説明

手摺の支持構造

【課題】手摺を掴み易くできるともに手摺を支持するアーム部を短くできる手摺の支持構造を提供する。
【解決手段】ブラケット6の取付部10が、アーム部11の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部12を有し、この傾斜部12の下端部にアーム部11の基端部が設けられているので、この傾斜部12の下端部は固定部5より壁3から離れ、その分、アーム部11を短くできる。また、アーム部11の先端部で手摺1を下方から支持し、アーム部11と傾斜部12とによって、断面略V字形の凹所13が手摺1の斜め下方に設けられているので、手摺1の周囲に当該手摺1を掴み易くするための領域を確保でき、手摺1を掴み易くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
手摺を壁に支持部材によって支持してなる手摺の支持構造の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この手摺の支持構造は、前記支持部材が手摺子と固定板とで構成されている。そして、固定板が壁に固定され、この固定板に手摺子の基板を固定した構造となっている。
手摺子は固定板に固定される基板と、この基板から弧状に湾曲して延びる手摺子本体とによって構成され、この手摺子本体の先端部に手摺が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−52133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手摺を壁に取り付ける場合、手摺が壁から近いと当該手摺を掴む際に、指が壁に干渉して掴み難くなるので、手摺を壁から所定距離だけ離す必要がある。
このため、前記従来の手摺の支持構造では、手摺を掴み易くするために、手摺を支持する手摺子本体を基板の下端部から上方に湾曲して延びるように構成することによって、手摺と基板や壁との間に所定の間隔を設けている。
一方、手摺子本体(アーム部)には、手摺を掴むことによって曲げモーメントが作用するので、なるべく手摺子本体(アーム部)を短くしたいが、短くしすぎると、手摺と基板や壁との間に所定の間隔を設けることができなくなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、手摺を掴み易くできるともに手摺を支持するアーム部を短くできる手摺の支持構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、手摺1を壁3に支持部材2によって支持してなる手摺の支持構造において、
前記支持部材2は、前記壁3に固定される固定部5と、この固定部5に基端部が取り付けられるともに、先端部で前記手摺1を支持するブラケット6を備え、
前記ブラケット6は、前記手摺1の中心部より下方に位置し、かつ前記固定部5に取り付けられた取付部10と、この取付部10から斜め上方に延びて先端部で前記手摺1を下方から支持するアーム部11とを備え、
前記取付部10は、前記アーム部11の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部12を有し、この傾斜部12の下端部に前記アーム部11の基端部が設けられ、
このアーム部11と前記傾斜部12とによって、断面略V字形の凹所13が前記手摺1の斜め下方に設けられていることを特徴とする
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ブラケット6の取付部10が、アーム部11の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部12を有し、この傾斜部12の下端部にアーム部11の基端部が設けられているので、この傾斜部12の下端部は固定部5より壁3から離れ、その分、アーム部11を短くできる。
また、アーム部11の先端部で手摺1を下方から支持し、アーム部11と傾斜部12とによって、断面略V字形の凹所13が手摺1の斜め下方に設けられているので、手摺1の周囲に当該手摺1を掴み易くするための領域を確保でき、手摺1を掴み易くできる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の手摺の支持構造において、
前記手摺1は、中心部に当該手摺1の長手方向に延在し、かつ前記手摺1の端面に開口する空洞部1cを有するとともに、下部に前記手摺1の長手方向に延在し、かつ前記手摺1の端面に開口するとともに前記空洞部1cに連通するスリット部1dを有し、
前記アーム部11は、アーム本体15とこのアーム本体15の上端部に設けられた手摺取付部16とを備え、
