説明

排熱発電装置

【課題】簡単な制御で作動媒体蒸気が気液分離器から熱回収器や凝縮器に吹きぬけることを防止すると共に、蒸気発生器101内の作動媒体循環量を概略適切に制御できる排熱発電装置。
【解決手段】蒸気発生器11と、タービン13と、凝縮器15と、作動媒体循環ポンプ16を備え、これら機器を作動媒体循環路17で接続し、蒸気発生器11とタービン13の間に気液分離器18を配置し、タービン13で発電機12を駆動する排熱発電装置において、凝縮器15ら蒸気発生器11に作動媒体を循環させる循環量を制御する循環量制御手段を設けると共に、気液分離器18内の分離液面を検出する液面検出器23を設け、気液分離器18で分離された分離液206をオリフィス21及び制御弁22等から成る流量制御手段を介して凝縮器15に導くと共に、液面検出手段23で検出する気液分離器18内の分離液面が所定のレベルとなるように作動媒体の循環量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的低温の排熱を熱源として発電を行ない、電力を回収する排熱発電装置に関するものであり、特に容易かつ効果的な作動媒体の循環量制御に関するもので、発電装置の高性能化及び特に蒸気発生器の小型化を図ることのできる排熱発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排熱発電装置として図1に示す構成のものがある。図示するように排熱発電層は蒸気発生器101、タービン102、凝縮器103、バッファタンク104、作動媒体循環ポンプ105を備え、これらの機器を配管106で接続して構成されている。そして蒸気発生器101とタービンの間に気液分離器107が配置されている。なお、108は三方弁、109は逆止弁である。
【0003】
排熱源から排熱媒体(例えば温水)201は蒸気発生器101で熱回収され、作動媒体の高圧作動媒体蒸気203を生成する。該高圧作動媒体蒸気203はタービン102に供給され、タービン102を駆動し、該タービン102により図示しない発電機を駆動する。タービン102を駆動して低圧となった低圧作動媒体蒸気204は凝縮器103で外部冷却媒体(例えば冷却水)202で冷却され作動媒体の凝縮液となる。該凝縮液はバッファタンク104に収容され、作動媒体循環ポンプ105で蒸気発生器101に送られる。
【0004】
上記構成の排熱発電装置では、設置スペースやコスト面から、熱交換器の小型化が要求される。しかし、熱交換器、特に蒸気発生器101(若しくはボイラ)を小型化すると、蒸気発生器101内の媒体の流速が上昇し、蒸気発生器101内を循環する媒体の圧力損失が大きくなり、自然循環で循環させることが難しくなる。即ち、気液分離器107を有する排熱発電装置では、分離された分離液(作動媒体液)206を蒸気発生器101に戻す(再循環させる)のに必要な液柱高さが高くなり、これを確保できなくなる。
【0005】
上記のように気液分離器107で分離された分離液206を蒸気発生器101内に戻すのに必要な液柱高さを確保できない場合、図2に示すように、気液分離器107内の作動媒体液を強制的に蒸気発生器101内に戻す媒体再循環ポンプ120を用いることが一般的である。一般に媒体再循環ポンプ120は、気液分離器107で分離された分離液(作動媒体液)206を蒸気発生器101内部(下部)に圧送するものである。しかし、媒体再循環ポンプ120は高温、かつ飽和圧力に近い作動媒体液を吸込み、循環させる必要があるため、耐熱性が必要で、且つ、NPSH(吸込実揚程)が低い特性が必要であるため高価になり、また設けた場合でも、運転時のキャビテーションなどの問題が生じることがある。なお、図2において、図1と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す、以下他の図面においても同様とする。
【0006】
