説明

拡散シート

【課題】輝度ムラを低減できる拡散シートを提供すること。
【解決手段】シートに対して垂直に光線を入射させたときにシートから出射される光の拡散角度が最大を示す第一方向での拡散角度Aと、前記第一方向に垂直な第二方向での拡散角度Bの比が、前記シート面内の全領域において略一定であり、かつ、前記拡散角度A及び前記拡散角度Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート、及び、表面に曲面形状を有する凹部又は凸部が複数設けられた凹凸構造を有する拡散シートであって、凹凸構造のアスペクト比が最大を示す第一方向でのアスペクト比Aと、前記第一方向に垂直な第二方向でのアスペクト比Bとの比が、前記シート面内の全領域で略一定であり、かつ、前記アスペクト比A及び前記アスペクト比Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散シートに関する。特に、液晶表示装置等の後面照明(back lighting)に用いるのに適した拡散シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ノートパソコンなどの幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後にバックライトユニットを配置し、このバックライトユニットからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示する。このような液晶表示装置に用いられるバックライトユニットは、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、バックライトユニットには、光拡散性に優れると共に高い輝度が得られるという光学特性が要求される。
【0003】
バックライトユニットには大きく分けて、直下型光源ユニットとエッジライト型光源ユニットがある。前者は光源を画面の中央など任意に配置できることから、大型の液晶表示装置に適している。
一般に、直下型光源ユニット等の光源ユニットを備えた液晶表示装置では、光源にCCFLなどの線状光源や、LEDなどの点状光源が用いられる。このため、面内で光強度のバラツキがあり、光源近傍とそれ以外で輝度ムラが発生しやすい。
そこで、従来では、光源と拡散性能を有するシートとの間に一定の距離を置き、光源からの光を拡散させ、光強度の面内バラツキを最小にする手法をとっている。
【0004】
近年は、液晶表示装置の薄型化が進み、光源と、該光源光を拡散させるための光学シート(ホログラム導光体等)との間の距離が短くなっている。また、コスト低減及び消費電力低減のため、液晶表示装置の光源数を削減する手法も用いられている。
このように、光学シートと光源の距離が、面内で大きな差のある場合、光強度の面内バラツキが大きいために、輝度ムラが発生する。
【0005】
近年、輝度ムラを軽減させることのできる拡散シートとして、光の拡散度合が異なる複数の拡散層が分布形成されていることを特徴とする拡散シートが存在する(特許文献1)。
この拡散シートは、入射光を拡散出射することで輝度ムラを低減する機能を有し、例えば、少なくとも光源の直上位置にあたる表面部位に第一の拡散層を、また、光源の非直上位置にあたる表面部位に第二の拡散層を分布形成する。その結果、光源近傍の部位では大きな拡散度合で光が出射するため輝度が低減され、光源から離れた部位では小さな拡散度合で光が出射するため輝度の低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−3852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1に開示されている方法は、拡散板の表面凹凸構造をレンズ群あるいはプリズム列で形成するものであるが、レンズやプリズムは拡散形状の自由度に乏しいため、拡散度合いが異なる複数の領域を形成する際には、数種類の異なったレンズ若しくはプリズムパターンの領域を隣接させることになる。こうした場合、パターンの境界でのムラが発生する可能性がある。また、レンズ群あるいはプリズム列は大きさが数十μm以上であり、その配列も規則的になるため、液晶パネルとの間でモアレが発生するという問題もある。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、方向による拡散性能を最適化した、輝度ムラが最良となる拡散シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、拡散シートにおける面内の拡散角度Aとこれと直交する拡散角度Bの関係性に着目し、下記の手段により課題を解決することが出来た。即ち、本発明は次の構成を有するものである。
【0010】
シートに対して垂直に光線を入射させたときにシートから出射される光の拡散角度が最大を示す第一方向での拡散角度Aと、前記第一方向に垂直な第二方向での拡散角度Bの比が、前記シート面内の全領域において略一定であり、かつ、
前記拡散角度A及び前記拡散角度Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート。
【0011】
表面に曲面形状を有する凹部又は凸部が複数設けられた凹凸構造を有する拡散シートであって、
凹凸構造のアスペクト比が最大を示す第一方向でのアスペクト比Aと、前記第一方向に垂直な第二方向でのアスペクト比Bとの比が、前記シート面内の全領域で略一定であり、かつ、
前記アスペクト比A及び前記アスペクト比Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート。
【発明の効果】
【0012】
本発明の拡散シートを用いることで、輝度ムラのない画面を有するバックライトユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の拡散シートの断面形状の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の拡散シートの表面形状の具体例を示す概略図である。
【図3】本発明における第一領域と第二領域を説明する図である。
【図4】本発明の拡散シートを用いた光源ユニットの具体例を示す概略図である。
【図5】本発明の拡散シートと組み合せて使用できる拡散板の表面形状を示す写真である。
【図6】本発明の拡散シートと組み合せて使用できる拡散シートの表面形状を示す写真である。
【図7】拡散角度が一方向に沿って周期的に変化する場合の変化のパターンの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の第一の実施形態の拡散シートについて説明する。
