、自動停止から自動開始までの間にアキュムレータの作動油の圧力を遅角室に供給する際に、この作動油が油圧ポンプの方向へ流動する現象をチェック弁が阻止するので、電動型の油圧ポンプ等を備えずとも、アキュムレータの圧力を減ずることなく、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に拘束することが可能となる。
【0015】
本発明は、前記内燃機関で駆動される油圧ポンプからの作動油を前記遅角室に供給する制御油路が形成され、この制御油路に対して、前記相対回転角制御弁より前記油圧ポンプ側位置に前記油圧ポンプから送り出される作動油の流れを許容するチェック弁が介装され、前記相対回転角制御弁と前記チェック弁との中間の前記制御油路に前記アキュムレータからの作動油が接続油路により供給されても良い。
【0016】
これによると、アキュムレータの作動油が油圧ポンプの方向への流動する現象をチェック弁が阻止してアキュムレータの圧力を減ずることなく遅角室に作用させることが可能となる。これにより電動型の油圧ポンプ等を備えずとも、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に拘束することが可能となる。
【0017】
本発明は、前記相対回転角制御ユニットが、前記自動始動の開始から前記クランク軸の回転速度が設定値に達した時点で、前記内燃機関の燃焼室の点火を行うと共に、前記相対回転角を進角方向に変化させる進角移行制御を行っても良い。
【0018】
これによると、自動始動の開始からクランク軸の回転速度が設定値に達した時点で内燃機関の点火を行うことで、内燃機関を稼働状態に移行でき、稼働によりクランク軸の回転速度が増大するに伴い進角移行制御を行うことで駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を進角方向に変化させることで内燃機関の出力の増大を図ることが可能となる。
【0019】
本発明は、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を、最進角と最遅角との間のロック角に拘束するロック機構を備えても良い。
【0020】
これによると、内燃機関が稼働状態に移行した後に、ロック機構がロック状態に達することで、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角をロック角に拘束して内燃機関の回転速度を安定させる。
【0021】
本発明は、前記内燃機関の前記クランク軸を回転駆動する電動モータを備え、前記内燃機関が自動停止した状態で、運転者が前記内燃機関を停止する操作を行った場合には、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を前記最進角と前記最遅角との中間のロック角に設定するように前記機関制御部が前記電動モータの逆転を行っても良い。
【0022】
これによると、内燃機関が自動停止した状態で、運転者が内燃機関を停止する操作を行った場合には、機関制御部が電動モータを逆転させ、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最進角と最遅角との中間のロック角に設定する。このため、後に運転者が内燃機関を始動する際に安定した始動が実現する。
【0023】
本発明は、前記内燃機関が停止した状態で、前記クランク軸に対しピストンの圧縮行程と、吸気側のカム軸の開き工程と、排気側のカム軸の開き工程とが同位相で遅角方向に作用する3気筒型に構成されても良い。
【0024】
これによると、内燃機関の始動時においてカム軸を遅角方向に回転させる力が作用しているため、アキュムレータの作動油の圧力を強く作用させなくとも駆動側回転体と従動側回転体との相対回転角を最遅角に維持でき、アキュムレータの小型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】吸気タイミング制御機構と制御系とを模式的に示す図である。
【図2】ロック角にある吸気タイミング制御機構の断面図である。
【図3】エンジン始動シーケンス(1)の開始時点における吸気タイミング制御機構の断面と制御構成とを示す図である。
【図4】エンジン始動シーケンス(1)のタイミングチャートである。
【図5】エンジン始動シーケンス(2)の開始時点における吸気タイミング制御機構の断面と制御構成とを示す図である。
