排泄物管理システム
排泄物管理システムは、排泄物搬送装置および排泄物収集装置を含む。排泄物管理システムは、排泄物搬送装置を挿入した後該排泄物搬送装置の位置を維持する固定装置を含んでよい。排泄物搬送装置は、排泄物搬送装置を挿入した後患者に薬剤を送出する使い捨て送出装置を有するモジュール式送出装置を含んでよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2008年7月22日に出願された国際出願第PCT/US2008/070781号の一部継続出願であり、2008年11月17日に出願された米国特許仮出願第61/115126号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの特許出願はそれぞれ、引用によって、本明細書に詳しく記載されているのと同様に本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]排泄物管理システムは、健康管理分野において、特に自分自身の健康管理ができない患者にとって重要である。このような患者は、失禁、下痢、または同様の疾患にかかっていることがあり、その状態(たとえば、重度の熱傷、外科的切開など)のために、糞便物質が開放創、熱傷、手術部位などと接触した場合に感染症を併発する可能性がある。さらに、健康管理の専門家が患者を介護している間に糞便物質に接触した場合、罹患し、かつ/あるいはその疾患が広がる恐れがある。したがって、適切な排泄物管理システムは、たとえば、皮膚の実質的な損傷、感染症の可能性、病原菌の二次汚染、身体の不自由な患者の排便時の後始末、患者の不快感などを回避するように最低でも、実質的に密閉システム内に糞便を入れる。当技術分野では糞便管理システムが公開されているが、多くの公知の問題は未解決であるかあるいは対処されていない。
【0003】
以下の参考文献は糞便管理システムまたはその構成部材に関する。米国特許第5569216号(Kim)、米国特許第6527755号(Salama)、米国特許第7147627(Kim)、米国特許出願第2005/0054996号(Gregory)、米国特許出願第2005/0137526号(Machado等)、米国特許出願第2006/0189951号(Kim等)、米国特許出願第2006/0271087号(Von Dyck等)、米国特許出願第2007/0049878号(Kim等)、および米国特許出願第2007/0149922号(Schneider等)。これらの特許および特許出願は引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004]本出願人は、頑丈で、患者にとって快適であり、公知の問題を生じさせず、使用が容易であるという特徴を有する排泄物管理システムを提供するのが望ましいことを認識している。本明細書では、このシステムの実施形態について説明する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]したがって、本明細書では、排泄物搬送装置および排泄物収集装置を含む排泄物管理システムについて説明する。排泄物搬送装置は、排泄物収集装置上の第2のコネクタ部材に取り外し可能に連結できるように構成された第1のコネクタ部材を含んでよい。このシステムは、排泄物搬送装置を患者の直腸に挿入するのを容易にする挿入装置を含んでもよい。
【0006】
[0006]一実施態様では、排泄物管理システムは、第1の断面積を有する遠位端開口部、および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、排泄物収集装置とを含む。
【0007】
[0007]他の実施態様では、排泄物搬送装置は、第1の断面積を有する遠位端開口部、および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を形成し、膨張可能な保持カフを含む遠位部と、洗浄ルーメンを含む近位部と、近位部の近位端に結合されたコネクタと、近位部を遠位部に連結し、近位端から遠位端に遷移する断面形状を含む中間部とを含む。他の実施態様では、排泄物搬送装置は、遠位端開口部を近位端開口部に連結するルーメンを含む収集部材と、収集部材の外面の周りに配置され、鎮痛剤を含む保持カフとを含む。
【0008】
[0008]一実施態様では、患者の糞便物質を管理する方法は、拡張構成で、第1の断面積を有する遠位端開口部および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を形成し、膨張可能な保持カフを含む、排泄物搬送システムの遠位部を折り畳み時構成で患者の直腸に挿入するステップと、排泄物搬送システムから挿入装置を取り外すステップと、保持カフを第1の膨張構成に膨張させるステップとを含む。
【0009】
[0009]他の実施態様では、排泄物搬送装置を排泄物収集装置に連結する方法は、排泄物搬送装置に結合された第1のコネクタの孔を排泄物収集装置に結合された第2のコネクタの孔に揃え、第1のコネクタの1つまたは複数のロックアームの端部を第2のコネクタの長穴に押し込むことによって、第1のコネクタを第2のコネクタと組み合わせるステップと、第1および第2のコネクタを滑らせて該孔を排泄物搬送装置の中央ルーメンおよび排泄物収集装置の開口部と揃えるステップとを含む。
【0010】
[0010]他の実施態様では、排泄物管理システムは、第1の断面積を有する遠位端開口部および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、遠位端開口部を近位端開口部に流体連結するルーメン、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、固定装置とを含み、固定装置が、固定装置自体を排泄物搬送装置に取り付ける手段を含む。
【0011】
[0011]他の実施態様では、排泄物管理システムは、遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、遠位端開口部を近位端開口部に流体連結するルーメン、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、排泄物搬送装置を通して治療剤を送出するように構成され、隔膜によって密封された開口部を有するインタフェースポートを含む薬剤送出装置とを含む。
【0012】
[0012]当業者には、以下のより詳細な説明を、まず簡単に説明する添付の図面と一緒に参照したときに、上記の実施態様、特徴、および利点ならびに他の実施態様、特徴、および利点が、より明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】[0013]図1Aは、排泄物管理システムの斜視図である。
【図1B】[0014]図1Bは、排泄物搬送装置が排泄物収集装置から分離された図1のシステムの近位端の斜視図である。
【図2A】[0015]排泄物搬送装置の遠位部の長手方向断面斜視図である。
【図2B】[0016]図2Aの遠位端の長手方向断面側面図である。
【図2C】[0017]排泄物搬送装置の保持カフの一実施形態の斜視図である。
【図2D】[0018]排泄物搬送装置の保持カフの他の実施形態の斜視図である。
【図2E】[0019]排泄物搬送装置の保持カフの他の実施形態の斜視図である。
【図2F】[0020]図2Bの斜視図である。
【図2G】[0021]図2Bの上面図である。
【図2H】[0022]図2Bの側面図である。
【図2I】[0023]排泄物搬送装置の一部の軸方向断面図である。
【図3A】[0024]図3Aは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3B】図3Bは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3C】図3Cは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3D】図3Dは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図4A】[0025]図4Aは、近位カフを有する排泄物搬送装置の斜視図である。
【図4B】図4Bは、近位カフを有する排泄物搬送装置の斜視図である。
【図4C】[0026]図4Cは、膨張可能な保持カフの一実施形態の図である。
【図5A】[0027]収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5B】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5C】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5D】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図6】[0028]一体成形収集部材および括約筋部の一実施形態の断面図である。
【図7A】[0029]一体成形収集部材および括約筋部の他の実施形態の断面図である。
【図7B】一体成形収集部材および括約筋部の他の実施形態の断面図である。
【図7C】[0030]保持カフの一実施形態の斜視図である。
【図7D】[0031]排泄物管理システムの一実施形態の斜視図である。
【図7E】[0032]図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図7F】図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図7G】図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図8A】[0033]排泄物管理システムの他の実施形態の斜視図である。
【図8B】[0034]図8Aの排泄物管理システムの一体成形収集部材および括約筋部の部分図である。
【図8C】[0035]図8Aの排泄物管理システムの体外部の断面図である。
【図8D】[0036]図8Aの排泄物管理システムの排泄物搬送装置の断面図である。
【図9A】[0037]図9Aは、弁付き連結システムを有する排泄物管理システムの一実施形態の斜視図である。
【図9B】[0038]図9Bは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図9C】図9Cは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図9D】図9Dは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図10A】[0039]図10Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図10B】図10Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11A】[0040]図11Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11B】図11Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11C】図11Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11D】図11Dは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図12】[0041]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13A】[0042]図13Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13B】図13Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13C】図13Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14A】[0043]図14Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14B】図14Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14C】図14Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14D】図14Dは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図15A】[0044]排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15B】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15C】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15D】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図16A】[0045]図16Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図16B】図16Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図16C】図16Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17A】[0046]図17Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17B】図17Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17C】図17Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17D】図17Dは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18A】[0047]図18Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18B】図18Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18C】図18Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図19A】[0048]図19Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図19B】図19Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20A】[0049]図20Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20B】図20Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20C】図20Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図21】[0050]排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図22】[0051]排泄物管理システムの固定装置の斜視図である。
【図23A】[0052]図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23B】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23C】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23D】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図24A】[0053]独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24B】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24C】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24D】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図25】[0054]専用薬剤送出ルーメンを有する薬剤送出装置の他の実施形態の断面図である。
【図26A】[0055]排泄物管理システムの圧力計の斜視図である。
【図26B】排泄物管理システムの圧力計の斜視図である。
【図27】[0056]排泄物管理システムの圧力計の他の実施形態の図である。
【図28A】[0057]図28Aは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図28B】図28Bは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図28C】図28Cは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図29】[0058]排泄物管理システムの細菌試験装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0059]以下の説明は、図面を参照しながら読むべきであり、様々な図面中の同じ部材には同一の参照番号が付されている。各図面は、必ずしも一定の縮尺では描かれておらず、選択された実施形態を示し、本発明の範囲を限定するものではない。説明は、制限としてではなく一例として本発明の原則を例示している。この説明が、当業者が本発明を実施して使用するのを可能にふることは明らかであり、本発明を実施する最良の形態と現在考えられているものを含む、いくつかの実施形態、適応実施形態、変形実施形態、代替実施形態、および本発明の用途を説明する。
【0015】
[0060]任意の数値または範囲を表す語「約」を本明細書で使用する際は、複数の構成部材の一部または集合が本明細書で説明するようにその目的のために働くのを可能にする適切な寸法公差を示す。また、語「患者」、「宿主」、および「被術者」を本明細書で使用する際は、任意の人間または動物の被術者を指し、システムまたは方法を人間が使用するものに限定するものではない。ただし、本発明を人間の患者に使用することが好ましい実施形態に相当する。
【0016】
[0061]本明細書で説明する排泄物管理システムは一般に、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを含む。排泄物搬送装置は、本明細書では「直腸部」と呼ばれ、患者の直腸内に配置され、糞便物質の患者から排泄物収集装置への移送を開始するように構成された遠位端部と、直腸部の近位に位置し、「括約筋部」と呼ばれ、患者の肛門管に配置される部分と、括約筋部の近位に位置し、「体外部」と呼ばれ、その長さの大部分が患者の外側にある部分とを含む。排泄物搬送装置の近位端は、収集容器を含む排泄物収集装置に連結されるように構成される。ある実施形態では、排泄物管理システムは、排泄物搬送装置を選択的に排泄物収集装置に結合する連結システムおよび/または排泄物搬送装置の患者への挿入を容易にする挿入装置を含む。本明細書では、排泄物管理システムのこれらの特徴および他の特徴の実施形態について説明する。
【0017】
[0062]図1Aを参照すると、排泄物管理システム10は、遠位端14および近位端16を有するほぼ管状の本体(たとえばカテーテル)12を含む排泄物搬送装置と、収集容器30を含む排泄物収集装置とを含む。本体12の遠位端14には、収集部材32および収集部材32の外面の周りに配置された保持カフ24を含む直腸部18が位置している(図2)。特に患者の肛門領域に配置されるように構成された括約筋部20と、システムの使用時に概ね患者の体の外側に位置する(ただし、一部は体の内側に位置する)体外部22とが直腸部の近位に位置している。一実施形態では、収集部材32、括約筋部20、および体外部22は、同じ硬度(たとえば50 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られ、一方、保持カフ24は異なる硬度(たとえば約35 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られる。他の実施形態では、前述の構成部材の各々は同じ硬度(たとえば50 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られる。本体コネクタ26が、体外部22の近位端に結合され、本体12を収集容器30と流体連通するように配置するように収集容器コネクタ28に迅速かつ安全に結合できるように構成されている。コネクタ実施形態の様々な例について以下に詳しく説明する。本体12は一般に、たとえば、患者からの糞便物質を収集容器30まで通過させる中央ルーメン34と、膨張ルーメン36と、サンプリングルーメン38と、洗浄ルーメン44とを含む、本体の長さの少なくとも一部に沿って延びる複数のルーメンを有する。各ルーメンについては以下に詳しく論じる。
【0018】
[0063]図2A〜2Bに示されている本体12の直腸部18を参照すると、収集部材32は、通常の使用向けに位置決めされたときに患者の直腸内に開放する遠位開口部31と、括約筋部20に連結される近位開口部33とを有する。一実施形態では、近位開口部33は、遠位開口部の断面積よりも小さい断面積を有する。たとえば、近位開口部33は、遠位開口部31の内径よりも小さい内径を有してよい。このような構成は、排泄物質の患者から本体12への流れを助けると考えられる先細り形状(たとえばじょうご形)を収集部材32に付与する。一実施形態による先細り形状が円錐台状であることに留意されたい。一実施形態では、収集部材32は、遠位開口部31が不完全に閉鎖されるのを防止し、それによって、収集部材32に作用する力とは無関係に患者からの糞便物質を安全に通過させるのを可能にするのに十分な硬度を有する1つまたは複数の材料で形成される。たとえば、収集部材は、ポリウレタン、シリコーンゴム、天然ゴムラテックス、合成ゴム、グアユールゴム、80SHポリジメチルシロキサン、ヒュームドシリカ、塩化ポリビニル(PVC)、およびそれらの組み合わせから選択された材料で作ることができる。一実施形態では、収集部材32は、遠位端上に配置された環状リングを含み、該環状リングは、括約筋部および/または体外部に配置される1つまたは複数のルーメンに連結することのできる収集部材の壁を貫通して各ルーメンに連結される複数の開口部を周囲に含む。たとえば、収集部材の壁を貫通する各ルーメンは、括約筋部を通って延びることができ、すべてのルーメンをサンプリングルーメン38に連結することができる。
【0019】
[0064]一実施形態では、直腸部18は、通過させる流体の種類を調節するように構成された分割弁/バッフル体を含む。たとえば、一実施形態のバッフル体は、薬剤を直腸に注入する場合にはバッフル体が開かず(たとえば、薬剤がバッフル体を通って流れることはなく)、それよりも大きな体積の糞便物質によってバッフル体が開く(たとえば、糞便物質がバッフル体を通って流れる)。一実施形態では、バッフル体は、直腸部18の通路(たとえば収集部材32)のそれぞれの異なる側から交互に延びる複数の円板を含み、それによって、流体が流れるように開放された領域が通路に沿って間隔を置いて配置される。したがって、患者を対象とする薬剤は、より長い期間にわたって直腸内に残る。他の実施形態では、流体流を制御するダックビルバルブが直腸部18に含まれる。
【0020】
[0065]図2A〜2Bに示されている実施形態では、保持カフ24は、収集部材32の外面の周りに配置されかつ外面に取り付けられており、膨張可能なバルーン(たとえば、従来のバルーンであってもそうでなくてもよい)を含む。いくつかの実施形態では、バルーン24は鎮痛剤(たとえばリドカイン)などの薬剤を含む。この薬剤は、バルーン24の表面上に被覆することができ、かつ/あるいは膨張液体(たとえばリドカイン混合物)に取り込むことができ、それによって薬剤はバルーン24の壁を通して徐々に拡散する。一実施形態では、保持カフ24は、外面がリドカインで被覆され、リドカインまたはリドカインを含む混合物と一緒に患者に挿入された後に膨張するバルーンを含む。界面活性剤および抗菌性潤滑剤コーティングを保持カフ上に配置することもできる。また、保持カフバルーンをフォームに密閉するかあるいは他の方法でフォームに結合して直腸部を患者の直腸内の、保持カフバルーンの展開位置に維持するとともに漏れを防止することができる。フォームは、吸収材料および/または悪臭を弱めるコーティングを含んでよい。一実施形態では、比較的粘度が高いフォームを使用して、保持カフを、直腸に導入された後に膨張させる。