本発明の第一の実施形態の拡散シートは、シートに対して垂直に光線を入射させたときにシートから出射される光の拡散角度が最大を示す第一方向での拡散角度Aと、前記第一方向に垂直な第二方向での拡散角度Bの比が、前記シート面内で略一定であり、かつ、
前記拡散角度A及び前記拡散角度Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化することを特徴とする拡散シートである。
【0015】
本発明においては、拡散シートに対して垂直に光線を入射した場合に、出射される透過光の拡散角度が最大を示す第一方向での拡散角度を拡散角度A、第一方向に垂直な第二方向での拡散角度を拡散角度Bと定義する。ここで、拡散角度Aは拡散角度Bに対し、同じか常に大きい値となる。
尚、前記第一方向は、シート面内で一方向(測定点によらず同じ方向)であることが好ましい。また、例えば、拡散シートの形状が矩形である場合、第一方向はそのいずれか一辺に平行な方向とすることができる。
【0016】
ここで、本発明における拡散角度とは、透過光の出射角度をx軸、輝度をy軸として透過光の輝度の出射角度に対する分布をとったときに、輝度がピーク輝度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう。この拡散角度は、例えば、Photon社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900(以下LD8900)を用いて拡散シート凹凸面の法線方向から、凹凸面側に入射した光の、透過光輝度の出射角度に対する分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シート凹凸面の法線方向とは、(図1の矢印aで示した方向)とする。
【0017】
第一方向は、拡散角度が最大を示す方向である。すなわち、拡散シートに対して垂直に光線を入射したとき、その透過光の出射点を含むシートに対して垂直で第一方向に平行な面で透過光強度の出射角度に対する分布をとって拡散角度を求めた場合に、その値が、第一方向とは別のいずれの方向の面に出光される拡散光について求められる拡散角度よりも大きい。
【0018】
本発明の拡散シートは、拡散角度A及び拡散角度Bがシート面内の少なくとも一方向に沿って周期的に変化し、かつ同一測定点における拡散角度Aと拡散角度Bの比(以下A/Bと記載する)を求めたとき、面内の全領域において略一定である。
ここで、拡散角度A及び拡散角度Bが周期的に変化する方向はシート面内に少なくとも1つあればよい。周期的に変化する方向は、拡散シート面について拡散角度A、拡散角度Bの分布図を作成することにより特定することができる。
拡散角度A、拡散角度Bの周期的な変化における極大値あるいは極小値を示す箇所は、シート面内で点状に分布していても、平行な線状に連なって分布していても良い。極大値あるいは極小値を与える箇所が平行な線状に連なって分布している場合、周期的な変化をする方向と、線状に分布した極大値あるいは極小値とは垂直に交わる。
拡散角度A及び拡散角度Bが周期的に変化する方向は、例えば、拡散シートの形状が矩形である場合には、いずれかの一辺に平行な方向とすることができる。
【0019】
また、ここで言う略一定とは、面内の90%以上の領域でA/Bが、平均値から±0.2の範囲を逸脱しないことを指す。ただし、AはBと同じか常に大きいので、A/Bの平均値が1である場合には、1≦A/B<1.2であっても、A/Bの値が1より小さくなる事はない。
【0020】
また、拡散角度がシート面内の所定の方向に周期的に変化するとは、シート面内の拡散角度が周期的に変化する方向の変位をx、変位xにおける拡散角度をyとしてグラフを作成したときに、同一のパターンがx軸方向に少なくとも二回以上繰り返されることをいう。
ここで、同一のパターンが繰り返されるとは、実質的に同一のパターンが繰り返されていればよく、各パターンの周期、極大値及び極大値を示す箇所(周期の開始点からの変位)、並びに、極小値の値極小値を示す箇所(周期の開始点からの変位)が、それぞれ、全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内)の範囲で一致していれば、同一のパターンが繰り返されていることとする。
図7に、拡散角度が周期的に変化する際の、変化の仕方の具体例を示す。図7(a)〜(f)において、横軸は拡散角度が周期的に変化する方向の変位を示し、縦軸は拡散角度を示す。
【0021】
シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度は、輝度ムラ低減効果および製造コストの観点から、0.1°以上120°以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2°≦A≦100°かつ0.1°≦B≦90°、さらに好ましくは0.5°≦A≦90°かつ0.1°≦B≦80°である。
なお、ここでいう拡散角度とは、特定の方向における拡散角度ではなく、すべての方向における拡散角度をいう。
【0022】
本明細書において、シートの全領域において拡散角度Aと拡散角度Bが等しい(A/B=1)場合を以下等方拡散シートと定義し、シートの全領域において、拡散角度Aと拡散角度Bが異なる(A/B>1)場合を以下異方拡散シートと定義する。本発明の拡散シートは、等方拡散シートでも異方拡散シートでもよいが、製造が容易であり、光の拡散性能をコントロールしやすいという観点から、等方拡散シート(A/B=1)よりも異方拡散シート(A/B>1)の方が好ましい。
【0023】
本発明に用いられる拡散シートは、輝度ムラ低減効果および製造コストの観点から拡散角度Aと拡散角度Bの比が1≦A/B≦30を満たすことが好ましい。より好ましくは1≦A/B≦20であり、さらに好ましくは1≦A/B≦10である。
【0024】
本発明の拡散シートはいかなる方法によって製造してもよい。
例えば、シート上に、拡散角度A及び拡散角度Bの値が異なる複数のエリアを、少なくとも一方向に沿って周期的に配置することによって製造してもよい。この場合、拡散角度A、Bの変化は段階的になる(例えば、図7(e)参照)。
また、シートの拡散角度A、Bを周期的に連続的に変化させてもよい。
【0025】