【図6】エンジン始動シーケンス(2)のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1及び図2に示すように、内燃機関としてのエンジンEのクランク軸1と同期回転する駆動側回転体としての外部ロータ11と、エンジンEの燃焼室の吸気バルブ2を開閉するカム軸3と同軸で一体回転する従動側回転体としての内部ロータ12とをカム軸3の軸芯Xを中心にして相対回転自在に組み合わせて吸気タイミング制御機構10が構成されている。吸気タイミング制御機構10は、外部ロータ11と内部ロータ12との軸芯Xを中心にした相対回転角の設定により、吸気バルブ2の開閉タイミングを制御するものであり、この吸気タイミング制御機構10と、外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を制御する相対回転角制御ユニットAを備えて弁開閉制御装置が構成されている。
【0027】
エンジンEは、アトキンソンサイクルエンジンであり、シリーズ方式やシリーズ・パラレル方式と称されるハイブリッド型の駆動機構を有するハイブリッド型車輌に備えられている。吸気バルブ2はバルブスプリングで閉じ方向に付勢され、カム軸3に形成されたカム部3aの当接により押し下げ方向に作動して開放する位置と、バルブスプリングの付勢力により閉塞する位置とに切換えられる。
【0028】
クランク軸1には主クラッチ4を介して電動モータMが連結しており、この電動モータMを含めてエンジンEは、ECUとして構成されるエンジン管理装置40によって管理される。エンジン管理装置40は、吸気系(図示せず)、燃料供給系(図示せず)、点火プラグ5の点火タイミング、電動モータMによるエンジンEの始動、エンジンEの停止等の管理を行う。
【0029】
エンジン管理装置40は、ソフトウエアで成る機関制御部41と、ソフトウエアで成るタイミング制御部42とを備えており、機関制御部41はエンジンEの自動始動と自動停止とを行い、タイミング制御部42は、相対回転角制御ユニットAを介して吸気タイミング制御機構10の制御を行うことによりエンジンEの吸気量の制御を行う。詳しく説明していないが、この相対回転角制御ユニットAは排気タイミングの制御も行う。
【0030】
電動モータMは、バッテリー(図示せず)からの電力によりクランク軸1を駆動回転してエンジンEの始動を行うスタータモータとしての機能を有すると共に、クランク軸1からの駆動力により発電を行うジェネレータの機能を有し、発電された電力はバッテリー(図示せず)に充電される。
【0031】
ハイブリッド型の駆動機構を有する車両では、エンジンEの自動始動と自動停止とが頻繁に行われるものであり、図1に示す弁開閉制御装置は、エンジン管理装置40によって自動停止が行われる際に、次の自動始動において電動モータMの負荷を小さくして始動を行うために相対回転角を最遅角に設定する制御を行う。また、システム停止時には次にエンジンEの始動を行う際に安定的な始動を実現するために相対回転角をロック角に設定する制御を行う。これらの制御を実現するための構成と制御形態とを以下に説明する。
【0032】
〔吸気タイミング制御機構〕
吸気タイミング制御機構10は、外部ロータ11と内部ロータ12とを軸芯Xと同軸芯上に配置すると共に、外部ロータ11の内部に内部ロータ12を嵌め込み、これらをフロントプレート13とリヤプレート14とに挟み込んだ構成を有している。フロントプレート13とリヤプレート14とは連結ボルト15により外部ロータ11に連結しており、外部ロータ11の外周にはタイミングスプロケット16が形成されている。内部ロータ12の中心部位がリヤプレート14の中央部に形成された開口を貫通する状態で配置され、この内部ロータ12の後端位置に吸気側のカム軸3の前端が後端に連結している。
【0033】
この吸気タイミング制御機構10では、エンジンEのクランク軸1に設けた出力スプロケット6とタイミングスプロケット16とに亘って無端チェーン7を巻回することで外部ロータ11がクランク軸1と同期回転する。図面には示していないが、排気側のカム軸3の前端にも吸気タイミング制御機構10と同様の構成の排気タイミング制御機構を備えており、この排気タイミング制御機構に対しても無端チェーン7から回転力が伝えられる。
【0034】
図2、図3に示すように、外部ロータ11には軸芯Xの方向(内方)に向けて突出する複数の突出部11Tを形成することにより、回転方向で隣接する突出部11Tの間に流体圧室Cが形成されている。内部ロータ12は複数の突出部11Tに密接する外周を有した円柱状に形成されると共に、流体圧室Cに嵌まり込むことで流体圧室Cを回転方向で2つの空間に仕切る複数のベーン17を内部ロータ12に形成している。
【0035】
この吸気タイミング制御機構10は、クランク軸1からの駆動力により外部ロータ11が駆動回転方向Sに向けて回転する。また、外部ロータ11に対して内部ロータ12が駆動回転方向Sと同方向へ回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への回転方向を遅角方向Sbと称している。この吸気タイミング制御機構10では、相対回転角が進角方向に変化する際に変化量の増大に伴い吸気圧縮比を高め、相対回転角が遅角方向に変化する際に変化量の増大に伴い吸気圧縮比を低減するようにクランク軸1とカム軸3との関係が設定されている。
