説明

情報処理システムおよび制御方法

【課題】起動していないサービス提供装置の中から、所定のサービスを提供しうるサービス提供装置のみを起動すること。
【解決手段】サービス読込命令送信部232は、サーバ10A〜10Cに対して提供しうるサービスを問い合わせる。送信部213はサービス情報をクライアントコンピュータ20に送信する。クライアントコンピュータ20は、受信したサービス情報から所定のサービスを提供するサーバを検出する。起動命令発行部235は検出したサーバに対して起動命令を送信し、所定のサービスを提供するサーバが起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムが起動していない複数のサービス提供装置から提供しうるサービスを受信して、所定のサービスを提供するサービス提供装置を起動する情報処理システム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クラスターサーバなどの冗長化技術や、仮想化技術を利用した仮想マシンの転送技術などで、サービスを別のサーバに引き継ぐ先行技術が存在する。しかしながら、サービスを引き継いだときに、サービスを提供するサーバのアドレスが変わってしまうと、クライアントが動作していない、あるいはネットワークを介して接続されていない場合、目的のサービスを提供しうるサーバ(物理マシン)がどれか、当該クライアントは分からなくなってしまう問題があった。
【0003】
特許文献1には、ネットワーク資産のマウント方式で、複数のサーバとクライアントがネットワークで接続され、クライアントからサーバへリモートマウント要求を出力すると、対応するサーバがそれを受付けて電源を投入しOSが起動される技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−305664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サービスを提供する装置のアドレスが変わり、装置が非稼働状態である場合、全てのサーバを起動しなければ、目的のサービスを利用できることを保証できないという問題があった。全てのサーバを起動して提供するサービスを確認するのでは時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、起動していないサービス提供装置の中から、所定のサービスを提供しうるサービス提供装置のみを起動することが出来る情報処理システム、および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係わる、ネットワークに接続されたサービス受給装置と、前記ネットワークに接続され、前記サービス受給装置に前記ネットワークを介してサービスを提供する複数のサービス提供装置とから構成される情報処理システムにおいて、
前記複数のサービス提供装置のそれぞれは、前記サービス受給装置に提供しうる全てのサービスの情報であるサービス情報を格納する不揮発性メモリと、システムが動作していない電源オフ状態で前記サービス受給装置から送信されたサービス情報送信要求に応じて前記サービス受給装置に前記不揮発性メモリに格納されている情報を送信する手段と、前記電源オフ状態で前記サービス受給装置から送信された起動命令に応じて前記システムを起動する手段とを有し、
前記サービス受給装置は、前記電源オフ状態の前記サービス提供装置に前記サービス情報送信要求を送信する送信手段と、前記サービス情報送信要求に応じて前記サービス提供装置から送信されたサービス情報に応じて、前記複数のサービス提供装置から所定のサービスを提供するサービス提供装置を選択する選択手段と、前記選択されたサービス提供装置に対して前記起動命令を送信する手段とを有する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、起動していないサービス提供装置の中から、所定のサービスを提供しうるサービス提供装置のみを起動することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0009】
先ず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係わる情報処理システムの構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わる情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0010】
