説明

扉付入浴装置

【課題】
浴室のレイアウト変更も容易で汎用性の高い有益なものであって、扉2の扱いが便利で安全である扉付入浴装置を提供すること。
【解決手段】
浴槽3の正面側壁1は扉2で構成され、扉2にはこの扉2を浴槽3に寄せ付けるロック機構14が設けられ、浴槽3と扉2の当接部において、左右側のうち、一方側には、蝶番15が設けられ、他方側には、ロック具35が設けられ、
一方側の蝶番15と、他方側のロック具35とを互いに取り替えることが容易にできるように構成し、これらの取り替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できることを特徴とする扉付入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なう扉付入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、浴槽の一側壁に開閉自在な扉付きの開口部を設け、該開口部より入浴者を進退させ、更に浴槽に連結した転湯装置により湯を出し入れして、入退浴を行う介護浴槽において、扉と浴槽とにわたって扉閉止機構が設けられ、且つ、該扉閉止機構には、扉を締め込んで密閉させる作動器が設けられてなり、扉を、手動操作により一旦非水密の仮係止状態に閉止した後、作動器を作動させて扉を締付ける、少なくとも2行程の作動を経て、完全密閉状態にすることを特徴とする扉付き介護浴槽である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−187100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、扉閉止機構を、浴槽と扉とにわたって設けたものであるから、扉を閉める操作が容易である。
又、扉閉止機構の弛緩により非水密の仮係止状態になし、その後、操作ハンドルを持って軽易な労力で開けることができ、これら扉の開閉が、軽易な労力で簡単に行なえ、好都合である。
しかし、特許文献1に記載された浴槽は、閉止機構が浴槽の一方側壁に設けられているから、浴室のレイアウトの都合を考慮して扉の開き側を左右反対側へ変えたい時、扉の開き側を容易に逆側へ変更することができないという不都合があった。
本発明の目的は、浴室のレイアウト変更に容易に対応でき汎用性の高い有益なものであって、扉の扱いが便利で安全である扉付入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現する本発明は、浴槽3の正面側壁1は扉2で構成され、扉2にはこの扉2を浴槽3に寄せ付けるロック機構14が設けられ、浴槽3と扉2の当接部において、左右側のうち、一方側には、屈曲支持具7が設けられ、他方側には、ロック具35が設けられ、一方側の屈曲支持具7と、他方側のロック具35とを互いに取り替えが容易にできる構成とし、これらの取り替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できることを特徴とする扉付入浴装置である。
又、扉2内部に、ロック具35とロック具35を作動させる作動機19等からなり扉2を浴槽3に密着させロックするロック機構14が設けられ、ロック機構14は、作動機19の駆動力を左又は右のロック具35へ伝達する構成を有し、ロック具35及び検出片34等は、左右側の変更付け替えが容易にできる構成とし、これらの付け替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できる。
更に、浴槽3の正面側壁1は扉2で構成され、扉2にはロック機構14が設けられ、浴槽3と扉2の当接部において、一方側には、屈曲支持具7が設けられ、他方側には、ロック具35が設けられ、ロック具35は、浴槽3に設けられるロック片31と扉2に設けられるロック掛け具21とでなり、ロック片31は浴槽3の側壁前縁3aに扉2に向けて水平状に延設され、ロック片31の上側先部には凸部32が形成され、ロック片31の下側先部には垂下状に鉤突起33が形成され、一方、前記ロック掛け具21は鉤突起33に掛かるものであり、更に、扉2の内部に扉2が仮閉め位置に至るとロック片31の凸部32に掛かる仮ロック具24が設けられ、扉2を浴槽3に閉止する時、介助者は手動で扉2を仮閉めすると、仮ロック具24が、ロック片31に掛かり、扉2は仮閉め位置に係留され、この仮閉め位置では、鉤突起33がロック掛け具21の回転半径内に位置され、次に、介助者がロック機構14を作動させると、ロック掛け具21が回転し、鉤突起33を引き寄せ、扉2は密閉位置に至る。