【0036】
ベーン17で仕切られた流体圧室Cのうち、作動油が供給されることで相対回転角を進角方向Saに変化させる空間を進角室Caと称し、これとは逆に、作動油が供給されることで相対回転角を遅角方向Sbに変化させる空間を遅角室Cbと称している。ベーン17が進角方向の移動端(軸芯Xを中心にした揺動端)に達した状態での相対回転角を最進角と称し、ベーン17が遅角側の移動端(軸芯Xを中心にした揺動端)に達した状態での相対回転角を最遅角と称している。吸気タイミング制御機構10の相対回転角は最進角と最遅角との間の制御領域に設定可能に構成されている。尚、最進角は、ベーン17の進角方向の移動端だけはなく、この近傍を含む概念である。これと同様に最遅角はベーン17の遅角方向での移動端だけではなく、この近傍を含む概念である。
【0037】
この吸気タイミング制御機構10は、外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を最進角と最遅角との間(制御領域内)のロック角に拘束する中間ロック機構Lを備えている。この中間ロック機構Lは、軸芯Xと直交する姿勢で、突出端が軸芯Xに向けて接近・離間できるように外部ロータ11に対し出退自在に備えた一対のロック部材18と、夫々のロック部材18を突出方向に付勢するロックスプリング19と、ロック部材18が係脱するために内部ロータ12の外周に形成されたロック溝部12Lとを備えて構成されている。
【0038】
この中間ロック機構Lでは、一対のロック部材18がロック溝部12Lに同時に係入する形態で外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角をロック角に拘束した状態では、エンジン温が低い状態でも適正なエンジン始動を実現すると共に、エンジンEを低い燃費で効率的に稼働させる吸気圧縮比が設定される。尚、中間ロック機構Lは、この構成に限るものではなく、例えば、軸芯Xと平行する姿勢でスライド移動となるロック部材を内部ロータ12に備え、このロック部材が係脱する凹部をフロントプレート13又はリヤプレート14に形成する構成でも良い。
【0039】
内部ロータ12には進角室Caに連通する進角制御油路21と、遅角室Cbに連通する遅角制御油路22と、ロック溝部12Lに連通するロック解除油路23とが形成されている。また、カム軸3の前端の外周には進角制御溝21Aと、遅角制御溝22Aと、ロック制御溝23Aとが環状に形成され、これらと、進角制御油路21と、遅角制御油路22と、ロック解除油路23とが連通している。
【0040】
〔相対回転角制御ユニット〕
図1及び図3に示すように、エンジンEには、エンジンEの駆動力でオイルパン8のオイルを吸引して、作動油として送り出す油圧ポンプPを備えている。相対回転角制御ユニットAは、電磁操作型の相対回転角制御弁24と、電磁操作型のロック制御弁25(ロック制御部の一例)と、電磁操作型の蓄圧制御弁26と、アキュムレータ27と、この3つの制御弁を制御するエンジン管理装置40(主としてタイミング制御部42の制御)とを備えて構成されている。
【0041】
油圧ポンプPの供給油路に油圧ポンプPから送り出される作動油の流れを許容し、油圧ポンプPの方向への作動油の流れを阻止するチェック弁28を備えている。このチェック弁28から送り出される作動油を回転角制御油路29と、ロック制御油路30と、接続油路31とに分岐して送り出す油路系が構成されている。回転角制御油路29は相対回転角制御弁24に接続し、ロック制御油路30はロック制御弁25に接続し、接続油路31は蓄圧制御弁26に接続している。更に、相対回転角制御弁24は前述した進角制御溝21Aと、遅角制御溝22Aとに接続し、ロック制御弁25は、前述したロック制御溝23Aに接続している。
【0042】
相対回転角制御弁24は、油圧ポンプPの作動油を進角制御油路21から進角室Caに供給するとともに遅角室Cbの作動油を遅角制御油路22によって排出する進角ポジションと、油圧ポンプPの作動油を遅角制御油路22から遅角室Cbに供給するとともに進角室Caの動油を進角制御油路21によって排出する遅角ポジションと、進角室Caと遅角室Cbとの何れにも作動油を供給しない中立ポジションとに操作自在に構成されている。
【0043】
ロック制御弁25は、油圧ポンプPの作動油をロック解除油路23からロック溝部12Lに作動油を供給してロック解除を行うアンロックポジションと、ロック溝部12Lから作動油を排出してロック可能にするロックポジションとに操作自在に構成されている。蓄圧制御弁26は、油圧ポンプPの作動油をアキュムレータ27に供給する(給排可能にする)開ポジションと、油圧ポンプPからの作動油のアキュムレータ27への供給を阻止する(給排を不能にする)閉ポジションとに操作自在に構成されている。