拡散シートの拡散角度は、拡散シートの屈折率を変化させることにより変化させることができる。(すなわち、本発明の拡散シートは拡散シート中のどこかに、拡散シート面内の拡散角度A及び拡散角度Bを周期的に変化させる方向に屈折率変化を持たせることにより実現できる)。例えば、拡散シートの基材内部に基材とは屈折率の異なる球状あるいは楕円球状の粒子を含有させてもよいし、表面に複数の凹部又は凸部からなる凹凸構造を設けても良い。表面に複数の凹凸構造を設けて拡散シートと成したほうが、シートの厚みを薄くできる。また、拡散角度制御が容易になるため、光源ユニットに組み込んだ場合に、より高い輝度ムラ解消効果を発揮するという点で好ましい。凹凸構造とは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物線状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成される微細な3次元構造であることが好ましい。
なお、本発明において、拡散シート表面とは、拡散シートの側面のうち、面積が最も広い側面(一対の側面)をいう。また、本発明において、表面に凹凸構造を有する拡散シートは、単層層構造のもの(単体)であってもいいし、基材と、その上に形成された拡散層等の多層構造のもの(積層体)であってもよく、拡散シートが、基材と、その上に形成された拡散層を有する積層体である場合、凹凸構造は拡散層に形成することができる。
【0026】
また、本発明の拡散シートを拡散シート表面の凹凸構造によって実現する場合、凹凸構造はシートの入光面、出光面どちらにあっても、あるいは両方にあっても良いが、輝度向上、及び輝度ムラ軽減の観点から、主たる凹凸構造は出光面にあることが好ましく、入射面側が平滑面となっていることがより好ましい。なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、入射面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0027】
拡散シート表面の凹凸構造は、例えば、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成することができる。干渉露光によるスペックルパターンを用いる微細な3次元構造の形成方法は、機械加工では困難であった20μm以下の微細な凹凸構造の形成に適している。特に、非平面スペックルを用いて凹凸を形成する方法は、拡散シート上の領域ごとに、拡散角度を変えるような場合に、適した製法である。また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。この凹凸構造は、モアレ抑制などの観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。
【0028】
この干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸構造を表面に有し、面内において拡散角度Aと拡散角度Bの比が一定で、かつ、拡散角度A及びBが周期的に変化するような拡散シートは、具体的には次のようにして製造することができる。
まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成したサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、所望の拡散角度を示す凹凸構造を記録することができる。
【0029】
一般に、凹凸構造によってもたらされる光拡散の拡散角度は、凹部又は凸部の形状に依存する。前記凹部又は凸部の開口又は底面の形状が等方性であると、凹部又は凸部から構成される凹凸構造を表面に有する拡散シートの拡散角度は方向によらず均一となり、異方性のものであると、拡散角度が方向によって異なる(ただし、各凹部又は凸部が同じ方向に方向性をもち、同じ向きに配置されている場合)。具体的には、各凹部又は凸部の形状が横方向に長い楕円であれば、この楕円が同じ向きに複数個設けられた拡散シートの光拡散分布の形は縦方向の楕円となる。すなわち、縦方向の拡散角度が大きく、横方向の拡散角度が小さくなる。
凹凸構造は、等方性の凹部又は凸部と、異方性の凹部又は凸部を組み合せて構成することもできる。
尚、拡散シートの拡散角度を制御するために凹凸構造の形状を変化させる場合、凹部又は凸部の開口又は底面の形状(ピッチ)だけではなく、高さを変えることでアスペクト比を制御することもできる。
また、0.1°以上120°以下の拡散角度の範囲を自由に制御するには、各凹部又は凸部の平均サイズは小さい方が好ましい。
【0030】
このように拡散シートの拡散角度が位置によって所望の値となるように、サブマスタ型の凹部又は凸部の平均サイズ及び形状を調整する。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属に凹凸パターンを転写してマスタ型を作製する。そして、光透過性樹脂層等に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面に凹凸パターンを転写する。
【0031】
本発明の拡散シートを製造するためのサブマスタ型を、スペックルパターンを利用して製造する方法の一例として
光源と、
光源から投射された光の光路に設けられたサイズおよび形状可変の開口を備えたマスクと、
光源から投射された光により生ずる拡散パタンを記録するためのプレートと、
光の一部をブロックするためにマスクとプレートの間に設けられたブロッカー
を用い、
マスクの開口とブロッカーのサイズ及び形状と、
各構成部材間の距離を
プレートに拡散パタンを記録する位置によって変化させて作る方法が挙げられる。
このように、一般的に記録する拡散パタンを変化させる方法は、例えば、特表2003−525472号公報(WO01/065469)に開示されている。
【0032】
拡散角度比A/Bの値を面内の全領域で同一とするには、例えば、表面の凹凸構造の各凹部又は凸部の、開口部又は底面の形状(すなわち、凹部又は凸部を拡散シート上方から見たときの形状、拡散シート面の2次元方向の形状)の第一方向の長さと第二方向の長さの比を方向に寄らず一定にすればよい。
拡散角度比A/Bの値が面内で略同一のまま、拡散角度A及びBを一方向に沿って周期的に変化させる方法としては、次のような手法があげられる。
干渉露光によってスペックルパターンの凹凸を形成する場合においては、凹凸を形成するシート基材を、その端部から拡散角度A、Bを周期的に変化させる方向と平行な方向に一定の幅分だけ露出し、残りの部分はマスクで覆って露光する。次いで、露出部分を拡散角度A、Bを周期的に変化させる方向に沿ってずらすと共に、レーザービームと感光材料の距離を変えて露光する。以上の操作を繰り返すことで、拡散角度A/Bは略同一で、拡散角度A及びBを、マスクを順次移動させた方向に沿って段階的に変化させたパターンを製造することができる。
