折り返し部を有する吸収体製品
【課題】肌に当接する部分の全面が尿の吸収に寄与することによって材料の無駄がなく、かつ折り返してもコンパクトな尿パッド、尿失禁製品及びおむつを提供する。
【解決手段】液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は、吸収性高分子を含有し、長手方向及び幅方向に沿って、吸収体本体の坪量が低くかつ密度が低い部分、吸収性高分子の配合量が少ない部分、スリット線部分及び切取線部分から選ばれる1種又は2種以上からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、吸収体製品は、該屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【解決手段】液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は、吸収性高分子を含有し、長手方向及び幅方向に沿って、吸収体本体の坪量が低くかつ密度が低い部分、吸収性高分子の配合量が少ない部分、スリット線部分及び切取線部分から選ばれる1種又は2種以上からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、吸収体製品は、該屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体製品に関するものであり、さらに詳しくは、尿パッド、尿失禁製品、おむつを提供しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿の横漏れを防止する手段として立体的にギャザーを配置する方法と、実用新案登録3055545号公報、特開平4-051952号公報などのように吸収体を折り返して防漏壁を形成する方法が知られている。
【0003】
これらの吸収体製品では吸収体本体を折り返して防漏壁を作るために高い吸収面積が確保できる。しかしながら、吸収体本体の折り返し部分は嵩高になり、コンパクトにすることができなかった。さらに、従来の均一密度の吸収体本体を折り返した場合、折り返し線は吸収体本体が潰れるために密度が高くなり、吸液、膨張によって、折り目を体液が通過しにくくなるという問題があった。
【特許文献1】実用新案登録3055545号公報
【特許文献2】特開平4-051952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、肌に当接する部分の全面が尿の吸収に寄与することによって材料の無駄がなく、かつ折り返してもコンパクトな尿パッド、尿失禁製品及びおむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基本的には、吸収体製品が、吸収体本体に形成されている屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造を有すること特徴とする吸収体製品に関する発明であり、以下の発明から選択される発明である。
【0006】
(1)液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は吸収性高分子を含有し、長手方向又は長手方向と幅方向に沿って、坪量が低い部分、吸水性高分子の配合量が少ない部分又は吸収体本体が配置されていない部分からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、該吸収体本体の長手方向の屈曲構造部分の一つを第1折り返し線として、吸収体製品全体の両側縁部が内側に折り返されて第1折り返し部が形成され、該第1折り返し部内における前記第1折り返し線と平行な吸収体本体の屈曲構造部分を第2折り返し線として前記吸収体製品の第1折り返し部が外側に折り返されて第2折り返し部が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【0007】
(2)前記吸収体本体の第1折り返し部は、前記第1折り返し線と平行な折り返し線となる複数の屈曲構造部分を有しており、該吸収体本体の複数の屈曲構造部分に沿って吸収体製品全体が外側あるいは内側にさらに折り返されて複数の折り返し部が該第1折り返し部において形成されていることを特徴とする(1)項記載の吸収体製品。
【0008】
(3)前記吸収体製品は、前記吸収体本体の幅方向に沿って形成されている前記肉薄化部分からなる屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の端縁部を内側に折り返して折り返し部を形成し、該折り返し部の両側縁部を接合して袋状構造が形成されていることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の吸収体製品。
【0009】
(4)前記端縁部を内側に折り返して形成されている折り返し部が、該折り返し部内に配列されている吸収体本体の屈曲構造部分に沿ってさらに外側に折り返され、該折り返し部の対向する液不透過性の裏面シート同士が接合されていることを特徴とする(3)項記載の吸収体製品。
【0010】
(5)前記吸収体製品の長手方向一端側の液透過性表面シート上に、液不透過性シートが、該液透過性表面シートの両側縁部分及び該一端縁部分を覆って接合されていることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0011】
(6)前記吸収体製品の両側縁部の長手方向中央部において、長手方向第1折り返し部内の対向する表面シート同士が接合されていることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0012】
(7)前記吸収体製品の長手方向の少なくとも一端部側の両側縁において、長手方向第1折り返し部の内側の対向する表面シート同士が接合されていることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0013】
(8)前記吸収体本体に、吸収性本体が身体に沿って湾曲しやすいように切り込みが形成されていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0014】
(9)前記吸収体製品の長手方向に沿った両側縁部に伸縮弾性体が配置されていることを特徴とする(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0015】
(10)前記吸収体製品の両側縁部における吸収体本体上の液透過性表面シート上に液不透過性シートを配置したことを特徴とする(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0016】
(11)前記吸収体本体が、少なくとも50重量%以上の吸水性高分子を含有する、吸水性高分子とセルロースパルプの混合体からなり、前記屈曲構造部分は該部分の坪量を他の部分より低くすることによって形成されていることを特徴とする(1)項〜(10)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0017】
(12)前記吸収体本体は、不織布基材にミクロフィブリルセルロースと吸水性高分子をラインコートしたシート状吸収体を有しており、その屈曲構造部分は前記シート状吸収体における不織布基材だけの部分であることを特徴とする(1)項〜(11)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0018】
(13)前記吸収体本体が、分離可能に取り付けられている水解性シートからなることを特徴とする(1)項〜(12)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0019】
(14)前記(1)項〜(13)項に記載された吸収体製品のうち、同一構造の吸収体製品2個を表面シート同士を対向させて両側縁同士及び一端縁同士を接合して形成されている袋状構造を有することを特徴とする吸収体製品。
【0020】
(作用)
本発明の吸収体製品は、吸収体本体を折り返すことによって防漏壁を形成するものである。折り返し線を有する吸収体本体は屈曲構造であり、折り返しによっても嵩高にならず、かつ防漏壁に吸収性があるために体液吸収に有効な面積が大きく、結果としてコンパクトな吸収体製品を構成している。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸収体本体の折り返し線が屈曲構造であるため、折り返し易く、嵩高にならず、結果としてコンパクトにすることができる。さらに、折り返しの角部の密度が高くなり過ぎず、吸液、膨張によって、折目を体液が通過しにくくなるという問題が内吸収体製品を得ることができる。
【0022】
(作用)
本発明の吸収体製品は、吸収体本体を折り返すことによって防漏壁を形成するものである。折り返し線を有する吸収体本体は屈曲構造であり、折り返しによっても嵩にならず、かつ防漏壁に吸収性があるために体液九州に有効な面積が多き無、結果としてコンパクトな吸収体製品を構成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の吸収体製品における吸収体本体は、木材パルプや非木材パルプを綿状にしたフラッフパルプを主材としたものに吸水性高分子(SAP)を併用したものでよく、その他に吸収紙単独、又は熱融着繊維等の混合物や積層物が用いられ。また、吸水性高分子の飛び出し防止のために全体をティシュで包み込んだ積層構造としてもよい。また、より薄く、コンパクトにするためには、吸水性高分子50重量%以上を含有した構成からなるものを用いることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の吸収体製品に好適な吸収体本体は、不織布基材と吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースとからなるシート状複合体から構成されているものであってもよい。そのようなシート状の複合体の具体例としては、吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースをプロピレングリコールやメタノールと水の溶液に分散した塗工液を、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、その他の熱可塑性樹脂やレーヨン、コットンなど一般に不織布に用いられる材料を原料とした不織布に塗工した吸水性高分子を主成分とするシート状吸収体などが挙げられる。
【0025】
ミクロフィブリルセルロースとは、木材パルプを高シェア下で開繊して得られる平均繊維長0.1mm以下の極微細繊維である。前記シート状吸収体は、吸水性高分子を不織布にコーティングして得られるので、任意の幅のラインコートが可能である。本発明の吸収体本体には、前記シート状吸収体を複数枚重ねて用いてもよい。また、塗エパターンは全面コートとラインコートの組合わせ、ラインコートのみなど選択することができる。
【0026】
また、前記吸収体本体に水解性素材を用いてもよい。水解性にする場合の前記吸収体製品の構成例としては、例えば、表面シートとしてレーヨン、パルプ、CMC−Caなどを用いた水解紙シートを用い、吸収コアとしてフラッフパルプ、カーリーファイバーと生分解性吸水性高分子や少量であれば生分解性がない吸水性高分子などを用いたもの、水解紙上に吸水性高分子をコーティングしたものなどを用い、バックシートとして、ティシュにPVAをラミネートした難透水性シートなどを用いたものを挙げることができる。
【0027】
本発明の吸収体本体は、容易に折り返すことが可能な屈曲構造部分を有している。容易に折り返すことが可能であれば、均一な折り返し加工をすることができる。また、折り返して生ずる厚み変化が吸収体の厚み(D)の整数倍からあまり外れない。すなわち、n重に折り重ねた厚みが、n×Dからあまり外れない結果として折り返しても厚ぼったくならないようにすることができる。
【0028】
容易に折り返すことを可能にする屈曲構造部分とは、吸収体本体の折り返し予定線部分が、その他の部分と比較して坪量差、吸水性高分子含有量のある部分として形成されている線状部分である。例えば、該屈曲構造部分の坪量が他の部分より低ければ容易に屈曲して折り返すことが可能であるし、吸水性高分子含有量が他の部分より低いか、又は含まれない場合も同じ効果が得られる。また、厚さが均一の場合は、屈曲構造部分の密度が他の部分より低ければ容易に折り返すことができる。