【0044】
〔制御構成〕
エンジンEを始動するイグニッションスイッチ45と、エンジンEのクランク軸1の回転角と回転速度とを計測可能なクランク軸センサ46と、エンジンEの冷却水の温度からエンジンEの温度を計測するエンジン温センサ47とを備え、これらからの信号をエンジン管理装置40に入力する信号系が形成されている。また、エンジン管理装置40から電動モータMと、点火プラグ5を駆動するイグニッション回路(図示せず)と、スロットル制御回路(図示せず)とに制御信号を出力する信号系が形成されると共に、相対回転角制御弁24と、ロック制御弁25と、蓄圧制御弁26とに制御信号を出力する信号系が形成されている。図面には示していないが、エンジン管理装置40には、アクセルペダルの操作量を計測するアクセルセンサや、走行速度センサ等からの信号が入力する。
【0045】
イグニッションスイッチ45は、システムを起動させるスイッチとして構成され、ON操作によりシステムが起動し、電気系に電力を供給すると共にエンジンEの自動始動と自動停止が可能なシステム起動状態となる。また、イグニッションスイッチ45がOFF操作された際にはシステムが停止する。また、このOFF操作時にエンジンEが稼動状態にある場合にはエンジンEも停止する。特に、イグニッションスイッチ45のON操作により取得される信号をシステム始動トリガと称する。ちなみに、イグニッションスイッチ45は最初の押し操作がON操作となり、次の押し操作がOFF操作となるプッシュ操作型のものを想定しているが、キーを用いた回転操作型のものでも良く、ON操作とOFF操作とを異なるスイッチで行うものでも良い。
【0046】
また、クランク軸センサ46は、磁石とホール素子やコイル等を用いた非接触型に構成されている。エンジン温センサ47としてはサーミスタを用いて構成されており、このエンジン温センサ47がオイルパン8のオイルの温度を計測するものでも良い。
【0047】
前述したように電動モータMは、スタータモータの機能とジェネレータの機能とを有するため、エンジンEが停止している状態でバッテリー電圧が低下した場合(始動条件が成立した場合)には自動始動トリガが生成され、エンジン管理装置40が電動モータMの駆動でエンジンEを始動させてバッテリーの充電を行う。また、バッテリーが充電により所定の電圧まで上昇した場合(停止条件が成立した場合)には自動停止トリガが生成され、エンジン管理装置40がエンジンEを停止させる制御を行う。
【0048】
〔制御形態の概要〕
イグニッションスイッチ45のON操作でシステムを起動させ、エンジンEが稼働する状態で停止条件が成立して自動停止トリガをエンジン管理装置40が取得した場合には、タイミング制御部42が外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を最遅角まで変化させた状態でエンジンEが停止する(エンジン停止シーケンス)。また、始動条件が成立して自動始動トリガをエンジン管理装置40が取得した際に、エンジン温センサ47で計測されるエンジン温が設定値を超えている場合には、電動モータMの駆動によるクランキング時に相対回転角を一時的に最遅角に拘束し(最遅角拘束制御)、この後、進角方向に変化させる制御を行う。この制御のタイミングチャートを図4(エンジン始動シーケンス(1))に示している。
【0049】
運転者によりイグニッションスイッチ45がON操作され、エンジン管理装置40がシステム始動トリガを取得した際に、エンジン温センサ47で計測されるエンジン温をエンジン管理装置40が取得する。このように取得したエンジン温が設定値を超えている場合には、前述したエンジン始動シーケンス(1)と同様に、クランキング時に外部ロータ11と内部ロータ12と相対回転角を一時的に最遅角に拘束し、この後、進角方向に変化させる制御を行う。これとは逆に、エンジン温センサ47で計測されるエンジン温が設定値未満である場合には、クランキングと同時に相対回転角を進角方向に変化させる制御を行う。この制御のタイミングチャートを図6(エンジン始動シーケンス(2))に示している。
【0050】
タイミングチャートとして示していないが、エンジンEが自動停止した後に自動始動する場合にも、エンジン温センサ47でエンジン温が計測され、このエンジン温が設定値未満である場合にも、図6に示すエンジン始動シーケンス(2)が実行される。
【0051】
〔エンジン始動シーケンス(1)〕
エンジン停止シーケンスにより外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角が最遅角でエンジンEが停止した状態で、エンジン管理装置40が自動始動トリガを取得した場合には、図3、図4に示すようにタイミング制御部42が蓄圧制御弁26を開ポジションに設定し(a)、タイミング制御部42が相対回転角制御弁24を遅角ポジション設定し(c)、タイミング制御部42がロック制御弁25をロックポジションに操作し(b)、機関制御部41が電動モータMを駆動してエンジンEのクランキングを開始する(d)。
