説明

引出しのラッチ作動機構

【課題】係合部の係脱を把手の引出し作用と同期して確実に行うことができるともに、引出しを引き出す際に、把手に対し偏心した力が加わった場合でも、長寸化、複雑化することなく把手の操作をスムーズに行うことができる引出しのラッチ作動機構を提供すること。
【解決手段】引出し2の正面板3の前面に設けた把手5と、該把手5の操作と連動して前後摺動するスライド軸59と、該スライド軸59と連動してスライド軸59と直行する方向に摺動する係合部49と該係合部49が係脱する筐体側の被係合部とを備えたラッチ装置33と、を有する引出しのラッチ作動機構において、把手5を、正面板3の前方に突出する左右または上下に広幅の手掛け部6と、該手掛け部6から後方に延設された広幅の摺動部7と、該摺動部7の後端でスライド軸59と螺着される取付部8とを備えるものとし、正面板3に、摺動部7を前後摺動可能かつ回動不能にガイドする開口部3bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しの正面板の前面に設けたラッチ操作用の把手と、該把手の操作と連動して前後摺動するスライド軸と、該スライド軸と連動してスライド軸と直行する方向に摺動する係合部と該係合部の端部が係脱する筐体側の被係合部とを備えたラッチ装置と、を有する引出しのラッチ作動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
引出しの正面板側に設けたラッチ操作用の把手と、該把手の操作と連動して前後摺動するスライド軸と、該スライド軸と連動してスライド軸と直行する方向に摺動する係合部と該係合部の端部が係脱する筐体側の被係合部とを備えたラッチ装置と、を有する従来の引出しは、引出しを引き出す場合に、ラッチ操作用の把手を先ず指先で操作して係合部を被係合部から離脱させ、その離脱状体を保持した状態で引出しを手前側に引き出すように構成したものが知られている(特許文献1)。しかしながら、この従来の引出しは、指先でラッチ操作用の把手を操作した後に引き出さなければならず、引出し操作が2段操作となり使い勝手が悪かった。そこで、単に引き出す操作だけでラッチを解除できるようにした機構も開発されている(特許文献2)。この機構は左右広幅の手掛け部を持って引き出せばクランク軸が回動し、このクランク軸の回動によってラッチ軸を作動し引出の側方に設けたラッチが駆動されるので、引出操作だけで自動的にラッチが解除され便利である。
【0003】
【特許文献1】特開平09−158582号公報(段落0028、図3,4)
【特許文献2】特開平2005−16223号公報(段落0032、0033、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2においては、左右広幅の手掛け部の左右両側に後方に各々延設された一対の摺動部を備えているため、把手に対し偏心した力が加わった場合、一対の摺動部が同期して移動せず、クランク軸に捻れが生じるおそれがあるので、クランク軸が正常に回転するように、変位阻止部材としての棒受け部材をクランク軸の長手方向に渡って設ける必要があり、ラッチ機構の長寸化、複雑化が避けられなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、係合部の係脱を把手の引出し作用と同期して確実に行うことができるともに、引出しを引き出す際に、把手に対し偏心した力が加わった場合でも、長寸化、複雑化することなく把手の操作をスムーズに行うことができる引出しのラッチ作動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の引出しのラッチ作動機構は、引出しの正面板の前面に設けたラッチ操作用の把手と、該把手の操作と連動して前後摺動するスライド軸と、該スライド軸と連動してスライド軸と直行する方向に摺動する係合部と該係合部が係脱する筐体側の被係合部とを備えたラッチ装置と、を有する引出しのラッチ作動機構において、前記把手を、前記正面板の前方に突出する左右または上下に広幅の手掛け部と、該手掛け部から後方に延設された手掛け部と同じ方向に広幅の摺動部と、該摺動部の後端で前記スライド軸と螺着される取付部とを備えるものとし、前記正面板に、前記摺動部を前後摺動可能かつ回動不能にガイドする開口部を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、摺動部の後端にスライド軸を螺着して係合部を作動することができるので、ラッチの作動機構が長寸化、複雑化することなく係合部の係脱を把手の引出し作用と同期して確実に行うことができる。また、把手の広幅の摺動部が、正面板に設けた開口部により摺動可能かつ回動不能にガイドされるので、把手の操作をスムーズに行うことができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の引出しのラッチ作動機構は、請求項1に記載の引出しのラッチ作動機構であって、前記開口部は、前記摺動部と略同一の外形寸法を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、かつ開口部が摺動部と略同一の外形寸法を有して摺動部をガイドしているので、開口部から正面板内部に異物が入り込む虞がなく、ラッチ機構の作動に支障を与えることがない。