屈曲構造をより積極的に形成するために、吸収体本体にスリットを入れたり、部分的に切断してもよい。
【0029】
また、吸収体本体が吸水性高分子を不織布基材にラインコートしたものの場合は、ラインコートされた部分は剛性が高く、ラインコートされていない部分は柔軟であるために屈曲しやすい。その上、ラインコート部分の厚みが非ラインコート部より厚いために非ラインコート部を折り返しても折り重ねた厚さに微小な変化しか与えずに済ますことが可能となる。
これら屈曲構造は折り返し線として機能させるために、実質的に線状に配置して形成される。
【0030】
また、吸収体本体に屈曲構造部分を複数配置しても、必ずしもそれらを全て折り返し線として利用する必要はない。屈曲構造部分は吸収体本体に任意の本数を任意の位置に配置することができる。本発明のように、吸収体本体を屈曲構造にすることによって、吸収体製品を折りやすくかつ折り目を保ちやすくすることが可能となる。
【0031】
本発明の吸収体製品は、吸収体本体の折り返し線で吸収体製品が少なくとも一度内側に折り返される。さらにその第1の折り返し線より外側の第2の折り返し線で内側か外側に折り返し、必要であればさらに複数の折り返し線で内側か外側に折り返しすることができ、折り返し線を増やすことによって任意の数の折り返しを形成することができる。
【0032】
前記吸収体製品の折り返しは、長手方向に沿って(長手方向に沿った折り返し線で)折り返してもよいし、幅方向に沿って折り返してもよい。また、長手方向に沿って折ってから幅方向に沿って折ってもよく、その逆に幅方向に沿って折り返した後、長手方向に沿って折り返してもよい。
【0033】
本発明の吸収体製品の構造は、本発明の主旨に沿って任意に選択することが可能であるが、好ましい構造として具体例を挙げるならば、吸収体製品が吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返されて長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2の折り返し線部分で外側に折り返され、長手方向第2の折り返し部を形成し、吸収体製品の長手方向一端縁が吸収体製品の長手方向と直交する幅方向第1折り返し線部分で内側に折り返され、対向する前記長手方向第2折り返し部の外縁同志が接合されることによって袋状構造に形成されているものである。前記幅方向第1折り返し線は、幅方向の屈曲構造部分で形成し、この部分に沿って折り返すことが好ましいが、屈曲構造部分以外で折り返して形成してもよい。
【0034】
また、吸収体製品が吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返されて長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2折り返し線部分で外側に折り返され、長手方向第2折り返し部を形成し、さらに吸収体製品上の一方の端縁部領域に液不透過性シートを配置し、該液不透過性シートを吸収体製品の両側縁及び端縁で接合してもよい。この場合も一端が袋状構造になった吸収体製品を得ることができる。
【0035】
さらに例を挙げるならば、吸収体製品を、吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返して長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2折り返し線部分で外側に折り返して長手方向第2折り返し部を形成した2個の吸収体製品A、Bを表面シートの面同士を対向させた状態で互いの両側縁及び一方の端縁同士を接合した袋状構造をもった吸収体製品とすることもできる。この際、AとBの長さは同じでもよく、一方が他方よりも短くてもよい。
【0036】
前記のように、屈曲構造部分で折り返すことによって、複数回折り重ねた場合でも折り返し部の厚み変化を小さくすることができる。一方、従来の均一密度の吸収体本体を折り返した場合、折り目が嵩高になってしまい、複数回折り重ねると吸収体製品をコンパクトにし難くなる。さらに従来の吸収体本体では折り返し線部分は吸収体本体が潰れるために密度が高くなり、吸液、膨張によって折り目を体液が通過し難くなる。本発明は前記従来の吸収体本体における問題点を改良するものである。
【0037】
前記のように、吸収体本体が木材パルプや非木材パルプを綿状にしたフラッフパルプを主材としたものに吸水性高分子を併用したものの場合、屈曲構造の折り返し線を得るには、坪量を下げること、又は屈曲構造部分への吸水性高分子の配合比を下げるか、配合しない等の方法をとればよい。
【0038】
吸収体本体が不織布基材と吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースとからなるシート状複合体から構成される場合、屈曲構造の折り返し線を得るには、不織布基材上に吸水性高分子とミクロフィブリルをラインコートし、非塗工部分を折り返し線とすればよい。また、塗工量の高い部分と低い部分を形成するようにラインコートして、低塗工量部分を折り返し線としてもよい。
【0039】
液透過性の表面シートには、一般的に衛生材料に用いられる素材を採用することができる。例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維などからなる不織布、穴あき不織布、メッシュシートなどのシートを選択することができる。
【0040】
本発明の吸収体本体の裏面に配置する液不透過性の裏面シートは、液不透過性のシート単独でも複数の不織布とともに積層して用いてもよい。液不透過性の裏面シートとしては、液体不透過性のポリエチレンシート、好ましくは微孔を設けたポリエチレンシート、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸したシートのような透湿性のある液体不透過性シートを用いて透湿性を付与すると蒸れが少なく快適である。
【0041】
前記液不透過性の裏面シートの外側に手触り感を好適にし、フィルム独特の擦れ音をださないように、不織布を貼り付けてもよい。その不織布はポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布を用いることができる。
【0042】
本発明の吸収体本体の裏面に使用する液不透過性の裏面シートの外側に廃棄の際に吸収体製品を丸めて留めることができるように係留手段を具備させてもよい。係留手段としては例えば、粘着テープ、メカニカルファスニングテープ、紐、バンドなどが挙げられる。
【0043】
本発明の吸収体製品は、その長手方向第1折り返し部の内側で対向している表面シート同士が部分的に接合されていてもよい。長手方向第1折り返し部が部分的に接合されることによって吸収体本体を着用者により密着させたり、保形性を良好にすることが可能となる。例えば、女性用の尿パットを設計する場合には吸収製品の長手方向中央部で長手方向第1折り返し部内側表面シートを接合すると、着用者の体に合った吸収体製品を得ることができる。男性用吸収体製品も前記のように得ることができるが、例えばパンツ型おむつの補助として併用する尿パットの場合は前身頃での吸収を主目的とした吸収体製品が適する。その場合、吸収体製品の長手方向の一方の端縁において長手方向第1折り返し部の表面シートが接合されると、その部分を股下に位置するように吸収体製品を配置したときに着用感、フィット性、吸収前後の保形性が良好となり好ましい。接合の方法は、不織布を接合するために常用される方法でよいが、例えばホットメルトによる接着やヒートシール、超音波による融着が挙げられる。
【0044】
本発明の吸収体本体には、切り込みを入れることによって身体に沿って湾曲しやすく設計することができる。切り込みの方向は、吸収体製品の流れ方向に交差してもよいし、流れ方向に沿ってもよいし、両方向に入れてもよい。また、前記切り込みは吸収体本体の任意の位置に、任意の本数入れることができる。
【0045】
本発明の吸収体製品における伸縮弾性体としては、天然ゴム、合成ゴムなどからなる糸ゴム、平ゴム、弾性ネット状シートを用いることができる。伸縮弾性体は着用者の体線に沿うように吸収体製品を湾曲させたり、吸収体本体が折り返されてできる防漏壁の起立を補う役目をする。
【0046】
本発明の吸収体製品は、その表面シートの両側縁に液不透過性シートを配置してもよい。本発明の吸収体製品は最終折り返し部が着用者に触れ易い構造になるので、その部分の表面シートが着用者に直接触れると、排尿後の着用感が悪くなるので、液不透過性シートを用いるのが好ましい。また、同時に吸収体製品端縁からのしみ出しを防止する役割もする。素材としては前記の吸収体本体裏面に用いる液不透過性の裏面シートと同様のものを用いることができるが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維を原料として、一般にSMSと呼ばれるスパンボンド法/メルトブロ一法/スパンボンド法でサンドイッチにした不織布や、SMMSなどが好適である。
【0047】
本発明の吸収体製品とは、赤ちゃん用おむつ、赤ちゃん用及び大人用尿パッド、大人用失禁用品などを意味する。
【実施例】
【0048】
以下、尿パッドを例にして、図面を参照して本発明の吸収体製品を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
図1は、本発明の尿パッドの外観斜視図、図2は、図1に示した尿パッドの展開平面図、図3は、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図、図4は、図1に示した尿パッドを畳んだ状態を上面から見た正面図、図5は、図4に示した尿パッドをW−W’線に沿って切断した状態の横断面図をそれぞれ示している。
【0050】
本発明の尿パッド1は、図3に示すように、液透過性の表面シート3と、液不透過性の裏面シート6と、これら両シートの間に配置された吸収体本体2とから基本的に構成されており、また、表面シート3の両側縁部には液不透過性シート4が取付けられており、さらに、吸収体本体2の両側縁から延出した裏面シート6部分と液不透過性シート4の間には、長手方向に沿って伸縮弾性体5が配置されている。
【0051】
本実施例では、吸収体本体2は、不織布からなる基材15面にミクロフィブリルセルロースとSAPを含む塗工液を塗工してSAP塗工部14を形成したシート状吸収体13により形成されている。この場合、シート状吸収体13のSAP塗工部14はライン塗工により形成されており、SAP塗工部14には、シート状吸収体13を折り返す際の長手方向屈曲構造部分7となる非塗工部7が長手方向に4本形成されている。
【0052】
また、本実施例では、尿パッド1は、図1に示すように、長手方向第1折り返し線9に沿って尿パッドの側縁部を内側に折り返して長手方向第1折り返し部11を形成し、次いで第1折り返し部11上の長手方向第2折り返し線10に沿って外側へ折り返して長手方向第2折り返し部12を形成し、さらに、一方の端部領域において折り返し部11、12の表面シート同士及び裏面シート同士が接合されている。
この場合、図2に示すように、SAP塗工部に形成された4本の長手方向屈曲構造部分7のうち、内側の2本を長手方向第1折り返し線9とし、外側の2本を長手方向第2折り返し線10として折り返されており、これらの線に沿って折り返された状態の断面は図5に示すとおりである。
【0053】
図6は、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図の、図3とは異なる例を示している。
図6において、シート状吸収体13の下層(裏面シート側)にパルプとSAPを混合したパルプマット層16が配置されており、特に速い吸収速度が要求される場合に適した構造になっている。
【0054】
図7は、図1に示す尿パッド1の長手方向折り返し部11、12を両端部領域17、17で接合した例を示す外観斜視図である。このように、長手方向折り返し部11、12を両端部領域17、17で接合することによって、前身頃側及び後身頃側からの尿漏れを防止することができる。
【0055】
