説明

手動利器における柄の構造

【解決手段】硬質樹脂により成形して柄1の表面側で露出させた硬質表面部9のほかに、透明または半透明の軟質樹脂により成形して柄1の表面側で露出させた軟質表面部6を有し、その軟質表面部6の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部6の内部を目視し得るようにした。
【効果】柄1の見映えを良くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剃刀などの手動利器において柄の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、硬質材により成形して柄の表面側で露出させた硬質表面部のほかに、軟質材により成形して柄の表面側で露出させた軟質表面部を有している。
【特許文献1】特開2004−166793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、軟質表面部が不透明な軟質材により成形されているため、その軟質表面部の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部の内部を目視することができず、軟質表面部の表面側だけが見えて柄の見映えに変化が生じにくくなり、柄の見映えに悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0004】
この発明は、柄の見映えを良くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1〜2に示す第1実施形態、図3〜4に示す第2実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる手動利器の柄の構造は、第1〜2実施形態に対応し、下記のように構成されている。
【0006】
硬質材により成形して柄1の表面側で露出させた硬質表面部9のほかに、透明または半透明の軟質材により成形して柄1の表面側で露出させた軟質表面部6を有し、その軟質表面部6の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部6の内部を目視し得るようにした。
【0007】
請求項1の発明では、硬質表面部9により柄1の強度を増すとともに、柄1を握った際の感触を軟質表面部6により良くするばかりでなく、この軟質表面部6を透明または半透明にしたので、その軟質表面部6の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部6の内部を目視することができ、柄1の見映えを良くすることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記軟質表面部6は前記硬質表面部9を介して複数に分離されて設けられ、この各軟質表面部6のうち少なくとも二つの軟質表面部6は柄1の表面側に露出しない軟質材をこれらの軟質表面部6と一体成形した連結部23,25,42aにより互いに繋がっている。請求項2の発明では、軟質表面部6を複数に分離して柄1の見映えを良くした場合でも、それらの軟質表面部6を軟質材により一体成形した連結部23,25,42aにより互いに繋いで、柄1の強度を増すとともに、軟質表面部6が剥がれにくくなる。また、連結部23,25,42aにより互いに繋がった各軟質表面部6を一度に成形することができ、成形回数を減らして成形コストを軽減することができる。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側には柄1の頭部4と尻部5との間で前記軟質表面部6が長手方向Xへ延びて一連に繋がった背側軟質指当部7を設け、前記柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側には柄1の頭部4と尻部5との間で前記軟質表面部6が長手方向Xへ延びて一連に繋がった腹側軟質指当部8を設け、前記柄1の長手方向Xに対し直交する幅方向Yの両側で柄1の背側と腹側との間には柄1の頭部4と尻部5との間で前記硬質表面部9が長手方向Xへ延びて一連に繋がった硬質側面部10を設けた。請求項3の発明では、長手方向Xへ一連に繋がった背側軟質指当部7に柄1を握った手の平が当てがわれるとともに、長手方向Xへ一連に繋がった腹側軟質指当部8に柄1を握った手の指先が当てがわれ、柄1を握った際の感触をこの背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8により良くすることができる。
