説明

接近方向を決定する動物電子閉じ込めシステム

接近方向を決定する動物電子閉じ込めシステムまたは方向検出動物閉じ込めシステムである。方向検出動物閉じ込めシステムは、一般に閉じ込めエリアの境界を定めるワイヤーループに接続された送信ユニットと、動物が所持する受信ユニットとを含む。本発明の方向検出動物閉じ込めシステムは、極性を有する閉じ込め磁界を発生し、アジマスに沿って最適にされた検出コイルを使って閉じ込め磁界が検出されると、極性情報を記憶する。受信ユニットは、この受信ユニットの配向を決定するための重力ベクトルも発生する。重力ベクトルは、受信ユニットの配向から独立した検出コイルの出力を自動的に発生する関数を発生するよう、重力ベクトルと閉じ込め磁界ベクトルとが組み合わされる。検出コイルの出力の極性によって、受信ユニットがワイヤーループに接近する方向を決定することが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスレファレンス)
本願は、2007年1月17日に出願された米国特許出願第11/624,133号の権利を主張するものである。
(連邦政府がスポンサーとなる研究または開発に関する記述)
適用不可
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、動物電子閉じ込めシステムに関し、より詳細には、境界ワイヤーに接近する動物が閉じ込め境界内にいるのか、またはその外にいるのかを判断できる、動物電子閉じ込めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
動物を所定の境界内に入れておくのに一般に動物電子閉じ込めシステムが、使用されている。代表的な動物電子閉じ込めシステムは、閉じ込めエリアの境界を定めるワイヤーループアンテナと、ワイヤーループに接続され、このワイヤーループが搬送する信号を発生する送信機と、動物がワイヤーループの境界に接近したときに警告および/または矯正(懲罰)を行う信号に応答する受信機とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,745,882号
【特許文献2】米国特許第5,794,569号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の動物電子閉じ込めシステムは、境界エリア内部からワイヤーループの境界に接近する動物と、境界エリアの外部からワイヤーループ境界に接近する動物とを区別する能力に欠けている。従って、動物が境界エリアから逃げてしまった場合において、動物が境界エリア内に再び戻ろうとすると、動物は警告および/または矯正を受けることになる。
「動物のための電子閉じ込めおよび通信装置」を発明の名称とし、1988年5月24日にロバート・G・ヤーナル・シニア外に付与された米国特許第4,745,882号には、動物が閉じ込めエリアに戻る際の動物への矯正を防止する、これまでの試みが記載されている。この米国特許第4,745,882号は、2つの別個の閉じ込め送信機が発生する別個の信号を搬送する2本の境界ワイヤーと、動物が逃げたときに閉じ込め送信機を無効にする無効化回路を使用することを開示している。閉じ込め送信機を無効にすることにより、動物は更なる矯正を受けることなく、閉じ込めエリアに戻ることができる。この米国特許第4,745,882号の利点は、部品が2倍必要となること、および矯正をすることなく再進入させるには閉じ込め送信機を無効にしなければならないということによって、小さくなっている。多数の動物に対して使用するとき、動物が1匹だけ逃げたとしても、逃げた動物と境界エリア内にまだいる動物の双方に対して、閉じ込め機能を無効にすることになってしまう。
【0005】
「動物を電子的に閉じ込める装置および方法」を発明の名称とし、1998年8月18日にジョン・ティートス外に付与された、米国特許第5,794,569号は、閉じ込めエリア内に戻ろうとする動物を矯正しないような動物電子制御システムが求められていると述べている(米国特許第5,794,569号、コラム1、39〜41行)。動物が、閉じ込めエリアから逃げようとしているのか、進入しようとしているのかを判断するために、このティートス米国特許の装置は、符号化された信号の端部に単極性パルスを含む(同特許、コラム10、63〜67行)。復号化プロセス中にポータブルユニットが符号化されている信号の負の部分を効果的にドロップする(同特許、コラム11、1〜25行参照)。