図8は、本発明の尿パッドの別の形態を示す外観斜視図、図9は、図8に示した尿パッドの展開平面図、図10は図9に示した尿パッドをX−X’線に沿って切断した状態の横断面図をそれぞれ示している。
【0056】
尿パッド1は、図10に示すように、その基本構成は先に述べた場合と同様であるが、吸収体本体2がシート状吸収体13を2層積層して形成されている。このように、複数のシート状吸収体を積層して吸収体本体を形成することにより尿パッドの吸収量を向上させることができる。
【0057】
また、尿パッド1は、図8に示すように、長手方向第1折り返し線(図示せず)及び長手方向第2折り返し線10に沿って尿パッドの側縁部を折り返し、長手方向第1折り返し部(図示せず)及び長手方向第2折り返し部12を形成し、さらに、一方の端縁部を幅方向第1折り返し線18に沿って内側に折り返して幅方向第1折り返し部19を形成し、その両側縁部を長手方向第2折り返し部12の側縁部と接合することにより、袋状構造部20が形成されている。
【0058】
この場合、図9に示すように、尿パッド1は、SAP塗工部に形成された4本の長手方向屈曲構造部分7のうち、内側の2本を長手方向第1折り返し線9とし、外側の2本を長手方向第2折り返し線10として長手方向に折り返され、さらに、幅方向屈曲構造部7’を幅方向第1折り返し線18として幅方向に折り返され、長手方向折り返し部12及び幅方向折り返し部19の相対する両側縁部21、21が接合される。
本実施例では、幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として尿パッド1の端縁部を折り返しているが、幅方向第1折り返し線は必ずしも屈曲構造にする必要はない。しかしながら、折り返し易くするために屈曲構造にしたり、切り込みを入れることは好ましい。
【0059】
図11は、本発明の尿パッドの他の形態を示す外観斜視図であり、図12は、図11に示した尿パッドをT−T’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0060】
本実施例において、尿パッド1は、図8に示す尿パッドの幅方向第1折り返し部19の端縁部をさらに外側に折り返した構成になっている。すなわち、図11に示すように、尿パッド1は、長手方向第1折り返し線(図示せず)及び長手方向第2折り返し線10に沿って尿パッドの側縁部を折り返し、長手方向第1折り返し部(図示せず)及び長手方向第2折り返し部12を形成し、次いで、一方の端縁部を幅方向第1折り返し線18に沿って内側に折り返して幅方向第1折り返し部19を形成し、さらに幅方向第1折り返し部19の端縁部を幅方向第2折り返し線22に沿って外側に折り返して幅方向第2折り返し部23を形成し、折り返し部の両側縁部を接合することにより袋状構造部20が形成されている。
この場合、図12に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1及び第2折り返し線18、22として幅方向に折り返されて幅方向第1及び第2折り返し部19、23が形成され、折り返し部の相対する表面シート3同士及び裏面シート6同士が接合されている。
【0061】
本実施例の尿パッドは、実際の使用に当たっては、袋状構造部20が股下部に位置するようにして使用する。このような構成の尿パッドは、表面シート3が着用者の肌に触れる面になるので、着用中のべたつき感を軽減することが可能となる。なお、本実施例では、長手方向第2折り返し部12に伸縮弾性体を配置していないが、伸縮弾性体を配置したものであってもよい。
【0062】
図13は、本発明の尿パッドのさらに別の形態を示す外観斜視図であり、図14は、図13に示した尿パッドをS−S’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0063】
本実施例において、尿パッド1は、図14に示すように、吸収体本体2と裏面シート6のみを図11及び図12の場合と同様に折り返した後、その上面を覆って表面シート3が配置されている。このような構成の尿パッドは、図13に示すように、袋状構造部20の開口面が表面シート3で覆われているため、一度に多量の尿が排泄された場合、袋状構造部20内に尿が保持され、漏れを防止することができる。
【0064】
図15は、図13に示した尿パッドの端縁部をさらに幅方向に2度折り返した形状になっている状態を示す外観斜視図であり、図16は、図15に示す尿パッドを長手方向のR−R’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。幅方向の折り返しを内外交互に合計4回行うことによって袋状構造部20を2箇所形成し、尿だまりとして機能させることができる。
【0065】
図17は、本発明の尿パッドのさらに他の形態を示す外観斜視図であり、図18は、図17に示した尿パッドを展開した状態において長手方向に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0066】
本実施例において、尿パッド1は、図17に示すように、一方の端縁部が幅方向第1折り返し線に沿って内側に折り返され、両側縁部21が接合されて袋状構造部20が形成されている。
この場合、図18に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2を構成するシート状吸収体13に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として折り返される。
【0067】
図19は、本発明の尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた例を示す外観斜視図であり、図20は、図19に示す使いすておむつをU−U’線に沿って切断した状態の尿パッドの折り返し部分を示す横断面図である。
【0068】
本実施例において、図19に示すように、尿パッド1は、その長手方向両端部領域17、17が幅方向第1折り返し線18で内側に折り返されて幅方向第1折り返し部19が形成され、さらに幅方向第1折り返し部19の幅方向第1折り返し線18の近傍が接合領域24で接合された状態で、おむつ本体25の長手方向中央領域に配置され、おむつ本体25と接合されている。
この場合、図20に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として端部領域17が折り返されて幅方向第1折り返し部19が形成され、さらに幅方向第1折り返し線18の近傍の接合領域24で表面シート3が接合されており、おむつ本体25に接合されている。
【0069】
図21は、本発明の尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の、図19とは異なる例を示す外観斜視図であり、図22は、図21に示す使いすておむつをT−T’線に沿って切断した状態の尿パッドの折り返し部分を示す横断面図である。
【0070】
本実施例において、図21に示すように、尿パッド1は、股下領域において幅方向に襞部26が形成されており、おむつ本体25の長手方向中央領域に形成された一対の立体ギャザー27の間に配置され、おむつ本体25と接合されている。
この場合、図22に示すように、尿パッド1の襞部26は、吸収体本体2としてシート状吸収体13を用い、基材15上に形成された多数の幅方向屈曲構造部分7’の1つを幅方向第1折り返し線18として折り返し、次いで、折り返し部分の幅方向屈曲構造部分7’の1つを幅方向第2折り返し線22として折り返すことにより形成されている。
【0071】
図23、24、25及び26は、本発明の吸収体本体の折り返しの形態を示す模式図である。図23は一度折り返した例であり、図24は第2折り返し線で側縁部をさらに内側に折り返した例であり、図25は図24と同じ2度折り返しているが、第2折り返し線で側縁部を外側に折り返している。さらに図26は6回内外交互に側縁部を折り返した例である。このように屈曲構造部分を折り返し線として吸収体本体を複数回折り返して吸収製品の吸収部分を構成することができる。
【0072】
図27、28、29及び30は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これら模式図でパルプとSAPの混合マットで形成された吸収体本体を説明することができる。すなわち吸収体の坪量が低い部分を屈曲構造部分7とし、坪量が高い部分を非屈曲構造8とすることができる。図のように屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0073】
図31、32、33及び34は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これらの模式図で、パルプとSAPの混合マットやSAP含有量が50%以上の混合マットで形成された吸収体本体を説明することができる。これらはSAP濃度で屈曲構造部分と非屈曲構造部分を形成すればよい。すなわち、SAPが存在しないか又は濃度が低い部分を屈曲構造部分7とし、SAP濃度が高い部分を非屈曲構造8とすることができる。図のように屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0074】
図35、36及び37は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これら模式図でSAPを塗工したシート状吸収体で形成された吸収体本体を説明することができる。これらについても前記の図31〜34で示した例と同様に、SAP濃度で屈曲構造部分と非屈曲構造部分を形成すればよい。すなわち、SAPを塗工していない部分を屈曲構造部分7とし、SAPを塗工した部分を非屈曲構造8とすることができる。また、SAPの塗工量の少ない、多いで屈曲構造と非屈曲構造を形成することができる。前記の例と同様に、屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0075】
図38〜図50は、吸収体本体の折り返しの形態を示すものである。図38は、前記図27と同様の吸収体本体であり、図27の屈曲構造部分7が破線で示した第1折り返し線9となる。このものの外縁部が折り返されたものを図39に示す。図40は、図27の屈曲構造部分7の一対を第1折り返し線9としたものであり、その外縁部を内側に折り返した例が図41で示すものであり、さらにその第1折り返し部11の屈曲構造部分7を第2折り返し線10として外側に折り返して第2折り返し部12を形成した例が図42に示されている。
【0076】
図43は、図34と同様の吸収体本体であり、屈曲構造部分7が破線で示した複数の折り返し線9となり、外縁部が交互に内・外の順に折り返されたものを図44に示す。
【0077】
図45は、図35と同様のものであり、屈曲構造部分7が破線で示した第1折り返し線9となり、外縁部が内側に折り返されたものを図46に示す。
【0078】
図47は、図36と同様のものであり、SAP塗工面が下向きの状態になっている。SAPが塗工されていなし、屈曲構造部分7の一対を第1折り返し線9として内側に折り返し、さらにその第1折り返し部11の屈曲構造部分7を第2折り返し線10として外側に折り返して第2折り返し部12を形成した例を図48に示す。
【0079】
図49は、図37と同様のものであり、SAP塗工面が下向きの状態になっている。屈曲構造部分7が破線で示した複数の折り返し線9となり、外縁部が交互に内外の順に折り返された例を図50に示す。
【0080】
図51、52、53は、本発明の吸収体本体の別の形態を説明するものであり、身体に沿って吸収体本体2を湾曲させるための切り込み部28を吸収体本体2に設けた例である。吸収体本体の側縁部分に外向きにハの字に切り込み部を設けた例を図51に示す。吸収体本体の側縁部分に直行して切り込み部を設けた例を図52に示す。図51と図52の例では着用者の前身頃から後身頃にかけてのカーブに湾曲することが可能である。図53は吸収体本体の長手方向に沿って切り込み部が設けられている。これによって吸収体本体が着用者の胴周り方向に湾曲することが可能である。前記の切り込み部は併用してもよく、それによって胴周り方向と股下周り方向に同時に湾曲させる効果がある。これらの切り込み部は、吸収体本体を厚さ方向に貫通していてもよいし、前記のごとく吸収体本体が複数のシート状吸収体が積層されて形成されている場合は上層のシート状吸収体に切り込み部を設ければ十分である。