凹凸がマイクロレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズム等である場合には、まず原型となる、上記のような微細凹凸形状で、拡散角度比A/Bが面内で略一定で、拡散角度A及びBが変化していない形状を作成し、次いで、拡散角度A、Bを周期的に変化させる方向に沿って周期的に各凸部の間の谷間又は凹部を樹脂等で埋めて拡散角度A及びBを変化させる方法が挙げられる。樹脂を埋める際には、スクリーン印刷またはインクジェット法印刷を利用することができ、これによって、周期性のあるパターンとする。最初にマスタとして作成する拡散パターンが凹型であれば、凹部の深さがが減少したパターンとなり、最初のパターンが凸型であれば、凸部の間が谷間が埋まったパターンとなり、その結果、凹部又は凸部のアスペクト比が所定の方向に沿って周期的に変わる形状となる。この方法は、凹凸が干渉露光のスペックルパターンにより形成される場合にも応用可能である。
これをサブマスタとして、電鋳などの方法で金属を被着してこの金属に凹凸拡散パターンを転写してマスタ型を作製する。次いで、光透過性樹脂層等に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って、光透過性樹脂層等に凹凸拡散パターンを転写する。
【0033】
次に、本発明の第二の実施形態の拡散シートについて説明する。
本発明の第二の実施態様の拡散シートは、表面に、曲面形状を有する凹部又は凸部が複数設けられた凹凸構造を有する拡散シートであって、アスペクト比が最大を示す第一方向での凹凸構造のアスペクト比Aと、前記第一方向に垂直な第二方向での凹凸構造のアスペクト比Bとの比が、前記シート面内で略一定であり、かつ、前記アスペクト比A及び前記アスペクト比Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シートである。
【0034】
なお、各測定点の凹凸構造のアスペクト比は、測定点を含み、シート面に垂直でかつ第一方向又は第二方向に平行な断面における、測定点を中心とする100μmの範囲に存在する凹部又は凸部のアスペクト比の平均値をいう。
【0035】
ここで、アスペクト比A及びアスペクト比度Bが周期的に変化する方向はシート面内に少なくとも1つあればよい。周期的に変化する方向は、拡散シート面についてアスペクト比A、アスペクト比Bの分布図を作成することにより特定することができる。
アスペクト比A及びアスペクト比Bが周期的に変化する方向は、例えば、拡散シートの形状が矩形である場合には、いずれかの一辺に平行な方向とすることができる。
なお、「周期的に変化する」とは、本発明の第一の実施態様に関して説明した定義と同義である。
【0036】
本発明の拡散シートの表面凹凸構造は、例えば走査型電子顕微鏡やレーザー共焦点顕微鏡等や表面粗さ測定によって観察することができ、その観察像や測定結果に基づいて、凹部又は凸部のピッチやアスペクト比を判断することができる。図1に、本発明の拡散シートの、アスペクト比A及びアスペクト比Bが周期的に変化する方向に平行な断面形状の一例の概略図を示す。各凸部又は凹部の断面における底部から底部までの水平距離wまたは頂点から頂点までの水平距離wを凸部又は凹部の当該方向におけるピッチとし、前記水平距離wの範囲における最大高さ又は深さlを凸部又は凹部の当該方向における高さとする。凸部又は凹部のアスペクト比は、高さ又は深さlを幅wで割ることによって求めることができる。1試料の1方向の断面につき最低15個の凹部又は凸部を抽出し、それぞれの水平距離w、高さl、アスペクト比の平均値を、その断面の方向の、平均ピッチ、平均高さ、平均アスペクト比とする。
【0037】
拡散シートの表面の凹凸構造のアスペクト比は輝度むら抑制に大きく関係する。
【0038】
本発明の第二実施態様の拡散シートはいかなる方法によって製造してもよい。
例えば、シート上に、アスペクト比A及びアスペクト比Bの値が異なる複数のエリアを、少なくとも一方向に沿って周期的に配置することによって製造してもよい。この場合、拡散角度A、Bの変化は段階的になる。また、シートの拡散角度A、Bを周期的に順次変化させてもよい。
拡散シートの凹凸構造のアスペクト比は、例えば、凹凸構造のピッチや高さを変更することにより、変化させることができる。
【0039】
以下に、凹凸構造の高さを変化させることにより、アスペクト比を変化させた具体例を示す。
株式会社キーエンス製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)を用いて測定した干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された等方拡散シートの3次元構造の例を図2(a),(b)に示す。各3次元構造共に、測定領域内で凹凸構造のピッチ、高さ、アスペクト比はいずれの方向においても同じである。尚、これらの拡散シートは等方拡散であるため、アスペクト比Aとアスペクト比Bは等しい。(拡散角度もA=B)
図2(a)の構造を表面に持つ拡散シートの凹凸構造は平均ピッチ6.0μm、平均高さ2.0μm、平均アスペクト比0.33であり、拡散角度Aは測定範囲内の領域において、40°である。
図2(b)の構造を表面に持つ拡散シートの凹凸構造は平均ピッチ6.0μm、平均高さ1.2μm、平均アスペクト比0.2であり、拡散角度Aは測定範囲内の領域において、20°である。
このように、アスペクト比を変化させるには、例えば、凹部又は凹凸部のピッチを変えず、高さを変化させても良いし、凹部又は凹凸部の高さを変化させずピッチを変化させても良い。
また、以上より明らかなように、凹凸構造のアスペクト比を変化させることによって拡散角度を変化させることができる。よって、第一の実施態様において、拡散シートの拡散角度は、凹凸構造のアスペクト比を変化させることによって変化させてもよい。ただし、表面形状の変化によって拡散角度を変化させる方法は、この限りではない。
【0040】
次に、上述した本発明に係る拡散シート(第一の実施態様及び第二の実施態様)を用いたバックライトユニットについて説明する。
光源は、少なくとも2つの光源からなり、光源としては、図3(a)の参照符号1に示すように、冷陰極管(CCFL)などの線光源や、図3(b)の参照符号2に示すように、LED(発光ダイオード)、レーザーなどの点光源を用いることができる。図3の例において、前記光源1,2は本発明に係る拡散シート(図示せず)の入光面及び出光面に対して、直下に配列されている。
