説明

挿入アクセス用の引き出し式ドロアを備えた固体インクローダ

【課題】相転移インク画像装置のインクローダをより多くの柔軟性を有して設置する。
【解決手段】装置10は、ハウジング11の中に囲まれた位置から、挿入開口部にアクセスできインクスティックを挿入できるアクセス可能位置まで、インクローダの少なくとも挿入領域または挿入部分を装置10のハウジング11に対して横方向に動かすことができる引き出し式ドロア型構成要素100をを有するインクローダを含んでいる。引き出し式構成要素100は装置10の上端部13からずれた位置でインクスティックをインクローダの中に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、相転移インクプリンタに関し、詳細には、このようなプリンタ用の固体インクローダに関する。
【背景技術】
【0002】
相転移インク画像製品は相転移インクを利用して記録媒体上に画像を形成するように構成されたインク・ジェット・プリンタ、ファクシミリ装置、コピー機などの、さまざまな画像装置を含んでいる。これらの装置の一部は、固体インクスティックと呼ばれる固形の相転移インクを使用している。固体インクプリンタと呼ばれる場合がある固体インクスティックを利用する画像装置は、通常、固体インクスティックを受け入れるための供給チャネルを有するインクローダを備えている。インクスティックは挿入開口部を通じて供給チャネルの中に装填される。各供給チャネルは、インクスティックが挿入開口部を通り抜けた後に受け入れられる挿入領域を有している。インクスティックが供給チャネルの挿入領域内に受け入れられると、バネ付きプッシュブロックによりインクスティックが供給チャネルの端部、すなわち、溶融端部にある溶融装置の方へ押しつけられ、インクスティックは記録媒体上に噴射するのに適した液体インクに溶融される。複数のインクスティックが供給チャネルの中に挿入されると、インクスティックは供給チャネル内で互いに隣接して、供給チャネルの溶融端部とプッシュブロックの間で延びるインクの柱を形成する。
【0003】
固体インクプリンタのインクローダは、通常、プリンタ上方から到達可能な供給チャネル用の挿入開口部を有するプリンタアーキテクチャの上端に、または上端付近に位置している。インクローダの上端全体を覆ってアクセスカバーが設置され挿入開口部へのアクセスを制御するとともに、作動中にごみおよび他の汚染物質が供給チャネルに入るのを防止している。いくつかの装置では、アクセスカバーが供給チャネルのプッシュブロックに連結されて挿入領域の後ろの位置までプッシュブロックを後退させ、プッシュブロックの前のチャネルにインクスティックが挿入されてもよい。アクセスカバーを閉じると、プッシュブロックが供給チャネルの挿入領域の中を通って前方へ動かされて、挿入領域内に入れ込まれたインクスティックが供給チャネルの溶融端部の方へ(およびインクスティックが供給チャネル内に既に存在している場合には、供給チャネル内のインク柱の後端部と接触するように)押しつけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挿入開口部全体を覆うようにアクセスカバーが設置されている装置では、挿入開口部を露出して、場合によっては、プッシュブロックを後退させて供給チャネルの中にインクスティックを挿入できるようにするために、アクセスカバーをその所要の可動範囲の中で動かすのに十分なすき間を設けなければならない。インクスティック挿入のためおよび/またはアクセスカバーの可動範囲のための十分なすき間を設けるには、プリンタの上端面に、または上端面付近にインクローダを設置する必要がある。この要件はプリンタ構成要素の配置および/または選択を制限する。プリンタの設計および構成が、より多くの柔軟性を有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、相転移インク画像装置は、画像装置のハウジングの中に動作的に接続されたインクローダを含んでいる。インクローダの少なくとも一部分は、インクローダの中へのインクスティック挿入を可能にするためにハウジングから引っ張り出すように構成されている。一実施形態では、インクローダは複数の供給チャネルを含んでおり、各供給チャネルの少なくとも一部分はハウジングの中の位置からハウジングの外部の位置までハウジングに対して動くように構成されている。他の実施形態では、インクローダは、固体インクを溶かすためのインク溶融装置にインクローダの供給経路が通じている第1の位置と、供給チャネルへの固体インクの挿入を可能にする第2の位置の間でハウジングに対して動くように構成された可動部分を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】包囲位置にある引き出し式インクローダを有する相転移インク画像装置の実施形態の斜視図である。