【0081】
本発明によると、吸収体本体の折り返し線が屈曲構造であるために、折り返し易く、嵩高にならず、結果としてコンパクトな吸収体製品にすることができる。さらに、折り返しの角部の密度が高くなり過ぎず、吸液、膨張によって、折り目を体液が通過しにくくなるという問題がない吸収体製品を得ることが可能となる。
【0082】
本発明によると、容易に屈曲構造部を得ることが可能となる。
【0083】
本発明の吸収体製品によると、さらに防漏壁が増えるので、大きな吸収面積を持つコンパクトな吸収体製品が可能となる。
【0084】
本発明によると、袋状構造をもつ吸収体製品ができるので、尿を吸収体本体が完全に吸収するまで、袋状構造部分に一時貯留することが可能となる。
【0085】
本発明によると、吸収体製品に袋状構造部をより確実に形成することが可能となる。
【0086】
本発明によると、袋状構造部を形成するために、吸収体本体を容易に折り返すことが可能となる。
【0087】
本発明によると、袋状構造をもつ吸収体製品ができるので、尿を吸収体本体が完全に吸収するまで、袋状構造部分に一時貯留することが可能となる。
【0088】
本発明によると、袋状構造部分の内部全体が尿を吸収することができるので、さらに急速な尿の吸収が期待できる。
【0089】
本発明によると、吸収体本体を着用者により密着させたり、保形性を良好にすることが可能となる。
【0090】
本発明によると、吸収体本体を湾曲させ易くなり、着用者により密着させることが可能となる。
【0091】
本発明によると、吸収体本体を湾曲させ易くなり、着用者により密着させることが可能となる。また、吸収体本体が折り返されてできる防漏壁の起立を補う役目をする。
【0092】
本発明によると、着用感を向上することができる。
【0093】
本発明によると、薄い吸収体製品を得ることができる。
【0094】
本発明によると、極めて薄い吸収体製品を得ることができる。
【0095】
本発明によると、吸収体本体の設計を柔軟にすることができる。
【0096】
本発明によると、吸収体本体の廃棄方法を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図2】図1に示した尿パッドを展開した状態における平面図である。
【図3】図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図4】図1に示した尿パッドを折り返し部で小さく畳んだ状態の上面の正面図である。
【図5】図4に示した尿パッドをW−W’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図6】図3とは異なる例を示す、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図7】図1に示した尿パッドの長手方向折り返し部の両端部を固定した状態を示す外観斜視図である。
【図8】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図9】図8の尿パッドを展開した平面図である。
【図10】図9に示した尿パッドをX−X’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図11】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図12】図11に示した尿パッドをT−T’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図13】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図14】図13に示した尿パッドをS−S’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図15】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図16】図15に示した尿パッドをR−R’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図17】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図18】図17に示した尿パッドを展開した状態において長手方向に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図19】尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の外観を示す斜視図である。
【図20】図19に示すおむつをU−U’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図21】尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の別の例の外観を示す斜視図である。
【図22】図21に示すおむつをT−T’ 線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図23】吸収体本体の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図24】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図25】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図26】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図27】吸収体本体の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図28】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図29】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図30】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図31】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図32】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図33】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図34】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図35】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図36】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図37】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図38】吸収体本体を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図39】図38を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図40】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図41】図40を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図42】図40を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図43】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図44】図43を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図45】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図46】図45を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図47】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図48】図47を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図49】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図50】図49を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図51】吸収体本体の切り込みを説明する上面正面図である。
【図52】吸収体本体に別の形態の切り込みが入ったものを説明する上面正面図である。
【図53】吸収体本体に別の形態の切り込みが入ったものを説明する上面正面図である。
【符号の説明】
【0098】
1:尿パッド
2:吸収体本体
3:液透過性表面シート
4:液不透過性シート
5:伸縮弾性体
6:液不透過性裏面シート
7:長手方向屈曲構造部分
7’:幅方向屈曲構造部分
8:非屈曲構造部分
9:長手方向第1折り返し線
10:長手方向第2折り返し線
11:長手方向第1折り返し部
12:長手方向第2折り返し部
13:シート状吸収体
14:SAP塗工部
15:基材
16:パルプマット層
17:端部領域
18:幅方向第1折り返し線
19:幅方向第1折り返し部
20:袋状構造部
21:側縁部
22:幅方向第2折り返し線
23:幅方向第2折り返し部
24:接合領域
25:おむつ本体
26:襞部
27:立体ギャザー
28:切り込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体製品に関するものであり、さらに詳しくは、尿パッド、尿失禁製品、おむつを提供しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿の横漏れを防止する手段として立体的にギャザーを配置する方法と、実用新案登録3055545号公報、特開平4-051952号公報などのように吸収体を折り返して防漏壁を形成する方法が知られている。
【0003】
これらの吸収体製品では吸収体本体を折り返して防漏壁を作るために高い吸収面積が確保できる。しかしながら、吸収体本体の折り返し部分は嵩高になり、コンパクトにすることができなかった。さらに、従来の均一密度の吸収体本体を折り返した場合、折り返し線は吸収体本体が潰れるために密度が高くなり、吸液、膨張によって、折り目を体液が通過しにくくなるという問題があった。
【特許文献1】実用新案登録3055545号公報
【特許文献2】特開平4-051952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、肌に当接する部分の全面が尿の吸収に寄与することによって材料の無駄がなく、かつ折り返してもコンパクトな尿パッド、尿失禁製品及びおむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基本的には、吸収体製品が、吸収体本体に形成されている屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造を有すること特徴とする吸収体製品に関する発明であり、以下の発明から選択される発明である。
【0006】
(1)液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は吸収性高分子を含有し、長手方向又は長手方向と幅方向に沿って、坪量が低い部分、吸水性高分子の配合量が少ない部分又は吸収体本体が配置されていない部分からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、該吸収体本体の長手方向の屈曲構造部分の一つを第1折り返し線として、吸収体製品全体の両側縁部が内側に折り返されて第1折り返し部が形成され、該第1折り返し部内における前記第1折り返し線と平行な吸収体本体の屈曲構造部分を第2折り返し線として前記吸収体製品の第1折り返し部が外側に折り返されて第2折り返し部が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【0007】
