説明

拡大表示可能な内視鏡装置および観察装置

【課題】拡大観察において有益な診断を行う。
【解決手段】ビデオスコープを備えた電子内視鏡装置において、スケールフィルタ14をCCD16と対物光学系12との間に配置し、クランク機構によって、光路上あるいは退避位置へ選択的に位置決め可能にする。拡大観察レバーが操作されると、カム筒19の回転によって対物光学系12とCCD16を離間させるようにスライド移動させ、CCD16を保持するCCD保持枠33の移動に応じて、スケールフィルタ14を退避位置から光路上へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズによって拡大表示画像を表示可能な内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的に拡大表示画像を生成可能な内視鏡装置では、ズームレンズが内視鏡先端部に設けられており、対物光学系を保持するレンズ保持枠を移動させることによってズーム操作を行う。レンズ保持枠は、牽引用ワイヤを介して内視鏡の操作部に設けられた拡大観察レバーと接続されており拡大観察レバーの操作に合わせて牽引用ワイヤが引っ張られると、内視鏡先端部に配置されたカム機構によって、レンズ保持枠が光軸方向に沿って移動する。これにより、拡大表示画像がモニタに表示される(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平11−42202号公報
【特許文献2】特開平11−42203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
病変部の大きさを計測する場合、スケールの刻まれた鉗子を別途内視鏡に挿入する必要があり、煩雑な作業を伴う。また、拡大表示において、血管を強調した画像を表示する等、拡大表示画像に対して通常表示画像とは異なった画像の表示が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の内視鏡装置は、光学的に拡大画像を表示可能な内視鏡装置であり、ファイバスコープなどの内視鏡装置、あるいは撮像素子を備えたビデオスコープを使用する電子内視鏡装置などであり、拡大表示に合わせて光学的フィルタ処理を施した拡大表示画像を生成可能である。
【0005】
本発明の内視鏡装置は、拡大表示のため操作され、例えばレバーなどで構成される拡大観察操作部材と、ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、撮影光学系と被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、拡大表示のため、ズームレンズを被写体像形成面に対し光軸に沿って駆動するズーミング手段と、フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備える。電子内視鏡装置では、撮像素子の受光面に被写体像が形成され、ファイバスコープの場合、イメージガイドの端面に被写体像が形成される。ズーミングに関しては、撮影光学系のみを移動させてもよく、あるいは撮像素子を移動させ、あるいは両方を移動させるように構成してもよい。
【0006】
本発明では、フィルタ駆動機構が、拡大表示のため拡大観察操作部材が操作されると、フィルタを退避位置から光路上へ移動させることを特徴とする。フィルタとしては、拡大観察に利用可能なフィルタであれば何でもよい。例えば、拡大画像に表示される病変部のサイズ等を知りたい場合、スケールの刻まれたフィルタを配置するのがよい。また、血管を診断する場合、血管が強調されるようなフィルタを配置すればよい。拡大観察時において診断目的を達成させるためのフィルタがズーム操作に合わせて光路上に配置されることによって、拡大操作を行っていない通常観察での画像(通常表示画像)とは異なった拡大表示画像が表示される。
【0007】
例えば、ズーミング手段が、拡大表示のため操作される拡大観察操作部材に連結され、対物光学系を移動させる牽引ワイヤを用いる場合、フィルタ駆動機構は、牽引ワイヤに一端が取り付けられ、牽引ワイヤが牽引されると引っ張られるフィルタ用ワイヤと、フィルタ用ワイヤの動きに応じてフィルタを光路上に配置させるフィルタ配置機構とを備える。
【0008】
内視鏡先端部のサイズ、特に光軸方向の長さを短くするようにフィルタを退避させるのが望ましい。したがって、例えば、ズーミング手段が、被写体像形成面を対物光学系から離間する方向へ移動させる場合、フィルタを、通常観察時において、被写体像形成面と撮影光学系との間に配置される光学系の下側もしくは上側に退避させ、フィルタ駆動機構が、被写体像形成面の移動に合わせてフィルタを光路上に配置させるのがよい。
【0009】
