説明

接触子及び自動結線装置

【課題】試験装置から電力量計へ電力を供給する際、電力量計と自動結線装置との接触部分での電気抵抗及び発熱量を少なく抑えることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る自動結線装置は、電力量計と接続する接触子と、前記電力量計を収容可能な電力量計収容部と、前記接触子が立設される接触子ベースプレート部と、前記電力量計を上方から前記接触子ベースプレート部に向かって押し込む電力量計押込手段と、前記電力量計押込手段の前記シャフトを上下方向にスライド移動させるシャフト移動手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電力量計の性能試験の際に用いられる自動結線装置及び自動結線装置に組み込まれ、電力量計の電流端子と自動結線装置とを電気的に接続する接触子に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、家屋、工場等の建物には、その建物内で消費された電力量を計るための電力量計が備えられている。この電力量計に対して、出荷前などに、計測精度が所定規格を満たすものか否かの試験(以下、単に「試験」という。)が行われる。その際、出荷までの時間ロスをなるべく少なくするため、試験装置に電力量計をセットする作業(具体的には、試験装置と電力量計との電気的接続)を手作業ではなく、自動結線装置(自動結線器)を用いて行っている。この自動結線装置に関して、下記特許文献に記載の技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、
電力量計に設けられる筒状端子に嵌め合わされ、先端部を軸方向に分割する割り溝を有する電流端子を備え、
前記電流端子の内部に、前記割り溝に達する位置まで挿入されたチューブが配置され、
前記チューブに圧縮気体が供給されることで、前記チューブが膨張し、前記電流端子の先端部が拡径することで、前記電流端子と前記筒状端子とが接触して、前記電力量計との接続が行われる自動結線器が開示されている。
さらに、この自動結線器は、前記電流端子を保持するとともに、左右にスライド移動可能な絶縁ブロックを備えることで、電力量計の筒状端子の位置に応じて、前記電流端子の位置決めを行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−235527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、電流端子先端部と、電力量計の筒状端子とを接触さるためのチューブを電流端子内部に配置しなければならず、作業コストの点で課題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、弾性変形しない部材同士(電流端子先端部と筒状端子)が接触する構成であるため、各接触箇所が面状とならずに点状となり、その結果、接触面積が限られる。特に、電力量計と自動結線装置の接続位置が試験ごとに常に一定ではなく、わずかなずれが生じるため、電流端子先端部と筒状端子の接触面積が小さくなる場合がある。従って、例えば定格電流120Aの電力量計のように、大量の電力が供給される電力量計を試験するときは、接触部分での電気抵抗が大きくなると共に、当該箇所に生じる発熱量も多くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、簡易な構成で、作業コストを抑えることが可能であるとともに、自動結線装置と電力量計との接触面積を広くし、上記のような大量の電力が供給される電力量計を試験する際、接触部分での電気抵抗及び発熱量を少なく抑えることが可能な接触子及びそれを備える自動結線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明に係る接触子は、
電流端子を含む電力量計と自動結線装置とを電気的に接続する接触子であって、
前記自動結線装置の所定箇所に取付固定される導電性の基部と、
前記電流端子と接触すると共に、押圧されると弾性変形する第一の導電部とを備え、
前記基部の上面に、前記第一の導電部が配設され、
前記電流端子が前記第一の導電部に当接することで、前記第一の導電部が弾性変形し、前記電流端子との接触領域が拡がることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る自動結線装置は、