【0052】
この制御が最遅角拘束制御であり、この制御を実行することでアキュムレータ27に加圧状態で貯留された作動油を接続油路31、回転角制御油路29、相対回転角制御弁24、遅角制御油路22に送り遅角室Cbに供給する。この供給状態でクランキングが行われるため油圧ポンプPから供給される作動油が供給されない状況でもベーン17に対して遅角室Cbから作動油の圧力を作用させ外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を最遅角に拘束して相対回転角が乱れる不都合を阻止する(e)。
【0053】
次に、クランキングの継続によりクランク軸センサ46で計測される回転速度が、点火に必要な必要回転速度Rに達したタイミングで、相対回転角制御弁24を進角ポジションに設定し(c)、点火プラグ5による点火を行う(g)。この制御によりエンジンEが稼働し、クランク軸1の回転速度が更に上昇した場合には、電動モータMによるクランキングを停止する(d)。
【0054】
このように相対回転角を進角方向に変化(移行)させる制御が進角移行制御であり、エンジンEが稼動することにより油圧ポンプPから供給される作動油の油量が増大し、この油圧ポンプPからの作動油と、アキュムレータ27からの作動油とが、相対回転角制御弁24から進角制御油路21を介して進角室Caに供給されることにより外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角が進角方向に変化し(移行し)、一対のロック部材18が同時にロック溝部12Lに係入し、中間ロック機構Lがロック状態に達する(f)。
【0055】
この進角移行制御により、中間ロック機構Lにより吸気タイミング制御機構10の相対回転角がロック角にロックされ、エンジンEが安定的に稼働する。
【0056】
〔エンジン始動シーケンス(2)〕
エンジン管理装置40システム始動トリガを取得した場合には、図5、図6に示すように、タイミング制御部42が蓄圧制御弁26を開ポジションに設定し(a)、タイミング制御部42が相対回転角制御弁24を進角ポジション設定し(c)、タイミング制御部42がロック制御弁25をロックポジションに操作し(b)、機関制御部41が電動モータMを駆動してエンジンEのクランキングを開始する(d)。
【0057】
この制御を行うことで、アキュムレータ27に加圧状態で貯留された作動油を接続油路31、回転角制御油路29、相対回転角制御弁24、進角制御油路21に送り進角室Caに作用させる状態でクランキングが行われる。これにより油圧ポンプPからの作動油が供給されない状況でも外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を進角方向に変化させ続けることになり、相対回転角が多少変動するものの相対回転角を進角方向に変化させることになる(e)。この制御により相対回転角がロック角に達すると一対のロック部材18が同時にロック溝部12Lに係入し、中間ロック機構Lがロック状態に達する(f)。
【0058】
次に、クランキングが継続することで、クランク軸センサ46で計測される回転速度が、点火に必要な必要回転速度Rに達したタイミングで、点火プラグ5による点火を行う(g)。これによりエンジンEが稼働し、クランク軸1の回転速度が更に上昇した場合には、電動モータMによるクランキングを停止する(d)。
【0059】
この制御により、中間ロック機構Lにより吸気タイミング制御機構10の相対回転角がロック角にロックされ、エンジンEが安定的に稼働する。
【0060】
タイミングチャートには示していないが、エンジンEが稼動する状況において運転者がイグニッションスイッチ45をOFF操作した場合には、中間ロック機構Lが非ロック状態である場合には、相対回転角を変化させ、中間ロック機構Lにより相対回転角をロック角に保持した後にエンジンEを停止する制御が行われる。
【0061】
〔実施形態の作用・効果〕
このように本発明では、エンジンEの自動停止が行われる際には、外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を最遅角に設定してエンジンEを停止させる。これにより、このエンジン温が設定値を越える暖機状態でのエンジンEの自動始動時にはエンジンEの燃焼室を低い圧縮比に維持するので始動が容易となり、消費される電力も低減する。この自動始動で最遅角拘束制御が行われることで、アキュムレータ27に加圧状態で貯留された作動油が遅角室Cbに供給され、相対回転角を最遅角に拘束した状態でクランキングが行われる。
【0062】