【0010】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1実施形態に対応)において、前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8は、それぞれ、柄1の頭部4側になる頭部側軟質指当部11,12と、柄1の尻部5側になる尻部側軟質指当部13,14と、その頭部側軟質指当部11,12と尻部側軟質指当部13,14との間の中間軟質指当部15,16とに区分され、その頭部側軟質指当部11,12の幅方向Yの両側と尻部側軟質指当部13,14の幅方向Yの両側と中間軟質指当部15,16の幅方向Yの両側とで頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aと尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aと中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aとが長手方向Xへ互いに連続しているとともに中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aが頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aと尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aとの間で凹み17を有している。請求項4の発明では、幅方向Yの両側で長手方向Xの中間に凹み17を有する背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8により、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。
【0011】
請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(第1実施形態に対応)において、前記硬質側面部10は、柄1の幅方向Yの両側でそれぞれ、柄1の頭部4側になる頭部側硬質側面部18と、柄1の尻部5側になる尻部側硬質側面部19と、その頭部側硬質側面部18と尻部側硬質側面部19との間の中間硬質側面部20とに区分され、その頭部側硬質側面部18は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aに沿う縁部18aを有し、その尻部側硬質側面部19は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aに沿う縁部19aを有し、その中間硬質側面部20は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aに沿う縁部20aを有し、この頭部側硬質側面部18の縁部18aと尻部側硬質側面部19の縁部19aと中間硬質側面部20の縁部20aとが長手方向Xへ互いに連続しているとともに、柄1の幅方向Yの両側で中間硬質側面部20は頭部側硬質側面部18と尻部側硬質側面部19との間で凹み21を有している。請求項5の発明では、幅方向Yの両側で長手方向Xの中間に凹み21を有する硬質側面部10により、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。
【0012】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1または請求項2の発明を前提とする第6の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記軟質表面部6は指当部7,8になっている。第6の発明では、柄1を握った際の感触をこの指当部7,8により良くすることができる。
【0013】
請求項3または請求項4または請求項5の発明を前提とする第7の発明(第1実施形態に対応)において、前記背側軟質指当部7で柄1の厚み方向Zの投影図の面積は、前記腹側軟質指当部8で柄1の厚み方向Zの投影図の面積よりも小さくまたは等しく設定されている。第7の発明では、柄1を握った手の指先を腹側軟質指当部8に当てがい易くなって柄1を握った際の感触を良くすることができる。
【0014】
請求項1または請求項2の発明を前提とする第8の発明(第1実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側には柄1の頭部4と尻部5との間で前記軟質表面部6が長手方向Xへ延びて一連に繋がった背側軟質指当部7を設け、この背側軟質指当部7は、柄1の頭部4側になる頭部側軟質指当部11と、柄1の尻部5側になる尻部側軟質指当部13と、その頭部側軟質指当部11と尻部側軟質指当部13との間の中間軟質指当部15とに区分され、その頭部側軟質指当部11の幅方向Yの両側と尻部側軟質指当部13の幅方向Yの両側と中間軟質指当部15の幅方向Yの両側とで頭部側軟質指当部11の縁部11aと尻部側軟質指当部13の縁部13aと中間軟質指当部15の縁部15aとが長手方向Xへ互いに連続しているとともに中間軟質指当部15の縁部15aが頭部側軟質指当部11の縁部11aと尻部側軟質指当部13の縁部13aとの間で凹み17を有している。第8の発明では、幅方向Yの両側で長手方向Xの中間に凹み17を有する背側軟質指当部7により、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。