前記アーム部11は、前記手摺取付部16を前記手摺1の端面から前記空洞部1cに挿入するとともに、前記アーム本体15の上端部を前記手摺1の端面から前記スリット1dに挿入することによって、前記手摺1の中心部を当該手摺1の長手方向の所定の位置で支持していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記アーム部11が、手摺取付部16を前記手摺1の端面から前記空洞部1cに挿入するとともに、アーム本体15の上端部を前記手摺1の端面から前記スリット1dに挿入することによって、前記手摺1の中心部を当該手摺1の長手方向の所定の位置で支持するので、手摺1を下方から確実にかつ安定的に支持できるとともに、アーム本体15と手摺1との取合い部は、手摺1の下部であるので、手摺1が掴み易くなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の手摺の支持構造において、
前記固定部5は、前記壁3に固定される固定プレート7と、この固定プレート7に突出形成されて前記取付部10が被さるようにして取り付けられる受け部8とを備え、
この受け部8または前記固定プレート7に、前記取付部10の傾斜部12の上端部を引掛ける引掛け部8dが形成され、この引掛け部8dに前記傾斜部12の上端部が引掛けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、固定プレート7に突出形成された受け部8にブラケット6の取付部10が被さるようにして取り付けられるので、ブラケット6を固定部5に安定的に取り付けることができる。
また、受け部8または固定プレート7に形成された引掛け部8dに傾斜部12の上端部が引掛けられているので、手摺1を掴んだ際にブラケット6に作用する力を引掛け部8dによって受けることができ、手摺1の支持強度を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の手摺の支持構造において、
前記受け部8に、前記取付部10の傾斜部12に当接する当接部8cが形成され、この当接部8cに前記傾斜部12が当接されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、受け部8に形成された当接部8cに取付部10の傾斜部12が当接されているので、手摺1を掴んだ際に、アーム部11を介して傾斜部12に作用する力を当接部8cによって受けることができ、手摺1を安定的に支持できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の手摺の支持構造において、
前記固定部5と前記取付部10とを覆うカバー18が設けられ、
このカバー18に、前記アーム部11を通す開口部18aが形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、固定部5と取付部10とをカバー18によって覆うことによって、固定部5および取付部10や、取付部10を固定部5に固定するためのビス等を隠すことができ、意匠的に優れたものとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手摺を支持する支持部材が、壁に固定される固定部と、この固定部に基端部が取り付けられるともに、先端部で前記手摺を支持するブラケットを備え、このブラケットが、固定部に取り付けられた取付部と、この取付部から斜め上方に延びて先端部で手摺を下方から支持するアーム部とを備え、前記取付部が、前記アーム部の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部を有し、この傾斜部の下端部に前記アーム部の基端部が設けられ、このアーム部と前記傾斜部とによって、断面略V字形の凹所が前記手摺の斜め下方に設けられているので、手摺を掴み易くできるとともに、アーム部を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る手摺の支持構造の第1の実施の形態を示すもので、その側断面図である。
【図2】同、固定部を示す斜視図である。
【図3】同、固定部にカバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図4】同、平断面図である。
【図5】同、固定部を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】同、固定部を示すもので、(a)は図5(b)におけるA−A線断面図、(b)は図5(b)におけるB−B線断面図である。
【図7】同、ブラケットを示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。
【図8】同、カバーを示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図9】同、カバーを示すもので、(a)は図8(b)におけるA−A線断面図、(b)は図8(b)におけるB−B線断面図である。