【図2】アクセス可能位置にある引き出し式インクローダを有する図1の相転移インク画像装置の斜視図である。
【図3】図1および図2の装置のような相転移インク画像装置のシステムの模式図である。
【図4】図4Aは図1〜図3の相転移インク画像装置とともに使用するための固体インクスティックの先端部の斜視図である。図4Bは図4Aのインクスティックの後端部および下端面の斜視図である。
【図5】図1〜図3のインクローダの供給チャネルの側面断面図である。
【図6】供給チャネルの全長を含む引き出し式インクローダの実施形態の側面図である。
【図7】図1〜図3の装置のハウジングの中の包囲位置にある図6の引き出し式インクローダの平面図である。
【図8】図1〜図3の装置のハウジングから引っ張り出した装填位置にある図6の引き出し式インクローダの平面図である。
【図9】挿入領域30を含むインクローダの供給チャネルの部分長さを含むインクローダの引き出し式構成要素の実施形態の平面図であり、引き出し式構成要素が包囲位置にある状態を示している。
【図10】図9のインクローダの側面図である。
【図11】装填位置にある引き出し式構成要素を有する図9のインクローダの平面図である。
【図12】図9〜図11の引き出し式構成要素とともに使用するためのインク保持器を示しており、インク保持器はクリア位置にある。
【図13】保持位置にある図12のインク保持器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、図1〜図3に示す装置10のような相転移インク画像装置とともに使用するための引き出し式ドロア型インクローダに関する。完全インクローダ引き出し式構成から、供給チャネルの挿入領域を主として含む部分的インクローダ引き出し式構成まで引き出し式インク・ローダ・アーキテクチャによる複数の構成が含まれてもよい。図1〜図3の装置10は多機能周辺(MFP)装置を含んでいるが、本開示による引き出し式インクローダは、プリンタ、コピー機、ファックス装置などの他の多数の相転移インク画像装置構成に組み込んでもよい。
【0008】
後述するように、装置10は、ハウジング11の中の実質的に囲まれた位置(図1)から、挿入開口部16にアクセスできインクスティックを挿入できるアクセス可能位置(図2)まで、インクローダ12の少なくとも挿入領域または挿入部分を装置10のハウジング11に対して横方向に動かすことができる引き出し式ドロア型構成要素100を有するインクローダ12を含んでいる(図3)。引き出し式構成要素100は、図1および図2に示すように、装置10の前のような装置10の上端部13からずれた位置でインクスティック14をインクローダ12の中に挿入できるようにする。図示のように挿入領域をずらすことにより、スキャナシステム15および関連する媒体経路のような他のプリンタ構成要素および追加機能をプリンタの上端に組み込むことが可能になる。また、引き出し式インクローダ12は、プリンタの上端部13上方のすき間が限定されている状況において有利であることができる。
【0009】
図3は、インクローダ12と、装置10のような相転移インク画像装置の他のシステムおよび機構との間の関係を示す簡略化した模式図である。図示のように、画像装置10は、インクローダ12と、印刷システム26と、媒体供給および取扱システム48と、を含む装置10のさまざまなシステムおよび構成要素を支持し、少なくとも部分的に取り囲むハウジング11を有している。装置10の構成、特に、装置構成要素の配置、寸法、および運転要件に応じて、任意の好適なハウジング11および支持システムを使用してもよい。
【0010】
インクローダ12は、固体インクスティックと呼ばれるインク14のブロックとして、固形の相転移インクを受け入れ、固体インクスティックを溶かして記録媒体上に画像を形成するのに適した液体インクにする溶融アセンブリ20にインクスティックを送出するように構成されている。インクローダ12は、その中にインクスティック14を挿入する供給チャネル18を含んでいる。図3には単一の供給チャネル18が示されているが、インクローダ12は装置10で使用されるインクスティック14の各色彩または色調に対して個別の供給チャネルを含んでいる(例えば、図7を参照されたい)。インクスティック14は挿入開口部16を通じて供給チャネルの挿入領域30の中に挿入される。供給チャネルの挿入領域30は、インクスティックが供給チャネルの中に入るときに静止する供給チャネルの案内経路の部分を示している。図3の実施形態では、挿入開口部16は供給チャネル18の上方に位置しているため、供給チャネル18の挿入静止領域30は、実質的に挿入開口部16の下方に位置する供給チャネル18の部分に対応している。他の実施形態では、供給チャネルの側部または供給チャネルの端部にある開口部を通じて供給チャネルの中にインクスティック14を挿入してもよい。
