説明

手書き文字認識装置

【課題】市販筆記具を利用して手書き文字認識をおこなえる装置を提供する。
【解決手段】文字や記号を筆記するための筆記具4と用紙5を備え、筆記具で用紙に筆記した際に発生する筆記音をマイクロフォン1で収集し、筆記音に含まれる特定周波数の電気信号を抽出し、筆記特徴を示す周波数信号から手書き文字を登録データと照合し認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に市販される筆記具を用いた手書き情報入力装置であり、予め認識したい文字を筆記し、当該筆記時に発生する筆記音を捕捉し、筆記音に含まれる特定周波数の電気信号を抽出し、当該信号データを記録しておき、手書筆記時に筆記音に含まれる特定周波数の電気信号を抽出し、予め記録した電気信号データと照合することにより、入力された文字が認識したい文字と同等の筆記文字であるか否かを判定する装置であり、答案の採点やアンケート記入等の応用プログラムに手書き情報を供する手書き文字認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手書き文字を認識する情報入力装置としては、デジタルペンやタブレットなどの座標入力装置を用い、当該座標入力装置が捕捉した手書き入力位置の座標データからパーソナルコンピュータ等で特徴抽出をおこない、文字認識する先願特許の手書き認識方式が知られている。(特開2001-236451、特開平09-231314)
また、手書き時に発生する筆記音を捕捉し、筆記音有無により手書き文字を認識する先願特許の方式が知られている。(特開平07-028593、特開平10-301702)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-236451
特開平09-231314
特開平07-028593
特開平10-301702
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記したような手書き入力装置で文字認識をおこなうと、デジタルペンやタブレットを利用した方式では、装置用の専用入力ペンで筆記時の位置座標を捕捉するため、当該ペンは複雑な電子回路を備えたものとなっている。デジタルペンは、小型電池や電子回路を内蔵させたペンとなり、タブレットは、専用ペンのほかにペン位置を捕捉するセンサーを内蔵させたパネルを必要としていた。
また、筆記音から文字認識をおこなう装置の構成では、マイクロフォンをペンに取り付け筆記音信号をケーブルで信号処理回路に送り込む構成となり、当該ケーブルは入力操作を邪魔することが有る。
また、ペンの持ちかえや握り直し、或いは筆記後にペンを卓上等に置いた際にもマイクロフォンがこれらの操作音を拾ってしまい、筆記音と区別できず誤認識することがあった。
また、筆記具以外の場所にマイクロフォンを設置し、筆記音を捕捉して、筆記音の有無で文字認識する構成では、周囲の雑音、人の声、記入用紙の上を腕や手のひらを動かした際に発生する摩擦音なども捕捉してしまい、筆記音と区別できず誤認識することがあった。
本発明は、電子回路等を組み込んだ専用筆記具を利用せず、一般購入できる筆記具をそのまま利用した手書き文字認識装置であり、当該筆記具で書かれた特定の手書き文字のみを認識する機能を安価な電子回路構成で実現し提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手書き筆記時に発生する筆記音は、筆記具のペン先形状やペン材質、筆記用紙、筆記速度、筆記文字により変化するが、同一筆記具で、同一用紙、同一筆記速度で同一文字を記入した際の筆記音を電気回路で捕捉すると、信号変化はほぼ同一と認識できる電気信号として毎回捕捉する事ができる。
