説明

排水トラップ

【課題】浴槽排水の一部を効率よく受入室内に導入することができる排水トラップを提供する。
【解決手段】受入室20及び封水室23の下側に、浴槽排水流路30が延設されている。受入室20の底部に設けられた開口28eを覆った蓋プレート60から、浴槽排水流路30内の浴槽排水の一部を受入室20内に略接線方向に流出させるための導水筒41が2個突設されている。各導水筒41は、受入室20の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されている。浴槽排水流路30の両側に、それぞれ、該浴槽排水流路30から分岐した導入流路50が形成されており、各導入流路50から各導水筒41に浴槽排水が流入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽及び洗い場用の排水トラップであって、洗い場排水を受け入れる受入室と、浴槽排水が流入する浴槽排水流路とを有し、該受入室及び浴槽排水流路から水が共通の流出口を通って排水される排水トラップに係り、特に浴槽排水の一部を受入室内に導入する導水部材を備えた排水トラップに関する。特に、本発明は、この導水部材から水を受入室の略接線方向に流出させて該受入室内で旋回流を形成するように構成された排水トラップに好適な排水トラップに関する。
【背景技術】
【0002】
洗い場排水を受け入れる受入室と、浴槽排水が流入する浴槽排水流路とを有し、該受入室及び浴槽排水流路から水が共通の流出口(合流流出口)を通って排水される排水トラップとして、浴槽排水流路から浴槽排水の一部を分取し、これを導水部材によって受入室の上部に略接線方向に吐出させて受入室内に旋回流を形成するものが特開2009−167590号公報に記載されている。
【0003】
同号公報第5図〜第8図に明示の通り、同号では導水部材は受入室の軸心部に1本だけ立設されている。また、浴槽排水流路は、受入室の底面板の下側に形成されており、浴槽排水の受入部から合流流出口まで分岐することなく連続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−167590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、浴槽排水の一部を効率よく受入室内に導入することができる排水トラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の排水トラップは、筒軸心線方向を略上下方向とした略円筒状の周壁部によって囲まれており、上部に洗い場排水の受入口を有し、下部に第1流出口を有した受入室と、内部に該周壁部を受け入れており、該第1流出口からの流出水が流入する封水室と、該封水室に連なる、該封水室からの溢出水を流出させるための第2流出口と、該第2流出口が連なる合流流出口と、該受入室及び封水室の下側を通って延在し、一端側に浴槽排水の流入口を有し、他端側に該合流流出口に連なる第3流出口を有している浴槽排水流路と、該浴槽排水流路から浴槽排水の一部を該受入室内に導入するための導水部材と、を備えており、該第1流出口からの流出水は、該周壁部の下端と封水室の底面との間の隙間を通って該封水室に流入する浴槽及び洗い場用の排水トラップにおいて、該導水部材が複数個設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の排水トラップは、筒軸心線方向を略上下方向とした略円筒状の周壁部によって囲まれており、上部に洗い場排水の受入口を有し、下部に第1流出口を有した受入室と、内部に該周壁部を受け入れており、該第1流出口からの流出水が流入する封水室と、該封水室に連なる、該封水室からの溢出水を流出させるための第2流出口と、該第2流出口が連なる合流流出口と、該受入室及び封水室の下側を通って延在し、一端側に浴槽排水の流入口を有し、他端側に該合流流出口に連なる第3流出口を有している浴槽排水流路と、該浴槽排水流路から浴槽排水の一部を該受入室内に導入するための導水部材と、を備えており、該第1流出口からの流出水は、該周壁部の下端と封水室の底面との間の隙間を通って該封水室に流入する浴槽及び洗い場用の排水トラップにおいて、該導水部材の上部が複数に分岐していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の排水トラップは、請求項1又は2において、前記導水部材から水を前記受入室の略接線方向に流出させて該受入室内で旋回流を形成するための旋回流形成手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の排水トラップは、請求項1において、該導水部材が2個、前記受入室の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の排水トラップは、請求項2において、該導水部材の上部が2個に分岐し、前記受入室の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の排水トラップは、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記導水部材は、前記受入室の上部に浴槽排水を流出させるように設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の排水トラップは、請求項6において、前記周壁部の上部の内周面に、前記受入室の上部に旋回流を形成するための、周方向に延在した棚状部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8の排水トラップは、請求項7において、前記導水部材の上端部が前記棚状部よりも上方に突出しており、該導水部材の上端部には、前記周壁部の内周面に沿って該棚状部上に浴槽排水を流出させるように吐水口が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項9の排水トラップは、請求項8において、前記棚状部の上側を流れる旋回流を前記導水部材の上側へ導くためのスロープ部が前記棚状部に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
第1発明(請求項1)の排水トラップにあっては、導水部材が複数個設けられている。そのため、浴槽排水時には、浴槽排水の一部が各導水部材を介して効率よく受入室内に導入される。これにより、浴槽排水が合流流出口を通って流出するのに伴い、封水室内に負圧が生じて該封水室内の封水が合流流出口に吸い出された場合でも、各導水部材から受入室内に導入された水が封水室に流入することによって封水室内に十分に封水が補給されるため、該封水室内で封水切れすることが防止される。
【0016】
第2発明(請求項2)の排水トラップにあっては、導水部材の上部が複数に分岐している。そのため、浴槽排水時には、浴槽排水の一部が導水部材を介して効率よく受入室内に導入される。これにより、浴槽排水が合流流出口を通って流出するのに伴い、封水室内に負圧が生じて該封水室内の封水が合流流出口に吸い出された場合でも、導水部材から受入室内に導入された水が封水室に流入することによって封水室内に十分に封水が補給されるため、該封水室内で封水切れすることが防止される。
【0017】
請求項3の態様にあっては、各導水部材から水が受入室の略接線方向に流出することにより、受入室内で旋回流を生じるため、この受入室内に設置されたヘアキャッチャー(目皿)が旋回流に浸漬され、ヘアキャッチャー内の毛髪などのゴミがヘアキャッチャーの中心に集められる。これにより、ゴミを摘んで捨てることができるようになる。また、ヘアキャッチャーの内外面が旋回流に浸漬されて浄化され、ヌメリ等が除去される。本発明では、導水部材が複数個設けられているので、効率よく旋回流を形成することができると共に、旋回流のムラが小さいものとなる。
【0018】
請求項4のように2個の導水部材を受入室直径方向に対置するように設けることにより、受入室内の旋回流の流速ムラが小さいものとなる。
【0019】
