排気熱交換装置
【課題】フィンの突出板による渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる排気熱交換装置を提供する。
【解決手段】内燃機関から排出される排気が流れる排気通路11を構成するチューブ10と、排気通路11に配置されるフィン12と、チューブ10及びフィン12の少なくとも何れか一方に設けられ、排気流れを遮る方向に突出された突出板15とを備え、突出板15は、底辺16と左右一対の側辺17,18を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の側辺17の底辺16に対する角度が他方の側辺18の底辺16に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定されている。
【解決手段】内燃機関から排出される排気が流れる排気通路11を構成するチューブ10と、排気通路11に配置されるフィン12と、チューブ10及びフィン12の少なくとも何れか一方に設けられ、排気流れを遮る方向に突出された突出板15とを備え、突出板15は、底辺16と左右一対の側辺17,18を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の側辺17の底辺16に対する角度が他方の側辺18の底辺16に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の排気熱交換装置として、特許文献1に開示されたものがある。この排気熱交換装置100は、図20に示すように、外装ケース101と、この外装ケース101内に収容された複数のチューブ110と、複数のチューブ110の両端部に配置された一対のタンク120、121とを備えている。
【0003】
外装ケース101には、冷却流体である冷却水の冷却水入口部102と冷却水出口部103が設けられている。外装ケース101内には、隣り合うチューブ110間の隙間等によって冷却水通路104が形成されている。
【0004】
一対のタンク120,121内には、全チューブ110の両端が開口している。一方のタンク120には排気入口部120aが、他方のタンク121には排気出口部121aがそれぞれ設けられている。
【0005】
複数のチューブ110は、積層されている。チューブ110は、図21に示すように、2つの偏平部材110a,110bより形成されている。チューブ110の内部には、排気通路111が形成されている。各チューブ110の排気通路111には、フィン112が収容されている。
【0006】
フィン112は、図22に示すように、矩形の波形形状に形成されている。フィン112には、排気流れ方向Sに間隔を置いて複数の突出板113が切り起こしによって形成されている。突出板113は、排気通路111内の排気流れを遮る方向に突出されている。突出板113は、三角形状である。突出板113は、排気流れ方向Sの直交方向に傾する設置角度で配置されている。
【0007】
上記構成において、各チューブ110内の排気通路111には、内燃機関から排出される排気が流れる。外装ケース101内の冷却水通路104には、冷却水が流れる。排気と冷却水は、チューブ110及びフィン112を介して熱交換する。この熱交換に際して、フィン112の各突出板113は、排気の流れを乱し、熱交換を促進する。
【0008】
次に、突出板113による熱交換の促進作用を具体的に説明する。図23に示すように、排気通路111を流れる排気が突出板113に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板113の直ぐ下流に低圧領域が形成される。図24(a)、(b)に示すように、突出板113に突き当たった排気は、突出板113の左右の側辺113a,113bを回り込む越流となって下流に進む。越流は、突出板113の形状が三角形であるため、一方の側辺113aからの第1越流と、突出板113の他方の側辺からの第2越流に分かれる。第1越流と第2越流は、両側の側辺113a,113bが共に傾斜面であることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布となり、このような分布の流れが低圧領域に引き込まれるため、第1越流と第2越流にそれぞれ回転力が作用し、図24(c)に示すように、第1越流と第2越流がそれぞれ螺旋状の渦流となる。このようにして、突出板13の下流には2つの螺旋状の渦流が形成される。この2つの螺旋状の渦流が、排気通路111の面近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、熱交換率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−96456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の排気熱交換装置100では、突出板113が三角形状であるため、排気流の堰き止め領域が小さく、突出板113の直ぐ下流にはあまり低い低圧領域が形成されない。そのため、第1越流と第2越流の低圧領域への引き込み力が小さく、2つに分岐された螺旋状の小さな渦流しか形成されない。仮にどちらかの越流が大きくて1つの渦流しか形成されなかったとしても引き込み力が弱いために弱い渦流しか形成されない。以上より、渦流によって熱伝達を大きく促進させることができない。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、フィンの突出板による渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる排気熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内燃機関から排出される排気が流れる排気通路と、前記排気通路に配置され、排気流れを遮る方向に突出された突出板を有するフィンとを備え、前記突出板は、底辺と左右一対の側辺を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の前記側辺の底辺に対する角度が他方の前記側辺の底辺に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定され、前記突出板は、排気流れ方向の上流側に前倒れ状態となる前傾角度で配置され、前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に対し斜め向きとなる設置角度で配置され、他方の前記側辺が排気上流側で、且つ、一方の前記側辺が排気下流側であることを特徴とする排気熱交換装置である。
【0013】
前記突出板は、他方の前記側辺の前記底辺に対する角度が90度で、且つ、一方の前記側辺の前記底辺に対する角度が60度の台形であることが好ましい。
【0014】
前記突出板の前傾角度は、40度以上で、且つ、90度未満の範囲であることが好ましい。前記突出板の前傾角度は、60度であることが更に好ましい。
【0015】
前記突出板の設置角度は、10度〜50度の範囲であることが好ましい。前記突出板の設置角度は、30度であることが更に好ましい。
【0016】
前記突出板は、台形であり、底辺をH、高さをhとすると、h/Hが0.2〜0.7の範囲であることが好ましい。
【0017】
前記排気通路は、排気流れ方向の直交方向に複数の小通路に仕切られ、各小通路には、前記突出板が排気流れ方向に沿って間隔を置いて設けられていることが好ましい。
【0018】
前記突出板は、排気流れ方向の直交方向の同一位置に複数設けられ、複数の前記突出板は、左右の設置向きが左右異なる配置で配置されていることが好ましい。
【0019】
排気流れ方向に間隔を置いて配置された複数の前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に交互にシフトした位置に配置されていることが好ましい。
【0020】
シフトした位置の前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に一部オーバーラップして配置されていることが好ましい。
【0021】
前記突出板は、前記排気通路を形成する複数の内面のうち、2面以上の内面に形成されていることが好ましい。
【0022】
前記突出板は、前記排気通路を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されていることが好ましい。
【0023】
互いに対向する2面は、前記チューブの内面に密接する側の面であることが好ましい。
【0024】
前記突出板は、隣接する前記排気通路(11)で排気流れ方向(S)に対して互いにシフトした位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、排気通路を流れる排気が突出板に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板の直ぐ下流には低圧領域が形成される。突出板は4角形以上の多角形であることから、排気流の堰き止め領域が大きいため、突出板の直ぐ下流には三角形の場合に較べて十分に低い低圧領域が形成される。そして、突出板の側辺の傾斜角度より、突出板の一方の側辺及びその側辺近傍の上辺を回り込む第1越流が突出板の他方の側辺及びその側辺近傍の上辺を回り込む第2越流に較べて多量であるため、第1越流が主流となって低圧領域に引き込まれる。ここで、第1越流は、一方の側辺が傾斜していることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布で、低圧領域の強い引き込み力によって引き込まれるため、突出板の下流には大きな単一の螺旋状で、且つ、強い渦流が形成される。
【0026】
又、突出板は、排気流れ方向の上流側に前倒れ状態で配置されているため、後傾斜とした場合に較べて、大きくて強い渦流を形成できる。つまり、突出板が後傾斜で設置されている場合には、突出板に突き当たった排気流れがスムーズに上方に流れを変え、この進路変更した排気流れが突出板の下流にスムーズに引き込まれ易い。これに対し、前傾斜で設置されている場合には、突出板に突き当たった排気流れが上方にスムーズに流れを変えることができないため、乱入となった排気は突出板の下流に引き込まれ難い等の理由による。
【0027】
更に、突出板は、排気流れ方向の直交方向に対し斜め向きに配置され、他方の側辺が排気上流側で、且つ、一方の側辺が排気下流側であため、一方の側辺を回り込む第1越流は、突出板を回り込んだ直後の位置で直ちに低圧領域からの引き込み力を受けることになるため、流通抵抗の低減を図りつつ大きくて強い渦流を形成できる。
【0028】