上記接触子を含み、
前記電力量計を収容可能な電力量計収容部と、
前記電力量計収容部の底部に位置すると共に、前記接触子が立設される接触子ベースプレート部と、
上下方向にスライド移動可能な2本以上のシャフトと、試験時に前記電力量計の所定箇所と当接する電力量計押え板とを含み、前記電力量計を上方から前記接触子ベースプレート部に向かって押し込む電力量計押込手段と、
前記電力量計押込手段の前記シャフトを上下方向にスライド移動させるシャフト移動手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基部の上面に第一の導電部を備えるため、前記第一の導電部と電力量計の電流端子とが接触すると、当該第一の導電部が弾性変形するため、電力量計と自動結線装置の接続位置が試験ごとに一定でなくとも、常に広く面状に両者を接触させることができる。そのため、試験装置から電力量計へ電力を供給する際、接触部分での電気抵抗及び発熱量を少なく抑えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施形態の詳細な説明をする前に、自動結線装置10にセットされる電力量計1000の概略について図8を用いて説明する。なお、図8では、定格電流120Aの電力量計を例に説明するが、本発明に係る接触子100を挿入可能な電力量計であれば、その種類は限定されるものではない。
【0012】
図8の(a)は、電力量計1000の上面図、図8の(b)は、電力量計1000の正面図、図8の(c)は、電力量計1000の底面図、図8の(d)は、電力量計1000の側面図である。電力量計1000は、電流端子1110、電圧端子1120等を備える本体部1100と、本体部1100を覆うカバー部1200を備える箱型の装置である。電力量計1000のカバー部1200は、その一側面から水平に出っ張る接触子被覆部1210を有しており、この接触子被覆部1210の内部に電流端子1110が収容される。電流端子1110は、後述する図1に示す接触子100の突起部130が挿入される接触子接続孔1111を有する。
【0013】
この電力量計1000は、図8(特に図8(c))で示す4つの電流端子1110が、左から、1S端子、3S端子、3L端子、1L端子の順番で配置されている。同様に、電圧端子1120は、左から、P1端子、P2端子、P3端子の順番で配置されている。
【0014】
また、図8(a)に示すように、電力量計1000の上面には、試験時に電力量計1000に供給される電力量に応じて所定周期のパルス光線(例えば、赤外線等)を発光する光線発光部1130が設けられる。
【0015】
ここで、図8の(d)の点線は、カバー部1200の内側にある電力量計1000の位置を示している。すなわち、電力量計1000の本体部1100が、カバー部1200を装着していない場合は、電力量計押込手段300の電力量計押え板320と電力量計1000との接触位置が、カバー部1200を装着している場合と比べて低くなる。
【0016】
なお、図8(a)及び(b)に示すように、電流端子1110の接触子接続孔1111には、電力量計1000が工場、家屋等に備えつけられる際、電線を電流端子1110に留めるためのボルト1112が挿入されている場合がある。この場合は、試験の際、接触子接続孔1111には既にボルト1112が挿入されているため、図1に示す接触子100の突起部130を挿入することができない。従ってこの場合、接触子100と電流端子1110とを接続する際、接触子100から突起部130を取り外して、電力量計1000と接触子100とを接続することになる。
【0017】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
まず、図1を参照して、本発明に係る自動結線装置に組み込まれる接触子100について説明する(この接触子100と、試験装置(図示しない)の電源側との間に導線等が介在することで、自動結線装置と試験装置とが接続される。)。図1の(a)は接触子100の斜視図、図1の(b)は接触子100の上面図、図1の(c)は接触子100の正面図である。接触子100は、基部110、第一の導電部120、突起部130、第二の導電部140等から構成される。
【0019】
