排水装置
【課題】メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる排水装置を提供する。
【解決手段】排水装置は、洗い場１に設けられた排水枡４０の底面に貫設された洗い場排水口４１に連通可能な第１流入口１１と、洗い場１に隣接する浴槽２の底面に貫設された浴槽排水口５０に浴槽排水路２１を介して連通可能な第２流入口１２と、第１流入口１１の下方に連続して設けられ、第２流入口１２から流入する浴槽排水の水流により渦流が形成される流入室１３と、洗い場排水口４１及び第１流入口１１を介して流入室１３に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャー１４と、流入室１３に連通し、流出口１６が貫設された流出室１５とを有する排水トラップ１０を備えている。さらに、排水装置は、浴槽２と流入室１３とを連通可能な連通路２１、２２、２３と、この連通路に設けられ、浴槽排水を流入室１３内に流入させるポンプ３１とを備えている。
【解決手段】排水装置は、洗い場１に設けられた排水枡４０の底面に貫設された洗い場排水口４１に連通可能な第１流入口１１と、洗い場１に隣接する浴槽２の底面に貫設された浴槽排水口５０に浴槽排水路２１を介して連通可能な第２流入口１２と、第１流入口１１の下方に連続して設けられ、第２流入口１２から流入する浴槽排水の水流により渦流が形成される流入室１３と、洗い場排水口４１及び第１流入口１１を介して流入室１３に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャー１４と、流入室１３に連通し、流出口１６が貫設された流出室１５とを有する排水トラップ１０を備えている。さらに、排水装置は、浴槽２と流入室１３とを連通可能な連通路２１、２２、２３と、この連通路に設けられ、浴槽排水を流入室１３内に流入させるポンプ３１とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は排水装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には従来の排水装置が開示されている。従来の排水装置は、洗い場及び洗い場に隣接する浴槽からの排水が流入する排水トラップを備えている。この排水トラップは第１流入口及び第２流入口を有している。第１流入口は洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通されている。第２流入口は浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通されている。第１流入口の下方には、第２流入口から流入する浴槽排水の水流により渦流が形成される流入室が設けられている。流入室には、洗い場排水口を介してヘアーキャッチャーが着脱自在に収納されている。流入室は流出口が貫設された流出室に連通されている。
【０００３】
この排水装置では、浴槽内の残り湯を排出する際、浴槽排水口から浴槽排水路及び第２流入口を介して排水トラップの流入室に浴槽排水が流入する。すると、流入室では、その水流によって渦流が形成されつつ、水位が上昇する。この渦流によりヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等は、ヘアーキャッチャーから剥がされるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り出し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーから髪の毛等が剥がされるため、ヘアーキャッチャーの網部が髪の毛等により塞がることが防止され、排水が流入室内を良好に流れることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−２１１５７９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記従来の排水装置では、浴槽内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合には、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量が少なくなり水流の勢いが弱くなる。これにより、流入室内に形成される渦流の勢いが弱くなるとともに、流入室内の水位の上昇も少なくなる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等がヘアーキャッチャーから剥がされず、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられない虞がある。ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等がヘアーキャッチャーから剥がされず、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられない場合には、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を捨てるのに手間を要してしまう。また、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等により、網部が塞がり、流入室内を排水が良好に流れない虞がある。
【０００６】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる排水装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の排水装置は、洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通可能な第１流入口と、前記洗い場に隣接する浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通可能な第２流入口と、前記第１流入口の下方に連続して設けられ、前記第２流入口から浴槽排水が流入する流入室と、前記洗い場排水口及び前記第１流入口を介して前記流入室に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャーと、前記流入室に連通し、流出口が貫設された流出室とを有する排水トラップを備えた排水装置であって、
前記浴槽と前記流入室とを連通可能な連通路と、この連通路に設けられ、浴槽排水を前記流入室内に流入させるポンプとを備えたことを特徴とする。
【０００８】
この排水装置では、浴槽と排水トラップの流入室とを連通する連通路に設けられたポンプを駆動させることにより、流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を増加させることができる。このため、浴槽内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合でも流入室に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くすることができる。これにより、流入室の水流の勢いを強くするとともに、勢いの強い渦流を発生させ、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。よって、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がし、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り出し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が剥がされるため、網部が塞がらず流入室内を排水が良好に流れることができる。