【0011】
供給チャネル18の中に挿入されると、インクスティックはインクスティック供給機構により供給チャネルの第2の端部96および溶融装置20の方へ押しつけられる。任意の好適な供給機構を利用してもよい。図3の実施形態では、供給機構は、インクスティックを第2の端部96の方へ動かす強制力を供給チャネル18内のインクスティックに加えるように構成されたバネ付きプッシュブロック22を含んでいる。第2の端部96に到達したインクスティック14は、インクスティックを相転移インクの融解温度まで加熱する溶融装置20と接触するように誘導される。相転移インクの製剤設計に応じて、任意の好適な融解温度を使用してもよい。一実施形態では、相転移インクの融解温度は約80℃〜130℃である。図3に示すように、溶けたインクは溶融容器24内に受け入れられ、適切な運転状態中に装置10の印刷システム26で使用される。
【0012】
印刷システム26は、溶けたインクの滴をインク受け取り表面上に射出するようになされたインクジェットを有する少なくとも1つのプリントヘッド28を含んでいる。図3に単一のプリントヘッド28を示している。しかしながら、任意の好適な個数のプリントヘッド28を使用してもよい。図3の装置10は、インク滴を中間表面32上に射出して、その後、紙、トランスペアレンシーなどの記録媒体に転写する間接的印刷プロセスを使用するように構成されている。他の実施形態では、装置10は、直接、記録媒体上にインク滴を射出するように構成してもよい。部材34の表面32から記録媒体へのインク画像の転写を容易にするために離型剤塗布アセンブリ38により離型剤の層または膜を回転部材34に塗布する。図3では回転部材34をドラムとして示しているが、他の実施形態では、部材34は回転ローラ、移動ベルト、またはバンドもしくは他の類似の種類の構造を含んでいてもよい。ニップ44を形成するように回転部材34上の中間表面32に対してトランスフィックスローラ40を取り付け、このニップ44の中を通って、記録媒体52シートが中間表面32上のインク画像とタイミングを合わせて供給される。塗布器38により中間表面32に塗布された離型剤に関連して、インクが回転部材34に付着するのを実質的に防止しながら表面32から記録媒体52へのインク滴の転写を促進する圧力(および場合によっては熱)がニップ44内で生成される。
【0013】
媒体供給および取扱システム48は、装置10内に形成されニップ44の中を通って媒体を誘導する媒体経路50に沿って記録媒体を搬送する。媒体供給および取扱システム48は、装置10用の異なる種類および大きさの記録媒体を保存して供給するための供給トレイ58のような少なくとも1つの媒体供給源58を含んでいる。媒体供給および取扱システムは、媒体経路50に沿って媒体を搬送するための、駆動ローラまたは空転ローラであってもよいローラ60、邪魔板、そらせ板などの好適な機構を含んでいる。
【0014】
中間表面32からインクを受け取るのに好適な温度で記録媒体がニップ44に届くように記録媒体の温度を制御して調整するための媒体状態調節装置を媒体経路50に沿って設置してもよい。例えば、図3の実施形態では、ニップ44に到達する前に記録媒体を最初の所定温度にするための予熱アセンブリ64を媒体経路50に沿って設けてある。予熱アセンブリ64は、媒体を目標予熱温度にするために、接触熱、放射熱、伝導熱、もしくは対流熱、または任意の組み合わせを利用してもよく、この目標予熱温度は1つの実際的実施形態では約30℃〜約70℃の範囲にある。他の実施形態では、インクを媒体上に蒸着する前、間、および後の媒体(およびインク)温度ならびに/または含水率を制御するための他の熱的状態調節装置を媒体経路に沿って使用してもよい。
【0015】
画像装置10のさまざまなサブシステム、構成要素、および機能の運転および制御は、制御システム68の助けを借りて実行される。スキャナシステム15または通信リンク86などの1つ以上の画像供給源から画像データを受信して管理し、画像データに対応する制御信号を生成するために制御システム68は動作的に接続されている。これらの信号により構成要素およびシステムは画像装置10に対してさまざまな手順および運転操作を実行する。制御システム68は、コントローラ70、電子記憶装置またはメモリ74、およびユーザインタフェース(UI)78を含んでいる。コントローラ70は、中央演算処理装置(CPU)などの処理装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)装置、またはメモリ74内に保存された命令を実行するように構成されたマイクロコントローラを含んでいてもよい。任意の好適な種類のメモリまたは電子記憶装置を使用してもよい。例えば、メモリ74は、読み出し専用メモリ(ROM)などの不揮発性メモリ、またはEEPROMもしくはフラッシュメモリなどのプログラマブル不揮発性メモリであってもよい。
