説明

愛玩動物用サークル、該サークルに使用できるパネル体

【課題】収容空間を容易に、連続的に変更できる愛玩動物用サークルを得る。
【解決手段】愛玩動物を収容する愛玩動物用サークルであって、開口部を有する一対の囲い部材を、その開口端部の壁体の一部を重ね合わせることによってサークルを形成し、重ね合わせる部分の長さを調整することでサークルの幅を調整できるようにした。
また、一対の囲い部材の一方に扉を設け、扉を設けていない囲い部材の壁が扉の部分と重なる場合には、その部分の壁部材を排除できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物を飼育するのに用いる愛玩動物用サークルおよび該サークルに使用できるパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
愛玩動物用サークルは愛玩動物を飼育するための囲いである。このような愛玩動物用サークルとして、例えば柵からなる複数のパネル体を組み合わせて囲いにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、愛玩動物用サークルではないが、ペットの種類や大きさに応じて収容空間を変えることができるペットケージが提案されている。
このペットケージは、収納空間の底部に位置する底枠と、収納空間の中間に位置すると共に必要に応じて1又は複数配設される中枠と、収納空間の天井部に位置する天枠と、上記底枠、中枠及び天枠に着脱自在に取り付けられる支柱と、上記底枠と天枠との間及び中枠が配設されている場合は中枠と底枠又は天枠との間に着脱自在に取り付けられて収納空間の周囲を仕切る線材板とを組み合わせて、1段又は複数段に構成することを特徴とするものである(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−271215号公報
【特許文献2】実用新案登録第3098127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたペット用柵は複数のパネル体を組み合わせて矩形の囲いとするものであるが、その大きさが固定されている。現在、知られている愛玩動物用サークルはこの特許文献1に示されたものと同様にその大きさが固定のもののみである。
【0005】
愛玩動物、例えば犬を飼育する場合、通常2〜3ヶ月の子犬のときから飼育する。しかし、子犬の成長ははやく月齢の小さいときに適切であったサークルもすぐに狭くなる。かといって、最初から大きなサークルを設置するのは、例えば室内での飼育の場合には部屋のスペースの関係から好ましくない。
このように、愛玩動物用サークルを選定する際には、愛玩動物の成長のこと、設置スペースのこと、を考慮して選定する必要がある。
しかし、従来の愛玩動物用サークルは、特許文献1に示されたように大きさが固定であるため、上記の条件に見合うような選定ができないという問題があった。
【0006】
この点、引用文献2に示されたペットケージはその大きさを変更できる。しかし、引用文献2のものは、一定の長さの支柱と線材板で構成される枠体をつなぎ合わせることで収容空間を変更するというものである。そのため、変更できる度合いが支柱の長さごとになり、微妙な調整などはできない。また、その変更には支柱の取り付け等の作業が必要であり、煩雑である。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、収容空間を容易に、連続的に変更できる愛玩動物用サークルを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る愛玩動物用サークルは、愛玩動物を収容する愛玩動物用サークルにおいて、サークルが幅方向調整可能に構成されていることを特徴とするものである。
幅方向とは、高さ方向以外の横方向を意味し、例えばサークルの奥行き方向を含む。
【0009】
(2)また、愛玩動物を収容する愛玩動物用サークルであって、開口部を有する複数の囲い部材を、その開口端部の壁体の一部を重ね合わせることによってサークルを形成し、重ね合わせる部分の長さを調整することでサークルの幅を調整できるようにしたことを特徴とするものである。
壁体とは、囲いを構成する周壁であって、例えば線材からなる柵状のもの、板状体からなる柵状のもの等種々の態様を含む。
また、サークルとは、周囲が閉じた囲いをいうものとする。
囲いが2個の場合のサークルの態様としては、平面視でコ字状の1対の囲いをコ字の開口部が対向するように配置してサークルを形成する態様がある。
また、囲いが4個の場合のサークルの態様としては、平面視で略く字状の4個の囲いを隣接する囲いの壁体の一部が重なるように配置してサークルを形成する態様がある。
【0010】
(3)また、上記(1)または(2)に記載のものにおいて、サークル幅の調整は、横方向の幅および奥行き方向の幅の両方の幅を調整できることを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(2)または(3)に記載のものにおいて、いずれか一つ又は複数の囲い部材の壁体に扉を設け、扉を設けていない囲い部材の壁体が扉の部分と重なる場合には、その部分の壁体を構成する部材を排除できるようにしたことを特徴とするものである。