以上により、勢いのある大きな螺旋状の渦流が排気通路の面近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、EGRクーラの一部切欠き正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、チューブの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、(a)はフィンの斜視図、(b)はフィンの一部拡大前面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、突出板の斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、(a)は突出板を図4のA方向から見た図、(b)は突出板の平面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、(a)は突出板を越える第1越流と第2越流 の概略流れを示す斜視図、(b)は突出板を越える第1越流と第2越流の概略流れを示す平面図、(c)は突出板の下流側に形成される渦流を突出板の下流側から見た図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、突出板の前傾角度と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、突出板の設置角度と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図9】本発明の第1実施形態を示し、突出板のh/H値と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る台形の突出板と両側辺が同じ角度の台形の突出板との渦の強さを示す図である。
【図11】(a)は本発明の第2実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図、(b)は本発明の第3実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図である。
【図12】(a)は本発明の第4実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図、(b)は本発明の第5実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図である。
【図13】本発明の第6実施形態を示し、フィンの組立斜視図である。
【図14】本発明の第6実施形態を示し、フィンの分解斜視図である。
【図15】本発明の第6実施形態を示し、(a)はフィンの一部拡大前面図であり、(b)はフィンの一部側面図(図15(a)のC−C断面図)であり、(c)はフィンの変更例の一部拡大前面図である。
【図16】本発明の第7実施形態を示し、突出板の一部拡大前面図である。
【図17】本発明の第8実施形態を示し、フィンの組立斜視図である。
【図18】本発明の第8実施形態を示し、フィンの分解斜視図である。
【図19】本発明の第8実施形態を示し、(a)はフィンの一部拡大前面図であり、(b)はフィンの一部側面図(図19(a)のD−D断面図)である。
【図20】従来例を示し、排気熱交換装置の一部切欠き正面図である。
【図21】従来例を示し、チューブの斜視図である。
【図22】従来例を示し、フィンの斜視図である。
【図23】従来例を示し、突出板の斜視図である。
【図24】従来例を示し、(a)は突出板を図17のC方向から見た図、(b)は突出板の平面図、(c)は突出板の下流に形成される渦流を突出板の下流側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1〜図10は本発明の第1実施形態を示す。排気熱交換装置であるEGR(排気再循環装置)クーラ1は、図1に示すように、外装ケース2と、この外装ケース2内に収容された複数のチューブ10と、複数のチューブ10の両端部に配置された一対のタンク20,21とを備えている。これら部品は、例えば耐熱性、耐腐食性に優れた材料(例えばステンレス材)より形成されている。これら各部材は、互いの当接箇所をろー付けによって固定されている。
【0032】
外装ケース2には、冷却流体である冷却水の冷却水入口部3と冷却水出口部4が設けられている。外装ケース2内には、隣り合うチューブ10の隙間、及び、両端位置のチューブ10と外装ケース2の内面の隙間によって冷却水通路5が形成されている。
【0033】
一対のタンク20,21内には、全チューブ10の両端が開口している。一方のタンク20には排気入口部20aが、他方のタンク21には排気出口部21aがそれぞれ設けられている。
【0034】
複数のチューブ10は、積層されている。チューブ10は、図2に示すように、2つの偏平部材10a,10bより形成されている。チューブ10の内部には、排気通路11が形成されている。排気通路11は、下記するようにフィン12によって複数の小通路11aに分割されている。複数の小通路11aは、排気流れ方向Sに沿った複数の内面(チューブ10の1面とフィン12の3面とを合わせた計4面)によって形成されている。
【0035】
フィン12は、チューブ10の排気通路11に収容されている。フィン12は、図3(a)、(b)に示すように、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状に形成されている。各水平壁13は、チューブ120の内面に密着した状態で配置されている。各垂直壁14は、排気通路11を複数の小通路11aに分割している。フィン12で分割された各小通路11aには、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15が切り起こしによって形成されている。突出板15は、排気通路11内の排気流れを遮る方向に突出している。
【0036】
突出板15は、図4及び図5に示すように、底辺16と左右一対の側辺17,18と上辺19から成る台形である。突出板15を直角方向(図4のA方向)から見た場合、図5(a)に示すように、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、他方の側辺18の底辺16に対する角度bより小さく、且つ、90度未満に設定されている。この実施形態では、一方の側辺17が60度で、他方の側辺18が90度である。
【0037】
突出板15は、排気流れ方向Sの上流側に前倒れ状態となる前傾角度αで配置されている。この実施形態の前傾角度αは、フィン12の水平壁13に対して60度である。
【0038】
突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に対し斜め向きとなる設置角度βで設置されている。この実施形態の設置角度βは、30度である。突出板15は、他方の側辺18が排気上流側で、且つ、一方の側辺17が排気下流側となる向きで傾斜している。複数の突出板15は、排気流れ方向Sに沿って配置された複数の突出板15は、交互に設置向きが左右逆向きに配置されている(図3(a)参照)。
【0039】
上記構成において、各チューブ10内の排気通路11には、内燃機関から排出される排気が流れる。外装ケース2内の冷却水通路5には、冷却水が流れる。排気と冷却水は、チューブ10及びフィン12を介して熱交換する。この熱交換に際して、フィン12の各突出板15は、排気の流れを乱し、熱交換を促進する。
【0040】
次に、突出板15による熱交換の促進作用を具体的に説明する。図6(a)、(b)に示すように、排気通路11を流れる排気が突出板15に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板15の直ぐ下流には低圧領域が形成される。突出板15は4角形以上の多角形であることから、排気流の堰き止め領域が大きいため(排気流れ方向の直交方向に対し広い範囲で排気流の堰き止め領域が大きいため)、突出板15の直ぐ下流には三角形の場合に較べて十分に低い低圧領域が形成される。そして、突出板15の側辺17,18の傾斜角度より、突出板15の一方の側辺17及びこの側辺17近傍の上辺19を回り込む第1越流D1が突出板15の他方の側辺18及びこの側辺18近傍の上辺19を回り込む第2越流D2に較べて多量であるため、第1越流D1が主流となって低圧領域に引き込まれる。ここで、第1越流D1は、一方の側辺17が傾斜していることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布で、低圧領域の強い引き込み力によって引き込まれるため、図6(c)に示すように、突出板15の下流には大きな単一の螺旋状で、且つ、強い渦流が形成される。
【0041】
又、突出板15は、排気流れ方向Sの上流側に前倒れ状態となる前傾角度αで配置されている。従って、後傾斜とした場合に較べて、大きくて強い渦流を形成できる。つまり、突出板15が後傾斜で設置されている場合には、突出板15に突き当たった排気流れがスムーズに上方に流れを変え、この進路変更した排気流れが突出板15の下流にスムーズに引き込まれ易い。これに対し、前傾斜で設置されている場合には、突出板15に突き当たった排気流れが上方にスムーズに流れを変えることができないため、乱入となった排気は突出板15の下流に引き込まれ難い等の理由による。
【0042】
更に、突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に対し斜め向きとなる設置角度βで配置され、他方の側辺18が排気上流側で、且つ、一方の側辺17が排気下流側である。従って、一方の側辺17を回り込む第1越流D1は、突出板15を回り込んだ直後の位置で直ちに低圧領域からの引き込み力を受けることになるため、流通抵抗の低減を図りつつ大きくて強い渦流を形成できる。
【0043】
以上により、勢いのある大きな螺旋状の渦流が排気通路11の面(チューブ10の内面やフィン12の水平壁13)近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率が向上する。
【0044】
突出板15は、他方の側辺18の底辺16に対する角度bが90度で、且つ、一方の側辺17の底辺16に対する角度aが60度の台形である。従って、突出板15をシンプルな形状にできる。
【0045】
排気通路11は、フィン12によって排気流れ方向Sの直交方向に複数の小通路11aに仕切られ、各小通路11aには突出板15が排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に設けられている。従って、各小通路11a毎に上記した渦流を形成することができるため、排気通路11の全域でほぼ均一に熱交換を促進できる。
【0046】
排気流れ方向Sに沿って配置された複数の突出板15は、交互に設置向きが左右逆向きに配置されている。従って、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に逆のものが形成されるため、排気通路11内の排気流が更に乱され、熱交換率の向上になる。
【0047】
図7は、突出板15の前傾角度αを可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。突出板15の設置角度βを0度(排気流れ方向の直交方向)に設定した場合の渦流の強さである。渦流の強さは、下記の数式によって算出した。
【数1】
【0048】
xは、突出板(渦発生部)の設置位置を原点とした流れ方向の座標である。hは、突出板(渦発生部)の設置高さである(図5(a)及び図5(c)参照)。IAは、ある流路断面における速度勾配の第2不変量Qの値が正の場合での単位面積当たりのQ値の大きさである。
【0049】