請求項5のように2個に分岐した導水部材の上部を受入室直径方向に対置するように設けることにより、受入室内の旋回流の流速ムラが小さいものとなる。
【0020】
請求項6,7のように、受入室の上部に旋回流を形成するよう構成した場合、旋回流の水量が少ない場合でも、目皿を旋回流に十分に浸すことができる。
【0021】
請求項8のように、導水部材の上端部を棚状部から上方に突設させた場合、浴槽排水を吐出口から直接的に棚状部上に吐出させて旋回流を形成することができる。
【0022】
この場合、請求項9のようにスロープ部を設けると、旋回流がこのスロープ部に沿って導水部材の上側へ導かれるので、旋回流の水勢(流速)が保たれる。また、旋回流がスロープ部に沿って持ち上げられ、周壁の上位側へ導かれるので、受入室下位へ旋回流が落下しにくくなり、目皿の上部まで旋回流に浸すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る排水トラップの斜視図である。
【図2】図1の排水トラップの上方から受入室内を見た斜視図である。
【図3】図1の排水トラップの封水室天井部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3からさらに周壁部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図4からさらに導水筒及び蓋プレートを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図5からさらに流路カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の状態における排水トラップの平面図である。
【図8】図1のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】実施の形態に係る排水トラップを備えた浴室の概略的な斜視図である。
【図11】図1の排水トラップの斜視図である。
【図12】図2のIII−III線断面図である。
【図13】図2のIV−IV線断面図である。
【図14】排水トラップの別の設置状態を示す断面図である。
【図15】導水部材本体、封水筒及びノズル体の分解斜視図である。
【図16】導水部材本体、封水筒及びノズル体の組付斜視図である。
【図17】さらに別の実施の形態に係る排水トラップの斜視図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】図17のIXX−IXX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
第1図は実施の形態に係る排水トラップの斜視図、第2図はこの排水トラップの上方から受入室内を見た斜視図、第3図はこの排水トラップの封水室天井部を取り外した状態を示す斜視図、第4図は第3図からさらに周壁部を取り外した状態を示す斜視図、第5図は第4図からさらに導水筒及び蓋プレートを取り外した状態を示す斜視図、第6図は第5図からさらに流路カバーを取り外した状態を示す斜視図、第7図は第6図の状態における排水トラップの平面図、第8図は第1図のVIII−VIII線に沿う断面図、第9図は第8図のIX−IX線に沿う断面図である。
【0026】
図示は省略するが、浴室の床は浴槽パンと洗い場パンとによって構成され、この浴槽パン上に浴槽が設置されている。浴槽パン及び浴槽の底面にはそれぞれ浴槽パン排水口及び浴槽排水口が設けられている。該浴槽パン排水口は浴槽排水口よりも大径となっており、且つ浴槽排水口は浴槽パン排水口の内側に露呈するように配置されている。洗い場パンの浴槽側には排水枡が形成されている。この排水枡は洗い場パンと一体に凹み状に形成されており、その底面に洗い場排水口が設けられている。なお、この実施の形態では浴室の床に浴槽パンを設けているが、浴槽パンを設けない仕様であってもよい。
【0027】
これらの浴槽パン排水口及び洗い場排水口に対し、下側から排水トラップ10が連結されている。
【0028】
排水トラップ10は、洗い場パンからの排水が排水枡の洗い場排水口を通り流入する洗い場排水受入口11と、浴槽及び浴槽パンからの排水が浴槽排水口及び浴槽パン排水口を通り流入する浴槽排水及び浴槽パン排水流入口(以下、浴槽排水流入口と略すことがある。)12とを備えている。また、この排水トラップ10の該浴槽排水流入口12と反対側の側面部には、これらの洗い場排水受入口11及び浴槽排水流入口12から該排水トラップ10内に流入した水が流出する合流流出口14が設けられている。この合流流出口14に排水管(図示略)が接続されている。
【0029】
排水トラップ10は、該浴槽パン排水口への接続用の排水ソケット15を備えている。この排水ソケット15は、浴槽パンの下側から該浴槽パン排水口の周縁部に重なる環状のフランジ部15aと、上端が該フランジ部15aの内周縁に連なる周壁部15bと、該周壁部15bの下端部に周設された内向き鍔状のフランジ部15cと、一端側(上流側)が該フランジ部15cの内周縁に下方から連なり、他端側(下流側)が洗い場パンの下側に向って延在した略L字管状の浴槽排水流路形成部15dとを有している。該フランジ部15cの内周側が前記浴槽排水流入口12となっている。周壁部15bの内周面には雌ねじ15eが周設されている。
【0030】
浴槽パン排水口を介して排水ソケット15の周壁部15bの内側に環状の結合フランジ(図示略)が上方から螺じ込まれている。この結合フランジは、周壁部15bの内周面の雌ねじ15eに螺合している。この結合フランジの構成は、洗い場排水受入口11に螺着される後述の結合フランジ13と同様となっている。この排水ソケット15のフランジ部15aと結合フランジとによって浴槽パン排水口の縁部が挟持され、これにより排水ソケット15が浴槽パン排水口に接続されている。浴槽排水及び浴槽パン排水は、該結合フランジの内周側を通って排水ソケット15の浴槽排水流入口12に流れ込む。
【0031】
この排水ソケット15の浴槽排水流路形成部15dの下流側に、後述のハウジング25の浴槽排水流入口25kが接続されている。このハウジング25の上面部に、洗い場排水受入口11を構成するための開口25aが設けられている。排水枡の洗い場排水口を介してこの開口25aに環状の結合フランジ13が上方から螺着されることにより、ハウジング25が排水枡の底部に連結されている。なお、この結合フランジ13及びハウジング25の詳細な構成については後述する。
【0032】
この結合フランジ13を通してハウジング25内に上方から着脱可能にヘアキャッチャー17が差し込まれている。このヘアキャッチャー17は、上面が開いたカゴ(篭)状である。第1図の符号17bは、このヘアキャッチャー17を着脱する際に作業者が把持する把持部を示している。
【0033】
次に、特に第8,9図を参照してこの排水トラップ10の構成について詳細に説明する。
【0034】
排水トラップ10は、略円筒状の周壁部21によって囲まれており、上部に前記洗い場排水受入口11を有し、下部に第1流出口22を有した洗い場排水の受入室20と、内部に周壁部21を受け入れており、該第1流出口22からの流出水が流入する封水室23と、該封水室23と前記合流流出口14とに連なっており、該封水室23からの溢出水を該合流流出口14に流出させるための第2流出口24(第9図)と、受入室20及び封水室23の底面板(この実施の形態では、後述の流路カバー28)の下側を通って延在しており、上流側に前記浴槽排水流入口12を有し、下流側に該合流流出口14に連なる第3流出口31(第9図)を有した浴槽排水流路30と、該浴槽排水流路30の水の一部を受入室20内に導入するための導水部材としての導水筒41と、浴槽排水流路30とは別個に受入室20及び封水室23の底面板の下側に設けられた、浴槽排水を該導水筒41に導くための導入流路50等を備えている。
【0035】