【０００９】
したがって、本発明の排水装置は、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる。
【００１０】
前記浴槽に貫設された吸込み口と噴出口とを連通可能に取り付けられる循環路と、この循環路から分岐され、前記流入室に連通された分岐路とを備え、前記ポンプは、前記分岐路より上流側の前記循環路に設けられ、前記連通路は、前記吸込み口に連通される循環路と分岐路とにより構成され得る。この場合、ポンプは、排水トラップの流入室に浴槽排水を流入させる用途及び浴槽内にお湯を循環させる用途（例えば、気泡発生装置の循環ポンプ）に利用することができる。このように、１つのポンプにより複数の機能を実現することができ、浴室をより快適に利用することができる。また、浴槽に取り付けられる気泡発生装置のポンプを利用することにより、排水装置のみに利用するポンプを別に設置するスペースを確保したり、設置したりする手間を必要とせず、排水装置を容易に取り付けることができる。
【００１１】
前記循環路と前記分岐路との分岐部に切換え弁が設けられていると良い。この場合、浴槽内に残り湯を循環させずに排水トラップの流入室に流入させることができるため、流入室に流入させる浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。つまり、流入室に流入する浴槽排水の水流の勢いが強くなり、渦流の勢いを強くすることができるとともに、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がすことができるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。よって、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が確実に剥がされるため、網部が塞がらず、流入室内を排水が良好に流れることができる。
【００１２】
前記浴槽排水路に前記連通路が連通され、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水が前記浴槽排水路内を流下する方向に沿って前記ポンプから吐出される浴槽排水を合流させ得る。この場合、浴槽排水路を流下する浴槽排水の水流に対し、ポンプから吐出された浴槽排水が同じ方向に合流するため、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の水流の勢いを増強することができる。これにより、流入室の渦流の勢いをより強くするとともに、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がすことができるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。よって、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が確実に剥がされるため、網部が塞がらず、流入室内を排水が良好に流れることができる。
【００１３】
前記浴槽排水口が開放され、浴槽排水が前記第２流入口から前記流入室に流入する排水初期段階において、前記ポンプを設定時間の間、駆動させ得る。この場合、排水初期段階においてのみ、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。これにより、排水初期段階において、流入室内の渦流の勢いを強くし、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を効率的に剥がすことができる。また、ポンプの駆動をその後、停止することにより、省エネを図ることができる。
【００１４】
また、ヘアーキャッチャーから剥がされた髪の毛等を渦流によりまとめるためには、流入室内へ流入する浴槽排水の流入時間を長くし、渦流を長時間、形成させた方がよい。ポンプの駆動を設定時間経過後に停止することにより、流入室内へ流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を少なくして、流入室内に浴槽排水が流入する時間を長くすることができるため、髪の毛等を確実にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。
【００１５】
また、排水トラップの下流に連結された配管の排水抵抗が大きい場合、ポンプの駆動を継続すると、浴槽排水が排水トラップから排出しきれず、排水枡から洗い場に溢れ出てしまうことが起こり得る。このような場合でも、ポンプを排水初期段階の設定時間のみ駆動した後、停止することにより、浴槽排水が排水枡から洗い場に溢れ出てしまうことを防止することができる。
【００１６】
前記浴槽排水路には、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサが設けられ、この排水センサが浴槽排水を検知したときに前記ポンプを駆動させ得る。この場合、浴槽から残り湯が実際に排出されると、ポンプが駆動される。このため、浴槽内に残り湯がない状態でポンプが駆動されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】実施例の排水装置が組み込まれた浴室を示す概略図である。
【図２】実施例の排水装置の構成を示す模式図である。
【図３】実施例の排水装置に係る排水トラップの縦断面図である。
【図４】実施例の排水装置に係る排水トラップの横断面図である。
【図５】実施例の排水装置に係るヘアーキャッチャーの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
以下、本発明の排水装置を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【００１９】
実施例の排水装置は、図１及び図２に示すように、排水トラップ１０と、浴槽２と排水トラップ１０とを連通する連通路を形成する配管２１、２２、２３と、配管２２、２３に接続されたポンプ装置３０とを有している。この排水装置は、洗い場１と浴槽２とが隣接して設けられた浴室に組み付けられている。
【００２０】
洗い場１には、洗い場排水を集水する排水枡４０が設けられている。排水枡４０は、洗い場１の一部分を直方体形状に凹設して形成されている。排水枡４０の底面には、上下方向に貫通する洗い場排水口４１が設けられている。排水枡４０の上部開口には、着脱可能なカバー４２が設置されている。洗い場排水はカバー４２の周縁部から排水枡４０内へ流下可能とされている。
【００２１】
浴槽２の底面には、排水栓装置５１が取り付けられた浴槽排水口５０が貫設されている。排水栓装置５１は、開閉スイッチ６１を操作することにより、制御装置６０を介して電動駆動され、浴槽排水口５０を開閉可能である。図示しないが、開閉スイッチ６１は浴槽２の上縁部等に取り付けられる。
【００２２】