【0015】
請求項1または請求項2の発明を前提とする第9の発明(第1実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側には柄1の頭部4と尻部5との間で前記軟質表面部6が長手方向Xへ延びて一連に繋がった腹側軟質指当部8を設け、この腹側軟質指当部8は、柄1の頭部4側になる頭部側軟質指当部12と、柄1の尻部5側になる尻部側軟質指当部14と、その頭部側軟質指当部12と尻部側軟質指当部14との間の中間軟質指当部16とに区分され、その頭部側軟質指当部12の幅方向Yの両側と尻部側軟質指当部14の幅方向Yの両側と中間軟質指当部16の幅方向Yの両側とで頭部側軟質指当部12の縁部12aと尻部側軟質指当部14の縁部14aと中間軟質指当部16の縁部16aとが長手方向Xへ互いに連続しているとともに中間軟質指当部16の縁部16aが頭部側軟質指当部12の縁部12aと尻部側軟質指当部14の縁部14aとの間で凹み17を有している。第9の発明では、幅方向Yの両側で長手方向Xの中間に凹み17を有する腹側軟質指当部8により柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。
【0016】
請求項5の発明を前提とする第10の発明(第1実施形態に対応)において、硬質側面部10の頭部側硬質側面部18は背側軟質指当部7の頭部側軟質指当部11の縁部11aに対し、硬質側面部10の尻部側硬質側面部19は背側軟質指当部7の尻部側軟質指当部13の縁部13aに対し、硬質側面部10の中間硬質側面部20は背側軟質指当部7の中間軟質指当部15の縁部15aに対し、それぞれ、幅方向Yの外側へ突出するように設けられている。第10の発明では、背側軟質指当部7よりも幅方向Yの外側へ突出する硬質側面部10により、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。例えば、背側軟質指当部7と硬質側面部10との材質の相違によりそれらに対する指先の触感が異なり、指による把持位置をその触感のみで感じ取ることができて柄1を操作し易い。
【0017】
請求項3の発明または第7の発明を前提とする第11の発明(第1実施形態に対応)において、前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8は、それぞれ、柄1の頭部4側になる頭部側軟質指当部11,12と、柄1の尻部5側になる尻部側軟質指当部13,14と、その頭部側軟質指当部11,12と尻部側軟質指当部13,14との間の中間軟質指当部15,16とに区分され、この腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14には複数の突部28を並設した滑止め部27を設けた。第11の発明では、腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14に当てがった薬指や小指の滑りを防止することができる。
【0018】
請求項3または請求項4または請求項5の発明または第7の発明または第10の発明または第11の発明を前提とする第12の発明(第1実施形態に対応)において、前記腹側軟質指当部8には前記硬質表面部9が露出する複数の滑止め部29,27を設けた。第12の発明では、腹側軟質指当部8で硬質表面部9が露出する滑止め部29,27に当てがった指の滑りを防止することができる。
【0019】
請求項1または請求項2の発明を前提とする第13の発明(第1実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側で指掛部33を柄1の頭部4に隣接して設け、その指掛部33で前記軟質表面部6に設けた指掛面34から柄1の頭部4側に向うに従い柄1の背側から離間するように傾斜する指掛面35を前記硬質表面部9に設けた。第13の発明では、指掛部33の指掛面34,35に指を当てがって柄1を安定性良く把持することができる。
【0020】
