説明

抗菌剤としてのヨネンポリマーおよびその使用

【課題】安全であり、非毒性であり、長期に耐久性があり、耐性または多重耐性の微生物の発生が最小である抗菌剤を提供する。
【解決手段】抗菌活性を有するヨネンポリマーは、陽電荷を提供する原子の実質的な比率が、ペンダント基におけるよりもむしろ主鎖のポリマー鎖またはポリマーの骨格に位置する第四級化された窒素であるカチオン性ポカチオン性ポリマーである。また、哺乳動物における抗菌感染を治療するための、ヨネンポリマーを含有する抗菌性組成物および抗菌性組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む方法が提示される。また、感受性表面(感受性表面上のバイオフィルムの痙性を含むがこれらに限定されない)上の微生物の増殖、汎発、および/または蓄積を防止、阻害または排除するための、ヨネンポリマーを含有する抗菌性組成物およびかかる表面と該組成物とを接触させる工程を含む方法が提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の抗菌性ポリマー、抗菌性医薬組成物および哺乳動物における微生物感染の治療方法、抗菌性医薬組成物および創傷治療技術の方法、抗菌性医薬組成物ならびに皮膚、口腔粘膜および胃腸管の感染の治療方法、さらに抗菌性組成物ならびに感受性表面(susceptible surface)上の微生物の増殖、汎発および蓄積を防止、阻害、または排除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細菌、真菌、藻類、ウイルス、白カビ、原生動物等のような感染性微生物は、皮膚、歯、粘膜、血管組織、医療インプラントおよび医療デバイスを含む、種々の生体表面および非生体表面において増殖しうる。生存微生物(例えば、細菌、ウイルス、原生動物、寄生虫、真菌等)の侵入性微生物感染は、身体の種々の器官で起こりうる。かかる感染は、一般に、宿主生物によって安全に耐容性にされうる十分に特徴づけられた抗菌剤で処理される。しかし、種々の抗菌剤に対する微生物の耐性は、驚くべき速度で増大し、それにより微生物感染の治療のための多くの重要な薬物療法が無効になっている。微生物は、1つまたはそれより多くの耐性様式を使用し、しばしばそれらを多重耐性にする。特に、創傷の治療技術ならびに皮膚、口腔粘膜および胃腸管の感染のための有効な抗菌剤が依然として大いに必要とされている。表面においては付着もしないし、増殖もしない個々の微生物は、「プランクトン性」と呼ばれる。これらのプランクトン性生物は、それが生存する生物である場合、宿主における侵入性および汎発性感染を担う。かかるプランクトン性生物は、従来の抗菌剤治療の標的である。
【0003】
プランクトン性微生物が非生存表面において増殖し、汎発する場合、それらは、その表面の汚染および生物付着(biofouling)を引き起こしうる。多くの場合、微生物は、除去することがほとんどできない点まで表面上で増殖し、蓄積しうる。この蓄積は、バイオフィルム(biofilm)の形成を介して起こる。バイオフィルムは、1つまたはそれより多くの微生物が表面に付着し、それらの周囲に水和したポリマーマトリックスを分泌する場合に生じる。バイオフィルムに存在する微生物は、固着と呼ばれ、抗菌剤からの攻撃から分離された保護された環境で増殖する。これらの固着群集は、非固着プランクトン性生物を生じうる。これは、迅速に増加し、表面上に分散する。再び、それは抗菌剤および抗真菌剤等の従来の抗菌性治療の標的であるこれらのプランクトン性生物である。しかし、これらの従来の治療は、バイオフィルムに発根された固着群集を根絶することに失敗する。バイオフィルムは、頻繁に生じる感染因子の貯蔵庫と考えられており、ヘルスケア産業に大きな問題を提起する。バイオフィルムの生物学は、非特許文献1においてより詳細に記載される。
【0004】
微生物汚染およびバイオフィルムは、ヘルスケア産業および他の産業に有害に影響し、ここで、微生物汚染は、公共水道、および食物生産施設等のヒトへの健康危険性を提起する。インプラント医療デバイスに関与する感染は、例えば、一般に、バイオフィルムを含む。ここで固着群集は、侵入感染のための貯蔵庫を供給する。抗体および宿主免疫防御は、たとえこれらの生物が抗体および関連する免疫応答を惹起しても、バイオフィルム中に含まれる生物を死滅させるのに有効ではない。抗体は、典型的には、プランクトン性生物により引き起こされる感染を治療するが、バイオフィルムにおいて保護される固着生物を死滅させることはできない。それゆえ、汚染した医療デバイスが宿主から除去されたとしても、いかなる置換デバイスも特に該医療デバイスが除去された領域の残渣微生物からの汚染を受けうる。
【非特許文献1】Bacterial biofilms:a common cause of persistent infection" J.Costerson, P.Steward, E.Greenberg, Science 284: 1318-1322 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオフィルムに基づく感染および汚染を排除することに関連する困難な問題は良く認識されているので、多数の技術がバイオフィルム形成を防止または損じるために開発された。これらの技術は、汚染したまたは感染しやすい表面と接触させる種々の生物破壊剤の開発を含む。しかし、バイオフィルム形成を損じるために使用される任意の薬剤は、ヒトおよび他の非標的生物によって使用されるために安全でなければならない。望まれない微生物の増殖を排除するのに有効であることが知られている生物破壊薬は、一般に、ヒト、動物または他の非標的生物に対して毒性であるか、そうでなければ有害である。非標的生物に対して安全であることが知られている生物破壊剤は、一般に、微生物増殖を予防または排除することにおいてあまり有効ではなく、標的表面への頻繁な適用を必要とする。
【0006】
従って、望まれない微生物による汚染および感染を制御することにおいて、安全であり、非毒性であり、長期に耐久性があり、耐性または多重耐性の微生物の発生が最小である抗菌剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、
式:
【化1】


式中、Zは、置換もしくは非置換の低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基である;xは1〜4の整数である;yは2〜5の整数である、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーあるいはその生理的に許容されうる塩
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、抗菌活性を有する新規ヨネンポリマーを提供する。本発明において使用される「ヨネンポリマー」または「ポリヨネン」は、ポリマー主鎖またはポリマー骨格に位置する第四級化(quaternize)された窒素またはリンを有するカチオン性ポリマーまたはコポリマーであり、正電荷を提供する。ポリヨネンはまた、ポリグアニジンまたはそのコポリマーであり、ここでカチオン性窒素原子は、ポリマー骨格に直接結合したイミド窒素である。本発明のヨネンポリマーは、温血動物に対して非刺激性であり、毒性が低いことが知られている。本発明はまた、ヨネンポリマーを含有する抗菌性組成物および本発明の少なくとも1つの抗菌性組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染を治療する方法を提供する。本発明は、さらに、少なくとも1つのヨネンポリマーを含有する抗菌性組成物ならびに感受性表面と本発明の組成物とを接触させることを含む、感受性表面上の微生物の増殖、汎発、および/または蓄積(感受性表面上のバイオフィルムの形成を含むが、これに限定されない)を防止、阻害または排除する方法を提供する。
【0009】
本発明のさらなる利点は、以下の記載に部分的に示される。前述の一般記載および以下の一般記載は模範および説明に過ぎず、請求される本発明を限定しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
四級アンモニウム化合物は、特に生物付着としてもまた公知の水系微生物汚染の予防または除去に関して抗菌特性を有することが公知である。しかし、このような化合物のうち、ヒト医薬としての、または健康関連環境(ヒト健康の回復または維持に直接的または間接的に影響を与える活動を実行する)における使用のために必要な特性(例えば、低毒性、高い潜在性または効能、長い作用)を全て有することが見出されているのはあったとしてもごくわずかである。
【0011】
本発明は、哺乳動物における微生物感染の治療のための医薬組成物における使用ならびに感受性表面上の微生物の増殖、伝播、および/もしくは蓄積(バイオフィルムの形成が挙げられるが、これに限定されない)の予防、阻害または除去における使用に特に適切なヨネンポリマーに関する。特定の感受性表面としては、医療デバイス、医療インプラント、創傷包帯などのヒトと密接接触する表面が挙げられる。
【0012】
ヨネンポリマーは、ポリマー中に見られる繰り返し単位に従って分類され得る。繰り返し単位は、ヨネンポリマーを作製するために使用される反応物から生じる。本発明の好ましいポリマーを調製する方法は、実施例に含まれる。
【0013】
本発明の1つの態様は、「ピペリジニウム」ヨネンポリマーまたは式I:
【化2】