排水トラップ１０は、図３に示すように、第１流入口１１、第２流入口１２、流入室１３、ヘアーキャッチャー１４及び流出室１５を有している。第１流入口１１は、上方を向いて円形状に開口している。第１流入口１１の内周面には、円筒状の締結部材１１Ａがねじ込まれている。締結部材１１Ａの上端には外側に延びるリング状の鍔部が形成されている。この鍔部と第１流入口１１が形成された排水トラップ１０の上面との間に洗い場排水口４１の周縁部とパッキンＰとが挟み込まれ、締結部材１１Ａが第１流入口１１の内周面にねじ込まれている。このようにして、第１流入口１１が洗い場排水口４１に連通された状態で、排水トラップ１０は排水枡４０に取り付けられている。第２流入口１２は、図１に示すように、第１配管２１を介して浴槽排水口５０に連通されている。第１配管２１は、一部が連通路を構成するとともに浴槽排水路を構成している。
【００２３】
流入室１３は、図３及び図４に示すように、第１流入口１１の下方に連続して設けられている。流入室１３の側面部１３Ｗは、円筒形状に形成されている。第２流入口１２は、導入路１２Ｒを介して流入室１３の側面部１３Ｗに形成されたオリフィス１２Ｊに連通している。オリフィス１２Ｊは縦方向に延びたスリット形状に形成されている。導入路１２Ｒは、側面部１３Ｗの内周面に沿って浴槽排水が流出するように、側面部１３Ｗの接線方向に延びている。このため、第２流入口１２から導入路１２Ｒに流入した浴槽排水は、オリフィス１２Ｊから流入室１３内に流出し、側面部１３Ｗの内周面に沿って回転するように流れる。このようにして、流入室１３内に流入した浴槽排水の水流により、流入室１３内に渦流が形成される。
【００２４】
ヘアーキャッチャー１４は、排水枡４０内から洗い場排水口４１及び第１流入口１１を介して流入室１３の上部に着脱可能に収納されている。ヘアーキャッチャー１４は、髪の毛等を内側に捕捉する網部１４Ａと、上方に延びた把持部１４Ｂとを有している。網部１４Ａは逆釣鐘形状に形成されている。ヘアーキャッチャー１４は、網部１４Ａの底面が後述する封水部Ｈの水面Ｌより上方に位置するように流入室１３内に収納されている。
【００２５】
流入室１３の側面部１３Ｗは、オリフィス１２Ｊの対面側の下端に沿って開口する連通部１３Ａを有している。流出室１５は、流入室１３に隣接して設けられており、連通部１３Ａを介して流入室１３に連通している。また、流出室１５は、上部側面に流出口１６が貫設されている。このため、排水トラップ１０内に流入した浴槽排水及び洗い場排水は、排水トラップ１０内に滞留する。これにより、連通部１３Ａは水封され、排水トラップ１０内に封水部Ｈが形成される。流出口１６には、屋外配管に連通する配管４が連結されている。
【００２６】
排水トラップ１０は、下端が流出室１５の封水部Ｈ内に開口し、上端が排水枡４０内の上部に開口する吸気管１７を有している。封水部Ｈより下流側で負圧が生じ、封水が吸引された場合、吸気管１７を介して排水枡４０内の上部から空気が吸引される。このため、封水部Ｈより下流側で負圧が生じた場合でも封水部Ｈのお封水が完全に吸引されて封水切れが生じてしまうことを防止することができる。
【００２７】
排水トラップ１０の第２流入口１２に連結された第１配管２１には、図２に示すように、浴槽排水口５０から排出される浴槽排水を検知する排水センサ５２が設けられている。排水センサ５２は、浴槽排水口５０から排出された浴槽排水を検知すると、制御装置６０に排水検知信号を送信する。
【００２８】
浴槽２の側面には、ジェットノズル３が設けられている。ジェットノズル３は、浴槽２内に向けて開口する吸込み口３Ａと、吸込み口３Ａの中心部に浴槽２内に向けて開口する噴出口３Ｂとを有している。吸込み口３Ａと噴出口３Ｂとは、循環路を構成する第３配管２３により連結されている。
【００２９】
ポンプ装置３０は、ポンプ３１と、ポンプ３１の排出口側に連通された切換え弁３２とを有している。ポンプ３１の流入口には、ジェットノズル３の吸込み口３Ａに連結された第３配管２３の上流側配管２３Ａに連結されている。切換え弁３２の一方の流出口には、ジェットノズル３の噴出口３Ｂに連結された第３配管２３の下流側配管２３Ｂが連結されている。このように、ジェットノズル３、第３配管２３、ポンプ３１及び切換え弁３２により、浴槽２内のお湯を循環可能な循環路が構成されている。
【００３０】
切換え弁３２の他方の流出口には、第２配管２２が連結されている。第２配管２２の下流端は、図１〜図３に示すように、第１配管２１のコーナー部に連結されている。さらに詳しくは、第２配管２２の下流端から流出する浴槽排水の流出方向が、排水トラップ１０の第２流入口１２に向けて延びる第１配管２１と同一方向になるように第２配管２２は第１配管２１に連結されている。これにより、浴槽排水が第１配管２１内を流下する方向に沿って第２配管２２から浴槽排水が合流することになる。
【００３１】
ポンプ３１の駆動制御及び切換え弁３２の切換制御は、制御装置６０により行われる。制御装置６０は、排水栓装置５１の開閉スイッチ６１とは別に、図示しない操作部を有している。浴槽２内にお湯が貯留された状態において、操作部が操作されると、制御装置６０は、ポンプ３１を駆動し、切換え弁３２を一方の流出口側に連通するように切り換える。これにより、浴槽２内のお湯は循環する。この際、ジェットノズル３の噴出口３Ｂを図示しない空気取り入れ口に連通させると、空気取り入れ口から空気を吸引し、気泡が混入した噴出流をジェットノズル３の噴出口３Ｂから浴槽２内へ噴出させることができる。
【００３２】
また、制御装置６０は、排水センサ５２から排水検知信号を受信すると、設定時間（１０〜１５秒）の間、ポンプ３１を駆動するとともに、切換え弁３２を他方の流出側に連通するように切り換える。これにより、浴槽２内の残り湯（浴槽排水）を吸込み口３Ａから吸込み、第３配管２３の上流側配管２３Ａ、ポンプ装置３０、第２配管２２、第１配管２１及び第２流入口１２を介して、排水トラップ１０の流入室１３内に流出させることができる。
【００３３】
このように構成された排水装置が組み付けられた浴室では、以下に示すように浴槽２内の残り湯が排出される。
【００３４】
開閉スイッチ６１が操作されると、排水栓装置５１が制御装置６０により開放される。すると、浴槽排水口５０から残り湯（浴槽排水）が排出され、排水センサ５２がこの浴槽排水を検知し、排水検知信号を制御装置６０に送信する。すると、制御装置６０は、設定時間の間、ポンプ３１を駆動するとともに、切換え弁３２を他方の流出側に連通するように切り換える。このように、排水センサ５２を設けることにより、浴槽２内に残り湯がない状態で排水装置５１が開放された場合にはポンプ３１が駆動されないように制御することができる。
【００３５】
これにより、排水トラップ１０の流入室１３には、浴槽排水口５０から第１配管２１を介して流入する浴槽排水とともに、ポンプ３１により、吸込み口３Ａから吸込まれ、上流側配管２３Ａ、ポンプ装置３０及び第２配管２２を介して第１配管２１で合流される浴槽排水が流入する。このため、排水初期段階において、流入室１３内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量が増加する。よって、浴槽２内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合でも流入室１３に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くすることができる。
【００３６】
また、切換え弁３２が他方の流出側に連通するように切り換えられることにより、吸込み口３Ａから吸込まれた浴槽排水を浴槽２内に循環させずに流入室１３内に流入させることができる。このため、流入室１３に流入させる浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。
【００３７】