【0008】
本発明の請求項3に記載の引出しのラッチ作動機構は、請求項1または2に記載の引出しのラッチ作動機構であって、前記開口部内面には、前記摺動部をガイドし、摺動部の後面と当接可能なスライド緩衝材を配設したことを特徴としている。
この特徴によれば、摺動部をスライド緩衝材によって確実に摺動案内させることができるとともに、開口部内面の損傷を避けることができる。また、把手を引出位置から戻したときに摺動部がスライド緩衝材と当接することで、緩衝効果により振動や音を低減させることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の引出しのラッチ作動機構は、請求項1乃至3のいずれかに記載の引出しのラッチ作動機構であって、前記取付部を、前記摺動部の略中央位置に後向きに突設された突起とし、該突起に、前記スライド軸の前端部の雄ネジが螺合される雌ネジを形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、摺動部の略中央部にスライド軸の前端部の雄ネジと螺合する突起を設けたので、雄ネジを介してスライド軸が突起に螺合されることから、把手を引く力がスライド軸にこじれることなく伝達されやすく、より円滑にスライド軸を操作して係合部を作動することができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の引出しのラッチ作動機構は、請求項1乃至4のいずれかに記載の引出しのラッチ作動機構であって、前記把手を略口字状とし、長手方向に伸びる後方の一辺を摺動部としたことを特徴としている。
この特徴によれば、把手を略口字状とすることで堅牢かつ手掛け部を保持しやすい構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例における棚板および引出しにラッチ装置が適用された筐体の全体像を示す斜視図であり、図2は、引出しを正面側から見た正面板の中央部の分解組立斜視図であり、図3(a)は、係合部を備えたロック装置と把手とスライド緩衝材の取り付けを示す要部拡大側断面図であり、図3(b)は、被係合部を備えた取付板を筐体側の枠体に取り付ける要部拡大側断面図であり、図4は、ロック装置と把手とスライド緩衝材の組み付け完了斜視図であり、図5は、図4のA−A断面線を示す要部拡大側断面図であり、(a)はラッチ係合状態、(b)はラッチ解除状態を示す。
【0013】
図1に示されるように、筐体1には引出し2が上下3段で設けられ、それぞれの引出し2が筐体内部を区画する枠体4内に個々に収納されている。引出し2の前面には正面板3を有し、この正面板3の略中央位置には、把手5が前方に突出して設けられ、正面板3内にはスライド緩衝材9が介装されている。以下、本実施例の説明において、図1に図示された筐体1を対面した状態で見て、引出し2の引出し側を前方とし、筐体1の背面側を後方とし、左手側面側を左方、右手側面側を右方として説明する。
【0014】
正面板3の後面の左右略中央位置には、上方に向けて突設した係合部に相当する係合突体49を備えたロック装置33が設けられ、枠体4には下方に向けて突設した被係合部に相当する係止突体92が設けられ、この係合突体49と係止突体92を一組としてラッチ装置30が構成されており、引出し2の収納時に係止突体92に係合突体49が係合されることで引出し2の前方移動が規制され、係止突体92からの係合突体49の係合解除は把手5の操作により行われるが、このラッチ装置の作動機構については後述において詳しく説明する。
【0015】
図2に示されるように、把手5は前方に左右広幅な手掛け部6を備えるとともに、後方に手掛け部6と同じ方向に広幅な摺動部7を備え、両部6,7の左右端部同士が前後方向に連結された上面視略ロ字状の形状として、アルミ等の金属や硬質な合成樹脂材等で成型されており、摺動部7の左右中央部には円柱状の取付部に相当する突起8が後ろ向きに突設され、突起8の後面から前方に向けて雌ネジ孔8aが形成されている。