は、置換または非置換の低級アルキレン基であり;
およびRは、それぞれ独立して水素または置換もしくは非置換の低級アルキル基である、
の繰り返し単位を含むコポリマーである。
【0014】
Aは、結合または置換もしくは非置換の低級アルキレン基である。
【0015】
各X−は、別個にまたは一緒になって、生理的に許容され得るアニオンである。
【0016】
好ましくは、式Iの繰り返り単位において、A、R、RおよびRのうち少なくとも1つが-OHで置換される場合、AおよびRは、独立して非置換の直鎖低級アルキレン基または-OH(例えば、1、2以上)で置換された直鎖低級アルキレン基であり、RおよびRは、両方とも水素、非置換の直鎖低級アルキレン基または-OHで置換された直鎖低級アルキル基である。
【0017】
より好ましくは、式Iの繰り返し単位において、Aは、非置換の直鎖低級アルキレン基であり、Rは、-OHで置換(例えば、1、2以上)された直鎖低級アルキレン基であり、RおよびRは、水素または非置換の直鎖低級アルキル基であるか;あるいはAおよびRは、非置換の直鎖低級アルキレン基であり、RおよびRは、-OHで置換された直鎖低級アルキル基である。
【0018】
式Iの好ましい繰り返し単位は、以下の群の繰り返し単位式:
【化3】


により表される。
【0019】
本発明の第2の態様は、式VIIIaの繰り返し単位および式VIIIaの繰り返し単位:
【化4】


を含む第2のヨネンポリマーまたはコポリマーである。
【0020】
Yは、PまたはNである。
【0021】
は、置換または非置換のアルキレン基もしくは低級アルキレン基であり、RおよびRは、独立して置換または非置換の脂肪族基もしくは芳香族基である。式VIIIa中のR、RおよびRは、式VIIIb中のR、RおよびRと同じかまたは異なり得るが、好ましくは同じである。好ましくは、Rは、置換または非置換のフェニレン基もしくは低級アルキレン基であり、RおよびRは、独立して置換または非置換の低級アルキル基もしくはフェニル基である。より好ましくは、Rは、非置換のフェニレン基または低級アルキレン基であり、RおよびRは、独立して非置換のアルキル基またはフェニル基である。
【0022】
ポリマーまたはコポリマー中の各X−は、別個にまたは一緒になって、生理的に許容され得るアニオンである。
【0023】
第2のヨネンポリマーは、式VIIIaの繰り返し単位が式VIIIbの繰り返し単位と同じである場合(すなわち、YがPである場合)、ホモポリマーであり得る。
【0024】
好ましい態様において、第2のヨネンポリマーまたはコポリマーは、式IX:
【化5】


の繰り返し単位を含む。
【0025】
は、1〜約24個の炭素原子、好ましくは約4〜約12個の炭素原子を有する置換または非置換の低級アルキレン基である。
【0026】
各X−は、別個にまたは一緒になって、生理的に許容され得るアニオンである。
【0027】
第2のヨネンポリマーまたはコポリマーの特定の例は、式XおよびXIの繰り返し単位を含む。
【0028】
【化6】

【0029】
本発明の第3の態様は、式XII:
【化7】


の繰り返し単位を含む「グアニジン」ヨネンポリマーまたはコポリマーである。
【0030】
Zは、置換または非置換の低級アルキレン基もしくは低級アルキレングリコール基、好ましくは、非置換の低級アルキレン基または低級アルキレングリコール基であり;xは、1〜4の整数であり;yは、2〜5の整数である。好ましい態様において、Zは、非置換の低級アルキレン基または低級アルキレングリコール基であり、xは1かつyは2;xは1かつyは3;xは1かつyは4;またはxは1かつyは5である。グアニジンヨネンポリマーおよびコポリマーの特定の例は、式XIIIおよびXIVの繰り返し単位を含む。
【0031】
【化8】

【0032】
他のグアニジンコポリマーとしては、式I〜XI、XV、XVI、XIX、XX、XXII、またはXXIIIの繰り返し単位で交換した式XIIの繰り返し単位を含むコポリマーが挙げられる。
【0033】
本発明の別の態様は、式XV:
【化9】


の繰り返し単位を含む「ピリジニウム」ヨネンポリマーまたはコポリマーである。
【0034】
およびYは、独立して低級アルキレン基または低級アルキレングリコール基である。好ましくは、YおよびYで表される低級アルキレン基または低級アルキルグリコール基のうちの少なくとも1つが置換される。より好ましくは、YおよびYで表される低級アルキレン基または低級アルキルグリコール基が直鎖である。さらにより好ましくは、YおよびYで表される低級アルキレン基または低級アルキルグリコール基が直鎖であり、かつ少なくとも1つ(好ましくはY)が、1、2個以上のアルコール基で置換される(例えば、Yが-CH2CHOH(CH2)nCHOHCH2、式中nは0〜8の整数である)。各X−は、別個にまたは一緒になって、生理的に許容され得るアニオンである。好ましくは、ピリジニウムヨネンポリマーおよびコポリマーは、実質的にジフェノールがない。「実質的にない」とは、ピリジニウムヨネンポリマーおよびコポリマーが5%未満のジフェノール、好ましくは2%未満のジフェノール、さらにより好ましくは1%未満のジフェノールを含むか、または理想的にはジフェノールを含まない(すなわち、ホモポリマー)ことを意味する。
【0035】
ピリジニウムヨネンポリマーの特定の例は、式XVIおよびXVII:
【化10】