突出板15の設置角度βが0度(排気流れ方向の直交方向)の場合、突出板15が三角形では、渦流れの強さが0.8である。図7の結果より、突出板15の設置角度βが0度(排気流れ方向の直交方向)の場合であっても、前傾角度αを40度以上で、且つ、90度未満の範囲であれば三角形より強い渦流が形成される。前傾角度αは、60度が最も好ましい。前傾角度60度では、三角形の場合より17%強い渦流を形成できる。この結果より、設定角度βを10度から50度の範囲に設定すれば、上述した所定の傾斜設置効果によって、突出板15が三角形の場合に較べて確実により強い渦流を形成できることが推定できる。
【0050】
図8は、突出板15の設置角度βを可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。突出板15の前傾角度αを90度に設定した場合の渦流の強さである。渦流の強さは、上記数式によって算出した。
【0051】
突出板15の前傾角度αが90度(垂直方向)の場合、突出板が三角形では、渦の強さが0.8である。図8の結果より、突出板15の前傾角度が90度の場合であっても、設置角度βを10度〜50度の範囲に設定すれば、三角形より強い渦流が形成される。設置角度βは、30度が最も好ましい。設置角度30度では、突出板15が三角形の場合より13%強い渦流を形成できる。この結果より、前傾角度αを40度から90度未満の範囲では、上述した前傾効果によって、突出板15が三角形の場合に較べて確実により強い渦流を形成できることが推定できる。
【0052】
図9は、突出板15の底辺16の長さHと高さh(図5参照)の比率を可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。h/H値が1の場合がほぼ三角形であり、渦の強さが0.3である。h/H値は、0.2〜0.7の範囲が好ましい。この範囲に設定することにより、突出板15が三角形の場合より165%強い渦流を形成できる。
【0053】
図10は、左右の側辺17,18の角度が同じである台形と、本実施形態の台形(本実施形態)の場合における渦流の強さを示す図である。図10に示すように、実施形態の台形の方が上記した渦流形成のメカニズムによって強い渦流が形成されることが実証された。
【0054】
(第2実施形態)
図11(a)は、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、小通路11aには、排気流れ方向Sの直交方向の同一位置に2つの突出板15が配置されている。並設する2つの突出板15は、設置向きが左右逆向きに配置されている。並設する2つの突出板15は、上方から見て「ハ」の字状に配置されている。
【0055】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0056】
この第2実施形態によれば、並設する2つの突出板15の下流に形成される渦流の向きが互いに異なる向きになる。従って、2つの渦流が互いに接近して干渉したとしても、双方の渦流を弱める方向にならないため、熱交換率の向上を図ることができる。
【0057】
変形例として、並設する2つの突出板15は、上方から見て逆「ハ」の字状に配置しても良い。又、排気流れ方向Sの直交方向の同一位置に3つ以上の突出板15が設けても良い。
【0058】
(第3実施形態)
図11(b)は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態では、小通路11aには、突出板15が排気流れ方向Sに間隔を置いて配置されているが、この複数の突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に交互にシフトした位置に配置されている。排気流れ方向Sに配置された複数の突出板15は、設置向きが交互に左右逆向きに配置されている。
【0059】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0060】
この第3実施形態によれば、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に互いに逆向きになる。従って、排気通路内の排気流が更に乱され、熱交換率の向上になる。
【0061】
(第4実施形態)
図12(a)は、本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態の突出板15の配列パターンは、前記第2実施形態と同様であるが、2つの突出板15同士が接触状態で配置されている。
【0062】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0063】
この第4実施形態では、前記第2実施形態と同様の作用・効果がある。又、並設する2つの突出板15の設置幅寸法Wを小さくできるため、狭い小通路11aに配置可能である。
【0064】
変形例として、並設する2つの突出板15は、上方から見て逆「ハ」の字状に配置しても良い。又、排気流れ方向の直交方向の同一位置に3つ以上の突出板が設けても良い。
【0065】
(第5実施形態)
図12(b)は、本発明の第5実施形態を示す。この第5実施形態の突出板15の配列パターンは、前記第3実施形態と同様であるが、シフト位置の突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に一部オーバーラップした位置に配置されている。
【0066】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0067】
この第5実施形態では、前記第3実施形態と同様の作用・効果がある。又、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に互いに逆向きになる。又、突出板15の設置幅寸法Wを小さくできるため、狭い小通路に配置可能である。
【0068】
(第6実施形態)
図13〜図15は本発明の第6実施形態を示す。この第6実施形態の突出板15,15A,15Bの形状は、前記第1実施形態と同様であるが、この突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0069】
具体的には、図13〜図15に示すように、フィン12は、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状のフィン本体12Aと、フィン本体12Aの上側に配置される上側板体12Bと、フィン本体12Aの下側に配置される下側板体12Cとによって構成されている。
【0070】
フィン本体12Aには、前記第1実施形態と同様の突出板15が設けられている。フィン本体12Aの水平壁13と垂直壁14とが交差する境目には、段部20が形成されている。この段部20の深さD20は、上側板体12Bの厚みD12Bや下側板体12Cの厚みD12Cと略同一に設定されている(図15(a)参照)。フィン本体12Aのその他の構成は、前記第1実施形態で説明したフィン12と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0071】
上側板体12Bには、上側に位置する水平壁13の位置で切り抜き加工された上側開口部12B1が形成されている。上側開口部12B1の間には、下側に位置する水平壁13に対向する上側対向面12B2が設けられている。上側対向面12B2には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Aが切り起こしによって形成されている。
【0072】
突出板15Aは、排気通路11内の排気流れを遮る方向(すなわち、下側に位置する水平壁13側)に突出している。突出板15Aのその他の構成は、フィン本体12Aに設けられた突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0073】
下側板体12Cには、下側に位置する水平壁13の位置で切り抜き加工された下側開口部12C1が形成されている。下側開口部12C1の間には、上側に位置する水平壁13に対向する下側対向面12C2が設けられている。下側対向面12C2には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Bが切り起こしによって形成されている。
【0074】
突出板15Bは、排気通路11内の排気流れを遮る方向(すなわち、上側に位置する水平壁13側)に突出している。突出板15Bのその他の構成は、フィン本体12Aに設けられた突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0075】
ここで、突出板15A,15Bは、図15(a)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されている。また、突出板15A,15Bは、図15(b)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と排気流れ方向Sの同位置に配置されている。
【0076】
この第6実施形態によれば、突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されており、この互いに対向する2面は、チューブ10の内面に密接する面(上面及び下面)となっている。従って、チューブ10の内面に密接する面で渦流が熱伝達を大きく促進するので、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0077】
又、上側対向面12B2を形成する上側板体12Bや下側対向面12C2を形成する下側板体12Cは、それぞれ一部材によって形成されている。従って、上側対向面12B2や下側対向面12C2が1つの排気通路11に対して個々に別体である場合と較べて、フィン本体12Aに対して上側板体12Bや下側板体12Cを取り付ける際の作業性が向上する。
【0078】
又、段部20の深さD20は、上側板体12Bの厚みD12Bや下側板体12Cの厚みD12Cと略同一に設定されている。従って、フィン本体12Aに上側板体12B及び下側対向面12C2を取り付けてもこれらが面一となるため、排気通路11内に効率的にフィン12を配置できるとともに、排気通路11内の排気流れを遮ることを防止できる。
【0079】
又、突出板15A,15Bは、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されているので、突出板15,15A,15Bに突き当たって形成された螺旋状で且つ強い渦流が同一方向に回転する(図15(a)参照)ため、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0080】
変更例として、突出板15A,15Bは、必ずしもフィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されている必要はなく、図15(c)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが逆向きに配置されていても良い。
【0081】
また、変更例として、突出板15A,15Bは、必ずしもフィン本体12Aに設けられた突出板15と排気流れ方向Sの同位置に配置されている必要はなく、突出板15と排気流れ方向Sに交互にシフトした位置に配置されていても良い。
【0082】