【0016】
スライド緩衝材9は緩衝性を有する軟質な合成樹脂材から成型され、把手5の摺動部7を前後方向に向けて摺動かつ回動不能に収納可能な摺接枠部11が設けられているとともに、摺接枠部11の左右中央部には後ろ向きに突設される円柱状の嵌合部10が設けられ、嵌合部10には把手5の突起8が前後方向に摺動できる摺動孔10aが形成されている。そして摺接枠部11の後面11aは、把手5が前方に引き出されない状態では、常に摺動部7の背面と当接している。
【0017】
ロック装置33の外部形状は、硬質の合成樹脂材から成型された矩形の前面が開口する箱体34と開口を閉塞する閉塞板78とで構成され、箱体34の上部には上下方向に貫通する案内口36が形成され、上方に向けて突設した係合突体49が上下移動可能になっている。箱体34の後面の略中央位置には、前方先端部に雄ネジ部63aおよび後端に大径頭部63bを備えたネジ杆63が挿通できる挿通孔37が形成されている。
【0018】
閉塞板78の略中央位置には、前方に向けて筒状の環状突体82が突設され、この環状突体82に、ネジ杆63に外挿した筒状のスライド軸59を前後方向に向けて摺動可能に保持するスライド軸摺動孔82aが形成されている。箱体34の前方四隅には、固定ネジ83を挿通可能な取付孔34aが各々形成されている。尚、ロック装置33の内部構造については後述する。
【0019】
正面板3の前面には、スライド緩衝材9の摺接枠部11の外方を嵌合可能な開口部3bが開口形成され、開口部3bの左右中央位置から後方に向けて、正面板3を前後方向に貫通する環状の貫通孔3aが開口部3bと連通して形成されている。正面板3の後面にはロック装置33を固定ネジ83で螺合するためのネジ孔3cが上下左右の4箇所に形成されている。
【0020】
図3(a)に示されるように、正面板3の前方からはスライド緩衝材9が開口部3bに向けて圧入されることで、摺接枠部11が開口部3bに嵌合固定されるとともに、嵌合部10が貫通孔3aに嵌合される。尚、摺接枠部11の周囲には外方に向けて係止爪10bが突設されており、スライド緩衝材9の正面板3からの取り外れを確実に防止している。そして、スライド緩衝材9の内部に向けて把手5を移動していくことで、突起8が摺動孔10aに向けて挿し込まれるとともに、摺動部7が摺接枠部11内に摺動自在に、かつ回動不能に収納される。
【0021】
次いで、正面板3の後方からは各固定ネジ83がそれぞれ対応する取付孔34aを介して各ネジ孔3cに螺合されることで、ロック装置33が正面板3の後面に対して堅固に取り付けられるとともに、閉塞板78の環状突体82が貫通孔3aに向けて嵌合される。そして、ネジ杆63を挿通孔37から前方に向けて挿し込み、スライド軸59を介して雄ネジ部63aを突起8の雌ネジ孔8aに螺合することで、把手5がロック装置33に連結固定される。
【0022】
図3(b)に示されるように、係止突体92を備えた取付板91は一対のネジ94,94を一対のネジ孔91a,91aに螺着することで枠体4の下面に固定されている。この係止突体92の後面は、ロック装置33から突設される係合突体49とロック時に係合され、引出し2の前方への移動が規制されている。係止突体92の前面には下方に向けて傾斜面92aが形成され、係合突体49との摺接面となる。
【0023】
把手5がこのようにして正面板3の取り付けられると、図4に示されるように、把手5の広幅な摺動部7は、開口部3bに取り付けられた摺接枠部11内に殆ど隙間なく収納されるので、把手5後部の突起8を軸とする軸周りの回動が規制され、把手5のガタツキが防止される。したがって、正面板3の前方から内部に異物が入り込む虞が回避され、把手5の前後方向の操作をスムーズにガイドすることができる。
【0024】
そして、開口部3bの内面に配設された摺接枠部11を有するスライド緩衝材9によって、開口部3bの内面の損傷を避けることができる。また、把手5の引出し操作の位置から元の収納位置に戻した際に、摺動部7の背面が緩衝材から成る摺接枠部11の後面11aと当接することで、振動や音を低減させることができる。また、把手5の形状が略ロ字状に形成されているので、手掛け部6を保持し易く、堅牢な構成となっている。
【0025】
次に、ロック装置33の構造について図5に基づき説明するが、その具体的な構造は例えば、特許第2761201号「扉のロック装置」に示されるような公知のものであり、詳細についての説明は省略する。
【0026】