封水室23は、ハウジング25によって取り囲まれている。第1,3〜8図の通り、このハウジング25は、底面部25bと、該底面部25bの周縁部から立設された側壁部25c,25d,25e,25fと、該側壁部25c,25d,25e,25fによって囲まれた空間を上方から塞ぐ天井部25gとを有している。この実施の形態では、側壁部25cがハウジング25の浴槽側(上流側)に位置し、側壁部25eがこれと反対側(下流側)に位置し、側壁部25d,25fが該側壁部25c,25eの幅方向(該側壁部25c,25eの高さ方向及び厚み方向と直交方向)の一端側同士及び他端側同士をそれぞれ繋いでいる。天井部25gの周縁部は、該側壁部25c,25d,25e,25fの上端部に係合している。
【0036】
このハウジング25の天井部25gに、前記洗い場排水受入口11を構成するための開口25aが設けられており、この開口25aを通して、該ハウジング25内に周壁部21がその筒軸心方向を上下方向として挿入されている。周壁部21の上端部には外向き鍔状のフランジ部21cが周設されている。このハウジング25の底面部25b、側壁部25c,25d,25e,25f及び天井部25gの内面と周壁部21の外周面との間が封水室23となっている。
【0037】
第8図の通り、開口25aの内周縁に筒状部25hが連なっている。この筒状部25hの内周面には雌ねじ(符号略)が周設されている。筒状部25hの下端部には、内向き鍔状のフランジ部25jが周設されている。このフランジ部25jの内径は、周壁部21の外径よりも若干大きく、且つ該周壁部21のフランジ部21cの外径よりも小さなものとなっている。このフランジ部25jの内周側に周壁部21が挿抜可能に挿入され、該フランジ部25jに周壁部21のフランジ部21cが、図示しないパッキンを介して重なっている。第8図の通り、周壁部21がこのようにしてハウジング25内にセットされた状態において、該周壁部21の下端は、封水室23の底面(底面部25bの上面)のレベルよりも上方に位置している。この周壁部21の下端と封水室23の底面との間の隙間は10〜20mm特に10〜12mm程度であることが好ましい。
【0038】
前記結合フランジ13は、第8図の通り、洗い場排水口の縁部に上方から重なる環状のフランジ部13aと、上端部が該フランジ部13aの内周縁に連なる筒状部13bとを有している。該筒状部13bの外周面には雄ねじ(符号略)が周設されている。洗い場排水口及び開口25aを介して筒状部25hの内側に結合フランジ13の筒状部13bが上方から螺じ込まれてこれらの雄ねじと雌ねじとが螺合し、この結合フランジ13のフランジ部13aとハウジング25の天井部25gとによって洗い場排水口の縁部が挟持され、これによりハウジング25が排水枡の底部に連結されている。なお、周壁部21のフランジ部21cの外径は、この結合フランジ13の内径よりも小さなものとなっている。
【0039】
前記ヘアキャッチャー17の上端部には、放射方向に張り出すフランジ部17aが周設されている。このフランジ部17aの外径は、結合フランジ13の内径と同等かそれよりも若干小さいものとなっている。筒状部13bの内周面の上端側には、ヘアキャッチャー17がこの筒状部13bの内周側に上方から差し込まれたときに、該フランジ部17aに係合してヘアキャッチャー17を受入室20の上部に係止する係止部13d(第2図)が設けられている。ヘアキャッチャー17は、その上面が結合フランジ13の上面と略面一となるように該係止部13dによって係止されている。この係止部13dは、受入室20内に形成された旋回流によってヘアキャッチャー17が浮き上がらないようにヘアキャッチャー17を保持している。
【0040】
ハウジング25の底面部25bには、該ハウジング25内において前記浴槽排水流路30及び導入流路50を形成するための流路形成溝26が設けられている。この実施の形態では、該流路形成溝26は、底面部25bの上面から凹設された凹溝よりなる。この流路形成溝26は、受入室20の下方を通って底面部26bの上流側から下流側まで延設されている。
【0041】
ハウジング25の上流側の側壁部25cの下端には浴槽排水流入口25k(第9図)が設けられており、この浴槽排水流入口25kに流路形成溝26の上流側が連なっている。この実施の形態では、該浴槽排水流入口25kは、側壁部25cの外面から浴槽側へ向って突出した筒状に形成されている。この浴槽排水流入口25kの突出方向先端側(上流側)に、前記排水ソケット15の浴槽排水流路形成部15dの下流側が接続されている。
【0042】
即ち、この実施の形態では、該浴槽排水流路形成部15d、浴槽排水流入口25k並びに流路形成溝26によって前記浴槽排水流路30が構成されている。
【0043】
この実施の形態では、第6図に明示の通り、流路形成溝26内は、その底面から立設された1対の仕切壁27,27によって3個の流路に区画されている。仕切壁27,27同士は、流路形成溝26の幅方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、流路形成溝26の両側面と、これに対向する各仕切壁27との間もそれぞれ間隔があいている。この実施の形態では、流路形成溝26内のうち、該仕切壁27,27同士の間がハウジング25内における前記浴槽排水流路30となっており、該流路形成溝26の両側面と、これに対向する各仕切壁27との間がそれぞれ前記導入流路50となっている。なお、導入流路50の個数及び配置はこれに限定されるものではなく、導入流路50は1個だけ又は3個以上設けられてもよい。この実施の形態では、浴槽排水流路30の両側にそれぞれ導入流路50が配設されているが、導入流路50の両側にそれぞれ浴槽排水流路30が配設されてもよい。浴槽排水流路30及び導入流路50は、それぞれ、その延在方向の途中部で2個以上の流路に分岐してもよい。
【0044】
各仕切壁27は、流路形成溝26の上流側から受入室20の下方領域まで延在している。各仕切壁27の下流側にはそれぞれ閉鎖ブロック27aが連なっている。各閉鎖ブロック27aは、各仕切壁27の下流側と、これに対向する流路形成溝26の両側面との間をそれぞれ閉鎖している。これにより、各導入流路50は、浴槽排水流路30の両側において、それぞれ底面部25bの上流側から受入室20の下方領域まで延在したものとなっている。各導入流路50の上流側(流路形成溝26の両側面と、これに対向する各仕切壁27の上流側との間)は、それぞれ浴槽排水流入口25kに開放している。また、仕切壁27,27同士の間の浴槽排水流路30の上流側も、該浴槽排水流入口25kに開放している。浴槽排水流路30は、仕切壁27,27同士の間を通り抜けて底面部25bの下流側まで延在している。
【0045】
流路形成溝26の両側面と、これに対向する各仕切壁27との間の間隔(各導入流路50の幅)は、それぞれ10〜50mm特に10〜30mmであることが好ましい。仕切壁27,27同士の間隔(ハウジング25内における浴槽排水流路30の上流側の幅)は10〜50mm特に20〜30mmであることが好ましい。各仕切壁27同士の間よりも下流側における流路形成溝26の幅(ハウジング25内における浴槽排水流路30の下流側の幅)は10〜50mm特に20〜30mmであることが好ましい。
【0046】
この流路形成溝26を上方から覆蓋するように流路カバー28が取り付けられている。この流路カバー28により、封水室23と流路形成溝26内とが分画されている。第6,9図の通り、この流路カバー28は、流路形成溝26の全長にわたって延設されている。この流路カバー28の上流側の端縁はハウジング25の上流側の側壁部25cに連なり、下流側の端縁はハウジング25の下流側の側壁部25eに連なっている。各仕切壁17の上端は、この流路カバー28の下面に当接している。
【0047】
第5,8図の通り、この実施の形態では、該流路カバー28により、受入室20及び封水室23の底面板が構成されている。
【0048】
この流路カバー28は、第8図の通り、その上面がハウジング25の底面部25bの上面と略面一状となるように設置されている。詳しくは、第8図の通り、底面部25bの上面と流路形成溝26の両側面との角部には、それぞれ該底面部25bの上面よりも低くなった凹段部(符号略)が形成されており、この凹段部に流路カバー28の両側縁部が係合している。この凹段部の深さは流路カバー28の厚さと略同等となっている。流路カバー28の両側縁部からそれぞれ係合片28aが下方へ突設されており、該凹段部に凹設された係合溝25mにこの係合片28aが係合している。また、流路カバー28の下面からは、この係合片28aとそれぞれ対向するように、流路形成溝26内に入り込む垂下片28bが下方へ突設されており、この垂下片28bが流路形成溝26の両側面にそれぞれ重なっている。この流路カバー28の下面と流路形成溝26の底面との間の間隔(ハウジング25内における浴槽排水流路30及び導入流路50の高さ)は10〜20mm特に10〜12mmであることが好ましい。