【0016】
ユーザインタフェース(UI)78は、操作者と制御システム68とのやりとりを可能にする入出力装置を含んでいる。例えば、UI78は、キーパッド、ボタン、または他の類似の種類の手動作動装置80、および表示部82を含んでいてもよい。コントローラ70は、選択を示す信号と、装置のユーザまたは操作者によるユーザインタフェース78への他の情報入力と、を受信するために、および選択可能な選択肢、機械状況、消耗状況、およびその種の他のものを含む情報をユーザまたは操作者に表示するために、ユーザインタフェース78に動作的に接続されている。コントローラ70は、離れた場所から画像データおよびユーザ相互作用データを受信するためのコンピュータネットワークを含んでいてもよい通信リンク86に接続されている。
【0017】
コントローラ70は、メモリ74内に保存された印刷データおよび命令に基づいて、インク取扱システム12、印刷システム26、媒体取扱システム48、離型剤塗付アセンブリ38、媒体状態調節装置50、ならびに画像装置10の他の装置および機構などの、装置10のさまざまなシステムおよび構成要素に出力される制御信号を生成するように構成されている。例えば、制御信号は、システム構成要素の運転速度、電力レベル、タイミング、作動、および他のパラメータを制御して、運転モードと呼ばれる運転のさまざまな状態、モード、またはレベルで画像装置10を作動させる。
【0018】
ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、固体インクスティック14は、固化した相転移インク材料で形成され、鋳造、注ぎ鋳造、射出成形、圧縮成形、または他の既知の技法などの好適な製作過程を用いて成形された胴体部を含んでいる。インクスティック14は、供給チャネル18の底面または床面に隣接して配置するように構成された下端面160と、下端面160の反対側の上端面164と、供給チャネル18内に供給方向Fに面して配置するように構成された先端部表面156と、供給方向の反対側に面して配置するように構成された後端部表面154と、側部表面158、168、および186と、を含んでいる。異なるモデル用のインクスティックは、その外観または大きさがかなり異なる可能性があるが、図4Aおよび図4Bのインクスティック14は他のインクスティックについて存在する可能性がある表面および特徴形式を示している。
【0019】
図5は、供給チャネル18を詳細に示すインクローダ12の側面断面図を示している。図示のように、供給チャネル18は、第1の端部98および第2の端部96を有する長手方向シュートまたは類似の種類の構造を含んでいる。溶融プレートの形の溶融装置20は、供給チャネル18の、溶融端部とも呼ばれる第2の端部96に位置している。供給チャネル18の長手方向部分は第1の端部98と第2の端部96の間に延びている。挿入領域30は、供給チャネルの第1の端部98と第2の端部96の間の、挿入開口部16に隣接する好適な位置にある。用語長手方向は、インクローダに当てはまるように、供給チャネルを横切る方向の横長形状ではなく、むしろ供給方向を補う縦長形状を示している。供給チャネルの長手方向部分は、一直線、水平、垂直、傾斜、弓状、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0020】
各供給チャネル18は、供給方向Fのインクスティックを供給チャネルの溶融端部96にある溶融装置20の方へ押しつけるための供給機構を含んでいる。図3および図5の実施形態では、供給機構は、供給チャネル18内の、強制位置と、少なくとも1つの後退位置の間で並進運動するように構成されたプッシュブロック22を含んでいる。本明細書で使用するように、用語「プッシュブロック」は、インクスティックを供給チャネルの供給方向Fに動かすために供給チャネル内のインクスティックに対して推進力または強制力を加えることができる任意の種類の構造または機構を示している。強制位置では、好適な力を加えて供給方向Fのインクスティックを溶融装置20の方へ押しやるための駆動システムによりプッシュブロック22を動かして、供給チャネル内の最後尾のインクスティック14と接触させる。
【0021】
通常運転中に溶かされた後、溶けたインクだけがインクローダから出ていくことになるというように、溶融装置20をインクローダに関連するものとして記述している。インクローダ供給チャネルの溶融端部は溶融アセンブリを通常含んでいるが、溶融機能はインクローダと一体化されていない装置であってもよい。溶融手段が独立していたり、または図3および図5に示す以外の配置、ならびに本明細書内で他の方法で記述された配置で実現されたりする場合でも、「溶融端部」の記述、または「溶融端部」に類似の記述は、インクローダおよび/または供給方向に当てはまる。本構成に対する他の一実施例は、小さなサイズであってもよい固化したインク形態を、それを溶かす他の装置、一例としてはプリントヘッドの溶融容器、に導くようにインク出口端部が構成されているローダである。