(2)前記吸収体本体の第1折り返し部は、前記第1折り返し線と平行な折り返し線となる複数の屈曲構造部分を有しており、該吸収体本体の複数の屈曲構造部分に沿って吸収体製品全体が外側あるいは内側にさらに折り返されて複数の折り返し部が該第1折り返し部において形成されていることを特徴とする(1)項記載の吸収体製品。
【0008】
(3)前記吸収体製品は、前記吸収体本体の幅方向に沿って形成されている前記肉薄化部分からなる屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の端縁部を内側に折り返して折り返し部を形成し、該折り返し部の両側縁部を接合して袋状構造が形成されていることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の吸収体製品。
【0009】
(4)前記端縁部を内側に折り返して形成されている折り返し部が、該折り返し部内に配列されている吸収体本体の屈曲構造部分に沿ってさらに外側に折り返され、該折り返し部の対向する液不透過性の裏面シート同士が接合されていることを特徴とする(3)項記載の吸収体製品。
【0010】
(5)前記吸収体製品の長手方向一端側の液透過性表面シート上に、液不透過性シートが、該液透過性表面シートの両側縁部分及び該一端縁部分を覆って接合されていることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0011】
(6)前記吸収体製品の両側縁部の長手方向中央部において、長手方向第1折り返し部内の対向する表面シート同士が接合されていることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0012】
(7)前記吸収体製品の長手方向の少なくとも一端部側の両側縁において、長手方向第1折り返し部の内側の対向する表面シート同士が接合されていることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0013】
(8)前記吸収体本体に、吸収性本体が身体に沿って湾曲しやすいように切り込みが形成されていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0014】
(9)前記吸収体製品の長手方向に沿った両側縁部に伸縮弾性体が配置されていることを特徴とする(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0015】
(10)前記吸収体製品の両側縁部における吸収体本体上の液透過性表面シート上に液不透過性シートを配置したことを特徴とする(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0016】
(11)前記吸収体本体が、少なくとも50重量%以上の吸水性高分子を含有する、吸水性高分子とセルロースパルプの混合体からなり、前記屈曲構造部分は該部分の坪量を他の部分より低くすることによって形成されていることを特徴とする(1)項〜(10)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0017】
(12)前記吸収体本体は、不織布基材にミクロフィブリルセルロースと吸水性高分子をラインコートしたシート状吸収体を有しており、その屈曲構造部分は前記シート状吸収体における不織布基材だけの部分であることを特徴とする(1)項〜(11)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0018】
(13)前記吸収体本体が、分離可能に取り付けられている水解性シートからなることを特徴とする(1)項〜(12)項のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【0019】
(14)前記(1)項〜(13)項に記載された吸収体製品のうち、同一構造の吸収体製品2個を表面シート同士を対向させて両側縁同士及び一端縁同士を接合して形成されている袋状構造を有することを特徴とする吸収体製品。
【0020】
(作用)
本発明の吸収体製品は、吸収体本体を折り返すことによって防漏壁を形成するものである。折り返し線を有する吸収体本体は屈曲構造であり、折り返しによっても嵩高にならず、かつ防漏壁に吸収性があるために体液吸収に有効な面積が大きく、結果としてコンパクトな吸収体製品を構成している。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸収体本体の折り返し線が屈曲構造であるため、折り返し易く、嵩高にならず、結果としてコンパクトにすることができる。さらに、折り返しの角部の密度が高くなり過ぎず、吸液、膨張によって、折目を体液が通過しにくくなるという問題が内吸収体製品を得ることができる。
【0022】
(作用)
本発明の吸収体製品は、吸収体本体を折り返すことによって防漏壁を形成するものである。折り返し線を有する吸収体本体は屈曲構造であり、折り返しによっても嵩にならず、かつ防漏壁に吸収性があるために体液九州に有効な面積が多き無、結果としてコンパクトな吸収体製品を構成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の吸収体製品における吸収体本体は、木材パルプや非木材パルプを綿状にしたフラッフパルプを主材としたものに吸水性高分子(SAP)を併用したものでよく、その他に吸収紙単独、又は熱融着繊維等の混合物や積層物が用いられ。また、吸水性高分子の飛び出し防止のために全体をティシュで包み込んだ積層構造としてもよい。また、より薄く、コンパクトにするためには、吸水性高分子50重量%以上を含有した構成からなるものを用いることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の吸収体製品に好適な吸収体本体は、不織布基材と吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースとからなるシート状複合体から構成されているものであってもよい。そのようなシート状の複合体の具体例としては、吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースをプロピレングリコールやメタノールと水の溶液に分散した塗工液を、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、その他の熱可塑性樹脂やレーヨン、コットンなど一般に不織布に用いられる材料を原料とした不織布に塗工した吸水性高分子を主成分とするシート状吸収体などが挙げられる。
【0025】
ミクロフィブリルセルロースとは、木材パルプを高シェア下で開繊して得られる平均繊維長0.1mm以下の極微細繊維である。前記シート状吸収体は、吸水性高分子を不織布にコーティングして得られるので、任意の幅のラインコートが可能である。本発明の吸収体本体には、前記シート状吸収体を複数枚重ねて用いてもよい。また、塗エパターンは全面コートとラインコートの組合わせ、ラインコートのみなど選択することができる。
【0026】
また、前記吸収体本体に水解性素材を用いてもよい。水解性にする場合の前記吸収体製品の構成例としては、例えば、表面シートとしてレーヨン、パルプ、CMC−Caなどを用いた水解紙シートを用い、吸収コアとしてフラッフパルプ、カーリーファイバーと生分解性吸水性高分子や少量であれば生分解性がない吸水性高分子などを用いたもの、水解紙上に吸水性高分子をコーティングしたものなどを用い、バックシートとして、ティシュにPVAをラミネートした難透水性シートなどを用いたものを挙げることができる。
【0027】
本発明の吸収体本体は、容易に折り返すことが可能な屈曲構造部分を有している。容易に折り返すことが可能であれば、均一な折り返し加工をすることができる。また、折り返して生ずる厚み変化が吸収体の厚み(D)の整数倍からあまり外れない。すなわち、n重に折り重ねた厚みが、n×Dからあまり外れない結果として折り返しても厚ぼったくならないようにすることができる。
【0028】
容易に折り返すことを可能にする屈曲構造部分とは、吸収体本体の折り返し予定線部分が、その他の部分と比較して坪量差、吸水性高分子含有量のある部分として形成されている線状部分である。例えば、該屈曲構造部分の坪量が他の部分より低ければ容易に屈曲して折り返すことが可能であるし、吸水性高分子含有量が他の部分より低いか、又は含まれない場合も同じ効果が得られる。また、厚さが均一の場合は、屈曲構造部分の密度が他の部分より低ければ容易に折り返すことができる。
屈曲構造をより積極的に形成するために、吸収体本体にスリットを入れたり、部分的に切断してもよい。
【0029】
また、吸収体本体が吸水性高分子を不織布基材にラインコートしたものの場合は、ラインコートされた部分は剛性が高く、ラインコートされていない部分は柔軟であるために屈曲しやすい。その上、ラインコート部分の厚みが非ラインコート部より厚いために非ラインコート部を折り返しても折り重ねた厚さに微小な変化しか与えずに済ますことが可能となる。
これら屈曲構造は折り返し線として機能させるために、実質的に線状に配置して形成される。
【0030】
また、吸収体本体に屈曲構造部分を複数配置しても、必ずしもそれらを全て折り返し線として利用する必要はない。屈曲構造部分は吸収体本体に任意の本数を任意の位置に配置することができる。本発明のように、吸収体本体を屈曲構造にすることによって、吸収体製品を折りやすくかつ折り目を保ちやすくすることが可能となる。
【0031】
本発明の吸収体製品は、吸収体本体の折り返し線で吸収体製品が少なくとも一度内側に折り返される。さらにその第1の折り返し線より外側の第2の折り返し線で内側か外側に折り返し、必要であればさらに複数の折り返し線で内側か外側に折り返しすることができ、折り返し線を増やすことによって任意の数の折り返しを形成することができる。
【0032】
前記吸収体製品の折り返しは、長手方向に沿って(長手方向に沿った折り返し線で)折り返してもよいし、幅方向に沿って折り返してもよい。また、長手方向に沿って折ってから幅方向に沿って折ってもよく、その逆に幅方向に沿って折り返した後、長手方向に沿って折り返してもよい。
【0033】
本発明の吸収体製品の構造は、本発明の主旨に沿って任意に選択することが可能であるが、好ましい構造として具体例を挙げるならば、吸収体製品が吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返されて長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2の折り返し線部分で外側に折り返され、長手方向第2の折り返し部を形成し、吸収体製品の長手方向一端縁が吸収体製品の長手方向と直交する幅方向第1折り返し線部分で内側に折り返され、対向する前記長手方向第2折り返し部の外縁同志が接合されることによって袋状構造に形成されているものである。前記幅方向第1折り返し線は、幅方向の屈曲構造部分で形成し、この部分に沿って折り返すことが好ましいが、屈曲構造部分以外で折り返して形成してもよい。
【0034】
また、吸収体製品が吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返されて長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2折り返し線部分で外側に折り返され、長手方向第2折り返し部を形成し、さらに吸収体製品上の一方の端縁部領域に液不透過性シートを配置し、該液不透過性シートを吸収体製品の両側縁及び端縁で接合してもよい。この場合も一端が袋状構造になった吸収体製品を得ることができる。
【0035】
さらに例を挙げるならば、吸収体製品を、吸収体本体の長手方向第1折り返し線部分で内側に折り返して長手方向第1折り返し部を形成し、その長手方向第1折り返し部上の長手方向第2折り返し線部分で外側に折り返して長手方向第2折り返し部を形成した2個の吸収体製品A、Bを表面シートの面同士を対向させた状態で互いの両側縁及び一方の端縁同士を接合した袋状構造をもった吸収体製品とすることもできる。この際、AとBの長さは同じでもよく、一方が他方よりも短くてもよい。