請求項1の発明を前提とする第14の発明(第2実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側には柄1の頭部4との境で指掛部40を形成し、前記柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側で露出する軟質表面部6が、その指掛部40に貫設した貫通孔41に連結部42aにより一体成形されて、指掛部40で指当面42として露出している。第14の発明では、軟質表面部6である指掛部40の指当面42に指を当てがうと、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができるとともに、この指掛部40の指当面42を通して背側から腹側の剃り面、特に剃る直前の剃り面を目視することができる。
【0021】
請求項1の発明または第14の発明を前提とする第15の発明(第2実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側で柄1の頭部4には指掛部43を形成し、前記柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側で露出する軟質表面部6が、その指掛部43に貫設した貫通孔44に連結部45により一体成形されて、指掛部43で指当面46として露出している。第15の発明では、軟質表面部6である指掛部43の指当面46に指を当てがうと、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができるとともに、この指掛部43の指当面46を通して背側から腹側の剃り面、特に剃る直前の剃り面を目視することができる。また、軟質表面部6のない単なる貫通孔44のみの場合と比較して頭部4の強度を増すことができる。なお、この貫通孔44に一体成形された軟質樹脂をレンズ形状にして剃り面を拡大して目視できるようにしてもよい。
【0022】
請求項1または請求項2の発明または第14の発明または第15の発明を前提とする第16の発明(第2実施形態に対応)において、手動利器の機能部3側になる柄1の頭部4とその機能部3に対する反対側になる柄1の尻部5との間を結ぶ長手方向Xに対し直交する柄1の厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側にはその長手方向Xに対し直交する幅方向Yの両側で指掛壁48がその腹側で露出する軟質表面部6により形成されている。第16の発明では、軟質表面部6である両指掛壁48に例えば親指や人差し指を当てがうと、両指掛壁48が幅方向Yで撓んで変形し得るので、柄1を握った際の感触をより一層良くすることができる。
【0023】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6の発明から第16の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第17の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記軟質材は樹脂例えばエラストマーである。第17の発明では、軟質表面部6をエラストマー等の樹脂により容易に成形することができる。
【0024】
第17の発明を前提とする第18の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記透明または半透明の軟質材である軟質樹脂に蓄光材またはパール材またはラメ材を混入した。第18の発明では、柄1の装飾性を良くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、剃刀などの手動利器において柄1の軟質表面部6を透明または半透明にして、柄1の見映えを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、本発明の第1実施形態にかかる手動利器としての首振り式剃刀の柄について図1〜2を参照して説明する。
この柄1はABS樹脂などの硬質樹脂からなる硬質材により成形された芯体2を有し、この芯体2は手動利器の機能部としての剃刀ヘッド3が支持される頭部4とその剃刀ヘッド3に対する反対側になる尻部5との間で長手方向Xへ細長く延設されている。この頭部4の上端部において長手方向Xに対し直交する幅方向Yの両側には、幅方向Yで互いに相対向する一対の支持突部4aと、湾曲した一対の板ばね部4bとが互いに並んで形成され、剃刀ヘッド3がその裏側でこの両支持突部4aにより回動可能に支持されて頭部4に対し首振りし得るとともに、剃刀ヘッド3の裏側にこの両板ばね部4bが圧接されて剃刀ヘッド3を首振り方向で中立状態に保持している。この柄1において硬質樹脂からなる芯体2には頭部4と尻部5との間でエラストマーやシリコン樹脂などの軟質樹脂からなる軟質材がインサート成形されてその芯体2と軟質樹脂とにより把持部1aが成形されている。また、二色射出成形してもよい。
【0027】