【0022】
図5の実施形態では、プッシュブロック22の内部に格納された自由に回転できるコイルとして片端で巻かれている定荷重バネ114により強制力を提供している。バネ114のもう片端はヨーク118に取り付けられている。ヨーク118は、供給チャネル18の溶融端部96に隣接する前方位置Jと、供給チャネルの第1の端部98に隣接する後方位置Kとの間で供給チャネル18に隣接して動くように構成されている。前方位置と後方位置の間で動けるように任意の好適な方法でヨーク118を支持してもよい。例えば、図5の実施形態では、前方位置Jと後方位置Kの間でヨーク118が並進運動できるようにするために、ヨーク118は供給チャネル18に隣接して配置されたガイドスロットおよび/またはガイドレール120と協働するように構成されている。
【0023】
ヨーク118は、インク装填動作を可能にするために前方位置Jと後方位置Kの間でヨーク118を移動させるように構成された作動システム124に接続されている。図5に示すように電動式作動システムなどの任意の好適な種類の作動システムを使用してもよいが、手動作動を使用してもよく、または手動作動と電気機械作動の組み合わせを使用してもよい。電動式作動システム124は、ユーザインタフェース78から受信する入力および/または装置コントローラ70から受信する制御信号などにより任意の好適な方法で作動してもよい。実施形態では、ユーザ入力と、装置作動状態のような他の要因とに基づいてインクを装填できるようにするために、作動システム124を制御するようにコントローラ70が構成されてもよい。
【0024】
ヨーク118が前方位置Jにあるときには、定荷重バネ114はプッシュブロック22を供給チャネルの溶融端部96の方へ引っ張る。インクスティックが供給チャネル18内のプッシュブロック22の前に位置しているときには、プッシュブロック22上に作用するバネ114の引張力がプッシュブロック22を動かして供給チャネル内の最後尾のインクスティック14と接触させて、供給チャネル18の溶融端部96に向かう強制力をプッシュブロック22に加えさせる。図5の実施形態では、供給チャネル内のインクスティックの動きを妨げずにバネ本体がヨーク118とプッシュブロック22の間で伸びることができるように、バネ114はプッシュブロック22のハブに連結されている。例えば、バネ本体は、供給チャネル内のインクスティックの供給経路の上方にある経路に沿って伸びる。実施形態では、バネ114は、供給チャネルの側部への経路または供給チャネルの下方の経路のどちらに沿って伸びてもよい。
【0025】
供給チャネル内のプッシュブロックの前にインクスティックを挿入できるようにするために、プッシュブロック22を供給チャネルの挿入領域30を越えて後退位置まで動かす。プッシュブロック22を図5の実施形態の後退位置まで動かすために、ヨーク118を前方位置Jから後方位置Kまで動かす。ヨーク118が後方位置Kまで移動することにより、バネ114をグルグル巻いてプッシュブロック22の中に収めることができ、これにより、障害物なしにヨークがプッシュブロック22を後退方向Rに動かすことができるようになる。図示のように、後退したプッシュブロック22を受け入れるために供給チャネル18は挿入領域30と第1の端部98の間にある後方領域126を含んでいる。
【0026】
実施形態では、インクローダ12は、インクを受け入れるように挿入領域30が空いていることを確保するために1つ以上のインクスティックをプッシュブロック22と連動して後退させることができるようにするインクスティック後退システム(図示せず)を備えていてもよい。例えば、プッシュブロック22および/またはヨーク118の後退方向Rの動きに呼応して1つ以上のインクスティックを捕えたり、引っ張ったり、押したり、引きずったり、持ち上げたり、または他の方法で動かしたりするように構成されたインク・スティック・レトラクタ機構(図示せず)をプッシュブロック22またはヨーク118に組み込んでもよい。後方領域114は、プッシュブロック22に加えて任意の好適な個数のインクスティックを受け入れるような寸法となされてもよい。また、インク供給システムの供給構成要素とは独立に、インクスティック後退システムを駆動および/または制御してもよい。インクスティックを後退位置または中継位置に平行移動させる能力は、供給チャネルの中に装填してもよいインクスティックの個数を削減したり、または制限したりせずに、供給チャネルの挿入領域30を供給チャネルの中間的な場所に設置することを可能にする。