上記問題に対処するため、図3に示す構成の排熱発電装置が本特許出願の発明者らによって提案されている。この排気発電装置は、図3に示するように気液分離器107において分離された作動媒体液を配管106を介して凝縮器103に導き、且つ、作動媒体戻し配管110に熱回収器111を設け、該熱回収器111に作動媒体循環ポンプ105で蒸気発生器101に送る凝縮液(作動媒体液)205を送り、気液分離器107からの分離液(作動媒体液)206が有する熱で蒸気発生器101に送る作動媒体液を加熱し、熱回収している。このように熱回収器111で気液分離器107からの作動媒体液の熱を回収することで、作動媒体再循環ポンプ等を設けず、効率をあまり低下させず装置を小型化している。つまり、熱回収器111を設けることで効率低下を抑制しながら、小型化を達成している。なお、図3において、112はオリフィス、113は予熱器である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3に示す構成の排熱発電装置においても、気液分離器107内の液面が無くなり(分離液206が無くなり)、蒸気発生器101で発生した作動媒体蒸気が熱回収器111或いは凝縮器103に抜けてしまう、いわゆる吹き抜けが生じると、排熱発電装置の出力が大きく低下するため、気液分離器107内の分離液206の液面を一定範囲に制御し、吹き抜けることを防止しなければならない。これは、熱回収器111を設けず気液分離器107内の分離液を凝縮器103に送ろうとする場合であっても同様である。
【0008】
もう少し詳述すると、気液分離器107内の液面が失われて作動媒体蒸気が熱回収器111に入ると、作動媒体蒸気は熱回収器111内で凝縮する。この熱は、蒸気発生器101に送られる作動媒体液を加熱し、熱回収しているため、熱の損失としては少ないが、タービン102に導入される蒸気量が、吹き抜けた蒸気量だけ低下することと、蒸気発生器101に導入される作動媒体の温度が上昇して蒸気発生器101の伝熱温度差が低下し、出力低下を招く。熱回収器111が無い場合や、凝縮器103まで蒸気が抜けてしまう場合は、効率が低下することは言うまでもない。
【0009】
また、蒸気発生器101の伝熱効率は、一般に内部の作動媒体流量が多いほどよくなるが、作動媒体量が多すぎれば気化しない作動媒体が増え、かえって蒸気発生量が低下したり、作動媒体を循環させるために補機動力が多くなったりする。即ち、蒸気発生器101内の作動媒体の循環量には最適値があるが、一般には発生蒸気量に対して10〜20%程度多く循環させることが適当である。しかし、作動媒体の循環量を、最適値に制御するのは容易ではない。なぜならば、蒸気発生量はその時々の温度条件、圧力条件により変化する上に、蒸気発生量は計測が難しい。蒸気発生量を回収熱量などで代替する場合も、やや容易であるが同様である。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な制御で作動媒体蒸気が気液分離器から熱回収器や凝縮器に吹きぬけることを防止すると共に、蒸気発生器101内の作動媒体循環量を概略適切に制御できる排熱発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、排熱を回収して作動媒体の高圧作動媒体蒸気を生成する蒸気発生器と、該高圧作動媒体蒸気を膨張させるタービンと、該タービンからの低圧蒸気を凝縮する凝縮器と、作動媒体を循環させる作動媒体循環ポンプを備え、これら機器を作動媒体循環路で接続し、前記蒸気発生器と前記タービンの間に気液分離器を配置し、前記タービンで発電機を駆動するように構成した排熱発電装置において、前記凝縮器から前記蒸気発生器に作動媒体を循環させる循環量を制御する循環量制御手段を設けると共に、前記気液分離器内の分離液面を検出する液面検出手段を設け、前記気液分離器で分離された分離液を流量制御手段を介して凝縮器に導くと共に、前記液面検出手段で検出する気液分離器内の分離液面が所定のレベルとなるように前記循環量制御手段により作動媒体の循環量を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排熱発電装置において、前記気液分離器から前記凝縮器に前記分離液を導く経路に、該分離液と該凝縮器から前記蒸気発生器に送られる作動媒体とで熱交換させる熱交換器である熱回収器を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、気液分離器の分離液を流量制御手段を介して凝縮器に導くと共に、液面検出手段で検出する気液分離器内の分離液面が所定のレベルとなるように循環量制御手段により作動媒体の循環量を制御するので、気液分離器内の液面が常に所定のレベルにあるため作動媒体蒸気が吹きぬけなくなり、作動媒体蒸気が無駄になることがなく、作動媒体の循環量を適切な量に維持することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、気液分離器から凝縮器に前記分離液を導く経路に、該分離液と該凝縮器から前記蒸気発生器に送られる作動媒体とで熱交換させる熱交換器である熱回収器を設けたので、気液分離器の作動媒体分離液を蒸気発生器に戻す高価な再循環ポンプを用いることがなく、装置を小型化できると共に、ギャビテ−ション等のトラブルか発生することない。