前記柄1の把持部1aにおいて長手方向Xに対し直交する厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平側になる背側には、柄1の表面側で露出する軟質樹脂の一部である軟質表面部6が長手方向Xへ延びて背側軟質指当部7として一連に繋がっている。この把持部1aにおいて厚み方向Zの両側のうち柄1を握った際に手の平に対する反対側になる腹側には、柄1の表面側で露出する軟質樹脂の一部である軟質表面部6が長手方向Xへ延びて腹側軟質指当部8として一連に繋がっている。この把持部1aにおいて幅方向Yの両側で背側軟質指当部7と腹側軟質指当部8との間には、柄1の表面側で露出する硬質樹脂の一部である硬質表面部9が長手方向Xへ延びて硬質側面部10として一連に繋がっている。
【0028】
前記柄1の把持部1aにおいて背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8は、それぞれ、芯体2の頭部4側になる頭部側軟質指当部11,12と、芯体2の尻部5側になる尻部側軟質指当部13,14と、その頭部側軟質指当部11,12と尻部側軟質指当部13,14との間の中間軟質指当部15,16とに区分されている。その頭部側軟質指当部11,12の幅方向Yの両側と尻部側軟質指当部13,14の幅方向Yの両側と中間軟質指当部15,16の幅方向Yの両側とで頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aと尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aと中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aとが長手方向Xへ互いに連続しているとともに、中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aが頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aと尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aとの間で凹み17を形成している。
【0029】
前記柄1の把持部1aにおいて硬質側面部10は、幅方向Yの両側でそれぞれ、芯体2の頭部4側になる頭部側硬質側面部18と、芯体2の尻部5側になる尻部側硬質側面部19と、その頭部側硬質側面部18と尻部側硬質側面部19との間の中間硬質側面部20とに区分されている。その頭部側硬質側面部18は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の頭部側軟質指当部11,12の縁部11a,12aに沿う縁部18aを有している。その尻部側硬質側面部19は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部13,14の縁部13a,14aに沿う縁部19aを有している。その中間硬質側面部20は厚み方向Zの両側で前記背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の中間軟質指当部15,16の縁部15a,16aに沿う縁部20aを有している。この頭部側硬質側面部18の縁部18aと尻部側硬質側面部19の縁部19aと中間硬質側面部20の縁部20aとが長手方向Xへ互いに連続している。柄1の幅方向Yの両側で中間硬質側面部20は頭部側硬質側面部18と尻部側硬質側面部19との間で凹み21を有している。
【0030】
前記頭部側硬質側面部18は背側軟質指当部7の頭部側軟質指当部11の縁部11aに対し、前記尻部側硬質側面部19は背側軟質指当部7の尻部側軟質指当部13の縁部13aに対し、前記中間硬質側面部20は背側軟質指当部7の中間軟質指当部15の縁部15aに対し、それぞれ、幅方向Yの外側へ突出するように形成されている。また、この頭部側硬質側面部18の縁部18aは腹側軟質指当部8の頭部側軟質指当部12の縁部12aに対し、この尻部側硬質側面部19の縁部19aは腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14の縁部14aに対し、この中間硬質側面部20の縁部20aは腹側軟質指当部8の中間軟質指当部16の縁部16aに対し、それぞれ、厚み方向Zで揃うように形成されている。
【0031】
前記軟質表面部6である背側軟質指当部7と腹側軟質指当部8とは硬質表面部9を介して分離されている。この背側軟質指当部7の頭部側軟質指当部11とこの腹側軟質指当部8の頭部側軟質指当部12とは、前記芯体2に形成された貫通孔22を通して一体成形された軟質樹脂からなる連結部23により、柄1の表面側に露出しない状態で互いに繋がっている。この背側軟質指当部7の尻部側軟質指当部13とこの腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14とは、前記芯体2に形成された貫通孔24を通して一体成形された軟質樹脂からなる連結部25により、柄1の表面側に露出しない状態で互いに繋がっている。