【0027】
図1および図2に示すように、インクローダ12は、インクローダ12の各供給チャネル18の少なくとも挿入領域30を含む引き出し式構成要素100を含んでいる。引き出し式構成要素100は、包囲位置(図1)と、アクセス可能位置または装填位置(図2)との間で供給方向Fに対して横方向に(すなわち、方向Lに)動くように装置10のハウジング11の中に可動に支持されている。図1に示すように引き出し式構成要素100が装置10のハウジング11内に囲まれているときには、供給チャネル18により形成される供給経路は溶融装置20および溶融インク容器24と連携しており、それによって、インクローダ12から印刷システム26まで実質的に連続したインクチャネルを提供する。引き出し式構成要素100をハウジング11から装填位置まで引っ張り出すと、各供給チャネル18の挿入開口部16および挿入領域30は、インクチャネルから、挿入開口部16がインクスティックを挿入するためにアクセス可能な、ハウジング11の外部のような位置まで、横方向にずれている。引き出し式構成要素100は、包囲位置と装填位置の間で動くために手動作動または動力作動するように構成されてもよい。インク溶融および液化インクのプリントヘッドへの送出は記述と異なっていてもよく、一実施例は溶けたインクをポンプでプリントヘッドに送り込む中間容器である。
【0028】
図5を参照すると、引き出し式インク・ローダ・アーキテクチャが複数の構成を含んでいてもよい。例えば、実施形態では、インクローダ12の引き出し式構成要素100は矢印Aで示すように第1の端部98から第2の端部96までの各供給チャネル18の全長、矢印Bで示すように挿入領域30(および後方領域126)を主として含む各供給チャネルの部分長さ、または全長(矢印A)および部分長さ(矢印B)を除く各供給チャネルの任意の個数の中間の部分長さを実質的に含んでいてもよい。完全な供給チャネルの具体的な長さまたは引き出し領域の幅および完全な供給チャネルの最大容積に対するその最大容積は用途に依存する。引き出し領域には、後退したプッシュブロックまたは後退したインクスティックのための空間を含む必要はない。インクスティックの大きさ、縦横比、および全体の形が異なるのと同様に、プリンタ製品サイズ、および所望のまたは許可されたインクローダ体積は製品間で異なり、これらのすべてがインクローダ構成に影響を及ぼす。それぞれの可能な引き出し式ローダ構成は、他の構成と比較すると、異なるプリンタアーキテクチャに関して利点および欠点を有している可能性がある。外部表面および筺体の機能および美意識、ならびに制御盤、表示部、および/または類似のユーザインタフェースの配置もまた、引き出し式インクローダの構成を決定する際に考慮する可能性がある要素である。
【0029】
図6〜図8は、本明細書で引き出し式インクローダと呼ばれる完全なインクローダ12を実質的に含む引き出し式構成要素100を有するインクローダの実施形態を示している。したがって、図6〜図8の実施形態では、インクローダの装置および機構のすべてが、インクローダ12を装置10のハウジング11の中に可動に支持できる好適な方法で構成されているとは限らない場合には、大部分を含む単一アセンブリとして引き出し式インクローダ100を提供している。引き出し式ローダ100が、例えば、印刷システム26と、溶融容器24などの溶融インク取扱構成要素となどの装置10の固定構成要素と連携してもよいように、引き出し式ローダ100を受け入れるためのハウジング11の中の適切な位置に空間または領域130を提供している。取付システム134が引き出し式ローダ100を装置10に接続して、空間130の中へおよび空間130から外への引き出し式ローダ100のほぼ横方向Lの動きを可能にする。図6〜図8の実施形態では、取付システム134は摺動システムを含んでいるが、任意の好適な取付システムまたは方法を使用してもよい。包囲位置と負荷位置の間の運動は、複数の方向の直線運動および非直線運動を含んでいる可能性がある。その結果、引き出し式構成要素および挿入開口部16に対して装置10のハウジング11からの横方向へのずれを引き起こす。図7および図8で分かるように、引き出し式ローダ100は、引き出し式ローダ100が包囲位置(図7)にある場合にはハウジング11と一致するとともに、装填位置(図8)へ引っ張り出される場合には引き出し式ローダといっしょに移動する外板138を含んでいてもよい。他の実施形態では、外板138はハウジング11から引き出し式ローダ100を引っ張り出すことができるようにするために開くアクセスカバーを含んでいてもよい。
【0030】