【0049】
第3〜6図の通り、ハウジング25の底面部25bのうち周壁部21の下方領域よりも下流側の領域は、該周壁部21から離隔するほど上位となる立上部25pとなっている。この立上部25pの上端のレベルは、周壁部21の下端よりも上位となっている。流路形成溝26の下流側も、この立上部25pに沿って、該下流側ほど上位となるように延在している。立上部25pの上端には、さらに下流側に向って略水平に延在した略水平状部25qが連なっている。流路形成溝26の下流側は、この略水平状部25qとハウジング25の下流側の側壁部25eとのコーナー部まで延在している。この略水平状部25q上における流路形成溝26の底面のレベルは、周壁部21の下方領域における流路カバー28のレベルよりも上位となっている。
【0050】
第3〜6図の通り、ハウジング25の下流側の側壁部25eに開口25rが設けられており、この開口25rに略円筒状の前記合流流出口14が連なっている。この開口25rの下縁のレベルは、略水平状部25q上における流路形成溝26の底面と略同レベルとなっている。また、この開口25rの上縁のレベルは、略水平状部25qの上面よりも上位となっている。
【0051】
第9図の通り、この開口25rの下部に流路形成溝26の下流側が臨んでおり、この流路形成溝26の上面を塞いだ流路カバー28によって開口25rが上下に分画されている。この開口25rのうち、該流路カバー28よりも下側部分が、流路形成溝26内の浴槽排水流路30に連通した前記第3流出口31となっており、該流路カバー28よりも上側部分が、封水室23内に連通した前記第2流出口24となっている。
【0052】
第5,8,9図の通り、受入室20の下方において、流路カバー28に、浴槽排水流路30及びその両側の各導入流路50の双方に連通する大径の開口28eが設けられている。この開口28eは、略円形であり、周壁部21と略同心状に配置されている。なお、開口28eの形状及び配置はこれに限定されない。
【0053】
第4,8,9図の通り、流路カバー28の上面には、この開口28eを覆った略円形の蓋プレート60が取り付けられている。この蓋プレート60の外径は、前記結合フランジ13の内径よりも小さいものとなっている。この蓋プレート60の下面から凸部61が突設されており、この凸部61が開口28eに内嵌している。この蓋プレート60の該凸部61よりも外周側が全周にわたって開口28eの周囲の流路カバー28の上面に、図示しないパッキンを介して重なっている。
【0054】
蓋プレート60の外周側の端縁から放射方向に複数個の係止片(図示略)が突設されている。第4,5図の通り、開口28eの周囲の流路カバー28の上面には、各係止片と対応する位置関係にて複数個のフック部28dが設けられており、各係止片がこのフック部28dに係合することにより、蓋プレート60が流路カバー28の上面に着脱可能に取り付けられている。この係止片とフック部28dとの係合及び係合解除は、それぞれ、凸部61を開口28eに内嵌させた状態で蓋プレート60を流路カバー28の上面に沿って正・逆方向に回転させることにより行われる。
【0055】
第8図の通り、蓋プレート60に、該蓋プレート60を上下方向に貫通する2個の浴槽排水導入口29が設けられている。これらの浴槽排水導入口29,29同士は、流路形成溝26の幅方向に間隔をおいて配置され、それぞれ浴槽排水流路30の両側の各導入流路50に連通している。
【0056】
第4,8図の通り、この実施の形態では、蓋プレート60の上面の各浴槽排水導入口29の周縁部から、それぞれ、前記導水筒41が上方へ向って突設されている。各導水筒41の上端側は、それぞれ周壁部21の内側に配置されている。これらの導水筒41,41同士は、周壁部21の中心を挟んで互いに反対側に配設されている。第8図の通り、各導水筒41内は、それぞれ、各浴槽排水導入口29を介して各導入流路50に連通している。
【0057】
各導水筒41の上端には天井部41bが設けられているが、この天井部41bの一部を切り欠くようにして吐水口42が設けられている。各吐水口42は、周壁部21の内周面の略接線方向に開放している。即ち、各浴槽排水導入口29から導水筒41内に流入した浴槽排水は、この吐水口42から受入室20内に該周壁部21の内周面の略接線方向に向って吐出される。
【0058】
第2,3図の通り、該吐水口42は、周壁部21の周方向且つ斜め上向きに開放したものとなっている。詳しくは、各導水筒41の上端面に、浴槽排水導入路41aの上端側の開放口を部分的に塞いだ天井部41bが形成されている。この天井部41bのうち、周壁部21の内周側及び外周側の各縁部と、該周壁部21の周方向の一端側の縁部とが導水筒41の側周面の上端縁に連なり、該周壁部21の周方向の他端側の縁部が導水筒41の側周面の上端縁から離隔している。これにより、この天井部41bの該他端側において浴槽排水導入路41aの上端側が部分的に開放しており、この開放口が浴槽排水の吐水口42となっている。この吐水口42に臨む導水筒41の側周面の上端縁は、該天井部41bから離隔するほど下位となるように斜めに延在している。
【0059】
この実施の形態では、各吐水口42は、それぞれ、受入室20を上方から見たときの反時計方向側に向って開放している。これにより、各吐水口42から浴槽排水が吐出された場合には、この吐出水の水勢によって受入室20内に該反時計方向の旋回流が形成されるようになる。なお、各吐水口42は、それぞれ、受入室20を上方から見たときの時計方向側に向って開放したものとされてもよい。この場合、受入室20内には、各吐水口42からの吐出水の水勢により、該時計方向の旋回流が形成されるようになる。なお、吐水口42は、この実施の形態では周壁部21の周方向且つ斜め上向きに開放しているが、略水平方向に開放していてもよい。
【0060】
各導水筒41は、この実施の形態では蓋プレート60と一体的に形成されているが、蓋プレート60と別体に形成されて各浴槽排水導入口29に着脱可能に連結されてもよい。
【0061】
吐水口42から吐出された水を周壁部21の上部内周面に沿って旋回させるように、周壁部21の内周面から張り出す弧形板状の棚状部71が設けられている。棚状部71は、周壁部21の内周面に沿って一方の導水筒41から他方の導水筒41まで延在しており、一端側の上面のレベルは、各導水筒41の吐水口42の下縁と略同レベルか、それよりも若干(例えば5mm以下特に1〜2mm程度)下位となっている。この実施の形態では、棚状部71が2個設けられており、各々の該一端部は、各導水筒41の吐水口42の下縁又はそれよりも下側の各導水筒41の側面に臨んでいる。各導水筒41の上端部は各棚状部71の該一端側よりも上方に突出しており、各吐水口42からの吐出水は、各棚状部71の上側に吐出される。
【0062】
各棚状部71の他端側は、該末端側ほど上位となるスロープ部72となっている。このスロープ部72の最末端のレベルは、各導水筒41の天井部41bの上面と略同等かそれよりも上位となっている。周壁部21の内周面に沿う方向における、このスロープ部72の水平方向に対する傾斜角は20〜80°特に30〜50°であることが好ましい。
【0063】
なお、各棚状部71及びそのスロープ部72は、この実施の形態では周壁部21と一体的に形成されているが、周壁部21と別体に形成されて該周壁部21内に着脱可能に設置されてもよい。
【0064】
第2図の通り、周壁部21のフランジ部21cの上面から各スロープ部72の外周側の縁部に沿って上方へ突出部73が突設されている。この突出部73の上端のレベルは、スロープ部72の最末端部と略同レベルかそれよりも下位となっている。
【0065】