情報処理システムは、第1サーバ(サービス提供装置)10A、第2サーバ(サービス提供装置)10B、第3サーバ(サービス提供装置)10C、およびクライアントコンピュータ(サービス受給装置)20等から構成される。サーバ10A〜10Cとクライアントコンピュータ20とは同一セグメントのネットワーク30に接続されている。
【0011】
第1サーバ10Aは、第1サービス15Aをクライアントコンピュータ20に提供する。また、第2サーバ10Bは第2サービス15Bをクライアントコンピュータ20に提供する。第3サーバ10Cは、第1サーバ10Aまたは第2サーバ10Bが故障したときに使用される代替用の機器である。
【0012】
第1〜第3サーバ10A〜10Cは、サービス記録機能11A〜11C、サービス情報12A〜12C、サービス通知機能13A〜13C、リモート電源ON機能14A〜14C等を有する。
また、クライアントコンピュータ20は、サーバ検索機能21、およびサーバ起動機能22等を有する。
【0013】
サーバ上に実装されるサービス記録機能11A〜11Cは、サーバ10A〜10Cが提供しうるサービスの情報(以下、サービス情報)を収集し、不揮発性メモリにサービス情報12A〜12Cとして格納する。サービス情報12A〜12Cは、サーバ10A〜10Cが提供しうるサービス、サービスの種別、マスタサーバ/スレーブサーバなどの情報を有する。なお、サービス情報12A〜12Cには、サーバがサービスを提供しえない場合や、複数の種類のサービスを提供しうる場合もありえる。
【0014】
サービス通知機能13A〜13Cは、サーバが起動していなくても待機電源で動作し、サーバ上のサービスが稼動していない状況でも、動作する。サービス通知機能13A〜13Cは、クライアントコンピュータ20のサーバ検索機能21からの問い合わせに対して、不揮発性メモリに保持されているサービス情報12A〜12Cを回答することができる。あるいは、サービス通知機能13A〜13Cは、自発的にサービス情報を同一セグメントのネットワークに接続されている機器に、ブロードキャストアドレス(同報アドレス)を使用してサービス情報を送信してもよい。
【0015】
リモート電源ON機能は、サーバが待機電源で動作している時も動作しており、クライアントコンピュータ20のサーバ起動機能22からの起動要求に対して、サーバの起動を実行する。
【0016】
クライアントコンピュータ20のサーバ検索機能21は、同一セグメントのネットワーク上に、ブロードキャストアドレス(同報アドレス)を使用した問い合わせを送信し、サーバからの回答により、目的のサービスを提供しうるサーバを認識する。
【0017】
クライアント上で実装されるサーバ起動機能22は、サーバ10A〜10Cのリモート電源ON機能14A〜14Cと連携し、サービスを提供しうるサーバ候補のみを起動する。仮に、クライアントが利用しようとしているサービスが第1サービス15Aであった場合、第1サービス15Aを提供しうる第1サーバ10Aのみを起動する。また、サービスが複数のサーバ群(マスタ/スレーブ、クラスターサーバなど)で構成される場合は、そのサービスを提供しうる全てのサーバ候補を起動する。
【0018】
次に、図2を参照して第1〜第3サーバ10A〜10Cのシステム構成について説明する。
【0019】
本サーバ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、LANコントローラ110、ハードディスクドライブ(HDD)111、およびエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116等を備えている。
【0020】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201、およびサービス記録アプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する。サービス記録アプリケーションプログラム202はサービス記録機能11A〜11Cの一部を実現するためのソフトウェアである。このサービス記録アプリケーションプログラム202は、サーバ10がクライアントコンピュータ20に提供しうるサービスを収集し、収集したサービスを不揮発性メモリであるBIOS−ROM109内にサービス情報109Aとして書き込む処理を管理容易性マイコン210に指示する。また、CPU101は、不揮発性メモリであるBIOS−ROM109に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0021】
ノースブリッジ102はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0022】