【0021】
[0066]図2C〜2Eは、保持カフ24および収集部材32を有する直腸部18の実施形態を示している。図2Cは図2Aに類似しており、滑らかで連続的な壁(たとえば近位開口部と遠位開口部の間にひだや境界部を有さない)を有する円錐台状の収集部材32と、膨張したときにカフ24と本体(たとえば括約筋部20)との間の接合部の所にショルダ11を形成する保持カフ24とを含む。図2Dは、本体までより緩やかに遷移する形状を有し、収集部材32が、滑らかで連続的な壁を含むベル形構成(すなわち張り出し遠位開口部を含む円錐台状)を有するカフ24dを示している。図2Eは、滑らかで連続的な壁を含むラッパ形構成(すなわち湾曲側面および張り出し遠位開口部を含む円錐台状)を有する収集部材32eを囲むカフ24dを示している。いくつかの実施形態の保持カフは、以下に図5A〜5Dに関連してより完全に説明するような1つまたは複数の構造的な特徴を含んでもよい。また、保持カフは、膨張時に、直径または周囲が近位端から遠位端へ大きくなるような先細り形状を有してよい。
【0022】
[0067]図3A〜3Dは、挿入に有利な小さな外形を形成するように構成された保持カフバルーン24を有する直腸部18の一実施形態を示している。図3Aは、膨張した状態のカフ24を示している。図3Bは、収縮し始めている状態を示し、カフ24の周囲に間隔を置いて配置された複数の隆起部24”間に配置されたポケット24’を含むカフ24の構成を示している。図3Cは、隆起領域24”が直腸部18のルーメン内に折り畳まれていくにつれてカフ24がさらに収縮していく状態を示し、この場合、図3Dに示されているように、隆起部24”がまとまることによってカフが容易に折り畳まれる。本明細書で説明する各保持カフ24が、挿入のための小さな外形を形成する同様の構成を有してよいことに留意されたい。
【0023】
[0068]図4A〜4Bは、図4Aに全体的に示されている近位カフ25を含む各実施形態を示している。近位カフ25は、膨張可能なバルーンを含んでよく、保持カフ24から近位方向に、たとえば体外部22に沿って本体12に取り付けられる。したがって、本体12を適切に挿入すると、近位カフ25を患者の臀部間に配置することができる。近位カフ25は、保持カフ24が患者の直腸に挿入され展開されたときに保持カフ24の上方への移動を妨げるように構成され、任意に消臭、保湿剤、および/または潤滑剤コーティングを含んでよい。一実施形態では、近位カフは、幅の広い部分が、本体の周囲から漏れる可能性のある物質を捕捉するために保持カフに面する、傘、円錐、鉢などの形を有する。このような実施形態のカフは、柔らかい吸収材料で作ることができ、必要に応じて交換のために本体から取り外すことができるように構成され、あるいは、たとえば柔らかいプラスチック材料のような洗浄が容易な材料で作ることができる。
【0024】
[0069]図4Bは、保持カフ24と、近位カフ25と、カフ24、25間の本体の壁に(たとえば括約筋部20の一部に沿って)配置された引張部材27とを含む、本体12の遠位部の変形実施形態を示している。引張力部材27は、括約筋部の壁に埋め込まれかつ/あるいは括約筋部の内壁または外壁に結合された1つまたは複数の細長い部材を含んでよい。引張部材は、間隔を置いて長手方向に配置された部材、周方向に配置された部材、らせん状に配置された部材、それらの組み合わせなどを含んでよい。しかし、一実施形態によれば、引張部材27は、形状記憶材料(たとえばニチノル)で作られたらせん状コイルである。引張部材を有さない括約筋部29が、近位カフ25に隣接して設けられており、上述のように括約筋が失われるのを防止する。
【0025】
[0070]引張部材27は、周囲が折り畳まれた折り畳み時構成と、折り畳み時周囲よりも大きな拡張時周囲を有する拡張時構成とを有する。一実施形態では、引張部材27の少なくとも一部が保持カフ24に隣接して配置され、したがって、保持カフ24が膨張したときに、引張部材が折り畳み時周囲から拡張時周囲に拡張する。保持カフ24が膨張し引張部材27が拡張した後、近位カフ25が膨張する。形状記憶材料のために、引張部材27はその折り畳み時構成に戻ろうとするが、保持カフ24と連結しているため抵抗を受ける。この抵抗がカフ24、25間に張力を生じさせ、それによって、漏れおよび本体12の遠位端の移動を防止するのを助けると考えられる。
【0026】
[0071]図4Cは、作動時に遠位開口部31を閉塞するように構成された膨張可能な保持カフの一実施形態を示している。たとえば、一時的に逆流を遮断し、薬剤を直腸穹窿部内に保持するために、本体12のルーメン34を閉塞することが望ましいと考えられる。公知のシステムは、カテーテルの遠位端に内部バルーンを含めることによって閉塞機能を実現する。内部バルーンが存在すると、膨張時でなくてもカテーテルのルーメンを部分的に閉鎖することができ、かつ/あるいは糞便物質が付着して堆積し、最終的にルーメンを閉鎖する表面を形成することができる。図4Cの実施形態では、保持カフ80が、内部バルーンではなく、上述の保持カフ24と同様な第1の膨張時構成から(図示のような)第2の膨張時構成に拡張し、集合して遠位開口部31を覆うかあるいはその他の方法で流体が遠位開口部開口部31に達するのを妨げることのできる複数のローブ82を含む。第1の膨張時構成から第2の膨張時構成への拡張は、保持カフ80の圧力読み取り値に基づいて保持カフ80の状態(すなわち、収縮、第1の膨張時構成、第2の膨張時構成)をユーザに示す注入システム84によって実現することができる。たとえば、注入システム84は、ローブ82が第1の膨張時構成であるときに第1の体積(たとえば50mL)の読み取り値を示し、ローブ82が第2の膨張時構成であるときに第2の体積(たとえば150mL)の読み取り値を示す。他の実施形態では、スライディングカフまたはスリーブを保持カフ80の近位に位置させることができ、このスライディングカフが、スライディングカフが保持カフに当たったときに遠位開口部31が閉塞するように保持カフ80との接触時に保持カフ80を内側に押すように構成されたアームまたは表面を含む。したがって、たとえば、保持カフ80が第1の膨張時構成に膨張した後、スライディングカフが遠位方向に、保持カフ80の少なくとも一部の上方を移動して開口部31を閉塞する。その後、直腸から糞便物質を除去するのが望ましいときは、それによって、遠位開口部31がもはや閉塞されないように、スライディングカフを近位方向に移動させて保持カフ80から分離する。
【0027】
[0072]図5A〜5Dは収集部材の様々な実施形態を示している。図5Aは、遠位開口部31を形成するリング64に遠位端の所で取り付けられた複数の間隔が置かれた支柱62を有する収集部材60を示している。図示の実施形態における3本の支柱62は、保持カフ24を折り畳んで患者の体に挿入しかつ患者の体から取り外すのを容易にするように捩じられている。支柱62の近位端は、本体の、直腸部18のすぐ近く(たとえば括約筋部20)に結合することができ、あるいは本体のある長さに沿って(たとえば体外部22の少なくとも一部を通って)さらに延びて直腸部18の構造的支持体を形成することができる。支柱62は、本体部(複数可)の壁に埋め込むか、あるいは該壁の表面に結合することができる。直腸部18では、該捩じられた支柱62は、保持カフ24と一緒に、収集部材ルーメンを形成することができる。あるいは、支柱62が取り付けられる他の部材(たとえば先細り突出部)によって収集部材ルーメンを形成することができる。支柱62およびリング64は、金属、ポリマー、または直腸部18の構造的支持体を形成する他の適切な材料で形成することができ、かつ円形断面形状、矩形断面形状、または任意の他の幾何学的断面形状を有してよい。
【0028】
[0073]図5Bは、間隔を置いて配置された複数(たとえば4つ)の支柱を有し、該支柱66が捩じられておらず(たとえば、実質的に長手方向に並べられ)、遠位方向にリングではなくカフ24に取り付けられている収集部材の他の実施形態を示している。もちろん、リングおよび/または図5Aに関連して説明したような他の部材を含めてもよい。支柱66は、近位端から遠位端に大きくなる断面積を有し、図示の実施形態では、近位端の所の円形断面形状から遠位端の所の楕円断面形状に遷移している。上記に図5Aに関連して説明したような他の断面形状も可能であり、本発明の範囲内である。図5Cは、らせん状に配置されコイル68の形をした細長い部材を含む収集部材の実施形態である。コイル68は、その長手方向軸に沿ってルーメンを形成し、カフ64または追加的な先細り部材に直接取り付けることができる。一実施形態では、コイル68を形成する細長い部材は、中空であり、サンプリングルーメン38に直接取り付けられ、患者の直腸に到達して薬剤/流体の注入および/または試験のためのサンプルの抽出を行うのを可能にする。図5Dは、収集部材の他の実施形態である。収集部材70は、直腸部を折り畳んで挿入しかつ取り外すのを容易にするために取り外される遠位部を有する。図示の実施形態では、遠位部を取り外すと、収集部材70の周囲に均等な間隔を置いて配置された複数のペタル72が形成される。しかし、本発明の範囲内で、非一様パターンを含む他の多くの種類のパターンも考えられることに留意されたい。
【0029】
[0074]さらに、図2A〜2Bに示されている実施形態を参照すると、収集部材32と体外部22との間に括約筋部20が配置されている。一実施形態の括約筋部20は、低圧力下で折り畳まれ、長期にわたって患者内に位置するときに括約筋の状態/強度を維持するように構成されるという点で、体外部22および/または収集部材32と異なっている。たとえば、一実施形態では、収集部材32と括約筋部20の材料が同じであるが、括約筋部20の壁の厚さは収集部材32の壁よりも薄い。他の実施形態では、括約筋部20の材料は収集部材32の材料とは異なる(たとえばより柔軟でより硬度が低いことなど)。一実施形態では、括約筋部20は、ポリウレタン、シリコーンゴム、天然ゴムラテックス、合成ゴム、80SHポリジメチルシロキサン、ヒュームドシリカ、塩化ポリビニル(PVC)、およびそれらの組み合わせから選択される材料で作られる。
【0030】
[0075]括約筋部20の形状は、図2A〜2Bおよび2F〜2Hに示されているように遠位端21から近位端23に遷移する断面形状を有してよい。たとえば、図示の実施形態の括約筋部20は、その遠位端21の所に実質的に円形の断面形状を有し、体外部22に取り付けられる近位端23の所に楕円断面形状を有する。言い換えれば、括約筋部20は、第1の軸(すなわち、図2Bに示されているz軸)に沿った直径の方が、第1の軸に直交する第2の軸(すなわち、図2Bに示されているy軸)に沿った直径よりも大きい。括約筋部の楕円形近位端23は体外部22の楕円形遠位端(図2I)と一致し、一実施形態では、体外部22は遠位端から近位端へのこの楕円断面形状を維持する。括約筋部20の遷移形状は有利なことに回転運動に抵抗する。すなわち、楕円形断面を有するシステムの部分(たとえば、括約筋部近位端23や体外部遠位端)は、円形断面を有する部分(たとえば、括約筋部遠位端21や収集部材近位端33)よりも回転に対する抵抗が強い。一実施形態では、括約筋部20は砂時計形状を有する。図2A〜2Bおよび2F〜2Hの実施形態と同様に、括約筋部20の近位端は楕円断面形状を有してよく、一方、遠位端は円形断面形状を有してよい。あるいは、括約筋部の近位端および遠位端はそれぞれ、体外部の遠位端および直腸部の近位端の円形断面形状に一致する円形断面形状を有してよい。
【0031】
[0076]一実施形態では、括約筋部20は、その周囲に配置された複数のリブなどの密封部材を含む。各リブは、間隔を置いて配置することができ、かつ挿入時に収縮させ展開時に膨張させるように膨張可能であってよい。膨張時には、リブはシールを形成し、かつ/あるいは括約筋部20の回転移動を防止することができる。リブは、括約筋部20の長手方向軸に実質的に平行に配置しても、括約筋部20の周囲に周方向に配置しても、対角方向に配置しても、らせん状に配置してもよく、それらの配置を組み合わせてもよい。一実施形態では、捩じれ防止リングが、括約筋部や体外部22の遠位端のような、システムの遠位端の各部分の周りに配置される。各リングは、長手方向に互いに間隔を置いて配置することができ、リブと同様に膨張可能であってよい。リングおよび/またはリブをシステムの遠位端に沿って組み込み、回転防止機能を実現することができる。さらに、リングおよび/またはリブは、糞便物質を患者から移送するシステムルーメンが潰れるのを防止する硬い材料(たとえばワイヤ)などの補強部材を含んでよい。一実施形態では、剛性のチューブまたはコイル状の可撓性ばねが、排泄物搬送装置の一部の壁に配置されるかあるいは壁の内面に沿って配置される。
【0032】
[0077]図2Bおよび2Iを参照すると分かるように、膨張ルーメン36と洗浄/サンプリングルーメン38は、ルーメン34に隣接しかつルーメン34に平行に配置するとともにルーメン34の両側に配置することができる。膨張ルーメン36および洗浄/サンプリングルーメン38はそれぞれ、直腸部18、括約筋部20、および体外部22の少なくとも一部の内面に沿って延び、かつ該内面と一体的に成形されるか、該内面に埋め込まれるか、あるいは他の方法で該内面に取り付けられた可撓性の円筒形チューブであってよい。膨張ルーメン36の遠位端は保持カフバルーン24の内部と流体連通し、一方、膨張ルーメン36の近位端は、システムが適切に挿入されたときに本体の外側の体外部22から分岐する。膨張ルーメンの近位端に膨張ポート40が取り付けられており、膨張ポート40は、注射器または保持カフバルーン24を選択的に膨張させ収縮させる他の装置に連結することのできるルアー型コネクタを含んでよい。洗浄/サンプリングルーメン38の遠位端は、直腸部18を通って延びており、収集部材32の遠位開口部31に隣接して位置する遠位開口部を有し、それによって流体を患者から該遠位開口部を通して送ることができる。洗浄/サンプリングルーメン38の近位端は、膨張ルーメンの近位端と同様に、体外部22から分岐し、洗浄/サンプリングポート42で終わる。ポート42は同様に、注射器または他の装置に連結することのできるルアー型コネクタを含んでよく、それによって、たとえば、薬剤または洗浄剤を患者の直腸に注入するか、あるいは患者の直腸から糞便物質を取り出すことができる。一実施形態では、膨張ルーメン36とサンプリングルーメン38はどちらもポリウレタンまたはシリコーンチューブであり、サイズが約5Frから約10Frの範囲であり、たとえば6Fr膨張ルーメンと8Frサンプリングルーメンである。
【0033】
[0078]ある実施形態によれば、本明細書で開示する排泄物管理システムと一緒に圧力または体積インジケータを使用することができる。保持カフを最適な保持を実現するのに適切な体積の液体で膨張させるのが重要であると考えられる。カフ内の体積が過剰であると、カフの外面から直腸粘膜に対して過剰な圧力がかかる可能性がある。この過剰な圧力は粘膜を損傷する恐れがあり、回避すべきである。図26Aは、膨張ポート40と流体連通する圧力計1810を示している。カフにたとえば40mlの液体を注入し、ルアー型コネクタから注射器を取り外すと、コネクタ上に圧力計1810がロックされる。図26Bに示されているように、圧力計1810は印1812、密封部材1814、および較正済みばね1816を含んでよい。本開示に従って、体積および圧力の少なくとも一方を測定することのできる任意の計器を使用することができる。図27は、圧力または体積作動針1856と可視範囲マーク1852および1854とを有する計器1850を示している。範囲マーク1852は、許容される圧力または体積範囲を指定することができ、範囲マーク1854は、許容されない圧力または体積範囲を指定することができる。
【0034】
[0079]図26A〜26Bを参照すると分かるように、パイロットバルーン132が保持カフ24と流体連通している。パイロットバルーン132は、保持カフ24の膨張状況を示すように構成され、該状況は一般に、パイロットバルーンのサイズを観測するかあるいはパイロットバルーンの表面上の2つの指の間に感知される圧力を検出することによって検出される。パイロットバルーンは、開示が引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第4016885号、第4134407号、および第6732734号で論じられている。一実施形態(不図示)によれば、パイロットバルーンは、そのチャンバ内に少なくとも1つの弁、たとえばダックビルバルブを有する。ダックビルバルブは、保持カフから直腸粘膜に対してかかる圧力が事前に定められた圧力を超えたときに保持カフから流体を放出するように較正することができる。ある実施形態によれば、好ましい圧力は15〜40mlHgである。したがって、圧力が50mlHg、60mlHg、70mlHg、または80mlHg、あるいは臨床的に有意な他の任意の圧力を超えたときに流体を放出するように少なくとも1つの弁を構成することができる。他の実施形態によれば、排泄物管理システムは、保持カフ24と流体連通し、各弁が、指定された圧力に達したときに指定された体積の流体を放出するように構成された複数の弁を備えてよい。このようなシステムは、たとえば保持カフ24が過剰に膨張することによって組織が損傷する可能性を最小限に抑える助けになる補償システムを実現する。
【0035】
[0080]また、図2Aおよび2Fを見ると最もよく分かるように、体外部22は、体外部22のある長さに沿って中央ルーメン34に平行に配置された洗浄ルーメン44を含んでよい。洗浄ルーメン44は、必要に応じて中央ルーメン34を洗浄し浄化するように構成される。たとえば、本体12のルーメン34を定期的に洗浄して細菌による汚染を防止するとともに、糞便が堆積することによる悪臭を弱めるのを助けることが望ましいと考えられる。一実施形態では、洗浄ルーメン44が、遠位端(たとえば、体外部22の遠位端)の所で閉鎖しており、注射器または所望の洗浄流体を洗浄ルーメン44に流入させる他の装置が接触する体外部22の壁(図1)に結合されかつ該壁を貫通して延びる洗浄ポート46に近位端の所で連結されている。洗浄ポート46を密封可能に閉鎖しかつ開放するように構成された任意の適切な種類のポートカバー48(図1)を使用することができる。図2Aを参照すると分かるように、中央ルーメン34の洗浄を容易にするために、洗浄ルーメン44の長さに沿って位置する複数の孔50を洗浄ルーメン44に設けることができる。一実施形態では、孔50は、洗浄ルーメンの長さに沿って互いに間隔を置いて配置された4つの孔からなる群のような孔群52にグループ分けされる。各孔は、図示のように実質的に直線状に配置することも、あるいは、たとえば別々の曲線や連続的な曲線などに沿って円形パターンに配置することもできる。
【0036】
[0081]収集部材32と括約筋部20は、図6に示されている部材120のような単一の部材に形成することができる。部材120は、その近位端の所では括約筋部20に取り付けられず、部材120が転動部122を形成する遠位端の所でのみ括約筋部20に取り付けられる収集部材32を有する。したがって、部材120を貫通するルーメンを形成する壁121は、収集部材32の近位端118から遠位端まで延び、転動部122の所で括約筋部20に向かって折り返し、遠位端119の所で終わり、保持カフ24の近位端(保持カフ24は、転動部122に隣接するように取り付けられた遠位端を有する)に取り付けられている。この構成は、括約筋部20が保持カフ24に対して自由に運動し移動するのを可能にし、したがって、括約筋部20が(矢印8および点線で表されるように)捩じられるかあるいは軸方向に引かれたときにカフは(変位するにしても)それほど変位せず、それによって潜在的な荷重を保持カフ24に送るのではなく保持カフ24から分離する。本出願人は、排泄物搬送部材の近位部から保持カフに荷重が移るのを概ね防止することによって、たとえば、保持カフの周りの漏れが最低限に抑えられることや、直腸穹窿にかかる圧力が最低限に抑えられる(それによって圧迫壊死の発生率が低下する)ことのようないくつかの利点を実現することができると考える。
【0037】
[0082]また、遠位専用取り付け構成は、器具112が部材120の長さに沿って移動するのを可能にして、排泄物搬送装置の挿入および取り外し、ならびに収集部材32の「圧搾」を容易にする。特に、器具112は、細長い部材114に結合され、部材120の断面と同様の断面、拡張構成において収集部材32のサイズよりも小さいサイズ、収集部材32の剛性よりも高い剛性を有する先端部材116を含んでよい。たとえば、部材120が図7に示されているようにほぼ砂時計形状を有する場合、器具112の先端部材116は円形であり、収集部材32の所望の挿入直径にほぼ等しい直径を有してよい。したがって、先端部材116によって転動部122にその内面から力がかかるように細長い部材114の近位端を押し、一方、収集部材32の遠位端をその拡張時構成よりも低い外形を有する折り畳み時構成に維持するだけで挿入が容易になる。部材120を挿入した後、患者内の所定の位置に維持しつつ、器具112を近位方向に滑らせて、収集部材32をその拡張時構成に拡張させることができる。使用時には、器具112を部材120の上方を滑らせ、軸方向に遠位から近位へ連続的に移動させることによって部材120を「圧搾し」、排泄物を部材120のルーメンを通して移動させることができる。排泄物搬送装置を取り外すときは、器具112を、部材120上を遠位端転動部122まで滑らせ、収集部材32を折り畳んで適切な挿入/取り外し直径を有する折り畳み時構成にする。
【0038】
[0083]他の実施形態では、収集部材32と括約筋部20は図7A〜7Bに示されている連続的な部材90に形成される。図示の実施形態では、部材90は、収集部材32の周囲に位置する補強リング92と、膨張ルーメン36とサンプリングルーメン38との間に概ね等距離に配置され、収集部材32を折り畳んで患者の直腸に送り出しかつ患者の直腸から引き出すのを容易にする隆起部93とを含む。隆起部93は、たとえば、その長さに沿って半円形断面を有する収集部材内面の隆起部であってよい。収集部材の遠位端は、遠位開口部31の周囲にリップ96を含む。収集部材の壁の開口部94は、空気または流体を膨張ルーメン36から周囲の保持カフに通過させるように構成される(これらの図では開放されているように示されている膨張ルーメンの遠位端が最終的な組立体では閉鎖され、それによって、空気または流体が開口部94から押し出されることに留意されたい)。収集部材32はほぼ円錐台状を有し、一方、括約筋部20はほぼ円筒形を有する。図7Cは、本体124および先細り遠位端125に沿って球根形状を有する保持カフ123の一実施形態である。保持カフ123は、収集部材32に嵌るように構成され、遠位端125の所で収集部材32の遠位端に取り付けられ、近位端129の所で収集部材32の近位端に取り付けられる。
【0039】
[0084]図7Dは、排泄物搬送装置101および排泄物収集装置102を含む排泄物管理システム100の一実施形態を示している。排泄物搬送装置101は、図7A〜7Cの部材90および保持カフ25と、体外部22と、コネクタハウジング126、コネクタカラー127、およびコネクタ玉弁160(以下に詳しく説明する)と、アーム洗浄ルーメン131、アームパイロットバルーン132、およびアーム洗浄スリーブ133を含む、流体を移動させる装置とを含む。排泄物収集装置102は、収集容器30と、コネクタハウジング126を受け入れるように構成されたハブソケット35と、ハブソケット35に繋ぎ止められ、ハブソケット35の雌ねじ面と嵌め合って収集容器30の開口部を密封するねじ山を含むハブプラグ6とを含む。図7Eは、収集容器インタフェースの断面図であり、コネクタハウジング126およびハブソケット35をより詳しく示している。図7Fは、アーム洗浄ルーメン131と、アーム洗浄ルーメン131と体外部22の洗浄ルーメン44との連結部の切り欠き図である。図7Gは、膨張ルーメン36に連結されたアームパイロットルーメン132と、サンプリングルーメン38に連結されたアーム洗浄スリーブ133の両方の断面図である。アームパイロットバルーンの六角形断面が、ライン圧力があるときに外側に膨らみそのことをユーザに示すように構成されることに留意されたい。
【0040】