最遅角維持制御では、油圧ポンプPからの作動油が殆ど供給されない状態でありながらアキュムレータ27の作動油が油圧ポンプPの方向に流れ出る不都合をチェック弁28が阻止しつつ、遅角室Cbに供給して(圧力を作用させて)相対回転角を最遅角に拘束する。この拘束により吸気タイミングが乱れることがなく、ベーン17が、外部ロータ11の突出部11Tに繰り返して当接して異音を発生させることもない。特に、アキュムレータ27の作動油の供給によって相対回転角を最遅角に維持するためロック機構を備えずに済み、装置の部品点数を増大させることがない。
【0063】
次に、進角移行制御により相対角を進角方向に移行させることで、中間ロック機構Lをロック状態にすることにより、エンジンEを燃費の良い安定的な状態で稼動させる。
【0064】
また、自動始動が行われる際、あるいは、運転者がイグニッションスイッチ45をON操作した際に、エンジン温が設定値を越える場合には、最遅角拘束制御と同様の制御を行うことで、燃焼室を低い圧縮比に維持する状態で吸気タイミングを乱さず、異音を発生させない始動を実現する。この制御では前述と同様に油圧ポンプPからの作動油が供給されない状態でありながらアキュムレータ27の作動油を用いて最遅角に拘束する制御が行われる。
【0065】
これとは逆に、自動始動が行われる際、あるいは、運転者がイグニッションスイッチ45をON操作した際に、エンジン温が設定値未満である場合には、クランキングと同時にアキュムレータ27の作動油により相対回転角を進角方向に変化させる。これにより、相対回転角を迅速にロック角まで変化させ中間ロック機構Lによるロック状態に移行し、エンジンEの安定的な稼動を実現する。この制御においても、油圧ポンプPからの作動油が供給されない状態でありながらアキュムレータ27の作動油が油圧ポンプPの方向に流れ出る不都合をチェック弁28が阻止しつつ、進角室Caに供給して(圧力を作用させて)相対回転角をロック角まで変化させて中間ロック機構Lによるロックを実現する。
【0066】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0067】
(a)信号待ち等、走行を一時的に停止した場合に、エンジンEを停止させる、所謂、アイドルストップ制御が行われるエンジンEの弁開閉制御装置に適用しても良い。このように構成する場合には、スタータモータによってクランキングが行われる際に吸気タイミングを乱さず、異音を発生させずにエンジンEの始動を行える。
【0068】
(b)エンジンEが自動停止した状態にある状態で、運転者がイグニッションスイッチ45の操作でエンジンEを停止する場合には、吸気タイミング制御機構10の相対回転角を中間ロック機構Lによって中間位置にロックするために、電動モータMを逆転させるように機関制御部41の制御形態を設定する。この逆転により中間位置に確実にロックできる。
【0069】
(c)3気筒型のエンジンEに本発明の弁開閉制御装置を適用する。3気筒型のエンジンEでは、クランク軸に戻り方向の力を作用させる要素として、ピストンの圧縮行程と、吸気側のカム軸3の開き工程と、排気側のカム軸の開き工程とが同位相で発生する。このような構成のため、エンジンEを停止した場合には、クランク軸1を戻す方向に作用する力が外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転角を遅角方向に向かわせる方向に作用することになり、エンジンEの停止中にアキュムレータ27からの作動油の圧力を作用させずに最遅角に良好に拘束できる。もしくは、エンジンEの始動時にはアキュムレータ27からの作動油の圧力を強く作用させずとも相対回転角を最遅角に良好に拘束できる。
【0070】
(d)中間ロック機構Lを、相対回転角が進角方向に変化する際に逆方向(遅角方向)への回転を阻止しながらロック角に達した場合には、その回転角(ロック角)を維持するラチェット部を備えて構成する。この中間ロック機構Lでは、油圧式にラチェット部の機能を解除する構成を必要とするが、中間位置に達するまでに相対回転角が変動した場合にも相対角が進角方向に変動する現象を阻止して円滑な始動を実現する。
【0071】
特に、ラチェット部を備えて中間ロック機構Lを構成したものでも、自動停止状態からシステム停止状態に移行する場合に、電動モータMの駆動でクランク軸を回転させることで中間ロック機構Lによるロック状態に移行できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、運転者による停止操作が行われない状況で停止条件が成立した場合に自動停止し、この後に始動条件が成立した場合に自動始動する内燃機関において、吸気弁の開閉タイミングを制御する弁開閉制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 クランク軸
3 カム軸
11 駆動側回転体(外部ロータ)
12 従動側回転体(内部ロータ)
