説明

弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計

【課題】 フローチューブに作用する軸応力を分散させることが可能な直管式コリオリ流量計を提供する。
【解決手段】 直管式コリオリ流量計21は、直管状のフローチューブ3と、三次モード振動で駆動する駆動装置7と、コリオリの力に比例した位相差を検出する一対の検出手段8と、剛性のある台座22と、弾力性のある弾性連結部材23とを備える。フローチューブ3の軸方向をZ軸、駆動装置7の駆動方向をX軸、Z軸及びX軸に直交する方向をY軸とすると、弾性連結部材23は、X軸方向及びY軸方向の各剛性よりもZ軸方向の剛性の方が低い構造となる弾性体、且つ、Z軸を中心とする回転方向及びX軸を中心とする回転方向の各剛性よりもY軸を中心とする回転方向の剛性の方が低い構造となる弾性体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流管に作用するコリオリの力に比例した位相差及び/又は振動周波数を検出することにより被測定流体の質量流量及び/又は密度を得る直管式のコリオリ流量計に関し、詳しくは、直管(フローチューブ)を三次モードで振動させるとともに、構成に弾性連結部材及び台座を有する直管式コリオリ流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
直管式コリオリ流量計は、両端が支持された直管(フローチューブ)の中央部直管軸に垂直な方向の振動を加えたとき、直管の支持部と中央部との間でコリオリの力による直管の変位差、すなわち位相差信号が得られ、その位相差信号に基づいて質量流量を検知するように構成されている。このような直管式コリオリ流量計は、シンプル、コンパクトで堅牢な構造を有している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図13において、従来の直管式コリオリ流量計1は、外筒2と、フローチューブ(インナチューブ)3と、カウンタバランス(アウタチューブ)4と、連結ブロック5と、板バネ6と、駆動装置7と、検出器(検出手段)8と、図示しない重錘等とを備えて構成されている。フローチューブ3は、その両端部にラッパ状に形成された拡大開口部9を有している。また、フローチューブ3は、両端部の拡大開口部9の間に真っ直ぐな直管部10を有している。
【0004】
フローチューブ3の直管部10には、その外側にカウンタバランス4が設けられている。フローチューブ3の直管部10とカウンタバランス4は、カウンタバランス4の両端部において連結ブロック5により同軸に接合されている。連結ブロック5は、剛体として設けられている。直管部10とカウンタバランス4によって、二重管構造が形成されている。外筒2は、その内部に二重管構造を収容することができるように形成されている。外筒2の両端部は、フローチューブ3の拡大開口部9に向けて窄まるように形成されている。外筒2の両端部は、拡大開口部9に対して溶接されている。外筒2の両端部と拡大開口部9は、液密に固着されている。拡大開口部9の開口端部には、接続フランジ11が溶接されている。図中の拡大開口部9は、バネ作用を有するように形成されている。
【0005】
板バネ6は、フローチューブ3の直管部10に直交する面を有しており、一端が連結ブロック5に、他端が外筒2の内壁に固着されている。また、板バネ6は、共振振動方向に対して直交方向に配置されている。駆動装置7は、フローチューブ3とカウンタバランス4の中央位置に取り付けられている。駆動装置7は、フローチューブ3の直管部10とカウンタバランス4とを互いに反対位相の連成振動周波数で駆動するようになっている。検出器8は、駆動装置7の左右対称位置に取り付けられている。図示しない重錘は、駆動装置7の反対側の位置に取り付けられている。より具体的に、図示しない重錘は、駆動装置7の駆動方向に取り付けられている。図示しない重錘は、連結ブロック5まわりのフローチューブ3の固有振動数とカウンタバランス4の固有振動数とが等しく調整することができるように設けられている。
【0006】
上記構成において、フローチューブ3とカウンタバランス4とからなる共振系は、板バネ6により支持されている。また、共振系から延長される直管部10の端部における拡大開口部9は、接続フランジ11の位置で支持されている。従って、フローチューブ3は複数点で支持されている。このような構成の直管式コリオリ流量計1は、図示しない被測定流体をフローチューブ3に流した状態で駆動装置7を共振駆動させて、検出器8によりコリオリの力に比例した位相差信号を検出することで質量流量を測定することができるようになっている。直管式コリオリ流量計1において、駆動装置7の共振駆動により、共振系には定在波が形成されるようになっている。上記の各支持点は、振動の節部となっている。
【特許文献1】特許第2786829号公報 (第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の直管式コリオリ流量計1にあっては、耐振性向上と振動漏洩とをなくすために、フローチューブ3の振動に対して反対方向に振動する質点、すなわちカウンタバランス4を設けて振動を相殺するような構造をとっている。また、従来の直管式コリオリ流量計1にあっては、駆動装置7と検出器8とを外筒2でなくカウンタバランス4に設置するような構造をとるとともに、駆動装置7と検出器8とを設置したカウンタバランス4を外筒2でなくフローチューブ3の二箇所に連結ブロック5を介してそれぞれ固定するような構造をとっている(直管式コリオリ流量計1に対して外乱が作用した場合に、検出器8に直接ノイズが重畳しないようにするための構造。また、最も振動が容易な低次の曲げ振動(外乱により生じる最も主要なモード)と駆動モードとを異なったものとするための構造)。さらに、従来の直管式コリオリ流量計1にあっては、板バネ6を設けて連結ブロック5の位置を固定し、結果、振動の方向性を決定するような構造をとっている(板バネ6を設けることで、連結ブロック5に振動時において回転中心が存在する)。
【0008】
ところで、このような構造をとる従来の直管式コリオリ流量計1にあっては、フローチューブ3とカウンタバランス4とを連結する連結ブロック5が上述の如く剛体であることから、次のような問題点を有している。すなわち、フローチューブ3に軸力が発生すると、一対の連結ブロック5の間、及びフローチューブ3の両端と連結ブロック5との間に局所的な応力が生じてしまい、場合によってはフローチューブ3に応力が残留したり、フローチューブ3が塑性変形してしまったりする恐れがあるという問題点を有している。
【0009】