基部110は、導電性の部材であり、形状は特に限定されないが、図1では長尺棒状で、その上部に軸よりも広い径の円柱が形成されている。電力量計1000の試験の際、基部110を介して、試験装置から電力量計1000に電流が流れる。また、基部110は、図3に示す自動結線装置10の接触子ベースプレート部210に設けられた挿入孔211に挿入されて、基部110を接触子ベースプレート部210に取付固定するための係合部111を有することが好ましい。なお、係合部111の係合手段は、特に限定されるものではないが、図1の接触子100では、係合部111に螺子溝が掘られ、他方、挿入孔211にも、係合部111の螺子溝に対応する溝が形成される構造とし、係合部111を挿入孔211に螺合して、基部110が接触子ベースプレート部210に取付固定されるようにしている。基部110の上面112は、試験時、電流端子1110と対向する位置となる。
【0020】
第一の導電部120は、電力量計1000の電流端子1110と直に接触する部材であり、基部110の上面112に配設される。本実施形態では基部上面112に凹部113を形成し、この凹部113に第一の導電部120が埋設されている。第一の導電部120は、押圧されると弾性変形するコイルスプリング(弾性体)から構成されており、試験時に電力量計1000が自動結線装置10にセットされ、電流端子1110が、第一の導電部120に当接すると、当該接触箇所がつぶれて電流端子との接触領域が拡がるように変形する。電流端子1110と上面112とを各々平行とすることが接触面積を広く保つ点で望ましい。しかしながら、試験ごとに電流端子1110と上面112とを常にそのような状態として、電力量計1000を自動結線装置10にセットすることは困難である。この場合、いずれか一方が、わずかに傾くため、電流端子1110と上面112とは上記のように面状に接触せず、接触面積が小さくなる。そのため、上面112に第一の導電部120を設けた。これにより、電流端子1110と上面112のいずれか一方が傾いていても、第一の導電部120の当該接触箇所がつぶれることにより、電流端子1110と第一の導電部120との接点が広がり、接触部分での電気抵抗及び発熱量を少なく抑えて、電力量計1000に電流を流すことが可能となる。
【0021】
突起部130は、径が電流端子1110の内径より細い導電性の筒状部材であり、基部110の上面112の略中央に着脱可能に取り付けられる。突起部130は、主に、図8に示す電力量計1000の接触子接続孔1111にボルト1112が嵌め込まれた状態の電子式電力量計1000に電流が流される際、電子式電力量計1000の電流端子1110と接触子100との接触面積をさらに増やして、電気抵抗による当該箇所の過度の温度上昇を防ぐために使用される(接触子接続孔1111にボルト1112が嵌め込まれていない状態の電子式電力量計1000に対して電流が流される場合であっても、突起部130を使用可能であることはもちろんである。)。
【0022】
電流端子1110と接触子100との接触箇所の温度が、過度に上昇すると判断された場合、接触子接続孔1111からボルト1112を取り外し、突起部130を基部110に装着させて、空孔となった接触子接続孔1111に挿入する。一方で、接触箇所に過度の温度上昇がない場合には、ボルト1112が接触子接続孔1111に挿入されたままで試験される。この場合、突起部130は基部110に取り付けない。なお、突起部130を基部110に取り付けるための手段は任意であるが、本実施形態では、図1(c)に示すように、突起部130から突出する雄螺子部131が、上面112の略中央から基部110の内側に形成された雌螺子部114に螺合して、突起部130が基部110に取り付けられる構造となっている。
【0023】
この突起部130の周囲に、第一の導電部120が、図1の(b)に示すように配設されるのが好ましい。このような配置とすることで、電力量計1000を自動結線装置10にセットする際、電流端子1110の接触子接続孔1111を突起部130に被せれば、電流端子1110と第一の導電部120とを互いの接触面積を広く保つことが可能な位置で接触させることができる。従って、試験時の電力量計1000の位置合わせを、簡易な構成で且つ正確に行うことができる。
【0024】