第8図の通り、各棚状部71及びそのスロープ部72よりも上位側にヘアキャッチャー17が配置されている。棚状部71の上面及び導水筒天井部41bは、ヘアキャッチャー17の底面に近接しているが、所定距離離隔している。
【0066】
このように構成された排水トラップ10の作動について次に説明する。
【0067】
洗い場パンからの排水は、排水枡及び洗い場排水受入口11を通って受入室20に流入し、この受入室20から第1流出口22を通って封水室23に流入する。この際、該第1流出口22からの流出水は、周壁部21の下端とその下方の封水室23の底面(この実施の形態では、受入室20の下方領域に配設された流路カバー28及びその上面に取り付けられた蓋プレート60の上面)との間の隙間を通って封水室23に流入する。この封水室23内の水は、第2流出口24及び合流流出口14を通って排水管に流出する。この洗い場排水の流出が停止すると、封水室23内には、略水平状部25qのレベルまで封水が残る。この封水に周壁部21の下端が没するので、排水管の臭気が洗い場排水受入口11から浴室内に逆流することが防止される。また、浴槽排水流路30も水没するので、この臭気が浴槽へ逆流することもない。
【0068】
浴槽からの排水は、浴槽排水口から浴槽パン排水口及び浴槽排水流入口12を介して浴槽排水流路30に流入し、この浴槽排水流路30から第3流出口31及び合流流出口14を通って排水管に流出する。この際、該浴槽排水流路30を流れる水の一部は、該浴槽排水流路30の途中で各導入流路50に流入し、各導入流路50を流れて各浴槽排水導入口29から各導水部材40の導水筒41内に流入し、該導水筒41内を流れて各吐水口42から周壁部21の上部の棚状部71の上側に流出する。
【0069】
各吐水口42から水が周壁部21の内周面の略接線方向に流出するため、その水勢により棚状部71の上側に旋回流が形成されるようになる。また、この水の流入により受入室20内の水位が上昇し、ヘアキャッチャー17あるいはさらに排水枡が旋回流に浸水した状態となる。これにより、排水枡の内面やヘアキャッチャー17に付着しているゴミがこすり落とされて、髪の毛等のゴミは渦の中心に集められ、ヘアキャッチャー17の底面中央部に集められる。これにより、排水枡の内面やヘアキャッチャー17の内外面が浄化され、ヌメリ等が除去される。また、ヘアキャッチャー17内のゴミを摘んで捨てることができるようになる。
【0070】
この実施の形態では、各吐水口42からの吐出水は、各棚状部71の上側に吐出される。そのため、各吐水口42からの吐出水は、短絡的に受入室20の下部に流れ落ちることなく、各棚状部71の上側で旋回するようになる。これにより、旋回流の水量が少ない場合でも、ヘアキャッチャー17を旋回流に十分に浸すことができ、ヘアキャッチャー17を十分に洗浄することができると共に、ヘアキャッチャー17内のゴミを十分に該ヘアキャッチャー17の中央部に集めることができる。
【0071】
この実施の形態では、各棚状部71には、吐水口42から離隔するほど高位となるように傾斜したスロープ部72が設けられており、棚状部71上の旋回流は、このスロープ部72に沿って各導水部材40の天井部41bの上側へ導かれるので、旋回流の水勢(流速)が保たれる。また、旋回流がスロープ部72に沿って持ち上げられ、周壁部21の上位側へ導かれるので、受入室20の下位へ旋回流が落下しにくくなり、ヘアキャッチャー17の上部まで旋回流に浸すことができるようになる。
【0072】
受入室20内の水の一部は、該受入室20の下部の第1流出口22を通って封水室23に流入する。その後、この封水室23内の水は、第2流出口24及び合流流出口14を通って排水管に流出する。浴槽排水の流出が停止すると、浴槽排水流路30内は封水で満水状態となり、排水管の臭気が浴槽排水流入口12から浴室内に逆流することが防止される。
【0073】
なお、浴槽排水が合流流出口14を通って排水管に流出するのに伴い、封水室23内に負圧が生じて該封水室23内の封水が合流流出口14に吸い出されることがあるが、複数個の導水部材40から受入室20内に浴槽排水流路30の水の一部が十分に流入することにより封水室23内に封水が補給されるため、該封水室23内で封水切れすることが防止される。
【0074】
次に、この排水トラップ10の清掃やメンテナンスを行う際の手順について説明する。
【0075】
この排水トラップ10の清掃やメンテナンスを行う場合、まず、排水枡のカバーを外し、洗い場排水受入口11から周壁部21を引き抜く。この際、周壁部21と一体的に各棚状部71も取り外される。次に、洗い場排水受入口11からハウジング25内に手や工具を挿入し、各導水筒41を掴んで蓋プレート60を回転させ、この蓋プレート60の各係止片と流路カバー28の上面の各フック部28dとの係合を解除する。その後、各導水筒41及び蓋プレート60を一体的に洗い場排水受入口11からハウジング25外に取り出す。
【0076】
その後、洗い場排水受入口11からハウジング25内に清掃用具や工具を挿入して該ハウジング25内の清掃やメンテナンスを行ったり、さらには開口28eから浴槽排水流路30内及び各導入流路50内に清掃用具や工具を挿入して該浴槽排水流路30内及び各導入流路50の清掃やメンテナンスを行う。また、取り外した周壁部21、棚状部71とそのスロープ部72、各導水筒41及び蓋プレート60の清掃やメンテナンスを行う。
【0077】
清掃やメンテナンス終了後、上記の取り外し手順とは逆の手順にて、蓋プレート60を洗い場排水受入口11からハウジング25内に挿入して開口28eに装着し、次いで、周壁部21を洗い場排水受入口11からハウジング25内に差し込む。その後、排水枡にカバーを装着して作業を完了する。
【0078】
この排水トラップ10の作用効果は以下の通りである。
【0079】
この排水トラップ10にあっては、導水部材としての導水筒41が複数個(この実施の形態では2個)設けられているので、浴槽排水時には、浴槽排水の一部が各導水筒41を介して効率よく受入室20内に導入される。これにより、浴槽排水が合流流出口14を通って流出するのに伴い、封水室23内に負圧が生じて該封水室23内の封水が合流流出口14に吸い出された場合でも、各導水筒41から受入室20内に導入された水が封水室23に流入することによって封水室23内に十分に封水が補給されるため、該封水室23内で封水切れすることが防止される。
【0080】
前述の通り、この実施の形態では、各導水筒41から水が受入室20の略接線方向に流出することにより、受入室20内で旋回流を生じるため、この受入室20内に設置されたヘアキャッチャー17が旋回流に浸漬され、ヘアキャッチャー17内の毛髪などのゴミがヘアキャッチャー17の中心に集められる。これにより、ゴミを摘んで捨てることができるようになる。また、ヘアキャッチャー17の内外面が旋回流に浸漬されて浄化され、ヌメリ等が除去される。この実施の形態では、2個の導水筒41が受入室20の直径方向に対置するように設けられているので、効率よく旋回流を形成することができると共に、旋回流のムラが小さいものとなる。
【0081】
前述の通り、この実施の形態では、周壁部21の上方に、棚状部71により旋回流形成部が区画形成されており、この旋回流形成部内にヘアキャッチャー17が配置され、各導水筒41から該棚状部71の上側に水が吐出されるため、旋回流の水量が少ない場合でも、ヘアキャッチャー17を旋回流に十分に浸すことができる。
【0082】
この実施の形態では、浴槽排水流路30とは別個に、浴槽排水を各導水筒41に導く導入流路50を受入室20及び封水室23の下側に設けている。そのため、浴槽排水の一部が各導入流路50及び導水筒41を介して受入室20の上部に流出し、効率よく受入室20内に浴槽排水が導入されると共に、該受入室20の上部に旋回流が効率よく形成される。
【0083】
この実施の形態では、導入流路50及び導水筒41を2個ずつ設け、各導入流路50から各導水筒41にそれぞれ浴槽排水を導くようにしているので、各導水筒41から均等に浴槽排水を流出させることができる。また、この2個の導水筒41を受入室20の周方向に間隔をおいて配設しているので、この受入室20内の旋回方向における旋回流の流速分布がムラの小さいものとなる。