の繰り返し単位を含む。
【0036】
本発明の他の好ましいヨネンポリマーは、以下の群の繰り返し単位式:
【化11】


により表される。
【0037】
本発明のコポリマーの各繰り返し単位における変化は、独立して選択されると理解されるべきである。例えば、式Iの繰り返り単位を有するコポリマーにおいて、1つの繰り返し単位においてAにより表されるアルキレン基は、他の繰り返し単位においてAにより表されるアルキレン基とは異なり得る。しかし、好ましくは、1つの繰り返し単位における変化は、ポリマー中の他の全ての繰り返し単位と同じ基を表す。
【0038】
「脂肪族基」は、非芳香族であり、もっぱら炭素および水素からなり、任意にまたはより多くの非飽和(例えば、二重および/または三重結合)の単位を含み得る。脂肪族基は、直鎖状または分枝状であり得、典型的に約1〜約24個の間の炭素原子、より好ましくは約4〜約12個の炭素原子を含む。
【0039】
脂肪族基は、好ましくは低級アルキル基または低級アルキレン基(C1〜24(好ましくはC4〜C12)直鎖状または分枝状飽和炭化水素が挙げられる)である。低級アルキル基は、その炭素原子のうちの1つから一重共有結合を介して分子中の1つの他の基に結合された分子における飽和炭化水素である。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルが挙げられる。アルキレン基は、その炭素原子のうちの2つから一重共有結合を介して分子中の2つの他の基に結合された分子における飽和炭化水素である。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、iso-プロピレン(-CH(CH3)CH2-)、ブチレン、sec-ブチレン(-CH(CH3)CH2CH2-)、およびtert-ブチレン(-C(CH3)2CH2-)が挙げられる。
【0040】
低級アルキレングリコール基(または低級アルキルグリコール基)は、1、2個以上のメチレン基が酸素原子(-O-)で置換された低級アルキレン基(または低級アルキル基)である。
【0041】
芳香族基としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アンサシル(anthacyl)および2-アンサシルなどの炭素環式芳香族基、ならびにN-イミダゾリル、2-イミダゾール、2-チエニル、3-チエニル、2-フラニル、3-フラニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル(pyrimidy)、4-ピリミジル、2-ピラニル、3-ピラニル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-ピラジニル、2-チアゾール、4-チアゾール、5-チアゾール、2-オキサゾリル、4-オキサゾリルおよび5-オキサゾリルなどの複素環式芳香族基が挙げられる。
【0042】
芳香族基としてはまた、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール(heteroaryl)環が1つ以上の他のヘテロアリール環に融合される融合多環式芳香族系が挙げられる。例としては、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、2-インドリル、3-インドリル、2-キノリニル、3-キノリニル、2-ベンゾチアゾール、2-ベンゾオキサゾール、2-ベンゾイミダゾール、2-キノリニル、3-キノリニル、1-イソキノリニル、3-キノリニル、1-イソインドリルおよび3-イソインドリルが挙げられる。
【0043】
フェニルが、好ましい芳香族基である。
【0044】
「アリーレン」は、その環原子のうち2つから一重共有結合を介して分子中の2つの他の基に結合された分子における芳香族環部分である。例としては、フェニレン〔-(C6H4)-〕、チエニレン〔-(C4H2S)-〕およびフラニレン〔-(C4H2O)-〕が挙げられる。
【0045】
脂肪族基、芳香族基またはベンジル基上の適切な置換基は、分子の抗菌特性を実質的に減少(例えば、10倍よりおおきくLD50を増加する)しない基である。脂肪族基、芳香族基またはベンジル基上の適切な置換基としては、例えば、ハロゲン(-Br、-Cl、-Iおよび-F)-OR、-CN、-NO2、-NR2、-COOR、-CONR2、-SOkR(kは0、1または2である)および-NH-C(=NH)-NH2が挙げられる。各Rは、独立して-H、脂肪族基、置換脂肪族基、ベンジル基(benzyl group)、置換ベンジル基、芳香族基または置換芳香族基、好ましくは-H、低級アルキル基、ベンジル基(benzylicgroup)またはフェニル基である。置換ベンジル基または芳香族基はまた、置換基として脂肪族基または置換脂肪族基を有する。置換脂肪族基はまた、置換基としてベンジル基、置換ベンジル基、芳香族基または置換芳香族基を有し得る。置換脂肪族基、置換芳香族基または置換ベンジル基は、1つより多くの置換基を有し得る。脂肪族基上の好ましい置換基は、-OHである。
【0046】
式I〜XI、XV〜XVII、XIX〜XXおよびXXII〜XXIIIにより表される繰り返し単位を有するポリマーは、さらにX−で表される生理的に許容され得るアニオンを含む。ポリマー中のアニオンは、同じであるかまたは異なり得る。繰り返り単位中の各X−は、別個に一価アニオン(すなわち、1の陰性電荷を有するアニオン)であり得る。あるいは、同じ繰り返し単位または異なる繰り返し単位中の2つ以上のX−は、一緒になって、2、3以上の陰性電荷を有するアニオンを表し得る。ポリマーは、異なる電荷のアニオンを含み得る。適切な対アニオン(counteranion)の例としては、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨー化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩(heptanoate)、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩などが挙げられる。フッ化物および塩化物が好ましい。1つのアニオンは、所望の対アニオンを含む溶液をポリマーに通すことにより別のアニオンと交換され得る。
【0047】
式XII〜XIV、XVIII、XXI、およびXXIVにより表される繰り返し単位を有するポリマーの生理的に許容され得る塩もまた、本発明に含まれる。塩は、ポリマーを適切な酸と反応させることにより形成され得る。例としては、先の段落に列挙された塩の対応する酸が挙げられる。塩酸塩および臭化水素酸塩(hydrobromide)が好ましい。式XII〜XIV、XVIII、XXI、およびXXIVにより表されるポリマーは、繰り返し単位中に-NHC(=NH)NH-基毎に1分子までの塩酸塩または臭化水素酸塩を有し得る。
【0048】
以下の実施例に示されるように、本発明のヨネンポリマーは、哺乳動物における微生物感染の治療に有効であることが見出されており、皮膚、口腔粘膜および胃腸管の感染の処理に特に有用であることが見出されている。
【0049】
本発明のヨネンポリマーおよびその医薬組成物は、微生物感染の治療のための従来の治療を超えた多数の利点を提供する。本明細書で使用される場合、「従来の抗菌」治療としては、バンコマイシン、メトロニダゾール、ペニシリン、オキサシリンなどの周知の抗菌剤、ならびに抗真菌剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のヨネンポリマーは、現在利用可能な抗生物質よりも広域な範囲の治療を提供する。ヨネンポリマーは、抗生物質耐性または多重耐性(polyresistance)を顕在化させないようである。本発明のヨネンポリマーは、消化管において実質的に分解しない、従って、経口的または局所的に投与され得る。所望の場合、本発明のヨネンポリマーは、身体により全身的に吸収されないようであり、従って魅力的な薬物安全プロフィールを提供するように、設計され得る。
【0050】
投与対象の治療的に有効な量のヨネンポリマーは、個体基礎で決定され、少なくとも一部は治療対象の個体のサイズ、症状の重篤度および要求される結果を考えて、決定される。本明細書で使用される場合、治療的に有効な量とは、治療または予防効果を得るための活性成分(ヨネンポリマー)の適切な量をいい、細胞培養物または実験動物中で標準的な医薬手順により決定され得る。典型的な投薬は、約0.05μg/kg体重〜約500mg/kg体重の間、より好ましくは約0.1μg/kg体重〜約100mg/kg体重の間、さらにより好ましくは約0.5μg/kg体重〜約10mg/kg体重の間である。
【0051】
ポリマーは、単独でまたはこのポリマー、薬学的に許容され得るキャリア、および任意に1つ以上のさらなる薬物を含む医薬組成物として投与され得る。このポリマーは、例えば、局所、膣、鼻腔内、エアロゾルによるまたは直腸に投与され得る。このポリマーが投与される形態、例えば、粉末、錠剤、カプセル、溶液、またはエマルジョンは、投与される経路に一部依存する。適切なキャリアおよび希釈剤は、当業者に直ちに理解される。天然の有機または無機のいずれかのこれらのキャリアおよび希釈剤材料としては、例えば、ゼラチン、アルブミン、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム防腐剤(安定剤)、溶融剤(melting agent)、乳化剤、塩および緩衝剤が挙げられる。局所投与について、薬学的に許容され得るキャリアとしては、例えば、市販の不活性ゲル、またはアルブミン、メチルセルロースまたはコラーゲンマトリクスで補充された液体が挙げられる。このような製剤の典型は、軟膏、クリームおよびゲルである。治療的に有効な量が、分または時間などの適切な時間間隔で別個に一連の用量で投与され得る。
【0052】
治療的に有効な量のヨネンポリマーまたはその医薬組成物を微生物に感染している哺乳動物に投与することにより治療され得る微生物感染としては、細菌感染(例えば、Streptococcus、Salmonella、Campylobacter、Helicobacter、Burkholderia、Actinomyces、Echericha coli、Clostridium(例えば、Clostridium difficile)、Staphylococcus、Shigella、Pseudomonas、Eikenella corrodens、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Bacteriodes gingivalis、Capnocytophaga、Wolinella recta、Bacteriodes intermedius、Mycoplasma、Treponema、Peptostreptococcus micros、Bacteriodesforsythus、Fusobacteria、Selenomonas sputigena、Bacteriodes fragilis、およびEnterobacter cloacaeによる感染)が挙げられるが、これらに限定されない。他の微生物感染としては、ウイルス感染、原生動物感染、マイコプラズマ感染、真菌感染、および寄生生物感染が挙げられる。
【0053】
1つの好ましい態様において、ポリマーおよびポリマー組成物は、口の感染の治療のために口腔へ投与される。別の好ましい態様において、本発明のポリマーおよびポリマー組成物は、哺乳動物の胃腸管における微生物感染の治療のために経口的に投与される。さらに別の好ましい態様において、本発明のポリマーおよびポリマー組成物は、眼微生物感染の治療のためにまたは哺乳動物の皮膚の微生物感染の治療のために局所的に投与される。哺乳動物の皮膚の感染の治療の1つの例は、本発明のポリマーまたは組成物を単独あるいは当該分野で公知であるような組織密閉剤または他の創傷修復物と組み合わせて含む創傷管理養生である。