【図10】本発明に係る手摺の支持構造の第2の実施の形態を示すもので、その側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図9は第1の実施の形態を示すものである。
図1は本発明に係る手摺の支持構造の一例を示す側断面図、図2は固定部を示す斜視図、図3は、固定部にカバーを被せた状態を示す斜視図である。
【0019】
図1〜図3において、符号1は手摺を示す。この手摺1は断面略円形の棒状であり、芯材1aと、この芯材1aの周囲に被された表層部材1bとを備えている。
また、手摺1は、中心部に当該手摺1の長手方向に延在し、かつ手摺1の端面に開口する空洞部1cを有するとともに、下部に手摺1の長手方向に延在し、かつ手摺1の端面に開口するとともに空洞部1cに連通するスリット部1dを有している。空洞部1cは断面略凸形に形成されており、この凸形の下部の矩形部分に後述するアーム部11の手摺取付部16が手摺1の端面から挿入され、係合するようになっている。
また、スリット部1dは、手摺1の最下部に開口して形成されており、その溝幅は前記空洞部1cの幅より狭くなっている。
そして、この手摺1が支持部材2によって下方から支持されている。支持部材2は、壁3に固定される固定部5と、この固定部5に基端部が取り付けられるとともに、先端部で手摺1を支持するブラケット6とを備えている。
【0020】
前記固定部5は、図1、図2、図5、図6に示すように、壁3に固定される固定プレート7と、この固定プレート7に突出形成されて、後述する取付部10が被さるようにして係合して取り付けられる受け部8とを備えている。
固定プレート7は、金属製の四角形板状のものであり、その四隅部には、それぞれ木ねじ挿通用の孔7aが形成されている。そして、固定プレート7を壁3に当接して、孔7aに木ねじ9を挿通して、壁3にねじ込むことによって、固定プレート7が壁3に固定されている。
【0021】
前記受け部8は、固定プレート7の表面に当該固定プレート7と一体的に突出形成されたものであり、固定プレート7と平行離間している頂壁部8aと、固定プレート7の一方の端部から立ち上げられて、頂壁部8aの一方の端部に接合された立上壁部8bと、前記頂壁部8aの他方の端部から固定プレート7側に向けて傾斜して延びる傾斜壁部8cと、前記固定プレート7の表面から突出して、前記傾斜壁部8cに接合された突部8dと、固定プレート7の表面から立ち上げられて、受け部8の側面を構成する一対の側壁部8e,8eとから構成されている。
【0022】
側壁部8e,8eは頂壁部8a、立上壁部8b、傾斜壁部8c、突部8dを挟む位置に設けられており、これらに接合されている。
このような構成の受け部8の内部は空洞となっており、側壁部8eには、空洞に開口するねじ孔8fが形成されている。また、突部8dは、後述する引掛け部8dを構成している。
また、受け部8は、後述する取付部10の傾斜部12に当接する当接部8cを有している。この当接部8cは前記傾斜壁部8cによって構成されている。
【0023】
前記ブラケット6は、前記図1および図7に示すように、手摺1の中心部より下方に位置し、かつ前記固定部5の受け部8に被さるようにして取り付けられる取付部10と、この取付部10から斜め上方に延びて先端部で手摺1を下方から支持するアーム部11とを備えている。
取付部10は、側面視略台形状に形成されたもので、その内部が空洞となっており、底面が開口している。そして、取付部10は、空洞を形成する面が前記受け部8に被さって密接することによって、当該受け部8に係合して取り付けられている。取付部10の対向する側壁部には、ビスを挿入するための孔10aが形成されており、図4に示すように、この孔10aからビス10bを挿入して、前記ねじ孔8fにねじ込むことによって、取付部10が受け部8に固定されている。
【0024】
また、取付部10は、図1に示すように、アーム部11の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部12を有している。この傾斜部12は取付部10を構成する傾斜壁部12によって構成されており、この傾斜部12の下端部に前記アーム部11の基端部が設けられている。
そして、アーム部11と傾斜部12とによって、断面略V字形の凹所13が手摺1の斜め下方に設けられている。
また、傾斜部12の上端部には、断面三角形状の係止部12aが形成されており、この係止部12aが前記受け部8の突部(引掛け部)8dに引掛けられている。
さらに、傾斜部12は前記受け部8の当接部12cに当接している。
【0025】
前記アーム部11は、図1〜図3および図7に示すように、取付部10から斜め上方に延びるアーム本体15と、このアーム本体15の先端部(上端部)に、当該アーム本体15と直角に設けられて、手摺1が取り付けられる手摺取付部16とから構成されている。