特定周波数の電気信号を取り出し、他周波数の電気信号を捨てる回路であるバンドパスフィルター回路に筆記音の電気信号を入力し、フィルターされた電気信号を計測する。バンドパスフィルターの中心周波数を変化させ、フィルターされた電気信号を計測すると、手書き文字固有の電気信号の変化を示す周波数を見つけることができる。この固有の電気信号変化は、筆記文字の字形に起因する運筆によって生じており、当該運筆時に生じるペン先の加速度(速さと方向)変化に応じている。つまり、筆記音に含まれる特定周波数の電気信号は、筆記文字の運筆特徴を示しており、当該電気信号の信号変化から、筆記文字を特定することができる。
バンドパスフィルターでフィルターされた電気信号は、筆記具のペン先形状やペン材質、筆記用紙、筆記速度、筆記文字により変化するが、同一筆記具で、同一用紙、同一筆記速度で同一文字を記入した際は、ほぼ同一と認識できる電気信号として毎回捕捉する事ができる。
本発明は当該事象を応用したものであり、特定筆記具の特定筆記文字を特定速度で記入した際に発生する筆記音のうち、特定周波数の電気信号を抽出し、筆記中に一定間隔で当該電気信号の値を連続記録する。文字認識をおこなう場合は、同様の構成にて、認識を希望する文字を記入し、前述の記録操作と同様の方法で、筆記中に一定間隔で筆記音の電気信号の値を連続記録し、先の連続記録した電気信号と照合し、一致または類似を見つけた際、登録時に記入した文字と同等の文字が記入されたものと判定し報告するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の手書き文字認識装置を用いると、例えば答案の採点などの業務において、○やレの筆記文字を登録しておくと、正答時に答案用紙に記入する○や誤答時に記入するレを文字認識できる。記入時に使用される筆記具も、市販されている一般筆記具がそのまま利用でき、座標捕捉用の電子回路や電池を組み込んだ専用入力ペンを利用せず採点業務が遂行できる。また、入力音の有無で文字認識する先行技術にみられる機器構成と異なり、ペンに電子回路を組み入れケーブルでデータ処理回路に接続する必要もなく筆記ができる。また特定条件下の筆記の際に出現する固有筆記音周波数の電気信号を抽出し、当該信号を利用し文字認識するので、従来の筆記音の有無の判定による文字認識方法よりも、筆記文字の特徴を捉えることとなり、高い認識精度が得られる。また筆記音以外の入力音による誤認識に悩まされることなく採点作業等の文字認識業務を円滑に遂行することができる。
【0007】
さらに、本発明手書き文字認識装置を用いると、登録時に使用した、筆記具、筆記用紙、筆記速度、筆記文字でのみ文字認識をするので、例えば○を登録した際、筆記速度を登録時と異なった速度で筆記した○は未登録文字と認識する。よって○(マル)と0(ゼロ)など、字の形状特徴から文字認識する従来方法では分別できない、字体が似た文字記入でも、正しく認識をおこなうことができる。これは正答記入と数字記入とを混同させない認識機能となり有用である。
【0008】
アナログ信号として捕捉された筆記音をデジタル処理用に標本化する際は、一般にナイキストの定理として知られる方法がとられ、必要周波数の2倍以上のサンプリングレートを必要とするが、本発明ではバンドパスフィルターで特定周波数(筆記具が発生させる高音域より小さな周波数となる場合が多い)の電気信号を調査するので、筆記具が発生させる周波数に対応したナイキスト周波数より低い周波数の信号変化を調査することになる。例えば筆記時10000Hzまでの音波信号を発生させる筆記具の筆記音を処理するには、同定理に従えば20000Hz以上の標本化周波数が必要となるが、本発明が利用する特徴筆記周波数が2000Hzであった場合、4000Hz以上の標本化周波数で処理すればよいこととなり、処理方法や電子回路の負荷を低減させる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】手書き情報入力装置を用い手書き認識をおこなう実施例を示す図。
【図2】手書き情報入力装置の回路構成を示す図。
【図3】サウンドスペクトログラフを表示させる構成図。
【図4】手書き認識の実施例で用いた筆記文字の図。
【図5】手書き入力した際に表示されるサウンドスペクトログラフの例を示す図。