更に又、ロック具35所在側の扉2に、退入可能に検出片34が突設せられ、又、扉2の内部に、検出片34に当接して退入度合いを検出する仮ロックセンサー36及び本ロックセンサー37が設けられ、一方、浴槽3の上面に設けられた操作パネル13に、扉ランプ28が配設され、前記扉ランプ28は、仮・本ロックセンサー36・37の出力を得て扉2が開位置にあるか仮閉め位置にあるか密閉位置にあるかを判別可能に表示する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、一方側の屈曲支持具7と、他方側のロック具35(=ロック片31及びロック掛け具21)とを互いに取り替えることが容易にできるように構成しており、扉2の開く側を軽微な現場作業で左右を逆に変更でき、設置作業の円滑化に協力でき、又、施設内のレイアウトを変更するとき、自由度が高く汎用性を高めることとなり、好都合である。
又、浴室のレイアウトの自由度を高めることにより、搬送車の扱いや経路の良好化に協力でき、入浴作業の円滑化に協力でき、好都合である。
【0007】
本発明に係るロック機構14は、作動機19の駆動力を左又は右のロック具35へ伝達する構成を有し、ロック具35及び検出片34等は、左右側の取り替えが容易にできる構成とし、これらの取り替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できる。扉2のロックを掛ける作動機19等の主な部材が扉2側にあるから、ロック具35の付け替えや検出片34の容易な付け替えをもって、扉の開く側を左右反対側に変更することができ、好都合である。
又、作動機19一個で左右両側のロック具35を駆動することができ、左右変更作業の簡素化と、コストダウンが図れ、好都合である。
【0008】
介助者が手動で扉2を閉めると仮ロック具24の先端部が、ロック片31に当たり下方付勢力に抗して凸部32の上面に添って上昇・下降して通り越し、ロック片31の中部上面に乗り上げ扉2は仮ロック具24によって仮閉め位置に係留され、仮閉め位置ではロック片31がロック掛け具21の回転半径内に設定されるものであるから、扉2側に設けた簡易な構成で、扉2側でロック作動をなして扉2を密閉ロックでき、好都合である。
【0009】
扉2の左右側部のうちの他方側に、扉2の内方に向かって退入可能な検出片34が、コイルバネ8に付勢されて扉2の外方の浴槽3に向けて突設される。
又、扉2に、検出片34に当接して退入状況を検出する仮ロックセンサー36及び本ロックセンサー37が設けられる。
この構成によれば、扉2の左右側の取り替えを行う際、検出片34及び仮・本ロックセンサー36・37の取り付けが簡単であるから、一層、扉2の開く側の変更を行ない易く、好都合である。
扉2の浴槽3に向かう面には、左右側のうち一方側に蝶番15を取り付け、他方側に検出片34を取り付けている。扉2の開き側を左右変更するとき、両者の位置を互いに取り替えることができ、扉2に特別な取り付け穴を開ける必要がなく、付け替え作業が簡易で、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1の正面から見た斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の浴槽3に寝位搬送車11を入れた左側面図である。
【図4】本発明の実施例1の扉2のロック機構14を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例1の扉2のロック機構14を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の寝位搬送車11の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例1を説明する。図1乃至図6に本発明の実施例1を示す。
図1に示す扉付入浴装置12は、正面側壁1が扉2で構成される浴槽3と、搬送車4と、タンク5と、湯移動装置6と、操作パネル13等とからなる。
【0012】
浴槽3は、扉2が設けられる浴槽主部9と、扉2に対向する側における浴槽主部9に連続して接続される浴槽副部10とからなり、浴槽3はその基側から先側に向けて長尺に形成されてなる。
【0013】
浴槽副部10はその幅を先方漸狭に形成され、省湯量化を図った構成である。
浴槽副部10は後記する寝位搬送車11の長尺下肢受け29を受容する。
実施例1は、座位入浴を行なえると共に、浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴も行なえる構成である。
【0014】
扉2は、浴槽3の正面側壁1に、屈曲支持具7(具体例では蝶番15)とロック機構14とで、開閉可能に取り付けられる。屈曲支持具7は、具体例では蝶番15である。扉2に、扉2と浴槽3の前縁とをシールするシール材38が取着される。
扉2には該扉2を浴槽3に密着させるロック機構14が設けられる。