ノースブリッジ102は、サービス記録機能11A〜11Cの一部、およびサービス通知機能13A〜13Cを実現するための管理容易性マイコン210を有する。サービス通知機能13A〜13Cは、サウスブリッジ104を介して不揮発性メモリで構成されたBIOS−ROM109にアクセスする機能を有する。管理容易性マイコン210は、クライアントコンピュータ20からのサービスの通知要求に応じて、不揮発性メモリであるBIOS−ROM109のサービス情報格納領域109Aに格納されているデータを読み出し、クライアントコンピュータ20にサービスを通知する。
【0023】
GPU105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるモニタ117を制御する表示コントローラである。このGPU105によって生成される表示信号はモニタ117に送られる。
【0024】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)111を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。
【0025】
LANコントローラ110は、たとえば1000BASE−T/TX規格の有線通信を実行する通信デバイスである。このLANコントローラ110は、例えばインテル社製の82566DMギガビット・ネットワーク・コネクションである。
【0026】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)113およびマウス114を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、ユーザによるパワーボタンの操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0027】
ノースブリッジ102、サウスブリッジ104、LANコントローラ110、およびEC/KBC116は、システムが稼働していない電源オフ状態であっても待機電源が供給されている。
【0028】
次に、図3を参照して、サーバが提供するサービスを不揮発性メモリ(NVM)に記録し、クライアントコンピュータ20からの要求に応じて不揮発性メモリに記録されたサービス情報をクライアントコンピュータ20に応答し、クライアントコンピュータ20からの要求に起動するための構成を説明する。また、同図3を参照して、クライアントコンピュータ20がサーバ10A〜10Cにサービス情報を問い合わせ、目的のサービスを提供するサーバを起動させるための構成を説明する。
【0029】
サーバ10A〜10Cは、サービス記録アプリケーションプログラム202、管理容易性マイコン210、BIOS−ROM(NVM)109、LANコントローラ(NIC)110、フィルタ部220等を有する。
【0030】
サービス記録アプリケーションプログラム202は、サービス取得部202A、およびサービス情報記録命令発行部202B等を有する。サービス取得部202Aは、サービスの設定時、あるいはサービスの引継ぎ時に、提供しうるサービス情報を取得し、サービス情報記録命令発行部202Bに取得したサービスの種類を通知する。サービス取得部202Aは、例えば特定のサービスを提供するアプリケーションプログラムの実行ファイルを検索して実行しうる。一つのアプリケーションプログラムで複数のサービスを提供しうる場合、予めアプリケーションプログラムの実行ファイルのプロパティに提供するサービスを記録しておき、サービス取得部202Aは実行ファイルのプロパティを参照することで提供するサービスを検出する。
【0031】
サービス情報記録命令発行部202Bは、通知されたサービスの種類をBIOS−ROM109に書き込むための命令を管理容易性マイコン210に送信する。
【0032】
管理容易性マイコン210は、記録部211、読込部212、送信部213等を有する。記録部は、サービス情報記録命令発行部202Bが発行した命令に応じてサーバが提供し得るサービスの種類をBIOS−ROM(NVM)109内のサービス情報109Aに記録する。
【0033】
読込部212は、クライアントコンピュータ20が発行したサービス情報の読込命令(サービス情報送信要求)に応じて、BIOS−ROM109に記録されているサービス情報109Aを読み込み、送信部213に読み込んだサービス情報を通知する。送信部213は、通知されたサービス情報をクライアントコンピュータ20に送信する。
【0034】
フィルタ部220は、特定のポート番号に送られたデータを管理容易性マイコン210に転送する。クライアントコンピュータ20は、管理容易性マイコン210宛に送信するデータを特定のポート番号に対して送信する。
【0035】
LANコントローラ(NIC)110は、ネットワークに接続されたクライアントコンピュータ20等と通信を行うために設けられている。また、LANコントローラ110は、システムの未稼働時にクライアントコンピュータ20から起動命令が発行された場合に、EC/KBC116に対してシステムを起動するように指示を発行する機能を有する。
