説明

折れ戸の非常時開放装置

【課題】浴室や便所等の狭い空間に使用される折れ戸の非常時開放装置に関するものであり、簡単な操作でかつ安全に、非常時に折れ戸を開放することができる折れ戸の非常時開放装置を提供する。
【解決手段】開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部は戸枠に係脱自在に保持され、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆91は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆91に上端部に係止する施錠用係止部93が、施錠杆91の室外側に位置してレール部材に設けられているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に浴室や便所等の狭い空間に使用される折れ戸の非常時開放装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室や便所等の狭い空間に使用される折れ戸は、室外に突出して開くと邪魔になるから、通常室内に突出しながら2つ折れになって開く場合が多い。
そして、この場合、高齢者や病人が、発作あるいは急病のため、室内側で折れ戸に凭れて倒れたり、あるいは、折れ戸近くで倒れたりすると、折れ戸を室内側に突出させて開くことが出来なくなり、その結果、内部の高齢者や急病人を、手際よく救出することが出来ず苦労していた。
そのため、上記非常時には、外部から折れ戸を開くことができる折れ戸の非常時開放装置が提供されるようになってきた。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
そして上記構成は、上枠、側枠からなる額縁の中に戸が2枚取り付けられ、この2枚の戸の側端同士が回転自在に連結され、この連結部分が突出しながら、戸が2つ折れになって開く折り戸において、一方の戸の上位端に設けられた回転軸が額縁の上枠に回転自在に取り付けられ、他方の戸の上端に回転自在に取り付けられた移動子が額縁の上枠に設けられたレール枠の中を移動できるよう取り付けられ、戸が閉じられたときの他方の戸の移動子近傍のレール枠が、外側から外せられるように取り付けられているものである。
そして、非常時、移動子近傍のレール枠を取外し、戸を取り付けている移動子が外方に移動できるようになし、一方の戸の回転軸を中心にして折り戸を回転させて、室外側に折り戸を開けるようにしている。
【0004】
この場合、上枠と連結されたレール枠は高所に位置するので、レール枠を取り外す作業が煩雑で、しかも、踏み台等が必要となり、非常時に迅速に対応できなかった。
又、急病人が室内で扉に凭れた状態で倒れていると、室外側方向に体重が負荷された状態となっているので、レール枠を取外すと同時に折れ戸が急激に外側に回動するので、踏み台に上がり、さらに取外したレール枠を保持した状態では、回動する折れ戸を支えきれず非常に危険であった。
さらに、室内側から扉が施錠されていると、室外側から施錠状態を解除してからでないと折れ戸を回転させて、室外側に開放することができず、操作が煩雑であった。
【0005】
【特許文献1】特許第3132906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単な操作でかつ安全に、非常時に折れ戸を開放することができ、室内側から施錠されていても、施錠状態に関係なく折れ戸を開放する事ができる折れ戸の非常時開放装置を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉と、第2扉の上端部に設けられた案内用部材が、戸枠に配設されたレール部材に沿って案内され、第1扉と第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部は戸枠に係脱自在に保持され、非常時には、レール部材を第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能とした折れ戸の非常時開放装置において、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられているものである。
【0008】
次に、本発明が第2の手段として構成したところは、開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉と、第2扉の上端部に設けられた案内用部材が、戸枠に配設されたレール部材に沿って案内され、第1扉と第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部はラッチ部材を介して戸枠に係脱自在に保持され、ラッチ部材を操作するための操作部が室外側に臨んで設けられ、ラッチ部材は、室外側からの操作によってレール部材と戸枠の係止状態を解除して、レール部材を第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能とした折れ戸の非常時開放装置において、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられているものである。
