説明

拳銃の吊下げ装置

【課題】 拳銃をかかる金具に取り付けるのは頗る簡単でありながら、携行あるいは拳銃が強奪されようとするような際による激しい振動でも金具と吊紐の連結部分が外れたり、外れ易くしたりなることを未然に防止しようとするもの。
【解決手段】 末端部を鈎状部となした支え捍と、上端部を上記支え捍の上端部に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設け、その末端部外面は上端鈎状部の先端部内面と衝合できる回転捍と、一端を上記支え捍に軸支させ、該軸支部近傍はネジを刻設することなく軸支部を摺動することができ、その余は該軸支部に設けた内ネジと螺合可能な雄ネジがあり、さらにその他端は上記回転捍の内面に当接させた側動軸と、上記支え捍と回転捍との間にあって側動軸に捲装し、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は拳銃を肩などに捲装した紐に吊下げるための、拳銃の吊下げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
拳銃を携行する警察官にとって最も重要なことは、どんな事情があっても拳銃が奪われる虞がないことである。
【0003】
このような不測の事態の対策として、吊紐がナイフで切られないように吊紐に金属製の鎖をいれて織ったり、特に拳銃との接続部分を金属釘を用いて強固に固定させた発明(特許文献1参照)や、この吊紐を拳銃に取り付けるループ部分を合成樹脂などで被覆し固着する手段の考案(特許文献2参照)がある。
しかしこれらはいずれも拳銃を吊下げる吊紐の改良発明乃至考案でしかない。
【0004】
【特許文献1】特願平5−57520明細書
【特許文献2】実開平6−22795明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
総じて本発明の目的は、吊下げ紐と拳銃との連結金具にあって、その連結手段に工夫をなし、如何なる不測の事態があってもかかる金具と拳銃が離れ拳銃が盗難に遭うことがないようにしたことである。
【0006】
具体的に本発明の目的は、拳銃をかかる金具に取り付けるのは頗る簡単でありながら、携行あるいは拳銃が強奪されようとするような際による激しい振動でも金具と吊紐の連結部分が外れたり、外れ易くなるのを未然に防止しようとしたりするものである。
【0007】
而して本発明の特徴の1つは、末端部を鈎状部となした支え捍と、上端部を上記支え捍の上端部に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設けその末端部外面は上端鈎状部の先端部内面と衝合できる回転捍と、一端を上記支え捍に軸支させ、該軸支部近傍はネジを刻設することなく軸支部を摺動することができ、その余は該軸支部に設けた内ネジと螺合可能な雄ネジがあり、さらにその他端は上記回転捍の内面に当接させた側動軸と、上記支え捍と回転捍との間にあって側動軸に捲装し、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにしたことである。
【0008】
他に本発明の特徴は、上記支え捍と回転捍との間に介在され、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、外端は人の肩等に捲装する吊下げ紐と連結する連結金具があり、内端は上記支え捍と回転捍との間にあって鈎状部方向に延伸させて回転捍の動きを制御する突出部を有し、かつその中間部を上記支点軸に回転可能に取り付けた接続部材とよりなり、上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにしたことである。
【0009】