また、変更例として、突出板15,15A,15Bは、前記第1実施形態で説明した突出板15と同様と必ずしも同様の構成である必要はなく、前記第2〜第5の実施形態で説明した突出板15と同様であっても良いことは勿論である。
【0083】
さらに、変更例として、突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面のうち、2面に形成されているが、2面以上の内面(すなわち、3面や4面)に形成されても良い。
【0084】
(第7実施形態)
図16は本発明の第7実施形態を示す。この第7実施形態の突出板15,15A,15Bは、前記第6実施形態と同様に、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0085】
具体的には、図16に示すように、突出板15,15A,15Bは、前記第6実施形態のように全てがフィン12に設けられてなく、突出板15は、フィン12(フィン本体12A)に設けられており、突出板15に対向した突出板15A,15Bは、内層10inと外層10outとの2層からなるチューブ10の内層10inに設けられている。突出板15,15A,15Bのその他の構成は、前記第6実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0086】
この第7実施形態によれば、前記第6実施形態と同様の効果が得られるとともに、チューブ10を2層にすることで突出板15A,15Bをチューブ10に設けることができ、突出板15A,15Bを形成するために新たな別の部材が必要にならない。
【0087】
変更例として、突出板15A,15Bに加えて突出板15についても、チューブ10の内層10inに設けられていても良い。
【0088】
(第8実施形態)
図17〜図19は本発明の第8実施形態を示す。この第8実施形態の突出板15,15Cは、前記第6,7実施形態と同様に、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0089】
具体的には、図17〜図19に示すように、フィン12は、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状のフィン本体12Aと、垂直壁14に隣接する垂直板体12Dとによって構成されている。
【0090】
フィン本体12Aの垂直壁14には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15が切り起こしによって形成されている。複数の突出板15は、フィン本体12Aの前面視(図19(a)参照)において、フィン本体12Aの波形形状の内方或いは外方に突出している。突出板15のその他の構成は、前記第1実施形態で説明した突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0091】
垂直板体12Dは、垂直壁14に当接した状態で、半田付けや溶接(例えば、スポット溶接)、或いは係止機構(例えば、係止爪及び係止孔)等によって固定される。垂直板体12Dには、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Cが切り起こしによって形成されている。
【0092】
突出板15Cは、図19(b)に示すように、隣接する排気通路11で排気流れ方向Sに対して、フィン本体12Aに形成された突出板15とシフトした位置に配置されている。突出板15Cは、フィン本体12Aに形成された突出板15と設置向きが逆向きに配置されている。突出板15Cのその他の構成は、前記第6,第7実施形態で説明した突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0093】
この第7実施形態によれば、前記第6,第7実施形態と同様の効果が得られるとともに、突出板15Cの切り起こしにより垂直板体12Dに開口した孔12D1(図18参照)がフィン本体12Aの垂直壁14で覆われるとともに、突出板15の切り起こしによりフィン本体12Aに開口した孔12A1(図18参照)が垂直板体12Dで覆われる。これにより、突出板15や突出板15Cに突き当たって形成された強い渦流が各孔12A1,12D1を通過してしまうことなく、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0094】
変更例として、突出板15Cは、必ずしもフィン本体12Aに形成された突出板15と設置向きが逆向きに配置されている必要はなく、突出板15と設置向きが同一向きに配置されていても良い。
【0095】
また、変更例として、突出板15Cは、必ずしも隣接する排気通路11で排気流れ方向Sに対して突出板15とシフトした位置に配置されている必要はなく、各孔12A1,12D1を覆っていれば、排気流れ方向Sに対して突出板15と同位置に配置されていても良い。
【0096】
(変形例)
前記した実施形態では、突出板15は、一方の側辺17の角度が60度で、他方の側辺18の角度が90度の台形であるが、これ以外の台形であっても良く、又、台形以外の四角形でも良く、更に、四角形を超える多角形であっても良い。つまり、突出板15は、底辺16と左右一対の側辺17,18を少なくとも有する四角形以上の多角形であり、一方の側辺17の底辺16に対する角度aが他方の側辺18の底辺16に対する角度bより小さく、且つ、90度未満に設定されているものであれば良い。例えば、他方の側辺18の底辺16に対する角度bは、90度未満でも90度を超える角度であっても良い。一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、90度未満、つまり、一方の側辺17は傾斜していれば良い。
【0097】
更に好ましくは、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、他方の側辺18の底辺16に対する角度bに対して大きな角度差であることが好ましい。つまり、突出板15は、一方の側辺17が他方の側辺18よりも突出板15の下流領域への回り込みによる第1越流D1が多く、且つ、その越流量の分布が一方の側辺17の下方より上方の方が多くなり、単一の渦流を形成することができるためである。本明細書では、側辺17,18や上辺19は、直線でなく曲線のものを含む。また、本明細書では、一方の側辺17が複数の直線(例えば上方側辺と下方側辺)で構成される場合には、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、上方側辺の底辺に対する角度をいうものとする。
【0098】
実施形態では、突出板15は、切り起こしによって形成されているが、これ以外の方法(溶接等)で作製しても良い。
【0099】
実施形態では、複数の小通路11aは、チューブ10の1面とフィン12の3面とを合わせた計4つの面によって矩形状に形成されているが、これ以外の形状(例えば、三角状や多角形状、湾曲状)であっても良い。
【0100】
実施形態では、本発明の排気熱交換装置をEGR(排気再循環装置)クーラ1に適用した場合を示したが、本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行うもの全てに適用可能である。例えば、空気調和装置等のために排気熱を回収する排熱回収器である。
【符号の説明】
【0101】
1 RGRクーラ(排気熱交換装置)
11 排気通路
11a 小通路
12 フィン
15,15A,15B,15C 突出板
16 底辺
17 一方の側辺
18 他方の側辺
S 排気流れ方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の排気熱交換装置として、特許文献1に開示されたものがある。この排気熱交換装置100は、図20に示すように、外装ケース101と、この外装ケース101内に収容された複数のチューブ110と、複数のチューブ110の両端部に配置された一対のタンク120、121とを備えている。
【0003】
外装ケース101には、冷却流体である冷却水の冷却水入口部102と冷却水出口部103が設けられている。外装ケース101内には、隣り合うチューブ110間の隙間等によって冷却水通路104が形成されている。
【0004】
一対のタンク120,121内には、全チューブ110の両端が開口している。一方のタンク120には排気入口部120aが、他方のタンク121には排気出口部121aがそれぞれ設けられている。
【0005】
複数のチューブ110は、積層されている。チューブ110は、図21に示すように、2つの偏平部材110a,110bより形成されている。チューブ110の内部には、排気通路111が形成されている。各チューブ110の排気通路111には、フィン112が収容されている。
【0006】
フィン112は、図22に示すように、矩形の波形形状に形成されている。フィン112には、排気流れ方向Sに間隔を置いて複数の突出板113が切り起こしによって形成されている。突出板113は、排気通路111内の排気流れを遮る方向に突出されている。突出板113は、三角形状である。突出板113は、排気流れ方向Sの直交方向に傾する設置角度で配置されている。
【0007】
上記構成において、各チューブ110内の排気通路111には、内燃機関から排出される排気が流れる。外装ケース101内の冷却水通路104には、冷却水が流れる。排気と冷却水は、チューブ110及びフィン112を介して熱交換する。この熱交換に際して、フィン112の各突出板113は、排気の流れを乱し、熱交換を促進する。
【0008】
次に、突出板113による熱交換の促進作用を具体的に説明する。図23に示すように、排気通路111を流れる排気が突出板113に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板113の直ぐ下流に低圧領域が形成される。図24(a)、(b)に示すように、突出板113に突き当たった排気は、突出板113の左右の側辺113a,113bを回り込む越流となって下流に進む。越流は、突出板113の形状が三角形であるため、一方の側辺113aからの第1越流と、突出板113の他方の側辺からの第2越流に分かれる。第1越流と第2越流は、両側の側辺113a,113bが共に傾斜面であることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布となり、このような分布の流れが低圧領域に引き込まれるため、第1越流と第2越流にそれぞれ回転力が作用し、図24(c)に示すように、第1越流と第2越流がそれぞれ螺旋状の渦流となる。このようにして、突出板13の下流には2つの螺旋状の渦流が形成される。この2つの螺旋状の渦流が、排気通路111の面近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、熱交換率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−96456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の排気熱交換装置100では、突出板113が三角形状であるため、排気流の堰き止め領域が小さく、突出板113の直ぐ下流にはあまり低い低圧領域が形成されない。そのため、第1越流と第2越流の低圧領域への引き込み力が小さく、2つに分岐された螺旋状の小さな渦流しか形成されない。仮にどちらかの越流が大きくて1つの渦流しか形成されなかったとしても引き込み力が弱いために弱い渦流しか形成されない。以上より、渦流によって熱伝達を大きく促進させることができない。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、フィンの突出板による渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる排気熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内燃機関から排出される排気が流れる排気通路と、前記排気通路に配置され、排気流れを遮る方向に突出された突出板を有するフィンとを備え、前記突出板は、底辺と左右一対の側辺を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の前記側辺の底辺に対する角度が他方の前記側辺の底辺に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定され、前記突出板は、排気流れ方向の上流側に前倒れ状態となる前傾角度で配置され、前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に対し斜め向きとなる設置角度で配置され、他方の前記側辺が排気上流側で、且つ、一方の前記側辺が排気下流側であることを特徴とする排気熱交換装置である。