以下、模式図を用いてフローチューブ3に作用する軸応力について説明する。尚、軸応力による不具合を分かり易くするため、以下の説明では拡大開口部9の機能(バネ作用)を無視して説明するものとする。図14(a)〜(d)はフローチューブ3の内部に流れる被測定流体の温度を上昇させた時のフローチューブ3とカウンタバランス4との状態を示す模式図、図14(e)はフローチューブ3とカウンタバランス4と連結ブロック5と板バネ6との位置関係を示す斜視図である。
【0010】
フローチューブ3に被測定流体を流し駆動装置7を共振駆動させると、図14(a)に示すような軌跡でフローチューブ3及びカウンタバランス4が振動する。被測定流体の温度が上昇しない状態においては、全体の温度が均等(温度変化が生じてない)であり、この時、一対の連結ブロック5の間、及びフローチューブ3の両端と連結ブロック5との間には、まだ軸応力が発生してないことになる(但し、駆動中は振動による応力が別に作用する)。
【0011】
被測定流体を流し続けこの温度を上昇させると、温度変化によってフローチューブ3には、軸方向に伸びようとする力が発生する。これに対して、上記温度変化の熱が伝わりきれてないカウンタバランス4には、フローチューブ3程の伸びの力が発生せず、結果、連結ブロック5の間の距離はほぼ変わらないままとなる。従って、図14(b)に示すようにフローチューブ3には、振動による応力の他に、圧縮となる局所的な軸応力が発生することになる。
【0012】
その後、温度変化による熱に馴染んだカウンタバランス4が軸方向に伸びると、これに合わせて連結ブロック5の間の距離も長くなり、連結ブロック5の間で生じていた軸応力は図14(c)に示すように緩和されることになる。しかしながら、フローチューブ3の両端と連結ブロック5との間の圧縮となる軸応力は逆に増大することから、フローチューブ3には、局所的に大きな軸応力が作用することになる。
【0013】
全体の温度が均等になり、フローチューブ3の固定端間の距離も伸びて長くなると、図14(d)に示すようにフローチューブ3の全体に軸応力がなくなり、結果、状態が安定する。
【0014】
図15(a)〜(d)はフローチューブ3の内部に流れる被測定流体の温度を降下させた時のフローチューブ3とカウンタバランス4との状態を示す模式図である。図15(a)は、被測定流体の温度が高く全体の温度が均等な状態を示しており、この状態においては、フローチューブ3の全体に軸応力が作用してないことになる。
【0015】
被測定流体の温度を降下させると、温度変化によってフローチューブ3には、軸方向に縮もうとする力が発生する。これに対して、カウンタバランス4の長さ、すなわち連結ブロック5間の距離、フローチューブ3の固定端間の距離には変化が見られず、図15(b)に示すようにフローチューブ3には、引っ張りとなる局所的な軸応力が作用することになる。
【0016】
その後、温度変化による熱に馴染んだカウンタバランス4が軸方向に縮むと、これに合わせて連結ブロック5の間の距離も短くなり、連結ブロック5の間で生じていた軸応力は図15(c)に示すように緩和されることになる。しかしながら、フローチューブ3の両端と連結ブロック5との間の引っ張りとなる軸応力は逆に増大することから、フローチューブ3には、局所的に大きな軸応力が作用することになる。
【0017】
全体の温度が均等になり、フローチューブ3の固定端間の距離も縮んで短くなると、図15(d)に示すようにフローチューブ3の全体に軸応力がなくなり、結果、状態が安定する。
【0018】
以上の説明からも分かるように、従来の直管式コリオリ流量計1は、フローチューブ3に作用する軸応力を管軸方向に分散させ難い構造となっている。従って、従来の直管式コリオリ流量計1は、温度変化に弱い構造となっている。
【0019】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、フローチューブに作用する軸応力を分散させることが可能な直管式コリオリ流量計を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計は、被測定流体が流れる直管状のフローチューブと、該フローチューブを三次モード振動で駆動する駆動装置と、前記フローチューブに作用するコリオリの力に比例した位相差を検出する一対の検出手段と、前記駆動装置及び前記一対の検出手段の各コイルを固定した状態で前記フローチューブの外側に位置する剛性のある台座と、前記フローチューブの所定の二箇所で前記台座を連結する一対の弾力性のある弾性連結部材とを備え、前記フローチューブの軸方向をZ軸、該Z軸に直交する前記駆動装置の駆動方向をX軸、さらに前記Z軸及び前記X軸に直交する方向をY軸とすると、前記弾性連結部材は、前記X軸方向及び前記Y軸方向の各剛性よりも前記Z軸方向の剛性の方が低い構造となる弾性体、且つ、前記Z軸を中心とする回転方向及び前記X軸を中心とする回転方向の各剛性よりも前記Y軸を中心とする回転方向の剛性の方が低い構造となる弾性体であることを特徴としている。
【0021】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、前記弾性連結部材は、前記フローチューブに連続する第一壁部と、前記台座に連続する第二壁部と、前記Y軸方向の端部において前記第一壁部及び前記第二壁部にそれぞれ連続する一対の壁連続部とを有するとともに、前記第一壁部及び前記第二壁部が間隔をあけて対向し、さらに、前記X軸方向の端部が前記間隔により開口する構造であることを特徴としている。
【0022】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、前記弾性連結部材は、前記壁連続部の前記X軸方向の幅が前記第一壁部及び前記第二壁部の前記X軸方向の幅よりも狭くなる構造であることを特徴としている。
【0023】
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、前記弾性連結部材は、前記フローチューブに連続する紡錘状の平板構造であり、前記台座には、該台座の開口部を介して台座外側へ突出する前記弾性連結部材の前記Y軸方向の端部を固定するためのブラケットを設けることを特徴としている。
【0024】
請求項5記載の本発明は、請求項1ないし請求項4いずれか記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、前記台座は、断面視矩形の筒状体であることを特徴としている。
【0025】
請求項6記載の本発明は、請求項1ないし請求項5いずれか記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、前記フローチューブ、前記台座、及び前記弾性連結部材は、同じ線膨張係数の構造体であることを特徴としている。
【0026】