そして、他の目的は、末端部を鈎状部となし他端部に支点軸を設けた支え捍と、上端部を上記支え捍の支点軸に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設け、その末端部外面は上記鈎状の先端部内面と衝合できる回転捍と、上記支え捍と回転捍との間に介在され、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、続けて外端は人の肩等に捲装する吊下げ紐と連結する連結金具があり、内端は上記支え捍と回転捍との間にあって鈎状部方向に延伸させて回転捍の動きを制御する突出部を有し、かつその中間部を上記支点軸に回転可能に取り付けた接続部材と、支え捍の上端辺に設けられ上記接続部材の上部を嵌挿させることができ、該嵌挿時以外は回転捍の回動運動を規制するようにした凹陥部とよりなり、上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにしたことである。
【0010】
そして、上記支え捍および回転捍との衝合部分は共に扇状に拡大させ、支え捍および回転捍の一方あるいは双方の拡大部分に補強リブを構成させた、ことも本発明の特徴である。
【発明の効果】
【0011】
次に本発明の作用効果を述べると本発明吊下げ装置は、上記支え捍の上端部を警察官の肩部などに捲装した吊下げ紐に固着させ、かつ支え捍の下部の鈎状部に拳銃本体の連結部材を嵌合させ、このときバネ部材の背圧によって常に回転捍方向に押圧させており、かつ側動軸を回転させて回転捍の動きを抑え、この結果回転捍は上記の連結部材が鈎状部から抜出しないよう蓋をするような作用をするものである。
【0012】
しかしこの構成では、度重なる激しい振動の結果、上記回転捍がその振動に共振して回転捍を押す方向とは反対方向の回転運動を行い、回転捍が回動し最悪の場合、拳銃の連結部材との連結を外すあるいは外れ易い状態となる虞があるが、この実施例では、上記側動軸は支え捍の軸支点部近傍は雄ネジを刻設していない。
【0013】
このことは、上記拳銃本体の連結部材が支え捍の鈎状部にあるときは、支え捍の軸支部が側動軸の雄ネジの刻設していない部位と衝合している。
【0014】
従って、仮令振動によって側動軸が回転してもそれは所謂「空回り」であって回転捍を抑える作用を阻止するものではないのである。
【0015】
なお、拳銃本体の連結部材を支え捍の鈎状部に挿入したり、または、鈎状部との連結を外したりしたい場合は、上記側動軸を一方(回転捍とは逆方向)に少し引っ張る。この結果側動軸)と支え捍の軸支部内の内ネジとが螺合し、さらにこの螺号状態で側動軸を側動させることで拳銃本体の連結部材と上記鈎状部の係合を外したり嵌合させたりすることができるのである。
【0016】
またこの実施例では上記吊下げ紐と連結する連結金具があり、その内端は上記支え捍と回転捍との間にあって鈎状部方向に延伸させた突出部があるから、支え捍と拳銃本体の連結部材とが掛止されている状態で拳銃を奪おうとするような無理に引き離そうとする力が働いたとき、接続部材は支点軸を支点としてその末端部は回転捍を支え捍方向に押し付け、その結果拳銃を吊下げ装置から抜き去るなど最悪の事態を未然に防止できたのである。
【0017】
さらにこの場合、上記支え捍の上端辺に凹陥部を設けることで、接続部材が回動捍を支え捍方向に押し圧しているとき、該接続部材が凹陥部に嵌合するので、接続部材の左右方向などのみだらなうごきは規制され、それだけ支え捍と回動捍との接触状態が確実に保たれるというものである。
【0018】
なお、上記吊下げ捍と回動捍の下方即ち拳銃の連結部材との連結部分は、扇状に拡大させ、上記連結部材を包懐する力を増し、かつこの拡大部分に所謂補強リブを設けると特に吊下げ部材の鈎状部の素材の変形を保護できるというものである。
【実施例】
【0019】
本発明を図示のもので説明すると、(1)は末端部を鈎状部(2)となした支え捍であり、(5)は上端部を上記支え捍(1)の上端部に枢着させ、かつ上記支え捍(1)と平行に設け、その末端部外面(3)は上端鈎状部(2)の先端部内面(4)と衝合できる回転捍である。
【0020】
また(9)は一端を上記支え捍(1)に軸支させ、該軸支部(6)近傍はネジを刻設することなく軸支部(6)を摺動することができ、その余は該軸支部(6)に設けた内ネジ(7)と螺合可能な雄ネジ(8)があり、さらにその他端は上記回転捍(5)の内面に当接させた側動軸とがある。
【0021】
さらに(10)は、上記支え捍(1)と回転捍(5)との間にあって側動軸(9)に捲装し、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材であり、上記支え捍(1)の鈎状部(3)を、拳銃本体(11)に設けられた連結部材(12)に掛止できるようにしたものである。