【図6】データ処理部のマイクロプロセッサ記憶部に置かれた登録テーブルの構造図。
【図7】テーブル別一致数をカウントする変数。
【発明を実施するための形態】
【0010】
手書き文字認識の記入に用いられる筆記具と記入用紙を準備し、認識したい文字を手書きし、当該文字記入時に発生する筆記音を捕捉し、筆記音の周波数別・時間別の電気信号を観察し、手書き文字の筆記特徴をよりよく示す周波数を探し出す。筆記音は音叉を鳴らした際生じる単一周波数で構成される音波とは異なり、多数の周波数成分を含んだ合成波として観測されるが、手書き文字の筆記特徴をよりよく示す周波数とは、手書き文字認識をおこなう筆記具と用紙とで、特定筆記速度で記入した際に発生する特定の周波数の信号で、且つ、筆記以外の発生音、例えば手のひら移動に伴う摩擦音の周波数と重ならない周波数である。
【0011】
次に、本発明の手書き文字認識装置は次の構成を取る。筆記音の捕捉にはマイクロフォンを利用する。当該マイクロフォンで拾った微小信号をアンプ回路で増幅し、アナログデジタル変換回路でデジタル値に変換する。変換された信号を、バンドパスフィルター機能のデジタルフィルター回路に通し、前述で探し出した周波数でフィルターした信号を取り出す。
【0012】
得られた信号を一定時間ごとに計測し記録する。
【0013】
認識したい文字が複数ある場合は、上記処理を文字数分おこない、各々の結果を記録する。
【0014】
手書き入力文字を認識する場合は、上記処理と同様に認識したい手書き入力文字の測定値を記録し、先に記録した値と照合し、一致または類似しているものを探しだし、その結果を報告することによりおこなう。
【実施例1】
【0015】
本発明を利用した手書き採点処理の実施例を示す。図1は本発明の手書き文字認識装置を利用した採点処理である。参照符号1はマイクロフォンであり、参照符号5の記入用紙(本実施例では採点記入する答案用紙)を束ねて綴じる参照符号6の記入ボードの表面に参照符号1のマイクロフォンの入力面を接触させ、参照符号6記入ボードの板面より参照符号4の手書きペンで参照符号5の記入用紙に記入した際発生する筆記音が捕捉できるよう設置されている。
【0016】
図1参照符号2は入力回路であり、マイクロフォンで捕捉した筆記音を入力し、本発明の処理に従い信号を処理し、処理結果を図1参照符号3パーソナルコンピュータ(以下PCと略称)へ送る。PCでは当該処理結果を利用し採点プログラム(図示せず)を稼働させる。
【0017】
まず、筆記音の特徴を調べるため図3の構成で筆記音の特徴解析をおこなう。図1と同様に、参照符号5記入用紙上で参照符号4の手書き入力ペンで手書き文字が記入され、参照符号6の記入ボードに取り付けられたマイクロフォン(参照符号2)が手書き音を捕捉し、図3参照符号2の入力回路に設置された参照符号2aのアンプで増幅される。
図3に示した参照符号2aのアンプで増幅された信号を参照符号3のPCへ送る。図3のPCはサウンド回路(図示せず)を具備しており、当該PC上でサウンドスペクトログラフ表示ソフトウェア(図示せず)を稼働させる。サウンドスペクトログラフ表示ソフトウェアとは音波分析用のソフトウェアであり、入力された音波信号をフーリエ変換し、周波数ごとに分解し、分解された周波数ごとの信号の強さを表示する事が可能なソフトウェアである。当該ソフトウェアを稼働させることにより、周波数別・時間別の音波信号の強弱を表示させることができる。当該ソフトウェアの機能を利用して、手書き文字の筆記音で筆記特徴を示す周波数を探すことができる。
【0018】
当該PC(参照符号3)で稼働させたサウンドスペクトログラフ表示ソフトウェア(図示せず)を利用し、手書き文字1(図4参照符号7)を参照符号4の手書入力ペンを利用し、参照符号5の用紙上で、1秒以内で手書きしその際の表示図(図5参照符号9)を得る。
【0019】
同様に手書き文字2(図4参照符号8)を同様に1秒以内で手書きし、その際の分析図(図5参照符号10)を得る。
【0020】