図5(a)に示されるように、閉塞板78で閉塞された箱体34のスライダ収容凹部35内には、上下方向に摺動可能なスライダ46が収容され、この上面に上方に向けて突設される係合突体49が形成されている。スライダ46の下部と箱体34との間にはスプリング56が介在されており、スプリング56の付勢力によってスライダ46が通常上方に向けて押し上げられており、この係合突体49は箱体34の上部に形成された案内口36を介して突出して枠体4側の係止突体92に係合した状態に維持されている。
【0027】
スライダ46には前後に開口して連通された収容室47が形成され、収容室47内に側面視略三角形状のカム体60が設けられている。カム体60には、左右方向を向く支軸61が延在されるとともに、左右方向を向く係合突起62が突設されている。支軸61は箱体34の後部内面に設けられた軸受体39に挿着支持されており、支軸61を軸心としてカム体60が回動自在になっている。収容室47の上下略中間位置には、前後方向に向けてスライド軸59が設けられており、スライド軸59の前方部が閉塞板78の環状突体82に形成されたスライド軸摺動孔82aに対して前後摺動可能に保持されている。
【0028】
スライド軸59の後部には係合凹部59aが形成され、係合凹部59a内にカム体60の係合突起62が係合されている。スライド軸59には、予め箱体34の後方の挿通孔37から挿通されたネジ杆63が前後方向に向けて挿通され、前方の雄ネジ部63aが突起8の雌ネジ孔8aに螺合され把手5に固着されるとともに、後方の大径頭部63bによってスライド軸59のネジ杆63からの抜けが防止されている。
【0029】
このように、スライド軸59の前端からネジ杆63の雄ネジ部63aが突出して、摺動部7の左右中央位置に設けられた突起8に螺合されることから、手掛け部6を把持しながら把手5を前方に向けて引き出す際に、把手5を引く力がこじれることなくネジ杆63を介してスライド軸59に伝達されやすく、より円滑にスライド軸59を操作して係合突体49を作動することができる。
【0030】
図5(b)に示されるように、手掛け部6を把持しながら把手5が前方に向けて引き出されると、ネジ杆63が同期してスライド軸59を前方に向けて引き出す。そして、スライド軸59がスライド軸摺動孔82aに沿って摺動することで、係合凹部59aに係合される係合突起62が前方に移動される。この係合突起62の前方移動によって、徐々にカム体60が支軸61回りに回動移動され、スプリング56の付勢力に抗してスライダ46が下方に押し下げられて、係合突体49をスライダ収納凹部35内に収納するとともに、係止突体92からの係合が解除され、非ロック状態となって引出し2を前方に向けて引出し可能な状態となる。
【0031】
そこで、引出し2を枠体4から引き出した状態で手掛け部6から手を離間すると、スプリング56の付勢力によりスライダ46が上方に向けて押し戻されることから、係合突体49が係合可能な位置まで戻される。その後、手掛け部6を把持しながら把手5を後方に向けて押し込むと、係合突体49が係止突体92と当接し、更に押し込むことで係合突体49の傾斜面92aに沿って係合突体49の傾斜面49aが摺接しながら下動し、スプリング56を圧縮してスライダ46を押し下げる。さらに把手5を後方に向けて押し込むことで、係合突体49が係止突体92を通り抜けることにより、スプリング56の付勢力によってスライダ46が再度押し上げられ、係合突体49が係止突体92に係合されロック状態となって引出し不能となる。
【0032】
以上の説明により実施例では、把手5の摺動部7の後端(突起8)に、スライド軸59を螺着し、カム体60を介して係合突体49を作動することができるので、ラッチの作動機構が長寸化、複雑化することなく、係合部である係合突体49と被係合部である係止突体92との係脱を把手5の引出し作用と同期して確実に行うことができる。
【0033】
更に、把手5の広幅の摺動部7が、正面板3に設けた開口部3bにより、スライド緩衝材9を介して摺動可能かつ回動不能にガイドされるので、把手5の左右に延びる手掛け部6を前方に引き出す際に、把手5に対し偏心した力が加わった場合でも、把手5の操作をスムーズに行うことができ、容易にスライド軸59を介して係合突体49を確実かつ円滑に作動することができる。
【0034】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば上記実施例では、ネジ杆63を介して螺着されるスライド軸59の取付部を突起8としたことで、把手5を引く力がスライド軸59に伝達しやすいことから好ましいが、本発明のスライド軸59の取付位置はこれに限定されるものではなく、突起8を設けずに摺動部7の一部をスライド軸59の取付部としてもよく、この構成であっても把手5の引出し操作によって、摺動部7がガイドされることから、スライド軸59が確実に前方に引き出され係合突起49が作動される。