排除とは、壁体を構成する部材を取り外すこと、壁体を構成する部材をスライドまたは回動させて扉の後方から退避させること等を含む。要するに、扉を開けたときに邪魔にならないようにする種々の態様を含む。
【0012】
(5)また、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のものにおいて、サークルを構成する壁体の一部に設けられた扉体と、該扉体に設置されたロック機構と、を備え、該ロック機構が扉体の閉止時のロックとして機能すると共に扉体を開放した状態で扉体を開放状態に保持するためのロック機構としても機能することを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、ロック機構は、扉を閉じた状態でサークルの枠体に係止する第1係止部と、扉を開放した状態でサークルの枠体または壁部材に係止する第2係止部と、を備えてなり、扉閉止時には第1係止部を枠体に係止させて扉閉止時のロック機構として機能し、扉開放時には扉を開放した状態で第2係止部をサークルの枠体もしくは壁部材に係止させて扉開放を保持する扉開放ロック機構として機能するように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のものにおいて、サークルの下方に設置するサークル用トレーを備え、該サークル用トレーが幅方向に伸縮可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
(8)また、上記(7)に記載のものにおいて、サークルとサークル用トレーが所定のピッチで幅方向に伸縮調整可能に構成され、前記サークルと前記サークル用トレーの幅方向調整ピッチが同一のピッチに設定されていることを特徴とするものである。
【0016】
(9)また、上記(7)または(8)に記載のものにおいて、サークル用トレーは複数の凹凸部を有する板材からなり、これら複数の板材の一部を重ねて凹凸を嵌合させて連結するように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
(10)また、本発明に係るパネル体は、愛玩動物用サークルまたは愛玩動物侵入規制用柵に用いるパネル体であって、該パネル体を、扉を備えた第1パネル体と該第1パネル体の一部を重ねて配置される第2パネル体を備えてなり、これら第1パネル体と第2パネル体の重なり量を調整することでパネル体全体の幅調整可能に構成され、前記第2パネル体の壁体の一部を排除可能にすることによって、前記扉と第2パネル体の壁体が重なる場合にも扉の機能が阻害されないようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の愛玩動物用サークルにおいては、サークル幅が伸縮可能に構成されているので、愛玩動物の成長に合わせて容易に収容空間を連続的に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの斜視図、図2は同じく本実施の形態に係る愛玩動物用サークルの分解斜視図である。
本実施の形態に係る愛玩動物用サークル1は、図1、図2に示すように、愛玩動物の出入り口となる第1扉3を備えた第1前面パネル5と、第1前面パネル5の後方側に第1前面パネル5に一部を重ねて配置された第2前面パネル7と、トイレなどの出し入れのための第2扉体9を備えた右側面パネル11と、左側面パネル13と、第1前面パネル5の後方に配置された第1後面パネル15と、第1後面パネル15の後方に一部を重ねて配置された第2後面パネル17と、を備えて構成される。
以下、これらの各構成部材を、参照図面を示しつつ詳細に説明する。
【0020】
<第1前面パネル>
第1前面パネル5は、矩形の木枠に線材を設置して構成されている。パネルの左側には線材からなる第1扉3が形成されている。第1扉3は右側の縦辺19を回動軸として手前に回動して開放できるようになっており、第1扉3の左側には第1扉3を閉止状態でロックする鍵20が設けられている。
第1前面パネル5の木枠を構成する枠上辺部材21及び枠下辺部材23の裏面側には第2前面パネル7と連結固定するための連結用の穴(図16参照)が設けられている。
【0021】
<第2前面パネル>
第2前面パネル7は、図2に示すように、枠上辺部材25、枠下辺部材27、枠上辺部材25と枠下辺部材27の右端部を上下に連結する枠端縦辺部材29、枠上辺部材25と枠下辺部材27の中間部を上下に連結する枠中縦辺部材31とからなる枠体と、その枠内に線材を設置して構成されている。そして、図3に示すように、枠中縦辺部材31の図中左側の線材からなる柵体33が取り外し可能になっている。すなわち、柵体33は、図3に示すように、周形状が矩形状に形成されるとともに上下辺にそれぞれ3本の足部35が延出して設けられ、この足部35が枠体に挿入されるようになっている。そして、上側の両端の足部を固定ネジ37で固定しており、柵体33を取り外す時には固定ネジ37を外すようにする。
