説明

手押しポンプの接続構造

【課題】既存のポンプが設置されている井戸やタンク等に容易に手押しポンプを取り付けるための手押しポンプの接続構造を提供すること。
【解決手段】地面に立設する架台10と、この架台10に取り付けられる手押しポンプ20と、一端が手押しポンプ20の吸込口21aに接続されるとともに、他端が他のポンプの吸込口53に接続される接続管30と、接続管30の途中に設けられた仕切弁40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の電動ポンプ等に接続する手押しポンプ装置の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用井戸やタンクからの水の汲み上げには、小型の電動ポンプ又は手押しポンプが用いられている。
【0003】
手押しポンプは、例えば、一方の端部を吸込側、他方の端部を吐出側としたシリンダの内側に、水を吸い上げるためのピストンを設け、このピストンにピストンロッドを介して往復動させるリンク機構を組み付けた構造が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような手押しポンプは、近年の防災意識の高まりにより停電時(災害)対応として見直されている。
【0004】
このため、電動ポンプと手押しポンプを予め井戸等に設置しておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−64105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した手押しポンプでは、次のような問題があった。すなわち、通常時は家庭用井戸等に電動ポンプが取り付けられているため、さらに手押しポンプを設けるためには別途井戸が必要になり、スペースを余分に確保しておく必要があった。一方、非常時に電動ポンプを取り外し、手押しポンプを取り付ける場合、手押しポンプを井戸等の個々の形状に合わせて取り付けなければならず、迅速な対応が困難であった。また、一旦手押しポンプを設置してしまうと、電動ポンプに戻すのは手間がかかっていた。
【0007】
そこで本発明は、既存のポンプが設置されている井戸やタンク等に容易に手押しポンプを取り付けるための手押しポンプの接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の手押しポンプの接続構造は次のように構成されている。
【0009】
(1)地面に立設する架台と、この架台に取り付けられる手押しポンプと、一端が前記手押しポンプの吸込口に接続されるとともに、他端が他のポンプの吐出口に接続される接続管と、この接続管の途中に設けられた仕切弁とを備えていることを特徴とする。
【0010】
(2)(1)に記載された手押しポンプの接続構造において、前記架台は、円柱状に形成された架台本体を備えていることを特徴とする。
【0011】
(3)(1)に記載された手押しポンプの接続構造において、前記架台は、前記手押しポンプのフランジに設けられたボルト孔と締結するための取付板が設けられていることを特徴とする。
【0012】
(4)地面に立設する架台と、この架台に取り付けられる手押しポンプと、一端が前記手押しポンプの吸込管に接続されるとともに、他端が水槽に接続される接続管とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既存のポンプが設置されている井戸やタンク等に容易に手押しポンプを取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る手押しポンプの接続構造により接続された手押しポンプと電動ポンプを模式的に示す説明図。
【図2】同手押しポンプの接続構造により接続された手押しポンプと電動ポンプを一部切欠して示す側面図。
【図3】同手押しポンプの接続構造による架台の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る手押しポンプの接続構造により接続された手押しポンプ20と電動ポンプ50を模式的に示す説明図、図2は手押しポンプの接続構造により接続された手押しポンプ20と電動ポンプ50を一部切欠して示す側面図、図3は手押しポンプの接続構造による架台10の要部を示す正面図である。なお、図1中Hは家屋を示している。
【0016】
図1に示すように、手押しポンプの接続構造は、地面に立設する架台10と、この架台10に取り付けられる手押しポンプ20と、一端が手押しポンプ20の吸込管に接続されるとともに、他端が後述する電動ポンプ(他のポンプ)50の吐出管又は吸込管に接続される接続管30と、この接続管30の途中に設けられた仕切弁40とを備えている。なお、図1中50は、井戸や水槽に直結された電動ポンプを示しており、常設されている。
【0017】
架台10は、板材11aにより円筒状に形成された架台本体11と、この架台本体11の天井部に取り付けられ、中央に孔部が設けられた取付板12と、底部に取り付けられた支持板13とを供えている。なお、図3に示すように、架台本体11の板材11aの下部には切欠部11bが形成されている。切欠部11bは、上部が半円状に形成されている。
【0018】