【0013】
前記突出板は、他方の前記側辺の前記底辺に対する角度が90度で、且つ、一方の前記側辺の前記底辺に対する角度が60度の台形であることが好ましい。
【0014】
前記突出板の前傾角度は、40度以上で、且つ、90度未満の範囲であることが好ましい。前記突出板の前傾角度は、60度であることが更に好ましい。
【0015】
前記突出板の設置角度は、10度〜50度の範囲であることが好ましい。前記突出板の設置角度は、30度であることが更に好ましい。
【0016】
前記突出板は、台形であり、底辺をH、高さをhとすると、h/Hが0.2〜0.7の範囲であることが好ましい。
【0017】
前記排気通路は、排気流れ方向の直交方向に複数の小通路に仕切られ、各小通路には、前記突出板が排気流れ方向に沿って間隔を置いて設けられていることが好ましい。
【0018】
前記突出板は、排気流れ方向の直交方向の同一位置に複数設けられ、複数の前記突出板は、左右の設置向きが左右異なる配置で配置されていることが好ましい。
【0019】
排気流れ方向に間隔を置いて配置された複数の前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に交互にシフトした位置に配置されていることが好ましい。
【0020】
シフトした位置の前記突出板は、排気流れ方向の直交方向に一部オーバーラップして配置されていることが好ましい。
【0021】
前記突出板は、前記排気通路を形成する複数の内面のうち、2面以上の内面に形成されていることが好ましい。
【0022】
前記突出板は、前記排気通路を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されていることが好ましい。
【0023】
互いに対向する2面は、前記チューブの内面に密接する側の面であることが好ましい。
【0024】
前記突出板は、隣接する前記排気通路(11)で排気流れ方向(S)に対して互いにシフトした位置に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、排気通路を流れる排気が突出板に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板の直ぐ下流には低圧領域が形成される。突出板は4角形以上の多角形であることから、排気流の堰き止め領域が大きいため、突出板の直ぐ下流には三角形の場合に較べて十分に低い低圧領域が形成される。そして、突出板の側辺の傾斜角度より、突出板の一方の側辺及びその側辺近傍の上辺を回り込む第1越流が突出板の他方の側辺及びその側辺近傍の上辺を回り込む第2越流に較べて多量であるため、第1越流が主流となって低圧領域に引き込まれる。ここで、第1越流は、一方の側辺が傾斜していることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布で、低圧領域の強い引き込み力によって引き込まれるため、突出板の下流には大きな単一の螺旋状で、且つ、強い渦流が形成される。
【0026】
又、突出板は、排気流れ方向の上流側に前倒れ状態で配置されているため、後傾斜とした場合に較べて、大きくて強い渦流を形成できる。つまり、突出板が後傾斜で設置されている場合には、突出板に突き当たった排気流れがスムーズに上方に流れを変え、この進路変更した排気流れが突出板の下流にスムーズに引き込まれ易い。これに対し、前傾斜で設置されている場合には、突出板に突き当たった排気流れが上方にスムーズに流れを変えることができないため、乱入となった排気は突出板の下流に引き込まれ難い等の理由による。
【0027】
更に、突出板は、排気流れ方向の直交方向に対し斜め向きに配置され、他方の側辺が排気上流側で、且つ、一方の側辺が排気下流側であため、一方の側辺を回り込む第1越流は、突出板を回り込んだ直後の位置で直ちに低圧領域からの引き込み力を受けることになるため、流通抵抗の低減を図りつつ大きくて強い渦流を形成できる。
【0028】
以上により、勢いのある大きな螺旋状の渦流が排気通路の面近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、EGRクーラの一部切欠き正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、チューブの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、(a)はフィンの斜視図、(b)はフィンの一部拡大前面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、突出板の斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、(a)は突出板を図4のA方向から見た図、(b)は突出板の平面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、(a)は突出板を越える第1越流と第2越流 の概略流れを示す斜視図、(b)は突出板を越える第1越流と第2越流の概略流れを示す平面図、(c)は突出板の下流側に形成される渦流を突出板の下流側から見た図である。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、突出板の前傾角度と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、突出板の設置角度と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図9】本発明の第1実施形態を示し、突出板のh/H値と渦の強さの関係を示す特性線図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る台形の突出板と両側辺が同じ角度の台形の突出板との渦の強さを示す図である。
【図11】(a)は本発明の第2実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図、(b)は本発明の第3実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図である。
【図12】(a)は本発明の第4実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図、(b)は本発明の第5実施形態の突出板の配列パターンを示す概略図である。
【図13】本発明の第6実施形態を示し、フィンの組立斜視図である。
【図14】本発明の第6実施形態を示し、フィンの分解斜視図である。
【図15】本発明の第6実施形態を示し、(a)はフィンの一部拡大前面図であり、(b)はフィンの一部側面図(図15(a)のC−C断面図)であり、(c)はフィンの変更例の一部拡大前面図である。
【図16】本発明の第7実施形態を示し、突出板の一部拡大前面図である。
【図17】本発明の第8実施形態を示し、フィンの組立斜視図である。
【図18】本発明の第8実施形態を示し、フィンの分解斜視図である。
【図19】本発明の第8実施形態を示し、(a)はフィンの一部拡大前面図であり、(b)はフィンの一部側面図(図19(a)のD−D断面図)である。
【図20】従来例を示し、排気熱交換装置の一部切欠き正面図である。
【図21】従来例を示し、チューブの斜視図である。
【図22】従来例を示し、フィンの斜視図である。
【図23】従来例を示し、突出板の斜視図である。
【図24】従来例を示し、(a)は突出板を図17のC方向から見た図、(b)は突出板の平面図、(c)は突出板の下流に形成される渦流を突出板の下流側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1〜図10は本発明の第1実施形態を示す。排気熱交換装置であるEGR(排気再循環装置)クーラ1は、図1に示すように、外装ケース2と、この外装ケース2内に収容された複数のチューブ10と、複数のチューブ10の両端部に配置された一対のタンク20,21とを備えている。これら部品は、例えば耐熱性、耐腐食性に優れた材料(例えばステンレス材)より形成されている。これら各部材は、互いの当接箇所をろー付けによって固定されている。
【0032】
外装ケース2には、冷却流体である冷却水の冷却水入口部3と冷却水出口部4が設けられている。外装ケース2内には、隣り合うチューブ10の隙間、及び、両端位置のチューブ10と外装ケース2の内面の隙間によって冷却水通路5が形成されている。
【0033】
一対のタンク20,21内には、全チューブ10の両端が開口している。一方のタンク20には排気入口部20aが、他方のタンク21には排気出口部21aがそれぞれ設けられている。
【0034】
複数のチューブ10は、積層されている。チューブ10は、図2に示すように、2つの偏平部材10a,10bより形成されている。チューブ10の内部には、排気通路11が形成されている。排気通路11は、下記するようにフィン12によって複数の小通路11aに分割されている。複数の小通路11aは、排気流れ方向Sに沿った複数の内面(チューブ10の1面とフィン12の3面とを合わせた計4面)によって形成されている。
【0035】
フィン12は、チューブ10の排気通路11に収容されている。フィン12は、図3(a)、(b)に示すように、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状に形成されている。各水平壁13は、チューブ120の内面に密着した状態で配置されている。各垂直壁14は、排気通路11を複数の小通路11aに分割している。フィン12で分割された各小通路11aには、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15が切り起こしによって形成されている。突出板15は、排気通路11内の排気流れを遮る方向に突出している。