【0054】
別の好ましい態様において、本発明の抗菌ポリマーおよびポリマー組成物は、肺感染の治療のためにエアロゾル化形態で投与される。エアロゾル化治療剤、特にエアロゾル化抗生物質の送達は、当該分野で公知である(例えば、VanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号、およびMontgomeryのWO98/43650を参照のこと、この全教示は参考として本明細書に援用される)。肺感染の治療用のエアロゾルとして送達される本発明のポリマー組成物は、有効用量が肺感染の治療に最適な粒子サイズにエアロゾル化され得る(例えば、ジェットまたは超音波ネブライザーを使用して)ように製剤化される。気管支腔への送達に適した粒子サイズの例は、一般的に、約1〜5ミクロンである。
【0055】
本発明のヨネンポリマーおよび組成物はまた、特に増殖が所望されない表面上での微生物の増殖および伝播を阻害するのに特に有用である。用語「微生物の増殖を阻害する」は、1つ以上の微生物の例えば感受性表面への増殖、伝播、蓄積、および/または付着が減じることを意味する。好ましい態様において、本発明の抗菌組成物は、健康関連環境において感受性表面での生物の増殖を阻害する方法に使用される。本明細書で使用される場合、用語「健康関連環境」は、ヒト健康の回復または維持に直接的または間接的に影響を与える活動が実行される全ての環境を含む。健康関連環境は、ヒト健康を回復するための活動が実行される医療環境であり得る。手術室、医局、病室、および医療器具を作製する工場は、健康関連環境の全ての例である。他の健康関連環境としては、ヒト健康に付属する活動(食品加工、水精製、娯楽吸水保全(recreational water maintenance)、および下水処理が挙げられる)等が実行される産業用地または住宅用地が挙げられ得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「感受性表面」とは、産業または医療台座のいずれかにおいて、対象と液体との間の界面を提供する任意の表面をいう。本明細書で理解されるように、表面はさらに、機械的構造が治療しなくても微生物の付着に適合性のある平面を提供する。健康連坐の微生物増殖および/またはバイオフィルム形成は、全ての健康関連環境中の表面に関連する。このような表面としては、メス、針、鋏および侵襲性外科的、治療的または診断的手順に使用される他のデバイス;埋没可能医療デバイス(人工血管、患者から液体を除去または患者へ液体を送達するためのカテーテルおよび他のデバイス、人工心臓、人工腎臓、整形外科用ピン、プレートならびに移植片が挙げられる);カテーテルおよび他のチューブ(泌尿器科学および胆管チューブ、気管内チューブ、末梢挿入可能中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期トンネル(long term tunneled)中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、肺カテーテル、Swan-Granzカテーテル、泌尿器カテーテル、腹膜カテーテルが挙げられる)、泌尿器デバイス(長期泌尿器デバイス、組織結合泌尿器デバイス、人工泌尿器括約筋、泌尿器拡大筋が挙げられる)、シャント(心室または動静脈シャントが挙げられる);プロテーゼ(乳房移植片、陰茎プロテーゼ、血管移植プロテーゼ、心臓弁、人工関節、人工咽頭、耳科学移植片が挙げられる)、血管カテーテル孔、創傷排出チューブ、水頭シャント、ペースメーカーならびに移植可能な除細動器などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
他の表面としては、医療器具の部品、ヘルスケア設置中に職員が身につけるまたは所持する医療用具およびバイオハザードまたは生物学的戦争応用のための保護衣の内部ならびに外部表面が挙げられる。このような表面としては、医療法または医療装置を調製するために使用される領域のカウンター上面および備品、呼吸治療(酸素、噴霧器中の可溶化薬物、および麻酔剤の投与が挙げられる)に使用されるチューブおよびキャニスターが挙げられ得る。さらなる表面としては、手袋、エプロンおよび顔面シールドなどの感染生物に対する生物学的バリアとされる表面が挙げられる。
【0058】
液体と接触する表面は、特に微生物増殖および/またはバイオフィルム形成しやすい。例として、加湿酸素を患者へ送達するために使用される貯蔵器およびチューブは、感染因子が存在するバイオフィルムを運び得る。歯学に使用される流水およびエアロゾル化水のシステムの連続汚染を貯蔵器に与えてしまうので、歯科用ユニット送水管は、表面上のバイオフィルムを運び得る。
【0059】
健康に関連する他の表面としては、水精製、水貯蔵および水送達に使用される器具ならびに家庭用の食物加工処理器具、幼児ケアの用具および便器の内部および外部表面が挙げられる。
【0060】
本発明による、感受性表面上の微生物の増殖、伝播および/または蓄積(バイオフィルムの形成が挙げられるが、これに限定されない)を予防、阻害または除去する方法は、このような表面を本発明の抗菌剤、またはその組成物と、このような増殖、伝播および/または蓄積を予防、阻害または除去するのに充分な量で(すなわち有効量で)接触させることを含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「接触させる」とは、微生物増殖および/またはバイオフィルム形成から保護されるべき表面に本発明の化合物を提供するための任意の手段をいう。接触させることとしては、本発明の化合物または組成物を表面にスプレーすること、湿らすこと、浸すこと、浸漬すること、塗布すること、結合すること、コーティングすること、付着することまたはさもなければ提供することが挙げられる。「コーティング」とは、表面を覆う任意の一時的、半永久的、または永久的層をいう。コーティングは、気体、蒸気、液体、ペースト、半固体または固体であり得る。さらに、コーティングは、液体として塗布され、硬いコーティングに固化し得る。コーティングの例としては、磨き粉、表面洗剤、填隙剤(caulk)、接着剤、仕上げ剤、顔料、ワックス、ポリマー化組成物(フ
ェノール樹脂、シリコンポリマー、塩素化ゴム、コールタールおよびエポキシ化合物、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂ビニル樹脂、エラストマー、アクリル酸ポリマー、フルオロポリマー、ポリエステルおよびポリウレタン、ラテックスが挙げられる)が挙げられる。シリコン樹脂、シリコンポリマー(例えば、RTVポリマー)およびシリコン熱硬化ゴムは、本発明の使用に適切なコーティングであり、先行技術に記載される。コーティングは、剥離性(ablative)または可溶性であり得、その結果、マトリクスの溶解速度は、本発明の組成物が表面に送達される速度を制御する。コーティングはまた、非剥離性であり、主に拡散に依存して、標的表面に本発明の組成物を送達し得る。非剥離性コーティングは、多孔性または非多孔性であり得る。ポリマー結合剤中に自由に分散される本発明の抗菌剤を含むコーティングは、「モノリシック(monolithic)」コーティングという。弾性が、コーティング中に工作され、柔軟性(例えば、コーティング対象の表面の膨脹または収縮)に順応し得る。
【0062】
接触させる他の手段としては、感受性表面からの本発明の薬剤の一定または長期放出を提供する徐放性および一定の時間に放出される系が挙げられる。これは、拡散システム(本発明の薬剤のコア(core)が多孔性膜または層に囲まれる貯蔵器デバイス、また化合物が不活性マトリクスの中いたるところに分布するマトリクスデバイスが挙げられる)の使用を介して達成され得る。貯蔵器またはマトリクスを形成するために使用され得る材料としては、シリコン、アクリレート、メタクリレート、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのオレフィン、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリプロピレンなどのフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、およびテレフタレートなどのポリエステルが挙げられる。あるいは、本発明の組成物は、樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)と混合され、次いで形あるものに成形され得、これは、化合物を完全に組み込み、周りの環境への化合物またはその機能的部分の拡散を可能にする多孔性マトリクスを有する構造を形成する。マイクロカプセル技術はまた、本発明の化合物の焦点徐放(sustained focal release)を維持するために使用され得る。
【0063】
本発明の抗菌剤を感受性表面に提供する他の手段は、当業者には明らかである。
【0064】
本発明の化合物および組成物はまた、健康関連産業を除いた産業(例えば、水性環境の存在がバイオフィルム形成をもたらす産業システム)における微生物増殖および/またはバイオフィルムを予防するのに有用である。このようなシステムの例としては、金属工作液体、冷却水(例えば、吸込み冷却水、流出冷却水、再循環冷却水)、および製紙または織物製造において使用されるシステムなどの他の再循環水システムが挙げられる。海洋産業はまた、ボート船体および他の海洋構造物上に形成するバイオフィルムなどの所望でないバイオフィルムに悩む。
【0065】
本発明の別の態様は、微生物の成長または伝播あるいはバイオフィルムの形成を予防、阻害または除去するのに充分な量(すなわち、有効量)で本発明のポリマーを含む製品である。このポリマーは、製品内または製品の表面上にあり得る。好ましくは、この製品は、有効量の本発明のポリマーを含む組成物でコーティングされる。本発明のポリマーで都合よくコーティングされる製品は、微生物の増殖および/またはバイオフィルムの阻害が所望される製品(例えば、医療デバイス、医療備品および水性環境に曝されるデバイス)である。このような製品の例は、上に記載される。
【0066】
本発明のヨネンポリマーは、二価の求電子剤(例えば、α,ω-ジハロゲン化アルカンまたは対応するジエポキシド)を二価の求核剤(例えば、4,4'-トリメチレンジピペリジンまたはN,N,N',N'-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン)(二価の求核剤の他の例は実施例に提供される)と反応することで調製され得る。ポリグアニジンを調製する場合、二価の求核剤は、α,ω-ジアミノアルカンまたはα,ω-アミノグアニジンであり、二価の求電子剤は典型的に、α,ω-ビスシアノグアニジンである。1つの二価の求電子剤と1つの二価の求核剤とのポリマー化は、ホモポリマーを生じる。2つ以上の二価の求電子剤および/または二価の求核剤のポリマー化は、コポリマーを生じる。このようなホモポリマーおよびコポリマーは本発明に包含される。
【0067】
本発明のヨネンポリマーの好ましい調製方法は、ジアミン(例えば、α、ω−ジアミノアルカン、α、ω−アルキレンジピリジン、またはα、ω−アルキレンジピペリジン)と、ジエポキシド(例えば、エポキシド基が分子の末端に存在する直鎖アルカン)と酸とを反応させる工程を含む。好ましくは、ジアミンの各アミンが第三級である、および/またはジアミンが2個の複素環を含有する。好ましい複素環は、構造式:
【化12】