また、第2前面パネル7の枠上下辺部材25、27には第1前面パネル5との連結をするための連結穴39が所定のピッチで複数設けられている。
【0022】
<右側面パネル>
右側面パネル11は、図4に示すように、矩形の枠体43の枠内に線材からなる柵体を設置して構成される。柵体は上下に2分割され、下側の柵体45がその上辺49を回動軸として回動して枠内の下半分を開閉する第2扉体9になっている。第2扉体9の下辺部の左右2箇所にはロック部材53が設けられている。図5はロック部材53の説明図であり、図5(a)が正面図、図5(b)が側面図である。ロック部材53は、本体部55と、本体部55にスライド可能に保持されたスライド部材57から構成されている。本体部55はスライド部材57を保持する保持部59と、保持部59にネジ61で結合されると共に柵体45に溶接された固定部63からなる。スライド部材57は、太い線材を矩形リング状に屈曲して形成され、挿入片部65と引掛け片部67を備えている。
第2扉体9の閉止時においては、スライド部材57を下方にスライドさせて挿入片部65を枠体43の下辺部材に設けたロック穴69に挿入する。これによって、第2扉体9の回動が規制される。
第2扉体9の開放時には、引掛け片部67を上側の柵体47の線材に引掛けることにより、第2扉体9を開放状態で保持する。
【0023】
図6〜図8は、第2扉体9の開放動作の説明図である。図6に示すように、扉を開ける時は、スライド部材57を上方に引き上げ、挿入片部65をロック穴69から抜き出す。この状態で、図7に示すように、第2扉体9を手前側に引き上げることにより、上辺49を回動軸として回動させて扉を開ける。そして、図8に示すように、第2扉体9を上側の柵体47に重なる状態にして、スライド部材57を下方に押し下げる。これによって、図9に示すように、スライド部材57の引掛け片部67が上側の柵体47の横線材に係止して第2扉体9の回動を規制する。このように、ロック部材53は第2扉体9の閉止時には第2扉体9が開くのをロックし、第2扉体9の開放時には第2扉体9を開放状態で保持するように機能する。
なお、図9は右側面パネル11をサークル内側から見た状態を示している。
【0024】
<左側面パネル>
左側面パネル13は、矩形状の枠体71の枠内に線材からなる柵体73を設置してなるものである。左側面パネル13には右側面パネル11に設けたような扉は設けられていないが、右側面パネル11と左側面パネル13は互いに配置を入れ替えることができる。
【0025】
<第1後面パネル>
第1後面パネル15は矩形状の枠体75の枠内に線材からなる柵体77を設置してなる。枠体75を構成する枠上辺部材79及び枠下辺部材81の外側面にはパネル連結用の連結穴が設けられている。
【0026】
<第2後面パネル>
第2後面パネル17は、第1後面パネル15と同様に、矩形状の枠体83の枠内に線材からなる柵体85を設置してなる。第2後面パネル17の枠体83を構成する枠上辺部材87及び枠下辺部材89には第1後面パネル15との連結をするための連結穴が複数設けられている。
【0027】
上記のように構成された各パネルを連結してサークルを組み立てる方法を説明する。図10、図11はサークルの組み立て方法の説明図であり、左側面パネル13と第1後面パネル15の接合方法を示している。
左側面パネル13の枠体71の下端部には延出部91が形成され、そこにダボ93が設けられている。他方、第1後面パネル15の枠体75の下端部には、延出部91に係合するようにL型の切欠き部95が形成され、そこにダボ93が嵌合するダボ穴97が設けられている。図10に示すように、左側面パネル13と第1後面パネル15を両者が直角になるように配置してダボ穴97にダボ93を挿入する。そして、図11に示すように、第1後面パネル15の枠体から左側面パネル13の枠体に固定ネジ99をねじ込むことで両者を固定する。他のパネル同士の接合も同様に行う。
【0028】
上述した方法によって、図12に示すように、左側面パネル13の両側に、左側面パネル13と直角に第1前面パネル5および第1後面パネル15を接合し、平面視でコ字状になる第1囲い101を形成する。
また、図13に示すように、右側面パネル11の両側に、右側面パネル11と直角に第2前面パネル7および第2後面パネル17を接合し、平面視でコ字状になる第2囲い103を形成する。
【0029】
第1囲い101の開口側と第2囲い103の開口側を対向させ、図1に示すように、第1前面パネル5と第2前面パネル7とを一部を重ね、第1後面パネル15と第2後面パネル17の一部を重ねるようにして固定ネジによって連結することでサークルが完成する。このとき、重ね合わせの長さを調整することによって、サークルの幅を調整できる。
図14は、サークルの幅を最も狭くした状態の斜視図、図15は最も幅を広くした状態の斜視図である。図14に示す状態では、第1前面パネル5の第1扉3の後方に第2前面パネル7の枠中縦辺部材31よりも左側の柵体33が配置されることになり、第1扉3を開放したときに第2前面パネル7の柵体33が邪魔になる。そこで、このようにサークルの幅を狭めるときには、図3に示すように、柵体33を取り外すようにする。こうすれば、第1扉3を開放したときに柵体33が邪魔にならず、サークル内への動物の出し入れが可能になる。
