説明

折刃式クレーパー

【課題】 従来のスクレーパーは刃が摩耗してエッジがなくなった時に、スクレーパー本体、又は刃を取り替えなければならなかった。又、刃の固さを変えるには、スクレーパーを取り替える必要があった。
【解決手段】 刃を折刃式の替え刃とすることにより、容易に新しいエッジを創出することが出来る。又、刃の固さを変えるには、材質を変えた替え刃を用意すれば、簡便に変更が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差し替え可能な折刃式スクレーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からスクレーパーは、対象物表面の付着物や突起を除去し、表面を平坦にする作業に用いられており、刃の部分が金属製のスクレーパーとプラスチック製のスクレーパーがある。金属製のスクレーパーは柄の部分と刃の部分が一化したもの、又は、柄の部分と刃の部分が分かれていて、刃を差し替えて使用するものがある。一方、プラスチック製のスクレーパーは柄の部分と刃の部分が一体化したものがある。
【0003】
これらのスクレーパーは、除去作業の繰り返しにより、刃先端が摩耗しエッジがなくなり除去性能が劣化すると、新しいスクレーパーに取り替えるか、又は、刃の部分のみを差し替える必要があった。
【0004】
更に、対象物表面の母材の固さや付着物の種類により、金属製のスクレーパーとプラスチック製のスクレーパーを使い分けられていた。即ち、一般的に母材が固い場合には金属製の刃のスクレーパー、軟らかい場合にはプラスチック製の刃のスクレーパーが使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来のスクレーパーにおいて、柄の部分と刃の部分が一体となっているスクレーパーの場合には、刃が摩耗してエッジがなくなるとスクレーパー全体を取り替える必要があった。又、刃の部分を差し替え出来るスクレーパーの場合には、刃を取り替える必要があった。
【0006】
又、刃が摩耗した時、スクレーパーの刃のエッジを作り出すために、刃を研ぐ、又は、スクレーパー全体をを取り替える、又は、刃を差し替えをする、のいずれかをする必要があった。
【0007】
更に、対象物の母材の材質や付着物の種類によって、刃の固さを変える必要がある時には、スクレーパー本体を取り替える必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明の折刃式スクレーパーは、替え刃式の刃と、刃を保持するためのホルダーと、刃の前後移動と固定をするためのスライダーと、刃の先端を折り取るための折具で構成されている。
【0009】
刃は帯状の板で構成され、その表面には、先端より一定巾毎に容易に直線状に折取りを可能ならしめる折溝が予め付与されている。
【0010】
ホルダーは内部に刃の案内通路が形成され、その通路の上壁にはスライダーの通り溝とスライダーのストッパーが嵌る窪みが設けられている。
【0011】
スライダーは、刃と連結して刃を移動し、固定するために具備されている。
【0012】
折具は、通常はホルダーの後端に保持されており、刃を折取る時にホルダーから外して、刃の先端を折取るために具備されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクレーパーの先端が摩耗してエッジがなくなった場合、刃の先端を折具を用いて折取ることが出来るので、容易に新しいエッジを創出することが出来る。これによりスクレーパーは簡便にスクレーパーの削除能力を回復することが出来る。
【0014】
又、刃の折取り部分がなくなった時には、新しい替え刃と取り替えれば良いので、スクレーパー本体を取り替える必要はなくなる。刃以外は継続的に使用することが出来るので、無駄がなくなり経済的にも寄与することが出来る。
【0015】
対象物表面の固さや付着物の種類により、スクレーパーの刃の固さを変える必要がある場合には、予め種々の材質で刃を作っておけば、一々スクレーパー本体を取り替える必要はなく、刃のみを交換すれば、容易に作業に適した刃の使用が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。図1において、ホルダー1の内部は断面形状が四角形の案内通路1aを形成し、該案内通路1aの上壁面には、スライダー2の通路をなす段1bが設けられており、ホルダー1の上壁にはスライダー2のプッシュボタン2cが通過するスライダーの通路1cが設けられ、該通路1cの両側にはスライダー2のストッパー2dが嵌る窪み1cが設けられている。スライダー2と刃3は連結した状態で、前後移動することができる。又、ホルダー1の後端には折具4が嵌め込まれている。
【0017】