【0022】
続いて(17)は、その外端に警察官の肩等に捲装する吊下げ紐(14)と連結する連結金具(15)があり、内端は上記支え捍(1)と回転捍(2)との間にあって鈎状部(3)方向に延伸させて回転捍(5)の動きを制御する突出部(16)を有し、かつその中間部を上記支点軸(13)に回転可能に取り付けた接続部材である。
【0023】
そしてその接続部材(17)の上部を嵌挿させることができ、該嵌挿時以外は回動捍(5)の回動運動を規制するようにした凹陥部(18)が支え捍(1)の上端辺にあり、上記支え捍(1)および回転捍(5)との衝合部分は共に扇状に拡大(19)させ、支え捍(1)および回転捍(5)の一方あるいは双方の拡大部分(19)に補強リブ(20)がある。
【0024】
本実施例の拳銃吊り下げ装置を使用するには、上記支え捍(1)の上端部を警察官の肩部などに捲装した吊下げ紐(4)に固着させ、かつ支え捍(1)の下部の鈎状部(2)に拳銃本体(11)の連結部材(12)を嵌合させるものである。
【0025】
このときバネ部材(10)の背圧によって常に回転捍(5)方向に押圧させ(18)ており、かつ側動軸(9)を回転させて回転捍(5)の動きを抑え、この結果回転捍(5)は上記の連結部材(12)が鈎状部(2)から抜出しないよう蓋をするような作用をするものである。
【0026】
しかしこの構成では、度重なる激しい振動の結果、上記回転捍(5)がその振動に共振して回転捍(5)を押す方向とは反対方向の回転運動を行い、回転捍(5)が回動し最悪の場合、拳銃の連結部材(12)との連結を外すあるいは外れ易い状態となる虞があるが、この実施例では、上記側動軸(9)は支え捍(1)の軸支点部(6)近傍は雄ネジ(8)を刻設していない。
【0027】
このことは、上記拳銃本体(11)の連結部材(12)が支え捍(1)の鈎状部(2)にあるときは、支え捍(1)の軸支部(6)が側動軸(9)の雄ネジ(8)の刻設していない部位と衝合している。
【0028】
従って、仮令振動によって側動軸(9)が回転してもそれは所謂「空回り」であって回転捍(5)を抑える作用を阻止するものではないのである。
【0029】
なお、拳銃本体(11)の連結部材(12)を支え捍(1)の鈎状部(2)に挿入したり、または、鈎状部(2)との連結を外したりしたい場合は、上記側動軸(9)を一方(回転捍(5)とは逆方向)に少し引っ張る。
【0030】
この結果側動軸(9)と支え捍(1)の軸支部(6)内の内ネジ(7)とが螺合し、さらにこの螺号状態で側動軸(9)を側動させることで拳銃本体(11)の連結部材(12)と上記鈎状部(2)の係合を外したり嵌合させたりするころができるのである。
【0031】
またこの実施例では上記吊下げ紐(14)と連結する連結金具(15)があり、その内端は上記支え捍(1)と回転捍(5)との間にあって鈎状部(2)方向に延伸させた突出部(16)があるから、支え捍(1)と拳銃本体(11)の連結部材(12)とが掛止されている状態で拳銃を奪おうとするような無理に引き離そうとする力が働いたとき、接続部材(12)は支点軸(13)を支点としてその末端部は回転捍(5)を支え捍(1)方向に押し付け、その結果拳銃を吊下げ装置から抜き去るなど最悪の事態を未然に防止できたのである。
【0032】
さらにこの場合、上記支え捍(1)の上端辺に凹陥部(18)を設けることで、接続部材(17)が回動捍(5)を支え捍(1)方向に押し圧しているとき、該接続部材が凹陥部(18)に嵌合するので、接続部材の左右方向などのみだらなうごきは規制され、それだけ支え捍(1)と回動捍(5)との接触状態が確実に保たれるというものである。
【0033】
加えて、上記吊下げ捍(1)と回動捍(5)の下方即ち拳銃本体(11)の連結部材(12)との連結部分は、扇状に拡大(19)させ、上記連結部材(12)を包懐する力を増し、かつこの拡大部分に所謂補強リブ(20)を設けたことで、特に吊下げ部材の鈎状部の素材の変形を保護できたのである。
【0034】
なお、上記支え捍(1)の鈎状部(2)先端辺と、回転捍(5)の末端辺は夫々相対する方向に折曲げ、支え捍(1)と回転捍(5)の先端部が重なり合ったとき夫々が係合するようになすと、上記支え捍(1)と回転捍(5)間に介在させた拳銃本体(11)の連結部材(12)が抜出る虞を確実に阻止できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】吊り下げ装置全体の側面図