式中、kは、1から10の整数であり、RおよびRは上記規定の通りである、
で表される芳香族または非芳香族のいずれかであり得る。好ましいジエポキシドは構造式:
【化13】


式中、kは上記規定の通りである、
で表される。この方法に好適な酸としては、酢酸、炭酸、フェノール、置換フェノール、安息香酸、アスコルビン酸、ギ酸、サリチル酸、プロピオン酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、アミノ酸、乳酸、グリコール酸、ホウ酸、マロン酸、カプロン酸、塩酸、トリフル酸(triflic acid)、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、コハク酸およびボロン酸(boronic acid)が挙げられる。
【0068】
ポリヨネンポリマーは、典型的には、部分的に反応した二価の求電子体もしくは求核体または一価の求電子体もしくは求核体で末端が「キャップ」されている。例えば、4,4’−トリメチレンピリジンおよび1,6−ジブロモヘキサン(または対応のエポキシド)を重合する場合、得られるポリマーは、いずれか一方の末端が、以下の基:
【化14】


の1つでキャップされている。任意に、キャップ基は、例えばエポキシ基を加水分解するか、またはハライドまたはエポキシドを求核体と反応させることによりさらに反応され得る。ポリグアニジンポリマーまたはコポリマーのキャップ基の例は、構造式(XXXIV):
【化15】


式中、R11は、C2〜C90アルキル、C2〜C90オキシアルキルまたは芳香族基であり、記号「*」は、キャップをポリマーまたはコポリマーに連結させる結合を示す、
により表される。
【0069】
本発明のヨネンポリマーはまた、当該技術分野で公知の手段を用い、第一級、第二級または他の多官能性アミンで架橋され得る。ヨネンポリマーは、多価求核体(すなわち、トリアミンまたはテトラアミンなどの求核性基を3個以上有する化合物)または多価求電子体(すなわち、トリハライドまたはテトラハライドなどの求電子性基(nucleophilic)を3個以上有する化合物)の存在下で重合することにより架橋され得る。
【0070】
次に、以下の非限定的実施例により、本発明をさらに具体的に記載する。
【実施例】
【0071】
ポリ(ヘキサメチレンビグアニジン−alt−4,9−ジオキサドデシルビグアニド)(XVIII)の調製。
ヘキサメチレンビスシアノグアニジン(3.99ミリモル、1.00g)および4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン(3.99ミリモル、0.848ml)を、セプタムキャップを有する40mL容バイアルに添加した後、2当量の濃HClを添加した。混合物を振盪器内で一晩、135〜145℃に加熱した。得られた透明な黄色の脆性固体を水に溶解し、3K Macrosep濾過膜を介する遠心分離により精製した。
【0072】
ポリ(4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジニウム)−alt−1,8−オクタン)(II)の調製。
4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)(39.9mL)を250mL容三角フラスコ内のDMF30mLに溶解することにより、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)−alt−1,8−ジブロモオクタンを調製した。1,8−ジブロモオクタン(27.63mL)もフラスコ内に添加した。反応物に窒素をパージし、セプタムで栓をし、磁気撹拌プレートで撹拌した。初期の溶液は透明であった。約20分間の撹拌後、反応物は発熱し、固化した。淡黄色固形ポリマーが形成され、さらに重合させるために1週間放置した。ポリマーを約300mLの脱イオン水に溶解し、水中で3回および水/MeOH70%/30%中で1回透析(分画分子量3500)した。
【0073】
ポリ(4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン−alt−ドデカン)(IX)の調製。
4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン(1.73ミリモル、0.529g)および1,12−ジブロモドデカン(1.73ミリモル、0.569g)をDMF(1mL)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0074】
ポリ(4,4’−トリメチレンジピリジニウム)−alt−ヘキサン)(XIX)の調製。
4,4’−トリメチレンジピリジン(3.46ミリモル、0.687g)を40mL容バイアルに添加した後、2.3mLのDMF/メタノール(1:1 v:v)を添加した。1,6−ジブロモヘキサン(3.46ミリモル、0.533ml)を添加し、セプタムキャップでバイアルに蓋をした。バイアルに窒素をパージし、1週間振盪器内に入れた。得られた透明な橙色粘性溶液を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0075】
ポリ(4,4’−トリメチレンジピリジニウム)−alt−ノナン)(XX)の調製。
4,4’−トリメチレンジピリジン(3.46ミリモル、0.687g)を40mL容バイアルに添加した後、2.3mLのDMF/メタノール(1:1 v:v)を添加した。1,9−ジブロモノナン(3.46ミリモル、0.705ml)を添加し、セプタムキャップでバイアルに蓋をした。バイアルに窒素をパージし、1週間振盪器内に入れた。得られた淡橙色ワックス状固体を水に溶解し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0076】
ポリ(N,N−ジメチルプロピルアンモニウム−alt−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム)(VIIIb)の調製。
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(31.9ml)を250mL容三角フラスコ内のDMF40mLに溶解した。1,6−ジブロモヘキサン(29.3ml)をフラスコ内に添加した。反応物に窒素をパージし、セプタムで栓をし、磁気撹拌プレートで撹拌した。初期の溶液は透明であった。発熱し、固化する非常に早い反応が起こった。オフホワイト固形ポリマーが形成され、さらに重合させるために1週間放置した。ポリマーを約300mLの脱イオン水に溶解し、水中で3回および水/MeOH70%/30%中で1回透析(3500MW)した。
【0077】
ポリ(ヘキサメチレンビスグアニド−alt−ノナンビグアニド)(XXI)の調製。
ヘキサメチレンビスシアノグアニジン(3.99ミリモル、1.00g)および1,9−ジアミノノナン(3.99ミリモル、0.623g)を、セプタムキャップを有する40バイアルに添加した後、2当量の濃HClを添加した。混合物を振盪器内で一晩、135〜145℃に加熱した。固体を水に溶解し、3K Macrosep濾過膜を介する遠心分離により精製した。
【0078】
ポリ(4,4’−トリメチレンジピペリジニウム)−alt−ヘキサン)(III)の調製。
4,4’−トリメチレンジピペリジン(3.466ミリモル、1.139g)を40ml容バイアルに添加した後、2mLのDMF/MeOH(1:1 v)を添加した。1,6−ジブロヘキサン(3.466ミリモル、0.533ml)を添加し、セプタムキャップでバイアルに栓をした。バイアルに窒素をパージし、1週間振盪器内に入れた。得られたパール状の光彩を放つワックス状固体を水に溶解し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0079】
ポリ(ヘキサメチレン−ビスシアノグアニジン−alt−ヒドラジン)(XIII)の調製。
ヘキサメチレン−ビスシアノグアニジン(4.00ミリモル、1.00g)およびヒドラジン(4.00ミリモル、0.274g)を、セプタムキャップを有する40ml容バイアルに添加した後、2当量の濃HClを添加した。混合物を油浴中で3時間、165℃に加熱した。得られたピンク色泡状物を2当量の濃HClで酸性化し、水に溶解し、3K Macrosep濾過膜を介する遠心分離により精製した。
【0080】
ポリ(4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン−alt−ノナン)(IX、R7がノニル)の調製。
4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン(1.73ミリモル、0.529g)および1,9−ジブロモノナン(1.73ミリモル、0.352g)をDMF(1ml)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0081】
ポリ(4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン−alt−デカン)(IX、R7がデシル)の調製。
4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン(1.73ミリモル、0.529g)および1,10−ジブロモデカン(1.73ミリモル、1.04g)をDMF(1ml)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0082】
ポリ(ヘキサメチレンビスシアノグアニジン−alt−1,3−アミノグアニジン)(XIV)の調製。
ヘキサメチレンビスシアノグアニジン(4.00ミリモル、1.00g)および1,3−アミノグアニジン(4.00ミリモル、0.502g)を、セプタムキャップを有する40ml容バイアルに添加した後、2当量の濃HClを添加した。混合物を油浴中で3時間、165℃に加熱した。得られた橙色固体を1当量の濃HClで酸性化し、水に溶解し、3K Macrosep濾過膜を介する遠心分離により精製した。
【0083】
ポリ(1,3−ビス(ジフェニルホスホニウム)プロパン−alt−ブタン)(X)の調製。
1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1.33ミリモル、0.550g)および1,4−ジブロモブタン(1.33ミリモル、0.159g)をDMF(0.769ml)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0084】
ポリ(4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン−alt−ブタン)(IX、R7がブチル)の調製。
4−(ジメチルアミノ)フェニルジフェニルホスフィン(1.73ミリモル、0.529g)および1,4−ジブロモブタン(1.73ミリモル、0.207g)をDMF(1ml)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0085】
ポリ(1,4−ビス(ジフェニルホスホニウム)ブタン−alt−ブタン)(XI)の調製。
1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(2.31ミリモル、0.986g)および1,4−ジブロモブタン(2.31ミリモル、0.276g)をDMF(1.333ml)に溶解し、1週間振盪した。得られた粘性液体を水で希釈し、3K Macrosepを介する遠心分離により精製した。
【0086】
架橋ポリマーの調製−重合後架橋
ヒドロキシル含有ポリマー(XVI)を6モル%1,6−ジイソシアネート(diisocyanato)ヘキサン含有DMFで架橋し、ゲルを得た。ゲルを70%メタノール水で洗浄し、凍結乾燥した。
【0087】
架橋ポリマーの調製−インサイチュー架橋
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(34.64ミリモル、5.795ml)、1,9−ジブロモノナン(34.64ミリモル、7.048ml)および1,3,5−トリス(ブロモメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(3.464ミリモル、1.383g)をDMF(1ml)に溶解し、1週間室温で振盪した。得られた白色ゲルを高温DMF、メタノールおよび水で洗浄し、凍結乾燥した。
【0088】
ポリ(トリメチレンジピリジニウム)−alt−2,7−ジヒドロキシオクタン)(XVI)の調製。
トリメチレンジピリジン(100g)を丸底フラスコに入れた。フラスコに1,2,7,8−ジエポキシオクタン(71.72g)を添加した。ほぼすべてのトリメチレンジピリジンが溶解するまで、反応物を室温の窒素下で20分間撹拌した。この時、酢酸(121g)を24時間の間でゆっくりと滴下した。反応物を室温でさらに4日間撹拌した。得られた物質は紺青色で非常に粘性が高かった。固体を水に溶解し、1K MWCO膜での接線流(tangential flow)により精製した。
【0089】
MICアッセイ:
最小阻害濃度(MIC)アッセイにより、試験生物の成長を阻害するのに必要な抗菌剤の最小濃度が決定される。MICアッセイは、抗菌活性を有する化合物を同定するためのスクリーニングツールとして生物の標準パネルに対して行なわれた。続いて、MICアッセイを、他の特別な抗菌パネルに対して反復した。化合物を殺菌活性について、殺菌の時間推移について、インビトロで成長させた組織培養細胞に対する毒性について、およびある場合においては、インビボでの抗菌活性について試験した。
【0090】
MICアッセイは、Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing, 1998, M100-S8巻, 第8別冊資料, NCCLS, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087に従って行った。
【0091】
簡単には、試験対象のポリマーを最終濃度が830または1000μg/mlのいずれかまで0.85%生理食塩水に溶解し、pHを7.0に調整し、溶液を0.22μmフィルターにより濾過滅菌した。カチオン含有Muller−Hintonブイヨンにおいてポリマーの2倍段階希釈液を調製し、96穴マイクロタイタープレートに分配した。
【0092】
次いで、プレートを5×10細胞/mlの標的生物とともにインキュベートし、35℃で18〜24時間インキュベートした。次いで、光学濃度(OD)を590nmで読み取り、微生物の成長をスコア化した(OD0.1を成長とみなす;OD<0.1を成長阻害とみなす)。成長を阻害する化合物の最小濃度をMIC値と定義する。
【0093】
本発明の抗菌性ポリマーでは、これらの値は<5μg/mlである(表1参照のこと)。
【0094】
MBCアッセイ
化合物の最小殺菌濃度(MBC)を、18〜24時間のインキュベーション後、細菌数を3log単位減少させる濃度と定義する。このアッセイは、代謝的に生物を阻害する化合物と、死滅させる化合物とを区別するために重要である。手順は、Antibiotics in Laboratory Medicine, V. Lorian編, Williams & Wilkins, Baltimore, 1996から採用する。
【0095】
簡単には、MICアッセイについて上述したようにしてMICアッセイを行い、読み取りを行った。MICプレートの読み取りおよびスコア化の後、2×MIC、MICおよび0.5×MICに相当する濃度のポリマーを含有するマイクロタイター試験穴の内容物から10倍段階希釈液を調製した。次いで、これらのアリコートをTyptic Soy Agerプレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。次いで、コロニーを計測し、コロニー数を3log単位減少させた最小濃度をMBC値とした。
【0096】
本発明の抗菌性ポリマーでは、これらの値は所与のポリマーのMIC値と同じであった(表1参照のこと)。
【0097】
抗菌死滅の時間推移
このアッセイの目的は、本発明の殺生物性化合物がどのくらい速く微生物を死滅させるかを測定することである。
【0098】
カチオン含有Muller Hintonブイヨン1mlを、1×10の生物とともにインキュベートした。4×MICに等しい量のポリマーを時間点0(To)において添加し、混合物を37℃でインキュベートした。選択した時間点(Toで開始)で、試料を取り出し、段階10倍希釈液を調製し、アリコートをTyptic Soy Agerプレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。次いで、コロニーを計測した。
【0099】
調べた抗菌性ポリマーでは、4×MICで10分以内に死滅が起こる。
【0100】
【表1】