スケールのフィルタを使用する場合、拡大倍率に合わせて表示される被写体像の大きさは変化するが、フィルタに形成されたスケールの大きさは変化しない。したがって、拡大倍率の変化に応じた画面上のスケールのサイズを観察者に知らせるため、拡大表示のため操作される拡大観察操作部材の操作量であって、拡大倍率と対応関係にある操作量を検出する検出手段と、検出された操作量に基づいて拡大倍率を算出する算出手段と、算出された拡大倍率に基づいて拡大画像とともに画面に表示されるスケールのサイズを表示する表示手段を設けるのが望ましい。
【0010】
本発明のスコープは、ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、撮影光学系と被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、拡大表示のため、ズームレンズを被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させるズーミング手段と、フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備え、フィルタ駆動機構が、拡大表示に合わせてフィルタを光路上へ移動させることを特徴とする。
【0011】
本発明の観察装置は、ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、撮影光学系と被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、拡大表示のため、ズームレンズを被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させるズーミング手段と、フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備え、フィルタ駆動機構が、拡大表示に合わせてフィルタを光路上へ移動させることを特徴とする。
【0012】
本発明の観察方法は、ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、被写体像形成面との間に退避可能にフィルタを配置し、拡大表示の場合、ズームレンズを被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させ、フィルタを、拡大表示に合わせて退避位置から光路上へ移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、拡大観察において有益な診断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【0016】
電子内視鏡装置は、ビデオスコープ10とプロセッサ100とを備え、ビデオスコープ10は着脱自在にプロセッサ100に接続される。ビデオスコープ10の先端部10Aには、CCD16が配置されており、対物光学系(撮影光学系)12を通った光は、スケールフィルタ14を介してCCD16の受光面に到達する。電子内視鏡装置は、拡大観察可能な内視鏡装置であり、対物光学系12を相対的に光軸に沿って移動させることにより、ズーミングが可能である。また、スケールフィルタ14は、後述するように、光路上もしくは光路から退避した位置へ選択的に配置される。
【0017】
被写体像がCCD16の受光面16Aに形成されると、被写体像に応じた画像信号がCCD16から読み出され、プロセッサ100の信号処理回路102へ送られる。信号処理回路102では、ホワイトバランス処理、色変換処理など様々な処理が画像信号に対して施され、その結果、映像信号が生成される。映像信号は、プロセッサ100に接続されたモニタ120へ送られ、これにより、被写体像がモニタ120へ表示される。なお、モニタに出力された画面を外部記憶装置(磁気記録装置やCFカード)やプリンターなどのハード記録をとることも可能である。
【0018】
システムコントロール回路104は、プロセッサ100の動作を制御し、信号処理回路102等へ制御信号を出力する。CRTC(CRT Controller)106は、キャラクタ信号を出力する。システムコントロール回路104からキャラクタコードに応じたデータが送られてくると、キャラクタ信号が所定のタイミングで出力され、映像信号とともにキャラクタ信号がモニタ120へ出力される。これにより、モニタ120に文字情報等が被写体像に対してスーパーインポーズ表示される。
【0019】
ビデオスコープ10の操作部には、拡大観察レバー(ここでは図示せず)が取り付けられており、ビデオスコープ10に設けられた移動量検出部18が操作量を検出する。後述するように、システムコントロール回路104は、拡大観察レバーの操作量の検出信号に基づいてスケールのサイズ(長さ)をモニタ120へ表示させる。