【0036】
前記のように、屈曲構造部分で折り返すことによって、複数回折り重ねた場合でも折り返し部の厚み変化を小さくすることができる。一方、従来の均一密度の吸収体本体を折り返した場合、折り目が嵩高になってしまい、複数回折り重ねると吸収体製品をコンパクトにし難くなる。さらに従来の吸収体本体では折り返し線部分は吸収体本体が潰れるために密度が高くなり、吸液、膨張によって折り目を体液が通過し難くなる。本発明は前記従来の吸収体本体における問題点を改良するものである。
【0037】
前記のように、吸収体本体が木材パルプや非木材パルプを綿状にしたフラッフパルプを主材としたものに吸水性高分子を併用したものの場合、屈曲構造の折り返し線を得るには、坪量を下げること、又は屈曲構造部分への吸水性高分子の配合比を下げるか、配合しない等の方法をとればよい。
【0038】
吸収体本体が不織布基材と吸水性高分子とミクロフィブリルセルロースとからなるシート状複合体から構成される場合、屈曲構造の折り返し線を得るには、不織布基材上に吸水性高分子とミクロフィブリルをラインコートし、非塗工部分を折り返し線とすればよい。また、塗工量の高い部分と低い部分を形成するようにラインコートして、低塗工量部分を折り返し線としてもよい。
【0039】
液透過性の表面シートには、一般的に衛生材料に用いられる素材を採用することができる。例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維などからなる不織布、穴あき不織布、メッシュシートなどのシートを選択することができる。
【0040】
本発明の吸収体本体の裏面に配置する液不透過性の裏面シートは、液不透過性のシート単独でも複数の不織布とともに積層して用いてもよい。液不透過性の裏面シートとしては、液体不透過性のポリエチレンシート、好ましくは微孔を設けたポリエチレンシート、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸したシートのような透湿性のある液体不透過性シートを用いて透湿性を付与すると蒸れが少なく快適である。
【0041】
前記液不透過性の裏面シートの外側に手触り感を好適にし、フィルム独特の擦れ音をださないように、不織布を貼り付けてもよい。その不織布はポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布を用いることができる。
【0042】
本発明の吸収体本体の裏面に使用する液不透過性の裏面シートの外側に廃棄の際に吸収体製品を丸めて留めることができるように係留手段を具備させてもよい。係留手段としては例えば、粘着テープ、メカニカルファスニングテープ、紐、バンドなどが挙げられる。
【0043】
本発明の吸収体製品は、その長手方向第1折り返し部の内側で対向している表面シート同士が部分的に接合されていてもよい。長手方向第1折り返し部が部分的に接合されることによって吸収体本体を着用者により密着させたり、保形性を良好にすることが可能となる。例えば、女性用の尿パットを設計する場合には吸収製品の長手方向中央部で長手方向第1折り返し部内側表面シートを接合すると、着用者の体に合った吸収体製品を得ることができる。男性用吸収体製品も前記のように得ることができるが、例えばパンツ型おむつの補助として併用する尿パットの場合は前身頃での吸収を主目的とした吸収体製品が適する。その場合、吸収体製品の長手方向の一方の端縁において長手方向第1折り返し部の表面シートが接合されると、その部分を股下に位置するように吸収体製品を配置したときに着用感、フィット性、吸収前後の保形性が良好となり好ましい。接合の方法は、不織布を接合するために常用される方法でよいが、例えばホットメルトによる接着やヒートシール、超音波による融着が挙げられる。
【0044】
本発明の吸収体本体には、切り込みを入れることによって身体に沿って湾曲しやすく設計することができる。切り込みの方向は、吸収体製品の流れ方向に交差してもよいし、流れ方向に沿ってもよいし、両方向に入れてもよい。また、前記切り込みは吸収体本体の任意の位置に、任意の本数入れることができる。
【0045】
本発明の吸収体製品における伸縮弾性体としては、天然ゴム、合成ゴムなどからなる糸ゴム、平ゴム、弾性ネット状シートを用いることができる。伸縮弾性体は着用者の体線に沿うように吸収体製品を湾曲させたり、吸収体本体が折り返されてできる防漏壁の起立を補う役目をする。
【0046】
本発明の吸収体製品は、その表面シートの両側縁に液不透過性シートを配置してもよい。本発明の吸収体製品は最終折り返し部が着用者に触れ易い構造になるので、その部分の表面シートが着用者に直接触れると、排尿後の着用感が悪くなるので、液不透過性シートを用いるのが好ましい。また、同時に吸収体製品端縁からのしみ出しを防止する役割もする。素材としては前記の吸収体本体裏面に用いる液不透過性の裏面シートと同様のものを用いることができるが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維を原料として、一般にSMSと呼ばれるスパンボンド法/メルトブロ一法/スパンボンド法でサンドイッチにした不織布や、SMMSなどが好適である。
【0047】
本発明の吸収体製品とは、赤ちゃん用おむつ、赤ちゃん用及び大人用尿パッド、大人用失禁用品などを意味する。
【実施例】
【0048】
以下、尿パッドを例にして、図面を参照して本発明の吸収体製品を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
図1は、本発明の尿パッドの外観斜視図、図2は、図1に示した尿パッドの展開平面図、図3は、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図、図4は、図1に示した尿パッドを畳んだ状態を上面から見た正面図、図5は、図4に示した尿パッドをW−W’線に沿って切断した状態の横断面図をそれぞれ示している。
【0050】
本発明の尿パッド1は、図3に示すように、液透過性の表面シート3と、液不透過性の裏面シート6と、これら両シートの間に配置された吸収体本体2とから基本的に構成されており、また、表面シート3の両側縁部には液不透過性シート4が取付けられており、さらに、吸収体本体2の両側縁から延出した裏面シート6部分と液不透過性シート4の間には、長手方向に沿って伸縮弾性体5が配置されている。
【0051】
本実施例では、吸収体本体2は、不織布からなる基材15面にミクロフィブリルセルロースとSAPを含む塗工液を塗工してSAP塗工部14を形成したシート状吸収体13により形成されている。この場合、シート状吸収体13のSAP塗工部14はライン塗工により形成されており、SAP塗工部14には、シート状吸収体13を折り返す際の長手方向屈曲構造部分7となる非塗工部7が長手方向に4本形成されている。
【0052】
また、本実施例では、尿パッド1は、図1に示すように、長手方向第1折り返し線9に沿って尿パッドの側縁部を内側に折り返して長手方向第1折り返し部11を形成し、次いで第1折り返し部11上の長手方向第2折り返し線10に沿って外側へ折り返して長手方向第2折り返し部12を形成し、さらに、一方の端部領域において折り返し部11、12の表面シート同士及び裏面シート同士が接合されている。
この場合、図2に示すように、SAP塗工部に形成された4本の長手方向屈曲構造部分7のうち、内側の2本を長手方向第1折り返し線9とし、外側の2本を長手方向第2折り返し線10として折り返されており、これらの線に沿って折り返された状態の断面は図5に示すとおりである。
【0053】
図6は、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図の、図3とは異なる例を示している。
図6において、シート状吸収体13の下層(裏面シート側)にパルプとSAPを混合したパルプマット層16が配置されており、特に速い吸収速度が要求される場合に適した構造になっている。
【0054】
図7は、図1に示す尿パッド1の長手方向折り返し部11、12を両端部領域17、17で接合した例を示す外観斜視図である。このように、長手方向折り返し部11、12を両端部領域17、17で接合することによって、前身頃側及び後身頃側からの尿漏れを防止することができる。
【0055】
図8は、本発明の尿パッドの別の形態を示す外観斜視図、図9は、図8に示した尿パッドの展開平面図、図10は図9に示した尿パッドをX−X’線に沿って切断した状態の横断面図をそれぞれ示している。
【0056】
尿パッド1は、図10に示すように、その基本構成は先に述べた場合と同様であるが、吸収体本体2がシート状吸収体13を2層積層して形成されている。このように、複数のシート状吸収体を積層して吸収体本体を形成することにより尿パッドの吸収量を向上させることができる。
【0057】
また、尿パッド1は、図8に示すように、長手方向第1折り返し線(図示せず)及び長手方向第2折り返し線10に沿って尿パッドの側縁部を折り返し、長手方向第1折り返し部(図示せず)及び長手方向第2折り返し部12を形成し、さらに、一方の端縁部を幅方向第1折り返し線18に沿って内側に折り返して幅方向第1折り返し部19を形成し、その両側縁部を長手方向第2折り返し部12の側縁部と接合することにより、袋状構造部20が形成されている。
【0058】
この場合、図9に示すように、尿パッド1は、SAP塗工部に形成された4本の長手方向屈曲構造部分7のうち、内側の2本を長手方向第1折り返し線9とし、外側の2本を長手方向第2折り返し線10として長手方向に折り返され、さらに、幅方向屈曲構造部7’を幅方向第1折り返し線18として幅方向に折り返され、長手方向折り返し部12及び幅方向折り返し部19の相対する両側縁部21、21が接合される。
本実施例では、幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として尿パッド1の端縁部を折り返しているが、幅方向第1折り返し線は必ずしも屈曲構造にする必要はない。しかしながら、折り返し易くするために屈曲構造にしたり、切り込みを入れることは好ましい。
【0059】
図11は、本発明の尿パッドの他の形態を示す外観斜視図であり、図12は、図11に示した尿パッドをT−T’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0060】
本実施例において、尿パッド1は、図8に示す尿パッドの幅方向第1折り返し部19の端縁部をさらに外側に折り返した構成になっている。すなわち、図11に示すように、尿パッド1は、長手方向第1折り返し線(図示せず)及び長手方向第2折り返し線10に沿って尿パッドの側縁部を折り返し、長手方向第1折り返し部(図示せず)及び長手方向第2折り返し部12を形成し、次いで、一方の端縁部を幅方向第1折り返し線18に沿って内側に折り返して幅方向第1折り返し部19を形成し、さらに幅方向第1折り返し部19の端縁部を幅方向第2折り返し線22に沿って外側に折り返して幅方向第2折り返し部23を形成し、折り返し部の両側縁部を接合することにより袋状構造部20が形成されている。
この場合、図12に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1及び第2折り返し線18、22として幅方向に折り返されて幅方向第1及び第2折り返し部19、23が形成され、折り返し部の相対する表面シート3同士及び裏面シート6同士が接合されている。
【0061】
本実施例の尿パッドは、実際の使用に当たっては、袋状構造部20が股下部に位置するようにして使用する。このような構成の尿パッドは、表面シート3が着用者の肌に触れる面になるので、着用中のべたつき感を軽減することが可能となる。なお、本実施例では、長手方向第2折り返し部12に伸縮弾性体を配置していないが、伸縮弾性体を配置したものであってもよい。
【0062】
図13は、本発明の尿パッドのさらに別の形態を示す外観斜視図であり、図14は、図13に示した尿パッドをS−S’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0063】
本実施例において、尿パッド1は、図14に示すように、吸収体本体2と裏面シート6のみを図11及び図12の場合と同様に折り返した後、その上面を覆って表面シート3が配置されている。このような構成の尿パッドは、図13に示すように、袋状構造部20の開口面が表面シート3で覆われているため、一度に多量の尿が排泄された場合、袋状構造部20内に尿が保持され、漏れを防止することができる。