【0030】
図16は、サークルの幅調整の態様の説明図であり、図16(a)〜(d)の4つの態様を示している。図16においては、第1前面パネル5の上部と、第2前面パネル7の上部、連結時の状態の上部を、サークル内側から見た状態を示している。第1前面パネル5の枠上辺部材21には左右の端部にそれぞれ1個の連結穴、図中右端(組み立てた状態では中央部になる)の連結穴の隣に後述する第2前面パネル7に設ける連結穴のピッチと同じ長さだけ離れた位置に連結穴が一つ設けられている。さらに、枠上辺部材21のほぼ中央部に1個の連結穴が設けられている。
一方、第2前面パネル7の枠上辺部材25には一定のピッチで複数の連結穴が設けられている。
【0031】
図16(a)は、サークルの幅を最も狭くした場合を示している。この場合、前述したように、第2前面パネル7の内側の柵体33を取り外す。この場合、図16(a)の連結時の状態を示す図に示すように、第1前面パネル5と第2前面パネル7を重ね、両パネルの両端部の連結穴に固定ネジを挿入して固定する。図中、固定ネジを挿入する位置を矢印で示している。
この例では、サークル幅が90cmになる。
【0032】
図16(b)は、サークル幅が中間状態の場合を示している。この場合は、第1前面パネル5については、右端と中央の連結穴を使用し、第2前面パネル7は左端と中央の連結穴を使用する。このときのサークル幅は、122cmとなる。
なお、図16(a)の状態から図16(b)の状態に至るまでに、サークルの幅は第2前面パネル7に設けた連結穴のピッチで調整できる。その場合、第1前面パネル5側の連結穴は図16(b)と同じ穴を使用する。他方、第2前面パネル7側は、使用する右側の穴を、右端から2番目、3番目・・・と、順次左側に移動させる。
【0033】
図16(c)は、図16(b)よりも、1ピッチ分だけサークル幅を広くした状態である。この段階からは取り外してあった第2前面パネル7の柵体33を取り付けるようにする。そして、第1前面パネル5側では右端の2個の連結穴を使用し、第2前面パネル7側では、中央の連結穴とその左隣の連結穴を使用する。このときのサークル幅は128.4cmとなっている。
図16(c)の状態よりもサークル幅を広げる場合には、第1前面パネル5は右端の2個の連結穴を使用し、第2前面パネル7は順次左側へ移動させていく。
図16(d)は、サークル幅を最も広くした状態を示している。このとき、第1前面パネル5は右端の2個の連結穴を使用し、第2前面パネル7は左端の2個の連結穴を使用する。この場合のサークル幅は、154cmとなる。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、サークル幅を第2前面パネル7に設けた連結穴のピッチに合わせて伸縮できるので、以下のような利点がある。
・愛玩動物の成長に応じて適切な収容空間にできる。
・愛玩動物の種類、例えば大型犬、小型犬などを問わず使用できる。
・設置場所に応じて幅を変更できるので、設置場所を選ばない。
このような利点があることから、サークルの購入者にとっては、従来例のように幅が固定のタイプでは種々の条件を考慮して特定の大きさのサークルを選定しなければならず、その選定作業だけでも煩雑であるところ、本実施の形態のように幅調整が自在にできるものであれば、種々の条件を考慮した煩雑な選定作業が不要になるというメリットもある。
【0035】
なお、愛玩動物用サークル1はそのまま床に直置きしてよいが、図17に示すように、床の汚れ防止のためのサークル用トレー105を置き、その上に設置するようにしてもよい。このサークル用トレー105は、サークルの伸縮に合わせて伸縮できるようになっている。
図18、図19はサークル用トレー105の説明図である。図18に示すようにサークル用トレー105は上トレー107と下トレー109の2枚のトレーから構成される。上トレー105と下トレー107には共に矩形の山谷からなる凹凸部111が形成されている。そして、図19に示すように、上トレー107と下トレー109の一部を重ね合わせて凹凸部111を嵌合させることで両者を接合する。重ね合わせる長さによって、トレーの幅を自在に設定できる。
図20は、トレーの幅を最も広くした状態を示す斜視図、図21はトレーの幅を最も狭くした状態を示す斜視図である。
【0036】
図22は上トレー107と下トレー109を組み合わせた状態の平面図、図23は底面図、図24は図23における矢視A-A部の拡大図、図25は図24における矢視B-B断面図、図26は図24における矢視C-C断面図である。
以下、図22〜図26に基づいて凹凸部の形状を説明する。
上トレー107と下トレー109の凹凸部は、上トレー107を下トレー109に重ねたときに互いに嵌合できる形状になっている。