本発明によれば、フローチューブに対する駆動モードとして、曲げの三次モード振動が採用されている。三次モード振動は、従来のカウンタバランスがなくとも振動漏洩を最小とすることが可能な駆動モードであることから、これが採用理由となっている。駆動装置及び検出手段の各コイルを固定するための台座は、例えばフローチューブの本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に弾性連結部材を介して設けられている。この台座は、駆動装置を駆動してフローチューブを振動させた時も振動せずに、一定位置を保つことが可能な部材として設けられている。台座は、円筒体となる構造の他に、本発明では剛性を高めることを目的として、断面視矩形の筒状体となる構造も採用されている。
【0027】
弾性連結部材は、台座をフローチューブに連結するために設けられている。また、弾性連結部材は、フローチューブに作用する軸応力を全体に分散させるために設けられている。このような弾性連結部材は、温度変化に対し強い構造とするために有用な部材として設けられている。弾性連結部材は、フローチューブの軸方向に対して剛性が弱く、その他の方向に対しては剛性が高くなるように構造が決定されている。また、弾性連結部材は、三次モード振動の動きを阻害しないように、振動方向に対して回転自由支持端となるように構造が決定されている。
【0028】
その他、本発明は、温度変化に対してより一層強い構造とするために、フローチューブ、台座、及び弾性連結部材の線膨張係数を同じにすることが好ましいものとなっている。尚、検出手段は、コイル及びマグネットの構成に限らないものとする。例えば、加速度センサ、光学的手段、静電容量式、歪み式(ピエゾ式)等の変位、速度、加速度のいずれかを検出する手段であればよいものとする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に記載された本発明によれば、フローチューブに作用する軸応力を分散させることができるという効果を奏する。従って、従来よりも温度変化に対する強さを向上させることができるという効果を奏する。その他、請求項1に記載された本発明によれば、従来用いていたカウンタバランスを不要にすることができるという効果を奏する。これにより、被測定流体の密度変化とカウンタバランスの慣性モーメント(質量)とにより生じるアンバランス、すなわち被測定流体の密度が変わってもカウンタバランスの慣性モーメントが不変であることに起因するアンバランスを解消することができるという効果を奏する。従って、器差シフトやバラツキ、さらには密度計測(周波数)に対するシフトもなくすことができるという効果を奏する。
【0030】
請求項2〜4に記載された本発明によれば、弾性連結部材のより良い形態を提供することができるという効果を奏する。また、請求項5に記載された本発明によれば、台座の剛性を高めることができるという効果を奏する。また、請求項6に記載された本発明によれば、温度変化に起因する伸び縮みにおいて部材間でのバラツキをなくすことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。図1は本発明の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計の一実施の形態を示す図であり、(a)は直管式コリオリ流量計の断面図、(b)はフローチューブと台座と弾性連結部材との位置関係を示す斜視図である。また、図2及び図3の各(a)〜(d)は図1の直管式コリオリ流量計のフローチューブの内部に流れる被測定流体の温度を上昇、降下させた時のフローチューブと台座と弾性連結部材との状態を示す模式図である。
【0032】
図1において、本発明の直管式コリオリ流量計21は、先ず従来例と同じものとなる構成部材から挙げると、外筒2と、フローチューブ3と、駆動装置7と、一対の検出器(検出手段。ここでは1つのみ図示)8と、一対の接続フランジ(ここでは1つのみ図示)11とを備えて構成されている(他の一般的な構成部材については省略する)。また、本発明の直管式コリオリ流量計21は、主要な構成部材となる、台座22と、この台座22をフローチューブ3に連結するための一対の弾性連結部材23とを備えて構成されている。
【0033】
本発明の直管式コリオリ流量計21は、従来のカウンタバランス4(図13参照)を設けなくとも振動漏洩を最小にし、また、温度変化に対する強さを従来よりも向上させるために、フローチューブ3を曲げの三次モード振動にて駆動する点と、台座22及び弾性連結部材23を構成部材に加える点とが特徴になっている。その他、構造の特徴としては、従来の板バネ6(図13参照)を設けなくとも、弾性連結部材23がフローチューブ3の振動方向に対して回転自由支持端となる点が挙げられるものとする。以下、各構成部材について説明する。
【0034】
外筒2は、所謂筐体であって、曲げやねじれに強固な構造を有している。外筒2は、フローチューブ3を収納することができる大きさに形成されている。外筒2は、フローチューブ3等の流量計要部、すなわちセンサユニット部分を保護することができるように形成されている。このような外筒2の内部には、アルゴンガス等の不活性ガスが充填されている。不活性ガスの充填により、フローチューブ3等への結露が防止されるようになっている。
【0035】
フローチューブ3は、真っ直ぐな直管部10と、この直管部10の両端に連続するラッパ状の拡大開口部9(ここでは1つのみ図示)とを有している。直管部10には、駆動装置7を構成するマグネット7aと、検出器8を構成する同じくマグネット8aとが固定されている。駆動装置7を構成するマグネット7aは、直管部10の中央位置に固定されている。一方、検出器8を構成するマグネット8aは、マグネット7aの両側で、マグネット7aから等間隔となる位置にそれぞれ固定されている。マグネット7a、8aは、フローチューブ3の振動方向に沿って突出するように固定されている。
【0036】
フローチューブ3は、駆動装置7の駆動によって三次モード振動で振動するようになっている(言い換えれば、駆動装置7はフローチューブ3を三次モード振動で駆動するようになっている)。マグネット8aは、本形態において、フローチューブ3の三次モード振動における二つの節で挟まれた中央の振動部分(但し中央の腹は除く)に固定されるようになっている。拡大開口部9には、外筒2の端部と接続フランジ11とが溶接により固定されている。
【0037】
台座22は、断面視矩形の筒状体且つ剛体であって、従来のカウンタバランス4(図13参照)と同じ位置に配置されている。すなわち、台座22は、フローチューブ3の外側において、フローチューブ3に対し非接触状態となるように配置されている。台座22には、駆動装置7を構成するコイル7bと、検出器8を構成する同じくコイル8bとが固定されている。駆動装置7を構成するコイル7bは、台座22の中央位置に固定されている。一方、検出器8を構成するコイル8bは、マグネット8aの位置に合わせてそれぞれ固定されている。コイル7b、8bは、マグネット7a、8aが恰も貫通するような状態の位置に固定されている。