また、第２配管２２の下流端から第１配管２１内に流出する浴槽排水の流出方向が、排水トラップ１０の第２流入口１２に向けて延びる第１配管２１と同一方向になるように第２配管２２は第１配管２１に連結されていることにより、浴槽排水が第１配管２１内を流下する方向に沿って第２配管２２から浴槽排水が合流する。このため、第２流入口１２に流入する浴槽排水の水流の勢いを増強することができる。
【００３８】
このように、流入室１３に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くなることにより、流入室１３の渦流の勢いが強くなり、流入室１３内の水位も良好に上昇させることができる。この際、図５に示すように、ヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａの縦リブ１４Ｒには、渦流の旋回方向に沿った傾斜面１４Ｋが形成されているため、網部１４Ａ内にも良好に渦流を形成させることができる。
【００３９】
このように、排水初期段階において、流入室１３に形成された渦流によりヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がし、網部１４Ａの中央にまとめることができる。この後、排水枡４０のカバー４２を取り外し、ヘアーキャッチャー１４の把持部１４Ｂを把持して、ヘアーキャッチャー１４を流入室１３から洗い場１側に取り出し、上下を反転させるのみで、ヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａ内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、流入室１３に形成された渦流によりヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａに絡み付いた髪の毛等が剥がされるため、網部１４Ａが塞がらず流入室１３内の排水が良好に流れることができる。
【００４０】
したがって、実施例の排水装置は、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる。
【００４１】
この排水装置では、設定時間が経過した後に制御装置６０が、ポンプ３１の駆動を停止し、切換え弁３２を一方の流出側に連通するように切り換える。このため、ポンプ３１の駆動が短時間で停止されることにより、省エネを図ることができる。また、ポンプ３１の駆動が停止されることにより、浴槽２から流入室１３内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を少なくし、流入室１３内に浴槽排水が流入する時間を長くすることができる。これにより、流入室１３内の渦流が長時間、形成することができるため、ヘアーキャッチャー１４内で髪の毛等を確実にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャー１４を流入室１３から洗い場１側に取り出し、上下を反転させるのみで、ヘアーキャッチャー１４内の髪の毛等を容易に捨てることができる。
【００４２】
また、排水トラップ１０の下流に連結された配管４の排水抵抗が大きい場合、ポンプ３１の駆動を継続すると、浴槽排水が排水トラップ１０から排出しきれず、排水枡４０から洗い場１に溢れ出てしまうことが起こり得る。このような場合でも、ポンプ３１を排水初期段階の設定時間のみ駆動した後、停止するため、浴槽排水が排水枡４０から洗い場１に溢れ出てしまうことを防止することができる。
【００４３】
また、実施例の排水装置において、ポンプ３１は、排水トラップ１０の流入室１３に浴槽排水を流入させる以外に、浴槽２内のお湯を循環させ、気泡が混入した噴出流を浴槽２内に噴出させることができる。つまり、ポンプ３１は気泡発生装置の循環ポンプとして利用可能である。このように、１つのポンプにより複数の機能を実現することができ、浴室をより快適に利用することができる。また、浴槽２に取り付けられる気泡発生装置のポンプを利用することになり、排水装置のみに利用するポンプを別に設置するスペースを確保したり、設置したり手間を必要とせず、排水装置を容易に取り付けることができる。
【００４４】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例では、ポンプ装置に連結された第２配管が第１配管に連結されることにより、浴槽と流入室と連通する連通路を形成しているが、第１配管とは別に第２配管を直接、流入室に連結してもよい。
（２）気泡発生装置のポンプと兼用せず排水装置専用のポンプを備えてもよい。
（３）実施例では、循環路と分岐路との分岐部に切換え弁が設けられているが、循環路及び分岐路の夫々に開閉弁を設け、各開閉弁を開閉制御し、流路を切り替えてもよい。
（４）実施例では、排水初期段階においてのみポンプを駆動させているが、吸込み口から浴槽内の残り湯を吸い込める間ポンプを駆動させてもよい。
（５）実施例では、浴槽の側面にジェットノズルが取り付けられているが、浴槽の底面にジェットノズルを取り付けてもよい。また、吸込み口と噴出口とを別の箇所に設けてもよい。
（６）実施例では、排水センサが設けられているが、排水センサを設けず、浴槽排水口の開閉のみを検知し、ポンプを駆動してもよい。この場合、浴槽内の水位を検出する水位センサを備え、この水位センサに基づきポンプを駆動させるとよい。
（７）実施例では、電動駆動の排水栓装置により浴槽排水口を開閉しているが、手動の排水栓を用いてもよい。この場合、浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサ、又は浴槽内の水位を検知する水位センサを備え、この排水センサ、又は水位センサに基づきポンプを駆動すると良い。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明は浴室に利用可能である。
【符号の説明】
【００４６】
１…洗い場
２…浴槽
３Ａ…吸込み口
３Ｂ…噴出口
１０…排水トラップ
１１…第１流入口
１２…第２流入口
１３…流入室
１４…ヘアーキャッチャー
１５…流出室
１６…流出口
２１、２２、２３…連通路（２１…第１配管（浴槽排水路）、２２…第２配管（分岐路）、２３…第３配管（循環路））
３１…ポンプ
４０…排水枡
４１…洗い場排水口
５０…浴槽排水口
５２…排水センサ
【技術分野】
【０００１】
本発明は排水装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には従来の排水装置が開示されている。従来の排水装置は、洗い場及び洗い場に隣接する浴槽からの排水が流入する排水トラップを備えている。この排水トラップは第１流入口及び第２流入口を有している。第１流入口は洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通されている。第２流入口は浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通されている。第１流入口の下方には、第２流入口から流入する浴槽排水の水流により渦流が形成される流入室が設けられている。流入室には、洗い場排水口を介してヘアーキャッチャーが着脱自在に収納されている。流入室は流出口が貫設された流出室に連通されている。
【０００３】