【0020】
図2は、ビデオスコープ10の先端部10Aの概略的断面図である。図3は、ビデオスコープ10の操作部の内部構成を概略的に示した図である。
【0021】
先端部10Aは、硬性の先端部本体10Bと、先端部本体10Bの外周面に取り付けられた湾曲部10Cとから構成されており、湾曲部10Cは、複数の節輪を回転自在に連結させた構造になっている。ビデオスコープ10の操作部に設けられた湾曲用レバー(図示せず)の操作に従って湾曲部10Cが上下左右に湾曲する。先端部本体10Bの一部および湾曲部10Cは、ゴム製チューブ11によって被覆されている。
【0022】
先端部本体10Bは、軸方向に沿って設けられた孔に外部固定筒15が挿嵌された構造になっており、外部固定筒15は、先端部本体10Bに固定されている。そして、外部固定筒15の内部には、スリット状のカム溝19B、19Cがそれぞれ形成されたカム筒19が軸Eに対して同軸的に挿入され、さらにカム筒19内部には、内部固定筒29が同軸的に嵌挿されている。
【0023】
先端部本体10Bの先端面13には、密閉性を維持するようにカバーレンズ22が取り付けられ、カバーレンズ22は、内部固定筒29の一端29Bによって覆われている。内部固定筒29の一端29Bは前面蓋24とカバーレンズ21との間に嵌挿され、前面蓋24は外部固定筒15、および内部固定筒29の一端29Bに対して一体的に固定されている。また、内部固定筒29の他端29Aも、先端部本体10Bに固定されている。したがって、内部固定筒29は先端部本体10Bに固定されている。
【0024】
一方、カム筒19は、内部固定筒15に対して回転自在に装着されており、外部固定筒15とカム筒19の間には、軸Eに沿ってスライド可能なスライド筒17が装着されている。カム筒19は、スライド筒17に対しても回転自在である。内部固定筒29の他端29Aとスライド筒17との間には、圧縮コイルバネ27がカム筒19を囲むように装着されている。また、スライド筒17には、カム溝19Cに係合するピン32が、内側へ向けて頭部を突出させた状態でねじ込み固定されている。
【0025】
図3には、ビデオスコープ10の操作部における内部構成が概略的に示されており、操作ワイヤ(牽引ワイヤ)26は、拡大観察レバー62と連結し、拡大観察レバー62の操作に合わせて牽引される。操作ワイヤ26の先端部は、図2に示すように、スライド筒17に設けられた固定環17Aによって固定されており、操作ワイヤ26は、外部固定筒15に沿って固定された案内管(図示せず)を通ってビデオスコープ10の操作部まで延びている。
【0026】
図3に示すように、拡大観察レバー62は、操作部軸60廻りに回転可能であり、図の左側に向けて(時計回りに)回転させると、操作ワイヤ26が操作部の方向へ引っ張られる。拡大観察レバー62の基端部は操作部軸60に対して螺合し、拡大観察レバー62を時計回りに回転させると、拡大操作レバー62の下方にある摩擦板64と係止し、操作ワイヤ26の牽引状態がロックされる。一方、右側へ向けて(反時計回りに)回転させると、ロック状態が解除され、操作ワイヤ26の牽引が解除される。
【0027】
操作ワイヤ26は、拡大観察レバー62の基端部65に巻かれて固定されており、操作ワイヤ26の先端には、ひずみゲージ66が取り付けられている。操作ワイヤ26が牽引されると、ひずみゲージ66の値が変化し、図1に示す操作量検出器18がひずみゲージ66の変化量を検出する。
【0028】
図2に示すように、カム筒19の内部にはレンズ枠28Aに収められた対物光学系12が設けられており、筒状のレンズ保持枠28がレンズ枠28A、すなわち対物光学系12を保持している。レンズ保持枠28は内部固定筒29に対して同軸的に装着されており、対物光学系12の光軸は軸線Eと一致する。レンズ保持枠28には、カム筒19のカム溝19Bに係合するピン30が内側へ突出させた状態でねじ込み固定される。レンズ保持枠28は、軸Eに沿って先端面13に向けて移動可能であり、内部固定筒29には、ピン30のスライド方向に沿ってスリット29Cが形成されている。
【0029】
レンズ保持枠28の後方には、CCD16を保持する筒状のCCD保持枠33が内部固定筒29に対し同軸的に嵌挿されており、CCD保持枠33とレンズ保持枠28との間には、両者を離間させる方向へ付勢する圧縮バネ34が装着されている。CCCD保持枠33は、内部固定筒29に対して摺動自在に嵌挿されている。なお、カム筒19の外周に沿って装着された圧縮バネ26の弾性力は、内部固定筒29の内周に沿って装着された圧縮バネ34の弾性力よりも大きい。
【0030】