【0038】
台座22は、フローチューブ3が三次モード振動で振動している最中に振動せず、一定位置を保つことが可能な部材として設けられている(台座22は、従来のカウンタバランス4のような共振する部材でないものとする)。台座22は、弾性連結部材23を介してフローチューブ3に連結されている。
【0039】
弾性連結部材23は、台座22の両端にそれぞれ固定されている。弾性連結部材23は、台座22及びフローチューブ3を連結する機能と、弾性体としての機能とを有している。弾性連結部材23は、例えばフローチューブ3の本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に取り付けられている(取り付け位置は節位置に限定されないものとする)。
【0040】
ここで、フローチューブ3の軸方向をZ軸、また、駆動装置7の駆動方向(フローチューブ3の振動方向でありZ軸に直交する)をX軸、さらに、Z軸及びX軸に直交する方向をY軸と定義すると、弾性連結部材23は、X軸方向及びY軸方向の各剛性よりもZ軸方向の剛性の方が低く、且つ、Z軸を中心とする回転方向(Rz)及びX軸を中心とする回転方向(Rx)の各剛性よりもY軸を中心とする回転方向(Ry)の剛性の方が低くなるような構造に形成されている。以下、弾性連結部材23のもう少し具体的な構造について説明する。
【0041】
弾性連結部材23は、フローチューブ3に連続する第一壁部23aと、台座22に連続する第二壁部23bと、Y軸方向の端部において第一壁部23a及び第二壁部23bに連続する一対の壁連続部23cとを有している。また、弾性連結部材23は、第一壁部23a及び第二壁部23bが間隔をあけて対向し、さらに、X軸方向の端部が前記間隔によって開口(引用符号23d参照)するような構造に形成されている。一対の壁連続部23cは、X軸方向の幅が第一壁部23a及び第二壁部23bのX軸方向の幅よりも狭くなるように形成されている。壁連続部23cと第一壁部23aとの縁部、及び、壁連続部23cと第二壁部23bとの縁部は、滑らかな曲線で繋がるように形成されている。弾性連結部材23は、Z軸方向から見ると紡錘状となる形状に形成されている。
【0042】
弾性連結部材23は、前記開口(引用符号23d参照)側から見ると(X軸方向側から見ると)、恰も円筒をZ軸方向に押し潰したような形状に形成されている。第一壁部23a及び第二壁部23bは、部分的に又は全体的に曲面を有するように形成されている。このような第一壁部23aには、フローチューブ3の直径に合わせた固定用の貫通孔23eが形成されている。また、第二壁部23bには、フローチューブ3に対する逃がし部分23fが形成されている。第二壁部23bは、フローチューブ3に対して非接触状態となるように形成されている。
【0043】
第一壁部23aは、フローチューブ3に対してロー付けにより固定されている。また、第二壁部23bも台座22の端部に対してロー付けにより固定されている(ロー付けに限定されないものとする)。
【0044】
以上の説明におけるフローチューブ3、台座22、及び弾性連結部材23の材質としては、例えばステンレスが一例として挙げられるものとする。これら三つの部材の材質としては、温度変化に起因する伸び縮みに配慮すると、同じ線膨張係数となる、又はなるべく近い線膨張係数となる材質を選択することが好ましいものとする。本形態において、台座22は熱容量が比較的小さくなるように形成されている。
【0045】
上記構成において、フローチューブ3に被測定流体(図示省略)を流すとともに、駆動装置7を駆動させてフローチューブ3に三次モード振動を生じさせると、検出器8の位置でのコリオリの力によって生じる位相の差分により、質量流量が図示しない信号演算処理部で算出されるようになっている。また、本形態においては、振動周波数から密度も算出されるようになっている。本発明の直管式コリオリ流量計21は、従来と全く変わらない流量計としての機能を有している。
【0046】
本発明の直管式コリオリ流量計21において、以上の説明からも分かるように、台座22は高い剛性を有するとともに上記軸方向の剛性を有する弾性連結部材23を介してフローチューブ3に連結するものであることから、フローチューブ3が駆動装置7の駆動により三次モード振動で振動している最中に振動せず、一定位置を保つようになっている。以下、図2及び図3を参照しながら図示しない被測定流体の温度変化に応じたフローチューブ3、台座22、及び弾性連結部材23の作用について説明する。
【0047】
図2(a)は被測定流体の温度が低く直管式コリオリ流量計21全体の温度が均等な状態を模式的に示している。また、フローチューブ3が駆動装置7の駆動によって三次モード振動で振動している状態を示している。このような状態においては、フローチューブ3の全体にわたり軸応力がまだ発生していないことになる(但しフローチューブ3には、振動による応力が別に作用するものとする)。
【0048】
図2(b)は被測定流体の温度を上昇させた直後の状態を模式的に示している。この時、台座22には、被測定流体の温度変化による熱が伝わりきれてないため全長に変化がなく、また、一対の接続フランジ11間(固定端間)の距離にも変化がなく、結果、フローチューブ3には、被測定流体の温度変化による、圧縮となる軸応力が発生する。この圧縮となる軸応力は、フローチューブ3の全体にわたり均等に働く。理由としては、一対の弾性連結部材23が弾性体であることから、この弾性変形により従来例のような局所的な軸応力の発生が阻止されているためである。従って、フローチューブ3に発生する軸応力は、上記状態において本発明の構造によりフローチューブ3の軸方向に分散されることになる。
【0049】
図2(c)は被測定流体の温度を上昇させてしばらく経過した後の状態を模式的に示している。この時、台座22は、上述の如く熱容量が比較的小さいことから温度変化による熱に比較的早く馴染み、結果、全長方向に伸びが発生する。一対の弾性連結部材23は、上述の如くフローチューブ3の軸方向(上記Z軸方向)の剛性が他よりも低くなる構造であることから、上記伸びは弾性変形により吸収される。一対の弾性連結部材23の間、弾性連結部材23と接続フランジ11(固定端)との間は、従来例と異なり軸応力がフローチューブ3の軸方向に分散されることになる。従って、図2(c)の状態も図2(b)の状態と同様、局所的な軸応力の発生がないことになる(軸応力は殆ど図2(b)の状態から変化しない)。
【0050】
