説明

打栓機

【課題】打栓に伴う瓶の破裂又は破損による危険性を低減し、安全な打栓を可能にする。
【解決手段】打栓機100は、スロート12を有し昇降可能に支持された打栓ヘッド10と、瓶1を支持する支持体62と、スロート12によって王冠90の外周部を瓶1の口部1aに締め付けさせるように打栓ヘッド10を下降させるためのハンドル30と、支持体62上に置かれる瓶1の少なくとも側面を取り囲むように配置されたカバー110とを備え、ハンドル30は、カバー110の外側に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶の口部に王冠を打栓するための打栓機に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料が充填される瓶として、その口部に王冠が打栓されるものがある。王冠の打栓は、王冠の外周部(スカート部)を口部に締め付けるためのスロートを王冠の外周部に対して瓶の軸方向に押し付けることによってなされる。
【0003】
試験用又は少量生産のために使用される打栓機は、スロートが取り付けられた打栓ヘッドをハンドルの操作に従って下降させることによりスロートを王冠に押し付けて打栓を行う構造を有する。
【特許文献1】特開平11−43195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
打栓の際には、瓶の口部に被せられた王冠に対してスロートによって強い力が加わるので、この力によって瓶が破裂することがある。瓶の破裂によって破片が周囲に飛び散ると非常に危険である。従来は、打栓時の瓶の破裂による破片の飛散に対する対策がなされていなかった。
【0005】
また、打栓の際にスロートの内側に王冠の外周部がきつく嵌まり込むと、その後にスロートから王冠が抜けなくなることがある。この状態で打栓ヘッドが上方に持ち上げられると、打栓ヘッドに王冠が結合したまま瓶が持ち上げられた後に王冠が打栓ヘッドのスロートから抜けて瓶が落下することがある。この落下によって瓶が割れて飛び散ったり、破断部によって作業者が怪我をしたりする可能性がある。このような問題を解決するために、スロートの開口部を通してプランジャーを王冠に押し当てて王冠をスロートから抜き取る機構が考えられるが、このような機構の付加は、打栓機、特にその打栓ヘッドの構造を複雑化させることになる。
【0006】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、打栓に伴う瓶の破裂又は破損による危険性を低減し、安全な打栓を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の打栓機は、瓶の口部に王冠を打栓するための装置或いは機具として構成され、スロートを有し昇降可能に支持された打栓ヘッドと、瓶を支持する支持体と、前記スロートによって王冠の外周部を瓶の口部に締め付けさせるように前記打栓ヘッドを下降させるためのハンドルと、前記支持体上に置かれる瓶の少なくとも側面を取り囲むように配置されたカバーとを備え、前記ハンドルが前記カバーの外側に延びていることを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記打栓機は、王冠が被せられた口部に向かって前記打栓ヘッドが下降することによって該王冠が該口部に打栓された後に前記打栓ヘッドが上昇する際に、打栓が終了した瓶が前記打栓ヘッドに結合した状態で前記打栓ヘッドとともに上昇することを防止するように該瓶の位置を規制する瓶位置規制部を更に備えることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記瓶位置規制部は、側部、上部及び下部が開口したU字形状の内側面を有し、前記側部を通して瓶の出し入れが可能に構成され、前記カバーは、扉部を有し、前記瓶位置規制部は、前記開口した側部が前記扉部に向くように構成されていることが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記支持体は、互いにサイズの異なる複数の瓶にそれぞれ適合する複数のサイズ別瓶台と、前記複数のサイズ別瓶台から選択される1つのサイズ別瓶台を支持する支持ベースとを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の打栓機は、例えば、打栓に伴う瓶の破裂又は破損による危険性を低減し、安全な打栓を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の好適な実施形態の打栓機の構成を示す斜視図、図2は、図1に示す打栓機の正面図である。本発明の好適な実施形態の打栓機100は、口部1a、胴部1b及びそれらの間のテーパ状の中間部1cを有する瓶1の口部1aに王冠(蓋)90を打栓するための機具として構成されている。
【0014】