CCD16の受光面16Aはカバーガラス34Aによって覆われ、カバーガラス34Aの全面にはYAGカットフィルタ36が配置されている。CCD16は、バッファ回路38を搭載したフレキシブル基板40に接続されており、フレキシブル基板40は、被覆チューブ44内を通る信号ケーブル42に接続されている。
【0031】
CCD16およびフレキシブル基板44の外周には絶縁テープ45が巻かれており、筒状の導電性のシールド筒46がその外側に被覆されている。シールド筒46は、CCD保持枠33にねじ込まれた固定ネジ48によってCCD保持枠33に固定されている。
【0032】
YAGカットフィルタ36の下方には、拡大観察に使用されるスケールフィルタ14が退避位置で配置されており、スケールフィルタ14は、CCD保持枠33の内部を貫通するワイヤ47の一端に取り付けられている。ワイヤ47の他端は、牽引ワイヤ26に巻き付けられており、牽引ワイヤ26が引っ張られると、それに従ってワイヤ47が引っ張られる。
【0033】
図4は、スケールフィルタ14を正面および横から見た平面図である。図5は、スケールフィルタ14の駆動機構を示した図である。なお、図2には、スケールフィルタ14の駆動機構は図示されていない。
【0034】
図4に示すように、スケールフィルタ14の表面には、同心円状に等ピッチ間隔で複数の円を描くラインが刻まれており、モニタ120に表示される観察画像には、この模様が重ねて表示される。
【0035】
図5に示すように、スケールフィルタ14は、クランク機構50によって光路上および退避位置へ選択的に配置される。クランク機構50は、ロッド52、54、56と、ピン51、53、58とを備え、ロッド52は、ピン51によってロッド54と連結し、ピン53とロッド56は、CCD保持枠33に固定されている。ロッド52はピン53を軸として回転自在であり、また、ロッド54は、ピン51を軸として回転自在である。
【0036】
ロッド56の周囲には、結合部59が摺動可能に装着されており、ロッド56がガイド板となって結合部59が直線的に移動する。ロッド52は、対物レンズ側へバネ(図示せず)によって付勢されており、ワイヤ47が牽引されていない状態ではスケールフィルタ14は退避位置で位置決めされる。上述したように、牽引ワイヤ26の進退に従ってワイヤ47が進退し、ワイヤ47が引っ張られると、ロッド54が動き、ロッド52は回転運動する。これにより、スケールフィルタ14は、退避位置から光軸状の位置へ移動する。ワイヤ47の引っ張りが解除されると、バネの復元力によってスケールフィルタ14は図2に示す退避位置へ移動する。なお、図5では、スケールフィルタ14がCCD側まで倒れ込む位置まで移動しているが、実際には、ワイヤ47の制限により、退避位置から90度、すなわち光軸に垂直な位置までしか移動しない。
【0037】
図6は、拡大観察時のビデオスコープ10の先端部10Aの概略的断面図である。
【0038】
図2に示すカム筒19の外周面に形成されるカム溝19B、19Cは、軸Eに対して傾斜方向、すなわち軸Eの螺旋方向に沿って、それぞれ所定距離の長さだけ延びている。カム溝19B、19Cの延びる方向、および溝長さは、拡大観察のために対物光学系12が軸Eに沿ってスライドする距離範囲に従って定められている。
【0039】
図2に示す拡大観察レバー62が操作されて操作ワイヤ26が引っ張られると、操作ワイヤ26に取り付けられたスライド筒17が操作部方向へ引っ張られる。カム筒19は回転自在であるため、カム筒19がスライド筒17のピン32とカム溝19Cとの係合によって回転しながら、スライド筒17がビデオスコープ10の操作部へ向けてスライドする。
【0040】
カム筒19が回転することにより、レンズ保持枠28のピン30がカム溝19Bに沿って係合しながら軸Eに沿ってスライドし、対物光学系12が先端面13に向けて移動する。圧縮バネ34は、レンズ保持枠28とCCD保持枠33とを離間させるように付勢しているため、レンズ保持枠28の移動に伴い、CCD保持枠33がビデオスコープ10の操作部の方向に向けてスライドする。これにより、対物光学系12とCCD16との距離間隔が大きくなる(図6参照)。一方、操作ワイヤ26に巻き付けられたワイヤ47が引っ張られると、図2に示すクランク機構50がスケールフィルタ14を光路上に倒立させる。このとき、CCD保持枠33の移動に合わせてスケールフィルタ14が瞬時に光路上に配置されるように、スケールフィルタ14の位置が定められている。
【0041】
拡大観察状態では、カム筒19周囲に装着された圧縮バネ26が圧縮されており、スライド筒17を先端面13の方向へ付勢している。したがって、操作ワイヤ26のロック状態が解除されると、カム筒19が回転しながらスライド筒17は軸Eに沿って元の位置まで移動する。そして、レンズ保持枠28、CCD保持枠33も、スライド筒19の移動に伴って元の位置へ復帰する。一方、ワイヤ47の牽引が解除されると、クランク機構50によってスケールフィルタ14は退避位置へ移動する。