図2(d)は直管式コリオリ流量計21全体の温度が均等になった状態を模式的に示している。この状態においては、台座22や固定端間距離がフローチューブ3と同様に伸びきることから、それまでフローチューブ3に作用していた軸応力がなくなり、結果、直管式コリオリ流量計21の状態が安定することになる。
【0051】
図3(a)は被測定流体の温度が高く直管式コリオリ流量計21全体の温度が均等な状態を模式的に示している。また、フローチューブ3が駆動装置7の駆動によって三次モード振動で振動している状態を模式的に示している。このような状態においては、図2(a)の状態と同じであり、フローチューブ3の全体にわたり軸応力が発生していないことになる(但しフローチューブ3には、振動による応力が別に作用するものとする)。
【0052】
図3(b)は被測定流体の温度を降下させた直後の状態を模式的に示している。この時、台座22には、被測定流体の温度降下による冷えが伝わりきれてないため全長に変化がなく、また、一対の接続フランジ11間(固定端間)の距離にも変化がなく、結果、フローチューブ3には、被測定流体の温度変化による、引っ張りとなる軸応力が発生する。この引っ張りとなる軸応力は、フローチューブ3の全体にわたり均等に働く。理由としては上述と同様であり、一対の弾性連結部材23が弾性体であることから、この弾性変形により従来例のような局所的な軸応力の発生が阻止されているためである。従って、フローチューブ3に発生する軸応力は、上記状態において本発明の構造によりフローチューブ3の軸方向に分散されることになる。
【0053】
図3(c)は被測定流体の温度を降下させてしばらく経過した後の状態を模式的に示している。この時、台座22は、上述の如く熱容量が比較的小さいことから温度変化による冷えに比較的早く馴染み、結果、全長方向に縮みが発生する。一対の弾性連結部材23は、上述の如くフローチューブ3の軸方向(上記Z軸方向)の剛性が他よりも低くなる構造であることから、上記縮みは弾性変形により吸収される。一対の弾性連結部材23の間、弾性連結部材23と接続フランジ11(固定端)との間は、従来例と異なり軸応力がフローチューブ3の軸方向に分散されることになる。従って、図3(c)の状態も図3(b)の状態と同様、局所的な軸応力の発生がないことになる(軸応力は殆ど図3(b)の状態から変化しない)。
【0054】
図3(d)は直管式コリオリ流量計21全体の温度が均等になった状態を示している。この状態においては、台座22や固定端間距離がフローチューブ3と同様に縮みきることから、それまでフローチューブ3に作用していた軸応力がなくなり、結果、直管式コリオリ流量計21の状態が安定することになる。
【0055】
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、本発明の直管式コリオリ流量計21によれば、被測定流体に温度変化が生じてフローチューブ3に伸びや縮みが発生しても、フローチューブ3に働く軸応力がフローチューブ3の軸方向(Z軸方向)に分散される構造であることから、温度変化に対して強い構造になり、流量計として温度特性を従来よりも向上させることができるという利点を有している。
【0056】
また、本発明の直管式コリオリ流量計21によれば、フローチューブ3を三次モード振動で振動させる構造であることから、振動漏洩を最小に抑えることができるという利点を有している。尚、振動漏洩に関して本発明の直管式コリオリ流量計21は、従来用いていた板バネ6(図13参照)を不要にする構造であることから、従来板バネ6を介して生じていた振動漏洩を解消することができるという利点も有している。
【0057】
さらに、本発明の直管式コリオリ流量計21によれば、従来用いていたカウンタバランス4(図13参照)を不要にする構造であることから、被測定流体の密度変化とカウンタバランス4の慣性モーメント(質量)とにより生じるアンバランス、すなわち被測定流体の密度が変わってもカウンタバランス4の慣性モーメントが不変であることに起因するアンバランスを解消することができるという利点を有している。従って、器差シフトやバラツキ、さらには密度計測(周波数)に対するシフトもなくすことができるという利点を有している。
【0058】
その他、本発明の直管式コリオリ流量計21によれば、台座22がフローチューブ3の振動中に振動しない構造であることから、この台座22に固定されるコイル7b、8bに対して配線(図示省略)を外筒2から配索する際に、弛み(振動を考慮した弛み)を持たせる必要がなく、結果、配線設計の自由度が増えるという利点を有している。
【0059】
次に、図4を参照しながら図1の弾性連結部材23の他の例を説明する。図4は他の例を示す弾性連結部材の斜視図である。
【0060】
図4において、他の例となる弾性連結部材23′は、フローチューブ3に連続する第一壁部23aと、台座22に連続する一対の第二壁部23b′と、Y軸方向の端部において第一壁部23a及び第二壁部23b′に連続する一対の壁連続部23cとを有している。他の例となる弾性連結部材23′は、台座22に連続する第二壁部23b′の固定が図1の弾性連結部材23の第二壁部23bに対して若干異なるように形成されている(この固定に係る点以外は全て図1の弾性連結部材23と同じになっている)。
【0061】
弾性連結部材23′は、X軸方向及びY軸方向の各剛性よりもZ軸方向の剛性の方が低く、且つ、Z軸を中心とする回転方向(Rz)及びX軸を中心とする回転方向(Rx)の各剛性よりもY軸を中心とする回転方向(Ry)の剛性の方が低くなるような構造に形成されている。第二壁部23b′は、図中に示すように、台座22のY軸方向の側壁に形成された溝(符号省略)に差し込まれた状態で固定されている。第二壁部23b′は、台座22のY軸方向の側壁に対して例えばロー付けにより固定されている。
【0062】
続いて、図5を参照しながら図1の弾性連結部材及び台座の他の例を説明する。図5は他の例を示す弾性連結部材及び台座の斜視図である。
【0063】
図5において、台座32は、断面視円形の筒状体(円筒)且つ剛体であって、従来のカウンタバランス4(図13参照)と同じ位置に配置されている。すなわち、台座32は、フローチューブ3の外側において、フローチューブ3に対し非接触状態となるように配置されている。台座32には、特に図示しないが、駆動装置7を構成するコイル7bと、検出器8を構成する同じくコイル8bとが固定されている。台座32は、フローチューブ3が三次モード振動で振動している最中に振動せず、一定位置を保つことが可能な部材として設けられている。台座32は、弾性連結部材33を介してフローチューブ3に連結されている。
【0064】