打栓機100は、王冠90の外周部(スカート部)を瓶1の口部1aに締め付けるためのスロート12を有する打栓ヘッド10を備えている。打栓ヘッド10は、昇降ロッド20の下端に連結され、昇降可能に支持されている。具体的には、打栓ヘッド10が連結された昇降ロッド20は、ロッド支持体40によって昇降可能にガイドされ、昇降ロッド20の上端に設けられたロッドトップ22とロッド支持体40との間に配置されたスプリング24によって待機位置に保持されている。
【0015】
昇降ロッド20は、回転軸32を中心として回動可能に配置されたハンドル30のピン34に係合しており、作業者によるハンドル30の回動操作に応じて昇降する。ハンドル30が図1の矢印A方向に回動操作されると、昇降ロッド20及びその下端に連結されている打栓ヘッド10は下降する。一方、作業者がハンドル30を離すと、昇降ロッド20は、プリング24の復元力によって上昇し、これに伴ってハンドル30が矢印B方向に回動する。或いは、作業者は、ハンドル30を図1の矢印B方向に回動操作することもでき、これに応じて昇降ロッド20及びその下端に連結されている打栓ヘッド10は上昇する。
【0016】
ロッド支持体40は、支柱70に対して固定機構(例えば、ネジ)42によって固定される。固定機構42によるロック(固定)を解除することによって、ロッド支持体40を上下方向に移動させることが可能になり、打栓対象の瓶1の高さに応じてロッド支持体40の高さ(結果として、打栓ヘッド10の高さ)を調整することができる。
【0017】
打栓対象の瓶1は、支持ベース60上の瓶台62上に置かれて打栓される。瓶台62は、固定機構(例えば、ネジ)64によって支持ベース60に固定されうる。ここで、打栓機100は、例えば、オプション品として、互いにサイズの異なる複数のサイズ別瓶台62を備え、打栓対象の瓶1のサイズに応じて選択されるサイズ別瓶台62が支持ベース60に固定されることが好ましい。瓶台62は、典型的には、瓶1の下部の位置を規定するリング状のガイドを有することができ、これにより瓶1を打栓ヘッド10のスロート12にセンタリングすることができる。
【0018】
瓶台62と打栓ヘッド10との間には、瓶位置規制部50が配置されている。瓶位置規制部50は、連結部52を介して昇降リング(昇降部)54に連結されている。昇降リング54は、支柱70に対して固定機構(例えば、ネジ)56によって固定される。固定機構56によるロック(固定)を解除することによって、昇降リング54を上下方向に移動させることが可能になり、打栓対象の瓶1の中間部1cの高さに応じてロッド支持体56の高さ(結果として、瓶位置規制部50の高さ)を調整することができる。
【0019】
瓶位置規制部50は、瓶1の口部1aに王冠90が打栓された後に打栓ヘッド10が上昇した際に、打栓が終了した瓶1が打栓ヘッド10のスロート12に結合した状態で打栓ヘッド10とともに上昇することを防止するように、瓶1の位置をその中間部1cに係合することにより規制する。なお、瓶1の口部1aに打栓された王冠90と打栓ヘッド10のスロート12との結合は、打栓の際にスロート12の内側に王冠90の外周部が嵌まり込むことによってしばしば起こりうる。
【0020】
瓶位置規制部50を設けることによって、打栓の終了後に打栓ヘッド10が上昇した際に、打栓ヘッド10によって瓶1が持ち上げられること、更には、その後に打栓ヘッド10のスロート12から口部1aが抜けて瓶1が落下することを防止することができる。
【0021】
瓶位置規制部50は、例えばリング形状とすることもできるが、この場合、打栓機100に瓶1を配置する際に、まず、瓶位置規制部50を上昇させてから瓶1を瓶台62上に置き、その後、瓶位置規制部50を下降させる必要があり、作業が煩わしい。このような煩わしさは、打栓後の瓶1を打栓機100から取り除く際においても同様に起こる。そこで、瓶位置規制部50を、側部(図2において手前側)、上部(図2において上側)及び下部(図2において下側)が開口したU字形状の内側面50sを有する構造(例えば、全体としてC字形状)とすることが好ましい。このような構造によれば、側部に設けられた開口部50aを通して瓶1の出し入れ(打栓機100への瓶1の配置と取り除き)が可能になるので、打栓の前後における上記のような煩わしさから作業者を解放することができる。
【0022】
打栓機100は、瓶1を支持する瓶台(支持体)62上に置かれる瓶1の少なくとも側面を取り囲むように配置されたカバー110を備えている。ここで、カバー110は、ハンドル30の操作を妨げないように配置され、ハンドル30は、作業者による操作を容易にするためにカバー110の外側に延びている。
【0023】
カバー110は、打栓の際にスロート12を介して力を受ける瓶1が破裂した際に、瓶1の破片が周囲に飛散することを防止し、破片による作業者の怪我等を防止することに寄与する。
【0024】
カバー110は、例えば、フレーム112、フレーム112によって支持される壁部114、扉部116を含んで構成されうる。ここで、扉部116は、瓶位置規制部50の側部に設けられた開口部50aに対向する位置(すなわち、開口部50aが扉部116に向くような位置)に配置されることが好ましい。扉部116と瓶位置規制部50の開口部50aとの位置関係をこのようにすることにより、作業者は、扉部116を開いて容易に打栓対象の瓶1を瓶台62上に置くことができ、また、打栓が終了した瓶1を瓶台62上からカバー110の外部に容易に取り出すことができる。