【0036】
クライアントコンピュータ20は、目標サービス登録部231、サービス読込命令送信部232、サービス情報受信部233、サービス提供サーバ検索部234、および起動命令発行部235等を有する。
【0037】
目標サービス登録部231は、クライアントコンピュータ20でユーザが受けたい目標のサービスを登録し、目標のサービスをサービス提供サーバ検索部234に通知するための機能を有する。サービス読込命令送信部232は、起動時やユーザの指示に応じて、サーバ10A〜10Cが提供しうるサービスを問い合わせるための読込命令(サービス情報送信要求)を同一セグメントのネットワーク上のサーバ10A〜10Cにブロードキャストアドレス(同報アドレス)を使用して一斉に送信する機能を有する。
【0038】
サービス情報受信部233は、サービス読込命令送信部232が送信した読込命令に反応してサーバ10A〜10Cから送信されたサービス情報を受信し、受信したサービス情報をサービス提供サーバ検索部234に通知する機能を有する。サービス提供サーバ検索部234は、目標サービス登録部231から通知された目標サービスを提供するサーバを通知されたサーバ情報から検索する機能を有する。そして、サービス提供サーバ検索部234は、検索された目標サービスを提供するサーバを起動命令発行部235に通知する。
【0039】
起動命令発行部235は、通知されたサーバに対して起動命令を発行する。起動命令発行部235は、起動命令として特殊なパケットを送出する。例えば、特殊なパケットは、IPヘッダに続いて、0xffffffffffffと起動対象のMACアドレスが16回連続するデータである。
【0040】
次に、図4を参照して、各サーバ10A〜10Cおよびクライアントコンピュータ20の処理の手順について説明する。なお、サーバはクライアントコンピュータ20が要求するサービスを提供しうるサーバと、サービスを提供し得ないサーバとに分けて説明する。
【0041】
各サーバのサービス取得部202Aは、サービスの設定時、あるいはサービスの引継ぎ時に、提供しうるサービスの情報を取得する。サービス取得部202Aは取得した提供しうるサービス情報をサービス情報記録命令発行部202Bに通知する。サービス情報記録命令発行部202Bは管理容易性マイコン210に、サービス情報を不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109に記録するように命令する。管理容易性マイコン210の記録部211は、サービス情報を不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109に記録する(ステップS11A,ステップS11B)。サーバが停止し、待機電源で動作している状態になり、クライアントコンピュータ20が要求するサービスを提供するサーバが分からなくなった状態になる(ステップS12A,ステップS12B)。
【0042】
クライアントコンピュータ20のサービス読込命令送信部232は、ネットワークに接続されている全てのサーバにブロードキャストアドレス(同報アドレス)を使用して、サービス情報を問い合わせするための読込命令を一斉に送信する(ステップS13)。この問い合わせは予め設定されている特定のポート番号に対して送信される。
【0043】
フィルタ部220が、特定のポート番号に送られたデータを受信すると、受信したデータを管理容易性マイコン210に転送する(ステップS14A、ステップS14B)。管理容易性マイコン210の読込部212は、読込命令に応じて不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109からサービス情報を読み込む。読込部212は、読み込んだサービス情報を送信部213に渡す。送信部213は、渡されたサービス情報をクライアントコンピュータ20に送信し、クライアントコンピュータ20からの問い合わせに対して回答を行う(ステップS15A、ステップS15B)。
【0044】
サービス情報受信部233が各サーバからサービス情報を受信すると(ステップS16)、サービス情報をサービス提供サーバ検索部234にサービス情報を受け渡す。サービス提供サーバ検索部234は、受信したサービス情報から目標サービス登録部231に登録されている目標のサービスを提供しうるサーバを検索する(ステップS17)。サービス提供サーバ検索部234は、検索されたサーバを起動命令発行部235に通知する。起動命令発行部235は、通知されたサーバに対して起動要求を発行する(ステップS18)。
【0045】