【0041】
本発明の光源ユニットは、前記拡散シートとして第一の実施態様のものを使用する場合、拡散シートの拡散角度A及びBの少なくとも一方が周期的に変化する方向及びその周期と、前記拡散シートの入光面における照度が周期的に変化する方向及びその周期とを等しくすることが好ましい。拡散シートの入光面における照度分布は、例えばELDIM社のEZContrastXL88などによって測定できる。具体的には、本発明の拡散シートが設けられる光源ユニットを用意し、前記拡散シートだけを取り除き、拡散シートの入光面が位置する箇所に装置の焦点を定めて全方位輝度分布を測定し、その結果から積算光束量(Integrated Intensity)を得る、ということを面内測定対象範囲において繰り返すことで測定する。
尚、照度分布の周期は、概ね、拡散シートと光源との間の距離と対応する。
【0042】
また、本発明の光源ユニットにおいては、前記光源の投影領域である第一領域における拡散角度Aが、前記光源の間の投影領域である第二領域における拡散角度Aより高いことが好ましい。
図3の(a)及び(b)は、光源の投影領域である第一領域と、光源の間の投影領域である第二領域を示している。図3の(a)及び(b)は、光源ユニットにおける光源と拡散シートのみを図示したものであって、光源側から、拡散シートのシート面に対して垂直方向に見た図である。図3の(a)及び(b)において、斜線で示した参照符号33の領域が第一領域であり、それ以外の領域、すなわち、参照符号34の領域、が第二領域である。また、参照符号1はCCFL光源を示し、参照符号2はLED光源を示す。
ここで、第一領域とは、光源ユニットに組み込まれた拡散シートを、その真上からシート面の垂直方向に観察(平面視)したときに観察される、光源の投影領域である。ここで、光源の投影領域とは、光源ユニットの光源からの光が照射されている主領域であって、具体的には、拡散シートの光源の真上(又は真下)に相当する位置から、(隣接する光源の間の距離)×1/4の範囲内にある領域をいう。
なお、本発明は、拡散シート全体の領域を前記第一領域と、前記第二領域との2つに分割し、それらの領域における拡散角度Aの間の大小関係のみを規定したものであって、少なくとも第一領域における拡散角度Aが、第二領域における拡散角度Aより大きければよく、各領域内の拡散角度はさらに光源からの距離に応じてよって変化していてもよい。
【0043】
本発明の光源ユニットにおいて、拡散シートは、シート面内において光源の投影領域からの距離が離れるほど、拡散角度Aが小さくなる拡散シートを使用することが好ましい。このようにすることにより、面内の光の量が一定となり、輝度ムラの軽減を図ることができる。拡散角度Aは、前記光源から前記出光面までの距離が長い位置ほど小さくなっていることが好ましい。さらに、光源からの距離が長くなるに従って、拡散シートの拡散角度Aが、連続的又は段階的に小さくなることがより好ましい。
【0044】
本発明の光源ユニットは、前記拡散シートとして第二の実施態様のものを使用する場合、前記拡散シートのアスペクト比A及び拡散角度Bが周期的に変化する方向及びその周期と、前記拡散シートの入光面における照度が周期的に変化する方向及びその周期とを等しくすることが好ましい。
【0045】
また、本発明の光源ユニットにおいては、前記光源の投影領域である第一領域における拡散角度Aが、前記光源の間の投影領域である第二領域におけるアスペクト比Aより高いことが好ましい。なお、第一領域、第二領域については、前述のとおりである。
なお、本発明は、全体の領域を前記第一領域と、前記第二領域との2つに分割し、それらの領域におけるアスペクト比Aの間の大小関係のみを規定したものであって、少なくとも第一領域におけるアスペクト比Aが、第二領域におけるアスペクト比Aよりも大きければよく、各領域内のアスペクト比Aはさらに光源からの距離に応じて変化していてもよい。
【0046】
本発明の光源ユニットにおいて、シート面内において光源の投影領域からの距離が離れるほど、表面の凹部又は凸部のアスペクト比Aが小さくなる拡散シートを使用することが好ましい。このようにすることにより、面内の光の量が一定となり、輝度ムラの低減を図ることができる。拡散シートのアスペクト比Aは、光源からの距離が長い位置ほど小さくなっていることがさらに好ましい。さらに、光源からの距離が長くなるに従って、拡散シートのアスペクト比Aが、連続的又は段階的に小さくなることがより好ましい。
【0047】
次に図4(a)から(f)に、本発明に係る光源ユニットの例を示す。図4(a)から(f)中の参照符号1はCCFLなどの線状光源、参照符号2はLEDなどの点状光源、参照符号3は本発明の拡散シート、参照符号4は反射シート、参照符号5は拡散板、参照符号6は本発明と異なる第二の拡散シート、参照符号7はプリズムシート、参照符号8は反射型偏光シートである。
【0048】
本発明に係る光源ユニットは、拡散シートの下に、平面性・自立性を保持するために、透明な板や拡散板(図4の参照符号5)を好ましく併用することができる。拡散板5は、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどに、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。
また、前記拡散板は、表面に凹凸構造が形成されていても良い。前記拡散板表面の凹凸構造としては、等方性のマイクロレンズ、異方性のプリズム条列或いはレンチキュラーレンズなどが表面に形成されていても良い。レンチキュラーレンズの断面は厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。これらには、必要に応じて、前記有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。
このようなシートとしては、例えば、デラグラスDL/DHシリーズ(旭化成イーマテリアルズ(株)製)、ゼオノア拡散板(日本ゼオン(株)製)、図5で示すようなMicrolens Brightness Film(Bright View Technologies(株)製)等が挙げられる。
また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板も用いることができる。
【0049】
反射シート4は、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。また、前記反射シートは、表面に凹凸構造が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0050】