[0085]排泄物管理システムの他の実施形態が図8A〜8Dに示されている。排泄物管理システム110は、排泄物搬送装置101よりもかなり短い長さを有する排泄物搬送装置111と、排泄物収集装置102とは異なる構成を有する排泄物収集装置109とを含む。特に、排泄物収集装置109は、密封された隔膜105によって覆われた近位開口部を含む管状を有する。炭素などの材料で作られた悪臭防止フィルタを排泄物収集装置109の壁に埋め込むことができ、あるいは該悪臭防止フィルタは排泄物収集装置109の壁に配置された通気口であってよい。排泄物収集装置109は、排泄物を受け取ったときに拡張する折り畳み時構成を有するか、あるいは壁の通気口が排水効率を高めることができるように(図示のように)剛性のより高い構成を有してよい。
【0041】
[0086]排泄物搬送装置111は、排水チューブ洗浄ポート95、膨張ポート107、およびサンプリングポート108を有する体外部22を含む。膨張ポート107は、膨張ポート107から保持カフ24まで延びる膨張ルーメン36に連結され、一方、サンプルリングポート108は、サンプリングポート108から排泄物搬送装置111の遠位端まで延びるサンプリングルーメン38に連結されている。洗浄ポート95は、図8Dに示されているように、体外部22のルーメンを洗浄するために、パターン化された穴を全長に沿って有する洗浄ルーメンに連結されている。ポート95を通して流体を導入すると、流体は、洗浄ルーメンの長さに沿って広がり、パターン化された穴を通して体外部22のルーメンに流入する。一実施形態の洗浄ポート95はEZ−LOK(登録商標)サンプリングポートである。他の実施形態では、EZ−LOK(登録商標)サンプリングポートは体外部22上にも位置しており、それによって、体外部22のルーメンに到達して該ルーメンから定期的に糞便物質をサンプリングすることができる。
【0042】
[0087]図8Bを見ると最もよく分かるように、連続的な部材91は括約筋部20と収集部材32の両方を含む。収集部材32は、山と谷を含む起伏を有する波形の周囲を有する。谷97は、収集部材32を折り畳んで折り畳み時構成にするのを容易にする折り目を形成する。保持カフ24は収集部材32を囲んでいる。折り畳み可能な支柱98が周囲の山の所に位置し、使用時に収集部材が潰れるのに抵抗する補強領域を形成している。支柱98は、図示のように、山部の外面に沿って周方向に周囲から離れる方向に延び、収集部材の山部の内面に沿ってくぼみ領域を形成している。このような形状は、収集部材を折り畳むのが容易になるように挿入器具に嵌るように構成される。他の実施形態では、支柱98は、挿入器具の形状/サイズおよび/または収集部材の所望の剛性レベルに応じて、異なる幾何学的形状または形態をとることができる。排泄物搬送装置111は、排泄物収集装置109の連結部材104に結合されるように構成された連結部材103をその近位端に含み、連結部材の実施形態については以下に詳しく説明する。
【0043】
[0088]本明細書で説明する実施形態では、体外部22は、その長さに沿って一様な断面(たとえば円形、楕円形など)を有するか、あるいは図2A〜2Bに示されている括約筋部20と同様の遷移断面を有してよい。体外部22は、使用時に形状を維持する(たとえば、捩じれを最低限に抑えたり、排水を容易にしたりする)のに十分な剛性を有するが、健康管理の専門家が必要に応じて糞便物質を送り出すように「圧搾」できるほど柔らかい材料で構成された折り畳み不能なチューブで形成することができる。たとえば、一実施形態では、体外部22は、自重で潰れることのないゴムまたはプラスチック材料で作られる。一実施形態では、体外部22は、ルーメン34が潰れるのを防止するのを助ける膨張可能なリブ、金属ワイヤまたはリボン、軸方向に位置するリングのような1つまたは複数の補強構造を含む。上述のリブと同様に、補強構造は長手方向、周方向、らせん状などに配置することができる。
【0044】
[0089]一実施形態における「圧搾」は、ハンドルに取り付けられ、間に隙間が形成されるようにハンドルにほぼ垂直に配置された、互いに向かい合う第1および第2のアームを含むクランプによって行われる。括約筋部20または体外部22の一部がこれらのアーム間に配置され、ハンドルが近位方向に引かれ、圧搾された部分を通して糞便物質が移動する。この器具は、ロック部材を含み、それによって、第1のアームが第2のアームをロックするかあるいは第2のアームに結合され、排泄物搬送装置の一部を固定する。
【0045】
[0090]本体12は、それぞれのコネクタ26および28を介して収集容器30に固定することができる。図1Bを参照すると、収集容器30は、内部に手を届かせることのできる開口部54が正面に配置されたバッグの形をしている。他の実施形態では、収集容器30は、1つまたは複数の開口部を有する他の適切な形態であってよい。本体12を収集容器30に固定し、それによって中央ルーメン34が収集容器30の内部と流体連通することが望ましいため、連結システムは、本体12が収集容器30に結合されたときにルーメン34を軸方向において実質的に開口部54に揃うように位置させる。一実施形態では、収集容器30は、たとえば活性炭を含む通気可能部を設けることによって悪臭を吸収し弱めるように構成される。活性炭は、収集容器30に挿入される交換可能な活性炭カートリッジを介して、必要に応じて交換することができる。収集容器30は、パリレンコーティング、悪臭防止コーティング、および/または抗菌剤コーティングを有してもよい。また、収集容器30は、悪臭を吸収/結合する材料を壁に含んでよい。コーティング/材料の適切な例は、米国特許第6579539号、米国特許第6596401号、米国特許第6716895号、米国特許第6949598号、および米国特許第7179849号に開示されており、これらの特許はそれぞれ、引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0046】
[0091]図1Bの実施形態では、収集容器コネクタ28は、本体コネクタ26から延びる環状フランジを受け入れ保持するように構成されたスライド機構を含む。したがって、カテーテルコネクタ26の環状フランジ部を容器コネクタ28の長穴または溝部に滑り込ませることによって、本体12を収集容器30に固定することができる。収集容器30から本体12を分離するのが望ましいときは、本体コネクタ26を引き上げて容器コネクタ28から出し、それによって収集容器30から本体12を取り外すことができる。収集容器30から本体12を分離する際に本体12および収集容器30からの漏れを防止することが望ましいことが多いため、本体12および収集容器30のそれぞれの近位開口部に閉鎖弁56および58を設けることができる。一実施形態では、閉鎖弁56および58は、中央ルーメン34内の糞便物質および/または洗浄ルーメン流体からの流体圧力が作用したときに開く隔膜のような分割されたポリマーカバーである。他の実施形態では、該弁は、本体12と収集容器30が連結するときに開く。たとえば、コネクタ26の環状フランジがコネクタ28の長穴に滑り込んだときに、コネクタ26および/または28上の機構が、弁56、58の一方または両方を開く。
【0047】
[0092]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態が図9A〜9Dに示されている。カテーテルコネクタ126は、カテーテルコネクタ126内に回転可能に保持された玉弁160を含み、玉弁160の両端上に配置された開口部164および166間を延びる内部流路162を有する。ナブ168が玉弁160の一部から延びている。図9Bは、コネクタ126が密封位置にあり、収集容器から分離されているときの玉弁160の構成を示している。ここで、開口部164および166ならびに内部流路162はカテーテルの中央ルーメン34に揃わず、それによって本体12の近位開口部を密封する。しかし、開位置では、図9Cおよび9Dに示されているように、玉弁160が回転し、それによって、コネクタ126が収集容器コネクタ128に連結されたときに流路162ならびに開口部164および166が中央ルーメン34に揃う。容器コネクタ128に配置されたディボット170は、カテーテル容器126が容器コネクタ128に固定されたときにナブ168を捕捉して移動させるように構成される。図9Cおよび9Dに示されているように、容器コネクタ128とカテーテルコネクタ126を連結すると、ナブ168が後方に移動し、玉弁160がその開位置まで回転する。一実施形態では、本体12と収集容器130との連結は、差し込み式機構または他の種類の公知の固定機構によって固定的に保持される。
【0048】
[0093]図9Aに示されているように、収集容器130は、有効なハンドルとして構成されかつ患者のベッドから収集容器130を固定的にぶら下げるように構成されたベルクロストラップを含んでよい。ベルクロストラップ172は、ストラップの、容器コネクタ128に固着された端部に隣接する部分に固定された対応する受容ストリップに係合するように一方の側に固定されたベルクロストリップを含む自由端を有する容器コネクタ128に一方の端部の所で固定することができる。したがって、患者のベッドまたは他の構造への取り付けは、受容ストリップからストラップ170の自由端を分離して該構造の開口部に通し、受容ストリップの自由端に取り付け直すことによって、容易に実施される。あるいは、収集容器130は、収集容器130を患者のベッドからぶら下げるためのフックまたは他の同様の部材を含んでよい。収集容器130は、実質的に不透明であり、容器の下部から上部に延びる透明ストリップ174を有してよい。透明ストリップ174は、容器の複数の側(たとえば、正面、第1の側面、第2の側面、および脊面)に配置することも、あるいは図示のように単一の側にのみ配置することもできる。容器130の不透明部分は、容器の内容物を実質的に隠し、一方、透明ストリップ174は、容器が最大レベルに達する前に空にすることができるように容器内の排泄物の体積を視覚的に監視する手段を提供する。
【0049】
[0094]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態では、図10A〜10Eに示されているギロチン連結組立体が本体コネクタ226および容器コネクタ228を含む。容器コネクタ228は、2枚の側壁278aおよび278b間に保持され、該側壁278aおよび278bに沿って移動可能である第1のスライド276を含む。第1のスライド276の上端は、ユーザが掴むことのできるタブ280を有し、スライド276の下部は孔282を含む。図10Aに示されているように、第1のスライド276が閉鎖位置にあるときは、収集容器開口部がスライド276で覆われる。第1のスライド276は上方に移動して、スライド孔282が収集容器開口部と揃う開放位置に配置される。本体コネクタ226は、コネクタ226の側面から延びる一対のロックアーム284aおよび284bを含む。ロックアーム284aおよび284b間に第2のスライド286が保持され、第2のスライド286は、下部に配置され、第1のスライド276上の孔282とほぼ同じサイズおよび形状を有する孔288を含む。
【0050】
[0095]本体12と収集容器230との間に連結部を形成するときは、ロックアーム284aおよび284bの端部が容器コネクタ228の対応する長穴290aおよび290bに隣接して位置し、かつ孔282および288が揃うように第2のスライド286を位置させる。ロックアームは、確実に連結されたことを示す部材(たとえば、触覚、聴覚などによる部材)を含んでよく、本体12が収集容器230に結合されるように長穴290aおよび290bに押し込まれる。次に、タブ280を上方に引いて、第1のスライド276と第2のスライド286の両方を開放位置に移動させ、本体12のルーメン34を収集容器開口部に揃えて収集容器230を本体12と流体連通させる。一実施形態では、タブ280が上方に移動すると、コネクタ226、228が互いにロックされ、使用時に誤って分離するのが防止される。収集容器230を本体12から取り外すのが望ましいときは、タブ280を下向きに押して、収集容器230の開口部と本体12の開口部の両方を密封し、コネクタ226、228のロックを解除して分離する。一実施形態では、ロックアーム284aおよび284bは、近位端をコネクタ226の方へ押すことによって開放し、該近位端を解放することによって閉鎖することのできるクランプ機構を含む。したがって、コネクタ226をコネクタ228から取り外すときは、アーム284a、284b上のクランプ機構を開放する。
【0051】
[0096]ギロチン連結組立体の変形実施形態が図11A〜11Dに示されている。図11Aを見ると分かるように、造瘻バッグフラップシール310が収集容器330の開口部を密封する。本体12に結合された本体コネクタ326は、コネクタ326の、密封位置(図11Bに示されている)と非密封位置(図11Cに示されている)との間を移動することができる面の反対側に位置するディスク312を含む。ディスク312の両側から延びるナブ314aおよび314bは、カテーテルコネクタ326のそれぞれのトラック316aおよび316bに保持され、ディスク312が、図11Dに様々な段階で示されているように上下に滑るのを可能にする。カテーテルコネクタ326を容器コネクタ328から分離すると、ディスク312は密封位置に位置する。コネクタ326は、コネクタ326のトラックをコネクタ328のレールの上方を滑らせるか、コネクタ326をコネクタ328上に押し付けるか、あるいは当業者に公知の他の連結方法によって容器コネクタ328に取り付けられる。コネクタ326とコネクタ328を連結した後で、ディスクをトラック316aおよび316bに沿って押し上げ、本体近位開口部の密封を解除し、本体12を収集容器330と流体連通させる。図11Cは、収集容器330に取り付けられ、収集容器コネクタ328と一体であってよく、収集容器330を患者のベッド上に保持する働きをするとともに、収集容器330用のハンドルを形成することができるフック/ハンドル316の実施形態を示している。
【0052】
[0097]カテーテルを収集容器に連結する他の方法が図12に示されている。収集容器430に取り付けられた容器コネクタ428は、収集容器430の内部への開口部412とキャップ部材414とを有するハウジング410を含む。キャップ部材414を開口部412を覆うようにハウジング410に固定的にスナップ結合して開口部412を密封することができる。本体12に結合された本体容器426は、容器コネクタハウジング410の開口部412に挿入されるように構成された小直径部416をその近位端に含む。小直径部416の両側にロックタブ420aおよび420bが配置されており、ロックタブ420aおよび420bは、容器コネクタハウジング410の内部に沿って延びる対応する長穴422aおよび422bに滑り込むように構成される。ロックタブ420aおよび420bを完全に挿入すると、ロックタブ420aおよび420bは、長穴422aおよび422bの切り欠き(不図示)に係合してカテーテルを収集容器430に固定する。また、ロックタブ420aおよび420bは、タブが長穴422aおよび422bに完全に挿入され、かつ連結がしっかりしていることをユーザに対して聴覚的に示すことができる。一実施形態では、本体12が収集容器430から分離される密封位置と本体12が収集容器430に固定される非密封位置との間を回転する玉弁424が、コネクタハウジング416内に位置する。カテーテルコネクタ426および収集容器ハウジング410は、使用を容易にする1つまたは複数のグリップ440を含んでもよい。また、コネクタハウジング416は、図12に示されているように1つまたは複数の一体化されたポートを含んでよい。したがって、たとえば、第1のポート442は洗浄/サンプリングルーメン38と流体連通してよく、第2のポート444は膨張ルーメン36と流体連通してよく、第3のポート446は洗浄ルーメン44と流体連通してよい。収集容器430は、その頂部に固定され該頂部から延び、ユーザが収集容器430を処分するために運ぶ際に助けとなり、かつ/あるいは収集容器430を迅速にかつ容易に患者のベッドからぶら下げるためのフックとして働く、湾曲した剛性のハンドル450を含む。
【0053】
[0098]図13A〜13Cは、図12の連結システムと同様の連結システムの実施形態を示している。この実施形態では、本体12に結合された本体コネクタ526はダックビルバルブ510を含み、容器コネクタ528は、バルブ510に接触したときにバルブ510を強制的に開くように構成された傾斜面を有する同心チューブ512を含む。ダックビルバルブ510は、本体12が収集容器530から分離されるときに密封され、本体コネクタ526の端部が容器コネクタ528に挿入されるときに開く。一実施形態では、本体コネクタ526が適切にかつしっかりと容器コネクタ528に取り付けられたことを示す視覚的インジケータが連結システムに設けられる。図13の例では、図13Bを見ると最もよく分かるように、本体コネクタ526の小直径部510の表面上にインジケータ514(たとえば、隆起した表面、記号または幾何学的図形自体が配置される表面とは異なる色を有する記号または幾何学的図形など)が配置されている。インジケータ514と同じ形状を有する孔516のような、容器コネクタ528上の補部材によって、ユーザは、孔516を通してインジケータ514が完全に見えるようになったときにコネクタ同士がしっかりと連結されたことを確認することができる。
【0054】
[0099]連結システムの他の例が図14A〜14Dに示されている。円筒形の本体コネクタ626は、チャネル内に位置する可撓性チューブ610を含む。可撓性チューブ610の遠位端および本体コネクタ626の内壁に第1の環状リング612が固定されている。第2の環状リング614が可撓性チューブ610の近位端に固定され、本体コネクタ626に回転可能に保持されている。図14Aに示されているように、可撓性チューブ610は、捩じれ位置に偏っており、本体12の近位開口部を密封している。近位開口部を開放するときは、図14Cに示されているようにチューブ610の捩じれを直す。チューブ610の捩じれを直すには、まず容器コネクタ628のタブ616が第2の環状リング614上に配置された本体コネクタ626上の対応する長穴618内部に位置する(図14A)ように、本体コネクタ626の端部を収集容器の容器コネクタ628に挿入する(図14D)。次に、本体コネクタ626の端部を回転させることによって第2の環状リング614および可撓性チューブ610の近位端も回転させ、それによって本体12の開口部の密封を解除する。様々な適切な連結機構を使用してカテーテルコネクタ626を容器コネクタ628に固定することができる。たとえば、図14Dは、連結が完了したときにユーザに確実なフィードバックを与える差し込み式連結機構を示している。また、上述のような標準的な造瘻バッグフラップを含む様々な適切な機構によって収集容器2開口部を密封することができる。
【0055】
[00100]次に、図15A〜15Dを参照すると、排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態が示されている。挿入装置700は、排泄物搬送装置の挿入を容易にするように構成される。挿入装置700は、それぞれ、ほぼ管状の構成と近位端の所のフランジとを有する内側スリーブ702および外側スリーブ704を含む。外側スリーブ704の外側に延びるフランジは、装置700が過剰に挿入されるのを防止し、各フランジが患者の臀部に隣接したときに最大限の挿入が安全に完了したことをユーザに示すように構成される。内側スリーブ702の外側に延びるフランジは、外側スリーブフランジが保持カフに隣接したときに保持カフが遠位方向に外側スリーブ704の遠位端を通って移動したことをユーザに示す。内側スリーブ702と外側スリーブ704の両方の近位端は、それぞれのフランジ上に位置するそれぞれのcリング対706a、706bおよび708a、708bを含む。各cリング対706a、706bおよび708a、708bは、一対のvカット710および712によって分離されている(図15Aにはvカットの一方の側しか示されていない)。vカット710および712は、スリーブを2つの部分に分離する分割部(たとえばvカットからスリーブの遠位端までの細長い切り込み)に入り込むため、挿入後にスリーブ702および704を本体12から分解するのを容易にする。挿入装置700は、図15Bの挿入構成では本体12上に示されており、この場合、外側スリーブ704の遠位端が直腸部18を覆い、保持カフ24が、外側スリーブ704によってその折り畳み時構成に保持されている。一実施形態では、外側スリーブ704は、保持カフ24を圧縮して装置700の下部外形を形成するように構成される。
【0056】
[0101]図15Cは、外側スリーブの端部が、直腸部18を通過させる穴あき部を有する、直腸部18から引き込まれたときの挿入装置700を示している。外側スリーブ704の引き込みは、挿入装置700に作用する力によって挿入時に行うことも、あるいは挿入の後でユーザが手作業で行うこともできる。図15Dは、外側スリーブ704が引き込まれ、最初に本体12から挿入装置700が取り外される様子を示している。外側スリーブ704を引き込んだ後で保持カフ24が自己拡張できる実施形態と、膨張が必要になる実施形態があることに留意されたい。本体12を患者内に適切に位置させた後、cリング対708aおよび708bを掴み、外側スリーブ704をそのvカット712に沿って引き剥がし、次に同様に内側スリーブ702を掴んで本体12から引き剥がすことによって、挿入装置700を分解することができる。装置700の取り外しは、挿入スリーブ704の一部のみが直腸部18から引き込まれるか、あるいは装置700が本体12に沿って近位方向にさらに滑った後で行うことができる。
【0057】
[0102]挿入装置の他の実施形態が図16A〜16Cに示されている。挿入装置800は、転動型ダイアフラム構成で外側部分804が内側部分802上に折り畳まれる使い捨てスリーブを含む。内側部分802は、挿入時に装置800が動くのを防止するために、内面上に適切な接着剤が配置されている。スリーブの第1の端部は、最初は内側部分802であり、一対の内側カフリング806aおよび806bを含み、一方、スリーブの第2の端部は、最初は外側部分804であり、一対の外側カフリング808aおよび808bを含む。図16Aは、保持カフ24が折り畳まれ、スリーブ外側部分804によって折り畳み状態に保持された挿入位置にある装置800を示している。排泄物搬送装置を患者内で展開するときは、外側部分804を、図16Cに示されているように内側部分802から完全に引き出されるまで、図16Bに示されているように近位方向に引く。この位置では、保持カフ24がその折り畳み時位置から解放され、拡張しかつ/あるいは膨張することができる。挿入装置800は、cリング808aおよび808bを引き離し、それによってvカット810を拡張させ、スリーブを2つの部分に分離して本体12から引き剥がすことによって取り外される。図17A〜17Dは、カフ806aおよび806bよりも長い内側カフ906aおよび906bを有する装置800の変形実施形態を示している。カフの長さ(たとえば、約2.54cm(1インチ)から約5.08cm(2インチ)の範囲)によって装置が固定されて動くのが防止され、それにより、場合によっては内側部分804の内面上の接着剤が不要になる。一実施形態では、挿入装置800は、ユーザがカテーテルを正しく装填するのを助けるくぼんだcリングを含む。他の実施形態では、挿入位置において内側部分802と外側部分804が当接する小直径部912が含められる。図17Dに示されているように、外側部分を近位方向に引いたときに、小直径部912は、挿入装置800が正しい挿入点まで完全に広げられているときにはそのことをユーザに示すことができる。小直径部912はまた、挿入点の所に装置800用のより狭い入口を形成する。
【0058】
[0103]挿入装置の他の実施形態が図18A〜18Cに示されている。挿入装置1000は、図15の実施形態と同様に別個の内側スリーブ1002と外側スリーブ1004とを含む。この実施形態では、外側スリーブ1004の遠位端は、外形を小さくすることによって挿入を容易にする先細りヘッド1010を含む。先細りヘッド1010は、カテーテルの括約筋部20からの滑らかな遷移部を形成することもでき、かつ不快感を最低限に抑えるように丸い縁部を有する可撓性材料で構成することができる。また、挿入装置1000は、外側スリーブ1004の近位端から延びる大直径リミッタフランジ1012を含んでよい。リミッタフランジ1012は、ユーザが適切な挿入深さを見つけるのを助けるように構成することができる。たとえば、リミッタフランジ1012は、本体12を管理する人が、本体12を患者にどの程度挿入するかに関する基準としてリミッタフランジ1012を使用できるように、挿入装置1000に沿った所定の距離に設置することができる。リミッタフランジ1012は、挿入装置1000を患者に挿入できる深さを制限することもできる。図18Bは、保持カフ24が取り出され拡張された直腸部18を有する引き込み時構成の挿入装置1000を示している。外側スリーブ1004を引き込むにつれて、挿入装置1000のヘッド1010が複数の引き剥がし継ぎ目1024の所で分割され、本体12が遠位方向に相対移動することが可能になる。