また熱回収器で蒸気発生器に入る作動媒体液が予熱されるため、伝熱性能の低い、顕熱の加熱量が少なくなり、蒸気発生器が小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図4は本発明に係る排熱発電装置の概略システム構成を示す図である。この排熱発電装置は、クローズドシステムの発電装置であり、所謂ランキンサイクルを利用した発電装置である。本発電装置は、外部排熱源からの排熱媒体(例えば、200℃〜400℃程度の排ガス或いは60℃〜100℃の排温水等)201の排熱を回収して作動媒体の高圧作動媒体蒸気203を発生する蒸気発生器11と、該高圧作動媒体蒸気203を膨張させることにより駆動するタービン(膨張機)13と該タービン13に駆動される発電機12を備えたタービン発電機14と、前記タービン13を駆動した後の低圧作動媒体蒸気204を外部冷却媒体(例えば冷却水や外気等)202にて冷却して凝縮液205とする凝縮器15と、該凝縮器15にて凝縮した凝縮液205を加圧して前記蒸気発生器11に送り込む作動媒体循環ポンプ16を備え、これらを蒸気発生器11、タービン13、凝縮器15、及び作動媒体循環ポンプ16を作動媒体循環路17で接続している。
【0016】
ここで、作動媒体として、低沸点媒体であるHFC123或いはトリフルオロエタノール(CF3CH2OH)等を用いている。これにより、比較的低温(200℃〜400℃程度)の排ガス或いは比較的低温(60℃〜100℃)の排温水等の比較的低温の熱源を利用して、これらの熱を先ず作動媒体の高圧作動媒体蒸気203に変換し、これによりタービン発電機14の発電機12に直結したタービン13を回転駆動して発電を行なうことができる。ここで、作動媒体は、低沸点媒体としたが、高沸点媒体であってもよい。
【0017】
上記排熱発電装置において、作動媒体循環ポンプ16で、凝縮器15の作動媒体の凝縮液205を蒸気発生器11に送り込む。該凝縮液205は蒸気発生器11で排熱媒体201の熱エネルギーを受け、沸騰蒸発して高圧作動媒体蒸気203となる。この高圧作動媒体蒸気203はタービン発電機14の発電機12に直結したタービン13に送り込まれ、ここで高圧作動媒体蒸気の膨張によりタービン13を駆動して発電機12を駆動(回転)させて発電する。タービン13から排出された低圧作動媒体蒸気204は凝縮器15にて、冷却水等の外部冷却媒体202で冷却され、凝縮し、必要に応じて過冷却器(図示せず)で冷却され、凝縮液205となって作動媒体循環ポンプ16に吸引され、クローズとシステムを一巡する。
【0018】
蒸気発生器11とタービン発電機14のタービン13とを接続する作動媒体循環路17には、気液分離器18を設け、該気液分離器18で分離された作動媒体の分離液206を作動媒体戻し配管19を介して熱回収器20の加熱側(被回収側)に導き、更にオリフィス21及び制御弁22を介して凝縮器15へと導いている。熱回収器20被加熱側(回収側)には作動媒体循環ポンプ16により蒸気発生器11に送られる凝縮器15からの凝縮液(作動媒体液)205が流れており、該凝縮液205は気液分離器18からの分離液206で加熱(熱回収)され、蒸気発生器11へと送られる。オリフィス21は、細管、若しくは熱回収器20の圧力損失で代用することもできる。また、熱回収器20は省略してもよい。なお、45は蒸気発生器11の出口の高圧作動媒体蒸気203の圧力を検出する圧力計、46は高圧作動媒体蒸気203の温度を検出する温度計、47はバイパス弁、48は遮断弁である。
【0019】
熱回収器20を用いる場合は、オリフィス21は熱回収器20の凝縮器15寄りとすることが、オリフィス21を流れる作動媒体(液)が気化(フラッシュ)しなくなるため好ましい。ここで、気液分離器18からの分離液206が熱回収器20で十分に冷却されていれば、凝縮器15に戻すことに代えて、作動媒体循環ポンプ16の吸込口に戻すと、更に熱の損失を少なくできる。凝縮器15に代えて、作動媒体循環路17を含む作動媒体循環系統の低圧の部分であれば、どこに戻しても良い。
【0020】
気液分離器18には液面検出器23を設け、気液分離器18内の分離液206の液面の上昇と下降を検出できるようにしている。また、蒸気発生器11に作動媒体(液)を供給する作動媒体循環ポンプ16はインバータにより回転速度を任意に制御できるようにしている。これにより、蒸気発生器11への作動媒体の送り量を自在に制御できる。作動媒体の送り量を自在に制御する手段としては、このインバータとポンプの組み合せに代えて可変速のポンプを用いてもよいし、またポンプの吐出口に制御弁等を設けてもよい。