サーバのLANコントローラ110が、クライアントコンピュータ20からの起動要求を受信すると(ステップS19)、LANコントローラ110はEC/KBC116に対してオペレーティングシステムを起動させるように命令する。EC/KBC116がシステムを起動させた後、サーバが稼働し、目標のサービスの提供を開始する(ステップS20)。
以上の処理によって、目的のサービスがどのサーバで提供しえるかわからない環境で、かつサーバが待機電源で動作している状態において、全てのサーバを起動することなく、目的のサービスを提供しうるサーバだけを起動することができる。
【0046】
なお、サーバ10A〜10Cのサービス通知機能13A〜13Cが、不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109に格納されているサービス情報を、同一セグメントのネットワーク上の全ての機器に対してブロードキャストアドレスを用いて送信しても良い。定期的に送信することによって、クライアントコンピュータ20が、一旦ネットワークから離れていた状態から接続した後に、サービス情報がサーバから自動的に提供されるので、サーバが提供するサービスを認識することが出来る。
【0047】
次に、サーバのサービス記録機能について図5を参照して説明する。図5は、サービスのマスタ/スレーブが切り替わった場合に、サービス情報を記録更新する例である。
【0048】
第1サーバ10A、第4サーバ10Dでは、それぞれ第1サービス15A、15Dが稼動しており、第1サーバ10Aの第1サービス15Aがマスタ、第4サーバ10Dの第1サービス15Dがスレーブとして動作している。そして、サーバ監視機能16A,16Dがお互いのサーバの監視をしている。
【0049】
第4サーバ10D上のサーバ監視が第1サーバ10Aの障害を検出すると、図5(B)に示すように、第4サーバ10D上の第1サービス10Dをマスタで動作するように変更するとともに、サービス記録機能にサービス情報を書き換えるように指示する。図5(A)に示す、第1サーバ10Aに障害が発生する前は、サービス情報12Dには、第4サーバ10D上でサービス1がスレーブとして動作していることが記録されていた。しかし、図5(B)に示す、第1サーバ10Aに障害が発生した後は、サービス記録機能11Dは、サービス情報を、第4サーバ10D上でサービス1がマスタとして動作しているものと書き換える。
【0050】
また、別の例を図6を参照して説明する。図6は、一つのハードウエア上で複数の仮想マシンが稼働可能な仮想技術を用いてサービスを提供している場合である。第1サービス10Aを提供する環境を有する仮想マシン400を第1サーバ10Aから第5サーバ10Eへ移動した場合に、サービス情報を記録更新する例である。
【0051】
第1サーバ10Aの仮想マシン転送機能17Aと第5サーバ10Eの仮想マシン転送機能17Eとが共同することによって、仮想マシン400を第1サーバ10Aから第5サーバ10Eに転送すると、それに伴い、サービス15Aを提供する環境も移動する。そのとき、第1サーバ10Aの仮想マシン転送機能17Aは、サービス記録機能11Aにサービスが転送されたことを通知する。第1サーバ10Aのサービス記録機能11Aは、サービスAが存在しないようにサービス情報12Aを更新記録する。また、第2サーバ10Eの仮想マシン転送機能17Eはサービス記録機能11Eに第1サービス15Aを提供する仮想マシンが転送されたことを通知する。サービス記録機能11E、第1サービス15Aが存在するように、サービス情報12Eを更新記録する。
【0052】
なお、サービス記録機能11Aは、仮想マシン400とは別の仮想マシン上で動作するアプリケーションプログラムである。また、サービス記録機能11Eは、仮想マシン400を管理するホストOS上で動作するアプリケーションプログラムである。また、仮想マシン転送機能17A、17Eは、仮想マシン400を管理するホストOS上で動作するアプリケーションプログラムである。
【0053】
次に、図7を参照して、サーバ50A〜50Cとクライアントコンピュータ60とがルータ40を介して異なるセグメントのネットワークに接続されている場合を説明する。
【0054】
クライアントコンピュータ60は、サーバ検索機能61、サーバ起動機能62、およびサーバ候補リスト63等を有する。クライアントコンピュータ60は、ネットワーク32に接続されている。サーバ候補リスト63は、クライアントコンピュータ60が接続されているネットワーク32と異なるセグメントのネットワーク31上のサーバ50A〜50Cのアドレスのリストである。
【0055】