【0032】
前記腹側軟質指当部8の中間軟質指当部16における幅方向Yの両側で中間軟質指当部16の縁部16aに連続する複数の突条26(突部)が長手方向Xへ並設されている。前記腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14に形成された滑止め部27においては、幅方向Yの両側にわたり尻部5側へ膨らむ円弧状に延びる複数の突条28(突部)がこの中間軟質指当部16の突条26と芯体2の尻部5との間で長手方向Xへ並設され、この各突条28の曲率半径が尻部5側ほど次第に大きくなり、この各突条28のうち中間軟質指当部16に隣接する一つの突条28aが各突条26のうち尻部側軟質指当部14に隣接する一つの突条26aに繋がり、この突条28a内で前記硬質表面部9が指当面9aとして露出している。前記腹側軟質指当部8の頭部側軟質指当部12に形成された滑止め部29においては、各突条26のうち頭部側軟質指当部12に隣接する一つの突条26bに繋がる突条30(突部)がその突条26bから芯体2の頭部4側へ細長い環状に延び、その突条30内で長手方向Xへ並設された複数の凹部31内で前記硬質表面部9が指当面9aとして露出している。
【0033】
前記背側軟質指当部7の頭部側軟質指当部11における幅方向Yの両側で複数の突条32(突部)が長手方向Xへ並設され、この両側の各突条32のうち長手方向Xの中央よりも芯体2の頭部4側にある各突条32が幅方向Yの外側に向うに従い頭部4側へ傾斜しているとともに、芯体2の尻部5側にある各突条32が幅方向Yの外側に向うに従い尻部5側へ傾斜している。芯体2の頭部4に隣接して配設された指掛部33においては、この頭部側軟質指当部11に形成された指掛面34から芯体2の頭部4側に向うに従い背側から離間するように傾斜する指掛面35が芯体2の硬質表面部9に形成されている。この背側軟質指当部7の尻部側軟質指当部13には長手方向Xに細長い環状の周縁36の内側に凹所37が形成され、その凹所37内で図示しない凸部が凹所37内から外側へ突出しないように商品名や商品番号や品質表示として形成されている。前記背側軟質指当部7の中間軟質指当部15における幅方向Yの両側で一対の突条38(突部)が長手方向Xへ延設されている。
【0034】
前記背側軟質指当部7で厚み方向Zの投影図の面積は、前記腹側軟質指当部8で厚み方向Zの投影図の面積よりも小さく設定されている。なお、それらの面積を互いに等しく設定してもよい。
【0035】
前記芯体2を一体成形する硬質樹脂は不透明であるが、前記背側軟質指当部7や腹側軟質指当部8や連結部23,25を一体成形する軟質樹脂は、透明または半透明であり、その背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の表面側からその表面側に対する反対側若しくはそれらの内部を目視することができる。この軟質樹脂の硬さはショア硬さA10〜A80好ましくはA20〜A50である。この軟質樹脂が複数に分かれている場合には、その硬さを同じにしてもよいし互いに変えてもよい。この軟質樹脂には蓄光材またはパール材またはラメ材またはそれら以外の部材を混入してもよいし、多数の気泡を含ませてもよい。
【0036】
なお、柄1における長手方向Xの全長が約130mm、柄1における尻部5側で幅方向Yの最大寸法が約25mm、柄1における長手方向Xの中間で幅方向Yの最小寸法が約10mm、柄1の全質量が10〜80g、柄1の全質量に対する軟質樹脂の質量割合が5〜50%にそれぞれ設定されている。
【0037】
剃刀ヘッド3を上側にするとともに柄1を下側にした状態で剃る場合にこの柄1を把持する際には、例えば、背側軟質指当部7の尻部側軟質指当部13を手の平で包み込むように持ち、背側軟質指当部7の頭部側軟質指当部11に人差し指の腹を当てるとともに、親指の腹と中指の第二関節付近を腹側軟質指当部8の中間軟質指当部16の各突条26に当て、腹側軟質指当部8の尻部側軟質指当部14の各突条28に薬指や小指を当てる。従って、このような把持状態では人差し指により柄1に対する力の入れ具合や柄1の向きを調節し易い。また、剃刀ヘッド3を下側にするとともに柄1を上側にした状態で剃る場合にこの柄1を把持する際には、例えば、腹側軟質指当部8の中間軟質指当部16の各突条26を親指と人差し指とで摘むように把持し、中指の側面を背側軟質指当部7における頭部側軟質指当部11の各突条32や中間軟質指当部15の各突条38に当てる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態にかかる首振り式剃刀の柄について第1実施形態との相違点を中心に図3〜4を参照して説明する。