この排水装置では、浴槽内の残り湯を排出する際、浴槽排水口から浴槽排水路及び第２流入口を介して排水トラップの流入室に浴槽排水が流入する。すると、流入室では、その水流によって渦流が形成されつつ、水位が上昇する。この渦流によりヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等は、ヘアーキャッチャーから剥がされるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り出し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーから髪の毛等が剥がされるため、ヘアーキャッチャーの網部が髪の毛等により塞がることが防止され、排水が流入室内を良好に流れることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−２１１５７９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上記従来の排水装置では、浴槽内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合には、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量が少なくなり水流の勢いが弱くなる。これにより、流入室内に形成される渦流の勢いが弱くなるとともに、流入室内の水位の上昇も少なくなる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等がヘアーキャッチャーから剥がされず、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられない虞がある。ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等がヘアーキャッチャーから剥がされず、ヘアーキャッチャーの中央にまとめられない場合には、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を捨てるのに手間を要してしまう。また、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等により、網部が塞がり、流入室内を排水が良好に流れない虞がある。
【０００６】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる排水装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の排水装置は、洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通可能な第１流入口と、前記洗い場に隣接する浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通可能な第２流入口と、前記第１流入口の下方に連続して設けられ、前記第２流入口から浴槽排水が流入する流入室と、前記洗い場排水口及び前記第１流入口を介して前記流入室に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャーと、前記流入室に連通し、流出口が貫設された流出室とを有する排水トラップを備えた排水装置であって、
前記浴槽と前記流入室とを連通可能な連通路と、この連通路に設けられ、浴槽排水を前記流入室内に流入させるポンプとを備えたことを特徴とする。
【０００８】
この排水装置では、浴槽と排水トラップの流入室とを連通する連通路に設けられたポンプを駆動させることにより、流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を増加させることができる。このため、浴槽内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合でも流入室に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くすることができる。これにより、流入室の水流の勢いを強くするとともに、勢いの強い渦流を発生させ、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。よって、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がし、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り出し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が剥がされるため、網部が塞がらず流入室内を排水が良好に流れることができる。
【０００９】
したがって、本発明の排水装置は、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる。
【００１０】
前記浴槽に貫設された吸込み口と噴出口とを連通可能に取り付けられる循環路と、この循環路から分岐され、前記流入室に連通された分岐路とを備え、前記ポンプは、前記分岐路より上流側の前記循環路に設けられ、前記連通路は、前記吸込み口に連通される循環路と分岐路とにより構成され得る。この場合、ポンプは、排水トラップの流入室に浴槽排水を流入させる用途及び浴槽内にお湯を循環させる用途（例えば、気泡発生装置の循環ポンプ）に利用することができる。このように、１つのポンプにより複数の機能を実現することができ、浴室をより快適に利用することができる。また、浴槽に取り付けられる気泡発生装置のポンプを利用することにより、排水装置のみに利用するポンプを別に設置するスペースを確保したり、設置したりする手間を必要とせず、排水装置を容易に取り付けることができる。
【００１１】
前記循環路と前記分岐路との分岐部に切換え弁が設けられていると良い。この場合、浴槽内に残り湯を循環させずに排水トラップの流入室に流入させることができるため、流入室に流入させる浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。つまり、流入室に流入する浴槽排水の水流の勢いが強くなり、渦流の勢いを強くすることができるとともに、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がすことができるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。よって、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が確実に剥がされるため、網部が塞がらず、流入室内を排水が良好に流れることができる。
【００１２】
前記浴槽排水路に前記連通路が連通され、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水が前記浴槽排水路内を流下する方向に沿って前記ポンプから吐出される浴槽排水を合流させ得る。この場合、浴槽排水路を流下する浴槽排水の水流に対し、ポンプから吐出された浴槽排水が同じ方向に合流するため、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の水流の勢いを増強することができる。これにより、流入室の渦流の勢いをより強くするとともに、流入室内の水位を良好に上昇させることができる。このため、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がすことができるとともに、ヘアーキャッチャーの中央にまとめることができる。よって、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、ヘアーキャッチャーは髪の毛等が確実に剥がされるため、網部が塞がらず、流入室内を排水が良好に流れることができる。
【００１３】