アーム本体15は、先端部(上端部)に向かうに従って漸次細くなるよう形成されており、その長手方向の二箇所で屈曲部し、先端側の屈曲部より上に位置する上端部15aは鉛直に向けられている。
前記手摺取付部16は断面矩形の棒状に形成され、その長手方向中央部に前記アーム本体1の先端部が固定されている。また、手摺取付部16には、複数のねじ孔16aが手摺取付部16の長手方向に所定間隔で形成されている。手摺取付部16の断面形状は、前記手摺1に形成された断面略凸形の下部の矩形部分の断面形状とほぼ等しいか若干小さくなっている。
そして、アーム部11は、その手摺取付部16を手摺1の端面から空洞部1cの下部の矩形部分に挿入するとともに、アーム本体15の上端部を手摺1の端面からスリット1dに挿入することによって、手摺1の中心部を当該手摺1の長手方向の所定の位置で支持しており、この状態で前記ねじ孔16aに手摺1の芯材1aからねじをねじ込むことによって、手摺取付部16が芯材1aに固定されている。これによって、手摺1の中心部である芯材1aがアーム部11によって下方から支持されている。
また、スリット部1dの溝幅が前記空洞部1cの幅より狭くなっているので、この空洞部1cに挿入されている手摺取付部16によって、手摺1の上方への抜け出が防止されている。
【0026】
また、図1および図3に示すように、前記固定部5と取付部10とはカバー18によって覆われている。カバー18は、図8および図9に示すように、側面視略台形状に形成されており、その内部は空洞となっている。また、カバー18の頂面、底面および一つの側面の一部は開口しており、頂面の開口部18aにアーム部11が通されている。
また、カバー18の開口部18aの対向する縁部には、底面側に向けて延在する爪部18b,18bが形成されている。
【0027】
そして、カバー18はその底面の開口部から、固定部5および取付部10に被せるようにして設けられており、これによって、固定部5と取付部10とを覆っている。また、カバー18を被せる際に、前記爪部18b,18bはアーム部11の側面によって弾性的に拡げられ、カバー18が固定部5と取付部10に被さった際に、爪部18b,18bが弾性復帰して、アーム部11と取付部10との間にある段差部11b(図7(a)参照)に係合するようになっている。
【0028】
次に、本実施の形態の手摺の支持構造の施工方法の一例について説明する。
まず、固定プレート7とブラケット6を予めビス10bで固定し組み立てておく。この組立は、ブラケット6の取付部10を固定プレート7の受け部8に被せて係合させたうえで、取付部10の孔10aからビス10bを挿入して、受け部8のねじ孔8fにねじ込むことによって行う。
次に、固定プレート7が取り付けられたブラケット6を手摺1に適宜間隔で所要数取り付ける。この取り付けは、ブラケット6の手摺取付部16を手摺1の端面から空洞部1cの下部の矩形部分に挿入するとともに、アーム本体15の上端部を手摺1の端面からスリット1dに挿入し、さらこれらを手摺1の長手方向に移動させたうえで、所定の位置で手摺取付部16を手摺1に固定することによって行う。なお、ブラケット6が取り付けられた手摺1の端面開口は図示しないキャップを被せることによって覆う。
このようにして組み立てられた状態で固定プレート7の木ねじ挿通用の孔7aはブラケット6や手摺1と干渉しないようにブラケット6の取付部10の両側に位置しているので、組み立てた状態のまま固定プレート7を壁3に当てて正面から木ねじ9で固定することができる。
【0029】
最後にカバー18を被せて木ねじ9やビス10bを覆って施工完了となる。
また、施工状態において、カバー18を外してビス10bを外すことにより、ブラケット6を固定プレート7から分離できるので、壁3に木ねじ9を打ち直すことなくブラケット6ごと手摺1が着脱可能であり、壁紙の張替え等の際、一時的に手摺1を外しておくことができる。
【0030】
本実施の形態によれば、ブラケット6の取付部10が、アーム部11の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部12を有し、この傾斜部12の下端部にアーム部11の基端部が設けられているので、この傾斜部12の下端部は固定部5より壁3から離れ、その分、アーム部11を短くできる。
また、アーム部11の先端部で手摺1を下方から支持し、アーム部11と傾斜部12とによって、断面略V字形の凹所13が手摺1の斜め下方に設けられているので、手摺1の周囲に当該手摺1を掴み易くするための領域を確保でき、手摺1を掴み易くできる。