同様に手のひら(図示せず)を参照符号5記入用紙に押し当て、そのまま移動した際に発生する摩擦音の分析図(図5参照符号11)を得る。
【0021】
手書き文字1の分析図(参照符号9)、手書き文字2の分析図(参照符号10)から、大きな音圧を示す共通の周波数を探す。大きな音圧は当該分析図では濃い色で表示される周波数である。また、当該周波数が、手のひら移動で生ずる摩擦音の分析図(参照符号11)で濃い色表示で示される周波数と重畳しているか否か調べる。重畳時は他の周波数を探す。
【0022】
本実施例では手書き文字1の分析図(参照符号9)の2000Hz近辺に濃い色の表示(参照符号9a)が、同じく手書き文字2の分析図(参照符号10)の2000Hz近辺に濃い色の表示(参照符号10a)が見られ、大きな音圧が発生していることが判明した。更に当該音圧の出現パターンは2つの文字で異なっていることも読み取れる。更に、2000Hz近辺の手のひらの摩擦音(参照符号11a)では表示色が薄く、大きな音圧を示していないことも読み取れた。
【0023】
前述の解析で求めた特徴周波数を利用し、筆記文字認識用テーブルの登録をおこなう。当該処理は図2の構成でおこなう。特徴周波数解析操作と同様に、図1参照符号5記入用紙上で参照符号4の手書き入力ペンで手書き文字を記入し参照符号6の記入ボードに取り付けられた参照符号2のマイクロフォンで手書き音信号を捕捉し、図2参照符号2の入力装置送る構成とする。
【0024】
参照符号1のマイクロフォンで捕捉された信号は、図2参照符号2入力回路に設置された参照符号2aアンプで増幅され、参照符号2bアナログデジタル変換回路でデジタル値に変換され、参照符号2cデジタルフィルター回路に送られる。当該回路はデジタルシグナルプロセッサと呼ばれるマイクロプロセッサ(図示せず)を中心に構成されており、当該マイクロプロセッサのプログラムメモリ(図示せず)に解析操作で求めた周波数である、中心周波数2000Hzのバンドパスフィルターを構成するプログラムを書き込む。以降当該プロセッサは中心周波数2000Hzの周波数のみを通過させるバンドパスフィルター機能を提供するデジタルフィルター回路として動作する。
図2参照符号2cデジタルフィルター回路が出力する電気信号は、本実施例では2.5Vを中心に、0Vから5Vの値で変化する仕様で設計されている。2000Hzの周波数が含まれない信号を当該フィルター回路に送ると、2.5Vが変動することなく出力される。2000Hzの周波数を含む信号を当該フィルターに送ると、2000Hz信号の大きさに従い2.5Vを中心に0Vから5Vの範囲内を上下する電圧を出力する。
図2参照符号2dで示されたデータ処理装置はマイクロプロセッサ(図示せず)を中心に構成されており、当該プロセッサは一定周期(当該値はプロセッサの能力やメモリ容量で決定されるが本実施例では10ミリ秒とした。)ごとに、参照符号2cデジタルフィルター回路が出力する値を読み込み、その値が2.5Vを中心にして、当該値より±5%以上変動した値を捕捉したら1、±5%以下の場合は0とし、当該マイクロプロセッサの不揮発性メモリ領域(図6参照符号12登録テーブル1や参照符号13登録テーブル2)にその判定値を書き込む。つまり捕捉値が2.375V〜2.625Vの時は0、それ以外は1を書き込む。以降当該処理をおこなうプログラムを登録プログラムと呼ぶ。
最初に判定値1を捕捉した時点を筆記開始と見なし、順番に10ミリ秒ごとに参照符号2cデジタルフィルター回路が出力する値を読み込み、0または1の判定値を図6のテーブルに記録していく。記録の順番は図6に示したテーブルのテーブル要素1から順番におこなう。当該処理は1秒間おこなわれる。なお、最初に判定値1を捕捉した際、図7参照符号15一致カウンター1と参照符号16一致カウンター2を、それぞれ0に初期化する操作も併せておこなう。