【0084】
この実施の形態では、浴槽排水流路30の両側にそれぞれ導入流路50を設けているので、浴槽排水流路30に流入した浴槽排水を各導入流路50に分岐させて効率よく各導水筒41に導くことができる。
【0085】
この実施の形態では、受入室20の下方において、該受入室20及び封水室23の底面板を構成する流路カバー28に開口28eを設け、この開口28eに蓋プレート60を着脱可能に設けている。この蓋プレート60を開けることにより、該開口28eを通して流路形成溝26内(即ち浴槽排水流路30内及び各導入流路50内)を清掃したりメンテナンスすることができる。
【0086】
この実施の形態では、導水筒41が蓋プレート60と一体的に設けられている。また、周壁部21は、洗い場排水受入口11からハウジング25内に挿抜可能に挿入されている。これにより、該周壁部21及び導水筒41もハウジング25内から取り外すことができるため、該周壁部21及び導水筒41も容易に且つ十分に清掃したりメンテナンスすることができる。また、これらを取り外すことにより、洗い場排水受入口11を介してハウジング25内及び流路形成溝26内も容易に且つ十分に清掃したりメンテナンスすることができる。
【0087】
上記の実施の形態では、導水筒41が2個、受入室20の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されているが、導水筒41の個数及び配置はこれに限定されない。本発明においては、導水筒41が3個以上、受入室20の周方向に所定の間隔をおいて(例えば等間隔にて)配設されてもよい。
【0088】
第10図は別の実施の形態に係る排水トラップを備えた浴室の概略的な斜視図、第11図はこの排水トラップの斜視図、第12図は第11図のXII−XII線断面図、第13図は第11図のXIII−XIII線断面図である。
【0089】
浴室101の床は浴槽パン(図示略)と洗い場パン102とによって構成され、該浴槽パン上に浴槽103が設置されている。洗い場パン102の浴槽103側には排水枡104が設けられている。該排水枡104は洗い場パン102と一体に凹み状に形成されている。この排水枡104の上面には排水目皿5が装着されている。
【0090】
これらの浴槽パン及び浴槽103の各排水口101a,103a並びに洗い場パン102の排水枡104に対し、下側から排水トラップ110が連結されている。
【0091】
第11図に示すように、排水トラップ110の長手方向の略中央の上面には、洗い場パン102からの排水が排水枡104を通り流入する洗い場排水受入口111が設けられ、他端側の上面には、浴槽103からの排水が排水口103aを通り流入する浴槽排水流入口112と、浴槽パンからの排水が排水口101aを通り流入する浴槽パン排水流入口113とが設けられている。
【0092】
また、この排水トラップ110の他端側には、これらの洗い場排水受入口111、浴槽排水流入口112及び浴槽パン排水流入口113から該排水トラップ110内に流入した水が流出する合流流出口114が設けられている。この合流流出口114に排水管106が接続されている。
【0093】
この排水トラップ110内には、洗い場排水受入口111の下側にトラップ室120が設けられ、このトラップ室120は合流流出口114に連通している。このトラップ室120の底板122の下側には、浴槽排水流入口112及び浴槽パン排水流入口113と合流流出口114とを連通する浴槽排水流路123が設けられている。
【0094】
洗い場排水受入口111の内周面の内向き鍔部131に係止されるようにして封水筒132がトラップ室120内に垂設されている。この封水筒132は、上端にフランジ部132a(第15図)が設けられており、このフランジ部132aが鍔部131に係止されている。封水筒132の下端と底板122との間にはクリアランスが設けてあり、封水筒132内の水がこのクリアランスを通って流出する。トラップ室120から合流流出口114に至る排水流路の底板133は、合流流出口114側ほど高位となるように傾斜している。トラップ室120内には、この傾斜底板133の上端133aレベルまで封水が溜まる。前記封水筒132は、その下部がこの封水中に没する長さを有している。
封水筒132の内側が受入室であり、外側が封水室である。
【0095】
封水筒132のフランジ部132aからガイド用突起132bが上方に突設されている。このガイド用突起132bは、封水筒132の直径方向に対峙して2個設けられているが、さらに多く設けられてもよい。このガイド用突起132bは、長方形板状であり、板面を封水筒132の半径方向としている。このガイド用突起132bは、後述のノズル体150の切欠部152と係合してノズル体150の上下動を案内する役割をもつが、封水筒132を着脱するときに摘むための摘み部としても利用できる。
【0096】
洗い場排水受入口111にはトラップ取付フランジ134が螺着されており、本体側の上面部135と該フランジ134との間で、排水升4の底部のトラップ取付用開口104a(第13,14図)の縁部をパッキンを介して挟持することにより排水トラップ110が洗い場パン102に固着される。なお、第13図は、該開口104aの周縁部の肉厚が比較的小さい場合であり、第14図は、該開口104aの周縁部の肉厚が比較的大きい場合を示している。
【0097】
このトラップ取付フランジ134の内周面の凸部136に係止させてヘアキャッチャー137が該トラップ取付フランジ134に内嵌状に着脱可能に装着されている。
【0098】
このヘアキャッチャー137の下方において、前記底板122に開口139が設けられ、この開口139に導水部材本体140が取り付けられている。
【0099】
この導水部材本体140は、大径筒状の基端環状部141と、該基端環状部41の上部から上方に分岐した複数個(この実施の形態では2個)の分岐管部142とを有している。なお、第13,14図の通り、基端環状部41の外周面にフランジ部143と爪部144が設けられており、該フランジ部143と爪部144が開口139の縁部に対し上下から挟むように係合することにより、導水部材本体140が底板122に着脱可能に取り付けられている。この分岐管部142は上方に向って開口した角筒状である。
【0100】
該分岐管部142の上端に対しノズル体150が上方から上下動自在に嵌合している。ノズル体150は平たいリング状の棚状部151と、該棚状部151の外周縁から切り込まれた形状の切欠部152と、該棚状部151の直径方向に対峙する2箇所に設けられた冠状部153と、該冠状部153の一方の周方向指向面に設けられた流出口154を有している。この流出口154は、棚状部151の上面に向って水を流出させるように、棚状部151よりも上位側に設けられている。なお、冠状部153の一部は棚状部151の内周よりも内方へ張り出しており、流出口154の一部は棚状部151の内周縁よりも内方に存在している。
【0101】
冠状部153は、分岐管部142の上端に上下動自在に嵌合し、切欠部152が前記ガイド用突起132bと係合している。各冠状部153には流出口154は1個ずつ設けられており、各分岐管部142からの水は各流出口154から同一旋回方向に流出する。上記の導水部材本体140と、ノズル体150とによって導水部材が構成される。
【0102】
次に、この排水トラップ110の作動について説明する。
【0103】
洗い場パン102からの排水は、排水枡104及び洗い場排水受入口111を通ってトラップ室120に流入し、封水筒132の下側を通って合流流出口114から排水管106に流出する。この洗い場排水の流出が停止すると、トラップ室120内には、封水が残り、この封水に封水筒132の下端が没するので、排水管106の臭気が洗い場排水受入口111から浴室内に逆流することが防止される。
【0104】
なお、浴槽排水が合流流出口114を通って排水管に流出するのに伴い、封水室123内に負圧が生じて該封水室123内の封水が合流流出口114に吸い出されることがあるが、下部が大径であり、かつ上部が複数に分岐した導水部材140から受入室120内に浴槽排水流路130の水の一部が十分に流入することにより封水室123内に封水が補給されるため、該封水室123内で封水切れすることが防止される。