【0101】
抗菌死滅の時間推移:
このアッセイの目的は、本発明の殺生物性化合物がどのくらい速く微生物を死滅させるかを測定することである。
【0102】
カチオン含有Muller Hintonブイヨン1mlを、1×10の生物とともにインキュベートした。4×MICに等しい量のポリマーを時間点0(To)において添加し、混合物を37℃でインキュベートした。選択した時間点(Toで開始)で、試料を取り出し、段階10倍希釈液を調製し、アリコートをTyptic Soy Agerプレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。次いで、コロニーを計測した。
【0103】
調べた抗菌性ポリマーでは、4×MICで10分以内に死滅が起こる。
【0104】
インビトロ毒性
高抗菌活性を有するポリマーを、組織培養細胞に対するインビトロ毒性について試験した。細胞をポリマーに18〜24時間曝露し、次いで、製造業者の指示書に従ってミトコンドリアレドックスインジケーター染料AlomarBlue(登録商標)(AccuMed International,Inc.,Chicago,IL)を用い、代謝活性について試験した。
【0105】
3つの異なる細胞株:AGS細胞(不死化胃細胞株)、CHO(成体チャイニーズハムスター卵巣)細胞、およびMDBK(Madin Darbyウシ腎臓)細胞を使用した。96穴マイクロタイタープレート内の10%ウシ胎児血清(FBS)含有RPMIまたはMEM培養培地に細胞を1〜5×10細胞/穴でプレーティングし、コンフルエントになるまで37℃で1〜2日間成長させた。試験ポリマーの段階2倍希釈液を10%FBS含有MEMにおいて調製した。コンフルエント組織培養細胞から培地を吸引して100μlのポリマー溶液と置き換え、プレートを37℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞をMEM(フェノールレッドもFBSも含有しない)で2回洗浄し、フェノールレッドもFBSも含有しないがAlomarBlue(登録商標)を含有するMEMを重層し、37℃で4時間インキュベートし、蛍光光度計において、励起530nmおよび蛍光読み取りに590nmを用いてプレートの読み取りを行った。値は未処置対照のパーセントで表し、回帰分析によりED50を測定した。
【0106】
本発明の抗菌性ポリマーでは、ED50は50〜100×MICの間であった(データ示さず)。
【0107】
インビボ毒性:
式IIのポリマーのインビボ毒性をマウスにおいてアッセイした。動物5匹の群を1日2回、5日間、10、100または500mg/体重kgの投与量で経口胃管栄養法により投与した。動物を毎日評価し、死亡を記録した。1/2の動物が死亡する投与量をLD50とみなした。LD50は>100mg/kgであった(データ示さず)。
【0108】
インビボ試験:創傷内でのS.アウレウス(aureus)の増殖
部分肥厚ブタ皮膚創傷からのS.アウレウスのクリアランスを調べる研究が行なわれた[Mertz, P.M., O.M. Alvarez, R.V. Smerbeck, およびW.H. Eaglstein. 1984. 表面創傷における局所防腐薬の評価のための新しいインビボモデル.70%アルコールのおよびポビドン−イオジン溶液の効果(A new in vivo model for the evaluation of topical antiseptics on superficial wounds. The effect of 70% alcohol and povidone-iodine solution.). Arch Dermatol. 120:58-62]。ブタモデルは、ブタ皮膚が最もヒトに類似しているため選択された。特定の病原体を有しない25〜30kgのブタの背中に部分肥厚創傷6個の群を作製した。創傷を5×10コロニー形成単位(CFU)のS.アウレウス(ATCC#6538)とともにインキュベートし、次いで、10mg/mlの式IIのポリマーを含有する溶液約100μlで処置するか、または未処置対照として放置するかのいずれかとした。連続3日間の各々において、1対の創傷を、S.アウレウスの定量的回収について2連で処置し、残りの創傷を式IIのポリマー100μlで再度処置した。回収されたS.アウレウスのコロニーを計測し、未処置対照と比較した。
【0109】
式IIのポリマーでの処置により、未処置対照と比べ、回収CFUにおいて5−logの低下がもたらされた(データ示さず)。このモデルにおいて、1−logの低下を有意みなす。
【0110】
インビボ研究:創傷治癒
ブタにおいて、部分肥厚切除創傷の治癒に対する式IIのポリマーの効果を調べる研究を、EaglsteinおよびMertzのプロトコルに従って行なった[Eaglstein, W.H.,およびP.M. Mertz. 1978.「表皮創傷治癒を評価するための新たな方法:トリアムシノロンアセトニドおよびポリエテレンフィルム吸蔵("New methods for assessing epidermal wound healing: the effects of triamcinolone acetonide and polyethelene film occulusion")」. J. Invest Dermatol. 71:382-4.]。簡単には、第0日に、ブタの背中に切除創傷を作製し、次いで、創傷を次の5日間、毎日処置した(第0日に開始)。組織病理学的に、および37℃で24時間の0.5M NaBrでの処置後に、皮膚が切除創傷生検材料中の表皮から分離する能力を測定することの両方によって上皮化を評価することにより治癒をモニターする。
【0111】
第6日までに、対照の20%と比べ、式IIのポリマーで処置した創傷の50%が上皮化した。すべての創傷が第8日までに上皮化した。これは、式IIのポリマーが創傷治癒を妨げず、治癒を促進するようであることを示す。
【0112】
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対するインビボ抗菌性ポリマー:
ヘリコバクター・ピロリ感染は、消化性潰瘍疾患および胃癌の発症に関連している。抗菌性ヨネンを、H.ピロリに対してインビボで試験した。「急性」モデルでは、試験開始の約3ヶ月前に、C57BL/6マウスに10から10コロニー形成単位のH.ピロリのマウス適合Sydney株を経口接種した。試験の日、4〜7匹の動物の群を麻酔し、外科処置を行ない、胃の幽門を結紮した。式IIの溶液20mg/mlを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)0.1ml、または対照群ではPBS単独を、経口胃管栄養法により胃の中に導入した。4時間後、動物を屠殺し、底および洞をPBS中でホモジナイズし、ホモジネートの段階希釈液をヘリコバクター選択性プレート(5%ヒツジ血液、10mg/ml バンコマイシン、0.33mg/L ポリミキシンB、20mg/L バシトラシン、1.07mg/L ナリジクス酸および5mg/ml アンホテリシンB含有Brucella寒天)でプレーティングした。プレートを、5日間、37℃にて微好気性条件下でインキュベートした。次いで、コロニーを計測し、動物を式IIのポリマーで処置し、PBSのみを受けた対照と比較した。ポリヨネンを受けた群は、対照と比べ、H.ピロリCFUにおいて67〜76%低下を示した。
【0113】
これらのインビボ所見を、ポリマーを4日の期間、50mg/kg/日の投薬量で一日2回、胃管栄養法により投与する、第2の「慢性」マウス研究に拡張した。最後のポリマー投与の24時間後、マウスを屠殺し、急性研究と同様にして胃粘膜内の生存H.ピロリの数を測定した。式IIのポリヨネンポリマーを受けた群は、対照と比べ、H.ピロリCFUにおいて39〜48%低下を示した。これは、式IIのポリマーが疾病に対していくらかの保護を付与することを示す。
【0114】
マウスにおける5日間経口毒性研究において、式IIのポリマーは、10mg/kg/日の投薬量を1日2回投与において、良好な耐容性を示した。100mg/kg/日では、中等度の毒性が明白であった。
【0115】
ハムスターにおけるClostridium difficileに対する抗菌性ポリヨネン
クロストリジウム・ディフィシレ誘導性結腸炎は、広域スペクトルの抗生物質を用いる治療の頻発する結果である。ハムスターモデルにおいて、C. difficile疾病のポリヨネン処置を評価するための予備試験を行なった。第1日に、10匹のSyrian Goldenハムスター(BioBreeders,Inc)の群に、10CFUのC. difficileのHUCの2〜4つの株(A.Onderdonk,Harvard Medical School)を経口胃管栄養法により接種した。第0日に、動物に10mg/kgのCleocin Phospate(登録商標)を与えた。第1日から第6日まで、動物に3用量/日(0.75ml/用量で生理食塩水(対照)、または式IIのポリマーを経口胃管栄養法により合計10mg/動物/日)与えた。第6日に、生存について動物をスコア化した。式IIのヨネンポリマーを受けた動物の40%が第6日まで生存したが、対照では、わずか10%が生存し、これは、式IIのポリマーがC. difficile疾病に対して一定レベルの保護効果を与えたことを示す。
【0116】
ポリヨネンポリマーは、放射線療法後のハムスターモデルでの粘膜炎(mucositis)の処置において有効である
口腔粘膜炎は、いくつかの癌に対する化学療法処置、ならびに頭部および頚部腫瘍のための放射線療法の頻発する結果である。粘膜炎の正確な原因は未知のままであるが、口腔微生物叢が、疾患の誘導と増悪の両方に関与していると考えられている。口腔粘膜炎の処置におけるポリヨネンポリマーの有効性を、Sonisら、Oral Oncology 36:373(2000)(その全教示は参照により本明細書に援用される)に開示されたハムスターモデルに従ってアッセイした。簡単には、プロジェクト開始時の体重が約90gの5〜6週齢の雄Golden Syrianハムスター(Charles River Laboratories)を使用した。粘膜炎は、急性放射線療法プロトコルを用いて誘導した。第0日に、放射線の単回線量(35〜40Gy/線量)をすべての動物に投与した。放射線を、焦点距離50cmの250キロボルト電位(15mA)源にて発生させ、0.35mm Cuフィルターシステムにより強化した。照射は、121.5cGy/分の速度で左頬嚢(pouch)粘膜を標的とした。照射の前に、ペントバルビタールナトリウム(80mg/kg)の腹腔内注射により動物を麻酔した。左頬嚢は、裏返し、固定し、鉛シールドを用いて分離した。
【0117】
すべての動物に1日3回試験材料を投与した。0.5mlの試験化合物を含む針のないツベルクリンシリンジを左頬嚢内に挿入し、薬物を嚢内に沈着させた。投薬は第0日に開始し、第19日まで継続した。
【0118】
粘膜炎の評価のため、動物を麻酔薬の吸入により麻酔し、左頬嚢を裏返した。粘膜炎を、実証された写真尺度との比較により、正常の0から重度の潰瘍化の5の範囲で、肉眼でスコア化した。記述的観点から、この尺度を以下のように定義する。
【0119】
【表2】