【0059】
[00104]挿入装置1000は、外側スリーブ1002および内側スリーブ1004をそれぞれ、対応するvカット1018および1020から始まる引き剥がしゾーン1014および1016の所で引くことによって本体12から取り外される。一実施形態では、挿入装置1000は、挿入装置1000の分解を容易にする1つまたは複数の「リップストリップ」を含む。外側スリーブ1004から引き出された状態で示されている例示的なリップストリップ1022が図18Cに示されている。内側スリーブ1002上に1つまたは複数のリップストリップを含めることもできる。
【0060】
[00105]挿入装置の他の実施形態が図19A〜19Cに示されている。この実施形態では、挿入装置は、使い捨て膣鏡と同様の挟み作用を利用する。本体12のようなカテーテルは、その遠位部の周りに配置されたプランジャ1102を有し、該プランジャ1102は、その近位端から延び、本体12が患者に挿入された後でプランジャ1102を取り外すように構成された一対のグリップ1104aおよび1104bを含む。挟み装置1106は、回動点1112の所に互いに回動可能に連結された剛性の上部アーム1108と剛性の下部アーム1110とを含む。挟み装置1106の上部の周りに柔らかい可撓性スリーブ1114が位置しており、スリーブ1114は、挟み装置1106のピンチポイントを覆い、かつ挿入時に本体12および/またはプランジャ1102の少なくとも一部の保護カバーを形成する。図19Bに示されているように、ハンドル1116および1118を握ると、上部アーム1108が、スリーブ1114によって制限することのできる下部アーム1110から離れる方向に回動する。挿入については、挟み装置1106を患者に挿入する前または後に、本体12およびプランジャ1102の遠位部を挟み装置1106の近位開口部に挿入する。次に、装置1106のハンドルを握って本体を患者に挿入するのを容易にする。プランジャグリップ1104a、1104bは、プランジャから外側に延びており、グリップ1104a、1104bが装置1106の近位端に接触したときにユーザに対して適切な挿入深さまたは最大安全挿入深さを示すように本体12の遠位端から間隔を置いて配置することができる。取り外しを容易にするために1つまたは複数の引き剥がしバンドをプランジャ1102上に含めることができる。
【0061】
[00106]挿入装置の他の実施形態が図20A〜20Cに示されている。挿入装置1200は、1つまたは複数の引き剥がし継ぎ目1210に沿って下部スリーブ1204に取り付けられた上部スリーブ1202を含む。装置の適切または安全な挿入深さを示すスペーサ1212が設けられている。取り扱いおよび挿入を容易にするハンドル1214が下部スリーブ1204の近位端に設けられている。一実施形態における上部スリーブ1202は、下部スリーブ1204より可撓性の高い材料で作られる。図20Aに示されている挿入構成では、挿入装置1200は、折り畳まれた保持カフ24を圧縮し、患者に容易に挿入できる下部外形を形成する。挿入後、装置1200は、まず、図20Bに示されているように上部スリーブ1202を引き剥がし、それによって、先端1206を分割し、保持カフ24を露出させ拡張させる(たとえば、展開させる)ことによって取り外される。次に、図20Cに示されているように上部スリーブ1202を患者から取り外し、その後下部スリーブ1204を取り外す。
【0062】
[00107]図21は、シース導入装置またはタンポンと同様に構成された挿入装置1300を示している。本体12の遠位端は、外面上に潤滑性コーティングを有してよい装置1300に挿入される。遠位端1302は、全体として保持カフ24の折り畳み時の外形を維持するが、本体12が遠位方向に押されたときに分割して本体を通過させる複数のペタルを有する。装置1300を取り外すときは、装置1300を本体に沿って近位方向に滑らせる。装置1300は、視覚的深さマーカおよび/または固着機構を含んでもよい。
【0063】
[00108]図28A〜28Bは、排泄物管理システムを直腸穹窿に挿入するのを容易にする装置1610を示している。病院環境では挿入、患者の快適さ、および臨床医時間のそれぞれが重要であると考えられる。患者の不快感を最低限に抑えつつ排泄物管理システムの挿入を簡略化する装置を提供すると有利であると考えられる。これを実現する1つの方法は、最少数のステップで迅速な展開および挿入を可能にする先端縁部を折り畳み式で薄型の保持カフ24に備えることである。一実施形態によれば、排泄物管理システムは、カフ12が事前にシース1612内に折り畳まれるように組み立てられる。潤滑ポート1614を介してシース1612の内部、したがってカフ24上に潤滑剤を注入することができる。すなわち、排泄物管理システムパッケージからシースを取り外すことができ、患者の挿入に対する準備が整ったときにポート1614を通して潤滑剤を注入することができる。これは、たとえば、シース1612上のポート1614のルアー形取り付け具と相補的なルアー形取り付け具を有する注射器で行うことができる。潤滑剤は、ポート1614から出てシース1612の内部に入り、折り畳まれたカフ24の外面の少なくとも一部を被覆する。次に、図28Bに示されているように経括約筋部20を掴み、図28Cに示されているようにシース1612から取り外す。経括約筋部20をシース1612から取り外した後、カフ24を事前に折り畳み、潤滑材を注入し、カフ24を患者の直腸に挿入する準備を整える。
【0064】
[00109]図22は、排泄物管理システムの固定装置の一実施形態を示している。固定装置は、排泄物搬送装置の望ましくない移動(上下両方向の移動)を防止し、かつ患者の肛門周囲領域を保護する。特に、括約筋の緊張が非常に弱いため、排泄物搬送装置が挿入後および使用中に患者から排出される傾向がある。したがって、本明細書で説明する固定装置は、排泄物搬送装置の軸方向への移動および回転移動を防止し、たとえば、留置時間が延びること、漏れが最低限に抑えられること、および排泄物搬送装置保持カフが適切に配置されることを含むいくつかの利点をもたらす。
【0065】
[00110]図22に示されている固定装置1400は、固定パッチ1402および固定タブ1410を含む。固定パッチ1402は、たとえば、親水コロイド剤、抗生剤、抗真菌剤、抗菌剤、悪臭防止剤、皮膚調整剤や、患者の皮膚に付着する基質のような1つまたは複数の活性薬剤を含む活性原料マトリクスが配置される遠位面1404を有する。接着パッチは、皮膚の損傷を修復する放出特性を有してよい。本明細書で説明するような排泄物管理システムを必要とする患者の肛門周囲および臀部領域にじょく瘡潰瘍または皮膚の損傷が発生することが多いが、活性薬剤を使用するとそれに対処することになると考えられる。このような状態に対処するのに現在使用されている装置の例には、3MTM社から市販されているTegadermTM DressingsやConvaTec社から市販されているDuoDERM(登録商標) Dressingsが含まれる。したがって、固定パッチ1402に活性原料マトリクスを使用すると、たとえば、患者の皮膚が保護されること、将来皮膚が損傷するのが防止されること、患者の皮膚が修復されること、感染症が防止されること、悪臭が防止されることを含む、固定装置1400の利点がもたらされる。固定パッチ1402はその遠位面上に活性原料マトリクスが配置されるように示されているが、この代わりに、接着マトリクスを固定パッチ1402から分離し、臨床医が直接患者の皮膚に塗布することができることを理解されたい。
【0066】
[00111]固定パッチ1402は、クローバー形状を有するように示されており、患者の臀部の形状に一致し、取り外さなくても患者が動けるように可撓性である。しかし、他の形状が考えられ、かつ本発明の範囲内である。また、固定パッチ1402は平坦な外形を有するように示されているが、湾曲形状も本発明の範囲内である。固定パッチ1402は、排泄物搬送装置の管状本体と同じであるかあるいは該管状本体よりもわずかに大きい直径を有する開口部1408に連結されるスリット部または不連続部1406を一方の側に含み、それによって、以下に詳しく説明するように、設置された排泄物搬送装置に固定装置1400を位置させ取り付けるのが可能になる。
【0067】
[00112]固定タブ1410は、スリット部1406の両側で固定パッチ1402に取り付けられた互いに向かい合うフラップを有する。図示の実施形態では、固定タブ1410は、固定装置1400を排泄物搬送装置に取り付けるための接着剤が配置される内面を有する。一実施形態では、固定タブ1410に使用される接着剤は、患者の治療過程にわたって複数の固定装置を利用できるように固定装置1400を管状本体12から容易に分離できるような接着剤である。他の実施形態では、接着手段の代わりにあるいは接着手段に加えて機械的取り付け手段を使用することができる。たとえば、固定装置1400は、排水チューブおよび/または固定パッチ1402に内蔵された部材と協働するフックやループ(たとえば、Velcro(登録商標)固定)やタイなどの機械的手段を含んでよい。この実施形態では、互いに向かい合うフラップが固定装置の長手方向から外側に傾斜しており、固定装置を排泄物搬送装置に沿って軸方向に滑らせて正確に位置させるのが容易である(すなわち、固定装置が所望の位置に配置される前に内面が排泄物搬送装置の表面に接触するのが防止される)。
【0068】
[00113]図23A〜23Dは、固定パッチ1402が排泄物搬送装置の管状体12上に配置される様子を示している。図23Aでは、固定タブ1410は、スリット部1406が管状本体12に面するように管状本体12の上方で管状本体12の遠位端の近く(すなわち、本明細書で説明するように排泄物搬送装置を挿入した後患者の臀部に隣接する位置)に位置決めされ、固定タブ1410の互いに向かい合うフラップは、フラップ同士の間の距離が管状本体12の直径よりも大きくなるように外側に反っている。図23Bでは、固定パッチ1400は、管状本体12が実質的に開口部1408内に入るようにスリット部1406を管状本体12上に押し付けることによって管状本体12上に取り付けられる。図23Bは、接着固定パッチ1402が患者の臀部に接触するまで必要に応じて固定装置を管状本体12に沿って軸方向に移動させる、次の位置決めステップを示している。図23Cでは、固定タブ1410の互いに向かい合うフラップが管状本体12に押し込まれて接触しており、各フラップの内面1412上の接着剤が管状本体12の外面に結合されている。一実施形態では、固定パッチ1402および固定タブ1410は、接着面が露出されるように最初に取り外される非粘着材料ストリップを有する。したがって、図示の実施形態では、固定パッチ1400は、固定パッチを介して患者に取り付けられるとともに固定タブを介して排泄物搬送装置に取り付けられる。図23Dは、固定装置1400が取り付けられた排泄物搬送装置を端部斜視図で示している。
【0069】
[00114]固定パッチを本明細書で説明する実施形態のいずれかに組み込むことができ、かつ最初は排泄物搬送装置から分離しておく排泄物搬送装置を適切に挿入し位置させた後で取り付けてもあるいは挿入する前に取り付けておいてもよいことに留意されたい。さらに、固定パッチは、様々な排泄物管理システムに使用できるように別売される構成部材であってよく、あるいは本明細書で説明する排泄物管理システムを含むキットに含めることができる。
【0070】
[00115]排泄物管理システムの他の実施形態では、排泄物搬送装置は薬剤送出装置を含む。図24Aは、一体化された薄型インタフェースポート1502と、必要に応じて薬剤または治療薬を患者に投与するのを可能にする別個の独立の使い捨て送出装置1510とを含む薬剤送出装置1500の一実施形態を示している。インタフェースポート1502は、埋め込まれた隔膜1506によって密封された開口部を有する到達面1504を含み、該隔膜1506は、糞便物質が露出され漏れるのを防止しつつ、送出装置1510を挿入できるようにするように構成されたスリットまたは通路を含む。隔膜1506は、使い捨て送出装置1510が使用後にインタフェースポート1502から引き出されるときに使い捨て送出装置1510の表面を浄化する「スキージ」としても働く。他の実施形態では、インタフェースポートは、隔膜の他にあるいは隔膜の代わりに様々な種類の一方向弁部材を組み込むことができる。また、図示の実施形態では、送出装置1510は、その遠位端の所に噴霧部材1512を含み、噴霧部材1512のすぐ近くに閉塞バルーン1514を含む。噴霧部材を例示したが、当業者に公知の他の種類のノズル部材が構想され、かつ本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0071】
[00116]少なくとも2つのルーメンを囲む外壁を有する軸1516が、遠位端部材を近位端注射器ポート1520に連結している。注射器ポート1520は閉塞バルーン1514に連結する軸1516内の第1のルーメンと流体連通するバルーンポート1522と、噴霧部材1512に連結する軸1516内の別個の第2のルーメンと流体連通する薬剤送出ポート1524とを含む。軸1516は、半剛性であり、隔膜1506を貫通して排泄物搬送装置のルーメンに容易に挿入することができ、挿入および引き出し時に排泄物搬送装置を損傷せずに収集部材のルーメンを通過する。図24Aは、閉塞バルーン1514が折り畳み時状態にある使い捨て送出装置1510を示し、図24Bは、閉塞バルーン1514が膨張または拡張状態にある使い捨て送出装置1510を示している。
【0072】
[00117]図24Aに示されている実施形態では、薬剤送出装置1500は、排泄物搬送装置の排水ルーメンに対するアクセスを与える。使い捨て送出装置1510は、図示のように、事前に形作られた湾曲部を軸1516に有し、それによって、使い捨て送出装置1510が完全に挿入されると、挿入された部分が排水ルーメンと実質的に平行になり、軸の近位端がインタフェースポート1504を貫通して延びる。しかし、他の実施形態では、軸1516は、事前に形作られた湾曲部が不要なほど柔軟であってよい。完全に挿入された使い捨て送出装置1510では、図24Cに示されているように、閉塞バルーンが膨張または拡張し、それによって、糞便材料が薬剤の送出時に排泄物搬送装置の排水ルーメンに進入するのが防止される。直腸穹窿を密封することによって、薬剤が懸濁し、薬剤送出の効率が最大になる。典型的な薬剤には、急速静注形態で投与されるラクツロースおよびケキソレートが含まれる。噴霧部材1512は、異なる噴霧ノズルを介した直腸穹窿内の粘膜組織による摂取が最適なものになるように薬剤の送出を改善し、該異なる噴霧ノズルは、薬剤を改善された方法で特定の方向から直腸穹窿に噴霧、被覆、またはその他の方法で投与するように構成することもできる。薬剤の送出および粘膜組織による摂取を改善すると、効率を向上させることができる。
【0073】
[00118]使い捨て送出装置1510を含む薬剤送出装置1500は、排泄物搬送装置を位置させた後任意の時点で実現することができる。このモジュール形態は、排泄物搬送装置のルーメン内に留置された取り外し不能な構成部材を必要とする完全に一体化されたシステムに対して明確な利点をもたらす。これは、一体化されたシステムは、個々の患者の要件に基づく必要なときにしか実現できないからである。さらに、ノズルまたは噴霧部材1512は、臨床医が結腸への送出深さとノズル部材からの送出の種類の両方を制御できるようにすることによって、患者への薬剤または治療薬の送出を向上させることができる。したがって、直腸穹窿組織内の血流が括約筋の遠位で増大するため、送出された薬剤の摂取がさらに最適化される。
【0074】
[00119]図24Dは、図24Cの排泄物搬送装置の遠位端の断面図であり、収集部材の遠位開口部を越えて延びており、閉塞バルーンが膨張状態にある噴霧部材1512を示している。薬剤送出装置1500は、送出装置1510を到達面1504およびインタフェースポート1502の通路を貫通させて排泄物搬送装置のルーメンに挿入することによって実現される。送出装置1510の挿入は、噴霧部材1512が好ましくは少なくとも部分的に排泄物搬送装置の遠位端の遠位に位置するまで継続する。挿入が完了したことは、送出装置の軸の湾曲部(この実施形態では、事前に形作られた湾曲部)が排泄物搬送装置のルーメン壁に接触したときおよび/または軸上の視覚的インジケータ(たとえば、リングやラインなどのマーク)が隔膜1506またはインタフェースポート上の他のある指定された点に到達したときに示される。送出装置が適切に位置決めされた後、膨張流体が注射器ポート1520のバルーンポート1522を通して閉塞バルーン1514に送出され、最終的にバルーンが所望のサイズに膨張し、排泄物搬送装置のルーメン(たとえば、排泄物搬送装置の収集部材のルーメン)を閉塞する。閉塞バルーンが拡張した後、圧力をかけて薬剤を注射器ポート1520の薬剤送出ポート1524を通して送出し、噴霧部材1512から患者に注入する。薬剤の送出が完了した後、閉塞バルーン1514が収縮し、送出装置が、インタフェースポートの隔膜1506を通して取り外され、任意の容器に配置される。
【0075】
[00120]図24A〜24Dは、インタフェースポート1502と使い捨て薬剤送出装置1510の組み合わせを示しているが、他の組み合わせも可能であり、本発明の範囲内である。たとえば、薬剤送出装置の前、薬剤送出装置の後、あるいは薬剤送出装置の代わりに、たとえば、流体および/または高圧注入流体をエアロゾル化できる器具、内視鏡、視覚化装置など含む様々な種類の器具をインタフェースポート1502を通して挿入することができる。さらに、インタフェースポート1502を通して浣腸剤を投与することができる。前述のように、インタフェースポート1502を通して可撓性のスコープを挿入して排泄物搬送装置の留置構成部材を視覚化し、任意の配置、漏れ、または圧迫壊死の問題を調査することができる。直腸穹窿内部をこのように視覚化すると、臨床医は、装置の考えられる問題を診断し、排泄物管理システム全体を破棄せずに対処することができる。
【0076】
[00121]当業者には、モジュール式カテーテル送出を実現することによって、送出システムを特定の薬剤および患者の状態について調整し利用することができ、それによって、直腸経路を介して投与される薬剤の種類が増大する。たとえば、典型的な薬剤送出方法では、経口経鼻胃管経路を介して薬剤が送出される。投与される流体の量が多いため(栄養物の供給も含むため)、一般に患者には送出用の気管内チューブが必要である。しかし、胃にこれらの流体を送ると誤嚥性肺炎が発生する可能性が高くなることが公知である。一方、本明細書で説明する直腸薬剤送出方法および手法は、経口薬剤しきい値を小さくするのを可能にし、それによって誤嚥の可能性を低減させる。
【0077】
[00122]図25は、薬剤送出装置の他の実施形態を示している。この実施形態では、排泄物搬送装置の排水ルーメンに到達するのを可能にするのではなく、一体化されたインタフェースポート1532によって、隔膜1506を貫通して、収集部材を通って延びる遠位端を有する専用ルーメン1530に到達するのを可能にする。ルーメン1530は、送出装置(たとえば送出装置1510)なしで薬剤を注入するのを可能にし、場合によっては、排泄物搬送装置の括約筋部を補強するように構成することができる。
【0078】
[00123]患者の糞便内のクロストリジウムディフィシルのようなある種の細菌を迅速にかつ好都合に識別する方法を有することが望ましいと考えられる。C.ディフィシルによる感染は急速に広がり抑制が困難になる恐れがある。クロストリジウムディフィシルに関連する疾患は特に高齢者および免疫不全患者にとって危険であり、感染が病院全体に急速に広がる可能性がある。試験装置が排泄物管理システムのポートに挿入されるカセットを備える、細菌を迅速にかつ簡単に見つけるための試験を実施すると有利であると考えられる。図29に示されているように、カテーテル12は少なくとも1つの自己密封ポート1712を含んでよい。カセット1710上の試験ストリップ1711は、定められた時間にわたってポート1712に挿入され、引き抜かれ、理想的には、特定の細菌の有無を迅速に示すことができる。C.ディフィシルの適切な非制限的な一例には、Oxoid Limited社(英国、ハンプシャー)から市販されているC.ディフィシル毒素A試験がある。
【0079】
[00124]特定の変形実施形態および例示的な図に関して本発明を説明したが、当業者には、本発明が説明した変形実施形態や図に限定されないことが認識されよう。また、上述の方法およびステップは、ある順序で起こるある事象を示す場合、当業者には、あるステップの順序を修正することができ、かつこのような修正が本発明の変形実施形態によるものであることが認識されよう。また、あるステップを可能なら並行プロセスにおいて同時に実施するとともに、上述のように順次実施することもできる。したがって、本発明の変形実施形態が、特許請求の範囲に記載された本発明の開示または均等物の趣旨の範囲内であるかぎり、本特許はそれらの変形実施形態も対象とするものである。最後に、本明細書で引用したすべての文献および特許出願は、それぞれの個々の文献または特許出願が明確にかつ個別に本明細書に記載される場合と同様に引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2008年7月22日に出願された国際出願第PCT/US2008/070781号の一部継続出願であり、2008年11月17日に出願された米国特許仮出願第61/115126号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの特許出願はそれぞれ、引用によって、本明細書に詳しく記載されているのと同様に本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]排泄物管理システムは、健康管理分野において、特に自分自身の健康管理ができない患者にとって重要である。このような患者は、失禁、下痢、または同様の疾患にかかっていることがあり、その状態(たとえば、重度の熱傷、外科的切開など)のために、糞便物質が開放創、熱傷、手術部位などと接触した場合に感染症を併発する可能性がある。さらに、健康管理の専門家が患者を介護している間に糞便物質に接触した場合、罹患し、かつ/あるいはその疾患が広がる恐れがある。したがって、適切な排泄物管理システムは、たとえば、皮膚の実質的な損傷、感染症の可能性、病原菌の二次汚染、身体の不自由な患者の排便時の後始末、患者の不快感などを回避するように最低でも、実質的に密閉システム内に糞便を入れる。当技術分野では糞便管理システムが公開されているが、多くの公知の問題は未解決であるかあるいは対処されていない。
【0003】
以下の参考文献は糞便管理システムまたはその構成部材に関する。米国特許第5569216号(Kim)、米国特許第6527755号(Salama)、米国特許第7147627(Kim)、米国特許出願第2005/0054996号(Gregory)、米国特許出願第2005/0137526号(Machado等)、米国特許出願第2006/0189951号(Kim等)、米国特許出願第2006/0271087号(Von Dyck等)、米国特許出願第2007/0049878号(Kim等)、および米国特許出願第2007/0149922号(Schneider等)。これらの特許および特許出願は引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004]本出願人は、頑丈で、患者にとって快適であり、公知の問題を生じさせず、使用が容易であるという特徴を有する排泄物管理システムを提供するのが望ましいことを認識している。本明細書では、このシステムの実施形態について説明する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]したがって、本明細書では、排泄物搬送装置および排泄物収集装置を含む排泄物管理システムについて説明する。排泄物搬送装置は、排泄物収集装置上の第2のコネクタ部材に取り外し可能に連結できるように構成された第1のコネクタ部材を含んでよい。このシステムは、排泄物搬送装置を患者の直腸に挿入するのを容易にする挿入装置を含んでもよい。
【0006】
[0006]一実施態様では、排泄物管理システムは、第1の断面積を有する遠位端開口部、および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、排泄物収集装置とを含む。
【0007】