手押しポンプ20は、内部にピストン機構、吐出室、吸込室等が設けられた本体21と、ピストン機構を作動させるリンク機構部22と、このリンク機構22を作動させる操作レバー23とを備えている。本体21の下部には吸込口21a、側面には吐出口21bが設けられている。また、本体21の下部側面にはフランジ24が設けられ、フランジ24にはボルト穴24aが設けられている。
【0019】
接続管30は、一端が本体21の吸込口21aに取り付けられた第1管部31と、この第1管部31の他端に仕切弁40を介して取り付けられた第2管部32とを備えている。
【0020】
電動ポンプ50は、本体ケーシング51と、この本体ケーシング51内に設けられたポンプ機構52と、このポンプ機構52に取り付けられた吸込口53と、この吸込口53に連通する連通孔54と、ポンプ機構52に取り付けられた吐出口55(図1参照)とを備えている。吸込口53は井戸等に直結されている。また、吐出口55は屋内の水道に接続されている。
【0021】
このように構成された手押しポンプの接続構造を用い、次のようにして手押しポンプ20を設置する。すなわち、架台本体11を地面の所望の位置に立設する。次に、手押しポンプ20を架台本体11の取付板12に取り付ける。このとき、手押しポンプ20のボルト穴24aをそのまま利用する。
【0022】
次に、手押しポンプ20の吸込口21aに第1管部31の一端を取り付け、架台11外に引き出す。この時、切欠部11bが丸みを帯びているので、安全を確保できる。続いて、第1管部31の他端に仕切弁40を取り付け、次に、第2管部32の一端を取り付ける。そして、第2管部32の他端を電動ポンプ50の連通孔54に取り付ける。
【0023】
このようにして接続された手押しポンプ20は、次のようにして用いる。すなわち、停電等の非常時には仕切弁40を開く。これにより、手押しポンプ20の吸込口21aが接続管30を介して電動ポンプ50の連通孔54と連通する。連通孔54は吸込口53を介して井戸等と接続されているので、操作レバー23を操作することでピストン機構が作動し、本体21内に水を吸い込むことができる。そして、吐出口21bから水を吐出させる。
【0024】
一方、通常時は、仕切弁40を閉じ、電動ポンプ50を作動させることで、井戸等からの水は吸込口53から吸入され、吐出口55から吐出することになる。
【0025】
上述したように、本実施の形態に係る手押しポンプの接続機構によれば、既に電動ポンプ50等の他のポンプが井戸等に取り付けられている場合であっても、手押しポンプ20のために別途井戸等を必要とすることがなく、スペースを余分に確保する必要がない。また、非常時には電動ポンプ50を取り外すことなく、簡単な施工で手押しポンプ20を取り付けることができるため、迅速な対応が可能であった。また、手押しポンプ20を接続した場合であっても、通常時には仕切弁40を閉じるだけで電動ポンプ50を作動させるようにできるので、取り扱いが容易である。
【0026】
一方、ユーザが設置することが予想される架台本体11は円柱状に、切欠部11aも丸みを帯びて形成されているため、安全に施工することが可能である。
【0027】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、接続管30を電動ポンプ50の連通孔54及び吸込口53を介して井戸に取り付けるようにしたが、接続管30を直接井戸や水槽に挿入するようにしてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
既存のポンプが設置されている井戸やタンク等に容易に手押しポンプを取り付けるための手押しポンプの接続構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
10…架台,11…架台本体,11b…切欠部,12…取付板,13…支持板,21…本体,20…手押しポンプ,21a…吸込口,21b…吐出口,22…リンク機構部,23…操作レバー,24…フランジ,24a…ボルト穴,30…接続管,31…第1管部,32…第2管部,40…仕切弁,50…電動ポンプ,53…吸込口,54…連通孔,55…吐出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に立設する架台と、
この架台に取り付けられる手押しポンプと、
一端が前記手押しポンプの吸込管に接続されるとともに、他端が他のポンプの吐出管に接続される接続管と、
この接続管の途中に設けられた仕切弁とを備えていることを特徴とする手押しポンプの接続構造。
【請求項2】
前記架台は、円柱状に形成された架台本体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の手押しポンプの接続構造。
【請求項3】
前記架台は、前記手押しポンプのフランジに設けられたボルト孔と締結するための取付板が設けられていることを特徴とする手押しポンプの接続構造。
【請求項4】
地面に立設する架台と、
この架台に取り付けられる手押しポンプと、
一端が前記手押しポンプの吸込管に接続されるとともに、他端が水槽に接続される接続管とを備えていることを特徴とする手押しポンプの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−2108(P2012−2108A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136495(P2010−136495)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】