【0036】
突出板15は、図4及び図5に示すように、底辺16と左右一対の側辺17,18と上辺19から成る台形である。突出板15を直角方向(図4のA方向)から見た場合、図5(a)に示すように、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、他方の側辺18の底辺16に対する角度bより小さく、且つ、90度未満に設定されている。この実施形態では、一方の側辺17が60度で、他方の側辺18が90度である。
【0037】
突出板15は、排気流れ方向Sの上流側に前倒れ状態となる前傾角度αで配置されている。この実施形態の前傾角度αは、フィン12の水平壁13に対して60度である。
【0038】
突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に対し斜め向きとなる設置角度βで設置されている。この実施形態の設置角度βは、30度である。突出板15は、他方の側辺18が排気上流側で、且つ、一方の側辺17が排気下流側となる向きで傾斜している。複数の突出板15は、排気流れ方向Sに沿って配置された複数の突出板15は、交互に設置向きが左右逆向きに配置されている(図3(a)参照)。
【0039】
上記構成において、各チューブ10内の排気通路11には、内燃機関から排出される排気が流れる。外装ケース2内の冷却水通路5には、冷却水が流れる。排気と冷却水は、チューブ10及びフィン12を介して熱交換する。この熱交換に際して、フィン12の各突出板15は、排気の流れを乱し、熱交換を促進する。
【0040】
次に、突出板15による熱交換の促進作用を具体的に説明する。図6(a)、(b)に示すように、排気通路11を流れる排気が突出板15に突き当たると、排気が直進することができないため、突出板15の直ぐ下流には低圧領域が形成される。突出板15は4角形以上の多角形であることから、排気流の堰き止め領域が大きいため(排気流れ方向の直交方向に対し広い範囲で排気流の堰き止め領域が大きいため)、突出板15の直ぐ下流には三角形の場合に較べて十分に低い低圧領域が形成される。そして、突出板15の側辺17,18の傾斜角度より、突出板15の一方の側辺17及びこの側辺17近傍の上辺19を回り込む第1越流D1が突出板15の他方の側辺18及びこの側辺18近傍の上辺19を回り込む第2越流D2に較べて多量であるため、第1越流D1が主流となって低圧領域に引き込まれる。ここで、第1越流D1は、一方の側辺17が傾斜していることからその傾斜上方側の流量が多く、傾斜下方側の流量が少ない分布で、低圧領域の強い引き込み力によって引き込まれるため、図6(c)に示すように、突出板15の下流には大きな単一の螺旋状で、且つ、強い渦流が形成される。
【0041】
又、突出板15は、排気流れ方向Sの上流側に前倒れ状態となる前傾角度αで配置されている。従って、後傾斜とした場合に較べて、大きくて強い渦流を形成できる。つまり、突出板15が後傾斜で設置されている場合には、突出板15に突き当たった排気流れがスムーズに上方に流れを変え、この進路変更した排気流れが突出板15の下流にスムーズに引き込まれ易い。これに対し、前傾斜で設置されている場合には、突出板15に突き当たった排気流れが上方にスムーズに流れを変えることができないため、乱入となった排気は突出板15の下流に引き込まれ難い等の理由による。
【0042】
更に、突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に対し斜め向きとなる設置角度βで配置され、他方の側辺18が排気上流側で、且つ、一方の側辺17が排気下流側である。従って、一方の側辺17を回り込む第1越流D1は、突出板15を回り込んだ直後の位置で直ちに低圧領域からの引き込み力を受けることになるため、流通抵抗の低減を図りつつ大きくて強い渦流を形成できる。
【0043】
以上により、勢いのある大きな螺旋状の渦流が排気通路11の面(チューブ10の内面やフィン12の水平壁13)近傍に形成される境界層(排気停滞層)を乱しつつ流れるため、渦流が熱伝達を大きく促進させ、熱交換率が向上する。
【0044】
突出板15は、他方の側辺18の底辺16に対する角度bが90度で、且つ、一方の側辺17の底辺16に対する角度aが60度の台形である。従って、突出板15をシンプルな形状にできる。
【0045】
排気通路11は、フィン12によって排気流れ方向Sの直交方向に複数の小通路11aに仕切られ、各小通路11aには突出板15が排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に設けられている。従って、各小通路11a毎に上記した渦流を形成することができるため、排気通路11の全域でほぼ均一に熱交換を促進できる。
【0046】
排気流れ方向Sに沿って配置された複数の突出板15は、交互に設置向きが左右逆向きに配置されている。従って、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に逆のものが形成されるため、排気通路11内の排気流が更に乱され、熱交換率の向上になる。
【0047】
図7は、突出板15の前傾角度αを可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。突出板15の設置角度βを0度(排気流れ方向の直交方向)に設定した場合の渦流の強さである。渦流の強さは、下記の数式によって算出した。
【数1】
【0048】
xは、突出板(渦発生部)の設置位置を原点とした流れ方向の座標である。hは、突出板(渦発生部)の設置高さである(図5(a)及び図5(c)参照)。IAは、ある流路断面における速度勾配の第2不変量Qの値が正の場合での単位面積当たりのQ値の大きさである。
【0049】
突出板15の設置角度βが0度(排気流れ方向の直交方向)の場合、突出板15が三角形では、渦流れの強さが0.8である。図7の結果より、突出板15の設置角度βが0度(排気流れ方向の直交方向)の場合であっても、前傾角度αを40度以上で、且つ、90度未満の範囲であれば三角形より強い渦流が形成される。前傾角度αは、60度が最も好ましい。前傾角度60度では、三角形の場合より17%強い渦流を形成できる。この結果より、設定角度βを10度から50度の範囲に設定すれば、上述した所定の傾斜設置効果によって、突出板15が三角形の場合に較べて確実により強い渦流を形成できることが推定できる。
【0050】
図8は、突出板15の設置角度βを可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。突出板15の前傾角度αを90度に設定した場合の渦流の強さである。渦流の強さは、上記数式によって算出した。
【0051】
突出板15の前傾角度αが90度(垂直方向)の場合、突出板が三角形では、渦の強さが0.8である。図8の結果より、突出板15の前傾角度が90度の場合であっても、設置角度βを10度〜50度の範囲に設定すれば、三角形より強い渦流が形成される。設置角度βは、30度が最も好ましい。設置角度30度では、突出板15が三角形の場合より13%強い渦流を形成できる。この結果より、前傾角度αを40度から90度未満の範囲では、上述した前傾効果によって、突出板15が三角形の場合に較べて確実により強い渦流を形成できることが推定できる。
【0052】
図9は、突出板15の底辺16の長さHと高さh(図5参照)の比率を可変した場合の渦流の強さを示す特性線図である。h/H値が1の場合がほぼ三角形であり、渦の強さが0.3である。h/H値は、0.2〜0.7の範囲が好ましい。この範囲に設定することにより、突出板15が三角形の場合より165%強い渦流を形成できる。
【0053】
図10は、左右の側辺17,18の角度が同じである台形と、本実施形態の台形(本実施形態)の場合における渦流の強さを示す図である。図10に示すように、実施形態の台形の方が上記した渦流形成のメカニズムによって強い渦流が形成されることが実証された。
【0054】
(第2実施形態)
図11(a)は、本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、小通路11aには、排気流れ方向Sの直交方向の同一位置に2つの突出板15が配置されている。並設する2つの突出板15は、設置向きが左右逆向きに配置されている。並設する2つの突出板15は、上方から見て「ハ」の字状に配置されている。
【0055】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0056】
この第2実施形態によれば、並設する2つの突出板15の下流に形成される渦流の向きが互いに異なる向きになる。従って、2つの渦流が互いに接近して干渉したとしても、双方の渦流を弱める方向にならないため、熱交換率の向上を図ることができる。
【0057】
変形例として、並設する2つの突出板15は、上方から見て逆「ハ」の字状に配置しても良い。又、排気流れ方向Sの直交方向の同一位置に3つ以上の突出板15が設けても良い。
【0058】
(第3実施形態)
図11(b)は、本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態では、小通路11aには、突出板15が排気流れ方向Sに間隔を置いて配置されているが、この複数の突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に交互にシフトした位置に配置されている。排気流れ方向Sに配置された複数の突出板15は、設置向きが交互に左右逆向きに配置されている。
【0059】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0060】
この第3実施形態によれば、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に互いに逆向きになる。従って、排気通路内の排気流が更に乱され、熱交換率の向上になる。
【0061】
(第4実施形態)
図12(a)は、本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態の突出板15の配列パターンは、前記第2実施形態と同様であるが、2つの突出板15同士が接触状態で配置されている。
【0062】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0063】
この第4実施形態では、前記第2実施形態と同様の作用・効果がある。又、並設する2つの突出板15の設置幅寸法Wを小さくできるため、狭い小通路11aに配置可能である。
【0064】
変形例として、並設する2つの突出板15は、上方から見て逆「ハ」の字状に配置しても良い。又、排気流れ方向の直交方向の同一位置に3つ以上の突出板が設けても良い。
【0065】
(第5実施形態)
図12(b)は、本発明の第5実施形態を示す。この第5実施形態の突出板15の配列パターンは、前記第3実施形態と同様であるが、シフト位置の突出板15は、排気流れ方向Sの直交方向に一部オーバーラップした位置に配置されている。
【0066】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0067】