サーバ検索機能61は、サーバ候補リスト63に登録されているアドレス(サーバ)に対して個別に、提供しうるサービスを問い合わせる。そして、各サーバからの回答によって、目的のサービスを提供しうるサーバを検出する。サーバ起動機能62は、サーバのリモート電源ON機能と連携してサーバを起動し、目的のサービスが受けられるようにする。
【0056】
サーバ50A〜50Cの構成は、図1を用いて説明したサーバ10A〜10Cの構成と同様なのでその説明を省略する。
【0057】
次に、図8を参照して、サーバが提供するサービスを不揮発性メモリ(NVM)に記録し、クライアントコンピュータ60からの要求に応じて不揮発性メモリに記録されたサービス情報をクライアントコンピュータ60に応答し、クライアントコンピュータ60からの要求に起動するための構成を説明する。また、同図8を参照して、クライアントコンピュータ60がサーバ50A〜50Cにサービス情報を問い合わせ、目的のサービスを提供するサーバを起動させるための構成を説明する。
【0058】
サーバ50A〜50C側の構成は、図3を参照して説明したサーバ10A〜10Cの構成と同様なのでその説明を省略する。
【0059】
クライアントコンピュータ60は、サーバ候補リスト23、目標サービス登録部531、サービス読込命令送信部532、サービス情報受信部533、サービス提供サーバ検索部534、および起動命令発行部535等を有する。
【0060】
サーバ候補リスト23は、異なるセグメントのネットワーク上のサーバ50A〜50Cのアドレスのリストである。
【0061】
目標サービス登録部531は、クライアントコンピュータ60でユーザが受けたい目標のサービスを登録し、目標のサービスをサービス提供サーバ検索部534に通知するための機能を有する。サービス読込命令送信部532は、起動時やユーザの指示に応じて、サーバ50A〜50Cが提供しうるサービスを問い合わせるための読込命令(サービス情報送信要求)をサーバ50A〜50Cに個別に送信する機能を有する。
【0062】
サービス情報受信部533は、サービス読込命令送信部532が送信した読込命令に反応してサーバ50A〜50Cから送信されたサービス情報を受信し、受信したサービス情報をサービス提供サーバ検索部534に通知する機能を有する。サービス提供サーバ検索部534は、目標サービス登録部531から通知された目標サービスを提供するサーバを通知されたサーバ情報から検索する機能を有する。そして、サービス提供サーバ検索部534は、検索された目標サービスを提供するサーバを起動命令発行部535に通知する。
【0063】
起動命令発行部535は、通知されたサーバに対して起動命令を発行する。起動命令発行部535は、起動命令として特殊なパケットを送出する。例えば、特殊なパケットは、IPヘッダに続いて、0xffffffffffffと起動対象のMACアドレスが16回連続するデータである。
【0064】
仮に、クライアントコンピュータ60が利用しようとしているサービスが第1サービス15Aであった場合、第1サービス15Aを提供しうる第1サーバ50Aのみを起動させる。また、サービスが複数のサーバ群(マスタ/スレーブ、クラスターサーバなど)で構成される場合は、そのサービスを提供しうる全てのサーバ候補を起動する。
【0065】
次に、図9を参照して、各サーバ50A〜50Cおよびクライアントコンピュータ60の処理の手順について説明する。なお、サーバはクライアントコンピュータ60が要求するサービスを提供しうるサーバと、サービスを提供し得ないサーバとに分けて説明する。
【0066】
各サーバのサービス取得部202Aは、サービスの設定時、あるいはサービスの引継ぎ時に、提供しうるサービスの情報を取得する。サービス取得部202Aは取得した提供しうるサービス情報をサービス情報記録命令発行部202Bに通知する。サービス情報記録命令発行部202Bは管理容易性マイコン210に、サービス情報を不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109に記録するように命令する。管理容易性マイコン210の記録部211は、サービス情報を不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109に記録する(ステップS21A,ステップS21B)。サーバが停止し、待機電源で動作している状態になり、クライアントコンピュータ60が要求するサービスを提供するサーバが分からなくなった状態になる(ステップS22A,ステップS22B)。
【0067】
クライアントコンピュータ60のサービス読込命令送信部532は、サーバ候補リスト23を参照し、リスト内の各サーバに対して、サービス情報を問い合わせするための読込命令を順次送信する(ステップS53)。この問い合わせは予め設定されている特定のポート番号に対して送信される。
【0068】
