説明

循環搬送載荷台の物品脱荷装置

【目的】 載荷台上の物品をその形状の如何に拘らず静かに払い出しして、物品の脱荷時における落下損壊および落下衝撃騒音を防止するとともに、載荷台の小形化と軽量化を図ったものである。
【構成】 循環搬送チェーンに後傾付勢して回動自在に取付けた載荷台枠5に無端ベルト8を懸回し、脱荷位置において載荷台枠の後端部を押し上げて該台枠を略々水平姿勢にし、前記チェーンに沿って平行に並列した回転駆動軸9の摩擦ローラ11に前記無端ベルトを押圧することにより、無端ベルトを脱荷方向に回動させ、載荷台上の物品を払い出しするものである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、物品の仕分け配送等に用いられる物流搬送自動化手段として好適である。
【0002】
【従来の技術】
循環搬送されている載荷台上の物品を脱荷位置において放荷するために、該載荷台を前方へ傾動させることは、例えば、特願平2-219989号の明細書並びに図面に開示されているが、載荷台の循環搬送経路が平面内であれ立面内であれ、脱荷位置において載荷台を前方へ傾動させ、物品を載荷台面より滑走させて放荷するか、また、載荷台を傾動させる代りに載荷台に載荷面を形成する無端ベルトを懸回配設して、該無端ベルトの回動により物品を水平方向に払出して脱荷していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、載荷台を傾動させて物品を滑走放荷すると、物品は落下衝撃により損壊することもあり、また落下衝撃音による騒音が発生して作業雰囲気を悪化させ、一方、無端ベルトによる水平払出し脱荷の場合は物品の滑走落下を伴わないので、物品の損壊のおそれがなく、騒音の発生も防止できる反面、無端ベルトを払出し駆動するために、個々の載荷台に無端ベルト駆動手段を具備させねばならず、夫々の移動中の載荷台のベルト駆動手段に動力を供給する手段を取付けることは、動力供給手段が複雑になるばかりでなく、夫々の載荷台が大形化して重量も増大し、相互の載荷台の取付間隔も大になって搬送効率も低下し、載荷台を取付ける搬送チェーンも載荷台の重量を充分に保持できる大型チェーンを用いなければならないという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本考案は上述した従来技術の欠点を解決するため、搬送チェーンに載荷面を形成する無端ベルトを後傾付勢して回動自在に取付け、前記搬送チェーンに平行に回転駆動軸を並設し脱荷位置に対応する該回転駆動軸上の個所に摩擦ローラを固着し、後傾付勢されている無端ベルトの後端部を押し上げて前記摩擦ローラに押圧し、該摩擦ローラの回転を直接無端ベルト面に伝えて無端ベルトを脱荷方向に回動させ、無端ベルト上の物品を水平払出しして脱荷する手段を有している。
【0005】
【作用】
搬送チェーンを間欠運転して載荷台枠を脱荷位置で一時停止させ、載荷台枠上の無端ベルトを回転中の回転駆動軸の摩擦ローラに押圧して摩擦伝導により該ベルトを脱荷方向に回動し、該ベルト上の物品を水平方向に払出し放荷する。
【0006】
【実施例】
図1〜図4は本考案の実施例を示す説明図であって、立面内で無端循環する搬送チェーン1に適宜間隔で取付けられた複数の案内杆2の一端に支持板3を介して一対の支持杆4,4を突設し、該一対の支持杆4,4に載荷台枠5を後傾付勢して回動自在に支持し、図4に示す実施例では載荷台枠5の放荷端、すなわち前端寄りに支持枠4,4の支持点4’,4’を位置させ、支持杆4,4と載荷台枠5とは載荷台枠の後傾角度を制限する互いに係止するストッパ(図示せず)を有している。
【0007】
そして、載荷台枠5の前端および後端には小径のプーリ6および7が夫々回転自在に取付けられ、両プーリ6,7間には載荷面を形成する無端ベルト8が懸回されている。
【0008】
また、図1に示すように、無端チェーン1の直線部に平行に並列して回転駆動軸9が固設され、該軸9はモータMによって伝動チェーン10を介して回転駆動されており、物品の脱荷位置に対応する前記回転駆動軸9上の位置には夫々摩擦ローラ11,11,・・・が固着されている。
【0009】
そして、該摩擦ローラ11の直下には押上げ手段12が配設され、物品仕分け信号によって作動制御されており、該押上げ手段12は載荷台枠5に設けた押し金13を介して載荷台枠5の後端部を押上げ、載荷台枠5を後傾姿勢より前傾姿勢に変更するとともに無端ベルト8を前記摩擦ローラ11に押圧する。
【0010】
その結果、摩擦ローラ11の回転は無端ベルト8に伝動され、無端ベルト8は図3に示す矢印方向に回動して無端ベルト8上の物品を脱荷位置に払い出す。
【0011】
なお、載荷台枠5には載荷台上の物品が搬送中に、又は水平払い出し中に後方又は側方へ落下しないように囲い板14を立設してもよい。
【0012】
【考案の効果】
本考案は、載荷台が後傾姿勢に付勢されているので、搬送中に載荷台上の払い出し端より物品が落下するおそれはなく、また、払い出し時には載荷台を略々水平にして載荷面を形成する無端ベルトが回動して物品を確実に脱荷位置に払い出すことができるので、単に載荷台を前傾させるでけでは、払い出しが困難な摩擦係数大なる底面を有する物品でも容易に払い出すことができるばかりでなく、転動物品でも転動落下せず、また滑走しやすい物品でも滑走落下せず、夫々静かに払い出しできるから、物品放下による損壊又は落下による衝撃騒音のおそれなく、さらに、夫々の載荷台は物品払い出しのための動力源を搭載しなくても、載荷台後端部を押し上げるのみで払い出し駆動力を自動的に得ることができるので、載荷台の構造が小型且つ軽量となるから、搬送チェーンに取付ける載荷台数を多くして搬送仕分け効率を増大させることができる等、多くの実用的利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す説明斜視図である。
【図2】第1図の搬送中の載荷台姿勢を説明する要部側断面図である。
【図3】第1図の脱荷時の載荷台姿勢を説明する要部側断面図である。
【図4】載荷台の説明斜視図である。
【符号の説明】
1 循環搬送チェーン
2 案内杆
3 支持板
4 支持杆
5 載荷台枠
8 無端ベルト
9 回転駆動軸
11 摩擦ローラ
12 押上げ手段

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 循環搬送チェーンに適宜間隔で取付けられている支持枠に載荷台枠を後傾付勢して回動自在に支持し、該載荷台枠に載荷面を形成する無端ベルトを懸回配設し、前記搬送チェーンに平行に並列した回転駆動軸上の脱荷位置対応個所に摩擦ローラを固着し、該摩擦ローラの直下に前記無端ベルトの後端部を該摩擦ローラに押圧する押上げ手段を配設した循環搬送載荷台の物品脱荷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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