前記浴槽排水口が開放され、浴槽排水が前記第２流入口から前記流入室に流入する排水初期段階において、前記ポンプを設定時間の間、駆動させ得る。この場合、排水初期段階においてのみ、第２流入口から流入室内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。これにより、排水初期段階において、流入室内の渦流の勢いを強くし、ヘアーキャッチャーに絡み付いた髪の毛等を効率的に剥がすことができる。また、ポンプの駆動をその後、停止することにより、省エネを図ることができる。
【００１４】
また、ヘアーキャッチャーから剥がされた髪の毛等を渦流によりまとめるためには、流入室内へ流入する浴槽排水の流入時間を長くし、渦流を長時間、形成させた方がよい。ポンプの駆動を設定時間経過後に停止することにより、流入室内へ流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を少なくして、流入室内に浴槽排水が流入する時間を長くすることができるため、髪の毛等を確実にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャーを流入室から取り外し、上下を反転させるのみでヘアーキャッチャー内の髪の毛等を容易に捨てることができる。
【００１５】
また、排水トラップの下流に連結された配管の排水抵抗が大きい場合、ポンプの駆動を継続すると、浴槽排水が排水トラップから排出しきれず、排水枡から洗い場に溢れ出てしまうことが起こり得る。このような場合でも、ポンプを排水初期段階の設定時間のみ駆動した後、停止することにより、浴槽排水が排水枡から洗い場に溢れ出てしまうことを防止することができる。
【００１６】
前記浴槽排水路には、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサが設けられ、この排水センサが浴槽排水を検知したときに前記ポンプを駆動させ得る。この場合、浴槽から残り湯が実際に排出されると、ポンプが駆動される。このため、浴槽内に残り湯がない状態でポンプが駆動されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】実施例の排水装置が組み込まれた浴室を示す概略図である。
【図２】実施例の排水装置の構成を示す模式図である。
【図３】実施例の排水装置に係る排水トラップの縦断面図である。
【図４】実施例の排水装置に係る排水トラップの横断面図である。
【図５】実施例の排水装置に係るヘアーキャッチャーの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
以下、本発明の排水装置を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【００１９】
実施例の排水装置は、図１及び図２に示すように、排水トラップ１０と、浴槽２と排水トラップ１０とを連通する連通路を形成する配管２１、２２、２３と、配管２２、２３に接続されたポンプ装置３０とを有している。この排水装置は、洗い場１と浴槽２とが隣接して設けられた浴室に組み付けられている。
【００２０】
洗い場１には、洗い場排水を集水する排水枡４０が設けられている。排水枡４０は、洗い場１の一部分を直方体形状に凹設して形成されている。排水枡４０の底面には、上下方向に貫通する洗い場排水口４１が設けられている。排水枡４０の上部開口には、着脱可能なカバー４２が設置されている。洗い場排水はカバー４２の周縁部から排水枡４０内へ流下可能とされている。
【００２１】
浴槽２の底面には、排水栓装置５１が取り付けられた浴槽排水口５０が貫設されている。排水栓装置５１は、開閉スイッチ６１を操作することにより、制御装置６０を介して電動駆動され、浴槽排水口５０を開閉可能である。図示しないが、開閉スイッチ６１は浴槽２の上縁部等に取り付けられる。
【００２２】
排水トラップ１０は、図３に示すように、第１流入口１１、第２流入口１２、流入室１３、ヘアーキャッチャー１４及び流出室１５を有している。第１流入口１１は、上方を向いて円形状に開口している。第１流入口１１の内周面には、円筒状の締結部材１１Ａがねじ込まれている。締結部材１１Ａの上端には外側に延びるリング状の鍔部が形成されている。この鍔部と第１流入口１１が形成された排水トラップ１０の上面との間に洗い場排水口４１の周縁部とパッキンＰとが挟み込まれ、締結部材１１Ａが第１流入口１１の内周面にねじ込まれている。このようにして、第１流入口１１が洗い場排水口４１に連通された状態で、排水トラップ１０は排水枡４０に取り付けられている。第２流入口１２は、図１に示すように、第１配管２１を介して浴槽排水口５０に連通されている。第１配管２１は、一部が連通路を構成するとともに浴槽排水路を構成している。
【００２３】
流入室１３は、図３及び図４に示すように、第１流入口１１の下方に連続して設けられている。流入室１３の側面部１３Ｗは、円筒形状に形成されている。第２流入口１２は、導入路１２Ｒを介して流入室１３の側面部１３Ｗに形成されたオリフィス１２Ｊに連通している。オリフィス１２Ｊは縦方向に延びたスリット形状に形成されている。導入路１２Ｒは、側面部１３Ｗの内周面に沿って浴槽排水が流出するように、側面部１３Ｗの接線方向に延びている。このため、第２流入口１２から導入路１２Ｒに流入した浴槽排水は、オリフィス１２Ｊから流入室１３内に流出し、側面部１３Ｗの内周面に沿って回転するように流れる。このようにして、流入室１３内に流入した浴槽排水の水流により、流入室１３内に渦流が形成される。
【００２４】
ヘアーキャッチャー１４は、排水枡４０内から洗い場排水口４１及び第１流入口１１を介して流入室１３の上部に着脱可能に収納されている。ヘアーキャッチャー１４は、髪の毛等を内側に捕捉する網部１４Ａと、上方に延びた把持部１４Ｂとを有している。網部１４Ａは逆釣鐘形状に形成されている。ヘアーキャッチャー１４は、網部１４Ａの底面が後述する封水部Ｈの水面Ｌより上方に位置するように流入室１３内に収納されている。
【００２５】
流入室１３の側面部１３Ｗは、オリフィス１２Ｊの対面側の下端に沿って開口する連通部１３Ａを有している。流出室１５は、流入室１３に隣接して設けられており、連通部１３Ａを介して流入室１３に連通している。また、流出室１５は、上部側面に流出口１６が貫設されている。このため、排水トラップ１０内に流入した浴槽排水及び洗い場排水は、排水トラップ１０内に滞留する。これにより、連通部１３Ａは水封され、排水トラップ１０内に封水部Ｈが形成される。流出口１６には、屋外配管に連通する配管４が連結されている。
【００２６】
排水トラップ１０は、下端が流出室１５の封水部Ｈ内に開口し、上端が排水枡４０内の上部に開口する吸気管１７を有している。封水部Ｈより下流側で負圧が生じ、封水が吸引された場合、吸気管１７を介して排水枡４０内の上部から空気が吸引される。このため、封水部Ｈより下流側で負圧が生じた場合でも封水部Ｈのお封水が完全に吸引されて封水切れが生じてしまうことを防止することができる。
【００２７】
排水トラップ１０の第２流入口１２に連結された第１配管２１には、図２に示すように、浴槽排水口５０から排出される浴槽排水を検知する排水センサ５２が設けられている。排水センサ５２は、浴槽排水口５０から排出された浴槽排水を検知すると、制御装置６０に排水検知信号を送信する。
【００２８】
浴槽２の側面には、ジェットノズル３が設けられている。ジェットノズル３は、浴槽２内に向けて開口する吸込み口３Ａと、吸込み口３Ａの中心部に浴槽２内に向けて開口する噴出口３Ｂとを有している。吸込み口３Ａと噴出口３Ｂとは、循環路を構成する第３配管２３により連結されている。