【0025】
壁部114及びフレーム112のうち少なくとも壁部114は、打栓時や瓶の取り扱い時の視認性を考慮して、透明な材質で構成されることが好ましい。同様に、扉部116も透明な材質で構成されることが好ましい。扉部116は、硬質の材料で構成されてもよいが、図1に例示的に示されるように柔軟性を有する材料で構成されることが好ましい。柔軟性を有する材料で扉部116を構成することにより、扉部116の開閉のために要する空間を小さくすることができる。扉部116を閉めた状態にする際は、扉部116は、固定部(例えば、面ファスナー)118、120によってフレーム112に固定されうる。
【0026】
以下、打栓機100の使用方法を説明する。まず、扉部116を開けて、打栓対象の瓶1を瓶台62上に置き、更に、瓶1の口部1aに王冠90を載せる。次いで、扉部116を閉めて、ハンドル30を矢印Aに示すように回動操作することによって打栓ヘッド10を降下させて、スロート12で王冠90の外周部を締め付けることによって王冠90を口部1aに打栓する。次いで、作業者がハンドル30を離すと、通常は、スプリング24の復元力によって打栓ヘッド10が上昇し、瓶1の口部1aから引き離される。ここで、スロート12の内側に王冠90がきつく嵌まり込んでいる場合には、作業者がハンドル30を矢印B方向に回動操作することによって打栓ヘッド12を上昇させて、瓶1の口部1aから引き離すことができる。この際、瓶1の位置は、その中間部1cにおいて瓶位置規制部50によって規制されるので、打栓ヘッド10の移動に伴って瓶1が持ち上げられること、更にはその後に落下することはない。
【0027】
打栓が終了したら、扉部116を開けて、打栓済みの瓶1を瓶台62上からカバー110の外に取り出せばよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の好適な実施形態の打栓機の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す打栓機の正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 瓶
1a 瓶の口部
1b 瓶の胴部
1c 瓶のテーパ状の中間部
10 打栓ヘッド
12 スロート
20 昇降ロッド
22 ロッドトップ
24 スプリング
30 ハンドル
32 回転軸
34 ピン
40 ロッド支持体
42 固定機構
50 瓶位置規制部
50a 瓶位置規制部の側部に設けられた開口部
50s U字形状の内側面
52 連結部
54 昇降リング
56 固定機構
60 支持ベース
62 瓶台
70 支柱
90 王冠
100 打栓機
100 カバー
112 フレーム
114 壁部
116 扉部
118、120 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶の口部に王冠を打栓するための打栓機であって、
スロートを有し昇降可能に支持された打栓ヘッドと、
瓶を支持する支持体と、
前記スロートによって王冠の外周部を瓶の口部に締め付けさせるように前記打栓ヘッドを下降させるためのハンドルと、
前記支持体上に置かれる瓶の少なくとも側面を取り囲むように配置されたカバーと、
を備え、前記ハンドルは、前記カバーの外側に延びていることを特徴とする打栓機。
【請求項2】
王冠が被せられた口部に向かって前記打栓ヘッドが下降することによって該王冠が該口部に打栓された後に前記打栓ヘッドが上昇する際に、打栓が終了した瓶が前記打栓ヘッドに結合した状態で前記打栓ヘッドとともに上昇することを防止するように該瓶の位置を規制する瓶位置規制部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の打栓機。
【請求項3】
前記瓶位置規制部は、側部、上部及び下部が開口したU字形状の内側面を有し、前記側部を通して瓶の出し入れが可能に構成され、
前記カバーは、扉部を有し、前記瓶位置規制部は、前記開口した側部が前記扉部に向くように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の打栓機。
【請求項4】
前記支持体は、互いにサイズの異なる複数の瓶にそれぞれ適合する複数のサイズ別瓶台と、前記複数のサイズ別瓶台から選択される1つのサイズ別瓶台を支持する支持ベースとを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の打栓機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−131285(P2006−131285A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324048(P2004−324048)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】