フィルタ部220が、特定のポート番号に送られたデータを受信すると、受信したデータを管理容易性マイコン210に転送する(ステップS24A、ステップS24B)。管理容易性マイコン210の読込部212は、読込命令に応じて不揮発性メモリ(BIOS−ROM)109からサービス情報を読み込む。読込部212は、読み込んだサービス情報を送信部213に渡す。送信部213は、渡されたサービス情報をクライアントコンピュータ60に送信し、クライアントコンピュータ60からの問い合わせに対して回答を行う(ステップS25A、ステップS25B)。
【0069】
サービス情報受信部533が各サーバからサービス情報を受信すると(ステップS26)、サービス情報をサービス提供サーバ検索部534にサービス情報を受け渡す。サービス提供サーバ検索部534は、受信したサービス情報から目標サービス登録部531に登録されている目標のサービスを提供しうるサーバを検索する(ステップS27)。サービス提供サーバ検索部534は、検索されたサーバを起動命令発行部535に通知する。起動命令発行部535は、通知されたサーバに対して起動要求を発行する(ステップS28)。
【0070】
サーバのLANコントローラ110が、クライアントコンピュータ60からの起動要求を受信すると(ステップS29)、LANコントローラ110はEC/KBC116に対してオペレーティングシステムを起動させるように命令する。EC/KBC116がシステムを起動させた後、サーバが稼働し、目標のサービスの提供を開始する(ステップS30)。
以上の処理によって、目的のサービスがどのサーバで提供しえるかわからない環境で、かつサーバが待機電源で動作している状態において、全てのサーバを起動することなく、目的のサービスを提供しうるサーバだけを起動することができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係わる情報処理システムの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す各サーバのシステム構成を示すブロック図。
【図3】起動していないサービス提供装置の中から、所定のサービスを提供しうるサーバのみを起動するための構成を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態に係わるサーバおよびクライアントコンピュータの処理の手順を示すフローチャート。
【図5】サービスを提供するサーバのマスタ/スレーブが切り替わった場合のサービス情報を記録更新する例を示すブロック図。
【図6】サービスを提供する環境を有する仮想マシンが別のサーバに移動した場合のサービス情報を記録更新する例を示すブロック図。
【図7】サーバとクライアントコンピュータとが別のセグメントのネットワーク上に有る場合の例を示すブロック図。
【図8】起動していないサービス提供装置の中から、所定のサービスを提供しうるサーバのみを起動するための構成を示すブロック図。
【図9】本発明の一実施形態に係わるサーバおよびクライアントコンピュータの処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
10A〜10C…サーバ,11A〜11C…サービス記録機能,12A〜12C…サービス情報,13A〜13C…サービス通知機能,14A〜14C…リモート電源ON機能,15A〜15C…サービス,20…クライアントコンピュータ,21…サーバ検索機能,22…サーバ起動機能,211…記録部,212…読込部,213…送信部,220…フィルタ部,231…目標サービス登録部,232…サービス読込命令送信部,233…サービス情報受信部,234…サービス提供サーバ検索部,235…起動命令発行部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたサービス受給装置と、前記ネットワークに接続され、前記サービス受給装置に前記ネットワークを介してサービスを提供する複数のサービス提供装置とから構成される情報処理システムであって、
前記複数のサービス提供装置のそれぞれは、
前記サービス受給装置に提供しうる全てのサービスの情報であるサービス情報を格納する不揮発性メモリと、
システムが動作していない電源オフ状態で前記サービス受給装置から送信されたサービス情報送信要求に応じて前記サービス受給装置に前記不揮発性メモリに格納されている情報を送信する手段と、
前記電源オフ状態で前記サービス受給装置から送信された起動命令に応じて前記システムを起動する手段とを有し、
前記サービス受給装置は、
前記電源オフ状態の前記サービス提供装置に前記サービス情報送信要求を送信する送信手段と、