[0007]他の実施態様では、排泄物搬送装置は、第1の断面積を有する遠位端開口部、および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を形成し、膨張可能な保持カフを含む遠位部と、洗浄ルーメンを含む近位部と、近位部の近位端に結合されたコネクタと、近位部を遠位部に連結し、近位端から遠位端に遷移する断面形状を含む中間部とを含む。他の実施態様では、排泄物搬送装置は、遠位端開口部を近位端開口部に連結するルーメンを含む収集部材と、収集部材の外面の周りに配置され、鎮痛剤を含む保持カフとを含む。
【0008】
[0008]一実施態様では、患者の糞便物質を管理する方法は、拡張構成で、第1の断面積を有する遠位端開口部および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を形成し、膨張可能な保持カフを含む、排泄物搬送システムの遠位部を折り畳み時構成で患者の直腸に挿入するステップと、排泄物搬送システムから挿入装置を取り外すステップと、保持カフを第1の膨張構成に膨張させるステップとを含む。
【0009】
[0009]他の実施態様では、排泄物搬送装置を排泄物収集装置に連結する方法は、排泄物搬送装置に結合された第1のコネクタの孔を排泄物収集装置に結合された第2のコネクタの孔に揃え、第1のコネクタの1つまたは複数のロックアームの端部を第2のコネクタの長穴に押し込むことによって、第1のコネクタを第2のコネクタと組み合わせるステップと、第1および第2のコネクタを滑らせて該孔を排泄物搬送装置の中央ルーメンおよび排泄物収集装置の開口部と揃えるステップとを含む。
【0010】
[0010]他の実施態様では、排泄物管理システムは、第1の断面積を有する遠位端開口部および第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、遠位端開口部を近位端開口部に流体連結するルーメン、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、固定装置とを含み、固定装置が、固定装置自体を排泄物搬送装置に取り付ける手段を含む。
【0011】
[0011]他の実施態様では、排泄物管理システムは、遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、遠位端開口部を近位端開口部に流体連結するルーメン、収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、排泄物搬送装置を通して治療剤を送出するように構成され、隔膜によって密封された開口部を有するインタフェースポートを含む薬剤送出装置とを含む。
【0012】
[0012]当業者には、以下のより詳細な説明を、まず簡単に説明する添付の図面と一緒に参照したときに、上記の実施態様、特徴、および利点ならびに他の実施態様、特徴、および利点が、より明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】[0013]図1Aは、排泄物管理システムの斜視図である。
【図1B】[0014]図1Bは、排泄物搬送装置が排泄物収集装置から分離された図1のシステムの近位端の斜視図である。
【図2A】[0015]排泄物搬送装置の遠位部の長手方向断面斜視図である。
【図2B】[0016]図2Aの遠位端の長手方向断面側面図である。
【図2C】[0017]排泄物搬送装置の保持カフの一実施形態の斜視図である。
【図2D】[0018]排泄物搬送装置の保持カフの他の実施形態の斜視図である。
【図2E】[0019]排泄物搬送装置の保持カフの他の実施形態の斜視図である。
【図2F】[0020]図2Bの斜視図である。
【図2G】[0021]図2Bの上面図である。
【図2H】[0022]図2Bの側面図である。
【図2I】[0023]排泄物搬送装置の一部の軸方向断面図である。
【図3A】[0024]図3Aは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3B】図3Bは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3C】図3Cは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図3D】図3Dは、排泄物搬送装置の保持カフを収縮させ折り畳む段階を示す図である。
【図4A】[0025]図4Aは、近位カフを有する排泄物搬送装置の斜視図である。
【図4B】図4Bは、近位カフを有する排泄物搬送装置の斜視図である。
【図4C】[0026]図4Cは、膨張可能な保持カフの一実施形態の図である。
【図5A】[0027]収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5B】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5C】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図5D】収集部材の一実施形態の斜視図である。
【図6】[0028]一体成形収集部材および括約筋部の一実施形態の断面図である。
【図7A】[0029]一体成形収集部材および括約筋部の他の実施形態の断面図である。
【図7B】一体成形収集部材および括約筋部の他の実施形態の断面図である。
【図7C】[0030]保持カフの一実施形態の斜視図である。
【図7D】[0031]排泄物管理システムの一実施形態の斜視図である。
【図7E】[0032]図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図7F】図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図7G】図7Dの排泄物管理システムの一領域の断面図である。
【図8A】[0033]排泄物管理システムの他の実施形態の斜視図である。
【図8B】[0034]図8Aの排泄物管理システムの一体成形収集部材および括約筋部の部分図である。
【図8C】[0035]図8Aの排泄物管理システムの体外部の断面図である。
【図8D】[0036]図8Aの排泄物管理システムの排泄物搬送装置の断面図である。
【図9A】[0037]図9Aは、弁付き連結システムを有する排泄物管理システムの一実施形態の斜視図である。
【図9B】[0038]図9Bは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図9C】図9Cは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図9D】図9Dは、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを連結する一段階における図9Aの連結システムの拡大図である。
【図10A】[0039]図10Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図10B】図10Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11A】[0040]図11Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11B】図11Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11C】図11Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図11D】図11Dは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図12】[0041]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13A】[0042]図13Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13B】図13Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図13C】図13Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14A】[0043]図14Aは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14B】図14Bは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14C】図14Cは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図14D】図14Dは、排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態の斜視図である。
【図15A】[0044]排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15B】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15C】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図15D】排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態の斜視図である。
【図16A】[0045]図16Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図16B】図16Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図16C】図16Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17A】[0046]図17Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17B】図17Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17C】図17Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図17D】図17Dは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18A】[0047]図18Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18B】図18Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図18C】図18Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図19A】[0048]図19Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図19B】図19Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20A】[0049]図20Aは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20B】図20Bは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図20C】図20Cは、排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図21】[0050]排泄物管理システムの挿入装置の他の実施形態の斜視図である。
【図22】[0051]排泄物管理システムの固定装置の斜視図である。
【図23A】[0052]図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23B】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23C】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図23D】図22の固定装置を排泄物輸送装置上に位置させる様子を示す斜視図である。
【図24A】[0053]独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24B】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24C】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図24D】独立の使い捨て送出装置を有する薬剤送出装置の斜視図である。
【図25】[0054]専用薬剤送出ルーメンを有する薬剤送出装置の他の実施形態の断面図である。
【図26A】[0055]排泄物管理システムの圧力計の斜視図である。
【図26B】排泄物管理システムの圧力計の斜視図である。
【図27】[0056]排泄物管理システムの圧力計の他の実施形態の図である。
【図28A】[0057]図28Aは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図28B】図28Bは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図28C】図28Cは、排泄物管理システムの挿入を容易にする被覆装置の一実施形態を示す図である。
【図29】[0058]排泄物管理システムの細菌試験装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0059]以下の説明は、図面を参照しながら読むべきであり、様々な図面中の同じ部材には同一の参照番号が付されている。各図面は、必ずしも一定の縮尺では描かれておらず、選択された実施形態を示し、本発明の範囲を限定するものではない。説明は、制限としてではなく一例として本発明の原則を例示している。この説明が、当業者が本発明を実施して使用するのを可能にふることは明らかであり、本発明を実施する最良の形態と現在考えられているものを含む、いくつかの実施形態、適応実施形態、変形実施形態、代替実施形態、および本発明の用途を説明する。
【0015】
[0060]任意の数値または範囲を表す語「約」を本明細書で使用する際は、複数の構成部材の一部または集合が本明細書で説明するようにその目的のために働くのを可能にする適切な寸法公差を示す。また、語「患者」、「宿主」、および「被術者」を本明細書で使用する際は、任意の人間または動物の被術者を指し、システムまたは方法を人間が使用するものに限定するものではない。ただし、本発明を人間の患者に使用することが好ましい実施形態に相当する。
【0016】
[0061]本明細書で説明する排泄物管理システムは一般に、排泄物搬送装置と排泄物収集装置とを含む。排泄物搬送装置は、本明細書では「直腸部」と呼ばれ、患者の直腸内に配置され、糞便物質の患者から排泄物収集装置への移送を開始するように構成された遠位端部と、直腸部の近位に位置し、「括約筋部」と呼ばれ、患者の肛門管に配置される部分と、括約筋部の近位に位置し、「体外部」と呼ばれ、その長さの大部分が患者の外側にある部分とを含む。排泄物搬送装置の近位端は、収集容器を含む排泄物収集装置に連結されるように構成される。ある実施形態では、排泄物管理システムは、排泄物搬送装置を選択的に排泄物収集装置に結合する連結システムおよび/または排泄物搬送装置の患者への挿入を容易にする挿入装置を含む。本明細書では、排泄物管理システムのこれらの特徴および他の特徴の実施形態について説明する。
【0017】
[0062]図1Aを参照すると、排泄物管理システム10は、遠位端14および近位端16を有するほぼ管状の本体(たとえばカテーテル)12を含む排泄物搬送装置と、収集容器30を含む排泄物収集装置とを含む。本体12の遠位端14には、収集部材32および収集部材32の外面の周りに配置された保持カフ24を含む直腸部18が位置している(図2)。特に患者の肛門領域に配置されるように構成された括約筋部20と、システムの使用時に概ね患者の体の外側に位置する(ただし、一部は体の内側に位置する)体外部22とが直腸部の近位に位置している。一実施形態では、収集部材32、括約筋部20、および体外部22は、同じ硬度(たとえば50 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られ、一方、保持カフ24は異なる硬度(たとえば約35 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られる。他の実施形態では、前述の構成部材の各々は同じ硬度(たとえば50 Shore A)を有する材料(たとえばシリコーン)で作られる。本体コネクタ26が、体外部22の近位端に結合され、本体12を収集容器30と流体連通するように配置するように収集容器コネクタ28に迅速かつ安全に結合できるように構成されている。コネクタ実施形態の様々な例について以下に詳しく説明する。本体12は一般に、たとえば、患者からの糞便物質を収集容器30まで通過させる中央ルーメン34と、膨張ルーメン36と、サンプリングルーメン38と、洗浄ルーメン44とを含む、本体の長さの少なくとも一部に沿って延びる複数のルーメンを有する。各ルーメンについては以下に詳しく論じる。
【0018】
[0063]図2A〜2Bに示されている本体12の直腸部18を参照すると、収集部材32は、通常の使用向けに位置決めされたときに患者の直腸内に開放する遠位開口部31と、括約筋部20に連結される近位開口部33とを有する。一実施形態では、近位開口部33は、遠位開口部の断面積よりも小さい断面積を有する。たとえば、近位開口部33は、遠位開口部31の内径よりも小さい内径を有してよい。このような構成は、排泄物質の患者から本体12への流れを助けると考えられる先細り形状(たとえばじょうご形)を収集部材32に付与する。一実施形態による先細り形状が円錐台状であることに留意されたい。一実施形態では、収集部材32は、遠位開口部31が不完全に閉鎖されるのを防止し、それによって、収集部材32に作用する力とは無関係に患者からの糞便物質を安全に通過させるのを可能にするのに十分な硬度を有する1つまたは複数の材料で形成される。たとえば、収集部材は、ポリウレタン、シリコーンゴム、天然ゴムラテックス、合成ゴム、グアユールゴム、80SHポリジメチルシロキサン、ヒュームドシリカ、塩化ポリビニル(PVC)、およびそれらの組み合わせから選択された材料で作ることができる。一実施形態では、収集部材32は、遠位端上に配置された環状リングを含み、該環状リングは、括約筋部および/または体外部に配置される1つまたは複数のルーメンに連結することのできる収集部材の壁を貫通して各ルーメンに連結される複数の開口部を周囲に含む。たとえば、収集部材の壁を貫通する各ルーメンは、括約筋部を通って延びることができ、すべてのルーメンをサンプリングルーメン38に連結することができる。
【0019】
[0064]一実施形態では、直腸部18は、通過させる流体の種類を調節するように構成された分割弁/バッフル体を含む。たとえば、一実施形態のバッフル体は、薬剤を直腸に注入する場合にはバッフル体が開かず(たとえば、薬剤がバッフル体を通って流れることはなく)、それよりも大きな体積の糞便物質によってバッフル体が開く(たとえば、糞便物質がバッフル体を通って流れる)。一実施形態では、バッフル体は、直腸部18の通路(たとえば収集部材32)のそれぞれの異なる側から交互に延びる複数の円板を含み、それによって、流体が流れるように開放された領域が通路に沿って間隔を置いて配置される。したがって、患者を対象とする薬剤は、より長い期間にわたって直腸内に残る。他の実施形態では、流体流を制御するダックビルバルブが直腸部18に含まれる。
【0020】
[0065]図2A〜2Bに示されている実施形態では、保持カフ24は、収集部材32の外面の周りに配置されかつ外面に取り付けられており、膨張可能なバルーン(たとえば、従来のバルーンであってもそうでなくてもよい)を含む。いくつかの実施形態では、バルーン24は鎮痛剤(たとえばリドカイン)などの薬剤を含む。この薬剤は、バルーン24の表面上に被覆することができ、かつ/あるいは膨張液体(たとえばリドカイン混合物)に取り込むことができ、それによって薬剤はバルーン24の壁を通して徐々に拡散する。一実施形態では、保持カフ24は、外面がリドカインで被覆され、リドカインまたはリドカインを含む混合物と一緒に患者に挿入された後に膨張するバルーンを含む。界面活性剤および抗菌性潤滑剤コーティングを保持カフ上に配置することもできる。また、保持カフバルーンをフォームに密閉するかあるいは他の方法でフォームに結合して直腸部を患者の直腸内の、保持カフバルーンの展開位置に維持するとともに漏れを防止することができる。フォームは、吸収材料および/または悪臭を弱めるコーティングを含んでよい。一実施形態では、比較的粘度が高いフォームを使用して、保持カフを、直腸に導入された後に膨張させる。
【0021】
[0066]図2C〜2Eは、保持カフ24および収集部材32を有する直腸部18の実施形態を示している。図2Cは図2Aに類似しており、滑らかで連続的な壁(たとえば近位開口部と遠位開口部の間にひだや境界部を有さない)を有する円錐台状の収集部材32と、膨張したときにカフ24と本体(たとえば括約筋部20)との間の接合部の所にショルダ11を形成する保持カフ24とを含む。図2Dは、本体までより緩やかに遷移する形状を有し、収集部材32が、滑らかで連続的な壁を含むベル形構成(すなわち張り出し遠位開口部を含む円錐台状)を有するカフ24dを示している。図2Eは、滑らかで連続的な壁を含むラッパ形構成(すなわち湾曲側面および張り出し遠位開口部を含む円錐台状)を有する収集部材32eを囲むカフ24dを示している。いくつかの実施形態の保持カフは、以下に図5A〜5Dに関連してより完全に説明するような1つまたは複数の構造的な特徴を含んでもよい。また、保持カフは、膨張時に、直径または周囲が近位端から遠位端へ大きくなるような先細り形状を有してよい。
【0022】
[0067]図3A〜3Dは、挿入に有利な小さな外形を形成するように構成された保持カフバルーン24を有する直腸部18の一実施形態を示している。図3Aは、膨張した状態のカフ24を示している。図3Bは、収縮し始めている状態を示し、カフ24の周囲に間隔を置いて配置された複数の隆起部24”間に配置されたポケット24’を含むカフ24の構成を示している。図3Cは、隆起領域24”が直腸部18のルーメン内に折り畳まれていくにつれてカフ24がさらに収縮していく状態を示し、この場合、図3Dに示されているように、隆起部24”がまとまることによってカフが容易に折り畳まれる。本明細書で説明する各保持カフ24が、挿入のための小さな外形を形成する同様の構成を有してよいことに留意されたい。
【0023】
[0068]図4A〜4Bは、図4Aに全体的に示されている近位カフ25を含む各実施形態を示している。近位カフ25は、膨張可能なバルーンを含んでよく、保持カフ24から近位方向に、たとえば体外部22に沿って本体12に取り付けられる。したがって、本体12を適切に挿入すると、近位カフ25を患者の臀部間に配置することができる。近位カフ25は、保持カフ24が患者の直腸に挿入され展開されたときに保持カフ24の上方への移動を妨げるように構成され、任意に消臭、保湿剤、および/または潤滑剤コーティングを含んでよい。一実施形態では、近位カフは、幅の広い部分が、本体の周囲から漏れる可能性のある物質を捕捉するために保持カフに面する、傘、円錐、鉢などの形を有する。このような実施形態のカフは、柔らかい吸収材料で作ることができ、必要に応じて交換のために本体から取り外すことができるように構成され、あるいは、たとえば柔らかいプラスチック材料のような洗浄が容易な材料で作ることができる。
【0024】
[0069]図4Bは、保持カフ24と、近位カフ25と、カフ24、25間の本体の壁に(たとえば括約筋部20の一部に沿って)配置された引張部材27とを含む、本体12の遠位部の変形実施形態を示している。引張力部材27は、括約筋部の壁に埋め込まれかつ/あるいは括約筋部の内壁または外壁に結合された1つまたは複数の細長い部材を含んでよい。引張部材は、間隔を置いて長手方向に配置された部材、周方向に配置された部材、らせん状に配置された部材、それらの組み合わせなどを含んでよい。しかし、一実施形態によれば、引張部材27は、形状記憶材料(たとえばニチノル)で作られたらせん状コイルである。引張部材を有さない括約筋部29が、近位カフ25に隣接して設けられており、上述のように括約筋が失われるのを防止する。
【0025】