なお、突起部130の径の寸法を、接触子接続孔1111の内径とほぼ同寸法として、突起部130と、電流端子1110の接触子接続孔1111の内壁とが直接接触するようにした場合、電子式電力量計1000と自動結線装置10とをわずかなずれもなく常に一定にセットしなければならず、電子式電力量計1000の位置合わせが困難となる。そのため、突起部130を接触子接続孔1111に挿入する際のいわゆる「遊び」を設けるため、突起部130の径を接触子接続孔1111の内径より細くし(例えば、突起部130の径が7mm、接触子接続孔1111の内径が8mm)、両者の寸法に若干の差を持たせることが好ましい。また、この突起部130の径と接触子接続孔1111の内径との寸法差を埋めるため、突起部130の側面には、第二の導電部140を設けることが好ましい。この第二の導電部は、接触子接続孔1111の内壁と接触する際につぶれて、接触面積が広がる構成の弾性体であることが好ましい。それにより、試験時における電力量計1000と接触子100(自動結線装置10)との接触抵抗及び発熱量をより少なく抑えることが可能となる。
【0025】
次に、図2乃至図5を用いて、本発明の第一の実施形態に係る自動結線装置10について説明する。図2は、自動結線装置10を正面から見た正面図、図3は、図2の自動結線装置10のA−A線の矢視図、図4は、自動結線装置10の側面の透視図、図5は、試験時に電力量計1000が自動結線装置10の電力量計収容部200に収容されるまでの工程を示す図である。
【0026】
自動結線装置10は、接触子100(上記にて詳述した)、電力量計収容部200、電力量計押込手段300、シャフト移動手段400、電力量計1000の設置高さ調節手段500等から構成されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、電力量計収容部200は、電力量計1000の試験の際(接触子100と接続する際)、内部に電力量計1000を納める部分である。具体的には、電力量計収容部200は、上部が開口し、底部には接触子100が立設される接触子ベースプレート部210が配設され、また各側部には収容部区画板220が配設されており、少なくとも電力量計1000の底面と接触子ベースプレート部210とが対面する状態で、電力量計1000を収容できるスペースが確保されている。また、電力量計収容部200の内部には、図4に示すように、電力量計1000の設置高さを調節する設置高さ調節手段500が配設される。なお、設置高さ調節手段500の詳細については後述する。
【0028】
電力量計押込手段300は、試験の際、電力量計収容部200に収容された電力量計1000を、接触子ベースプレート部210に向かってさらに押込むための手段である。電力量計押込手段300は、後述するシャフト移動手段400により上下移動する少なくとも2本のシャフト310と、電力量計1000の接触子被覆部1210(電力量計1000のカバー部1200が外された状態にある場合には、電流端子1110の上部)と当接する電力量計押え板320等を含む構成である。電力量計押え板320は、シャフト310の各々の上端に掛け渡される構成であってもよいが、本実施形態では、電力量計押え板320の位置を、電力量計収容部200に近づく又は離すよう制御する押え板位置制御部330を介して接続されることが好ましい。
【0029】
押え板位置制御部330の構成を、図2、図3及び図5を参照して説明する。押え板位置制御部330は、図2に示すように、シャフト310の上端にそれぞれ取り付けられる引込みヘッド331と、リンク332と、引込みヘッド331とリンク332とを接続するジョイント333とを含み、各々のリンク332の上端に、前記電力量計押え板320が掛け渡される。
【0030】
さらに、押え板位置制御部330は、図3及び図5に示すように、シャフト310、引込みヘッド331及びリンク332の前後(図3の場合、リンク332等の上下、図5の場合、リンク332等の左右)に、シャフト310の上下移動に伴って移動するリンク332を支持するリンクガイドA334及びリンクガイドB335を備えていてもよい。本実施形態では、リンクガイドA334及びリンクガイドB335は、接触子ベースプレート部210の側方に留められる。
【0031】
また、押え板位置制御部330は、図3及び図5に示すように、リンクガイドA334に設けられるポストA336と、リンク332に設けられるポストB337に、両端が留められる引っ張りバネ338を備えていてもよい。引っ張りバネ338は、図5(a)に示すように、そのバネ力によってリンク332を引っ張り、シャフト310に対して斜めに傾かせるよう作用する。
【0032】