【0009】
次に、本発明が第3の手段として構成したところは、上記第2の手段に加え、操作部は、ラッチ部材の下方に位置して、直接ラッチ部材の操作が可能な操作孔より構成されているものである。
【0010】
次に、本発明が第4の手段として構成したところは、上記第2の手段に加え、操作部は、ラッチ部材の下方に位置してラッチ部材を操作する押上げ操作部材と、押上げ操作部材の下方に位置する押上げ操作部材を操作する為の操作孔を有しているものである
【発明の効果】
【0011】
第1の手段として構成したところによると、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部は戸枠に係脱自在に保持されているので、レール部材と戸枠の係止状態を解除するだけで、レール部材は第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能となるから、開放操作を簡単に行なうことが出来、又、非常時の開放動作中、不要な部材を保持する必要もないので、折れ戸が急に開放してきても十分に対応することが可能で、作業が安全である。さらに、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられているから、第2扉が施錠状態であっても、施錠用係止部とともに施錠杆は移動するので、開錠操作が必要でないから、緊急時の対応も手際よく行うことができる。
【0012】
第2の手段として構成したところによると、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部はラッチ部材を介して戸枠に係脱自在に保持されているので、ラッチ部材を室外側からの操作によってレール部材と戸枠の係止状態を解除するだけで、レール部材は第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能となるから、開放操作を簡単に行なうことが出来、又、非常時の開放動作中、不要な部材を保持する必要もないので、折れ戸が急に開放してきても十分に対応することが可能で、作業が安全である。
さらに、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられているから、第2扉が施錠状態であっても、施錠用係止部とともに施錠杆は移動するので、開錠操作が必要でないから、緊急時の対応も手際よく行うことができる。
【0013】
第3の手段として構成したところによると、第2の手段として構成したところの効果に加え、操作部として直接ラッチ部材の操作可能な操作孔を設けているだけであるから、構造が簡単で安価に製作出来る。
【0014】
第4の手段として構成したところによると、第2の手段として構成したところの効果に加え、操作部が、ラッチ部材を操作する押上げ操作部材と、押上げ操作部材を操作する為の操作孔がそれぞれの下方に位置しているので、操作孔はラッチ部材を操作する者にとってより近い位置に設けることが可能となり、ラッチ部材の解除操作がより容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉と、第2扉の上端部に設けられた案内用部材が、戸枠に配設されたレール部材に沿って案内され、第1扉と第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部はラッチ部材を介して戸枠に係脱自在に保持され、ラッチ部材を操作するための操作部がラッチ部材の下方に位置してラッチ部材を操作する押上げ操作片と、押上げ操作片の下方に位置する押上げ操作片を操作する為の操作孔を有して室外側に臨んで設けられ、ラッチ部材は、室外側からの操作によってレール部材と戸枠の係止状態を解除し、レール部材を第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能となし、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられているものである。
【実施例】
【0016】
以下、実施例を説明する。
図1において符号1は折れ戸を示し、符号10は戸枠を示している。
戸枠10は、建物側の鉄骨にブラケットを介して固定された閉鎖側縦枠11および開放側縦枠12と、閉鎖側縦枠11と開放側縦枠12との上端間に配設され、建物側の鉄骨にブラケットを介して固定された上枠13より門形に形成されている。
【0017】