この第5実施形態では、前記第3実施形態と同様の作用・効果がある。又、各突出板15の下流に形成される渦流の向きが交互に互いに逆向きになる。又、突出板15の設置幅寸法Wを小さくできるため、狭い小通路に配置可能である。
【0068】
(第6実施形態)
図13〜図15は本発明の第6実施形態を示す。この第6実施形態の突出板15,15A,15Bの形状は、前記第1実施形態と同様であるが、この突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0069】
具体的には、図13〜図15に示すように、フィン12は、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状のフィン本体12Aと、フィン本体12Aの上側に配置される上側板体12Bと、フィン本体12Aの下側に配置される下側板体12Cとによって構成されている。
【0070】
フィン本体12Aには、前記第1実施形態と同様の突出板15が設けられている。フィン本体12Aの水平壁13と垂直壁14とが交差する境目には、段部20が形成されている。この段部20の深さD20は、上側板体12Bの厚みD12Bや下側板体12Cの厚みD12Cと略同一に設定されている(図15(a)参照)。フィン本体12Aのその他の構成は、前記第1実施形態で説明したフィン12と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0071】
上側板体12Bには、上側に位置する水平壁13の位置で切り抜き加工された上側開口部12B1が形成されている。上側開口部12B1の間には、下側に位置する水平壁13に対向する上側対向面12B2が設けられている。上側対向面12B2には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Aが切り起こしによって形成されている。
【0072】
突出板15Aは、排気通路11内の排気流れを遮る方向(すなわち、下側に位置する水平壁13側)に突出している。突出板15Aのその他の構成は、フィン本体12Aに設けられた突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0073】
下側板体12Cには、下側に位置する水平壁13の位置で切り抜き加工された下側開口部12C1が形成されている。下側開口部12C1の間には、上側に位置する水平壁13に対向する下側対向面12C2が設けられている。下側対向面12C2には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Bが切り起こしによって形成されている。
【0074】
突出板15Bは、排気通路11内の排気流れを遮る方向(すなわち、上側に位置する水平壁13側)に突出している。突出板15Bのその他の構成は、フィン本体12Aに設けられた突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0075】
ここで、突出板15A,15Bは、図15(a)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されている。また、突出板15A,15Bは、図15(b)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と排気流れ方向Sの同位置に配置されている。
【0076】
この第6実施形態によれば、突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されており、この互いに対向する2面は、チューブ10の内面に密接する面(上面及び下面)となっている。従って、チューブ10の内面に密接する面で渦流が熱伝達を大きく促進するので、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0077】
又、上側対向面12B2を形成する上側板体12Bや下側対向面12C2を形成する下側板体12Cは、それぞれ一部材によって形成されている。従って、上側対向面12B2や下側対向面12C2が1つの排気通路11に対して個々に別体である場合と較べて、フィン本体12Aに対して上側板体12Bや下側板体12Cを取り付ける際の作業性が向上する。
【0078】
又、段部20の深さD20は、上側板体12Bの厚みD12Bや下側板体12Cの厚みD12Cと略同一に設定されている。従って、フィン本体12Aに上側板体12B及び下側対向面12C2を取り付けてもこれらが面一となるため、排気通路11内に効率的にフィン12を配置できるとともに、排気通路11内の排気流れを遮ることを防止できる。
【0079】
又、突出板15A,15Bは、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されているので、突出板15,15A,15Bに突き当たって形成された螺旋状で且つ強い渦流が同一方向に回転する(図15(a)参照)ため、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0080】
変更例として、突出板15A,15Bは、必ずしもフィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが同一向きに配置されている必要はなく、図15(c)に示すように、フィン本体12Aに設けられた突出板15と設置向きが逆向きに配置されていても良い。
【0081】
また、変更例として、突出板15A,15Bは、必ずしもフィン本体12Aに設けられた突出板15と排気流れ方向Sの同位置に配置されている必要はなく、突出板15と排気流れ方向Sに交互にシフトした位置に配置されていても良い。
【0082】
また、変更例として、突出板15,15A,15Bは、前記第1実施形態で説明した突出板15と同様と必ずしも同様の構成である必要はなく、前記第2〜第5の実施形態で説明した突出板15と同様であっても良いことは勿論である。
【0083】
さらに、変更例として、突出板15,15A,15Bは、排気通路11を形成する複数の内面のうち、2面に形成されているが、2面以上の内面(すなわち、3面や4面)に形成されても良い。
【0084】
(第7実施形態)
図16は本発明の第7実施形態を示す。この第7実施形態の突出板15,15A,15Bは、前記第6実施形態と同様に、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0085】
具体的には、図16に示すように、突出板15,15A,15Bは、前記第6実施形態のように全てがフィン12に設けられてなく、突出板15は、フィン12(フィン本体12A)に設けられており、突出板15に対向した突出板15A,15Bは、内層10inと外層10outとの2層からなるチューブ10の内層10inに設けられている。突出板15,15A,15Bのその他の構成は、前記第6実施形態と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0086】
この第7実施形態によれば、前記第6実施形態と同様の効果が得られるとともに、チューブ10を2層にすることで突出板15A,15Bをチューブ10に設けることができ、突出板15A,15Bを形成するために新たな別の部材が必要にならない。
【0087】
変更例として、突出板15A,15Bに加えて突出板15についても、チューブ10の内層10inに設けられていても良い。
【0088】
(第8実施形態)
図17〜図19は本発明の第8実施形態を示す。この第8実施形態の突出板15,15Cは、前記第6,7実施形態と同様に、排気通路11を形成する複数の内面(4つの面)のうち、2面の内面に形成されている。
【0089】
具体的には、図17〜図19に示すように、フィン12は、水平壁13と垂直壁14が交互に配置された矩形の波形形状のフィン本体12Aと、垂直壁14に隣接する垂直板体12Dとによって構成されている。
【0090】
フィン本体12Aの垂直壁14には、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15が切り起こしによって形成されている。複数の突出板15は、フィン本体12Aの前面視(図19(a)参照)において、フィン本体12Aの波形形状の内方或いは外方に突出している。突出板15のその他の構成は、前記第1実施形態で説明した突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0091】
垂直板体12Dは、垂直壁14に当接した状態で、半田付けや溶接(例えば、スポット溶接)、或いは係止機構(例えば、係止爪及び係止孔)等によって固定される。垂直板体12Dには、排気流れ方向Sに沿って間隔を置いた位置に複数の突出板15Cが切り起こしによって形成されている。
【0092】
突出板15Cは、図19(b)に示すように、隣接する排気通路11で排気流れ方向Sに対して、フィン本体12Aに形成された突出板15とシフトした位置に配置されている。突出板15Cは、フィン本体12Aに形成された突出板15と設置向きが逆向きに配置されている。突出板15Cのその他の構成は、前記第6,第7実施形態で説明した突出板15と同様であるため、重複説明を回避すべく説明を省略する。
【0093】
この第7実施形態によれば、前記第6,第7実施形態と同様の効果が得られるとともに、突出板15Cの切り起こしにより垂直板体12Dに開口した孔12D1(図18参照)がフィン本体12Aの垂直壁14で覆われるとともに、突出板15の切り起こしによりフィン本体12Aに開口した孔12A1(図18参照)が垂直板体12Dで覆われる。これにより、突出板15や突出板15Cに突き当たって形成された強い渦流が各孔12A1,12D1を通過してしまうことなく、熱交換率の向上をさらに図ることができる。
【0094】
変更例として、突出板15Cは、必ずしもフィン本体12Aに形成された突出板15と設置向きが逆向きに配置されている必要はなく、突出板15と設置向きが同一向きに配置されていても良い。
【0095】
また、変更例として、突出板15Cは、必ずしも隣接する排気通路11で排気流れ方向Sに対して突出板15とシフトした位置に配置されている必要はなく、各孔12A1,12D1を覆っていれば、排気流れ方向Sに対して突出板15と同位置に配置されていても良い。
【0096】
(変形例)
前記した実施形態では、突出板15は、一方の側辺17の角度が60度で、他方の側辺18の角度が90度の台形であるが、これ以外の台形であっても良く、又、台形以外の四角形でも良く、更に、四角形を超える多角形であっても良い。つまり、突出板15は、底辺16と左右一対の側辺17,18を少なくとも有する四角形以上の多角形であり、一方の側辺17の底辺16に対する角度aが他方の側辺18の底辺16に対する角度bより小さく、且つ、90度未満に設定されているものであれば良い。例えば、他方の側辺18の底辺16に対する角度bは、90度未満でも90度を超える角度であっても良い。一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、90度未満、つまり、一方の側辺17は傾斜していれば良い。
【0097】