ロック機構14は、作動機19の駆動力を左又は右のロック具35へ伝達する構成を有する。
【0015】
ロック機構14は、伸縮作動をなす作動機19と、作動機19(具体例では、アクチュエーター)によって回転する回転軸20と、回転軸20の端に取着されるロック掛け具21と、扉2の左右両側に設けられる左・右扉フレーム22・23とからなる。
図5に示す作動機19は、入浴スイッチ26が投入された時、伸長作動するものである。
前記回転軸20は扉2の左右側にわたって水平状に設けられる。
【0016】
浴槽3の左右前端のうち一方側には、扉2を回動可能に支持する蝶番15が取着される。
扉2の左右端のうち一方側は、前記蝶番15に取着される。
他方側にはロック具35が設けられる。
ロック具35は、浴槽3に設けられるロック片31と扉2に設けられるロック掛け具21とでなる。
屈曲支持具7及びロック具35は、浴槽3と扉2の当接部において、左右を取り替えて取着することは容易である。扉2の開く側を左右変更する際に、上記取り替えが行なわれる。
【0017】
ロック片31は、浴槽3の側壁前縁3aに、扉2方向(=前方向)に突設される。ロック片31は、その上側先部に凸部32が形成され、その下側先部に垂下状に鉤突起33が形成される。
ロック掛け具21は、ロック片31に対向して、回転軸20の左右端のうちいずれかに取り付けられ、回転しながら鉤突起33に掛かり、扉2をロックする部材である。ロック掛け具21は、図5では右端側の、ロック片31の設けられる側に取着される。
ロック掛け具21は、回転軸20の左右端において、左右を変更して取着することは容易である。扉2の開く側を左右変更する際に、上記変更取着が行なわれる。
【0018】
介助者が扉2を閉めると扉2は仮閉め位置に至り、仮ロック状態になる。
図4に示すロック掛け具21が、作動機19の伸長作動により、回転軸20と共に左回転し、ロック掛け具21の先部が鉤突起33に掛かり鉤突起33を扉2内へ引き込むものである。この引き込み作動により遊動状にある扉2は、浴槽3の内方側へ移動し浴槽3の前縁へ密着する。
【0019】
扉2は、介助者が扉2を手動で閉めた時、又は、浴槽3内の湯が空になった時は、ロックは解除され仮ロック状態となる。
この仮ロック状態では、ロック片31の中部上面に仮ロック具24がバネ25で下方に付勢され当接し、扉2が仮ロック具24で係留される。
即ち、仮ロック具24の押し圧力がロック片31に付与され、扉2は浴槽3の前方開口部に非密閉状態に停留する。扉2が仮ロック状態の位置にある時は、ロック掛け具21の回転半径内に鉤突起33がある。
【0020】
扉2は、ロック掛け具21を回動により、仮ロック状態から本ロック状態に変わり、密閉される。
介助者が扉2を引けば仮ロック具24はバネ25力に抗して基部30を中心に垂直面に添う方向に回動し凸部32を超え、仮ロック具24がロック片31から外れ、扉2は開く。
介助者が扉2を引かない間は、扉2は浴槽3の前開口部に非密閉状態に停留する。
【0021】
扉2の他方側に、扉2の内方に向かって退入可能な検出片34が設けられる。
扉2が開状態にある時は、検出片34は扉2の外方にコイルバネ8に付勢されて突出している。
扉2が仮ロック状態にある時は、検出片34が浴槽3に当たって、扉2の内方向に半退入する。扉2が浴槽3に密着すると、検出片34が浴槽3に押されて、扉2の内方向に全退入する。
【0022】
扉2に、検出片34に当接して前記半退入及び全退入を検出する仮ロックセンサー36及び本ロックセンサー37が設けられる。仮ロックセンサー36が仮ロックを検出しなければ、本ロックしないように構成されている。
一方、浴槽3上部に設けられる操作パネル13に扉ランプ28が配設され、扉ランプ28で扉2の仮閉め状態と密閉状態とを表示する。
検出片34、仮ロックセンサー36及び本ロックセンサー37は、浴槽3と扉2の当接部において、左右を変更して取着することは容易である。扉2の開く側を左右変更する際に、上記変更取着が行なわれる。
回転軸20の左右端において、左右を取り替えて取着することは容易である。扉2の開く側を左右変更する際に、上記取り替えが行なわれる。
【0023】
後記する操作パネル13に扉2の仮閉め状態と密閉状態とを表示す扉ランプ28が配設されている。
扉2が前記半退入の状態の時、扉ランプ28は点滅し、全退入状態の時、扉ランプ28は点灯する。扉ランプ28は扉2の仮閉め状態と密閉状態と判別可能にしている。点滅も点灯もせず消灯することで、開放状態を判別可能にしている。
【0024】
搬送車4は、入浴者を乗せ搬送すると共に、浴槽3に入浴者と共に押し込まれるものである。
搬送車4は、座位搬送車(図示省略)、又は寝位搬送車11であり、これらの両搬送車13・14は浴槽3に適用できる。
寝位搬送車11は浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴を行なう。