また、凹凸部はその軸方向の一部に凸部の側壁を内側に入り込ませることによってくびれ部113を形成している。このくびれ部113は、サークル用トレー105を底面から見たとき現れる(図23、図24参照)。図25は、くびれ部113のない部分の断面を示しており、図26はくびれ部113のある部分の断面を示している。くびれ部113のない部分では、図25に示すように凸部114の側壁はほぼ垂直になっているが、くびれ部113が形成されている部分では、図26に示されるように、凸部114の側壁が内側に傾斜している。
【0037】
このように凹凸部111にくびれ部113を設けることによって、上トレー107と下トレー109の凹凸部111を嵌合させたときに両者が強固に連結できるという効果が得られる。このようにすることで、例えば、サークル用トレー105の清掃時にトレーを移動させようとした際に上トレー107と下トレー109が容易に分離することを防止し、トレー内に残っていた尿などがこぼれてしまうのを防止できる。
なお、凹凸部111の高さは概ね7mm〜8mmにするのが好ましい。愛玩動物の快適性を考えると凹凸部111の高低差は低い方が好ましいが、上トレー107と下トレー109の連結を強固にする観点から一定の高さが必要であり、両者の調和の観点から上記の高さに設定したものである。
【0038】
また、凹凸部111の幅方向のピッチは愛玩動物用サークル1の幅調整のピッチに合わせるのが好ましい。このようにすることによって、サークルの幅に合わせた幅調整が容易にできるからである。
【0039】
なお、上記の実施の形態においては、第1前面パネル5と第2前面パネル7を幅調整可能にしたときに第1前面パネル5の扉部分と第2前面パネル7が重なる場合において、第1扉3の後方を開けるために第2前面パネル7の柵体33を取り外すようにした。
第1前面パネル5の第1扉3の部分と第2前面パネル7が重なる場合において、第1扉3の後方を開ける方法としては、重なる部分の柵体33を取り外す他、当該部分の柵体33をスライド可能に取り付けておいて横方向にずらすとか、あるは柵体33の一辺を回動軸として回動させるなどの方法であってもよい。
【0040】
なお、2枚のパネルの一部を重ね合わせて幅調整可能にすると共に幅を縮めた状態でも扉の開放が阻害されないという第1前面パネル5と第2前面パネル7からなるパネル体は、サークルの前面パネルとして利用する他、このような第1前面パネル5と第2前面パネル7からなるパネル体を、例えば図27に示すような愛玩動物通行規制用柵115に適用することもできる。
【0041】
図27に示す愛玩動物通行規制用柵115は、室内で動物を飼育する場合において、キッチンや玄関など愛玩動物の通行を阻止するための柵であり、第1前面パネル5と第2前面パネル7からなる正面パネル117と、正面パネル117の両側に折り畳み可能かつ分離可能に取付けられた一対の側面パネル119とを備えて構成される。
【0042】
第1前面パネル5と第2前面パネル7の構成は上記の実施の形態で示したものと同様である。また、幅を縮めた状態でも扉開放が阻害されない構成については、上記の実施の形態で示した例の他、変形例として示したスライド方式や回動方式を適用することができる。
【0043】
また、上記のパネル体は、上記のような載置タイプの愛玩動物通行規制用柵115の他、両側を壁に突っ張って保持する側面パネルのないタイプの愛玩動物通行規制用柵にも適用できる。
【0044】
なお、幅方向に調整可能に設置するパネル同士、例えば第1前面パネル5と第2前面パネル7の接合方法について、上記の実施の形態では第1前面パネル5と第2前面パネル7に設けた連結穴同士を固定ネジで連結する例を示したが、これらパネルの固定方法は他の態様でもよい。例えば、図28及び図28の矢視A−A断面図である図29に示すように、第1前面パネル5の枠上辺部材21と第2前面パネル25の枠上辺部材25に断面略コ字状の固定部材121を両方の枠上辺部材21、25を包み込むようにして設置し、固定部材121の側部に設けた固定ネジ123で枠上辺部材21を枠上辺部材25側に押圧することで固定するようにしてもよい。
このようにすれば、幅方向の調整を連続的に行うことができる。
【0045】
また、他の態様として、図30及び図30の矢視B−B断面図に示すように、第1前面パネル5の枠上辺部材21における第2前面パネル7に対向する面に溝付の車輪125を設け、第1前面パネル7の枠上辺部材25に車輪125の溝に挿入可能なレール127を設け、車輪125の溝をレール127に嵌め込むことによって、第1前面パネル5と第2前面パネル7を連結するようにしてもよい。この場合には、第1前面パネル5と第2前面パネル7の幅方向の移動がスムーズに行えるという効果が得られる。なお、幅方向の所定の位置での固定方法は例えば、図28に示した方法で行うようにすればよい。
【0046】
また、上記の実施の形態においては、愛玩動物用サークル1の幅を縮めた状態において、第1前面パネル5に設けた第1扉3が有効に機能するようにするための方法として、第2前面パネル7の柵体33を取り外す例を示した。