【0021】
ここでは、気液分離器18に設けた液面検出器23の液面レベルの測定結果により、凝縮器15から蒸気発生器11への作動媒体の供給量を制御するようにしている。即ち、気液分離器18内の分離液206の液面の上昇を検出した場合は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を下げて送り量を減じ、降下を検出した場合は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を上げて送り量を増すように制御している。これにより、まず、気液分離器18内の分離液206の液面は所定のレベルに保たれ、蒸気発生器11で発生した蒸気が、凝縮器15等に吹き抜けることが無くなる。このようにして、気液分離器18内の分離液206の液面が一定に保たれている条件での、蒸気発生量と蒸気発生器11への作動媒体の凝縮液205の供給量の関係を考察する。
【0022】
蒸気発生器11に供給された凝縮液(作動媒体液)205は、一部は気化して作動媒体蒸気(高圧作動媒体蒸気203)となり、気液分離器18で気化した作動媒体は作動媒体蒸気と作動媒体液(分離液206)に分離され、作動媒体蒸気はタービン発電機14のタービン13に送られ、作動媒体液は作動媒体戻し配管から熱回収器20とオリフィス21及び制御弁22を経由して凝縮器15に戻される。ここでタービン13は出入口の蒸気の圧力差で駆動されるが、当然、圧力差が大きければ蒸気流量が増し、小さければ減じる。厳密には発電機12の回転速度やトルク等の関係もあるが、概略、タービン13を通過する作動媒体蒸気の流量は、圧力差に比例すると考えて差し支えない。従って、蒸気発生器11の蒸気発生量はタービン13の出入口の圧力差に比例するとして良い。
【0023】
また、熱回収器20及びオリフィス21を通過して凝縮器15に戻される作動媒体液(分離液206)の流量は、オリフィス21前後の圧力差の平方根に比例するが、オリフィス21の前後の圧力差は実務上、タービン13の出入口の圧力差と同じと考えてよい。従って、蒸気発生器11の出口と凝縮器15との圧力差(タービン出入口圧力差)を横軸にとり、作動媒体蒸気流量と分離液流量(質量流量)とその合計を図示すれば、図5に示すようになる。
【0024】
上記のように、気液分離器18内の分離液206の液面が所定のレベルに維持されているなら、蒸気発生器11に送られる作動媒体の流量は、図5に示すように分離液流量Aと作動媒体蒸気流量Bの合計流量Cと等しい。従って、合計流量Cが、常に発生蒸気量に対して10〜20%多くなるように、オリフィス21の径を設計すれば、蒸気発生器11には、常に発生蒸気量より10〜20%多くの作動媒体が供給されることとなり、作動媒体の供給量が常に適切に保たれることとなる。
【0025】
なお、気液分離器18の分離液206の液面により作動媒体の供給量を制御する場合、液面レベルを液面検出器23でアナログ値で検出できるのであれば、所謂PID制御等により作動媒体循環ポンプ16の回転速度を制御してもよいが、一般的なレベルスイッチ等で、液面の低下と上昇を検知する場合であれば、次のように制御すると液面の変動を小さく抑えることができる。
【0026】
(1)分離液206の液面の上昇を検知している間は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を一定量減じる。下降を検知している間は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を一定量増す。
【0027】
(2)分離液206の液面の上昇を検知した場合、検知している間は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を一定時間毎に一定量ずつ暫減する。下降を検知した場合、検知している間は、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を一定時間毎に一定量ずつ暫増する。
【0028】
(3)分離液206の液面が適正範囲に戻った場合、上記(2)で加えた修正量の半量を戻す。即ち、(2)で回転速度を増加させた場合、増加させた量の半量を減じる。回転速度を減少させた場合、減少させた量の半量を増す。
【0029】