[0070]引張部材27は、周囲が折り畳まれた折り畳み時構成と、折り畳み時周囲よりも大きな拡張時周囲を有する拡張時構成とを有する。一実施形態では、引張部材27の少なくとも一部が保持カフ24に隣接して配置され、したがって、保持カフ24が膨張したときに、引張部材が折り畳み時周囲から拡張時周囲に拡張する。保持カフ24が膨張し引張部材27が拡張した後、近位カフ25が膨張する。形状記憶材料のために、引張部材27はその折り畳み時構成に戻ろうとするが、保持カフ24と連結しているため抵抗を受ける。この抵抗がカフ24、25間に張力を生じさせ、それによって、漏れおよび本体12の遠位端の移動を防止するのを助けると考えられる。
【0026】
[0071]図4Cは、作動時に遠位開口部31を閉塞するように構成された膨張可能な保持カフの一実施形態を示している。たとえば、一時的に逆流を遮断し、薬剤を直腸穹窿部内に保持するために、本体12のルーメン34を閉塞することが望ましいと考えられる。公知のシステムは、カテーテルの遠位端に内部バルーンを含めることによって閉塞機能を実現する。内部バルーンが存在すると、膨張時でなくてもカテーテルのルーメンを部分的に閉鎖することができ、かつ/あるいは糞便物質が付着して堆積し、最終的にルーメンを閉鎖する表面を形成することができる。図4Cの実施形態では、保持カフ80が、内部バルーンではなく、上述の保持カフ24と同様な第1の膨張時構成から(図示のような)第2の膨張時構成に拡張し、集合して遠位開口部31を覆うかあるいはその他の方法で流体が遠位開口部開口部31に達するのを妨げることのできる複数のローブ82を含む。第1の膨張時構成から第2の膨張時構成への拡張は、保持カフ80の圧力読み取り値に基づいて保持カフ80の状態(すなわち、収縮、第1の膨張時構成、第2の膨張時構成)をユーザに示す注入システム84によって実現することができる。たとえば、注入システム84は、ローブ82が第1の膨張時構成であるときに第1の体積(たとえば50mL)の読み取り値を示し、ローブ82が第2の膨張時構成であるときに第2の体積(たとえば150mL)の読み取り値を示す。他の実施形態では、スライディングカフまたはスリーブを保持カフ80の近位に位置させることができ、このスライディングカフが、スライディングカフが保持カフに当たったときに遠位開口部31が閉塞するように保持カフ80との接触時に保持カフ80を内側に押すように構成されたアームまたは表面を含む。したがって、たとえば、保持カフ80が第1の膨張時構成に膨張した後、スライディングカフが遠位方向に、保持カフ80の少なくとも一部の上方を移動して開口部31を閉塞する。その後、直腸から糞便物質を除去するのが望ましいときは、それによって、遠位開口部31がもはや閉塞されないように、スライディングカフを近位方向に移動させて保持カフ80から分離する。
【0027】
[0072]図5A〜5Dは収集部材の様々な実施形態を示している。図5Aは、遠位開口部31を形成するリング64に遠位端の所で取り付けられた複数の間隔が置かれた支柱62を有する収集部材60を示している。図示の実施形態における3本の支柱62は、保持カフ24を折り畳んで患者の体に挿入しかつ患者の体から取り外すのを容易にするように捩じられている。支柱62の近位端は、本体の、直腸部18のすぐ近く(たとえば括約筋部20)に結合することができ、あるいは本体のある長さに沿って(たとえば体外部22の少なくとも一部を通って)さらに延びて直腸部18の構造的支持体を形成することができる。支柱62は、本体部(複数可)の壁に埋め込むか、あるいは該壁の表面に結合することができる。直腸部18では、該捩じられた支柱62は、保持カフ24と一緒に、収集部材ルーメンを形成することができる。あるいは、支柱62が取り付けられる他の部材(たとえば先細り突出部)によって収集部材ルーメンを形成することができる。支柱62およびリング64は、金属、ポリマー、または直腸部18の構造的支持体を形成する他の適切な材料で形成することができ、かつ円形断面形状、矩形断面形状、または任意の他の幾何学的断面形状を有してよい。
【0028】
[0073]図5Bは、間隔を置いて配置された複数(たとえば4つ)の支柱を有し、該支柱66が捩じられておらず(たとえば、実質的に長手方向に並べられ)、遠位方向にリングではなくカフ24に取り付けられている収集部材の他の実施形態を示している。もちろん、リングおよび/または図5Aに関連して説明したような他の部材を含めてもよい。支柱66は、近位端から遠位端に大きくなる断面積を有し、図示の実施形態では、近位端の所の円形断面形状から遠位端の所の楕円断面形状に遷移している。上記に図5Aに関連して説明したような他の断面形状も可能であり、本発明の範囲内である。図5Cは、らせん状に配置されコイル68の形をした細長い部材を含む収集部材の実施形態である。コイル68は、その長手方向軸に沿ってルーメンを形成し、カフ64または追加的な先細り部材に直接取り付けることができる。一実施形態では、コイル68を形成する細長い部材は、中空であり、サンプリングルーメン38に直接取り付けられ、患者の直腸に到達して薬剤/流体の注入および/または試験のためのサンプルの抽出を行うのを可能にする。図5Dは、収集部材の他の実施形態である。収集部材70は、直腸部を折り畳んで挿入しかつ取り外すのを容易にするために取り外される遠位部を有する。図示の実施形態では、遠位部を取り外すと、収集部材70の周囲に均等な間隔を置いて配置された複数のペタル72が形成される。しかし、本発明の範囲内で、非一様パターンを含む他の多くの種類のパターンも考えられることに留意されたい。
【0029】
[0074]さらに、図2A〜2Bに示されている実施形態を参照すると、収集部材32と体外部22との間に括約筋部20が配置されている。一実施形態の括約筋部20は、低圧力下で折り畳まれ、長期にわたって患者内に位置するときに括約筋の状態/強度を維持するように構成されるという点で、体外部22および/または収集部材32と異なっている。たとえば、一実施形態では、収集部材32と括約筋部20の材料が同じであるが、括約筋部20の壁の厚さは収集部材32の壁よりも薄い。他の実施形態では、括約筋部20の材料は収集部材32の材料とは異なる(たとえばより柔軟でより硬度が低いことなど)。一実施形態では、括約筋部20は、ポリウレタン、シリコーンゴム、天然ゴムラテックス、合成ゴム、80SHポリジメチルシロキサン、ヒュームドシリカ、塩化ポリビニル(PVC)、およびそれらの組み合わせから選択される材料で作られる。
【0030】
[0075]括約筋部20の形状は、図2A〜2Bおよび2F〜2Hに示されているように遠位端21から近位端23に遷移する断面形状を有してよい。たとえば、図示の実施形態の括約筋部20は、その遠位端21の所に実質的に円形の断面形状を有し、体外部22に取り付けられる近位端23の所に楕円断面形状を有する。言い換えれば、括約筋部20は、第1の軸(すなわち、図2Bに示されているz軸)に沿った直径の方が、第1の軸に直交する第2の軸(すなわち、図2Bに示されているy軸)に沿った直径よりも大きい。括約筋部の楕円形近位端23は体外部22の楕円形遠位端(図2I)と一致し、一実施形態では、体外部22は遠位端から近位端へのこの楕円断面形状を維持する。括約筋部20の遷移形状は有利なことに回転運動に抵抗する。すなわち、楕円形断面を有するシステムの部分(たとえば、括約筋部近位端23や体外部遠位端)は、円形断面を有する部分(たとえば、括約筋部遠位端21や収集部材近位端33)よりも回転に対する抵抗が強い。一実施形態では、括約筋部20は砂時計形状を有する。図2A〜2Bおよび2F〜2Hの実施形態と同様に、括約筋部20の近位端は楕円断面形状を有してよく、一方、遠位端は円形断面形状を有してよい。あるいは、括約筋部の近位端および遠位端はそれぞれ、体外部の遠位端および直腸部の近位端の円形断面形状に一致する円形断面形状を有してよい。
【0031】
[0076]一実施形態では、括約筋部20は、その周囲に配置された複数のリブなどの密封部材を含む。各リブは、間隔を置いて配置することができ、かつ挿入時に収縮させ展開時に膨張させるように膨張可能であってよい。膨張時には、リブはシールを形成し、かつ/あるいは括約筋部20の回転移動を防止することができる。リブは、括約筋部20の長手方向軸に実質的に平行に配置しても、括約筋部20の周囲に周方向に配置しても、対角方向に配置しても、らせん状に配置してもよく、それらの配置を組み合わせてもよい。一実施形態では、捩じれ防止リングが、括約筋部や体外部22の遠位端のような、システムの遠位端の各部分の周りに配置される。各リングは、長手方向に互いに間隔を置いて配置することができ、リブと同様に膨張可能であってよい。リングおよび/またはリブをシステムの遠位端に沿って組み込み、回転防止機能を実現することができる。さらに、リングおよび/またはリブは、糞便物質を患者から移送するシステムルーメンが潰れるのを防止する硬い材料(たとえばワイヤ)などの補強部材を含んでよい。一実施形態では、剛性のチューブまたはコイル状の可撓性ばねが、排泄物搬送装置の一部の壁に配置されるかあるいは壁の内面に沿って配置される。
【0032】
[0077]図2Bおよび2Iを参照すると分かるように、膨張ルーメン36と洗浄/サンプリングルーメン38は、ルーメン34に隣接しかつルーメン34に平行に配置するとともにルーメン34の両側に配置することができる。膨張ルーメン36および洗浄/サンプリングルーメン38はそれぞれ、直腸部18、括約筋部20、および体外部22の少なくとも一部の内面に沿って延び、かつ該内面と一体的に成形されるか、該内面に埋め込まれるか、あるいは他の方法で該内面に取り付けられた可撓性の円筒形チューブであってよい。膨張ルーメン36の遠位端は保持カフバルーン24の内部と流体連通し、一方、膨張ルーメン36の近位端は、システムが適切に挿入されたときに本体の外側の体外部22から分岐する。膨張ルーメンの近位端に膨張ポート40が取り付けられており、膨張ポート40は、注射器または保持カフバルーン24を選択的に膨張させ収縮させる他の装置に連結することのできるルアー型コネクタを含んでよい。洗浄/サンプリングルーメン38の遠位端は、直腸部18を通って延びており、収集部材32の遠位開口部31に隣接して位置する遠位開口部を有し、それによって流体を患者から該遠位開口部を通して送ることができる。洗浄/サンプリングルーメン38の近位端は、膨張ルーメンの近位端と同様に、体外部22から分岐し、洗浄/サンプリングポート42で終わる。ポート42は同様に、注射器または他の装置に連結することのできるルアー型コネクタを含んでよく、それによって、たとえば、薬剤または洗浄剤を患者の直腸に注入するか、あるいは患者の直腸から糞便物質を取り出すことができる。一実施形態では、膨張ルーメン36とサンプリングルーメン38はどちらもポリウレタンまたはシリコーンチューブであり、サイズが約5Frから約10Frの範囲であり、たとえば6Fr膨張ルーメンと8Frサンプリングルーメンである。
【0033】
[0078]ある実施形態によれば、本明細書で開示する排泄物管理システムと一緒に圧力または体積インジケータを使用することができる。保持カフを最適な保持を実現するのに適切な体積の液体で膨張させるのが重要であると考えられる。カフ内の体積が過剰であると、カフの外面から直腸粘膜に対して過剰な圧力がかかる可能性がある。この過剰な圧力は粘膜を損傷する恐れがあり、回避すべきである。図26Aは、膨張ポート40と流体連通する圧力計1810を示している。カフにたとえば40mlの液体を注入し、ルアー型コネクタから注射器を取り外すと、コネクタ上に圧力計1810がロックされる。図26Bに示されているように、圧力計1810は印1812、密封部材1814、および較正済みばね1816を含んでよい。本開示に従って、体積および圧力の少なくとも一方を測定することのできる任意の計器を使用することができる。図27は、圧力または体積作動針1856と可視範囲マーク1852および1854とを有する計器1850を示している。範囲マーク1852は、許容される圧力または体積範囲を指定することができ、範囲マーク1854は、許容されない圧力または体積範囲を指定することができる。
【0034】
[0079]図26A〜26Bを参照すると分かるように、パイロットバルーン132が保持カフ24と流体連通している。パイロットバルーン132は、保持カフ24の膨張状況を示すように構成され、該状況は一般に、パイロットバルーンのサイズを観測するかあるいはパイロットバルーンの表面上の2つの指の間に感知される圧力を検出することによって検出される。パイロットバルーンは、開示が引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第4016885号、第4134407号、および第6732734号で論じられている。一実施形態(不図示)によれば、パイロットバルーンは、そのチャンバ内に少なくとも1つの弁、たとえばダックビルバルブを有する。ダックビルバルブは、保持カフから直腸粘膜に対してかかる圧力が事前に定められた圧力を超えたときに保持カフから流体を放出するように較正することができる。ある実施形態によれば、好ましい圧力は15〜40mlHgである。したがって、圧力が50mlHg、60mlHg、70mlHg、または80mlHg、あるいは臨床的に有意な他の任意の圧力を超えたときに流体を放出するように少なくとも1つの弁を構成することができる。他の実施形態によれば、排泄物管理システムは、保持カフ24と流体連通し、各弁が、指定された圧力に達したときに指定された体積の流体を放出するように構成された複数の弁を備えてよい。このようなシステムは、たとえば保持カフ24が過剰に膨張することによって組織が損傷する可能性を最小限に抑える助けになる補償システムを実現する。
【0035】
[0080]また、図2Aおよび2Fを見ると最もよく分かるように、体外部22は、体外部22のある長さに沿って中央ルーメン34に平行に配置された洗浄ルーメン44を含んでよい。洗浄ルーメン44は、必要に応じて中央ルーメン34を洗浄し浄化するように構成される。たとえば、本体12のルーメン34を定期的に洗浄して細菌による汚染を防止するとともに、糞便が堆積することによる悪臭を弱めるのを助けることが望ましいと考えられる。一実施形態では、洗浄ルーメン44が、遠位端(たとえば、体外部22の遠位端)の所で閉鎖しており、注射器または所望の洗浄流体を洗浄ルーメン44に流入させる他の装置が接触する体外部22の壁(図1)に結合されかつ該壁を貫通して延びる洗浄ポート46に近位端の所で連結されている。洗浄ポート46を密封可能に閉鎖しかつ開放するように構成された任意の適切な種類のポートカバー48(図1)を使用することができる。図2Aを参照すると分かるように、中央ルーメン34の洗浄を容易にするために、洗浄ルーメン44の長さに沿って位置する複数の孔50を洗浄ルーメン44に設けることができる。一実施形態では、孔50は、洗浄ルーメンの長さに沿って互いに間隔を置いて配置された4つの孔からなる群のような孔群52にグループ分けされる。各孔は、図示のように実質的に直線状に配置することも、あるいは、たとえば別々の曲線や連続的な曲線などに沿って円形パターンに配置することもできる。
【0036】
[0081]収集部材32と括約筋部20は、図6に示されている部材120のような単一の部材に形成することができる。部材120は、その近位端の所では括約筋部20に取り付けられず、部材120が転動部122を形成する遠位端の所でのみ括約筋部20に取り付けられる収集部材32を有する。したがって、部材120を貫通するルーメンを形成する壁121は、収集部材32の近位端118から遠位端まで延び、転動部122の所で括約筋部20に向かって折り返し、遠位端119の所で終わり、保持カフ24の近位端(保持カフ24は、転動部122に隣接するように取り付けられた遠位端を有する)に取り付けられている。この構成は、括約筋部20が保持カフ24に対して自由に運動し移動するのを可能にし、したがって、括約筋部20が(矢印8および点線で表されるように)捩じられるかあるいは軸方向に引かれたときにカフは(変位するにしても)それほど変位せず、それによって潜在的な荷重を保持カフ24に送るのではなく保持カフ24から分離する。本出願人は、排泄物搬送部材の近位部から保持カフに荷重が移るのを概ね防止することによって、たとえば、保持カフの周りの漏れが最低限に抑えられることや、直腸穹窿にかかる圧力が最低限に抑えられる(それによって圧迫壊死の発生率が低下する)ことのようないくつかの利点を実現することができると考える。
【0037】
[0082]また、遠位専用取り付け構成は、器具112が部材120の長さに沿って移動するのを可能にして、排泄物搬送装置の挿入および取り外し、ならびに収集部材32の「圧搾」を容易にする。特に、器具112は、細長い部材114に結合され、部材120の断面と同様の断面、拡張構成において収集部材32のサイズよりも小さいサイズ、収集部材32の剛性よりも高い剛性を有する先端部材116を含んでよい。たとえば、部材120が図7に示されているようにほぼ砂時計形状を有する場合、器具112の先端部材116は円形であり、収集部材32の所望の挿入直径にほぼ等しい直径を有してよい。したがって、先端部材116によって転動部122にその内面から力がかかるように細長い部材114の近位端を押し、一方、収集部材32の遠位端をその拡張時構成よりも低い外形を有する折り畳み時構成に維持するだけで挿入が容易になる。部材120を挿入した後、患者内の所定の位置に維持しつつ、器具112を近位方向に滑らせて、収集部材32をその拡張時構成に拡張させることができる。使用時には、器具112を部材120の上方を滑らせ、軸方向に遠位から近位へ連続的に移動させることによって部材120を「圧搾し」、排泄物を部材120のルーメンを通して移動させることができる。排泄物搬送装置を取り外すときは、器具112を、部材120上を遠位端転動部122まで滑らせ、収集部材32を折り畳んで適切な挿入/取り外し直径を有する折り畳み時構成にする。
【0038】
[0083]他の実施形態では、収集部材32と括約筋部20は図7A〜7Bに示されている連続的な部材90に形成される。図示の実施形態では、部材90は、収集部材32の周囲に位置する補強リング92と、膨張ルーメン36とサンプリングルーメン38との間に概ね等距離に配置され、収集部材32を折り畳んで患者の直腸に送り出しかつ患者の直腸から引き出すのを容易にする隆起部93とを含む。隆起部93は、たとえば、その長さに沿って半円形断面を有する収集部材内面の隆起部であってよい。収集部材の遠位端は、遠位開口部31の周囲にリップ96を含む。収集部材の壁の開口部94は、空気または流体を膨張ルーメン36から周囲の保持カフに通過させるように構成される(これらの図では開放されているように示されている膨張ルーメンの遠位端が最終的な組立体では閉鎖され、それによって、空気または流体が開口部94から押し出されることに留意されたい)。収集部材32はほぼ円錐台状を有し、一方、括約筋部20はほぼ円筒形を有する。図7Cは、本体124および先細り遠位端125に沿って球根形状を有する保持カフ123の一実施形態である。保持カフ123は、収集部材32に嵌るように構成され、遠位端125の所で収集部材32の遠位端に取り付けられ、近位端129の所で収集部材32の近位端に取り付けられる。
【0039】
[0084]図7Dは、排泄物搬送装置101および排泄物収集装置102を含む排泄物管理システム100の一実施形態を示している。排泄物搬送装置101は、図7A〜7Cの部材90および保持カフ25と、体外部22と、コネクタハウジング126、コネクタカラー127、およびコネクタ玉弁160(以下に詳しく説明する)と、アーム洗浄ルーメン131、アームパイロットバルーン132、およびアーム洗浄スリーブ133を含む、流体を移動させる装置とを含む。排泄物収集装置102は、収集容器30と、コネクタハウジング126を受け入れるように構成されたハブソケット35と、ハブソケット35に繋ぎ止められ、ハブソケット35の雌ねじ面と嵌め合って収集容器30の開口部を密封するねじ山を含むハブプラグ6とを含む。図7Eは、収集容器インタフェースの断面図であり、コネクタハウジング126およびハブソケット35をより詳しく示している。図7Fは、アーム洗浄ルーメン131と、アーム洗浄ルーメン131と体外部22の洗浄ルーメン44との連結部の切り欠き図である。図7Gは、膨張ルーメン36に連結されたアームパイロットルーメン132と、サンプリングルーメン38に連結されたアーム洗浄スリーブ133の両方の断面図である。アームパイロットバルーンの六角形断面が、ライン圧力があるときに外側に膨らみそのことをユーザに示すように構成されることに留意されたい。
【0040】
[0085]排泄物管理システムの他の実施形態が図8A〜8Dに示されている。排泄物管理システム110は、排泄物搬送装置101よりもかなり短い長さを有する排泄物搬送装置111と、排泄物収集装置102とは異なる構成を有する排泄物収集装置109とを含む。特に、排泄物収集装置109は、密封された隔膜105によって覆われた近位開口部を含む管状を有する。炭素などの材料で作られた悪臭防止フィルタを排泄物収集装置109の壁に埋め込むことができ、あるいは該悪臭防止フィルタは排泄物収集装置109の壁に配置された通気口であってよい。排泄物収集装置109は、排泄物を受け取ったときに拡張する折り畳み時構成を有するか、あるいは壁の通気口が排水効率を高めることができるように(図示のように)剛性のより高い構成を有してよい。
【0041】
[0086]排泄物搬送装置111は、排水チューブ洗浄ポート95、膨張ポート107、およびサンプリングポート108を有する体外部22を含む。膨張ポート107は、膨張ポート107から保持カフ24まで延びる膨張ルーメン36に連結され、一方、サンプルリングポート108は、サンプリングポート108から排泄物搬送装置111の遠位端まで延びるサンプリングルーメン38に連結されている。洗浄ポート95は、図8Dに示されているように、体外部22のルーメンを洗浄するために、パターン化された穴を全長に沿って有する洗浄ルーメンに連結されている。ポート95を通して流体を導入すると、流体は、洗浄ルーメンの長さに沿って広がり、パターン化された穴を通して体外部22のルーメンに流入する。一実施形態の洗浄ポート95はEZ−LOK(登録商標)サンプリングポートである。他の実施形態では、EZ−LOK(登録商標)サンプリングポートは体外部22上にも位置しており、それによって、体外部22のルーメンに到達して該ルーメンから定期的に糞便物質をサンプリングすることができる。
【0042】
[0087]図8Bを見ると最もよく分かるように、連続的な部材91は括約筋部20と収集部材32の両方を含む。収集部材32は、山と谷を含む起伏を有する波形の周囲を有する。谷97は、収集部材32を折り畳んで折り畳み時構成にするのを容易にする折り目を形成する。保持カフ24は収集部材32を囲んでいる。折り畳み可能な支柱98が周囲の山の所に位置し、使用時に収集部材が潰れるのに抵抗する補強領域を形成している。支柱98は、図示のように、山部の外面に沿って周方向に周囲から離れる方向に延び、収集部材の山部の内面に沿ってくぼみ領域を形成している。このような形状は、収集部材を折り畳むのが容易になるように挿入器具に嵌るように構成される。他の実施形態では、支柱98は、挿入器具の形状/サイズおよび/または収集部材の所望の剛性レベルに応じて、異なる幾何学的形状または形態をとることができる。排泄物搬送装置111は、排泄物収集装置109の連結部材104に結合されるように構成された連結部材103をその近位端に含み、連結部材の実施形態については以下に詳しく説明する。
【0043】
[0088]本明細書で説明する実施形態では、体外部22は、その長さに沿って一様な断面(たとえば円形、楕円形など)を有するか、あるいは図2A〜2Bに示されている括約筋部20と同様の遷移断面を有してよい。体外部22は、使用時に形状を維持する(たとえば、捩じれを最低限に抑えたり、排水を容易にしたりする)のに十分な剛性を有するが、健康管理の専門家が必要に応じて糞便物質を送り出すように「圧搾」できるほど柔らかい材料で構成された折り畳み不能なチューブで形成することができる。たとえば、一実施形態では、体外部22は、自重で潰れることのないゴムまたはプラスチック材料で作られる。一実施形態では、体外部22は、ルーメン34が潰れるのを防止するのを助ける膨張可能なリブ、金属ワイヤまたはリボン、軸方向に位置するリングのような1つまたは複数の補強構造を含む。上述のリブと同様に、補強構造は長手方向、周方向、らせん状などに配置することができる。
【0044】
[0089]一実施形態における「圧搾」は、ハンドルに取り付けられ、間に隙間が形成されるようにハンドルにほぼ垂直に配置された、互いに向かい合う第1および第2のアームを含むクランプによって行われる。括約筋部20または体外部22の一部がこれらのアーム間に配置され、ハンドルが近位方向に引かれ、圧搾された部分を通して糞便物質が移動する。この器具は、ロック部材を含み、それによって、第1のアームが第2のアームをロックするかあるいは第2のアームに結合され、排泄物搬送装置の一部を固定する。