【図2】同正面図
【図3】同斜視図
【図4】同縦断面図
【図5】側動捍の取付け状態を示す説明図
【図6】支え捍の下部の拡大部分断面説明図
【図7】拳銃を携行している警察官への装着説明図
【符号の説明】
【0036】
1, 支え捍
2, 釣状部
3, 外面
4, 内面
5, 回動捍
6, 軸支部
7, 内ネジ
8, 雄ネジ
9, 側動軸
10, バネ部材
11, 拳銃本体
12, 連結部材
13, 支点軸
14, 吊り下げ紐
15, 連結金具
16, 突出部
17, 接続部材
18, 凹陥部
19, 拡大
20, 補強リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端部を鈎状部となした支え捍と、
上端部を上記支え捍の上端部に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設け、その末端部外面は上端鈎状部の先端部内面と衝合できる回転捍と、
一端を上記支え捍に軸支させ、該軸支部近傍はネジを刻設することなく軸支部を摺動することができ、その余は該軸支部に設けた内ネジと螺合可能な雄ネジがあり、さらにその他端は上記回転捍の内面に当接させた側動軸と、
上記支え捍と回転捍との間にあって側動軸に捲装し、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、
上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにした
ことを特徴とする拳銃の吊下げ装置
【請求項2】
末端部を鈎状部となし他端部に支点軸を設けた支え捍と、
上端部を上記支え捍の支点軸に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設け、その末端部外面は上記鈎状の先端部内面と衝合できる回転捍と、
上記支え捍と回転捍との間に介在され、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、
外端は人の肩等に捲装する吊下げ紐と連結する連結金具があり、内端は上記支え捍と回転捍との間にあって鈎状部方向に延伸させて回転捍の動きを制御する突出部を有し、かつその中間部を上記支点軸に回転可能に取り付けた接続部材とよりなり、
上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにした
ことを特徴とする拳銃の吊下げ装置
【請求項3】
末端部を鈎状部となし他端部に支点軸を設けた支え捍と、
上端部を上記支え捍の支点軸に枢着させ、かつ上記支え捍と平行に設け、その末端部外面は上記鈎状の先端部内面と衝合できる回転捍と、
上記支え捍と回転捍との間に介在され、常時回転捍の末端部外面を支え捍の鈎状部の先端部内面側に押し圧するバネ部材があり、
外端は人の肩等に捲装する吊下げ紐と連結する連結金具があり、内端は上記支え捍と回転捍との間にあって鈎状部方向に延伸させて回転捍の動きを制御する突出部を有し、かつその中間部を上記支点軸に回転可能に取り付けた接続部材と、
支え捍の上端辺に設けられ上記接続部材の上部を嵌挿させることができ、該嵌挿時以外は回転捍の回動運動を規制するようにした凹陥部とよりなり、
上記支え捍の鈎状部を、拳銃本体に設けられた連結部材に掛止できるようにした
ことを特徴とする拳銃の吊下げ装置
【請求項4】
上記請求項1乃至請求項3にあって、上記支え捍および回転捍との衝合部分は共に扇状に拡大させ、支え捍および回転捍の一方あるいは双方の拡大部分に補強リブを構成させた、
ことを特徴とする拳銃の吊下げ装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−71408(P2007−71408A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255879(P2005−255879)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(301051725)東京メタル株式会社 (2)