前記サービス情報送信要求に応じて前記サービス提供装置から送信されたサービス情報に応じて、前記複数のサービス提供装置から所定のサービスを提供するサービス提供装置を選択する選択手段と、
前記選択されたサービス提供装置に対して前記起動命令を送信する手段とを有する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記所定のサービスを提供しうる全てのサービス提供装置を選択することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送信手段は、前記サービス受給装置と同一のセグメントのネットワークに接続されている全てのサービス提供装置に対してブロードキャストアドレスを用いて前記サービス情報送信要求を送信することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記サービス受給装置は、前記サービス受給装置と異なるセグメントのネットワークに接続されているサーバのアドレスのリストを有し、前記リスト上のサーバに対して個別に前記サービス情報送信要求を送信することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記サービス提供装置は、前記不揮発性メモリに格納されているサービス情報を、前記サービス提供装置と同一セグメントのネットワークに接続されている全てのサービス受給装置に対してブロードキャストアドレスを用いて送信することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項6】
ネットワーク接続されたサービス受給装置と、前記ネットワークに接続され、前記サービス受給装置に前記ネットワークを介してサービスを提供する複数のサービス提供装置とから構成される情報処理システムの制御方法であって、
前記サービス提供装置は、前記サービス提供装置が前記サービス受給装置に提供し得るサービスを問い合わせるためにサービス情報送信要求をシステムが動作していない電源オフ状態の前記サービス提供装置のそれぞれに送信し、
前記複数のサービス提供装置のそれぞれは、前記各サービス提供装置に設けられた不揮発性メモリに格納されているサービス情報を前記サービス受給装置に送信し、
前記サービス受給装置は、前記サービス提供装置から送信された前記サービス情報に基づいて所定のサービスを提供しうるサービス提供装置を検出し、
前記サービス提供装置を起動するための前記起動命令を前記検出したサービス提供装置に送信し、
前記起動命令を受信したサービス提供装置が起動する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
前記サービス受給装置は、前記所定のサービスを提供しうる全てのサービス提供装置に対して前記起動命令を送信することを特徴とする請求項6記載の制御方法。
【請求項8】
前記サービス情報送信要求の送信は、サービス受給装置と同一セグメントのネットワークに接続されている全てのサービス提供装置に対してブロードキャストアドレスを用いて行われることを特徴とする請求項6記載の制御方法。
【請求項9】
前記サービス受給装置は、前記サービス受給装置と異なるセグメントのネットワークに接続されているサーバのアドレスのリストを有し、
前記サービス情報送信要求の送信は、前記リスト上のサーバに対して個別に行われることを特徴とする請求項6記載の制御方法。
【請求項10】
ネットワーク接続されたサービス受給装置と、前記ネットワークに接続され、前記サービス受給装置に前記ネットワークを介してサービスを提供する複数のサービス提供装置とから構成される情報処理システムの制御方法であって、
前記複数のサービス提供装置のそれぞれは、前記各サービス提供装置に設けられた不揮発性メモリに格納されているサービス情報を前記サービス受給装置に送信し、
前記サービス受給装置は、前記サービス提供装置から送信された前記サービス情報に基づいて所定のサービスを提供しうるサービス提供装置を検出し、
前記サービス提供装置を起動するための前記起動命令を前記検出したサービス提供装置に送信し、
前記起動命令を受信したサービス提供装置が起動する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
前記サービス提供装置は、前記不揮発性メモリに格納されているサービス情報を、前記サービス提供装置と同一セグメントのネットワークに接続されている全てのサービス受給装置に対してブロードキャストアドレスを用いて送信することを特徴とする請求項10記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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