また、前記アーム部11が、手摺取付部16を前記手摺1の端面から前記空洞部1cに挿入するとともに、アーム本体15の上端部を前記手摺1の端面から前記スリット1dに挿入することによって、前記手摺1の中心部を当該手摺1の長手方向の所定の位置で支持するので、手摺1を下方から確実にかつ安定的に支持できるとともに、アーム本体15と手摺1との取合い部は、手摺1の最下部であるので、手摺1が掴み易くなる。
【0031】
さらに、固定プレート7に突出形成された受け部8にブラケット6の取付部10が被さるようにして取り付けられているので、ブラケット6を固定部5に安定的に取り付けることができる。
また、受け部8に形成された引掛け部8dに取付部10の先端部が引掛けられているので、ブラケット6に作用する力を引掛け部8dによって受けることができ、手摺1の支持強度を高めることができる。
また、受け部8に形成された当接部8cに取付部10の傾斜部12が当接されているので、手摺1を掴んだ際に、アーム部11を介して傾斜部12に作用する力を当接部8cによって受けることができ、手摺1を安定的に支持できる。
加えて、固定部5と取付部10とをカバー18によって覆うことによって、固定部5および取付部10や、取付部10を固定部5に固定するためのビス10b等を隠すことができ、意匠的に優れたものとなる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図10は第2の実施の形態を示すもので、その側断面図である。
図10に示すように、本実施の形態の手摺の支持構造では、手摺21が壁3に支持部材22によって支持されている。
手摺21は断面略円形の棒状であり、芯材21aと、この芯材21aの周囲に被された表層部材21bとを備えている。
そして、この手摺21が支持部材22によって下方から支持されている。
支持部材22は、壁3に固定される固定部25と、この固定部25に基端部が取り付けられるともに、先端部で手摺21を支持するブラケット26を備えている。
【0033】
固定部25は、壁3に固定される固定プレート27と、この固定プレート27に突出形成されて、後述する取付部30が被さるようにして取付けられる受け部28a,28bとを備えている。そして、固定プレート27が壁3に当接され、この固定プレート27を通して木ねじ24を壁3にねじ込むことによって、固定プレート27が壁3に固定されている。
【0034】
前記ブラケット26は、手摺21の中心部より下方に位置し、かつ前記固定部25に取り付けられる取付部30と、この取付部30から斜め上方に延びて先端部で手摺21を下方から支持するアーム部31とを備えている。
取付部30は、その内部が空洞となっており、底面が開口している。また、取付部30の裏面には、前記受け部28a,28bに当接される当接部30a,30bが形成されている。そして、取付部30は固定プレート27にこれを覆うようにして取り付けられており、この状態において、当接部30a,30bが受け部28a,28bに当接して取り付けられている。また、当接部30bと受け部28bとはビス29によって接合固定されている。
【0035】
また、取付部30は、アーム部31の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部32を有し、この傾斜部32の下端部にアーム部31の基端部が設けられている。そして、アーム部31と傾斜部32とによって、断面略V字形の凹所33が手摺21の斜め下方に設けられている。
また、傾斜部32の上端部には係止部32aが形成されており、この係止部32aが前記固定プレート27の上端部の引掛け部27aに引掛けられている。
また、アーム部31の先端部は手摺21の最下部から手摺内部に挿入されて当該手摺21の中心部を支持している。
【0036】
前記アーム部31は、先端部(上端部)に向かうに従って漸次細くなるよう形成されており、その長手方向の二箇所で屈曲部し、先端側の屈曲部より上に位置する上端部31aは鉛直に向けられている。
そして、この上端部31aが手摺21の最下部から手摺21の内部に挿入され、手摺21の芯材21aから上端部21aねじ23をねじ込むことによって、上端部31aが芯材21aに固定されている。これによって、手摺21の中心部である芯材21aがアーム部31によって下方から支持されている。
【0037】
本実施の形態によれば、ブラケット26の取付部30が、アーム部31の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部32を有し、この傾斜部32の下端部にアーム部31の基端部が設けられているので、この傾斜部32の下端部は固定部25より壁3から離れ、その分、アーム部31を短くできる。
また、アーム部31の先端部で手摺21を下方から支持し、アーム部31と傾斜部32とによって、断面略V字形の凹所33が手摺21の斜め下方に設けられているので、手摺21の周囲に当該手摺1を掴み易くするための領域を確保でき、手摺21を掴み易くできる。