そして、図5に示すように、開放側縦枠12の上端部内面に上部支持部材2が設けられ、下端部内面に下部支持部材3が設けられ、上部支持部材2に対応して、図4に示すように閉鎖側縦枠11の上端部内面に上部保持部材5が設けられ、上部支持部材2と上部保持部材5間にレール部材6が配設され、下部支持部材3と上部支持部材2間に第1扉7の開放側上下端部が回動自在に支持され、第1扉7の閉鎖側端部に第2扉75の開放側端部が折り畳み自在に連結されている。
符号90は、レール部材6の室外側に設けられた表面部材を示し、符号900はレール部材6の室内側に位置して、開閉側縦枠12、11の上端部内面間に着脱自在に設けられたランマパネルを示し、符号756、756は第2扉75の閉鎖側端部の室内外側面にとりつけられた取手を示し、符号755は第2扉75の開放側端部の室内側面に取り付けられた補助取手を示している。
【0018】
上部支持部材2は、開放側縦枠12の上部内面にネジ止め連結される側壁21と、側壁21の上下端部で内方に突出して形成された上壁22、下壁23より構成され、側壁21には、上下方向に所定間隔を有して、上部支持部材2の取付高さの調節が若干可能なように上下方向の長孔210、210が形成され、上壁22、下壁23には、前記レール部材6の開放側端部を回動自在に連結するための連結孔220、230が形成され、下壁23の下面には第1扉7の開放側端部上面が回動自在に連結される上回動支持軸231(図4、図5に示す。)が下方に向けて突設されている。
【0019】
下部支持部材3は、連結片31と支持突片32より略L字形に形成され、連結片31が開放側縦枠12の内面下端部にネジ止め連結されて、支持突片32が前記上部支持部材2の下壁23に対応して内方に突出している。
そして、第1扉7の開放側端部下面が回動自在に連結される下回動支持軸321が、上回動支持軸231に対応して、支持突片32に上方に向けて突設されている。
【0020】
すなわち、第1扉7は、ペーパーハニカム701を介して対向する表面板71と裏面板72と、上部補強材73等より構成され、開放側上下端面に前記上下回動支持軸231、321が嵌入する上下回動用嵌入孔70(上部のみ図示)が形成され、この上下回動用嵌入孔70に、緩衝部材、スペーサを介して上下支持部材2、3の上下回動支持軸231、321が嵌入し、上下支持部材2、3を介して、開放側縦枠12(戸枠10)に回動自在に支持されている。
【0021】
第2扉75は、第1扉7同様ペーパーハニカム750を介して対向する表面板751と裏面板752と、上部補強材753等より構成され、開放側端部が折畳み装置754を介して第1扉7の閉鎖側端部に連結され、開閉方向の略中央部に、レール部材6に案内される案内用部材8(詳細は後述)が上方に突出して取り付けられ、閉鎖側端部の内部に施錠装置9が内臓されている。
第1扉7と第2扉75は上記の如く構成されているので、閉鎖状態から開放されるときは、第1扉7の閉鎖側端部と第2扉75開放側端部が室内側に突出しながら開放側に移動すると同時に、第2扉75の閉鎖側端部が室外側に突出しながら開放側に移動し、図2に示すように、開放状態となる。
【0022】
上記施錠装置9は、入退室を表示する表示錠と連動する、室内側から操作される施錠操作部(図示せず)と、施錠操作部に連動して上下動し、上昇した状態(施錠状態)で第2扉75の上端面から上端部が上方に突出する施錠杆91と、施錠杆91を上下動自在に第2扉75の内部で保持するスライド支持部92等より構成されている。
【0023】
一方、レール部材6は、開閉方向に下面が開口する案内溝610を有する案内支持部材61と、案内支持部材61の室外側に固着され表面部材90がネジ止め連結される表面板取付部材62と、表面板取付部材62と案内支持部材61に固着され、案内支持部材61の上方に位置する上部補強部材63と、案内支持部材61と表面板取付部材62と上部補強部材63の開放側端面に固着された回動用連結部材60と、案内支持部材61と表面板取付部材62と上部補強部材63の閉鎖側端面に固着されたラッチ係合部材64より構成されている。
【0024】
そして、前記施錠装置9の施錠杆91に対応して、室内側に突出する係止突片931を下端部に有する施錠用係止部93が、案内支持部材61の閉鎖側端部内面に下方に突出して設けられている。
すなわち、施錠装置9の施錠状態(施錠杆91に上端部が第2扉75の上端面から上方に突出した状態、図4、図6に示す。)で、施錠杆91の上端部の室外側に係止突片931がほぼ当接する状態で位置しているので、第2扉75の閉鎖側端部が室外側に移動することができず、閉鎖状態が維持される(施錠状態が維持される。)
【0025】
回動用連結部材60は、前記上部支持部材2の上壁22、下壁23間の内面上下に位置する上下回動用突壁601、602と連結用壁603等からなり、上下回動用突壁601、602には前記連結孔220、230に対応して回動用孔604、605が形成され、連結ピン600を、連結孔220、230、回動用孔604、605に挿通し、抜け止めピン606にて抜け止めを行ない上部支持部材2と連結される。
すなわち、レール部材6の開放側端部は戸枠10(上支持部材2)に回動自在に連結される。