前記座位搬送車は座位入浴を行なう。浴槽3は寝位入浴と座位入浴を実施可能にするものである。
【0025】
次に、実施例1の扉付入浴装置12の使用方法について説明する。
入浴準備に際し、湯と水をミキシングバルブ(図示省略)で適温に為して、タンク5へ新湯を供給し貯湯する。この貯湯時はタンク上限水位スイッチ(図示省略)が作動するまで給湯する。
【0026】
入浴者を搬送車4に乗せ、浴槽3の前へ搬送する。
タンク5は、門型形状に構成されて浴槽副部10に左右方向に跨がって構成され、装置の奥行きが短縮されており、浴室の占有空間を小さくしておりそれ故に搬送車4はその通路を広く取れ浴室での取り回し良好となる。
浴槽3の扉2を、扉2の上縁を掴んで引き開ける。
仮閉め位置にある扉2を開ける。仮ロック具24の先端部が、凸部32を擦って越えロック片31から外れ、扉2が開く。
【0027】
開けておいて上記搬送車4を入浴者と共に浴槽3内へ押し込む。
搬送車4が前記座位搬送車の場合は、搬送車4を浴槽3へ入れる時、介助者は、操作ハンドル(図示省略)を引き下げ、下肢受け(図示省略)を水平方向へ回動させ係止する。
座れない入浴者に対しては、寝位搬送車11を使用する。介助者は、入浴者を担架(図示省略)から寝位搬送車11へ移乗し、搬送する。
【0028】
浴室のレイアウトを改善変更に関連して、又は、その他の都合によって、扉2の開く側を変更したいとき、簡易な作業で扉2の取り付け部分を改造できる。
即ち、扉2の開く側を変更するときは、蝶番15と、ロック具35とを取り替える。この取替えに付随して、検出片34も反対側へ移転取り付けする。取替え作業は、工場でなくても現場で簡易に行なえる。
更に詳述すると、浴槽3の左右側に係る一方側の蝶番15は、その一方が浴槽3の側壁前縁3aに難無く着脱可能に取着され、その他方は扉2に難無く着脱可能に取着される。
【0029】
浴槽3の左右側に係る他方側のロック具35は、その一方がロック片31であって浴槽3の側壁前縁3aに難無く着脱可能に取着され、その他方はロック掛け具21及び後記する仮ロック具24であっていずれも難無く着脱可能に取着される。
【0030】
ロック掛け具21は、扉2内の回転軸20に難無く着脱可能に取着され、仮ロック具24は左・右扉フレーム22・23に難無く着脱可能に取着される。
従って、浴槽3の左右側に係る一方側の蝶番15と、他方側のロック具35とは互いに取り替えが難無く着脱可能に取着できる構成であり、これらの蝶番15とロック具35との取り替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更する。
ロック機構14は、作動機19の駆動力を左又は右のロック具35へ伝達する構成を有し、作動機19一個で左右両側のロック具35を駆動することができ、左右変更作業は簡素である。
【0031】
搬送車4を浴槽3へ押し込む際、搬送車4は、底壁18の前縁にぶつかって乗座部16が台車17から分離し、乗座部16及び入浴者は浴槽3内に入り、台車17は浴槽3の底壁18の下に至り容器外で待機する。
【0032】
搬送車4が寝位搬送車11の場合は、長尺下肢受け29及びフットレスト26は、浴槽副部10へ進入する。
搬送車4が、座位搬送車(図示省略)であっても、又寝位搬送車11であっても、これらの両搬送車は浴槽3に適用(=押し込みセッティング)できる。浴槽3内を長尺範囲に占有する寝位入浴と、座位入浴とが実施可能である。
【0033】
介助者は、浴槽3の扉2の上縁を掴んで閉め、扉2を仮閉め状態にする。この時扉ランプ28は点滅する。
仮閉め状態では、仮ロック具24がロック片31に乗り上がり、仮ロック具24の押し圧力がロック片31に付与され、扉2は浴槽3の前方開口部に非密閉状態に停留し、この扉2が仮ロック状態の位置にある時には、ロック掛け具21の回転半径内に鉤突起33があり、本ロックに移行できる状態にある。
【0034】
入浴スイッチ26を押し、ロック機構14を作動させ、扉2を浴槽3に密閉する。
扉2の密閉作動は、ロック機構14により行なわれる。即ち、入浴スイッチ26が投入された時、先ず、図5に示す作動機19が、伸長作動し、回転軸20を左回転させる。
【0035】
図4に示すロック掛け具21は回転軸20と共に左回転する。扉2が仮閉め位置にある時は、鉤突起33がロック掛け具21の回転半径内にあるから、前記左回転によってロック掛け具21の先部が鉤突起33に当たり、更に左回転してロック片31を扉2内へ引き込む。この引き込み作動により扉2は、浴槽3の内方側へ移動し浴槽3の前縁へ密着し、本ロックされる。この時扉ランプ28は点灯する。
扉ランプ28の点滅あるいは点灯によって、扉2の仮閉め状態あるいは密閉状態とが判別される。