24 相対回転角制御弁
26 蓄圧制御弁
27 アキュムレータ
28 チェック弁
29 制御油路
31 接続油路
41 機関制御部
42 タイミング制御部
A 相対回転角制御ユニット
Ca 進角室
Cb 遅角室
E 内燃機関(エンジン)
L ロック機構(中間ロック機構)
M 電動モータ
P 油圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による停止操作が行われない状況で停止条件が成立した場合に機関制御部により自動停止し、この後に始動条件が成立した場合に前記機関制御部により自動始動する内燃機関が構成されると共に、
前記内燃機関のクランク軸と同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカム軸と一体回転し、且つ、前記駆動側回転体と相対回転可能な従動側回転体とを備え、圧油が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を進角方向に変化させる進角室と、圧油が供給されることにより前記相対回転角を遅角方向に変化させる遅角室とが前記駆動側回転体と前記従動側回転体の間に形成され、
前記相対回転角を、最進角と最遅角との間の制御領域で設定する相対回転角制御ユニットを備え、
前記相対回転角制御ユニットが、前記進角室と前記遅角室との一方を選択して作動油を供給する相対回転角制御弁と、この相対回転角制御弁を制御するタイミング制御部と、前記作動油を加圧状態で貯留するアキュムレータと、このアキュムレータを制御する蓄圧制御弁とを備えて構成され、
前記相対回転角制御ユニットは、前記自動停止が行われる際に、前記相対回転角を最遅角に設定する最遅角設定制御を実行し、前記自動始動が開始された際に、前記自動始動の開始から設定タイミングまで遅角ポジションに前記相対回転角制御弁を制御し、前記アキュムレータの作動油の圧力を前記遅角室に作用させるように前記蓄圧制御弁を制御する弁開閉制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関で駆動される油圧ポンプと前記相対回転角制御弁との間にはチェック弁を有し、
前記相対回転角制御ユニットは、前記自動停止から前記自動始動までの間、遅角ポジションに前記相対回転角制御弁を制御する請求項1記載の弁開閉制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関で駆動される油圧ポンプからの作動油を前記遅角室に供給する制御油路が形成され、この制御油路に対して、前記相対回転角制御弁より前記油圧ポンプ側位置に前記油圧ポンプから送り出される作動油の流れを許容するチェック弁が介装され、前記相対回転角制御弁と前記チェック弁との中間の前記制御油路に前記アキュムレータからの作動油が接続油路により供給される請求項1記載の弁開閉制御装置。
【請求項4】
前記相対回転角制御ユニットは、前記自動始動の開始から前記クランク軸の回転速度が設定値に達した時点で、前記内燃機関の燃焼室の点火を行うと共に、前記相対回転角を進角方向に変化させる進角移行制御を行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁開閉制御装置。
【請求項5】
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を、最進角と最遅角との間のロック角に拘束するロック機構を備えている請求項4記載の弁開閉制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関の前記クランク軸を回転駆動する電動モータを備え、
前記内燃機関が自動停止した状態で、運転者が前記内燃機関を停止する操作を行った場合には、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転角を前記最進角と前記最遅角との中間のロック角に設定するように前記機関制御部が前記電動モータの逆転を行う請求項5記載の弁開閉制御装置。
【請求項7】
前記内燃機関が停止している状態で、前記クランク軸に対しピストンの圧縮行程と、吸気側のカム軸の開き工程と、排気側のカム軸の開き工程とが同位相で遅角方向に作用する3気筒型に構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の弁開閉制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−96375(P2013−96375A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242689(P2011−242689)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】