【0045】
[0090]本体12は、それぞれのコネクタ26および28を介して収集容器30に固定することができる。図1Bを参照すると、収集容器30は、内部に手を届かせることのできる開口部54が正面に配置されたバッグの形をしている。他の実施形態では、収集容器30は、1つまたは複数の開口部を有する他の適切な形態であってよい。本体12を収集容器30に固定し、それによって中央ルーメン34が収集容器30の内部と流体連通することが望ましいため、連結システムは、本体12が収集容器30に結合されたときにルーメン34を軸方向において実質的に開口部54に揃うように位置させる。一実施形態では、収集容器30は、たとえば活性炭を含む通気可能部を設けることによって悪臭を吸収し弱めるように構成される。活性炭は、収集容器30に挿入される交換可能な活性炭カートリッジを介して、必要に応じて交換することができる。収集容器30は、パリレンコーティング、悪臭防止コーティング、および/または抗菌剤コーティングを有してもよい。また、収集容器30は、悪臭を吸収/結合する材料を壁に含んでよい。コーティング/材料の適切な例は、米国特許第6579539号、米国特許第6596401号、米国特許第6716895号、米国特許第6949598号、および米国特許第7179849号に開示されており、これらの特許はそれぞれ、引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0046】
[0091]図1Bの実施形態では、収集容器コネクタ28は、本体コネクタ26から延びる環状フランジを受け入れ保持するように構成されたスライド機構を含む。したがって、カテーテルコネクタ26の環状フランジ部を容器コネクタ28の長穴または溝部に滑り込ませることによって、本体12を収集容器30に固定することができる。収集容器30から本体12を分離するのが望ましいときは、本体コネクタ26を引き上げて容器コネクタ28から出し、それによって収集容器30から本体12を取り外すことができる。収集容器30から本体12を分離する際に本体12および収集容器30からの漏れを防止することが望ましいことが多いため、本体12および収集容器30のそれぞれの近位開口部に閉鎖弁56および58を設けることができる。一実施形態では、閉鎖弁56および58は、中央ルーメン34内の糞便物質および/または洗浄ルーメン流体からの流体圧力が作用したときに開く隔膜のような分割されたポリマーカバーである。他の実施形態では、該弁は、本体12と収集容器30が連結するときに開く。たとえば、コネクタ26の環状フランジがコネクタ28の長穴に滑り込んだときに、コネクタ26および/または28上の機構が、弁56、58の一方または両方を開く。
【0047】
[0092]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態が図9A〜9Dに示されている。カテーテルコネクタ126は、カテーテルコネクタ126内に回転可能に保持された玉弁160を含み、玉弁160の両端上に配置された開口部164および166間を延びる内部流路162を有する。ナブ168が玉弁160の一部から延びている。図9Bは、コネクタ126が密封位置にあり、収集容器から分離されているときの玉弁160の構成を示している。ここで、開口部164および166ならびに内部流路162はカテーテルの中央ルーメン34に揃わず、それによって本体12の近位開口部を密封する。しかし、開位置では、図9Cおよび9Dに示されているように、玉弁160が回転し、それによって、コネクタ126が収集容器コネクタ128に連結されたときに流路162ならびに開口部164および166が中央ルーメン34に揃う。容器コネクタ128に配置されたディボット170は、カテーテル容器126が容器コネクタ128に固定されたときにナブ168を捕捉して移動させるように構成される。図9Cおよび9Dに示されているように、容器コネクタ128とカテーテルコネクタ126を連結すると、ナブ168が後方に移動し、玉弁160がその開位置まで回転する。一実施形態では、本体12と収集容器130との連結は、差し込み式機構または他の種類の公知の固定機構によって固定的に保持される。
【0048】
[0093]図9Aに示されているように、収集容器130は、有効なハンドルとして構成されかつ患者のベッドから収集容器130を固定的にぶら下げるように構成されたベルクロストラップを含んでよい。ベルクロストラップ172は、ストラップの、容器コネクタ128に固着された端部に隣接する部分に固定された対応する受容ストリップに係合するように一方の側に固定されたベルクロストリップを含む自由端を有する容器コネクタ128に一方の端部の所で固定することができる。したがって、患者のベッドまたは他の構造への取り付けは、受容ストリップからストラップ170の自由端を分離して該構造の開口部に通し、受容ストリップの自由端に取り付け直すことによって、容易に実施される。あるいは、収集容器130は、収集容器130を患者のベッドからぶら下げるためのフックまたは他の同様の部材を含んでよい。収集容器130は、実質的に不透明であり、容器の下部から上部に延びる透明ストリップ174を有してよい。透明ストリップ174は、容器の複数の側(たとえば、正面、第1の側面、第2の側面、および脊面)に配置することも、あるいは図示のように単一の側にのみ配置することもできる。容器130の不透明部分は、容器の内容物を実質的に隠し、一方、透明ストリップ174は、容器が最大レベルに達する前に空にすることができるように容器内の排泄物の体積を視覚的に監視する手段を提供する。
【0049】
[0094]排泄物管理システムの連結システムの他の実施形態では、図10A〜10Eに示されているギロチン連結組立体が本体コネクタ226および容器コネクタ228を含む。容器コネクタ228は、2枚の側壁278aおよび278b間に保持され、該側壁278aおよび278bに沿って移動可能である第1のスライド276を含む。第1のスライド276の上端は、ユーザが掴むことのできるタブ280を有し、スライド276の下部は孔282を含む。図10Aに示されているように、第1のスライド276が閉鎖位置にあるときは、収集容器開口部がスライド276で覆われる。第1のスライド276は上方に移動して、スライド孔282が収集容器開口部と揃う開放位置に配置される。本体コネクタ226は、コネクタ226の側面から延びる一対のロックアーム284aおよび284bを含む。ロックアーム284aおよび284b間に第2のスライド286が保持され、第2のスライド286は、下部に配置され、第1のスライド276上の孔282とほぼ同じサイズおよび形状を有する孔288を含む。
【0050】
[0095]本体12と収集容器230との間に連結部を形成するときは、ロックアーム284aおよび284bの端部が容器コネクタ228の対応する長穴290aおよび290bに隣接して位置し、かつ孔282および288が揃うように第2のスライド286を位置させる。ロックアームは、確実に連結されたことを示す部材(たとえば、触覚、聴覚などによる部材)を含んでよく、本体12が収集容器230に結合されるように長穴290aおよび290bに押し込まれる。次に、タブ280を上方に引いて、第1のスライド276と第2のスライド286の両方を開放位置に移動させ、本体12のルーメン34を収集容器開口部に揃えて収集容器230を本体12と流体連通させる。一実施形態では、タブ280が上方に移動すると、コネクタ226、228が互いにロックされ、使用時に誤って分離するのが防止される。収集容器230を本体12から取り外すのが望ましいときは、タブ280を下向きに押して、収集容器230の開口部と本体12の開口部の両方を密封し、コネクタ226、228のロックを解除して分離する。一実施形態では、ロックアーム284aおよび284bは、近位端をコネクタ226の方へ押すことによって開放し、該近位端を解放することによって閉鎖することのできるクランプ機構を含む。したがって、コネクタ226をコネクタ228から取り外すときは、アーム284a、284b上のクランプ機構を開放する。
【0051】
[0096]ギロチン連結組立体の変形実施形態が図11A〜11Dに示されている。図11Aを見ると分かるように、造瘻バッグフラップシール310が収集容器330の開口部を密封する。本体12に結合された本体コネクタ326は、コネクタ326の、密封位置(図11Bに示されている)と非密封位置(図11Cに示されている)との間を移動することができる面の反対側に位置するディスク312を含む。ディスク312の両側から延びるナブ314aおよび314bは、カテーテルコネクタ326のそれぞれのトラック316aおよび316bに保持され、ディスク312が、図11Dに様々な段階で示されているように上下に滑るのを可能にする。カテーテルコネクタ326を容器コネクタ328から分離すると、ディスク312は密封位置に位置する。コネクタ326は、コネクタ326のトラックをコネクタ328のレールの上方を滑らせるか、コネクタ326をコネクタ328上に押し付けるか、あるいは当業者に公知の他の連結方法によって容器コネクタ328に取り付けられる。コネクタ326とコネクタ328を連結した後で、ディスクをトラック316aおよび316bに沿って押し上げ、本体近位開口部の密封を解除し、本体12を収集容器330と流体連通させる。図11Cは、収集容器330に取り付けられ、収集容器コネクタ328と一体であってよく、収集容器330を患者のベッド上に保持する働きをするとともに、収集容器330用のハンドルを形成することができるフック/ハンドル316の実施形態を示している。
【0052】
[0097]カテーテルを収集容器に連結する他の方法が図12に示されている。収集容器430に取り付けられた容器コネクタ428は、収集容器430の内部への開口部412とキャップ部材414とを有するハウジング410を含む。キャップ部材414を開口部412を覆うようにハウジング410に固定的にスナップ結合して開口部412を密封することができる。本体12に結合された本体容器426は、容器コネクタハウジング410の開口部412に挿入されるように構成された小直径部416をその近位端に含む。小直径部416の両側にロックタブ420aおよび420bが配置されており、ロックタブ420aおよび420bは、容器コネクタハウジング410の内部に沿って延びる対応する長穴422aおよび422bに滑り込むように構成される。ロックタブ420aおよび420bを完全に挿入すると、ロックタブ420aおよび420bは、長穴422aおよび422bの切り欠き(不図示)に係合してカテーテルを収集容器430に固定する。また、ロックタブ420aおよび420bは、タブが長穴422aおよび422bに完全に挿入され、かつ連結がしっかりしていることをユーザに対して聴覚的に示すことができる。一実施形態では、本体12が収集容器430から分離される密封位置と本体12が収集容器430に固定される非密封位置との間を回転する玉弁424が、コネクタハウジング416内に位置する。カテーテルコネクタ426および収集容器ハウジング410は、使用を容易にする1つまたは複数のグリップ440を含んでもよい。また、コネクタハウジング416は、図12に示されているように1つまたは複数の一体化されたポートを含んでよい。したがって、たとえば、第1のポート442は洗浄/サンプリングルーメン38と流体連通してよく、第2のポート444は膨張ルーメン36と流体連通してよく、第3のポート446は洗浄ルーメン44と流体連通してよい。収集容器430は、その頂部に固定され該頂部から延び、ユーザが収集容器430を処分するために運ぶ際に助けとなり、かつ/あるいは収集容器430を迅速にかつ容易に患者のベッドからぶら下げるためのフックとして働く、湾曲した剛性のハンドル450を含む。
【0053】
[0098]図13A〜13Cは、図12の連結システムと同様の連結システムの実施形態を示している。この実施形態では、本体12に結合された本体コネクタ526はダックビルバルブ510を含み、容器コネクタ528は、バルブ510に接触したときにバルブ510を強制的に開くように構成された傾斜面を有する同心チューブ512を含む。ダックビルバルブ510は、本体12が収集容器530から分離されるときに密封され、本体コネクタ526の端部が容器コネクタ528に挿入されるときに開く。一実施形態では、本体コネクタ526が適切にかつしっかりと容器コネクタ528に取り付けられたことを示す視覚的インジケータが連結システムに設けられる。図13の例では、図13Bを見ると最もよく分かるように、本体コネクタ526の小直径部510の表面上にインジケータ514(たとえば、隆起した表面、記号または幾何学的図形自体が配置される表面とは異なる色を有する記号または幾何学的図形など)が配置されている。インジケータ514と同じ形状を有する孔516のような、容器コネクタ528上の補部材によって、ユーザは、孔516を通してインジケータ514が完全に見えるようになったときにコネクタ同士がしっかりと連結されたことを確認することができる。
【0054】
[0099]連結システムの他の例が図14A〜14Dに示されている。円筒形の本体コネクタ626は、チャネル内に位置する可撓性チューブ610を含む。可撓性チューブ610の遠位端および本体コネクタ626の内壁に第1の環状リング612が固定されている。第2の環状リング614が可撓性チューブ610の近位端に固定され、本体コネクタ626に回転可能に保持されている。図14Aに示されているように、可撓性チューブ610は、捩じれ位置に偏っており、本体12の近位開口部を密封している。近位開口部を開放するときは、図14Cに示されているようにチューブ610の捩じれを直す。チューブ610の捩じれを直すには、まず容器コネクタ628のタブ616が第2の環状リング614上に配置された本体コネクタ626上の対応する長穴618内部に位置する(図14A)ように、本体コネクタ626の端部を収集容器の容器コネクタ628に挿入する(図14D)。次に、本体コネクタ626の端部を回転させることによって第2の環状リング614および可撓性チューブ610の近位端も回転させ、それによって本体12の開口部の密封を解除する。様々な適切な連結機構を使用してカテーテルコネクタ626を容器コネクタ628に固定することができる。たとえば、図14Dは、連結が完了したときにユーザに確実なフィードバックを与える差し込み式連結機構を示している。また、上述のような標準的な造瘻バッグフラップを含む様々な適切な機構によって収集容器2開口部を密封することができる。
【0055】
[00100]次に、図15A〜15Dを参照すると、排泄物管理システムの挿入装置の一実施形態が示されている。挿入装置700は、排泄物搬送装置の挿入を容易にするように構成される。挿入装置700は、それぞれ、ほぼ管状の構成と近位端の所のフランジとを有する内側スリーブ702および外側スリーブ704を含む。外側スリーブ704の外側に延びるフランジは、装置700が過剰に挿入されるのを防止し、各フランジが患者の臀部に隣接したときに最大限の挿入が安全に完了したことをユーザに示すように構成される。内側スリーブ702の外側に延びるフランジは、外側スリーブフランジが保持カフに隣接したときに保持カフが遠位方向に外側スリーブ704の遠位端を通って移動したことをユーザに示す。内側スリーブ702と外側スリーブ704の両方の近位端は、それぞれのフランジ上に位置するそれぞれのcリング対706a、706bおよび708a、708bを含む。各cリング対706a、706bおよび708a、708bは、一対のvカット710および712によって分離されている(図15Aにはvカットの一方の側しか示されていない)。vカット710および712は、スリーブを2つの部分に分離する分割部(たとえばvカットからスリーブの遠位端までの細長い切り込み)に入り込むため、挿入後にスリーブ702および704を本体12から分解するのを容易にする。挿入装置700は、図15Bの挿入構成では本体12上に示されており、この場合、外側スリーブ704の遠位端が直腸部18を覆い、保持カフ24が、外側スリーブ704によってその折り畳み時構成に保持されている。一実施形態では、外側スリーブ704は、保持カフ24を圧縮して装置700の下部外形を形成するように構成される。
【0056】
[0101]図15Cは、外側スリーブの端部が、直腸部18を通過させる穴あき部を有する、直腸部18から引き込まれたときの挿入装置700を示している。外側スリーブ704の引き込みは、挿入装置700に作用する力によって挿入時に行うことも、あるいは挿入の後でユーザが手作業で行うこともできる。図15Dは、外側スリーブ704が引き込まれ、最初に本体12から挿入装置700が取り外される様子を示している。外側スリーブ704を引き込んだ後で保持カフ24が自己拡張できる実施形態と、膨張が必要になる実施形態があることに留意されたい。本体12を患者内に適切に位置させた後、cリング対708aおよび708bを掴み、外側スリーブ704をそのvカット712に沿って引き剥がし、次に同様に内側スリーブ702を掴んで本体12から引き剥がすことによって、挿入装置700を分解することができる。装置700の取り外しは、挿入スリーブ704の一部のみが直腸部18から引き込まれるか、あるいは装置700が本体12に沿って近位方向にさらに滑った後で行うことができる。
【0057】
[0102]挿入装置の他の実施形態が図16A〜16Cに示されている。挿入装置800は、転動型ダイアフラム構成で外側部分804が内側部分802上に折り畳まれる使い捨てスリーブを含む。内側部分802は、挿入時に装置800が動くのを防止するために、内面上に適切な接着剤が配置されている。スリーブの第1の端部は、最初は内側部分802であり、一対の内側カフリング806aおよび806bを含み、一方、スリーブの第2の端部は、最初は外側部分804であり、一対の外側カフリング808aおよび808bを含む。図16Aは、保持カフ24が折り畳まれ、スリーブ外側部分804によって折り畳み状態に保持された挿入位置にある装置800を示している。排泄物搬送装置を患者内で展開するときは、外側部分804を、図16Cに示されているように内側部分802から完全に引き出されるまで、図16Bに示されているように近位方向に引く。この位置では、保持カフ24がその折り畳み時位置から解放され、拡張しかつ/あるいは膨張することができる。挿入装置800は、cリング808aおよび808bを引き離し、それによってvカット810を拡張させ、スリーブを2つの部分に分離して本体12から引き剥がすことによって取り外される。図17A〜17Dは、カフ806aおよび806bよりも長い内側カフ906aおよび906bを有する装置800の変形実施形態を示している。カフの長さ(たとえば、約2.54cm(1インチ)から約5.08cm(2インチ)の範囲)によって装置が固定されて動くのが防止され、それにより、場合によっては内側部分804の内面上の接着剤が不要になる。一実施形態では、挿入装置800は、ユーザがカテーテルを正しく装填するのを助けるくぼんだcリングを含む。他の実施形態では、挿入位置において内側部分802と外側部分804が当接する小直径部912が含められる。図17Dに示されているように、外側部分を近位方向に引いたときに、小直径部912は、挿入装置800が正しい挿入点まで完全に広げられているときにはそのことをユーザに示すことができる。小直径部912はまた、挿入点の所に装置800用のより狭い入口を形成する。
【0058】
[0103]挿入装置の他の実施形態が図18A〜18Cに示されている。挿入装置1000は、図15の実施形態と同様に別個の内側スリーブ1002と外側スリーブ1004とを含む。この実施形態では、外側スリーブ1004の遠位端は、外形を小さくすることによって挿入を容易にする先細りヘッド1010を含む。先細りヘッド1010は、カテーテルの括約筋部20からの滑らかな遷移部を形成することもでき、かつ不快感を最低限に抑えるように丸い縁部を有する可撓性材料で構成することができる。また、挿入装置1000は、外側スリーブ1004の近位端から延びる大直径リミッタフランジ1012を含んでよい。リミッタフランジ1012は、ユーザが適切な挿入深さを見つけるのを助けるように構成することができる。たとえば、リミッタフランジ1012は、本体12を管理する人が、本体12を患者にどの程度挿入するかに関する基準としてリミッタフランジ1012を使用できるように、挿入装置1000に沿った所定の距離に設置することができる。リミッタフランジ1012は、挿入装置1000を患者に挿入できる深さを制限することもできる。図18Bは、保持カフ24が取り出され拡張された直腸部18を有する引き込み時構成の挿入装置1000を示している。外側スリーブ1004を引き込むにつれて、挿入装置1000のヘッド1010が複数の引き剥がし継ぎ目1024の所で分割され、本体12が遠位方向に相対移動することが可能になる。
【0059】
[00104]挿入装置1000は、外側スリーブ1002および内側スリーブ1004をそれぞれ、対応するvカット1018および1020から始まる引き剥がしゾーン1014および1016の所で引くことによって本体12から取り外される。一実施形態では、挿入装置1000は、挿入装置1000の分解を容易にする1つまたは複数の「リップストリップ」を含む。外側スリーブ1004から引き出された状態で示されている例示的なリップストリップ1022が図18Cに示されている。内側スリーブ1002上に1つまたは複数のリップストリップを含めることもできる。
【0060】
[00105]挿入装置の他の実施形態が図19A〜19Cに示されている。この実施形態では、挿入装置は、使い捨て膣鏡と同様の挟み作用を利用する。本体12のようなカテーテルは、その遠位部の周りに配置されたプランジャ1102を有し、該プランジャ1102は、その近位端から延び、本体12が患者に挿入された後でプランジャ1102を取り外すように構成された一対のグリップ1104aおよび1104bを含む。挟み装置1106は、回動点1112の所に互いに回動可能に連結された剛性の上部アーム1108と剛性の下部アーム1110とを含む。挟み装置1106の上部の周りに柔らかい可撓性スリーブ1114が位置しており、スリーブ1114は、挟み装置1106のピンチポイントを覆い、かつ挿入時に本体12および/またはプランジャ1102の少なくとも一部の保護カバーを形成する。図19Bに示されているように、ハンドル1116および1118を握ると、上部アーム1108が、スリーブ1114によって制限することのできる下部アーム1110から離れる方向に回動する。挿入については、挟み装置1106を患者に挿入する前または後に、本体12およびプランジャ1102の遠位部を挟み装置1106の近位開口部に挿入する。次に、装置1106のハンドルを握って本体を患者に挿入するのを容易にする。プランジャグリップ1104a、1104bは、プランジャから外側に延びており、グリップ1104a、1104bが装置1106の近位端に接触したときにユーザに対して適切な挿入深さまたは最大安全挿入深さを示すように本体12の遠位端から間隔を置いて配置することができる。取り外しを容易にするために1つまたは複数の引き剥がしバンドをプランジャ1102上に含めることができる。
【0061】
[00106]挿入装置の他の実施形態が図20A〜20Cに示されている。挿入装置1200は、1つまたは複数の引き剥がし継ぎ目1210に沿って下部スリーブ1204に取り付けられた上部スリーブ1202を含む。装置の適切または安全な挿入深さを示すスペーサ1212が設けられている。取り扱いおよび挿入を容易にするハンドル1214が下部スリーブ1204の近位端に設けられている。一実施形態における上部スリーブ1202は、下部スリーブ1204より可撓性の高い材料で作られる。図20Aに示されている挿入構成では、挿入装置1200は、折り畳まれた保持カフ24を圧縮し、患者に容易に挿入できる下部外形を形成する。挿入後、装置1200は、まず、図20Bに示されているように上部スリーブ1202を引き剥がし、それによって、先端1206を分割し、保持カフ24を露出させ拡張させる(たとえば、展開させる)ことによって取り外される。次に、図20Cに示されているように上部スリーブ1202を患者から取り外し、その後下部スリーブ1204を取り外す。
【0062】
[00107]図21は、シース導入装置またはタンポンと同様に構成された挿入装置1300を示している。本体12の遠位端は、外面上に潤滑性コーティングを有してよい装置1300に挿入される。遠位端1302は、全体として保持カフ24の折り畳み時の外形を維持するが、本体12が遠位方向に押されたときに分割して本体を通過させる複数のペタルを有する。装置1300を取り外すときは、装置1300を本体に沿って近位方向に滑らせる。装置1300は、視覚的深さマーカおよび/または固着機構を含んでもよい。
【0063】