図2において、スライダー2は、弾性板2aとピン2bと突き当て2cとストッパー2dとプッシュボタン2eが溶着又は一体で構成されている。弾性板2aの前端側下面にはピン2b、後端側上面にはストッパー2d、該ストッパー2dの上面中央にはプッシュボタン2e、更に、該プッシュボタンを押しつけた時に弾性板2aの後側が充分撓める位置に突き当て2cが設けられている。刃の材質はプラスチックのように軟らかい材質から、鋼のように固い材質まで使用することが出来るが、鋼の場合については後述する。刃3にはピン穴3aが穿けられており、刃3の上面には作業中に刃が容易に折れない程度の深さで折溝3bが複数設けられている。スライダー2と刃3はそれぞれに設けられているピン2aとピン穴3aが緩嵌合して一体となる。スライダー2のストッパー2dをホルダー1の窪み1cに嵌めることにより、刃3を適当な位置で固定することができ、プッシュボタン2eを押し下げることにより、ストッパー2dはホルダー1の突起1eをくぐり抜けて、前後移動が出来る。更に、スライダー2の突き当て2cは、付着物の除去作業中に刃3から押力が加わった時にその力を受ける面となる。
【0018】
図3において、折具4には刃3の先端部を挿入する刃挿入穴4aが設けられており、もう一方の端面にはホルダー1の後端に嵌合する挿入部4bが設けられている。該挿入部4bには保持突起4dが設けられており、ホルダー1の側壁に設けられた窪み1fの位置に合致し、折具4がホルダー1から脱落するのを防止する。スリット4cは折具4を挿入するときのたわみ代である。
【0019】
図4において、折具4の刃挿入穴4aは刃3の折溝3bの間隔と同等の深さで、刃3の先端をこの刃挿入穴4aに挿入して折溝を広げるように力を加えると、容易に溝に沿って直線状に折れ、折れた端面には大略直角の新しいエッジが出来る。
【0020】
図5において、刃5は鋼等の材質で、薄い板の時のものである。ピン穴5aと折溝5bが設けられている。鋼のように固い材質の刃では剛性が大きいために、軟らかい材質の刃より薄くても十分である。図6において、薄い刃5ではホルダー1の通路1aに間隙が生ずるので、間隙を埋めるためにスペーサー6を示している。該スペーサー6には、スライダー2が移動する時に、ピン2bと突き当て2cが干渉しないように逃げ空間6aが必要となる。更に、スペーサー6にはホルダー1から容易に脱落しないように突起6bが設けてあり、ホルダー1の側壁にスペーサー用窪み1gに嵌り、スペーサー6の脱落を防止する。
【0021】
図7において、折具4の穴4aは薄い刃5の先端を折り取る時に生ずる間隙を埋める、折具スペーサー7を示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示す折刃式スクレーパーの斜視図である。
【図2】同折刃式スクレーパーのスライダーと替え刃を示す斜視図である。
【図3】同折刃式スクレーパーの折具の装着状態の説明図である。
【図4】同折刃式スクレーパーのホルダーの先端部と折具の図である。
【図5】同折刃式スクレーパーの鋼の替え刃の斜視図である。
【図6】同折刃式スクレーパーのスペーサーの斜視図である。
【図7】同折刃式スクレーパーのスペーサー使用時のホルダーと折具の図である。
【図8】同折刃式スクレーパーの折具使用するスペーサーの斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ホルダー
1a 案内通路
1b 段
1c スライダーの通路
1d 窪み
1e 突起
1f 折具用窪み
1g スペーサー用窪み
2 スライダー
2a 弾性板
2b ピン
2c 突き当て
2d ストッパー
2e プッシュボタン
3 刃
3a ピン穴
3b 折溝
4 折具
4a 刃挿入穴
4b 挿入部
4c スリット
4d 保持突起
5 刃(鋼)
5a ピン穴
5b 折溝
6 スペーサー
6a 逃げ空間
6b 突起
7 折具スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の板材に予め折溝を付与した差し替え可能な刃と、刃先端を折取るための折具を有した折刃式スクレーパー。
【請求項2】
帯状のプラスチックの板材に予め折溝を付与した差し替え可能な刃と、刃先端を折取るための折具を有した折刃式スクレーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−68609(P2007−68609A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256067(P2005−256067)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(301003470)大業理研株式会社 (3)
【Fターム(参考)】