本発明に係る光源ユニットは、本発明の拡散シートの他に、更に別の拡散シート(図4の参照符号6)を用いても良い。この拡散シート6は、面内で均一な拡散性能を持つ拡散シートが好ましい。また枚数は複数枚用いてもよい。
前述の、本発明の拡散シート以外で使用される拡散シート6としては、表面に複数のビーズをコートした拡散シート、表面にランダムな凹凸形状を成形した拡散シート、集光拡散シートなどを用いることができる。
尚、本発明の拡散シートと区別するため、第二の拡散シート6は前述のように表面形状を明記して、以降、表面に複数のビーズをコートした拡散シートを6A、表面にランダムな凹凸形状を成形した拡散シートを6B、集光拡散シートを6Cなどとして記す。
【0051】
表面に複数のビーズをコートした拡散シート6Aとしては、例えばPETフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリスチレンなどの基材表面に光拡散性を有するビーズをウェットコートした光学シートが挙げられ、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。光拡散性ビーズとしては、例えば、アクリルビーズ、シリカビーズ、硫酸バリウム、酸化チタン、珪酸カルシウムなどが用いられる。例えば、TDF−127(商品名、東レセーハン(株)製)、オパルスBS−080(商品名、恵和(株)製)、D141(商品名、ツジデン(株)製)、等が挙げられる。
【0052】
表面にランダムな凹凸形状を成形した拡散シート6Bとしては、例えばPETフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリスチレンなどの基材表面にランダムな凹凸形状を形成したものが挙げられ、主にバックライト面内の輝度ムラを低減させる目的で用いられる。詳細な製造方法は特開2002−202508号公報または特開2002−148416号公報にも記載されているが、例えばポリカーボネートなどの非結晶性樹脂のシート形成時にロール圧着を行い、その際使用するロールの表面をランダムな凹凸にすることにより得られる。このような拡散シートとしては、例えば、オパルスPC−ES(商品名、恵和(株)製)、等が挙げられる。
【0053】
また、特表2003−525472号公報に記載されている方法で形成された拡散シート6Bを用いてもよい。この拡散シート6Bは、まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光透過性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光透過性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。このような拡散シートとしては、例えば、LSD(Light Shaping Diffuser)(Luminit(株)製)が挙げられる。
【0054】
集光拡散シート6Cは、例えばPETフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリスチレンなどの基材表面に図6に示すようなレンズパターンを施した光学シートを指し、主にバックライトの光を拡散させ均一化させる効果とともに、拡散された光を集光するという複合的な目的で用いられる。アレイ状のレンズは、例えば、アクリル系樹脂の球状ビーズをシート上に塗布することによって得ることができる。また、他には紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造をポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写することによって得ることもできる。この他に、機械加工やエッチング法によっても製造することができる。厳密な円状レンズでなくてもよく、楕円状のものや、円弧と直線が混在した形状であってもよい。このようなシートとしては、例えば、PTR733(商品名、シンファインターテック(株)製)、UTE−21(商品名、未来ナノテック(株)製)、ML13MK(商品名、SKC Haas(株)製)、等が挙げられる。
【0055】
本発明に係る光源ユニットは、本発明の拡散シートの他に、プリズムシート7を好ましく用いることが出来る。
プリズムシート7は、例えばPETフィルムやポリカーボネートフィルム、ポリスチレンなどの基材表面にアレイ状のプリズムパターンを施した光学シートが挙げられ、主にバックライトの光を集光させ輝度を向上させる目的で用いられる。プリズムパターンは厳密にプリズム形状でなくてもよく、頂部にR形状を施したものや、ウェーブフィルム状または下向きプリズム状であってもよい。例えば、ビキュイティBEFIII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティBEFII(商品名、3M(株)製)、ビキュイティRBEF(商品名、3M(株)製)、LES−T2F(商品名、LGケミカル(株)製)、ウェーブフィルムW818(商品名、3M(株)製)、ダイヤアートC(商品名、三菱レイヨン(株)製)等が挙げられる。プリズム層の材料としてはアクリル系フォトポリマーやポリカーボネートなどがよく用いられるが、これに限定されない。
【0056】
本発明に係る光源ユニットは、本発明の拡散シートの他に、反射型偏光シート8を好ましく用いることが出来る。
反射型偏光シート8としては、自然光又は偏光から直線偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。前記直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。前記反射型偏光シートとしては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M(株)製)等を用いることができる。
【0057】
これらの光源ユニットは、液晶表示パネルを配設して、液晶表示パネルに光を供給することで、液晶表示装置としても用いることができる。
【実施例】
【0058】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に示される拡散角度の比A/Bは、拡散シートの水平面に垂直な光を微細な凹凸構造を有する面から入光させ、前述のLD8900で1度に垂直に交わる2軸を測定した角度から計算している。なお、測定に際しては、予め、微細に方向を変えながら各方向の拡散角度を測定し、第一方向を決定しておく。
【0059】