弾性連結部材33は、台座32の両端にそれぞれ固定されている。弾性連結部材33は、台座32及びフローチューブ3を連結する機能と、弾性体としての機能とを有している。弾性連結部材33は、例えばフローチューブ3の本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に取り付けられている(取り付け位置は節位置に限定されないものとする)。弾性連結部材33は、X軸方向及びY軸方向の各剛性よりもZ軸方向の剛性の方が低く、且つ、Z軸を中心とする回転方向(Rz)及びX軸を中心とする回転方向(Rx)の各剛性よりもY軸を中心とする回転方向(Ry)の剛性の方が低くなるような構造に形成されている。
【0065】
弾性連結部材33は、フローチューブ3に連続する第一壁部33aと、台座32に連続する第二壁部33bと、Y軸方向の端部において第一壁部33a及び第二壁部33bに連続する一対の壁連続部33cとを有している。また、弾性連結部材33は、第一壁部33a及び第二壁部33bが間隔をあけて対向し、さらに、X軸方向の端部が前記間隔によって開口(引用符号33d参照)するような構造に形成されている。一対の壁連続部33cは、X軸方向の幅が第一壁部33a及び第二壁部33bのX軸方向の幅よりも狭くなるように形成されている。一対の壁連続部33cは、X軸方向に切り欠かれて対向する一対のスリット33gにより図示のように形成されている。
【0066】
弾性連結部材33は、前記開口(引用符号33d参照)側から見ると(X軸方向側から見ると)、恰も円筒をZ軸方向に押し潰したような形状に形成されている。第一壁部33a及び第二壁部33bは、部分的に又は全体的に曲面を有するように形成されている。このような第一壁部33aには、フローチューブ3の直径に合わせた固定用の貫通孔33eが形成されている。また、第二壁部33bには、フローチューブ3に対する円形の逃がし部分33fが形成されている。第二壁部33bは、フローチューブ3に対して非接触状態となるように形成されている。
【0067】
第一壁部33a及び第二壁部33bの中央には、Y軸方向に伸びる一対のリブ33hがそれぞれ形成されている。第一壁部33a側のリブ33hは、第一壁部33a以外にフローチューブ3に対しても固定されている。また、第二壁部33b側のリブ33hは、第二壁部33b以外に台座32に対しても固定されている。リブ33hは、弾性連結部材33のZ軸方向の剛性を調整するための一手段として設けられている。弾性連結部材33の固定に関しては、他の例と同様にロー付けにより固定されている。
【0068】
台座32及び弾性連結部材33の作用効果は、図1ないし図4の説明と同じでありここでは省略するものとする。また、台座32と図1の弾性連結部材23との組み合わせや、弾性連結部材33と図1の台座22との組み合わせによる作用効果も同じであり同様に省略するものとする。さらに、以下で説明する各弾性連結部材の作用効果も同じであり同様に省略するものとする。
【0069】
続いて、図6を参照しながら図5の弾性連結部材の他の例を説明する。図6は他の例を示す弾性連結部材の斜視図である。
【0070】
図6において、弾性連結部材33′は、リブ33h′の配置が図5の場合と異なっている。すなわち、リブ33h′は、第一壁部33a及び第二壁部33bのX軸方向の端部に連成されている。従ってこの点が図5の場合と異なっている。また、リブ33h′は、フローチューブ3及び台座32に対して固定されてない点が図5の場合と異なっている。
【0071】
続いて、図7を参照しながら図5の弾性連結部材の他の例を説明する。図7は他の例を示す弾性連結部材の斜視図である。
【0072】
図7において、弾性連結部材43は、台座32の両端にそれぞれ固定されている。弾性連結部材43は、台座32及びフローチューブ3を連結する機能と、弾性体としての機能とを有している。弾性連結部材43は、例えばフローチューブ3の本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に取り付けられている(取り付け位置は節位置に限定されないものとする)。弾性連結部材43は、X軸方向及びY軸方向の各剛性よりもZ軸方向の剛性の方が低く、且つ、Z軸を中心とする回転方向(Rz)及びX軸を中心とする回転方向(Rx)の各剛性よりもY軸を中心とする回転方向(Ry)の剛性の方が低くなるような構造に形成されている。
【0073】
弾性連結部材43は、フローチューブ3に連続する第一壁部43aと、台座32に連続する第二壁部43bと、Y軸方向の端部において第一壁部43a及び第二壁部43bに連続する一対の壁連続部43cとを有している。また、弾性連結部材43は、第一壁部43a及び第二壁部43bが間隔をあけて対向し、さらに、X軸方向の端部が前記間隔によって開口(引用符号43d参照)するような構造に形成されている。一対の壁連続部43cは、X軸方向に切り欠かれて対向する一対のスリット43gにより図示のように形成されている。一対の壁連続部43cは、スリット43gの存在によりX軸方向の幅が第一壁部43a及び第二壁部43bのX軸方向の幅よりも部分的に狭くなるように形成されている。
【0074】
弾性連結部材43は、平面視略矩形状に形成されている。第一壁部43aには、フローチューブ3の直径に合わせた固定用の貫通孔43eが形成されている。また、第二壁部43bには、フローチューブ3に対する円形の逃がし部分43fが形成されている。第二壁部43bは、フローチューブ3に対して非接触状態となるように形成されている。弾性連結部材43の固定に関しては、他の例と同様にロー付けにより固定されている。
【0075】
続いて、図8(a)〜(f)を参照しながら図5の弾性連結部材の他の例を説明する。図8(a)〜(f)は他の例を示す弾性連結部材の斜視図である。
【0076】
図8(a)の弾性連結部材53は、基本的に図1の弾性連結部材23と同じであり、紡錘状に形成されている。図8(b)の弾性連結部材63は、一対の壁連続部63cがフローチューブ3及び台座32の軸方向にそれぞれ伸びるような形状に形成されている。図8(c)の弾性連結部材73は、一対の壁連続部73cが略筒状となる形状に形成されている。図8(d)の弾性連結部材83は、図7の弾性連結部材43からスリット43gを除いたような形状に形成されている。また、図8(d)の弾性連結部材83は、図7の弾性連結部材43の第一壁部43a及び第二壁部43bの間隔を狭めるような形状に形成されている。図8(e)の弾性連結部材93は、一対の壁連続部93cが台座32の軸方向に伸びるような形状に形成されている。図8(f)の弾性連結部材103は、図8(b)の弾性連結部材63に対して第一壁部103a及び第二壁部103bに剛性を持たせるような形状に形成されている。
【0077】