図6〜図8の実施形態では、溶融装置20は引き出し式ローダ100に組み込まれているが、他の実施形態では、引き出し式ローダ100をハウジング11に対して移動させるときに溶融装置20はハウジング11内の固定位置にとどまるように構成されてもよい。供給チャネルの全長が引き出し式ローダ100といっしょに引っ張り出されているため、引き出し式構成要素100をハウジング11から引っ張り出す前に挿入領域30を片付けることを達成する必要はない。図8に示すように、引き出し式ローダ100を包囲位置から装填位置に動かすことを可能にしながら、引き出し式インクローダ100を装置10の電力および通信回路に接続するために、電力および通信信号延長ケーブル配線および接続140を提供してもよい。他の実施形態では、引き出し式ローダ100が包囲位置の中に入るときには電力および通信を提供するために相互接続するように構成され、引き出し式ローダが引っ張り出されるときには切断する、はめ合わせソケットまたはコネクタのような接続/切断システムを引き出し式ローダ100および装置10に提供してもよい。
【0031】
図9〜図11は、各供給チャネル18の挿入領域30(および後方領域126)を主として含むインクローダ12の部分長さを含む引き出し式構成要素100の実施形態を示している。インクローダの残存部分104、すなわち、挿入領域から溶融装置20までの部分は、装置10のハウジング11内に固定されているため、引き出し式構成要素100が引っ張り出されるとき残存部分104はハウジング11の中に残るように構成されている。図6〜図9の実施形態と同様に、引き出し式構成要素100は引き出し式構成要素100を装置に取り付けて、ハウジング11の中へおよびハウジング11から外への引き出し式構成要素100のほぼ横方向Lの動きを可能にする摺動機構などの取付システム134を含んでいる。さらに、引き出し式構成要素100は、引き出し式ローダ100が包囲位置(図9)にある場合にはハウジング11と一致するとともに、装填位置(図11)へ引っ張り出される場合には引き出し式ローダといっしょに移動する外板138を含んでいてもよい。
【0032】
図9〜図11の実施形態では、引き出し式構成要素100が引っ張り出されるとき、インクローダの電子装置および電気機械装置ならびに接続はハウジング11内に固定されたまま残るように構成されてもよい。例えば、引き出し式構成要素100の挿入領域30を引っ張り出す間、検出器システム84が所定の位置に残るように構成されてもよい。あるいは、検出器システム84が挿入領域30といっしょに引っ張り出されるようにするために、検出器システム84は引き出し式構成要素100に組み込まれてもよい。図6〜図8の実施形態と同様に、ケーブル配線140(図11)は、検出器システム84(図11の挿入領域30の下方に位置する)と、装置10の回路との間に延びてもよく、または引き出し式構成要素100が包囲位置の中に入るときには電力および通信を提供するために相互接続するように構成され、引き出し式ローダ100が引っ張り出されるときには切断する、はめ合わせソケットまたはコネクタのような接続/切断システム(図示せず)を検出器システム84および装置10に提供してもよい。
【0033】
図10で最もよく分かるように、ハウジング11から引き出し式構成要素100を引っ張り出すことができるようにする前に、プッシュブロック22を供給チャネル18の後方領域126まで後退させる。引き出し式構成要素100を引っ張り出す準備ができているときには、挿入領域30内にあるインクスティックは、供給チャネルが最大容積に達していることを示すために挿入領域内に残しておいてもよい。また、他の実施形態では、ハウジングから引っ張り出す前に、インクスティックの挿入に向けて挿入領域30を片付けるために1つ以上のインクスティックを後方領域126まで動かしてもよい(インクスティック後退システムを含む実施形態において)。
【0034】
また、引き出し式構成要素100とインクローダ12の固定部分104との間の境界にインクスティック14が重なるのを防止するとともに、引き出し式構成要素が引っ張り出されるときに供給チャネルの挿入領域の開放端部からインクスティックが落ちるのを防止するために、引き出し式構成要素100は、引き出し式構成要素100の挿入領域30の開放端部に障害物を提供するように構成されたインクスティック保持部材144を含んでいてもよい。保持部材144の実施形態を図12および図13に示している。図示のように、保持部材144はインクローダの各供給チャネル18に対する障害物部分148を含んでいる。図12および図13の実施形態では、挿入領域30と、供給チャネルの固定部分104の間の供給経路を障害物148が妨害しないクリア位置(図12)と、引き出し式構成要素100の挿入領域30からのインクスティックの動きを妨害するように障害物148が位置している保持位置(図13)との間で保持部材144を平行移動させるように構成されている。