【0042】
拡大観察レバー62は任意の位置でロックさせることが可能であり、対物光学系12とCCD16との距離間隔は、通常観察時の距離間隔(拡大倍率=1)から最も離間させた位置(最大拡大倍率)の範囲のいずれかに定められる。したがって、拡大観察レバー62の操作に応じて拡大倍率が連続的に変化し、拡大観察レバー62のロックされた位置に応じた拡大倍率が設定される。
【0043】
図7は、拡大観察時におけるスケールのサイズ表示処理を示したフローチャートである。図8は、拡大画像を示した図である。
【0044】
拡大観察レバー62が操作されると、ステップS101では、ひずみゲージ66の変化量、すなわち操作量(ワイヤの牽引量)が移動量検出部18によって検出される。そして、ステップS102では、検出された操作量に基づいて、拡大倍率が算出される。
【0045】
ステップS103では、算出された拡大倍率に基づき、拡大画像に合わせて表示されるスケールのピッチサイズ、すなわち基準スケールのサイズが算出される。そして、ステップS104では、基準スケールのピッチサイズを表す文字情報をモニタ120の所定の位置へ表示するように、表示処理が実行される。
【0046】
図8に示すように、拡大観察表示においては、スケールフィルタ14が光路上に配置されるため、等しいピッチ間隔の同心円が拡大画像とともに表示される。拡大観察レバー62の操作量に応じて拡大倍率は変化するが、画面上での同心円状スケールのピッチ間隔Pは変化しない。本実施形態では、拡大倍率の変化に応じてピッチ間隔の数値NPを変えていく。
【0047】
このように本実施形態によれば、スケールフィルタ14がCCD16と対物光学系12との間に配置されており、クランク機構50によって光路上あるいは退避位置へ選択的に位置決めされる。そして、拡大観察レバー62が操作されると、対物光学系12とCCD16の光軸に沿った移動に合わせてスケールフィルタ14が退避位置から光路上へ移動する。
【0048】
なお、スケールフィルタの代わりに、450nm付近の波長をもつヘモグロビンを強調するようなフィルタを適用してもよい。また、拡大観察に使用可能なそれ以外のフィルタを適用してもよい。フィルタの位置決めに関しては、クランク機構以外の構成、例えばバネなどの弾性部材を利用した構成にしてもよい。拡大観察のため、カム機構以外の構成によって対物光学系を移動させてもよい。
【0049】
次に、図9を用いて、第2の実施形態である電子内視鏡装置について説明する。第2の実施形態では、病変部の大きさを検出する。
【0050】
図9は、第2の実施形態における病変部検出処理を示したフローチャートである。
【0051】
ステップS201〜S203の実行は、図7のステップS101〜S103の実行と同じであり、拡大倍率に基づいて画面上におけるスケールのピッチの長さが検出される。そして、ステップS204では、従来知られたエッジ検出によって病変部の境界ラインが検出され、ステップS205では、病変部の代表的な長さが病変部のサイズとして算出される。算出された病変部のサイズは、モニタ120に表示される。
【0052】
電子内視鏡装置の代わりに、ファイバスコープなど他の内視鏡に適用してもよい。さらには、顕微鏡など内視鏡以外の観察装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】ビデオスコープの先端部の概略的断面図である。
【図3】ビデオスコープの操作部の内部構成を概略的に示した図である。
【図4】スケールフィルタを正面および横から見た平面図である。
【図5】スケールフィルタの駆動機構を示した図である。
【図6】拡大観察時のビデオスコープの先端部の概略的断面図である。
【図7】拡大観察時におけるスケールのサイズ表示処理を示したフローチャートである。
【図8】拡大画像を示した図である。
【図9】第2の実施形態における病変部検出処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 ビデオスコープ
12 対物光学系(撮影光学系)
14 スケールフィルタ(フィルタ)
15 外部固定筒
16 CCD
16A 受光面(被写体像形成面)
17 スライド筒
19 カム筒
19B、19C カム溝
26 操作ワイヤ(牽引ワイヤ)
29 内部固定筒
47 ワイヤ
50 クランク機構(フィルタ駆動機構)
62 拡大観察レバー
100 プロセッサ
120 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大表示のため操作される拡大観察操作部材と、
ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、