しかし、本発明はこの例に限られるものではなく、例えば、図32に示すように、柵体33を、一方の縦辺33aをピン129で固定すると共に他方の縦辺33bを軸として回動可能に枠体に取り付け、サークル幅を縮めた状態では、図33に示すようにピン129を外して柵体33を回動させて、図34に示すように、柵体33に隣接する柵体34に重ねた状態にしてピン129で固定するようにしてもよい。
【0047】
また、図35および図35の矢視C−C断面図である図36に示すように、柵体33を第2前面パネル7の枠上辺部材25及び枠下辺部材27に設けたスライド溝131に沿ってスライドできるように設置して、サークル幅を縮めた状態では柵体33を柵体34側にスライドさせるようにしてもよい。
【0048】
また、他の例としては、図37、図38に示すように、柵体33と柵体34を、連結棒133を介して折りたたみ可能に連結すると共に枠上辺部材25及び枠下辺部材27に柵体33の縦辺33aが柵体34側に移動可能な溝135を設けておき、サークル幅を縮めた状態では、図38に示すように、連結棒133の固定ピン137を外して、柵体33の上下辺を、溝135内を移動させて折りたたみ、折りたたんだ状態で再び固定ピン137で固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルを構成する第2前面パネルの説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルを構成する右側面パネルの説明図である。
【図5】図4に示した右側面パネルに設置されたロック部材の説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルを構成する右側面パネルの動作説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルを構成する右側面パネルの動作説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルを構成する右側面パネルの動作説明図である。
【図9】図5に示したロック部材の動作説明図である。
【図10】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの組み立て方法の説明図である。
【図11】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの組み立て方法の説明図である。
【図12】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの組み立て方法の説明図である。
【図13】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの組み立て方法の説明図である。
【図14】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの幅を最も狭くした状態の斜視図である。
【図15】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの幅を最も広くした状態の斜視図である。
【図16】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルの幅調整方法の説明図である。
【図17】発明の一実施の形態に係る愛玩動物用サークルをトレー上に設置した状態を示す図である。
【図18】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの説明図である。
【図19】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの説明図である。
【図20】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの幅を最も広くした状態の斜視図である。
【図21】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの幅を最も狭くした状態の斜視図である。
【図22】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの平面図である。
【図23】発明の一実施の形態に係るサークル用トレーの底面図である。
【図24】図23の矢視A-A拡大図である。
【図25】図24の矢視B-B断面図である。
【図26】図24の矢視C-C断面図である。
【図27】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図28】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図29】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図30】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図31】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図32】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図33】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図34】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図35】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図36】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図37】本発明の他の実施形態の説明図である。