電力量計押込手段300の作用について、図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、電力量計1000が電力量計収容部200に収容される際、リンク332は、引っ張りバネ338のバネ力により、リンク332の一端332Aが他端332Bより遠い位置となるよう、傾いた状態で配置されている。その後、後述するシャフト移動手段400によりシャフト310が下方に移動するに伴って、リンク332は、その他端332Bから徐々にリンクガイドA334及びリンクガイドB335の間に挟まれていく。それにより、図5(b)、(c)に示すように、リンク332は、引っ張りバネ338のバネ力に抗して、接触子ベースプレート部210に対して垂直に立ち上がる。
【0033】
さらに、シャフト310がより下方に移動すると、リンク332の上部に掛け渡される電力量計押え板320が、図5(e)に示すように、電力量計1000の接触子被覆部1210と当接し、図5(f)に示すように、電力量計1000が、下方(接触子ベースプレート部210側)に向かって押込まれていく。
【0034】
なお、カバー部1200が装着されていない電力量計1000が収容される場合、電流端子1110が剥き出しの状態でセットされる。この場合、図8(d)に示すように、カバー部1200がない分、電力量計1000と電力量計押え板320との接触位置が低くなる。そのため、電力量計押込手段300の状態が図5(c)の場合、電力量計押え板320と電流端子1110の上部との間に大きな隙間が生じて、両者が接触するまで距離ができてしまう。従って、電力量計押込手段300が図5(f)の状態となっても、電力量計1000の押込みが甘いという事態が起こる。それを解消するため、リンク332の上部に掛け渡される電力量計押え板320は、その下部に所定の厚みを有する電力量計押え板厚み調節部を取付可能とし、あるいは、厚さの異なる電力量計押え板320を用意し、カバー部1200がある場合とない場合とで交換して使用することが好ましい。これにより、カバー部1200の装着の有無に関わらず、電力量計1000を電力量計収容部200にしっかりと押込むことができる。
【0035】
シャフト移動手段400は、上述した電力量計押込手段300のシャフト310を、上下方向にスライド移動させるものである。本実施形態に係る自動結線装置10におけるシャフト移動手段400は、図2及び図4に示すように、基板600の下方に配設され、図2に示すように左右両端にシャフト310の各々を保持するラックギヤヘッド410と、図4に示す一面421Aの所定箇所がラックギヤヘッド410に接触して固定されると共に、他面421Bにラックを有するラックギヤ421、及びラックギヤヘッド421の他面421Bと対向する位置に配設され、このラックギヤ421に噛み合う歯車422を備えるラックアンドピニオン機構420と、上下方向(接触子100と平行)に長く、下端にレバー側ギヤ431を有するレバー430と、一端が歯車422と嵌合すると共に、他端がレバー側ギヤ431と嵌合して、ラックアンドピニオン機構420とレバー430とを接続するギヤシャフト440を含む構成である。
【0036】
シャフト移動手段400の作用を図2及び図4を用いて説明する。まず、試験者の手動によりレバー430が所定方向(図面手前側又は奥側)に傾けられると、レバー側ギヤ431が回転すると共に、その回転力が、ギヤシャフト440を介してラックアンドピニオン機構420の歯車422に伝わる。それにより、歯車422が回転し、図4(b)に示すように、歯車422と噛み合うラックギヤ421が図面下方に移動する。それに伴って、ラックギヤ421が取り付けられるラックギヤヘッド410が下方に移動すると共に、図2に示すラックギヤヘッド410に保持されるシャフト310も下方に移動する。なお、シャフト310を図面上方に移動させる場合は、レバー430を上記とは逆に傾ける(例えば、シャフト310を下方に移動させる場合に、レバー430を手前側に傾ける設定となっていれば、シャフト310を上方に移動させる場合、レバー430を奥側に傾ける。)。
【0037】
このように、本発明に係る自動結線装置10(下記の自動結線装置20も同様)は、シャフト移動手段400が、電力量計押込手段300に作用することで、電子式電力量計1000が接触子ベースプレート部210に向かって押し込まれる構成である。そのため、上述した電力量計押込手段300が押え板位置制御部330を含む構成であれば、例えば、装置外側に突き出した電力量計の載せ台に、電子式電力量計を載せて、それを装置内部に引き込む形式のものとは異なり、リンク332を回動させ、電力量計押え板320を下降させるだけで、電子式電力量計1000をセットすることが可能である。よって、装置全体を非常にコンパクト化することが可能となる。