したがって、極性パルスが存在するか存在しないかにより、符号化されている信号の極性が決定される(同特許参照)。極性パルスの存在または不存在と、傾きスイッチアレイからの情報とを組み合せると、ポータブルユニットは動物が閉じ込めエリア内にいるのか、閉じ込めエリアの外にいるのかを予測できる(同特許67行)。ポータブルユニットは、無線信号を使って境界信号が検出されたことを送信機に通知する(同特許コラム5、30〜34行)。通知信号は、動物が閉じ込めエリア内にいるのか、外にいるのかに関する情報を含む(同特許コラム11、62〜67行)。送信機は適当な矯正を決定し、動物にどのような矯正をするのかをポータブルユニットに命令するための符号化された信号を発生する(同米国特許コラム5、34行〜コラム6、3行)。動物が閉じ込めエリアから逃げ、再び戻ろうとしている場合、ポータブルユニットは、送信機が周辺ワイヤーの外側ゾーンを既にクリアしたことを通知しなければならない(同米国特許コラム12、11〜7行)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、接近方向を決定する動物電子閉じ込めシステムまたは方向検出動物閉じ込めシステムが記載されている。方向検出動物閉じ込めシステムは、一般に閉じ込めエリアの境界を定めるワイヤーループに接続された送信ユニットと、動物が所持する受信ユニットとを含む。本発明の方向検出動物閉じ込めシステムは、極性を有する閉じ込め磁界を発生し、アジマスに沿って最適にされた検出コイルを使って閉じ込め磁界が検出されると、極性情報を記憶する。受信ユニットは、この受信ユニットの配向を決定するための重力ベクトルも発生する。重力ベクトルは、受信ユニットの配向から独立した検出コイルの出力を自動的に発生する関数を発生するよう、重力ベクトルと閉じ込め磁界ベクトルとが組み合わされる。複数の検出コイルの出力の極性によって、受信ユニットがワイヤーループに接近する方向を決定することが可能となっている。
【0007】
この方向検出動物閉じ込めシステムは、ワイヤーループに接続された送信機を含む。このワイヤーループは、閉じ込めエリアの境界を画定し、ワイヤーが損傷しないように保護するよう、一般に地中に埋設されている。このワイヤーループは、閉じ込め信号のための送信アンテナとして働き、閉じ込め信号は、ワイヤーループの全長に沿って警告ゾーンおよび矯正ゾーンを定めるのに使用される。この方向検出動物閉じ込めシステムは、閉じ込め信号に応答自在な受信ユニットも含む。この受信ユニットは、動物に装着されるか、または動物が携帯するようになっている。受信ユニットは、閉じ込め信号を検出し、万が一動物が警告ゾーンに進入した場合に、動物に対して警告を発生する。動物が矯正ゾーン内に進入し続けた場合、この動物には矯正刺激が加えられる。
【0008】
送信機の一実施形態は、ユーザーが送信機のための種々のパラメータを設定できるようにするユーザーインターフェースを含む。このユーザーインターフェースは、送信機の作動を制御する処理回路と通信する。ユーザーインターフェースによって設定されるパラメータを使用し、処理回路は閉じ込め信号発生器に送られる出力信号を発生する。閉じ込め信号発生器は、接近方向を決定するのに充分な情報を含む非対称の閉じ込め信号を発生する。少なくとも閉じ込め信号発生器と通信する出力ステージは、閉じ込め信号の任意の必要な増幅またはその他の信号の条件化を行う。出力ステージと通信するワイヤーループは、その長手方向に沿って閉じ込め信号を一斉送信する。
【0009】
閉じ込め信号発生器は、ワイヤーループの各側で異なる特性、例えば非対称の波形を生じさせる閉じ込め信号を発生する。この非対称の波形は、接近方向を決定することなく閉じ込め機能を可能にする現行の動物電子閉じ込めシステムの受信機と旧バージョンの互換性を有する。より詳細には、閉じ込め信号の波形は有極波形である。右手の規則は、垂直に向いた検出コイルにおける信号極性はこの検出コイルがワイヤーループと交差するとき反転すると規定している。その理由は、電流搬送ワイヤーの片側における垂直方向に向いた磁界の方向は、電流搬送ワイヤーの反対側で垂直方向に向いた磁界の向きと逆になるからである。
【0010】