図2参照符号1のマイクロフォンと図2参照符号2の入力回路で構成される手書き情報入力装置で、上記登録プログラム(図示せず)を稼働させ、参照符号7手書き文字1を参照符号4手書き入力ペンで参照符号5記入用紙に1秒以内で手書きし、登録テーブル1(図6参照符号12)に記録する。同様に手書き文字2(参照符号8)を1秒以内に手書きし、登録テーブル2(図6参照符号13)に記録する。
文字認識処理は以下の方法でおこなう。登録プログラムと同様な図2の構成の手書き情報入力装置を利用し手書き入力操作をおこない、図6参照符号14の入力テーブルに判定値を記録する。つまり、図1参照符号4の手書き入力ペンで参照符号5の記入用紙に1秒以下の筆記速度で手書き文字を記入する。答案の採点を行うので記入する文字は、正答の場合は手書き文字1(参照符号7)を、誤答の場合は手書き文字2(参照符号8)を記入し、入力テーブル(参照符号14)に判定値を記録する。参照符号2cのデジタルフィルターは登録プログラムと同等のフィルター機能であり、判定値の求め方は前述の登録テーブル1(参照符号12)や登録テーブル2(参照符号13)を作成した処理と同様である。
入力テーブル(参照符号14)に記録された判定値が、登録テーブル1(参照符号12)と登録テーブル2(参照符号13)のどちらかと一致するか、あるいは類似性があるかを調べる。調べ方は、テーブルの各要素(0または1が記録されている)の同一テーブル要素どうしの値を逐一比較し、一致した個数を数えあげる。比較は全テーブルの要素数分おこなう。つまり、入力テーブル(参照符号14)のテーブル要素1と登録テーブル1(参照符号12)のテーブル要素1の判定値が同一か調べ、同一の場合図7参照符号15の一致カウンター1を1増加させる。同様に、入力テーブル(参照符号14)のテーブル要素1と登録テーブル2(参照符号13)のテーブル要素1の判定値が同一か調べ、同一の場合図7参照符号16の一致カウンター2を1増加させる。同様に、入力テーブルのテーブル要素2と登録テーブル1のテーブル要素2の判定値が同一の場合、一致カウンター1を1増加させ、入力テーブルのテーブル要素2と登録テーブル2のテーブル要素2の判定値が同一の場合、一致カウンター2を1増加させる。このように、これらの比較操作を全要素数分繰り返しておこなう。
参照符号15の一致カウンター1と、参照符号16の一致カウンター2を調べる。カウンター数がテーブル全要素(当実施例では10ミリ秒ごと1秒以内の筆記を判定記録するので、全要素数は100となる。)の60%以上の場合は、一致した登録テーブルの文字が認識されたものとする。つまり、参照符号15一致カウンター1が60以上の場合は認識文字1が手書きされたものとし、図2参照符号2eパーソナルコンピュータインタフェースを介し数字の「1」を参照符号3のPCへ出力する。同様に参照符号16一致カウンター2が60以上の場合は数字の「2」を出力する。一致数が共に60以下の場合は認識候補なしと判断し、図2参照符号2eのパーソナルコンピュータインタフェースを介し「?」の文字を出力する。一致数がともに60以上の場合は、大きい方の登録テーブル文字が入力されたものとする。なお、同数の場合は「?」を出力する。当該処理をおこなう処理プログラムを文字判定プログラムと呼ぶ。
本実施例では入力テーブル(参照符号14)と登録テーブル1(参照符号12)または登録テーブル2(参照符号13)の各要素数の一致数が全テーブル数の60%以上か否かで認識文字の類似性を判定したが、当該率は他の値でもよく、手書き一致度を厳密に判定するか、或いは緩く判定するのかで調整すればよい。同様の理由で、手書き時間(1秒)、判定値の捕捉間隔およびテーブル要素数(本実施例では10ミリ秒で100個)、判定基準の2.5V±5%(2.375V〜2.625V)も変更することも可能である。