【0038】
設置高さ調節手段500は、電力量計収容部200に収容された状態の電力量計1000の設置高さを調節するための手段である。具体的には、図4(a)(b)に示すように、設置高さ調節手段500は、電力量計1000を載置する載置プレート510と、載置プレート510とシャフト移動手段400のラックギヤヘッド410とを繋ぐ接続シャフト520を含む構成である。電力量計1000が電力量計収容部200に収容された直後は、図4(a)に示すように、載置プレート510が接触子ベースプレート210と離れた位置で停止しているが、上述した電力量計押込手段300により、電力量計1000が接触子ベースプレート210側に押し込まれると、図4(b)に示すように、載置プレート510が、電力量計1000とともに接触子ベースプレート210の上面と触れるまで下降する。その結果、電力量計1000の電流端子1110が、接触子100の突起部130と嵌合する。
【0039】
次に、上記自動結線装置10において、さらに、電力量計1000から発せられるパルス光線(例えば、赤外線等)を利用して、電力量計1000の電力量表示メータを視認する以外の方法でも、試験時に電力量計1000に供給される電力量を計測することが可能な自動結線装置について、図6を参照して説明する。
【0040】
図6は、自動結線装置10を上から見た図である(但し、図6では、電力量計収容部200には、電力量計1000が収容されていない。)。図6の700は、上記図8(a)で示す電力量計1000の光線発光部1130からの光線を受光する受光アームである。
【0041】
この受光アーム700は、一端に受光素子710を備えると共に、他端の軸部720を軸として、図6の矢印に示すように、電力量計1000の上部をエアアクチェータなどにより回転移動する構成となっている。これにより、光線発光部1130から光を受け取る場合には、受光アーム700の回動し、それに伴って、受光素子710が光線発光部1130の真上に移動する。なお、電力量計1000が電力量計収容部200に収容された際、光線発光部1130は、図6において鎖線で表されている、移動後の受光素子710の真下に位置する。
【0042】
また、受光アーム700は、受光した光のデータを受信する受信部、及び受信データから電力量計1000に供給された電力量を計測する演算部を含む電力量計測手段(図示しない)に、有線又は無線の通信回線を介して接続される。これにより、電力量計1000に供給された電力量を計測することが可能となる。
【0043】
なお、受光アーム700は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、受光アーム700は、エアシリンダ等の所定の昇降手段により受光アーム700を上下方向(図6では、図面の手前から奥、又は奥から手前)に昇降移動させる受光アーム昇降部730に取り付けられる。その際、受光アーム700の軸部720が、受光アーム昇降部730に回動可能に留められる。また、図6では、受光アーム昇降部730は、電力量計収容部200の外側であって、電力量計収容部200に収容された電力量計1000の光線発光部1130の近傍に配置されている。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態について、図7を参照して説明する。なお、上記第一の実施形態に係る自動結線装置10と同一の部分については、同一の符合を付し、説明を省略する。
【0045】
図7は、第二の実施形態に係る自動結線装置20を、図2にある自動結線装置10と同様の位置から見た図である。上記第一の実施形態とは異なる部分は、シャフト移動手段800である。具体的には、シャフト移動手段800は、電磁弁(図示しない)と、両端にシャフト310の各々を保持するシリンダヘッド810と、上記電磁弁が接続され、この電磁弁のスイッチングにより、内部のピストン部830を昇降移動させるエアシリンダ820とを含み、ピストン部830とシリンダヘッド810とが接続される構成である。ただし、エアシリンダ820への空気供給制御手段は、上記電磁弁に限定されるものではなく、他の手段を用いてもよい。
【0046】