【0105】
浴槽103及び浴槽パンからの排水は、各々の排水口103a,1a並びに浴室排水流入口112、浴槽パン排水流入口113から浴槽排水流路123及び合流流出口114を通って排水管106に流出する。この際、該浴槽排水流路123を流れる水の一部は、該浴槽排水流路123の途中で導水部材本体140に流入し、分岐管部142を通り、流出口154からトラップ室120内へ周回方向に流出するため、トラップ室120内に旋回流が形成されるようになる。また、この水の流入によりトラップ室120内の水位が上昇し、ヘアキャッチャー137が旋回流に浸漬され、ヘアキャッチャー137内の毛髪などのゴミがヘアキャッチャー137の中心に集められる。これにより、ゴミを摘んで捨てることができるようになる。また、ヘアキャッチャー137の内外面が旋回流に浸漬されて浄化され、ヌメリ等が除去される。
【0106】
なお、第13図のようにヘアキャッチャー137と浴槽排水開始前のノズル体150の冠状部153とが著しく近接しているときには、ノズル体150は浴槽排水開始後でも全く又はほとんど上昇せず、流出口154からの流出水はヘアキャッチャー137の直下において流出口154から流出し、ヘアキャッチャー137付近に強力な旋回流が形成される。
【0107】
一方、第14図のように、ヘアキャッチャー137が浴槽排水開始前のノズル体150から上方に離れているときには、浴槽排水開始後、導水部材本体140内に流入する水の水圧によって、冠状部153がヘアキャッチャー137に当接するまで、ノズル体150が上昇する。そのため、この場合でも流出口154からの流出水はヘアキャッチャー137の直下において流出口154から流出し、ヘアキャッチャー137は強力な旋回流中に浸ることになる。なお、ノズル体150は、分岐管部142の上端部及びガイド用突起132bに案内されてスムーズに上下動する。
【0108】
このようにして、ノズル体150からヘアキャッチャー137までの高さの大小にかかわらず、ヘアキャッチャー137の全体が十分に洗浄され、またヘアキャッチャー137の上面の全体から毛髪などのゴミが剥ぎ取られるようになる。
【0109】
特に、この実施の形態では、ノズル体150にリング状の棚状部151が設けられ、流出口154から流出した水の多くが棚状部151上を旋回するので、旋回流が強力となる。
【0110】
浴槽排水の流出が停止すると、浴槽排水流路123内には合流流出口114の下縁のレベルまで封水が残るため、排水管106の臭気が浴槽排水流入口112及び浴槽パン排水流入口113から浴槽や浴室内に逆流することが防止される。
【0111】
この実施の形態で用いているノズル体150は、その直径が封水筒132の内径よりも大きいため、導水部材本体140から外れても封水筒内に落下することがない。
【0112】
上記実施の形態では、分岐管部142の上端にノズル体150を上下動可能に嵌合させ、流出口154の高さを変更可能としているが、例えば導水部材の基端環状部41が上下動可能に嵌合した2体で構成されるなど、他の態様とされてもよい。
【0113】
冠状部153に連なるように、周方向に裾野を引くようにしてスロープ部を設け、旋回水流を冠状部153の天井部の上側に導くようにしてもよい。
【0114】
第17図はさらに別の実施の形態に係る排水トラップ210の斜視図、第18図は第17図のXVIII−XVIII線断面図、第19図は第17図のIXX−IXX線断面図である。なお、この排水トラップ210を備えた浴室の斜視図は第10図と同一であるので、省略する。
【0115】
前記第10図と同様に、この実施の形態でも、浴室の床は浴槽パン(図示略)と洗い場パンとによって構成され、該浴槽パン上に浴槽が設置されている。洗い場パンの浴槽側には排水枡104(第19図)が設けられている。該排水枡は洗い場パンと一体に凹み状に形成されている。この排水枡104の上面には排水目皿が装着されている。
【0116】
これらの浴槽パン及び浴槽の各排水口並びに洗い場パンの排水枡に対し、下側から排水トラップ210が連結されている。
【0117】
第17図に示すように、排水トラップ210の長手方向の略中央の上面には、洗い場パンからの排水が排水枡を通り流入する洗い場排水受入口211が設けられ、他端側の上面には、浴槽からの排水が浴槽排水口を通り流入する浴槽排水流入口212と、浴槽パンからの排水が浴槽パン排水口を通り流入する浴槽パン排水流入口213とが設けられている。
【0118】
また、この排水トラップ210の他端側には、これらの洗い場排水受入口211、浴槽排水流入口212及び浴槽パン排水流入口213から該排水トラップ210内に流入した水が流出する合流流出口214が設けられている。この合流流出口214に排水管106(第10図参照)が接続されている。
【0119】
この排水トラップ210内には、洗い場排水受入口211の下側にトラップ室220が設けられ、このトラップ室220は合流流出口214に連通している。このトラップ室220の底板222の下側には、浴槽排水流入口212及び浴槽パン排水流入口213と合流流出口214とを連通する浴槽排水流路223が設けられている。
【0120】
洗い場排水受入口211の内周面の内向き鍔部231に係止されるようにして封水筒232がトラップ室220内に垂設されている。この封水筒232は、上端にフランジ部232a(第19図)が設けられており、このフランジ部232aが鍔部231に係止されている。封水筒232の下端と底板222との間にはクリアランスがあいており、封水筒232内の水がこのクリアランスを通って流出する。封水筒232の内側が受入室であり、外側が封水室である。
トラップ室220から合流流出口214に至る排水流路の底板233は、合流流出口214側ほど高位となるように傾斜している。トラップ室220内には、この傾斜底板233の上端233aレベルまで封水が溜まる。前記封水筒232は、その下部がこの封水中に没する長さを有している。
【0121】
洗い場排水受入口211にはトラップ取付フランジ234が螺着されており、本体側の上面部235と該フランジ234との間で、排水升104の底部のトラップ取付用開口104a(第19図)の縁部をパッキンを介して挟持することにより排水トラップ210が洗い場パンに固着される。このトラップ取付フランジ234の内周面の凸部236に係止させてヘアキャッチャー237が該トラップ取付フランジ234に内嵌状に着脱可能に装着されている。
【0122】
このヘアキャッチャー237の下方において、前記底板222に開口239が設けられ、この開口239に導水部材240が取り付けられている。
【0123】
この導水部材240は、大径筒状の基端環状部241と、該基端環状部241の上部から上方に分岐した複数個(この実施の形態では4個)のノズル部242とを有している。なお、第4図の通り、基端環状部241の外周面にフランジ部243と爪部244が設けられており、該フランジ部243と爪部244が開口239の縁部に対し上下から挟むように係合することにより、導水部材240が底板222に着脱可能に取り付けられている。
【0124】
導水部材240は封水筒232内を上方に立ち上がっており、ノズル部242はトラップ室220内の封水面(傾斜底板233の上端233aのレベル)よりも上位にまで立ち上がり、各ノズル部242の上端はヘアキャッチャー237の直下に位置している。各ノズル部242は、ヘアキャッチャー237の中心部に対し周方向に等間隔で配置されている。ノズル部242の上端とヘアキャッチャー237の下面との鉛直方向の間隔は0〜20mm特に3〜6mm程度が好適である。各ノズル部242は、ヘアキャッチャー237の中心と周縁部との中間付近の下方に位置している。
【0125】
ノズル部242は、上端の開口面積を絞り、噴出水速度を大きくするよう構成されるのが好ましい。各ノズル部242の上端の開口面積の合計は1〜40cm特に3〜10cm程度が好適である。
【0126】
次に、この排水トラップ210の作動について説明する。
【0127】