この柄1の把持部1aにおいては、硬質樹脂により成形された芯体2の背側でこの芯体2の頭部4と尻部5との間にわたり硬質表面部9が露出し、その芯体2に対し軟質樹脂がインサート成形されてこの芯体2の腹側とその腹側と背側との間の両側とで軟質表面部6がこの頭部4と尻部5との間にわたり露出し、腹側の軟質表面部6と両側の軟質表面部6とにわたり幅方向Yへ延びる複数の突条39(突部)が長手方向Xへ並設されている。この各突条39において幅方向Yの寸法は尻部5側ほど大きくなっている。
【0039】
この頭部4との境で芯体2の背側には頭部4側に向うに従い背側から離れるように傾斜する指掛部40が形成され、その指掛部40に貫設された貫通孔41に腹側の軟質表面部6が連結部42aにより一体成形されて指掛部40で長手方向Xへ細長い凹凸状の指当面42として露出している。
【0040】
また、この柄1の頭部4において幅方向Yの中央で背側には指掛部43が形成され、把持部1aにおける腹側及び両側の軟質表面部6が頭部4の腹側へ延びて頭部4の腹側にある軟質表面部6が、その指掛部43に貫設された貫通孔44に連結部45によりに一体成形されて指掛部43で凹凸状の指当面46として露出している。その指当面46は、剃刀ヘッド3に隣接する前縁46aと、その前縁46aの幅方向Yの両側から尻部5側へ延びる側縁46bとを有し、その両側縁46bの幅方向Yの間隔が尻部5側へ延びるに従い狭くなるように略三角形状に形成されてその指当面46が剃り向きを示す矢印としても機能している。
【0041】
さらに、把持部1aの腹側における頭部4との境から頭部4の腹側にわたり軟質表面部6には前記指掛部40及び指掛部43に対する反対側で凹所47が形成され、把持部1aにおける頭部4との境でその凹所47を挟む幅方向Yの両側には指掛壁48が軟質表面部6により形成されている。
【0042】
次に、本発明の第1実施形態及び第2実施形態にかかる首振り式剃刀の柄やその他の剃刀の柄に支持される剃刀ヘッドについて図5〜6を参照して説明する。
この剃刀ヘッド3においては、プラスチックからなる底台49と天部材50との間に下側から台板51と台座52と複数の刃体53とが順次重ねられて挟着され、この台板51上に台座52が載せられてそれらの金属面で互いに接触しているとともに、この台座52上に各刃体53が溶接されてそれらの金属面で互いに接触している。各刃体53は金属(例えばマルテンサイト系ステンレス鋼)からなり、台座52は刃体53よりもイオン化傾向の大きい金属(例えば刃体53よりも炭素含有量が多いかクロム含有量が少ないステンレス鋼)からなり、台板51は刃体53や台座52よりもイオン化傾向の大きい金属(例えばアルミニウム)からなる。従って、台板51が台座52よりも錆び易くなって台座52の錆を防ぐとともに、台板51及び台座52を刃体53よりも先に酸化させて刃体53の錆を防ぐことができる。
【0043】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 硬質表面部9により柄1の強度を増すとともに、柄1を握った際の感触を軟質表面部6により良くすることができる。
【0044】
* 透明または半透明な軟質表面部6の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部6の内部を目視することができ、柄1の見映えを良くするとともに、軟質表面部6に対する着色剤の含有量を抑制することができる。
【0045】
* 柄1の見映えを良くするために複数に分離した各軟質表面部6を連結部23,25,42aにより互いに繋いで、柄1の強度を増すとともに、軟質表面部6を剥がれにくくし、また、連結部23,25,42aにより互いに繋がった各軟質表面部6を一度に成形することができ、成形回数を減らして成形コストを軽減することができる。
【0046】
* 柄1を握った手の平が当てがわれる背側軟質指当部7や、柄1を握った手の指先が当てがわれる腹側軟質指当部8や、背側軟質指当部7及び腹側軟質指当部8の中間に設けた凹み17や、硬質側面部10の中間に設けた凹み21により、柄1を握った際の感触を良くすることができる。
【0047】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 手動利器としては、前述した剃刀以外に、カッターナイフや包丁や彫刻刀などを挙げることができる。
【0048】
・ 硬質樹脂により成形された芯体2を透明にしてもよい。
・ 芯体2を硬質樹脂に代えて金属や木材などの硬質材により設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)は第1実施形態にかかる首振り式剃刀の柄を示す側面図であり、(b)はこの柄を側面から見た部分断面図である。
【図2】(a)は図1(a)の柄の背側を示す正面図であり、(b)は図1(a)の柄の腹側を示す背面図である。