【0064】
図15は、図13に示した尿パッドの端縁部をさらに幅方向に2度折り返した形状になっている状態を示す外観斜視図であり、図16は、図15に示す尿パッドを長手方向のR−R’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。幅方向の折り返しを内外交互に合計4回行うことによって袋状構造部20を2箇所形成し、尿だまりとして機能させることができる。
【0065】
図17は、本発明の尿パッドのさらに他の形態を示す外観斜視図であり、図18は、図17に示した尿パッドを展開した状態において長手方向に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【0066】
本実施例において、尿パッド1は、図17に示すように、一方の端縁部が幅方向第1折り返し線に沿って内側に折り返され、両側縁部21が接合されて袋状構造部20が形成されている。
この場合、図18に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2を構成するシート状吸収体13に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として折り返される。
【0067】
図19は、本発明の尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた例を示す外観斜視図であり、図20は、図19に示す使いすておむつをU−U’線に沿って切断した状態の尿パッドの折り返し部分を示す横断面図である。
【0068】
本実施例において、図19に示すように、尿パッド1は、その長手方向両端部領域17、17が幅方向第1折り返し線18で内側に折り返されて幅方向第1折り返し部19が形成され、さらに幅方向第1折り返し部19の幅方向第1折り返し線18の近傍が接合領域24で接合された状態で、おむつ本体25の長手方向中央領域に配置され、おむつ本体25と接合されている。
この場合、図20に示すように、尿パッド1は、吸収体本体2に形成された幅方向屈曲構造部分7’を幅方向第1折り返し線18として端部領域17が折り返されて幅方向第1折り返し部19が形成され、さらに幅方向第1折り返し線18の近傍の接合領域24で表面シート3が接合されており、おむつ本体25に接合されている。
【0069】
図21は、本発明の尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の、図19とは異なる例を示す外観斜視図であり、図22は、図21に示す使いすておむつをT−T’線に沿って切断した状態の尿パッドの折り返し部分を示す横断面図である。
【0070】
本実施例において、図21に示すように、尿パッド1は、股下領域において幅方向に襞部26が形成されており、おむつ本体25の長手方向中央領域に形成された一対の立体ギャザー27の間に配置され、おむつ本体25と接合されている。
この場合、図22に示すように、尿パッド1の襞部26は、吸収体本体2としてシート状吸収体13を用い、基材15上に形成された多数の幅方向屈曲構造部分7’の1つを幅方向第1折り返し線18として折り返し、次いで、折り返し部分の幅方向屈曲構造部分7’の1つを幅方向第2折り返し線22として折り返すことにより形成されている。
【0071】
図23、24、25及び26は、本発明の吸収体本体の折り返しの形態を示す模式図である。図23は一度折り返した例であり、図24は第2折り返し線で側縁部をさらに内側に折り返した例であり、図25は図24と同じ2度折り返しているが、第2折り返し線で側縁部を外側に折り返している。さらに図26は6回内外交互に側縁部を折り返した例である。このように屈曲構造部分を折り返し線として吸収体本体を複数回折り返して吸収製品の吸収部分を構成することができる。
【0072】
図27、28、29及び30は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これら模式図でパルプとSAPの混合マットで形成された吸収体本体を説明することができる。すなわち吸収体の坪量が低い部分を屈曲構造部分7とし、坪量が高い部分を非屈曲構造8とすることができる。図のように屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0073】
図31、32、33及び34は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これらの模式図で、パルプとSAPの混合マットやSAP含有量が50%以上の混合マットで形成された吸収体本体を説明することができる。これらはSAP濃度で屈曲構造部分と非屈曲構造部分を形成すればよい。すなわち、SAPが存在しないか又は濃度が低い部分を屈曲構造部分7とし、SAP濃度が高い部分を非屈曲構造8とすることができる。図のように屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0074】
図35、36及び37は、本発明の吸収体本体の屈曲構造と非屈曲構造の構成を示す模式図である。これら模式図でSAPを塗工したシート状吸収体で形成された吸収体本体を説明することができる。これらについても前記の図31〜34で示した例と同様に、SAP濃度で屈曲構造部分と非屈曲構造部分を形成すればよい。すなわち、SAPを塗工していない部分を屈曲構造部分7とし、SAPを塗工した部分を非屈曲構造8とすることができる。また、SAPの塗工量の少ない、多いで屈曲構造と非屈曲構造を形成することができる。前記の例と同様に、屈曲構造と非屈曲構造は複数形成することができ、屈曲構造部分の任意の位置を折り返し線として利用することができる。
【0075】
図38〜図50は、吸収体本体の折り返しの形態を示すものである。図38は、前記図27と同様の吸収体本体であり、図27の屈曲構造部分7が破線で示した第1折り返し線9となる。このものの外縁部が折り返されたものを図39に示す。図40は、図27の屈曲構造部分7の一対を第1折り返し線9としたものであり、その外縁部を内側に折り返した例が図41で示すものであり、さらにその第1折り返し部11の屈曲構造部分7を第2折り返し線10として外側に折り返して第2折り返し部12を形成した例が図42に示されている。
【0076】
図43は、図34と同様の吸収体本体であり、屈曲構造部分7が破線で示した複数の折り返し線9となり、外縁部が交互に内・外の順に折り返されたものを図44に示す。
【0077】
図45は、図35と同様のものであり、屈曲構造部分7が破線で示した第1折り返し線9となり、外縁部が内側に折り返されたものを図46に示す。
【0078】
図47は、図36と同様のものであり、SAP塗工面が下向きの状態になっている。SAPが塗工されていなし、屈曲構造部分7の一対を第1折り返し線9として内側に折り返し、さらにその第1折り返し部11の屈曲構造部分7を第2折り返し線10として外側に折り返して第2折り返し部12を形成した例を図48に示す。
【0079】
図49は、図37と同様のものであり、SAP塗工面が下向きの状態になっている。屈曲構造部分7が破線で示した複数の折り返し線9となり、外縁部が交互に内外の順に折り返された例を図50に示す。
【0080】
図51、52、53は、本発明の吸収体本体の別の形態を説明するものであり、身体に沿って吸収体本体2を湾曲させるための切り込み部28を吸収体本体2に設けた例である。吸収体本体の側縁部分に外向きにハの字に切り込み部を設けた例を図51に示す。吸収体本体の側縁部分に直行して切り込み部を設けた例を図52に示す。図51と図52の例では着用者の前身頃から後身頃にかけてのカーブに湾曲することが可能である。図53は吸収体本体の長手方向に沿って切り込み部が設けられている。これによって吸収体本体が着用者の胴周り方向に湾曲することが可能である。前記の切り込み部は併用してもよく、それによって胴周り方向と股下周り方向に同時に湾曲させる効果がある。これらの切り込み部は、吸収体本体を厚さ方向に貫通していてもよいし、前記のごとく吸収体本体が複数のシート状吸収体が積層されて形成されている場合は上層のシート状吸収体に切り込み部を設ければ十分である。
【0081】
本発明によると、吸収体本体の折り返し線が屈曲構造であるために、折り返し易く、嵩高にならず、結果としてコンパクトな吸収体製品にすることができる。さらに、折り返しの角部の密度が高くなり過ぎず、吸液、膨張によって、折り目を体液が通過しにくくなるという問題がない吸収体製品を得ることが可能となる。
【0082】
本発明によると、容易に屈曲構造部を得ることが可能となる。
【0083】
本発明の吸収体製品によると、さらに防漏壁が増えるので、大きな吸収面積を持つコンパクトな吸収体製品が可能となる。
【0084】
本発明によると、袋状構造をもつ吸収体製品ができるので、尿を吸収体本体が完全に吸収するまで、袋状構造部分に一時貯留することが可能となる。
【0085】
本発明によると、吸収体製品に袋状構造部をより確実に形成することが可能となる。
【0086】
本発明によると、袋状構造部を形成するために、吸収体本体を容易に折り返すことが可能となる。
【0087】
本発明によると、袋状構造をもつ吸収体製品ができるので、尿を吸収体本体が完全に吸収するまで、袋状構造部分に一時貯留することが可能となる。
【0088】
本発明によると、袋状構造部分の内部全体が尿を吸収することができるので、さらに急速な尿の吸収が期待できる。
【0089】
本発明によると、吸収体本体を着用者により密着させたり、保形性を良好にすることが可能となる。
【0090】
本発明によると、吸収体本体を湾曲させ易くなり、着用者により密着させることが可能となる。
【0091】
本発明によると、吸収体本体を湾曲させ易くなり、着用者により密着させることが可能となる。また、吸収体本体が折り返されてできる防漏壁の起立を補う役目をする。
【0092】
本発明によると、着用感を向上することができる。
【0093】
本発明によると、薄い吸収体製品を得ることができる。
【0094】
本発明によると、極めて薄い吸収体製品を得ることができる。
【0095】
本発明によると、吸収体本体の設計を柔軟にすることができる。
【0096】
本発明によると、吸収体本体の廃棄方法を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図2】図1に示した尿パッドを展開した状態における平面図である。
【図3】図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図4】図1に示した尿パッドを折り返し部で小さく畳んだ状態の上面の正面図である。
【図5】図4に示した尿パッドをW−W’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図6】図3とは異なる例を示す、図2に示した尿パッドをV−V’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図7】図1に示した尿パッドの長手方向折り返し部の両端部を固定した状態を示す外観斜視図である。
【図8】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図9】図8の尿パッドを展開した平面図である。
【図10】図9に示した尿パッドをX−X’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図11】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図12】図11に示した尿パッドをT−T’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図13】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図14】図13に示した尿パッドをS−S’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図15】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図16】図15に示した尿パッドをR−R’線に沿って切断した状態の横断面図である。