参照符号1マイクロフォンと参照符号2入力回路で構成される手書き情報入力装置で、文字判定プログラム(図示せず)を稼働させ、参照符号4手書き入力ペンで、参照符号5記入用紙上で、参照符号7または参照符号8の字体を一定時間以内で筆記すると、参照符号3PCで「1」または「2」の認識結果を、参照符号2eパーソナルコンピュータインタフェースを経由して入手する事ができる。参照符号7または参照符号8以外の字体を記入した場合や、テーブル一致数が基準以下の場合は「?」の文字が認識結果として入力される。参照符号3のPCの採点プログラム(図示せず)は、あらかじめ設問数と配点を登録しておき、「1」を入力した際はその設問の配点を加算し、「2」の場合は設問の配点を加算せず、「?」の場合はその旨を入力者に伝える処理を実施すれば、参照符号5記入用紙(当実施例では答案用紙)への採点記入で採点処理が実現できる。
【0025】
参照符号4手書き入力ペンや参照符号5記入用紙の種類を変更した場合、つまり他種類の筆記具を利用して採点する場合や、紙質が異なり筆記音周波数が異なると思われる他種類の記入用紙を利用して本発明装置を利用する場合は、前述のサウンドスペクトログラフ表示用ソフトウェア(図示せず)を利用して筆記音の周波数分析をおこない、バンドパスフィルターに設定する中心周波数を探し、参照符号2cデジタルフィルター回路を当該値用に変更し、登録プログラム(図示せず)を稼働させ登録テーブル1(参照符号12)、登録テーブル2(参照符号13)を書き換えれば良い。また、文字判定プログラム(図示せず)も書き換えられた中心周波数フィルターする参照符号2cデジタルフィルター回路を通した得た判定値を書き換えられた登録テーブル(参照符号12、参照符号13)と比較すればよい。
【0026】
本実施例では、参照符号1マイクロフォンを参照符号6記入用ボードの板面に設置する方式を示したが、参照符号1マイクロフォンは筆記音を前述の登録プログラム(図示せず)や文字判定プログラム(図示せず)の稼働時に同一の設置方法で筆記音を捕捉できればよく、参照符号6記入用ボード以外の場所に設置してもよい。例えば参照符号5記入用紙を置く机板面(図示せず)や用紙近傍の筆記音が捕捉できる場所(図示せず)に設置しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 マイクロフォン
2 入力回路
2a アンプ
2b アナログデジタル変換回路
2c デジタルフィルター回路
2d データ処理装置
2e パーソナルコンピュータインタフェース
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 手書き入力ペン
5 記入用紙
6 記入用ボード
7 手書き文字1
8 手書き文字2
9 手書き文字1の分析図
9a 手書き文字1の2000Hz付近の分析図
10 手書き文字2の分析図
10a 手書き文字2の2000Hz付近の分析図
11 手のひらを摩擦させた際の分析図
11a 手のひらを摩擦させた際の2000Hz付近の分析図
12 登録テーブル1
13 登録テーブル2
14 入力テーブル
15 一致カウンター1
16 一致カウンター2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字や記号を筆記する為の筆記具と用紙を備え、前記筆記具が用紙に筆記した際の筆記音を収集する為のマイクロフォンを設け、前記筆記具で文字や記号を筆記した際に発生する筆記音を前記マイクロフォンで収集し、筆記音に含まれる特定周波数の電気信号を抽出する手段を具備し、当該手段を用い抽出した電気信号を記録しておき、前記筆記具で文字や記号を筆記した際に発生する筆記音を、前記マイクロフォンで収集し、筆記音に含まれる特定周波数の電気信号を抽出する手段を具備し、当該手段を用い抽出した電気信号を先の記録と照合し、その出現頻度の類似性から手書き筆記文字を認識することを特徴とする手書き文字認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29912(P2013−29912A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164037(P2011−164037)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)