【0120】
標準化された技術を用い、各動物の頬嚢粘膜の写真を撮影した。実験の終了時、全てのフィルムを現像し、写真を無作為に番号付けした。少なくとも2人の別個の熟練観測者が、上述の尺度を用いて盲検的に写真の評点を行った(盲検スコア化)。1〜2のスコアを軽度の疾患提示とみなし、一方、3〜5のスコアを、頬嚢の明らかな潰瘍化が明白である中等度から重度の粘膜炎の表示とみなす。対照群の動物が潰瘍性粘膜炎を経験する(スコア>3)回数のパーセントとして表示される、動物が潰瘍性粘膜炎を経験する(スコア<3)回数の低減により、処置の有効性を測定した。ポリヨネン化合物で処置された動物は、潰瘍性粘膜炎を経験した回数のパーセントの有意な低下を経験した。例えば、1mg/mlのIIで処置された動物は、対照群と比べ、潰瘍性粘膜炎の46%低減を有した。
【0121】
当業者であれば、単なる日常的な実験手法によって、本明細書に記載された発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、あるいは確認することができるだろう。そのような均等物は、下記の請求の範囲に包含されることが意図される。
【0122】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1] 式:
【化16】


式中、R1は、置換または非置換の低級アルキレン基である;R2およびR3は、各々、独立して、水素または置換もしくは非置換の低級アルキルである;Aは、結合または置換もしくは非置換の低級アルキレン基である;各X-は、別々または一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマー。
[2] 式II、IIIまたはIV:
【化17】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[1]記載のポリマーまたはコポリマー。
[3] 式:
【化18】


式中、R1は、置換または非置換の低級アルキレン基である;R2およびR3は、各々、独立して、水素または置換もしくは非置換の低級アルキル基である;Aは、結合または置換もしくは非置換の低級アルキレン基であり、各X-は、別々にまたは一緒になって生理的に許容されうるアニオンである;
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよび生理的に許容されうる希釈剤または担体を含有してなる医薬組成物。
[4] ポリマーまたはコポリマーが、式II、IIIまたはIV:
【化19】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[3]記載の医薬組成物。
[5] 前記[1]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[6] 前記[2]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[7] 前記[3]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[8] 前記[4]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[9] 表面と前記[1]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[10] 表面と前記[2]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[11] 式VIIIaの繰り返し単位および式VIIIbの繰り返し単位:
【化20】


式中、YはPまたはNである;R3は、置換もしくは非置換のアリーレンまたは低級アルキレン基であり、R4およびR5は、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基である;ポリマーまたはコポリマー中の各X-は、別々または一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである、
により特徴づけられるポリマーまたはコポリマー。
[12] 式:
【化21】