【図17】本発明の別の尿パッドの外観を表す斜視図である。
【図18】図17に示した尿パッドを展開した状態において長手方向に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図19】尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の外観を示す斜視図である。
【図20】図19に示すおむつをU−U’線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図21】尿パッドを使いすておむつの吸収体として用いた場合の別の例の外観を示す斜視図である。
【図22】図21に示すおむつをT−T’ 線に沿って切断した状態を示す横断面図である。
【図23】吸収体本体の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図24】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図25】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図26】吸収体本体の別の折り返し形態を説明する横断面図である。
【図27】吸収体本体の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図28】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図29】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図30】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図31】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図32】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図33】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図34】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図35】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図36】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図37】吸収体本体の別形態の屈曲構造部分と非屈曲構造部分を説明する吸収体本体の横断面図である。
【図38】吸収体本体を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図39】図38を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図40】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図41】図40を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図42】図40を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図43】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図44】図43を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図45】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図46】図45を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図47】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図48】図47を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図49】吸収体本体を折り返す別の形態を説明する横断面図である。
【図50】図49を折り返す形態を説明する横断面図である。
【図51】吸収体本体の切り込みを説明する上面正面図である。
【図52】吸収体本体に別の形態の切り込みが入ったものを説明する上面正面図である。
【図53】吸収体本体に別の形態の切り込みが入ったものを説明する上面正面図である。
【符号の説明】
【0098】
1:尿パッド
2:吸収体本体
3:液透過性表面シート
4:液不透過性シート
5:伸縮弾性体
6:液不透過性裏面シート
7:長手方向屈曲構造部分
7’:幅方向屈曲構造部分
8:非屈曲構造部分
9:長手方向第1折り返し線
10:長手方向第2折り返し線
11:長手方向第1折り返し部
12:長手方向第2折り返し部
13:シート状吸収体
14:SAP塗工部
15:基材
16:パルプマット層
17:端部領域
18:幅方向第1折り返し線
19:幅方向第1折り返し部
20:袋状構造部
21:側縁部
22:幅方向第2折り返し線
23:幅方向第2折り返し部
24:接合領域
25:おむつ本体
26:襞部
27:立体ギャザー
28:切り込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は、吸収性高分子を含有し、長手方向及び幅方向に沿って、吸収体本体の坪量が低い部分、吸収性高分子の配合量が少ない部分、スリット線部分及び切取線部分から選ばれる1種又は2種以上からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、吸収体製品は、該吸収体本体に形成された屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【請求項2】
前記一方の端縁部の折り返し部は、前記線状の屈曲構造部分からなる複数の折り返し線に沿って該端縁部を内側と外側に交互に折り返して形成されている折り返し部であることを特徴とする請求項1記載の吸収体製品。
【請求項3】
前記一方の端縁部の折り返し部は、該折り返し部の対向する裏面シート同士が接合されている折り返し部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収体製品。
【請求項4】
前記両側縁部の折り返し部は、前記線状の屈曲構造部分からなる複数の折り返し線に沿って該両側縁部を内側と外側に複数回折り返して形成されている折り返し部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項5】
前記吸収体本体に、吸収体本体が身体に沿って湾曲しやすいように切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項6】
前記吸収体製品の長手方向に沿った両側縁部に伸縮弾性体が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項7】
前記吸収体本体が、少なくとも50重量以上の吸水性高分子を含有する、吸水性高分子とセルロースパルプの混合体からなり、前記屈曲構造部分はその部分の坪量及び密度を他の部分より低くすることによって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項8】
前記吸収体本体は、不織布基材にミクロフィブリルセルロースと吸水性高分子をラインコートしたシート状吸収体を有しており、その屈曲構造部分は前記シート状吸収体における不織布基材だけの部分であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項9】
前記吸収体本体が、分離可能に取り付けられた水解性シートからなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シートの間に配置された体液を吸収固定する吸収体本体とを有する吸収体製品において、
前記吸収体本体は、吸収性高分子を含有し、長手方向及び幅方向に沿って、吸収体本体の坪量が低い部分、吸収性高分子の配合量が少ない部分、スリット線部分及び切取線部分から選ばれる1種又は2種以上からなる複数本の線状の肉薄化部分が間隔を置いて配列されて屈曲構造部分を形成しており、吸収体製品は、該吸収体本体に形成された屈曲構造部分を折り返し線として吸収体製品の両側縁部及び一方の端縁部を少なくとも1回内側に折り返して折り返し部が形成され、該一方の端縁部の折り返し部の両側縁部が接合されて袋状構造が形成されていることを特徴とする吸収体製品。
【請求項2】
前記一方の端縁部の折り返し部は、前記線状の屈曲構造部分からなる複数の折り返し線に沿って該端縁部を内側と外側に交互に折り返して形成されている折り返し部であることを特徴とする請求項1記載の吸収体製品。
【請求項3】
前記一方の端縁部の折り返し部は、該折り返し部の対向する裏面シート同士が接合されている折り返し部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収体製品。
【請求項4】
前記両側縁部の折り返し部は、前記線状の屈曲構造部分からなる複数の折り返し線に沿って該両側縁部を内側と外側に複数回折り返して形成されている折り返し部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項5】
前記吸収体本体に、吸収体本体が身体に沿って湾曲しやすいように切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項6】
前記吸収体製品の長手方向に沿った両側縁部に伸縮弾性体が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項7】
前記吸収体本体が、少なくとも50重量以上の吸水性高分子を含有する、吸水性高分子とセルロースパルプの混合体からなり、前記屈曲構造部分はその部分の坪量及び密度を他の部分より低くすることによって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項8】
前記吸収体本体は、不織布基材にミクロフィブリルセルロースと吸水性高分子をラインコートしたシート状吸収体を有しており、その屈曲構造部分は前記シート状吸収体における不織布基材だけの部分であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【請求項9】
前記吸収体本体が、分離可能に取り付けられた水解性シートからなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸収体製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【公開番号】特開2008−23365(P2008−23365A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259386(P2007−259386)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【分割の表示】特願2001−153494(P2001−153494)の分割
【原出願日】平成13年5月23日(2001.5.23)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(592034744)株式会社日本吸収体技術研究所 (28)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【分割の表示】特願2001−153494(P2001−153494)の分割
【原出願日】平成13年5月23日(2001.5.23)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(592034744)株式会社日本吸収体技術研究所 (28)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
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