前記撮影光学系と前記被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、
拡大表示のため、前記ズームレンズを前記被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させるズーミング手段と、
前記フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備え、
前記フィルタ駆動機構が、拡大表示するため前記拡大観察操作部材が操作されると、前記フィルタを退避位置から光路上へ移動させることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記フィルタが、スケールの形成されたフィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記ズーミング手段が、前記拡大観察操作部材に連結され、前記対物光学系を移動させる牽引ワイヤを有し、
前記フィルタ駆動機構が、
前記牽引ワイヤに一端が取り付けられ、前記牽引ワイヤが牽引されると引っ張られるフィルタ用ワイヤと、
前記フィルタ用ワイヤの動きに応じて前記フィルタを光路上に配置させるフィルタ配置機構とを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記ズーミング手段が、前記被写体像形成面を前記対物光学系から離間する方向へ移動させ、
前記フィルタ駆動機構が、通常観察時において、前記フィルタを、前記被写体像形成面と前記撮影光学系との間に配置される光学系の下側もしくは上側に退避させ、拡大表示による前記被写体像形成面の移動に合わせて前記フィルタを光路上に配置させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記ズーミング手段が、カム機構を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記拡大観察操作部材の操作量であって、拡大倍率と対応関係にある操作量を検出する検出手段と、
検出された操作量に基づいて拡大倍率を算出する算出手段と、
算出された拡大倍率に基づいて拡大画像とともに画面に表示されたスケールのサイズを表示する表示手段とをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
表示される基準スケールのサイズに基づき、エッジ検出によって病変部のサイズを検出する自動寸法検出手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、
前記撮影光学系と前記被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、
拡大表示のため、前記ズームレンズを前記被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させるズーミング手段と、
前記フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備え、
前記フィルタ駆動機構が、拡大表示に合わせて前記フィルタを光路上へ移動させることを特徴とするスコープ。
【請求項9】
ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、
前記撮影光学系と前記被写体像形成面との間に退避可能に配置されるフィルタと、
拡大表示のため、前記ズームレンズを前記被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させるズーミング手段と、
前記フィルタを、光路上もしくは待避位置へ選択的に移動させるフィルタ駆動機構とを備え、
前記フィルタ駆動機構が、拡大表示に合わせて前記フィルタを光路上へ移動させることを特徴とする観察装置。
【請求項10】
ズームレンズを有し、被写体像形成面に被写体像を形成させる撮影光学系と、前記被写体像形成面との間に退避可能にフィルタを配置し、
拡大表示の場合、前記ズームレンズを前記被写体像形成面に対し光軸に沿って相対的に移動させ、
前記フィルタを、拡大表示に合わせて退避位置から光路上へ移動させることを特徴とする観察方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−119025(P2008−119025A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302803(P2006−302803)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】