又、仮ロックセンサー36が仮ロックを検出しなければ、本ロックしない。介助者が誤操作しても、装置は安全に作動し、確実に入浴介助作業を実行できる。
【0036】
介助者が、手動で扉2を仮閉めすると、検出片34が浴槽3に当たって半退入し、検出片34が仮ロックセンサー36を作動させ、扉ランプ28は点滅する。
更に、入浴スイッチ26を押しロック機構14を作動させるとロック機構14が扉2を浴槽3へ密着させ、検出片34が浴槽3に押されて全退入し、検出片34が本ロックセンサー37を作動させ、扉ランプ28は点灯する。
【0037】
扉2が開放時は、扉ランプ28は消灯する。扉ランプ28の点滅、点灯、消灯の相違から、扉2が、仮閉め位置にあるか密閉位置にあるか開放位置にあるかが分かる。
浴槽3への給湯により入浴が開始される。
【0038】
暫時入浴の後、退浴するがその際、先ず、退浴スイッチ27を押し、湯を抜く。
扉2は、浴槽3内の湯が空になると、ロックは解除され仮ロック状態となる。介助者は、扉2を開け、乗座部16を浴槽3から引き出す。台車17も連動して引き出され、乗座部16は台車17上に載り一体化される。入浴者を所定場所へ搬送し入浴を終わる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なう扉付入浴装置12に適用でき、扉2にはこの扉2を浴槽3に寄せ付けるロック機構14が設けられる扉付入浴装置に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 正面側壁
2 扉
3 浴槽
3a 側壁前縁
4 搬送車
7 屈曲支持具
14 ロック機構
15 蝶番
19 作動機
21 ロック掛け具
24 仮ロック具
28 扉ランプ
31 ロック片
32 凸部
33 鉤突起
34 検出片
35 ロック具
36 仮ロックセンサー
37 本ロックセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽3の正面側壁1は扉2で構成され、扉2にはこの扉2を浴槽3に寄せ付けるロック機構14が設けられ、浴槽3と扉2の当接部において、左右側のうち、一方側には、屈曲支持具7が設けられ、他方側には、ロック具35が設けられ、
一方側の屈曲支持具7と、他方側のロック具35とを互いに取り替えが容易にできる構成とし、これらの取り替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できることを特徴とする扉付入浴装置。

【請求項2】
扉2内部に、ロック具35とロック具35を作動させる作動機19等からなり扉2を浴槽3に密着させロックするロック機構14が設けられ、
ロック機構14は、作動機19の駆動力を左又は右のロック具35へ伝達する構成を有し、
ロック具35及び検出片34等は、左右側の変更付け替えが容易にできる構成とし、これらの付け替えをもって扉2の開く側を左右反対に変更できることを特徴とする請求項1記載の扉付入浴装置。

【請求項3】
浴槽3の正面側壁1は扉2で構成され、扉2にはロック機構14が設けられ、浴槽3と扉2の当接部において、一方側には、屈曲支持具7が設けられ、他方側には、ロック具35が設けられ、
ロック具35は、浴槽3に設けられるロック片31と扉2に設けられるロック掛け具21とでなり、
ロック片31は浴槽3の側壁前縁3aに扉2に向けて水平状に延設され、ロック片31の上側先部には凸部32が形成され、ロック片31の下側先部には垂下状に鉤突起33が形成され、
一方、前記ロック掛け具21は鉤突起33に掛かるものであり、更に、扉2の内部に扉2が仮閉め位置に至るとロック片31の凸部32に掛かる仮ロック具24が設けられ、
扉2を浴槽3に閉止する時、介助者は手動で扉2を仮閉めすると、仮ロック具24が、ロック片31に掛かり、扉2は仮閉め位置に係留され、この仮閉め位置では、鉤突起33がロック掛け具21の回転半径内に位置され、次に、介助者がロック機構14を作動させると、ロック掛け具21が回転し、鉤突起33を引き寄せ、扉2は密閉位置に至ることを特徴とする扉付入浴装置。

【請求項4】
ロック具35所在側の扉2に、退入可能に検出片34が突設せられ、又、扉2の内部に、検出片34に当接して退入度合いを検出する仮ロックセンサー36及び本ロックセンサー37が設けられ、一方、浴槽3の上面に設けられた操作パネル13に、扉ランプ28が配設され、
前記扉ランプ28は、仮・本ロックセンサー36・37の出力を得て扉2が開位置にあるか仮閉め位置にあるか密閉位置にあるかを判別可能に表示することを特徴とする請求項1記載の扉付入浴装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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