シャフト移動手段800は、上記のような構成であるため、電磁弁のスイッチングによりエアシリンダ820を働かせることで、ピストン部830及びシリンダヘッド810を上昇又は下降させることができる。このシャフト移動手段800により、シリンダヘッド810に保持される電力量計押込手段300のシャフト310をスライド移動させる。また、接続シャフト520を介して、設置高さ調節手段500の載置プレート510もスライド移動させる。その他の作用は、第一の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態係る接触子の概略を示す図。
【図2】本発明の一実施形態係る自動結線装置10の正面図。
【図3】図2の自動結線装置10のA−A線の矢視図
【図4】本発明の一実施形態係る自動結線装置10の側面の透視図
【図5】試験時に電力量計1000が自動結線装置10の電力量計収容部200に収容されるまでの工程を示す図
【図6】受光アーム700を備える自動結線装置10を上から見た図。
【図7】本発明のさらに別の実施形態係る自動結線装置20を示す図。
【図8】電力量計1000の概略を示す図。
【符号の説明】
【0048】
10 自動結線装置
20 自動結線装置
100 接触子
200 電力量計収容部
210 接触子ベースプレート部
300 電力量計押込手段
310 シャフト
320 電力量計押え板
330 押え板位置制御部
400 シャフト移動手段
500 設置高さ調節手段
600 基板
700 受光アーム
800 シャフト移動手段
1000 電力量計
1100 本体部
1110 電流端子
1200 カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流端子を含む電力量計と自動結線装置とを電気的に接続する接触子であって、
前記自動結線装置の所定箇所に取付固定される導電性の基部と、
前記電流端子と接触すると共に、押圧されると弾性変形する第一の導電部とを備え、
前記基部の上面に、前記第一の導電部が配設され、
前記電流端子が前記第一の導電部に当接することで、前記第一の導電部が弾性変形し、前記電流端子との接触領域が拡がることを特徴とする接触子。
【請求項2】
前記基部の軸方向に沿って突出する突起部が、前記基部の上面の中央で前記第一の導電部の内側に着脱可能に取り付けられ、
前記突起部の側面には、前記電流端子に設けられる接触子接続孔の内壁と接触する弾性体から構成される第二の導電部が配設されることを特徴とする請求項1に記載の接触子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接触子を備える自動結線装置であって、
前記電力量計を収容可能な電力量計収容部と、
前記電力量計収容部の底部に位置すると共に、前記接触子が立設される接触子ベースプレート部と、
上下方向にスライド移動可能な2本以上のシャフトと、試験時に前記電力量計の所定箇所と当接する電力量計押え板とを含み、前記電力量計を上方から前記接触子ベースプレート部に向かって押し込む電力量計押込手段と、
前記電力量計押込手段の前記シャフトを上下方向にスライド移動させるシャフト移動手段とを備えることを特徴とする自動結線装置。
【請求項4】
前記電力量計押込手段は、前記電力量計押え板の位置を、前記電力量計収容部に近づけ又は離すよう制御する押え板位置制御部をさらに備え、前記押え板位置制御部を介して前記シャフトと前記電力量計押え板とが接続されることを特徴とする請求項3に記載の自動結線装置。
【請求項5】
前記シャフト移動手段は、電磁弁と、エアシンリンダと、ピストン部と、シリンンダヘッドとを含み、前記電磁弁のスイッチングにより前記ピストン部及び前記ピストン部に保持される前記シリンダヘッドをスライド移動させ、さらに前記シリンダヘッドに保持される前記電力量計押込手段の前記シャフトをスライド移動させることを特徴とする請求項3又は4に記載の自動結線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103018(P2012−103018A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249230(P2010−249230)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(311002034)GE富士電機メーター株式会社 (4)
【出願人】(300086388)デンソクテクノ株式会社 (8)