更に好ましくは、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、他方の側辺18の底辺16に対する角度bに対して大きな角度差であることが好ましい。つまり、突出板15は、一方の側辺17が他方の側辺18よりも突出板15の下流領域への回り込みによる第1越流D1が多く、且つ、その越流量の分布が一方の側辺17の下方より上方の方が多くなり、単一の渦流を形成することができるためである。本明細書では、側辺17,18や上辺19は、直線でなく曲線のものを含む。また、本明細書では、一方の側辺17が複数の直線(例えば上方側辺と下方側辺)で構成される場合には、一方の側辺17の底辺16に対する角度aは、上方側辺の底辺に対する角度をいうものとする。
【0098】
実施形態では、突出板15は、切り起こしによって形成されているが、これ以外の方法(溶接等)で作製しても良い。
【0099】
実施形態では、複数の小通路11aは、チューブ10の1面とフィン12の3面とを合わせた計4つの面によって矩形状に形成されているが、これ以外の形状(例えば、三角状や多角形状、湾曲状)であっても良い。
【0100】
実施形態では、本発明の排気熱交換装置をEGR(排気再循環装置)クーラ1に適用した場合を示したが、本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行うもの全てに適用可能である。例えば、空気調和装置等のために排気熱を回収する排熱回収器である。
【符号の説明】
【0101】
1 RGRクーラ(排気熱交換装置)
11 排気通路
11a 小通路
12 フィン
15,15A,15B,15C 突出板
16 底辺
17 一方の側辺
18 他方の側辺
S 排気流れ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気が流れる排気通路(11)を構成するチューブ(10)と、
前記排気通路(11)に配置されるフィン(12)と、
前記チューブ(10)及び前記フィン(12)の少なくとも何れか一方に設けられ、排気流れを遮る方向に突出された突出板(15)とを備え、
前記突出板(15)は、底辺(16)と左右一対の側辺(17),(18)を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の前記側辺(17)の底辺(16)に対する角度が他方の前記側辺(18)の底辺(16)に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定され、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の上流側に前倒れ状態となる前傾角度(α)で配置され、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に対し斜め向きとなる設置角度(β)で配置され、他方の前記側辺(18)が排気上流側で、且つ、一方の前記側辺(17)が排気下流側であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、他方の前記側辺(18)の前記底辺(16)に対する角度が90度で、且つ、一方の前記側辺(17)の前記底辺(16)に対する角度が60度である台形であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の前傾角度(α)は、40度以上で、且つ、90度未満の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の前傾角度(α)は、60度であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の設置角度(β)は、10度〜50度の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)の設置角度(β)は、30度であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、台形であり、底辺(16)をH、高さをhとすると、h/Hが0.2〜0.7の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記排気通路(11)は、排気流れ方向(S)の直交方向に複数の小通路(11a)に仕切られ、各小通路(11a)には、前記突出板(15)が排気流れ方向(S)に沿って間隔を置いて設けられていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向の同一位置に複数設けられ、複数の前記突出板(15)は、左右の設置向きが左右異なる配置で配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項10】
請求項8に記載の排気熱交換装置(1)であって、
排気流れ方向(S)に間隔を置いて配置された複数の前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に交互にシフトした位置に配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の排気熱交換装置(1)であって、
シフトした位置の前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に一部オーバーラップして配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、前記排気通路(11)を形成する複数の内面のうち、2面以上の内面に形成されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、前記排気通路(11)を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の排気熱交換装置(1)であって、
互いに対向する2面は、前記チューブ(10)の内面に密接する側の面であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項15】
請求項12〜請求項14のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、隣接する前記排気通路(11)で排気流れ方向(S)に対して互いにシフトした位置に配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項1】
内燃機関から排出される排気が流れる排気通路(11)を構成するチューブ(10)と、
前記排気通路(11)に配置されるフィン(12)と、
前記チューブ(10)及び前記フィン(12)の少なくとも何れか一方に設けられ、排気流れを遮る方向に突出された突出板(15)とを備え、
前記突出板(15)は、底辺(16)と左右一対の側辺(17),(18)を少なくとも有する4角形以上の多角形であり、一方の前記側辺(17)の底辺(16)に対する角度が他方の前記側辺(18)の底辺(16)に対する角度より小さく、且つ、90度未満に設定され、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の上流側に前倒れ状態となる前傾角度(α)で配置され、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に対し斜め向きとなる設置角度(β)で配置され、他方の前記側辺(18)が排気上流側で、且つ、一方の前記側辺(17)が排気下流側であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、他方の前記側辺(18)の前記底辺(16)に対する角度が90度で、且つ、一方の前記側辺(17)の前記底辺(16)に対する角度が60度である台形であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の前傾角度(α)は、40度以上で、且つ、90度未満の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の前傾角度(α)は、60度であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板の設置角度(β)は、10度〜50度の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)の設置角度(β)は、30度であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、台形であり、底辺(16)をH、高さをhとすると、h/Hが0.2〜0.7の範囲であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記排気通路(11)は、排気流れ方向(S)の直交方向に複数の小通路(11a)に仕切られ、各小通路(11a)には、前記突出板(15)が排気流れ方向(S)に沿って間隔を置いて設けられていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向の同一位置に複数設けられ、複数の前記突出板(15)は、左右の設置向きが左右異なる配置で配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項10】
請求項8に記載の排気熱交換装置(1)であって、
排気流れ方向(S)に間隔を置いて配置された複数の前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に交互にシフトした位置に配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の排気熱交換装置(1)であって、
シフトした位置の前記突出板(15)は、排気流れ方向(S)の直交方向に一部オーバーラップして配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、前記排気通路(11)を形成する複数の内面のうち、2面以上の内面に形成されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、前記排気通路(11)を形成する複数の内面のうち、互いに対向する2面に形成されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の排気熱交換装置(1)であって、
互いに対向する2面は、前記チューブ(10)の内面に密接する側の面であることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【請求項15】
請求項12〜請求項14のいずれかに記載の排気熱交換装置(1)であって、
前記突出板(15、15A〜15C)は、隣接する前記排気通路(11)で排気流れ方向(S)に対して互いにシフトした位置に配置されていることを特徴とする排気熱交換装置(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−100978(P2013−100978A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226728(P2012−226728)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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