【図3】(a)は第2実施形態にかかる首振り式剃刀の柄を示す側面図であり、(b)はこの柄を側面から見た部分断面図である。
【図4】(a)は図3(a)の柄の背側を示す正面図であり、(b)は図3(a)の柄の腹側を示す背面図であり、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【図5】上記首振り式剃刀等に支持される剃刀ヘッドを分解して示す斜視図である。
【図6】(a)は上記剃刀ヘッドの組付斜視図であり、(b)は(a)のB−B線拡大断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…柄、3…手動利器の機能部としての剃刀ヘッド、4…柄の頭部、5…柄の尻部、6…軟質表面部、7…背側軟質指当部、8…腹側軟質指当部、9…硬質表面部、10…硬質側面部、11,12…頭部側軟質指当部、13,14…尻部側軟質指当部、15,16…中間軟質指当部、11a,12a,13a,14a,15a,16a…縁部、17…凹み、18…頭部側硬質側面部、19…尻部側硬質側面部、20…中間硬質側面部、18a,19a,20a…縁部、21…凹み、23,25,42a…連結部、X…長手方向、Y…幅方向、Z…厚み方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材により成形して柄の表面側で露出させた硬質表面部のほかに、透明または半透明の軟質材により成形して柄の表面側で露出させた軟質表面部を有し、その軟質表面部の表面側からその表面側に対する反対側若しくはその軟質表面部の内部を目視し得るようにしたことを特徴とする手動利器における柄の構造。
【請求項2】
前記軟質表面部は前記硬質表面部を介して複数に分離されて設けられ、この各軟質表面部のうち少なくとも二つの軟質表面部は柄の表面側に露出しない軟質材をこれらの軟質表面部と一体成形した連結部により互いに繋がっていることを特徴とする請求項1に記載の手動利器における柄の構造。
【請求項3】
手動利器の機能部側になる柄の頭部とその機能部に対する反対側になる柄の尻部との間を結ぶ長手方向に対し直交する柄の厚み方向の両側のうち柄を握った際に手の平側になる背側には柄の頭部と尻部との間で前記軟質表面部が長手方向へ延びて一連に繋がった背側軟質指当部を設け、前記柄の厚み方向の両側のうち柄を握った際に手の平に対する反対側になる腹側には柄の頭部と尻部との間で前記軟質表面部が長手方向へ延びて一連に繋がった腹側軟質指当部を設け、前記柄の長手方向に対し直交する幅方向の両側で柄の背側と腹側との間には柄の頭部と尻部との間で前記硬質表面部が長手方向へ延びて一連に繋がった硬質側面部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の手動利器における柄の構造。
【請求項4】
前記背側軟質指当部及び腹側軟質指当部は、それぞれ、柄の頭部側になる頭部側軟質指当部と、柄の尻部側になる尻部側軟質指当部と、その頭部側軟質指当部と尻部側軟質指当部との間の中間軟質指当部とに区分され、その頭部側軟質指当部の幅方向両側と尻部側軟質指当部の幅方向両側と中間軟質指当部の幅方向両側とで頭部側軟質指当部の縁部と尻部側軟質指当部の縁部と中間軟質指当部の縁部とが長手方向へ互いに連続しているとともに中間軟質指当部の縁部が頭部側軟質指当部の縁部と尻部側軟質指当部の縁部との間で凹みを有していることを特徴とする請求項3に記載の手動利器における柄の構造。
【請求項5】
前記硬質側面部は、柄の幅方向両側でそれぞれ、柄の頭部側になる頭部側硬質側面部と、柄の尻部側になる尻部側硬質側面部と、その頭部側硬質側面部と尻部側硬質側面部との間の中間硬質側面部とに区分され、その頭部側硬質側面部は厚み方向両側で前記背側軟質指当部及び腹側軟質指当部の頭部側軟質指当部の縁部に沿う縁部を有し、その尻部側硬質側面部は厚み方向両側で前記背側軟質指当部及び腹側軟質指当部の尻部側軟質指当部の縁部に沿う縁部を有し、その中間硬質側面部は厚み方向両側で前記背側軟質指当部及び腹側軟質指当部の中間軟質指当部の縁部に沿う縁部を有し、この頭部側硬質側面部の縁部と尻部側硬質側面部の縁部と中間硬質側面部の縁部とが長手方向へ互いに連続しているとともに、柄の幅方向両側で中間硬質側面部は頭部側硬質側面部と尻部側硬質側面部との間で凹みを有していることを特徴とする請求項4に記載の手動利器における柄の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−64170(P2010−64170A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231387(P2008−231387)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)