【0035】
また、上記実施例では、スライド緩衝材9を正面板3の開口部3bに設けたことで、開口部3bと摺動部7とが直に当接することなく互いが保護されるとともに、スライド緩衝材9と摺動部7の間隙が近接した状態であるので、より確実に摺動部7が前後方向にガイドされることから好ましいが、スライド緩衝材9を必ずしも設ける必要はなく、正面板3の開口部3bに直接摺動部7を案内させるようにしても良い。
【0036】
また、上記実施例では、正面板3の開口部3bを左右に向けて広幅に形成し、この左右方向に沿って把手5を横向きで取り付けていることから、手掛け部6に手を掛けやすく操作を行いやすいことから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、開口部3bを上下方向に向けて広幅に形成し、把手5を縦向きで取り付けるようにしてもよく、この場合にも把手5の操作を容易に行うことができる。
【0037】
また、上記実施例では、スライド軸59がネジ杆63で把手5に連結されることから、取り付けが容易で簡便な構成となっていることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、スライド軸59の前端部に前方を向く雄ネジを一体で設け、直に把手5に連結するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例における棚板および引出しにラッチ装置が適用された筐体の全体像を示す斜視図である。
【図2】引出しを正面側から見た正面板の中央部の分解組立斜視図である。
【図3】(a)は、係合部を備えたロック装置と把手とスライド緩衝材の取り付けを示す要部拡大側断面図であり、(b)は、被係合部を備えた取付板を筐体側の枠体に取り付ける要部拡大側断面図である。
【図4】ロック装置と把手とスライド緩衝材の組み付け完了斜視図である。
【図5】図4のA−A断面線を示す要部拡大側断面図であり、(a)はラッチ係合状態、(b)はラッチ解除状態を示す。
【符号の説明】
【0039】
1 家具等の筐体
2 引出し
3 正面板
3a 貫通孔(開口部の一部)
3b 開口部
3c ネジ孔
4 枠体
4a 螺合穴
5 把手
6 手掛け部
7 摺動部
8 突起(取付部)
8a 雌ネジ孔
9 スライド緩衝材
10 嵌合部
10a 摺動孔
10b 係止爪
11 摺接枠部
11a 後面
30 ラッチ装置
33 ロック装置
34 箱体
36 案内口
37 挿通孔
49 係合突体(係合部)
49a 傾斜面
59 スライド軸
63 ネジ杆
63a 雄ネジ部
63b 大径頭部
78 閉塞板
82 環状突体
82a スライド軸摺動孔
91 取付板
92 係止突体(被係合部)
92a 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出しの正面板の前面に設けたラッチ操作用の把手と、該把手の操作と連動して前後摺動するスライド軸と、該スライド軸と連動してスライド軸と直行する方向に摺動する係合部と該係合部が係脱する筐体側の被係合部とを備えたラッチ装置と、を有する引出しのラッチ作動機構において、
前記把手を、前記正面板の前方に突出する左右または上下に広幅の手掛け部と、該手掛け部から後方に延設された手掛け部と同じ方向に広幅の摺動部と、該摺動部の後端で前記スライド軸と螺着される取付部とを備えるものとし、前記正面板に、前記摺動部を前後摺動可能かつ回動不能にガイドする開口部を設けたことを特徴とする引出しのラッチ作動機構。
【請求項2】
前記開口部は、前記摺動部と略同一の外形寸法を有している請求項1に記載の引出しのラッチ作動機構。
【請求項3】
前記開口部内面には、前記摺動部をガイドし、摺動部の後面と当接可能なスライド緩衝材を配設した請求項1または2に記載の引出しのラッチ作動機構。
【請求項4】
前記取付部を、前記摺動部の略中央位置に後向きに突設された突起とし、該突起に、前記スライド軸の前端部の雄ネジが螺合される雌ネジを形成した請求項1乃至3のいずれかに記載の引出しのラッチ作動機構。
【請求項5】
前記把手を略口字状とし、長手方向に伸びる後方の一辺を摺動部とした請求項1乃至4のいずれかに記載の引出しのラッチ作動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−224533(P2007−224533A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44752(P2006−44752)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】