続いて、図9を参照しながら図1の弾性連結部材及び台座の他の例を説明する。図9(a)は他の例を示す弾性連結部材及び台座の斜視図である。また、図9(b)は(a)の弾性連結部材の正面図、図9(c)は検出器の固定位置の説明図である。図9の例は、検出器8の固定位置がフローチューブ3の三次モード振動における二つの節Fと固定端Kとに挟まれた振動部分に固定される場合の例を示している(検出器8が二つの節Fで挟まれた中央の振動部分(但し腹Hは除く)に固定される場合でも適用可能であるものとする)。
【0078】
図9において、この図からも分かるように、台座112及び弾性連結部材113は上述の幾つかの例と若干異なる構造を有している。以下、具体的に台座112及び弾性連結部材113の構造について説明する。
【0079】
台座112は、断面視矩形の筒状体且つ剛体であって、従来のカウンタバランス4(図13参照)と同じ位置に配置されている。すなわち、台座112は、フローチューブ3の外側において、フローチューブ3に対し非接触状態となるように配置されている。台座112は、従来のカウンタバランス4よりも、また、上述の幾つかの例よりも全長が長くなるように形成されている。
【0080】
台座112には、駆動装置7を構成するコイル7bと、検出器8を構成する同じくコイル8bとが固定されている。駆動装置7を構成するコイル7bは、台座112の中央位置に固定されている。一方、検出器8を構成するコイル8bは、フローチューブ3の三次モード振動における二つの節Fと固定端Kとに挟まれた振動部分に固定されている。フローチューブ3には、三次モード振動における二つの節Fで挟まれた中央の振動部分の腹Hの位置に合わせてマグネット7a(図示省略)、二つの節Fと固定端Kとに挟まれた振動部分で且つコイル8bに対応した位置にマグネット8aが固定されている。
【0081】
台座112は、フローチューブ3が三次モード振動で振動している最中に振動せず、一定位置を保つことが可能な部材として設けられている(台座112は、従来のカウンタバランス4のような共振する部材でないものとする)。台座112は、弾性連結部材113を介してフローチューブ3に連結されている。
【0082】
台座112には、弾性連結部材113との連結を図るための一対の開口部112a及びブラケット112bが設けられている。開口部112aは、台座112のY軸方向の側壁に形成されている。開口部112aは、貫通孔状に形成されている。ブラケット112bは、弾性連結部材113の後述するY軸方向の端部113cを固定することができるように形成されている。本形態においては、開口部112aを介して外側へ突出する端部113cを固定することができるような図示の形状に形成されている。ブラケット112bは、Z軸方向の剛性が低くなるような形状に形成されている。尚、ブラケット112bを弾性連結部材113の構成に含めてもよいものとする。
【0083】
弾性連結部材113は、フローチューブ3に連続する紡錘状の平板構造を有するような図示の形状に形成されている。弾性連結部材113は、台座112及びフローチューブ3を連結する機能と、弾性体としての機能とを有している。弾性連結部材113は、例えばフローチューブ3の本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に取り付けられている(取り付け位置は節位置に限定されないものとする)。
【0084】
弾性連結部材113の中央には、フローチューブ3の直径に合わせた固定用の貫通孔113aが形成されている。弾性連結部材113は、Y軸方向の端部113cのX軸方向の幅がフローチューブ3に対する連続部分113bのX軸方向の幅よりも狭くなるように形成されている。弾性連結部材113は、連続部分113bから端部113cにかけて縁部が滑らかな曲線で繋がるように形成されている。連続部分113bは、フローチューブ3に対してロー付けにより固定されている。また、端部113cもブラケット112bに対してロー付けにより固定されている(ロー付けに限定されないものとする)。
【0085】
続いて、図10を参照しながら図9の弾性連結部材及び台座の他の例を説明する。図10(a)は他の例を示す弾性連結部材及び台座の斜視図であり、(b)は(a)の弾性連結部材の正面図である。
【0086】
図10において、台座112′は、ブラケット112b′の形状のみが図9と異なっている。また、弾性連結部材113′は、端部113cにY軸方向に伸びる捻り棒(トーションビーム)113d′が追加されている点が図9と異なっている。ブラケット112b′と捻り棒113d′は、ロー付けにより固定されている(ロー付けに限定されないものとする)。尚、図中の点線の円は、コイル7b、8bの取り付け位置を示している。
【0087】
続いて、図11を参照しながら図9の弾性連結部材及び台座の他の例を説明する。図11は他の例を示す弾性連結部材及び台座の斜視図である。
【0088】
図11において、フローチューブ3の外側且つこのフローチューブ3に対し非接触状態となる台座としては、上述の台座32が用いられている。台座32には、駆動装置7を構成するコイル7b(図示省略)と、検出器8を構成する同じくコイル8bとが固定されている。駆動装置7を構成するコイル7b(図示省略)は、台座32の中央位置に固定されている。一方、検出器8を構成するコイル8bは、フローチューブ3の三次モード振動における二つの節で挟まれた中央の振動部分(但し中央の腹は除く)に固定されている。フローチューブ3には、マグネット7a(図示省略)及びマグネット8aが固定されている。
【0089】
台座32は、上述の弾性連結部材113を介してフローチューブ3に連結されている。台座32は、フローチューブ3が三次モード振動で振動している最中に振動せず、一定位置を保つことが可能な部材として設けられている。台座32は、上述の弾性連結部材113を介してフローチューブ3に連結されている。台座32の両端部には、弾性連結部材113との連結を図るためのブラケット32aが設けられている。
【0090】
ブラケット32aは、弾性連結部材113のY軸方向の端部113cを固定することができるように形成されている。ブラケット32aは、台座32の外周に固定される環状固定部32bと、Y軸方向に伸びるアーム部32cとを有している。アーム部32cの先端には、弾性連結部材113の端部113cがロー付けにより固定されている(ロー付けに限定されないものとする)。
【0091】
弾性連結部材113は、フローチューブ3に連続する紡錘状の平板構造を有している。弾性連結部材113は、台座32及びフローチューブ3を連結する機能と、弾性体としての機能とを有している。弾性連結部材113は、例えばフローチューブ3の本来持っている三次モードの節位置となる二箇所に取り付けられている(取り付け位置は節位置に限定されないものとする)。
【0092】
続いて、図12を参照しながら図11の弾性連結部材及び台座の他の例を説明する。図12は他の例を示す弾性連結部材及び台座の斜視図である。