【図38】本発明の他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 愛玩動物用サークル
3 第1扉
5 第1前面パネル
7 第2前面パネル
9 第2扉体
11 右側面パネル
13 左側面パネル
15 第1後面パネル
17 第2後面パネル
33 柵体
39 連結穴
53 ロック部材
55 本体部
57 スライド部材
65 挿入片部
67 引掛け片部
101 第1囲い
103 第2囲い
105 サークル用トレー
107 上トレー
109 下トレー
111 凹凸部
115 愛玩動物通行規制用柵
117 正面パネル
119 側面パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
愛玩動物を収容する愛玩動物用サークルにおいて、サークルが幅方向調整可能に構成されていることを特徴とする愛玩動物用サークル。
【請求項2】
愛玩動物を収容する愛玩動物用サークルであって、開口部を有する複数の囲い部材を、その開口端部の壁体の一部を重ね合わせることによってサークルを形成し、重ね合わせる部分の長さを調整することでサークルの幅を調整できるようにしたことを特徴とする愛玩動物用サークル。
【請求項3】
サークル幅の調整は、横方向の幅および奥行き方向の幅の両方の幅を調整できることを特徴とする請求項2に記載の愛玩動物用サークル。
【請求項4】
いずれか一つ又は複数の囲い部材の壁体に扉を設け、扉を設けていない囲い部材の壁体が前記扉の部分と重なる場合には、その部分の壁部材を排除できるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の愛玩動物用サークル。
【請求項5】
サークルを構成する壁体の一部に設けられた扉体と、該扉体に設置されたロック機構と、を備え、該ロック機構が扉体の閉止時のロックとして機能すると共に扉体を開放した状態で扉体を開放状態に保持するためのロック機構としても機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の愛玩動物用サークル。
【請求項6】
ロック機構は、扉を閉じた状態でサークルの枠体に係止する第1係止部と、扉を開放した状態でサークルの枠体または壁部材に係止する第2係止部と、を備えてなり、扉閉止時には第1係止部を枠体に係止させて扉閉止時のロック機構として機能し、扉開放時には扉を開放した状態で第2係止部をサークルの枠体もしくは壁部材に係止させて扉開放を保持する扉開放ロック機構として機能するように構成したことを特徴とする請求項4記載の愛玩動物用サークル。
【請求項7】
サークルの下方に設置するサークル用トレーを備え、該サークル用トレーが幅方向に伸縮可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の愛玩動物用サークル。
【請求項8】
サークルとサークル用トレーが所定のピッチで幅方向に伸縮調整可能に構成され、前記サークルと前記サークル用トレーの幅方向調整ピッチが同一のピッチに設定されていることを特徴とする請求項7記載の愛玩動物用サークル。
【請求項9】
サークル用トレーは複数の凹凸部を有する板材からなり、これら複数の板材の一部を重ねて凹凸を嵌合させて連結するように構成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の愛玩動物用サークル。
【請求項10】
愛玩動物用サークルまたは愛玩動物侵入規制用柵に用いるパネル体であって、該パネル体を、扉を備えた第1パネル体と該第1パネル体に一部を重ねて配置される第2パネル体を備えてなり、これら第1パネル体と第2パネル体の重なり量を調整することでパネル体全体の幅調整をできるように構成され、前記第2パネル体の壁体の一部を排除可能にすることによって、前記扉と第2パネル体の壁体が重なる場合にも扉の機能が阻害されないようにしたことを特徴とするパネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2008−118931(P2008−118931A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307015(P2006−307015)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000107066)株式会社リッチェル (77)
【Fターム(参考)】