[00108]図28A〜28Bは、排泄物管理システムを直腸穹窿に挿入するのを容易にする装置1610を示している。病院環境では挿入、患者の快適さ、および臨床医時間のそれぞれが重要であると考えられる。患者の不快感を最低限に抑えつつ排泄物管理システムの挿入を簡略化する装置を提供すると有利であると考えられる。これを実現する1つの方法は、最少数のステップで迅速な展開および挿入を可能にする先端縁部を折り畳み式で薄型の保持カフ24に備えることである。一実施形態によれば、排泄物管理システムは、カフ12が事前にシース1612内に折り畳まれるように組み立てられる。潤滑ポート1614を介してシース1612の内部、したがってカフ24上に潤滑剤を注入することができる。すなわち、排泄物管理システムパッケージからシースを取り外すことができ、患者の挿入に対する準備が整ったときにポート1614を通して潤滑剤を注入することができる。これは、たとえば、シース1612上のポート1614のルアー形取り付け具と相補的なルアー形取り付け具を有する注射器で行うことができる。潤滑剤は、ポート1614から出てシース1612の内部に入り、折り畳まれたカフ24の外面の少なくとも一部を被覆する。次に、図28Bに示されているように経括約筋部20を掴み、図28Cに示されているようにシース1612から取り外す。経括約筋部20をシース1612から取り外した後、カフ24を事前に折り畳み、潤滑材を注入し、カフ24を患者の直腸に挿入する準備を整える。
【0064】
[00109]図22は、排泄物管理システムの固定装置の一実施形態を示している。固定装置は、排泄物搬送装置の望ましくない移動(上下両方向の移動)を防止し、かつ患者の肛門周囲領域を保護する。特に、括約筋の緊張が非常に弱いため、排泄物搬送装置が挿入後および使用中に患者から排出される傾向がある。したがって、本明細書で説明する固定装置は、排泄物搬送装置の軸方向への移動および回転移動を防止し、たとえば、留置時間が延びること、漏れが最低限に抑えられること、および排泄物搬送装置保持カフが適切に配置されることを含むいくつかの利点をもたらす。
【0065】
[00110]図22に示されている固定装置1400は、固定パッチ1402および固定タブ1410を含む。固定パッチ1402は、たとえば、親水コロイド剤、抗生剤、抗真菌剤、抗菌剤、悪臭防止剤、皮膚調整剤や、患者の皮膚に付着する基質のような1つまたは複数の活性薬剤を含む活性原料マトリクスが配置される遠位面1404を有する。接着パッチは、皮膚の損傷を修復する放出特性を有してよい。本明細書で説明するような排泄物管理システムを必要とする患者の肛門周囲および臀部領域にじょく瘡潰瘍または皮膚の損傷が発生することが多いが、活性薬剤を使用するとそれに対処することになると考えられる。このような状態に対処するのに現在使用されている装置の例には、3MTM社から市販されているTegadermTM DressingsやConvaTec社から市販されているDuoDERM(登録商標) Dressingsが含まれる。したがって、固定パッチ1402に活性原料マトリクスを使用すると、たとえば、患者の皮膚が保護されること、将来皮膚が損傷するのが防止されること、患者の皮膚が修復されること、感染症が防止されること、悪臭が防止されることを含む、固定装置1400の利点がもたらされる。固定パッチ1402はその遠位面上に活性原料マトリクスが配置されるように示されているが、この代わりに、接着マトリクスを固定パッチ1402から分離し、臨床医が直接患者の皮膚に塗布することができることを理解されたい。
【0066】
[00111]固定パッチ1402は、クローバー形状を有するように示されており、患者の臀部の形状に一致し、取り外さなくても患者が動けるように可撓性である。しかし、他の形状が考えられ、かつ本発明の範囲内である。また、固定パッチ1402は平坦な外形を有するように示されているが、湾曲形状も本発明の範囲内である。固定パッチ1402は、排泄物搬送装置の管状本体と同じであるかあるいは該管状本体よりもわずかに大きい直径を有する開口部1408に連結されるスリット部または不連続部1406を一方の側に含み、それによって、以下に詳しく説明するように、設置された排泄物搬送装置に固定装置1400を位置させ取り付けるのが可能になる。
【0067】
[00112]固定タブ1410は、スリット部1406の両側で固定パッチ1402に取り付けられた互いに向かい合うフラップを有する。図示の実施形態では、固定タブ1410は、固定装置1400を排泄物搬送装置に取り付けるための接着剤が配置される内面を有する。一実施形態では、固定タブ1410に使用される接着剤は、患者の治療過程にわたって複数の固定装置を利用できるように固定装置1400を管状本体12から容易に分離できるような接着剤である。他の実施形態では、接着手段の代わりにあるいは接着手段に加えて機械的取り付け手段を使用することができる。たとえば、固定装置1400は、排水チューブおよび/または固定パッチ1402に内蔵された部材と協働するフックやループ(たとえば、Velcro(登録商標)固定)やタイなどの機械的手段を含んでよい。この実施形態では、互いに向かい合うフラップが固定装置の長手方向から外側に傾斜しており、固定装置を排泄物搬送装置に沿って軸方向に滑らせて正確に位置させるのが容易である(すなわち、固定装置が所望の位置に配置される前に内面が排泄物搬送装置の表面に接触するのが防止される)。
【0068】
[00113]図23A〜23Dは、固定パッチ1402が排泄物搬送装置の管状体12上に配置される様子を示している。図23Aでは、固定タブ1410は、スリット部1406が管状本体12に面するように管状本体12の上方で管状本体12の遠位端の近く(すなわち、本明細書で説明するように排泄物搬送装置を挿入した後患者の臀部に隣接する位置)に位置決めされ、固定タブ1410の互いに向かい合うフラップは、フラップ同士の間の距離が管状本体12の直径よりも大きくなるように外側に反っている。図23Bでは、固定パッチ1400は、管状本体12が実質的に開口部1408内に入るようにスリット部1406を管状本体12上に押し付けることによって管状本体12上に取り付けられる。図23Bは、接着固定パッチ1402が患者の臀部に接触するまで必要に応じて固定装置を管状本体12に沿って軸方向に移動させる、次の位置決めステップを示している。図23Cでは、固定タブ1410の互いに向かい合うフラップが管状本体12に押し込まれて接触しており、各フラップの内面1412上の接着剤が管状本体12の外面に結合されている。一実施形態では、固定パッチ1402および固定タブ1410は、接着面が露出されるように最初に取り外される非粘着材料ストリップを有する。したがって、図示の実施形態では、固定パッチ1400は、固定パッチを介して患者に取り付けられるとともに固定タブを介して排泄物搬送装置に取り付けられる。図23Dは、固定装置1400が取り付けられた排泄物搬送装置を端部斜視図で示している。
【0069】
[00114]固定パッチを本明細書で説明する実施形態のいずれかに組み込むことができ、かつ最初は排泄物搬送装置から分離しておく排泄物搬送装置を適切に挿入し位置させた後で取り付けてもあるいは挿入する前に取り付けておいてもよいことに留意されたい。さらに、固定パッチは、様々な排泄物管理システムに使用できるように別売される構成部材であってよく、あるいは本明細書で説明する排泄物管理システムを含むキットに含めることができる。
【0070】
[00115]排泄物管理システムの他の実施形態では、排泄物搬送装置は薬剤送出装置を含む。図24Aは、一体化された薄型インタフェースポート1502と、必要に応じて薬剤または治療薬を患者に投与するのを可能にする別個の独立の使い捨て送出装置1510とを含む薬剤送出装置1500の一実施形態を示している。インタフェースポート1502は、埋め込まれた隔膜1506によって密封された開口部を有する到達面1504を含み、該隔膜1506は、糞便物質が露出され漏れるのを防止しつつ、送出装置1510を挿入できるようにするように構成されたスリットまたは通路を含む。隔膜1506は、使い捨て送出装置1510が使用後にインタフェースポート1502から引き出されるときに使い捨て送出装置1510の表面を浄化する「スキージ」としても働く。他の実施形態では、インタフェースポートは、隔膜の他にあるいは隔膜の代わりに様々な種類の一方向弁部材を組み込むことができる。また、図示の実施形態では、送出装置1510は、その遠位端の所に噴霧部材1512を含み、噴霧部材1512のすぐ近くに閉塞バルーン1514を含む。噴霧部材を例示したが、当業者に公知の他の種類のノズル部材が構想され、かつ本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0071】
[00116]少なくとも2つのルーメンを囲む外壁を有する軸1516が、遠位端部材を近位端注射器ポート1520に連結している。注射器ポート1520は閉塞バルーン1514に連結する軸1516内の第1のルーメンと流体連通するバルーンポート1522と、噴霧部材1512に連結する軸1516内の別個の第2のルーメンと流体連通する薬剤送出ポート1524とを含む。軸1516は、半剛性であり、隔膜1506を貫通して排泄物搬送装置のルーメンに容易に挿入することができ、挿入および引き出し時に排泄物搬送装置を損傷せずに収集部材のルーメンを通過する。図24Aは、閉塞バルーン1514が折り畳み時状態にある使い捨て送出装置1510を示し、図24Bは、閉塞バルーン1514が膨張または拡張状態にある使い捨て送出装置1510を示している。
【0072】
[00117]図24Aに示されている実施形態では、薬剤送出装置1500は、排泄物搬送装置の排水ルーメンに対するアクセスを与える。使い捨て送出装置1510は、図示のように、事前に形作られた湾曲部を軸1516に有し、それによって、使い捨て送出装置1510が完全に挿入されると、挿入された部分が排水ルーメンと実質的に平行になり、軸の近位端がインタフェースポート1504を貫通して延びる。しかし、他の実施形態では、軸1516は、事前に形作られた湾曲部が不要なほど柔軟であってよい。完全に挿入された使い捨て送出装置1510では、図24Cに示されているように、閉塞バルーンが膨張または拡張し、それによって、糞便材料が薬剤の送出時に排泄物搬送装置の排水ルーメンに進入するのが防止される。直腸穹窿を密封することによって、薬剤が懸濁し、薬剤送出の効率が最大になる。典型的な薬剤には、急速静注形態で投与されるラクツロースおよびケキソレートが含まれる。噴霧部材1512は、異なる噴霧ノズルを介した直腸穹窿内の粘膜組織による摂取が最適なものになるように薬剤の送出を改善し、該異なる噴霧ノズルは、薬剤を改善された方法で特定の方向から直腸穹窿に噴霧、被覆、またはその他の方法で投与するように構成することもできる。薬剤の送出および粘膜組織による摂取を改善すると、効率を向上させることができる。
【0073】
[00118]使い捨て送出装置1510を含む薬剤送出装置1500は、排泄物搬送装置を位置させた後任意の時点で実現することができる。このモジュール形態は、排泄物搬送装置のルーメン内に留置された取り外し不能な構成部材を必要とする完全に一体化されたシステムに対して明確な利点をもたらす。これは、一体化されたシステムは、個々の患者の要件に基づく必要なときにしか実現できないからである。さらに、ノズルまたは噴霧部材1512は、臨床医が結腸への送出深さとノズル部材からの送出の種類の両方を制御できるようにすることによって、患者への薬剤または治療薬の送出を向上させることができる。したがって、直腸穹窿組織内の血流が括約筋の遠位で増大するため、送出された薬剤の摂取がさらに最適化される。
【0074】
[00119]図24Dは、図24Cの排泄物搬送装置の遠位端の断面図であり、収集部材の遠位開口部を越えて延びており、閉塞バルーンが膨張状態にある噴霧部材1512を示している。薬剤送出装置1500は、送出装置1510を到達面1504およびインタフェースポート1502の通路を貫通させて排泄物搬送装置のルーメンに挿入することによって実現される。送出装置1510の挿入は、噴霧部材1512が好ましくは少なくとも部分的に排泄物搬送装置の遠位端の遠位に位置するまで継続する。挿入が完了したことは、送出装置の軸の湾曲部(この実施形態では、事前に形作られた湾曲部)が排泄物搬送装置のルーメン壁に接触したときおよび/または軸上の視覚的インジケータ(たとえば、リングやラインなどのマーク)が隔膜1506またはインタフェースポート上の他のある指定された点に到達したときに示される。送出装置が適切に位置決めされた後、膨張流体が注射器ポート1520のバルーンポート1522を通して閉塞バルーン1514に送出され、最終的にバルーンが所望のサイズに膨張し、排泄物搬送装置のルーメン(たとえば、排泄物搬送装置の収集部材のルーメン)を閉塞する。閉塞バルーンが拡張した後、圧力をかけて薬剤を注射器ポート1520の薬剤送出ポート1524を通して送出し、噴霧部材1512から患者に注入する。薬剤の送出が完了した後、閉塞バルーン1514が収縮し、送出装置が、インタフェースポートの隔膜1506を通して取り外され、任意の容器に配置される。
【0075】
[00120]図24A〜24Dは、インタフェースポート1502と使い捨て薬剤送出装置1510の組み合わせを示しているが、他の組み合わせも可能であり、本発明の範囲内である。たとえば、薬剤送出装置の前、薬剤送出装置の後、あるいは薬剤送出装置の代わりに、たとえば、流体および/または高圧注入流体をエアロゾル化できる器具、内視鏡、視覚化装置など含む様々な種類の器具をインタフェースポート1502を通して挿入することができる。さらに、インタフェースポート1502を通して浣腸剤を投与することができる。前述のように、インタフェースポート1502を通して可撓性のスコープを挿入して排泄物搬送装置の留置構成部材を視覚化し、任意の配置、漏れ、または圧迫壊死の問題を調査することができる。直腸穹窿内部をこのように視覚化すると、臨床医は、装置の考えられる問題を診断し、排泄物管理システム全体を破棄せずに対処することができる。
【0076】
[00121]当業者には、モジュール式カテーテル送出を実現することによって、送出システムを特定の薬剤および患者の状態について調整し利用することができ、それによって、直腸経路を介して投与される薬剤の種類が増大する。たとえば、典型的な薬剤送出方法では、経口経鼻胃管経路を介して薬剤が送出される。投与される流体の量が多いため(栄養物の供給も含むため)、一般に患者には送出用の気管内チューブが必要である。しかし、胃にこれらの流体を送ると誤嚥性肺炎が発生する可能性が高くなることが公知である。一方、本明細書で説明する直腸薬剤送出方法および手法は、経口薬剤しきい値を小さくするのを可能にし、それによって誤嚥の可能性を低減させる。
【0077】
[00122]図25は、薬剤送出装置の他の実施形態を示している。この実施形態では、排泄物搬送装置の排水ルーメンに到達するのを可能にするのではなく、一体化されたインタフェースポート1532によって、隔膜1506を貫通して、収集部材を通って延びる遠位端を有する専用ルーメン1530に到達するのを可能にする。ルーメン1530は、送出装置(たとえば送出装置1510)なしで薬剤を注入するのを可能にし、場合によっては、排泄物搬送装置の括約筋部を補強するように構成することができる。
【0078】
[00123]患者の糞便内のクロストリジウムディフィシルのようなある種の細菌を迅速にかつ好都合に識別する方法を有することが望ましいと考えられる。C.ディフィシルによる感染は急速に広がり抑制が困難になる恐れがある。クロストリジウムディフィシルに関連する疾患は特に高齢者および免疫不全患者にとって危険であり、感染が病院全体に急速に広がる可能性がある。試験装置が排泄物管理システムのポートに挿入されるカセットを備える、細菌を迅速にかつ簡単に見つけるための試験を実施すると有利であると考えられる。図29に示されているように、カテーテル12は少なくとも1つの自己密封ポート1712を含んでよい。カセット1710上の試験ストリップ1711は、定められた時間にわたってポート1712に挿入され、引き抜かれ、理想的には、特定の細菌の有無を迅速に示すことができる。C.ディフィシルの適切な非制限的な一例には、Oxoid Limited社(英国、ハンプシャー)から市販されているC.ディフィシル毒素A試験がある。
【0079】
[00124]特定の変形実施形態および例示的な図に関して本発明を説明したが、当業者には、本発明が説明した変形実施形態や図に限定されないことが認識されよう。また、上述の方法およびステップは、ある順序で起こるある事象を示す場合、当業者には、あるステップの順序を修正することができ、かつこのような修正が本発明の変形実施形態によるものであることが認識されよう。また、あるステップを可能なら並行プロセスにおいて同時に実施するとともに、上述のように順次実施することもできる。したがって、本発明の変形実施形態が、特許請求の範囲に記載された本発明の開示または均等物の趣旨の範囲内であるかぎり、本特許はそれらの変形実施形態も対象とするものである。最後に、本明細書で引用したすべての文献および特許出願は、それぞれの個々の文献または特許出願が明確にかつ個別に本明細書に記載される場合と同様に引用によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物管理システムにおいて、
第1の断面積を有する遠位端開口部および前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフ、ならびに前記保持カフと流体連通する膨張ポートを含む排泄物搬送装置と、
前記膨張ポートに取り付けられるように構成され、前記保持カフ内の流体の体積と前記保持カフから組織にかかる圧力の少なくとも一方を示すことができる計器と、
を備える排泄物管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記膨張ポートがルアーコネクタを含む排泄物管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が前記保持カフ内の流体の体積を測定する排泄物管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が前記保持カフから組織にかかる圧力を測定する排泄物管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が臨床的に許容される圧力または体積範囲を示す印を有する排泄物管理システム。
【請求項6】
排泄物管理システムにおいて、
遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、
患者への前記収集部材の挿入を容易にするように構成された装置であって、折り畳み時構成の前記保持カフを受け入れて保持するような寸法を有するシースを備える装置と、
を備える排泄物管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物管理システムにおいて、前記シースが剛性の材料で構成される排泄物管理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の排泄物管理システムにおいて、前記シースが前記シースの内部体積と連通するポートを備える排泄物管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の排泄物管理システムにおいて、前記ポートがルアー取り付け具を備える排泄物管理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の排泄物管理システムにおいて、前記ポートが潤滑流体を受けて前記保持カフの表面上で分散させるように構成される排泄物管理システム。
【請求項11】
排泄物管理システムにおいて、
遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、
細菌試験装置を受け入れるように構成された、前記収集容器内のポートと、
を備える排泄物管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記細菌試験装置がカセットである装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、前記細菌試験装置が糞便内にクロストリジウムディフィシルが存在するかどうかを試験することができる装置。
【請求項1】
排泄物管理システムにおいて、
第1の断面積を有する遠位端開口部および前記第1の断面積よりも小さい第2の断面積を有する近位端開口部を含む収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフ、ならびに前記保持カフと流体連通する膨張ポートを含む排泄物搬送装置と、
前記膨張ポートに取り付けられるように構成され、前記保持カフ内の流体の体積と前記保持カフから組織にかかる圧力の少なくとも一方を示すことができる計器と、
を備える排泄物管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記膨張ポートがルアーコネクタを含む排泄物管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が前記保持カフ内の流体の体積を測定する排泄物管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が前記保持カフから組織にかかる圧力を測定する排泄物管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の排泄物管理システムにおいて、前記計器が臨床的に許容される圧力または体積範囲を示す印を有する排泄物管理システム。
【請求項6】
排泄物管理システムにおいて、
遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、
患者への前記収集部材の挿入を容易にするように構成された装置であって、折り畳み時構成の前記保持カフを受け入れて保持するような寸法を有するシースを備える装置と、
を備える排泄物管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物管理システムにおいて、前記シースが剛性の材料で構成される排泄物管理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の排泄物管理システムにおいて、前記シースが前記シースの内部体積と連通するポートを備える排泄物管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の排泄物管理システムにおいて、前記ポートがルアー取り付け具を備える排泄物管理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の排泄物管理システムにおいて、前記ポートが潤滑流体を受けて前記保持カフの表面上で分散させるように構成される排泄物管理システム。
【請求項11】
排泄物管理システムにおいて、
遠位端開口部および近位端開口部を有する収集部材、前記遠位端開口部を前記近位端開口部に流体連結するルーメン、前記収集部材の外面の周りに配置された保持カフを含む排泄物搬送装置と、
細菌試験装置を受け入れるように構成された、前記収集容器内のポートと、
を備える排泄物管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記細菌試験装置がカセットである装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、前記細菌試験装置が糞便内にクロストリジウムディフィシルが存在するかどうかを試験することができる装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29】
【公表番号】特表2012−509110(P2012−509110A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536606(P2011−536606)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064846
【国際公開番号】WO2010/057208
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064846
【国際公開番号】WO2010/057208
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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