以下の実施例において、反射シート4としては、ソニー社製のBRAVIA KDL−32JE1に使用されている反射シートを用いた。拡散板5としては、厚さ1.5mmのポリスチレン製で、内部に真比重1.35、平均粒径2μmのシリコーン微粒子を500ppm含有し、出光面に高さ100μm、ピッチ300μmで、頂点の丸まったプリズム条列(Rプリズム)が形成されたもの(旭化成イーマテリアルズ(株)製)を、前記Rプリズムの長手方向を、CCFL光源の長手方向と平行に配置して使用した。なお、前記Rプリズムが形成された面を、出光面とした。
また、光源ユニットの光源として、BRAVIA KDL−32JE1のCCFL光源を用い、図3(a)のように、CCFL光源に平行な軸をx軸、x軸に垂直な軸をy軸とした。
表面にランダムな凹凸形状を成形した拡散シート6Bとしては、厚み250μmのLSD30(商品名、Luminit(株)製)を用いた。
プリズムシート7としては、厚み280μmのビキュイティBEFIII(商品名、3M(株)製)を用いた。
表面に複数のビーズをコートした拡散シート6Aとしては、厚み145μmのオパルスPBS−071(商品名、恵和(株)製)を用いた。
【0060】
(実施例1)
図4(d)に示すように、光源にCCFL1を用い、光源下方に反射シート4を、光源上方に拡散板5、拡散シート3、拡散シート6B(LSD30)、第1のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、第2のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、拡散シート6A(オパルスPBS−071)をこの順で配置し、実施例1の光源ユニットを構成した。
拡散シート3としては、厚さ100μmのPET基材上の出光面に凹凸構造が形成された、等方拡散シートを用いた。この拡散シートは、面内の拡散角度A及びBが、面内の全領域においてA/B=1であり、かつ、面内に拡散角度A、Bが極大・極小値を示す箇所が平行に線状に連なっていて、拡散角度A及びBが極大値55°、極小値0.7°、周期47.6mmでシートの一辺と平行な方向に沿って周期的に変化している。この等方拡散シートを、拡散角度A(及びB)が極大となる部分が光源の直上になるように、(拡散角度A及びBが線状に連なった極大・極小値の方向とx軸(CCFL光源と平行な方向)が一致するように)配置した。
【0061】
プリズムシート7は第1のプリズムシート7のプリズム延在方向がCCFLと平行になるように配置し、第2のプリズムシート7はプリズム延在方向が第1のプリズム延在方向と直交するように配置した。
【0062】
コニカミノルタ製の2次元色彩輝度計(CA2000)を使用し、光線制御ユニットから75cm離して設置し、光線制御ユニットの中心部20mm×190mmの範囲で測定したときの平均輝度値を輝度とした。輝度ムラは、x軸(20mm)に平行な方向のすべての測定点から平均輝度値を求め、(y軸方向で示される位置と輝度の一次元化したグラフから)各々の測定点の平均輝度値を、各々の測定点からy軸方向に±23.8mm分の範囲について測定される輝度平均値で割り返した値の標準偏差として輝度ムラとし、S.D.値を求めた。
【0063】
ここで、反射シートから拡散板までの距離zは13mm、CCFLの配置の周期を47.6mmとし、実施例1の光源ユニットにおける輝度ムラを上記の方法で測定し、以下のように判定した。その結果を下記表1に示す。
○: S.D.値が0.004未満
×: S.D.値が0.004以上
【0064】
(実施例2)
図4(d)に示すように、光源にCCFL1を用い、光源下方に反射シート4を、光源上方に拡散板5、拡散シート3、拡散シート6B(LSD30)、第1のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、第2のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、拡散シート6A(オパルスPBS−071)をこの順で配置し、実施例3の光源ユニットを構成した。
拡散シート3としては、厚さ100μmのPET基材上の出光面に、凹凸構造が形成された、異方拡散シートを用いた。この拡散シートにおいては、面内の拡散角度A及びBが、面内の全領域においてA/B=1.2であり、かつ、拡散シート面内に拡散角度A、Bが極大・極小値を示す箇所が線状に連なっていて、拡散角度Aは、極大値45°、極小値0.6°周期47.6mmで、拡散角度Bは、極大値37°、極小値0.5°、周期47.6mmで、シートの一辺と平行な方向に沿って、周期的に変化している。そして、拡散角度Aを与える第一方向が、前記線状の極大値と平行方向になっている。拡散シート3を、拡散角度A(またはB)が極大となる部分が光源の直上になるように配置して用いた。このとき拡散角度Aを与える第一方向は、CCFLと平行になるように作成した。
【0065】
プリズムシート7は第1のプリズムシート7のプリズム延在方向がCCFLと平行になるように配置し、第2のプリズムシート7はプリズム延在方向が第1のプリズム延在方向と直交するように配置した。
【0066】
ここで、反射シートから拡散板までの距離zを13mm、CCFLの周期を47.6mmとし、実施例2の光源ユニットにおける輝度ムラを、実施例1と同様にして測定し以下のように判定した。その結果を下記表1に併記する。
○: S.D.値が0.004未満
×: S.D.値が0.004以上
【0067】
(実施例3)
図4(d)に示すように、光源にCCFL1を用い、光源下方に反射シート4を、光源上方に拡散板5、拡散シート3、拡散シート6B(LSD30)、第1のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、第2のプリズムシート7(ビキュイティBEFIII)、拡散シート6A(オパルスPBS−071)をこの順で配置し、実施例3の光源ユニットを構成した。
拡散シート3は、厚さ100μmのPET基材上の出光面に、凹凸構造を形成した異方性拡散シートである。この拡散シートは、面内の全領域でA/B=1.2であり、拡散角度Aが、極大値56°、極小値0.7°、周期が47.6mmで、拡散角度Bが、極大値46°、極小値0.6°、周期が47.6mmで、シートの一辺と平行な方向に沿って、周期的に変化する。この異方拡散シートを、拡散角度Aが極大となる部分を光源の直上に配置するようにして用いた。このとき拡散角度Aを与える第一方向は、CCFLと垂直になるように作成した。
【0068】