【0026】
ラッチ係合部材64は、レール部材6の閉鎖側端部に固着される連結固着部640と、連結固着部の閉鎖側に連結され、上部保持部材5に取り付けられたラッチ部材4に係脱自在となる係合軸部641と、係合軸部641の閉鎖側端部に回転自在に設けられたゴム製の圧接用ローラー642等より構成され、ラッチ部材4との係止状態で、上部保持部材5に保持された状態となる。
【0027】
上部保持部材5は、 閉鎖側縦枠11の上部内面にネジ止め連結される連結用側壁51と、連結用側壁51の室内側端部から開放側に突出する突出壁52と、突出壁52の開放側端部の上半部から室内側に突出するラッチ部材連結用壁53と、突出壁52の開放側端部の下半部から開放側に突出するレール材保持用突出壁54と、連結用側壁51と突出壁52の下半部内面に固着され、圧接用ローラー642を支持するローラー支持壁55と、ローラー支持壁55の室外側前端部から下方に傾斜突出する案内傾斜壁56と、ローラー支持壁55の開放側端部から開放側に突出するラッチ部材支持壁57等より構成されている。
【0028】
そして、連結用側壁51には上下方向に所定間隔を有して、上部保持部材5の取付高さの調節が若干可能なように上下方向の長孔510、510が形成され、突出壁52の室外側面には、レール部材6がラッチ部材4に係止された状態でレール部材6がガタつかないよう、
前記圧接用ローラー642の端面が圧接するゴム製のローラー当り521が取り付けられ、ラッチ部材連結用壁53の開放側面には、ラッチ部材支持壁57の上方に位置してラッチ部材4が回動自在に連結され、ラッチ部材連結用壁53の閉鎖側縦枠11側の面には逆L字形のバネ取付座58が連結されている。
そして、ラッチ部材4にレール部材6が係止された状態(係合軸部641がラッチ部材4に係合された状態)で、レール材保持用突出壁54の室外側面に吸着する磁石59が、ラッチ係合部材64の連結固着部640の閉鎖側端面に設けられ、ラッチ部材4と係合軸部641に係合状態が解除されても、レール部材6が不測に回動するのを防止している。
【0029】
ラッチ部材4は、ラッチ部材連結用壁53に回動自在に連結され、室外側端部の下端部に前記係合軸部641に係止する係止部411が形成された連結用係止片41と、連結用係止片41の上端部で開放側に突出する操作用突片42より構成され、操作用突片42の
室内側端部とバネ取付座58の上端部間に引張りバネ43が配設され、ラッチ部材4は常に係合軸部641に係止する方向に回動するよう付勢されている。
符号412は、連結用係止片41の室外側端面に形成された室外側が上方に傾斜する傾斜操作面を示している。
【0030】
そして、ラッチ部材4と係合軸部641の係止状態は操作部45によって解除される。
操作部45は、押上げ操作部材46と、押上げ操作部材46を上下動可能に保持する操作用保持部材47と、押上げ操作部材46を操作するための操作孔48より構成されている。
押上げ操作部材46は、上端にラッチ部材4方向(室内側方向)に突出し、操作用突片42の室外側端部の下方に位置する押上げ突片461と、押上げ突片461の室外側端部で下方に延設された垂下片462と、垂下片462の下端部で室内側に突設された操作突片463と、垂下片462の開閉側端部で室内側に突出する補強突片464、464より構成されている。
【0031】
操作用保持部材47は、レール部材6の室外側に設けられた表面部材90の裏面の所定位置(ラッチ部材4が位置する個所)に固着され、前記垂下片462と、補強突片464、464の上下方向の中央部分を保持しており、操作孔48は表面部材90の下面で操作突片463の下面が臨む位置に形成されている。
【0032】
そして、非常時には、操作孔48より指やドライバー等を差し込んで先端を操作突片463の下面に当接させ上方に押し上げると、押上げ部材46は上方に移動し、同時に押上げ突片461は引張りバネ43の弾性に抗して操作用突片42の室外側端部を押上げ、係合軸部641と係止部411の係止状態を解除し(図10に示す状態。)、レール部材6の閉鎖側端部を磁石59の吸着力に抗して室外側に引き出すと、レール部材6は、第2扉75の案内用部材8を案内溝610内に嵌合した状態で第1扉7と共に、連結ピン600を回動中心として室外側に回動され(図3に開放途中の状態を示す。)、第1扉7、第2扉75は室外側に開放された状態となり、室内の急病人等の救出を行なうことができる。
又、室内側から第2扉75が施錠された状態であっても、施錠用係止部93がレール部材6に設けられているので、第2扉75は施錠状態で、第1扉7とともに室外側に開放されるので、室内の急病人等の救出を手早く行う事ができる。
【0033】
一方、レール部材6が室外側に回動した状態で、ラッチ部材4の連結用係止片41の下面は、引張りバネ43の弾性力によって、ラッチ部材支持壁57に当接した状態が維持され、室外側に回動したレール部材6が、再び室内側に回動するとき、係合軸部641が傾斜操作面412に当接し、引張りバネ43の弾性力に抗して、ラッチ部材4を図11において反時計廻りの方向に回動させ、再び係合軸部641を係止部411の係止させる。