また、アーム部31の先端部は手摺21の最下部から手摺内部に挿入されて当該手摺21の中心部を支持するので、手摺21を下方から確実に支持できるとともに、アーム部311と手摺21との取合い部は、手摺21の最下部であるので、手摺21が掴み易くなる。
【0038】
さらに、固定プレート27に突出形成された受け部28a,28bにブラケット26の取付部30が被さるようにして取り付けられているので、ブラケット26を固定部25に安定的に取り付けることができる。
また、固定プレート27に形成された引掛け部27aに取付部30の先端部が引掛けられているので、ブラケット26に作用する力を引掛け部27aによって受けることができ、手摺21の支持強度を高めることができる。
【0039】
なお、本実施の形態おいても、第1の実施の形態と同様に、カバー18を固定部25および取付部30に被せるようにして設けてもよい。
また、前記二つの実施の形態では、アーム部11,31の先端部を、手摺1,21最下部から手摺内部に挿入して、当該手摺1,21の中心部を支持するようにしたが、これに代えて、アーム部11,31の先端部によって手摺1,21の最下部を支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,21 手摺
1c 空洞部
1d スリット部
2,22 支持部材
3 壁
5,25 固定部
6,26 ブラケット
7,27 固定プレート
8,28a,28b 受け部
8c 当接部
8d,27a 引掛け部
10,30 取付部
11,31 アーム部
12,32 傾斜部
13,33 凹所
15 アーム本体
16 手摺取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺を壁に支持部材によって支持してなる手摺の支持構造において、
前記支持部材は、前記壁に固定される固定部と、この固定部に基端部が取り付けられるともに、先端部で前記手摺を支持するブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記手摺の中心部より下方に位置し、かつ前記固定部に取り付けられた取付部と、この取付部から斜め上方に延びて先端部で前記手摺を下方から支持するアーム部とを備え、
前記取付部は、前記アーム部の基端部に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部を有し、この傾斜部の下端部に前記アーム部の基端部が設けられ、
このアーム部と前記傾斜部とによって、断面略V字形の凹所が前記手摺の斜め下方に設けられていることを特徴とする手摺の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺の支持構造において、
前記手摺は、中心部に当該手摺の長手方向に延在し、かつ前記手摺の端面に開口する空洞部を有するとともに、下部に前記手摺の長手方向に延在し、かつ前記手摺の端面に開口するとともに前記空洞部に連通するスリット部を有し、
前記アーム部は、アーム本体とこのアーム本体の上端部に設けられた手摺取付部とを備え、
前記アーム部は、前記手摺取付部を前記手摺の端面から前記空洞部に挿入するとともに、前記アーム本体の上端部を前記手摺の端面から前記スリットに挿入することによって、前記手摺の中心部を当該手摺の長手方向の所定の位置で支持していることを特徴とする手摺の支持構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の手摺の支持構造において、
前記固定部は、前記壁に固定される固定プレートと、この固定プレートに突出形成されて前記取付部が被さるようにして取り付けられる受け部とを備え、
この受け部または前記固定プレートに、前記取付部の傾斜部の上端部を引掛ける引掛け部が形成され、この引掛け部に前記傾斜部の上端部が引掛けられていることを特徴とする手摺の支持構造。
【請求項4】
請求項3に記載の手摺の支持構造において、
前記受け部に、前記取付部の傾斜部に当接する当接部が形成され、この当接部に前記傾斜部が当接されていることを特徴とする手摺の支持構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の手摺の支持構造において、
前記固定部と前記取付部とを覆うカバーが設けられ、
このカバーに、前記アーム部を通す開口部が形成されていることを特徴とする手摺の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−229548(P2012−229548A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97914(P2011−97914)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】