上記のように制御すると、液面検出器23に高価なアナログ式の液面検出器を用いなくとも、ある程度安定した液面の維持が可能となる。なお、上記(3)では、減じる場合であっても、増す場合であっても、半量ではなく、上記(2)で加えた修正量に概比例した値であればよく、減じる場合と増す場合で違う比例定数としても良い。また、増減した量に関わらず固定値としても良い。
【0030】
なお、本実施形態例では、気液分離器18の分離液206の液面付近に潤滑油が蓄積することがあるので、後に詳述するようにこれを集めて潤滑油系統に戻す、潤滑油戻し配管44を設けている。本排熱発電装置の場合、作動媒体循環路17を含む作動媒体系統に潤滑油が混入すると、潤滑油は蒸気発生器11内で加熱されても気化せずに残留するために、気液分離器18の液面付近に溜まりやすい。従って気液分離器18内の液面を一定に保つように運転している本排熱発電装置では、後に詳述するように気液分離器18の分離液206の液面付近から制御弁49により定期的に潤滑油を回収することで、作動媒体系統に混入した潤滑油を回収することも容易となる。この場合、溜まった潤滑油が、発電装置の停止中などに凝縮器に戻ってしまうことを防止するため、制御弁22を自動弁とし、装置の停止中や、何らかの理由で気液分離器18内の液面が低下した場合には閉止することとすると良い。
【0031】
なお、本実施形態では、凝縮器15の出口にも液面検出器24を設けている。これは、凝縮器15内の作動媒体が無くなり、作動循環ポンプにキャビテーションが発生することを防止するためのものである。具体的には凝縮器15内の作動媒体がなくなった場合、作動媒体循環ポンプ16の回転速度を落とすか、停止して、凝縮器15内の液面が回復するのを待つ。
【0032】
図4に示す構成の排熱発電装置において、タービン発電機14の主軸は軸受25、26により支持されている。そして各軸受25、26には、潤滑油供給ポンプ27により潤滑油タンク28に貯留された潤滑油207が加圧され各軸受25、26に潤滑油循環経路34及び制御弁50を通って供給される。各軸受25、26を潤滑・冷却した潤滑油は加熱され昇温して潤滑油受皿29、30に貯留され、潤滑油循環経路34を通って潤滑油タンク28に戻るようになっている。なお、潤滑油循環経路34の潤滑油供給ポンプ27の出口側には、ゴミ取り用の潤滑油フィルタ32や流量計33が設けられている。また、潤滑油タンク28内と凝縮器15内は作動媒体蒸気戻し管37により制御弁38を介して連通している。また、潤滑油タンク28内とタービン発電機14内は均圧配管51及び制御弁52を介して連通している。
【0033】
潤滑油供給ポンプ27の吐出口側の配管(潤滑油循環経路34)には、温度調節器(装置)31が配置され、該温度調節器31に冷却媒体として作動媒体循環ポンプ16により凝縮器15からの凝縮液205を冷却媒体配管35を通して供給し、加熱媒体として蒸気発生器11からの高圧作動媒体蒸気203を加熱媒体配管39を通して供給することで、軸受25、26に供給する潤滑油の温度を望ましい範囲に維持するようになっている。温度調節器31から軸受25、26の間に、潤滑油207の温度を計測する機器(温度計等)を設け、潤滑油207の温度が一定の値より上昇したら、加熱媒体配管39に設けられた制御弁40を閉じの方向に開度調整し、潤滑油207の温度が一定の値より下降したら、冷却媒体配管35の制御弁41を閉じ方向に開度調整する等、制御弁40、41によって温度を調整できるようになっている。
【0034】
ここで、潤滑油207の温度を計測する機器(温度計等)を設ける位置は、温度調節器31から軸受25、26の間が望ましいが、軸受25、26と潤滑油タンク28との間であってもよい。温度調節器31に供給された凝縮器15からの凝縮液205は作動媒体戻し配管36を通って凝縮器15に戻される。該作動媒体戻し配管36には流量を制御するオリフィス53が設けられている。
【0035】
また、本排熱発電装置においては、タービン発電機14の軸受25、26に潤滑油を供給する潤滑油循環経路34に潤滑油タンク28を設けると共に、該潤滑油タンク28内に一体として形成された油再生器42を設け、上部に一体として形成された油滴分離器43を設けている。タービン発電機14の軸受25、26を冷却・潤滑して昇温した潤滑油207は油再生器42に導かれ、潤滑油タンク28内の気相と接触することで、潤滑油207中に含まれる作動媒体は気化し、分離される。潤滑油207中の作動媒体を気化させるためには、潤滑油207の温度が高い方が望ましく、油再生器42内の圧力が低いほうが望ましい。
【0036】