【００２９】
ポンプ装置３０は、ポンプ３１と、ポンプ３１の排出口側に連通された切換え弁３２とを有している。ポンプ３１の流入口には、ジェットノズル３の吸込み口３Ａに連結された第３配管２３の上流側配管２３Ａに連結されている。切換え弁３２の一方の流出口には、ジェットノズル３の噴出口３Ｂに連結された第３配管２３の下流側配管２３Ｂが連結されている。このように、ジェットノズル３、第３配管２３、ポンプ３１及び切換え弁３２により、浴槽２内のお湯を循環可能な循環路が構成されている。
【００３０】
切換え弁３２の他方の流出口には、第２配管２２が連結されている。第２配管２２の下流端は、図１〜図３に示すように、第１配管２１のコーナー部に連結されている。さらに詳しくは、第２配管２２の下流端から流出する浴槽排水の流出方向が、排水トラップ１０の第２流入口１２に向けて延びる第１配管２１と同一方向になるように第２配管２２は第１配管２１に連結されている。これにより、浴槽排水が第１配管２１内を流下する方向に沿って第２配管２２から浴槽排水が合流することになる。
【００３１】
ポンプ３１の駆動制御及び切換え弁３２の切換制御は、制御装置６０により行われる。制御装置６０は、排水栓装置５１の開閉スイッチ６１とは別に、図示しない操作部を有している。浴槽２内にお湯が貯留された状態において、操作部が操作されると、制御装置６０は、ポンプ３１を駆動し、切換え弁３２を一方の流出口側に連通するように切り換える。これにより、浴槽２内のお湯は循環する。この際、ジェットノズル３の噴出口３Ｂを図示しない空気取り入れ口に連通させると、空気取り入れ口から空気を吸引し、気泡が混入した噴出流をジェットノズル３の噴出口３Ｂから浴槽２内へ噴出させることができる。
【００３２】
また、制御装置６０は、排水センサ５２から排水検知信号を受信すると、設定時間（１０〜１５秒）の間、ポンプ３１を駆動するとともに、切換え弁３２を他方の流出側に連通するように切り換える。これにより、浴槽２内の残り湯（浴槽排水）を吸込み口３Ａから吸込み、第３配管２３の上流側配管２３Ａ、ポンプ装置３０、第２配管２２、第１配管２１及び第２流入口１２を介して、排水トラップ１０の流入室１３内に流出させることができる。
【００３３】
このように構成された排水装置が組み付けられた浴室では、以下に示すように浴槽２内の残り湯が排出される。
【００３４】
開閉スイッチ６１が操作されると、排水栓装置５１が制御装置６０により開放される。すると、浴槽排水口５０から残り湯（浴槽排水）が排出され、排水センサ５２がこの浴槽排水を検知し、排水検知信号を制御装置６０に送信する。すると、制御装置６０は、設定時間の間、ポンプ３１を駆動するとともに、切換え弁３２を他方の流出側に連通するように切り換える。このように、排水センサ５２を設けることにより、浴槽２内に残り湯がない状態で排水装置５１が開放された場合にはポンプ３１が駆動されないように制御することができる。
【００３５】
これにより、排水トラップ１０の流入室１３には、浴槽排水口５０から第１配管２１を介して流入する浴槽排水とともに、ポンプ３１により、吸込み口３Ａから吸込まれ、上流側配管２３Ａ、ポンプ装置３０及び第２配管２２を介して第１配管２１で合流される浴槽排水が流入する。このため、排水初期段階において、流入室１３内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量が増加する。よって、浴槽２内の残り湯が少なく、浴槽内の水位が低い場合でも流入室１３に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くすることができる。
【００３６】
また、切換え弁３２が他方の流出側に連通するように切り換えられることにより、吸込み口３Ａから吸込まれた浴槽排水を浴槽２内に循環させずに流入室１３内に流入させることができる。このため、流入室１３に流入させる浴槽排水の単位時間当たりの流量を多くすることができる。
【００３７】
また、第２配管２２の下流端から第１配管２１内に流出する浴槽排水の流出方向が、排水トラップ１０の第２流入口１２に向けて延びる第１配管２１と同一方向になるように第２配管２２は第１配管２１に連結されていることにより、浴槽排水が第１配管２１内を流下する方向に沿って第２配管２２から浴槽排水が合流する。このため、第２流入口１２に流入する浴槽排水の水流の勢いを増強することができる。
【００３８】
このように、流入室１３に流入する浴槽排水の水流の勢いを強くなることにより、流入室１３の渦流の勢いが強くなり、流入室１３内の水位も良好に上昇させることができる。この際、図５に示すように、ヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａの縦リブ１４Ｒには、渦流の旋回方向に沿った傾斜面１４Ｋが形成されているため、網部１４Ａ内にも良好に渦流を形成させることができる。
【００３９】
このように、排水初期段階において、流入室１３に形成された渦流によりヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａに絡み付いた髪の毛等を確実に剥がし、網部１４Ａの中央にまとめることができる。この後、排水枡４０のカバー４２を取り外し、ヘアーキャッチャー１４の把持部１４Ｂを把持して、ヘアーキャッチャー１４を流入室１３から洗い場１側に取り出し、上下を反転させるのみで、ヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａ内の髪の毛等を容易に捨てることができる。また、流入室１３に形成された渦流によりヘアーキャッチャー１４の網部１４Ａに絡み付いた髪の毛等が剥がされるため、網部１４Ａが塞がらず流入室１３内の排水が良好に流れることができる。
【００４０】
したがって、実施例の排水装置は、メンテナンスが容易であり、排水を良好に行うことができる。
【００４１】
この排水装置では、設定時間が経過した後に制御装置６０が、ポンプ３１の駆動を停止し、切換え弁３２を一方の流出側に連通するように切り換える。このため、ポンプ３１の駆動が短時間で停止されることにより、省エネを図ることができる。また、ポンプ３１の駆動が停止されることにより、浴槽２から流入室１３内に流入する浴槽排水の単位時間当たりの流量を少なくし、流入室１３内に浴槽排水が流入する時間を長くすることができる。これにより、流入室１３内の渦流が長時間、形成することができるため、ヘアーキャッチャー１４内で髪の毛等を確実にまとめることができる。このため、ヘアーキャッチャー１４を流入室１３から洗い場１側に取り出し、上下を反転させるのみで、ヘアーキャッチャー１４内の髪の毛等を容易に捨てることができる。
【００４２】
また、排水トラップ１０の下流に連結された配管４の排水抵抗が大きい場合、ポンプ３１の駆動を継続すると、浴槽排水が排水トラップ１０から排出しきれず、排水枡４０から洗い場１に溢れ出てしまうことが起こり得る。このような場合でも、ポンプ３１を排水初期段階の設定時間のみ駆動した後、停止するため、浴槽排水が排水枡４０から洗い場１に溢れ出てしまうことを防止することができる。
【００４３】
また、実施例の排水装置において、ポンプ３１は、排水トラップ１０の流入室１３に浴槽排水を流入させる以外に、浴槽２内のお湯を循環させ、気泡が混入した噴出流を浴槽２内に噴出させることができる。つまり、ポンプ３１は気泡発生装置の循環ポンプとして利用可能である。このように、１つのポンプにより複数の機能を実現することができ、浴室をより快適に利用することができる。また、浴槽２に取り付けられる気泡発生装置のポンプを利用することになり、排水装置のみに利用するポンプを別に設置するスペースを確保したり、設置したり手間を必要とせず、排水装置を容易に取り付けることができる。