引き出し式構成要素100がハウジング11内に囲まれているときには、保持部材144はクリア位置にあるように構成されており、ハウジング11から引き出し式構成要素100を引っ張り出す前に、または引っ張り出す間に、保持部材144を保持位置に移動させるように構成されている。任意の好適な方法で保持部材144をクリア位置と保持位置の間で移動させてもよい。例えば、バネ154または類似の種類の装置により保持部材144を保持位置に付勢してもよい。引き出し式構成要素100が包囲位置にあるときには、図12に示すように、保持部材144と係合して、クリア位置になるように、装置10の内部構造、表面、または機構150を位置付けてもよい。引き出し式構成要素100が引っ張り出されるときには、保持部材は、図13に示すように保持位置まで自由に移動できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶けた相転移インクの滴を放出するように構成されたインクジェット画像装置を含み、
固体インクを溶かして、前記溶けたインクを前記インクジェット画像装置に送出するように構成された固体インク溶融システムを含み、
前記インクジェット画像装置と前記固体インク溶融装置とを動作的に支持して取り囲むハウジングを含み、
前記ハウジングの中に動作的に接続されたインクローダを含み、前記インクローダは複数の供給チャネルを有しており、各供給チャネルは、その経路に沿ってインクスティックを供給方向の前記溶融装置の方へ動かす供給経路を形成し、各供給チャネルの少なくとも一部分は、前記供給チャネルが前記ハウジングの中に位置する(i)第1の位置と、前記少なくとも1つの供給チャネルの中に固体インクを挿入できるようにするために、少なくとも1つの供給チャネルの少なくとも一部分が前記ハウジングの外部にある(ii)第2の位置の間で、前記ハウジングに対して動くように構成されている、
相転移インク画像装置。
【請求項2】
各供給チャネルが、前記第1の位置と前記第2の位置の間で移動するように構成された前記供給チャネルの前記部分の中に位置する挿入領域を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各供給チャネルの前記可動部分が、前記供給チャネルにより形成された前記供給経路の一部分に対して実質的に垂直な運動を行うように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各供給チャネルの前記可動部分が、前記供給チャネルにより形成された全供給経路を実質的に含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
各供給チャネルの前記可動部分が、前記固体インク溶融システムの固体インク溶融装置を含んでいる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各供給チャネルの前記可動部分が、前記供給経路の全長よりも短い前記供給チャネルにより形成された前記供給経路の一部分を含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記可動部分が、前記挿入領域からの固体インクの運動が抑制されている保持位置と、前記挿入領域からの固体インクの運動が可能であるクリア位置とに移動するように構成されたインク保持器を含み、前記インクローダの前記可動部分が前記第1の位置から離れているときには、前記インク保持器は前記保持位置に移動するように構成されており、前記可動部分が前記第2の位置にあるときには、前記インク保持器は前記クリア位置に移動するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
固体インク搬送システムが、各供給チャネルの前記挿入領域から前記供給方向とは逆の後退方向にインクスティックを移動させるように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
各供給チャネルが、前記挿入領域から前記後退方向に動かされた固体インクを受け取るように構成された領域を含んでいる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記インクローダの各供給チャネルの前記挿入領域の中に挿入された固体インクスティックを特定するように構成された検出器システムをさらに含み、前記検出器システムは前記インクローダの前記可動部分といっしょに動くように構成されている、
請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−86562(P2012−86562A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218426(P2011−218426)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】