潤滑油循環系統の中で、潤滑油207の温度が最も高くなるのは、軸受25、26を冷却した直後であるので、油再生器42は軸受25、26からの潤滑油207が戻る部分に設けるのが望ましく、更に、油再生器42は凝縮器15とを連通させることが望ましく、ここで作動媒体蒸気戻し管37で凝縮器15内と潤滑油タンク28内とが連通されている。また、上記温度調節器31で、潤滑油207の温度を望ましい範囲に保つようにしている。気化した作動媒体は、油滴分離器43で油滴が除去され、作動媒体蒸気戻し管37及び制御弁38を通して、凝縮器15に戻される。
【0037】
気液分離器18で分離された分離液206は作動媒体は作動媒体戻し配管19を通して凝縮器15に送られ、該分離液206に混入している潤滑油は、蒸気発生器11で加熱されても気化しないため、気液分離器18で作動媒体蒸気から分離され、作動媒体戻し配管19及び凝縮器15を通して蒸気発生器11の入口に戻される。従って、通常の運転中では、作動媒体中に混入した潤滑油は、蒸気発生器11に集まることになり、その濃度が最も高くなるのは気液分離器18で高圧作動媒体蒸気203と分離された作動媒体液(分離液206)となる。そこで本排熱発電装置では気液分離器18の分離液206の液面周辺に集まる潤滑油を定期的に制御弁49の開閉層さにより潤滑油戻し配管44を通して潤滑油タンク28の油再生器42に戻すことにより潤滑油207を回収している。
【0038】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図2】従来の排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図3】従来の排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る排熱発電装置のタービン出入口圧力差と作動媒体流量の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
11 蒸気発生器
12 発電機
13 タービン
14 タービン発電機
15 凝縮器
16 作動媒体循環ポンプ
17 作動媒体循環路
18 気液分離器
19 作動媒体戻し配管
20 熱回収器
21 オリフィス
22 制御弁
23 液面検出器
24 液面検出器
25 軸受
26 軸受
27 潤滑油供給ポンプ
28 潤滑油タンク
29 潤滑油受皿
30 潤滑油受皿
31 温度調節器
32 潤滑油フィルタ
33 流量計
34 潤滑油循環経路
35 冷却媒体配管
36 作動媒体戻し配管
37 作動媒体蒸気戻し管
38 制御弁
39 加熱媒体配管
40 制御弁
41 制御弁
42 油再生器
43 油滴分離器
44 潤滑油戻し配管
45 圧力計
46 温度計
47 バイパス弁
48 遮断弁
49 制御弁
50 制御弁
51 均圧配管
52 制御弁
53 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱を回収して作動媒体の高圧作動媒体蒸気を生成する蒸気発生器と、該高圧作動媒体蒸気を膨張させるタービンと、該タービンからの低圧蒸気を凝縮する凝縮器と、作動媒体を循環させる作動媒体循環ポンプを備え、これら機器を作動媒体循環路で接続し、前記蒸気発生器と前記タービンの間に気液分離器を配置し、前記タービンで発電機を駆動するように構成した排熱発電装置において、
前記凝縮器から前記蒸気発生器に作動媒体を循環させる循環量を制御する循環量制御手段を設けると共に、前記気液分離器内の分離液面を検出する液面検出手段を設け、
前記気液分離器で分離された分離液を流量制御手段を介して凝縮器に導くと共に、前記液面検出手段で検出する気液分離器内の分離液面が所定のレベルとなるように前記循環量制御手段により作動媒体の循環量を制御することを特徴とする排熱発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排熱発電装置において、
前記気液分離器から前記凝縮器に前記分離液を導く経路に、該分離液と該凝縮器から前記蒸気発生器に送られる作動媒体とで熱交換させる熱交換器である熱回収器を設けたことを特徴とする排熱発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−316767(P2006−316767A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142912(P2005−142912)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)