【００４４】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例では、ポンプ装置に連結された第２配管が第１配管に連結されることにより、浴槽と流入室と連通する連通路を形成しているが、第１配管とは別に第２配管を直接、流入室に連結してもよい。
（２）気泡発生装置のポンプと兼用せず排水装置専用のポンプを備えてもよい。
（３）実施例では、循環路と分岐路との分岐部に切換え弁が設けられているが、循環路及び分岐路の夫々に開閉弁を設け、各開閉弁を開閉制御し、流路を切り替えてもよい。
（４）実施例では、排水初期段階においてのみポンプを駆動させているが、吸込み口から浴槽内の残り湯を吸い込める間ポンプを駆動させてもよい。
（５）実施例では、浴槽の側面にジェットノズルが取り付けられているが、浴槽の底面にジェットノズルを取り付けてもよい。また、吸込み口と噴出口とを別の箇所に設けてもよい。
（６）実施例では、排水センサが設けられているが、排水センサを設けず、浴槽排水口の開閉のみを検知し、ポンプを駆動してもよい。この場合、浴槽内の水位を検出する水位センサを備え、この水位センサに基づきポンプを駆動させるとよい。
（７）実施例では、電動駆動の排水栓装置により浴槽排水口を開閉しているが、手動の排水栓を用いてもよい。この場合、浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサ、又は浴槽内の水位を検知する水位センサを備え、この排水センサ、又は水位センサに基づきポンプを駆動すると良い。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明は浴室に利用可能である。
【符号の説明】
【００４６】
１…洗い場
２…浴槽
３Ａ…吸込み口
３Ｂ…噴出口
１０…排水トラップ
１１…第１流入口
１２…第２流入口
１３…流入室
１４…ヘアーキャッチャー
１５…流出室
１６…流出口
２１、２２、２３…連通路（２１…第１配管（浴槽排水路）、２２…第２配管（分岐路）、２３…第３配管（循環路））
３１…ポンプ
４０…排水枡
４１…洗い場排水口
５０…浴槽排水口
５２…排水センサ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通可能な第１流入口と、前記洗い場に隣接する浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通可能な第２流入口と、前記第１流入口の下方に連続して設けられ、前記第２流入口から浴槽排水が流入する流入室と、前記洗い場排水口及び前記第１流入口を介して前記流入室に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャーと、前記流入室に連通し、流出口が貫設された流出室とを有する排水トラップを備えた排水装置であって、
前記浴槽と前記流入室とを連通可能な連通路と、この連通路に設けられ、浴槽排水を前記流入室内に流入させるポンプとを備えたことを特徴とする排水装置。
【請求項２】
前記浴槽に貫設された吸込み口と噴出口とを連通可能に取り付けられる循環路と、この循環路から分岐され、前記流入室に連通された分岐路とを備え、
前記ポンプは、前記分岐路より上流側の前記循環路に設けられ、前記連通路は、前記吸い込み口に連通される循環路と分岐路とにより構成されていることを特徴とする請求項１記載の排水装置。
【請求項３】
前記浴槽排水路に前記連通路が連通され、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水が前記浴槽排水路内を流下する方向に沿って前記ポンプから吐出される浴槽排水を合流させることを特徴とする請求項１又は２記載の排水装置。
【請求項４】
前記浴槽排水口が開放され、浴槽排水が前記第２流入口から前記流入室に流入する排水初期段階において、前記ポンプを設定時間の間、駆動させることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の排水装置。
【請求項５】
前記浴槽排水路には、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサが設けられ、この排水センサが浴槽排水を検知したときに前記ポンプを駆動させることを特徴とする請求項３又は４記載の排水装置。
【請求項１】
洗い場に設けられた排水枡の底面に貫設された洗い場排水口に連通可能な第１流入口と、前記洗い場に隣接する浴槽の底面に貫設された浴槽排水口に浴槽排水路を介して連通可能な第２流入口と、前記第１流入口の下方に連続して設けられ、前記第２流入口から浴槽排水が流入する流入室と、前記洗い場排水口及び前記第１流入口を介して前記流入室に着脱可能に収納されるヘアーキャッチャーと、前記流入室に連通し、流出口が貫設された流出室とを有する排水トラップを備えた排水装置であって、
前記浴槽と前記流入室とを連通可能な連通路と、この連通路に設けられ、浴槽排水を前記流入室内に流入させるポンプとを備えたことを特徴とする排水装置。
【請求項２】
前記浴槽に貫設された吸込み口と噴出口とを連通可能に取り付けられる循環路と、この循環路から分岐され、前記流入室に連通された分岐路とを備え、
前記ポンプは、前記分岐路より上流側の前記循環路に設けられ、前記連通路は、前記吸い込み口に連通される循環路と分岐路とにより構成されていることを特徴とする請求項１記載の排水装置。
【請求項３】
前記浴槽排水路に前記連通路が連通され、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水が前記浴槽排水路内を流下する方向に沿って前記ポンプから吐出される浴槽排水を合流させることを特徴とする請求項１又は２記載の排水装置。
【請求項４】
前記浴槽排水口が開放され、浴槽排水が前記第２流入口から前記流入室に流入する排水初期段階において、前記ポンプを設定時間の間、駆動させることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項記載の排水装置。
【請求項５】
前記浴槽排水路には、前記浴槽排水口から排出される浴槽排水を検知する排水センサが設けられ、この排水センサが浴槽排水を検知したときに前記ポンプを駆動させることを特徴とする請求項３又は４記載の排水装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−２２９７３４（Ｐ２０１０−２２９７３４Ａ）
【公開日】平成２２年１０月１４日（２０１０．１０．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−７９１９８（Ｐ２００９−７９１９８）
【出願日】平成２１年３月２７日（２００９．３．２７）
【出願人】（００００００４７９）株式会社ＩＮＡＸ (1,429)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月１４日（２０１０．１０．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月２７日（２００９．３．２７）
【出願人】（００００００４７９）株式会社ＩＮＡＸ (1,429)
【Ｆターム（参考）】
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