プリズムシート7は第1のプリズムシート7のプリズム延在方向がCCFLと平行になるように配置し、第2のプリズムシート7はプリズム延在方向が第1のプリズム延在方向と直交するように配置した。
【0069】
ここで、反射シートから拡散板までの距離zを13mm、CCFLの周期を47.6mmとし、実施例3の光源ユニットにおける輝度ムラを、実施例1と同様にして測定し以下のように判定した。その結果を下記表1に併記する。
○: S.D.値が0.004未満
×: S.D.値が0.004以上
【表1】

【0070】
実施例1〜3で用いた本発明の拡散シートは、A/Bの値がシート面内で略一定であり、かつ拡散角度Aと前記拡散角度Bが、前記シート面内で所定の方向に沿って周期的に変化している。これらを使用することにより、光源間距離47.6mmで輝度ムラを抑制できた。
【0071】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、各種照明装置の拡散シートとして使用できる。特に、液晶表示装置のような表示デバイスの各種照明装置の拡散シートとして有効である。
【符号の説明】
【0073】
1:線状光源
2:点光源
3:本発明の拡散シート
4:反射シート
5:拡散板
6:第二の拡散シート
7:プリズムシート
8:反射型偏光シート
33:第一領域
34:第二領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して垂直に光線を入射させたときにシートから出射される光の拡散角度が最大を示す第一方向での拡散角度Aと、前記第一方向に垂直な第二方向での拡散角度Bの比が、前記シート面内の全領域において略一定であり、かつ、
前記拡散角度A及び前記拡散角度Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート。
【請求項2】
前記拡散角度Aと前記拡散角度Bの比が、下記式を満たす請求項1に記載の拡散シート。
1≦A/B≦30
【請求項3】
表面に曲面形状を有する凹部及び/又は凸部が複数設けられた凹凸構造を有する、請求項1又は2に記載の拡散シート。
【請求項4】
前記凹凸構造が、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成されたものである請求項3の拡散シート。
【請求項5】
表面に曲面形状を有する凹部又は凸部が複数設けられた凹凸構造を有する拡散シートであって、
凹凸構造のアスペクト比が最大を示す第一方向でのアスペクト比Aと、前記第一方向に垂直な第二方向でのアスペクト比Bとの比が、前記シート面内の全領域で略一定であり、かつ、
前記アスペクト比A及び前記アスペクト比Bが、前記シート面内で少なくとも一方向に沿って周期的に変化する拡散シート。
【請求項6】
前記アスペクトA及びアスペクト比Bの変化が、前記凹凸構造の高さの変化によって起こる請求項5に記載の拡散シート。
【請求項7】
前記アスペクトA及びアスペクト比Bの変化が、前記凹凸構造のピッチの変化、によって起こる請求項5に記載の拡散シート。
【請求項8】
複数の光源と、
該光源の上方に配設された請求項1から7のいずれかに記載の拡散シートと、
を備えた光源ユニット。
【請求項9】
前記拡散シートの拡散角度A及びBが周期的に変化する方向及びその周期と、前記拡散シートの入光面における照度が周期的には変化する方向及びその周期とが略等しくなるように両者を配置した請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記拡散シートのアスペクト比A及びBが周期的に変化する方向及びその周期と、前記拡散シートの入光面における照度が周期的には変化する方向及びその周期とが略等しくなるように両者を配置した請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記光源が線状光源である請求項9〜10のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記光源が点状光源である請求項9〜10のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項13】
前記拡散シートの平面視において、
前記光源の投影領域である第一領域における拡散角度Aが、
前記光源の間の投影領域である第二領域における拡散角度Aより、高い請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項14】
前記第一領域内で、光源からの距離が長くなるに従って、拡散角度Aが、連続的または段階的に低くなることを特徴とする請求項13に記載の光源ユニット。
【請求項15】
前記拡散シートの平面視において、
前記光源の投影領域である第一領域におけるアスペクト比Aが、
前記光源の間の投影領域である第二領域におけるアスペクト比Aより、高いことを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項16】
前記第一領域内で、光源からの距離が長くなるに従って、アスペクト比Aが、連続的または段階的に小さくなることを特徴とする請求項15に記載の光源ユニット。
【請求項17】
拡散板と、前記光源の下方に配置される反射シートと、をさらに備える請求項8から請求項16のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項18】
第二の拡散シートをさらに具備する請求項8から請求項17のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項19】
プリズムシートをさらに具備する請求項8から請求項18のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項20】
反射型偏光シートをさらに具備する請求項8から請求項19のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項21】
請求項8から20に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットの上方に配設された液晶パネルと、
を備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−22265(P2011−22265A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165728(P2009−165728)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】