式中、R7は、1〜約24の炭素原子を有する、置換もしくは非置換の低級アルキレン基であり、各X-は、別々にまたは一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである、
の繰り返し単位により特徴づけられる前記[11]記載のポリマーまたはコポリマー。
[13] 式XまたはXI:
【化22】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[11]記載のポリマーまたはコポリマー。
[14] 生理的に許容されうる担体または希釈剤ならびに式VIIIaの繰り返し単位および式Vbの繰り返し単位:
【化23】


式中、YはPまたはNである;R3は置換もしくは非置換のアリーレンまたは低級アルキレン基であり、R4およびR5は、独立して置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基である;ポリマーまたはコポリマー中の各X-は、別々または一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである、
により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーを含有してなる医薬組成物。
[15] 生理的に許容されうる担体または希釈剤および式IX:
【化24】


式中、R7は、1〜約24炭素原子を有する置換もしくは非置換の低級アルキレン基であり、各X-は、別々または一緒になって生理的に許容されうるアニオンである、
の繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーを含有してなる医薬組成物。
[16] ポリマーまたはコポリマーが、式XまたはXI:
【化25】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[14]記載の医薬組成物。
[17] 前記[11]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[18] 前記[12]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[19] 前記[13]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[20] 前記[14]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[21] 前記[15]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[22] 前記[16]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[23] 表面と前記[11]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[24] 表面と前記[12]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[25] 表面と前記[13]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[26] 式:
【化26】


式中、Zは、置換もしくは非置換の低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基である;xは1〜4の整数である;yは2〜5の整数である、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよびその生理的に許容されうる塩。
[27] 式XIIIまたはXIV:
【化27】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[26]記載のポリマーまたはコポリマー。
[28] 生理的に許容されうる希釈剤または担体および式:
【化28】


式中、Zは置換または非置換の低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基である;xは1〜4の整数である;yは2〜5の整数である、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよび薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有してなる医薬組成物。
[29] ポリマーまたはコポリマーが、式XIIIまたはXIV:
【化29】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[28]記載の医薬組成物。
[30] 前記[26]記載のポリマーまたはコポリマーあるいはその薬学的に許容されうる塩の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[31] 前記[27]記載のポリマーまたはコポリマーあるいはその薬学的に許容されうる塩の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[32] 前記[28]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[33] 前記[29]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[34] 表面と前記[26]記載のポリマーまたはコポリマーあるいはその薬学的に許容されうる塩の有効量とを接触させることを含む、
表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[35] 表面と前記[27]記載のポリマーまたはコポリマーあるいはその薬学的に許容されうる塩の有効量とを接触させることを含む、
表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[36] 式:
【化30】


式中、Y1およびY2は、独立して低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基であるが、Y2が2つ以上のアルコール基で置換されている;各X-は、別々または一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである;および該ポリマーまたはコポリマーは実質的にジフェノールを有さない、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマー。
[37] ポリマーがホモポリマーである、前記[36]記載のポリマー。
[38] ポリマーまたはコポリマーが、式XVIまたはXVII:
【化31】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[36]記載のポリマーまたはコポリマー。
[39] 生理的に許容されうる担体または希釈剤および式:
【化32】


式中、Y1およびY2は、各々、独立して、置換もしくは非置換の低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基である;各X-は、別々または一緒になって、生理的に許容されうるアニオンである、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマー含有してなる医薬組成物。
[40] Y1およびY2により表される少なくとも1つの低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基が置換されている、前記[39]記載の医薬組成物。
[41] ポリマーまたはコポリマーが、式XVIまたはXVII:
【化33】


の繰り返し単位により特徴づけられる前記[39]記載の医薬組成物。
[42] 前記[36]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[43] 前記[37]記載のホモポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[44] 前記[38]記載のポリマーまたはコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[45] 前記[39]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[46] 前記[40]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[47] 前記[41]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[48] 表面と前記[36]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[49] 表面と前記[37]記載のホモポリマーの有効量とを接触させることを含む表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[50] 表面と前記[38]記載のポリマーまたはコポリマーの有効量とを接触させることを含む表面での微生物の増殖を阻害する方法。
[51] 式:
【化34】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよびその生理的に許容されうる塩。
[52] ポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩、および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有し、ここでポリマーおよびコポリマーが式:
【化35】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる医薬組成物。
[53] 式:
【化36】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよびその生理的に許容されうる塩。
[54] ポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩、および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有し、ポリマーおよびコポリマーは式:
【化37】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる医薬組成物。
[55] 前記[52]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[56] 表面とポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩の有効量とを接触させることを含み、ポリマーまたはコポリマーは式:
【化38】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[57] 前記[54]記載の治療有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[58] 表面とポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩の治療有効量とを接触させることを含み、ポリマーまたはコポリマーは式:
【化39】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[59] 式:
【化40】


式中、各X-は、別々にまたは一緒になって、薬学的に許容されうるアニオンである、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーならびに薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有してなる医薬組成物。
[60] 前記[59]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物の胃腸管における微生物感染の治療方法。
[61] 式:
【化41】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーならびに該ポリマーおよびコポリマーの生理的に許容されうる塩。
[62] ポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有し、ポリマーまたはコポリマーは式:
【化42】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる医薬組成物。
[63] 前記[62]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[64] 表面とポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩の治療有効量とを接触させることを含み、ポリマーまたはコポリマーは式:
【化43】


を有する繰り返し単位により特徴づけられる表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[65] 式:
【化44】


を有する繰り返し単位、ここで各X-は、別々または一緒になって、薬学的に許容されうるアニオンである、により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよび生理的に許容されうる担体または希釈剤を含有してなる医薬組成物。
[66] 前記[65]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物の口腔粘膜または胃腸管の微生物感染の治療方法。
[67] 式:
【化45】


を有する繰り返し単位、各X-は、別々または一緒になって生理的に許容されうるアニオンである、により特徴づけられるコポリマー。
[68] 式:
【化46】


式中、各X-は、別々または一緒になって生理的に許容されうるアニオンである、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーおよび薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有してなる医薬組成物。
[69] 前記[67]記載のコポリマーの治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[70] 前記[68]記載の医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における微生物感染の治療方法。
[71] 表面と前記[67]記載のコポリマーの有効量とを接触させることを含む、表面上の微生物の増殖を阻害する方法。
[72] α、ω-ジアミノアルカン、式:
【化47】


式中、kは1〜10の整数である、
により表されるジエポキシドおよび酸を反応させる工程を含むヨネンポリマーを調製する方法。
[73] 式:
【化48】


式中、kは1〜10の整数であり、R2およびR3は各々独立して、水素または置換もしくは非置換の低級アルキル基である、
により表されるα,ω-アルキレンジピペリジン、式:
【化49】


式中、kは1〜10の整数である、
により表されるジエポキシド、および酸を反応させることを含むヨネンポリマーを調製する方法。
[74] 式:
【化50】


式中、kは1〜10の整数である、
により表されるα,ω-アルキレンジピリジン、式:
【化51】


式中、kは1〜10の整数である、
により表されるジエポキシド、および酸を反応させることを含むヨネンポリマーの調製方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】


式中、Zは、置換もしくは非置換の低級アルキレンまたは低級アルキレングリコール基である;xは1〜4の整数である;およびyは2〜5の整数である、
を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーあるいはその生理的に許容されうる塩。
【請求項2】
式XIIIまたはXIV:
【化2】


の繰り返し単位により特徴づけられる請求項1記載のポリマーまたはコポリマー。
【請求項3】
生理的に許容されうる希釈剤または担体、および請求項1または2記載のポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩を含有してなる医薬組成物。
【請求項4】
哺乳動物における微生物感染の治療のための、請求項1または2記載のポリマーまたはコポリマー。
【請求項5】
表面とポリマーまたはコポリマーあるいはその薬学的に許容されうる塩の有効量とを接触させることを含む、表面上の微生物の増殖を阻害するための請求項1または2記載のポリマーまたはコポリマー。
【請求項6】
式:
【化3】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーあるいはその生理的に許容されうる塩。
【請求項7】
請求項6記載のポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩、および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項8】
式:
【化4】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーあるいはその生理的に許容されうる塩。
【請求項9】
請求項8記載のポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩、および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項10】
式:
【化5】


を有する繰り返し単位により特徴づけられるポリマーまたはコポリマーあるいは該ポリマーおよびコポリマーの生理的に許容されうる塩。
【請求項11】
請求項10記載のポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩、および薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物における微生物感染の治療のための、請求項6、8または10記載のポリマーまたはコポリマー。
【請求項13】
表面とポリマー、コポリマーまたはその生理的に許容されうる塩の有効量とを接触させることを含む、表面上の微生物の増殖を阻害するための請求項6、8または10記載のポリマーまたはコポリマー。

【公開番号】特開2007−162024(P2007−162024A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333694(P2006−333694)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【分割の表示】特願2002−578978(P2002−578978)の分割
【原出願日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【出願人】(591042816)ジェンザイム コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】