尚、実施例では、押上げ操作部材46によって、ラッチ部材4を操作しているが、押上げ操作部材がなくても操作孔48から丸棒等で直接ラッチ部材4を押し上げるように操作しても良い。
【0034】
前記案内用部材8は、第2扉75の開閉方向の略中央部に上方に突出して取り付けられたローラー支持部材81と、ローラー支持部材81の上端面に回転自在に支持され、レール材6の案内溝610に嵌合する案内ローラー82と、ローラー支持部材81の起立面811の室外側面に、室外側方向に突出して連結された上向きコ字形のローラ連結座80と、
ローラ連結座80に連結された室内側に支持ローラー83を有するレール支持用部材84と、ローラ連結座80の室外側に連結され、上端部にリニアモーターの可動子86が連結された可動子連結座85等より構成されている。
そして、支持ローラー83の端面で案内支持部材61の下面を支持することにより、レール部材6が室外側に回動した時、閉鎖側の端部が下方に変移するのを防止している。
符号87は、リニアモーターの可動子86に対応して、上部補強部材63の室外側に固定子連結座88を介して設けられた、リニアモーターの可動子86に対応するリニアモーターの固定子を示している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】折れ戸の正面略図
【図2】折れ戸を開放した状態の平面略図
【図3】レール部材と、第1扉と、第2扉を室外側に回動する途中の平面略図
【図4】表面部材を外した状態の折れ戸の上部正面略図
【図5】折れ戸の室外側で開放側縦枠側の分解斜視図
【図6】図1のA―A線要部拡大断面図
【図7】図1のB―B線要部拡大断面図
【図8】図6のC−C線断面図
【図9】図6のD−D線拡大断面図
【図10】ラッチ部材とレール部材の係止状態が解除された状態の要部断面図
【図11】レール部材と、第1扉と、第2扉を室外側に回動した状態の要部断面図
【符号の説明】
【0036】
1 折れ戸
10 戸枠
4 ラッチ部材
45 操作部
46 押上げ操作部材
48 操作孔
6 レール部材
7 第1扉
75 第2扉
8 案内用部材
9 施錠装置
91 施錠杆
93 施錠用係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉と、第2扉の上端部に設けられた案内用部材が、戸枠に配設されたレール部材に沿って案内され、第1扉と第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部は戸枠に係脱自在に保持され、非常時には、レール部材を第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能とした折れ戸の非常時開放装置において、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられている事を特徴とする折れ戸の非常時開放装置。
【請求項2】
開放側端部が戸枠に回動自在に支持された第1扉と、第1扉の閉鎖側端部に開放側端部が折り畳み自在に連結された第2扉と、第2扉の上端部に設けられた案内用部材が、戸枠に配設されたレール部材に沿って案内され、第1扉と第2扉の連結部分が室内側に突出しながら2つ折りになって開放され、レール部材の開放側端部は戸枠に回動自在に連結され、レール部材の閉鎖側端部はラッチ部材を介して戸枠に係脱自在に保持され、ラッチ部材を操作するための操作部が室外側に臨んで設けられ、ラッチ部材は、室外側からの操作によってレール部材と戸枠の係止状態を解除して、レール部材を第1扉、第2扉と共に室外側に回動可能とした折れ戸の非常時開放装置において、第2扉の閉鎖側端部に施錠装置がもうけられ、施錠装置の施錠杆は、施錠状態で上端部が第2扉の上端面から上方に突出し、施錠杆に上端部に係止する施錠用係止部が、施錠杆の室外側に位置してレール部材に設けられている事を特徴とする折れ戸の非常時開放装置。
【請求項3】
操作部は、ラッチ部材の下方に位置して、直接ラッチ部材の操作が可能な操作孔より構成されていることを特徴とする請求項2に記載の折れ戸の非常時扉開放装置。
【請求項4】
操作部は、ラッチ部材の下方に位置してラッチ部材を操作する押上げ操作部材と、押上げ操作部材の下方に位置する押上げ操作部材を操作する為の操作孔を有していることを特徴とする請求項2に記載の折れ戸の非常時扉開放装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−46886(P2009−46886A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214217(P2007−214217)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】