【0093】
図12において、台座32は、ブラケット32a′の形状のみが図11と異なっている。また、弾性連結部材113′は、端部113cにY軸方向に伸びる捻り棒(トーションビーム)113d′が追加されている点が図11と異なっている。ブラケット32a′のアーム部32c′と捻り棒113d′は、ロー付けにより固定されている(ロー付けに限定されないものとする)。
【0094】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計の一実施の形態を示す図であり、(a)は直管式コリオリ流量計の断面図、(b)はフローチューブと台座と弾性連結部材との位置関係を示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は図1の直管式コリオリ流量計のフローチューブの内部に流れる被測定流体の温度を上昇させた時のフローチューブと台座と弾性連結部材との状態を示す模式図である。
【図3】(a)〜(d)は図1の直管式コリオリ流量計のフローチューブの内部に流れる被測定流体の温度を降下させた時のフローチューブと台座と弾性連結部材との状態を示す模式図である。
【図4】図1の弾性連結部材の他の例を示す斜視図である。
【図5】図1の弾性連結部材及び台座の他の例を示す斜視図である。
【図6】図5の弾性連結部材の他の例を示す斜視図である。
【図7】図5の弾性連結部材の他の例を示す斜視図である。
【図8】図5の弾性連結部材の他の例を示す斜視図である。
【図9】(a)は図1の弾性連結部材及び台座の他の例を示す斜視図、(b)は弾性連結部材の正面図、(c)は検出器の固定位置の説明図である。
【図10】(a)は図9の弾性連結部材及び台座の他の例を示す斜視図、(b)は弾性連結部材の正面図である。
【図11】図9の弾性連結部材及び台座の他の例を示す斜視図である。
【図12】図11の弾性連結部材及び台座の他の例を示す斜視図である。
【図13】従来例の直管式コリオリ流量計の断面図である。
【図14】(a)〜(d)は図13の直管式コリオリ流量計のフローチューブの内部に流れる被測定流体の温度を上昇させた時のフローチューブとカウンタバランスとの状態を示す模式図、(e)はフローチューブとカウンタバランスと連結ブロックと板バネとの位置関係を示す斜視図である。
【図15】(a)〜(d)は図13の直管式コリオリ流量計のフローチューブの内部に流れる被測定流体の温度を降下させた時のフローチューブとカウンタバランスとの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0096】
2 外筒
3 フローチューブ
7 駆動装置
7a マグネット
7b コイル
8 検出器(検出手段)
8a マグネット
8b コイル
9 拡大開口部
10 直管部
11 接続フランジ
21 直管式コリオリ流量計
22 台座
23 弾性連結部材
23a 第一壁部
23b 第二壁部
23c 壁連続部
23d 開口
23e 貫通孔
23f 逃がし部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が流れる直管状のフローチューブと、該フローチューブを三次モード振動で駆動する駆動装置と、前記フローチューブに作用するコリオリの力に比例した位相差を検出する一対の検出手段と、前記駆動装置及び前記一対の検出手段の各コイルを固定した状態で前記フローチューブの外側に位置する剛性のある台座と、前記フローチューブの所定の二箇所で前記台座を連結する一対の弾力性のある弾性連結部材とを備え、
前記フローチューブの軸方向をZ軸、該Z軸に直交する前記駆動装置の駆動方向をX軸、さらに前記Z軸及び前記X軸に直交する方向をY軸とすると、前記弾性連結部材は、前記X軸方向及び前記Y軸方向の各剛性よりも前記Z軸方向の剛性の方が低い構造となる弾性体、且つ、前記Z軸を中心とする回転方向及び前記X軸を中心とする回転方向の各剛性よりも前記Y軸を中心とする回転方向の剛性の方が低い構造となる弾性体である
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。
【請求項2】
請求項1に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、
前記弾性連結部材は、前記フローチューブに連続する第一壁部と、前記台座に連続する第二壁部と、前記Y軸方向の端部において前記第一壁部及び前記第二壁部にそれぞれ連続する一対の壁連続部とを有するとともに、前記第一壁部及び前記第二壁部が間隔をあけて対向し、さらに、前記X軸方向の端部が前記間隔により開口する構造である
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。
【請求項3】
請求項2に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、
前記弾性連結部材は、前記壁連続部の前記X軸方向の幅が前記第一壁部及び前記第二壁部の前記X軸方向の幅よりも狭くなる構造である
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。
【請求項4】
請求項1に記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、
前記弾性連結部材は、前記フローチューブに連続する紡錘状の平板構造であり、前記台座には、該台座の開口部を介して台座外側へ突出する前記弾性連結部材の前記Y軸方向の端部を固定するためのブラケットを設ける
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、
前記台座は、断面視矩形の筒状体である
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計において、
前記フローチューブ、前記台座、及び前記弾性連結部材は、同じ線膨張係数の構造体である
ことを特徴とする弾性連結部材及び台座を有する三次モード振動の直管式コリオリ流量計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−78438(P2007−78438A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264630(P2005−264630)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【特許番号】特許第3877174号(P3877174)
【特許公報発行日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】