洗い場パンからの排水は、排水枡104及び洗い場排水受入口211を通ってトラップ室220に流入し、封水筒232の下側を通って合流流出口214から排水管106(第10図参照)に流出する。この洗い場排水の流出が停止すると、トラップ室220内には、封水が残り、この封水に封水筒232の下端が没するので、排水管106の臭気が洗い場排水受入口211から浴室内に逆流することが防止される。
【0128】
なお、浴槽排水が合流流出口214を通って排水管に流出するのに伴い、封水室223内に負圧が生じて該封水室223内の封水が合流流出口214に吸い出されることがあるが、下部が大径であり、かつ上部が複数に分岐した導水部材240から受入室220内に浴槽排水流路230の水の一部が十分に流入することにより封水室223内に封水が補給されるため、該封水室223内で封水切れすることが防止される。
【0129】
浴槽(第10図の浴槽103参照)及び浴槽パンからの排水は、各々の排水口(第10図の排水口103a,101a)並びに浴室排水流入口212、浴槽パン排水流入口213から浴槽排水流路223及び合流流出口214を通って排水管6に流出する。この際、該浴槽排水流路223を流れる水の一部は、該浴槽排水流路223の途中で導水部材240に流入し、該導水部材240のノズル部242からヘアキャッチャー237に向って噴出する。
【0130】
この噴出水が直射状にヘアキャッチャー237に吹き付けられるので、ヘアキャッチャー237が浄化され、ヌメリ等が除去される。また、ヘアキャッチャー237内の毛髪などのゴミがヘアキャッチャーから剥離される。これにより、浴槽排水の停止後に、ゴミを摘んで容易に捨てることができるようになる。本発明では、浴槽内の水位が低いときでも、ノズル部242から水がヘアキャッチャー237に吹き付けられ、ヘアキャッチャー237が浄化されると共に、ゴミが剥ぎ取られるようになる。
【0131】
このノズル部242が複数個設けられているので、ヘアキャッチャー237に対し満遍なく水が噴出されるので、ヘアキャッチャー237の全体が十分に洗浄され、ヘアキャッチャー237の上面の全体から毛髪などのゴミが剥ぎ取られるようになる。
【0132】
浴槽排水の流出が停止すると、浴槽排水流路230内には合流流出口214の下縁のレベルまで封水が残るため、排水管106の臭気が浴槽排水流入口212及び浴槽パン排水流入口213から浴槽や浴室内に逆流することが防止される。
【0133】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の構成とされてもよい。例えば、導水部材240のノズル部242の数は4個より多くても少なくてもよい。ノズル部242の先端をさらに複数に区画して多数の噴出流をヘアキャッチャー237に噴出させるようにしてもよい。また、ノズル部242の上端に、開口径が異なるキャップを装着し、上向き噴出水流の噴出速度を調節するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10 排水トラップ
11 洗い場排水受入口
12 浴槽排水受入口
13 結合フランジ
14 合流流出口
17 ヘアキャッチャー
20 受入室
21 周壁部
22 第1流出口
23 封水室
24 第2流出口
25 ハウジング
26 流路形成溝
27 仕切壁
28 流路カバー
29 浴槽排水導入口
30 浴槽排水流路
31 第3流出口
41 導水筒(導水部材)
42 吐水口
50 導入流路
60 蓋プレート
102 洗い場パン
103 浴槽
104 排水枡
110,210 排水トラップ
111,211 洗い場排水受入口
112,212 浴槽排水流入口
113,213 浴槽パン排水流入口
114,214 合流流出口
120,220 トラップ室
132,232 封水筒
137,237 ヘアキャッチャー
140 導水部材本体
142 分岐管部
150 ノズル体
151 周板部
152 切欠状部
153 冠状部
154 流出口
240 導水部材
241 基端環状部
242 ノズル部
243 フランジ部
244 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒軸心線方向を略上下方向とした略円筒状の周壁部によって囲まれており、上部に洗い場排水の受入口を有し、下部に第1流出口を有した受入室と、
内部に該周壁部を受け入れており、該第1流出口からの流出水が流入する封水室と、
該封水室に連なる、該封水室からの溢出水を流出させるための第2流出口と、
該第2流出口が連なる合流流出口と、
該受入室及び封水室の下側を通って延在し、一端側に浴槽排水の流入口を有し、他端側に該合流流出口に連なる第3流出口を有している浴槽排水流路と、
該浴槽排水流路から浴槽排水の一部を該受入室内に導入するための導水部材と、
を備えており、
該第1流出口からの流出水は、該周壁部の下端と封水室の底面との間の隙間を通って該封水室に流入する浴槽及び洗い場用の排水トラップにおいて、
該導水部材が複数個設けられていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
筒軸心線方向を略上下方向とした略円筒状の周壁部によって囲まれており、上部に洗い場排水の受入口を有し、下部に第1流出口を有した受入室と、
内部に該周壁部を受け入れており、該第1流出口からの流出水が流入する封水室と、
該封水室に連なる、該封水室からの溢出水を流出させるための第2流出口と、
該第2流出口が連なる合流流出口と、
該受入室及び封水室の下側を通って延在し、一端側に浴槽排水の流入口を有し、他端側に該合流流出口に連なる第3流出口を有している浴槽排水流路と、
該浴槽排水流路から浴槽排水の一部を該受入室内に導入するための導水部材と、
を備えており、
該第1流出口からの流出水は、該周壁部の下端と封水室の底面との間の隙間を通って該封水室に流入する浴槽及び洗い場用の排水トラップにおいて、
該導水部材の上部が複数に分岐していることを特徴とする排水トラップ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記導水部材から水を前記受入室の略接線方向に流出させて該受入室内で旋回流を形成するための旋回流形成手段が設けられていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項4】
請求項1において、該導水部材が2個、前記受入室の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項5】
請求項2において、該導水部材の上部が2個に分岐し、前記受入室の軸心を挟んで反対側にそれぞれ配置されていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記導水部材は、前記受入室の上部に浴槽排水を流出させるように設けられていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項7】
請求項6において、前記周壁部の上部の内周面に、前記受入室の上部に旋回流を形成するための、周方向に延在した棚状部が設けられていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項8】
請求項7において、前記導水部材の上端部が前記棚状部よりも上方に突出しており、該導水部材の上端部には、前記周壁部の内周面に沿って該棚状部上に浴槽排水を流出させるように吐水口が設けられていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項9】
請求項8において、前記棚状部の上側を流れる旋回流を前記導水部材の上側へ導くためのスロープ部が前記棚状部に設けられていることを特徴とする排水トラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−117267(P2011−117267A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129139(P2010−129139)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】