方向検出動物閉じ込めシステムの一実施形態では、受信ユニットは送信機が発生した閉じ込め信号を検出できる1つ以上の誘導検出コイルを含む。これら検出コイルの出力は、信号条件化回路へ送られる。検出コイルの出力は、受信された信号を処理回路が利用できるようにする。処理回路は、警告または矯正のどちらが必要であるか、および接近方向を決定し、次に警告または矯正刺激を発生させる、受信ユニットのための制御ロジックとなっている。接近方向は受信した信号のデューティサイクルをモニタすることによって決定される。受信ユニット内のオプションの配向検出器は、一般に地球の重力場の方向を決定する。配向検出器からの信号によって処理回路は受信ユニットの配向を決定し、受信された信号の極性を正確に解読することが可能となる。
【0011】
方向検出閉じ込めシステムは、検出コイル内の電圧は近接ワイヤー内の電流の変化レートに比例するという原理に基づいて作動する。送信された波形が降下時間よりも短い立ち上がり時間を有するとき、この結果、波形が示すように、検出コイル内の電圧のデューティサイクルは、不均一となる。変化レートが各半サイクル中に比較的に一定のままとなっている限り、ワイヤー内の電流の方向は問題ではない。
【0012】
イン/アウト決定は、動物が閉じ込めエリアの内部からワイヤーループに接近している場合にしか警告および矯正を発生できないようにするので、より効果的な調教を可能にするように、警告/矯正スキームをカスタム化できる。一実施形態では、警告/矯正スキームは、トリガーされた時間を可能にする。動物が閉じ込めエリア内の矯正ゾーンからワイヤーループの外側の脱出ゾーンまで移動した場合、受信ユニットは選択された時間の間、矯正を発生し続ける。この矯正時間の長さは、従来技術の閉じ込め信号のレンジよりもかなり長い距離にわたって矯正を行うのに充分となるように選択されている。この矯正時間の最大長さは、人の検討事項およびバッテリーの寿命によってしか制限されない。
添付図面と共に、本発明の次の詳細な説明から、本発明の上記特徴がより明瞭に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の方向検出動物閉じ込めシステムの図である。
【図2】埋設されたワイヤーおよび距離の次元と共に、ワイヤーから放射される従来の閉じ込め信号を示す。
【図3】従来の動物電子閉じ込めシステムを使用した場合に方向を区別できないことを示すための、ワイヤーの距離に対する信号強度を示すグラフである。
【図4】方向検出動物閉じ込めシステムのためのモデル、または等価的な回路図である。
【図5】従来の動物電子閉じ込めシステムの送信機および受信機が発生する波形の図である。
【図6】方向を検出する動物閉じ込めシステムの一実施形態の閉じ込め送信機のブロック図である。
【図7】方向を検出する動物閉じ込めシステムの一実施形態の閉じ込め送信機のブロック図である。
【図8】方向検出動物閉じ込めシステムの送信機および受信機が発生する波形の図である。
【図9】重力ベクトルおよび閉じ込め磁界ベクトルに対する方向検出動物閉じ込めシステムの受信ユニット内の検出コイルの配向の一例を示す。
【図10】本発明と共に使用するのに適した平面状重力センサの図である。
【図11】利用できる45°の分解能を示す、図8に対して回転配向された平面状重力センサの図である。
【図12】本発明と共に使用するのに適した移動コア重力センサの図である。
【図13】刺激が発生されている状況を示す方向検出閉じ込めシステムの埋設ワイヤーおよび閉じ込め信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書には、接近方向を決定する動物電子閉じ込めシステムまたは方向検出動物閉じ込めシステムが記載され、添付図面には、かかるシステムが示されている。方向検出動物閉じ込めシステムは、一般に閉じ込めエリアの境界を定めるワイヤーループに接続された送信ユニットと、動物が所持する受信ユニットとを含む。本発明の方向検出動物閉じ込めシステムは、極性を有する閉じ込め磁界を発生し、アジマスに沿って最適にされた検出コイルを使って閉じ込め磁界が検出されると、極性情報を記憶する。受信ユニットは、この受信ユニットの配向(orientation)を決定するための重力ベクトルも発生する。重力ベクトルは、受信ユニットの配向から独立した検出コイルの出力を自動的に発生する関数を発生するよう、重力ベクトルと閉じ込め磁界ベクトルとが組み合わされる。複数の検出コイルの出力の極性によって、受信ユニットがワイヤーループに接近する方向を決定することが可能となっている。
【0015】
図1は、本発明に係わる方向検出閉じ込めシステム100の図である。この方向検出動物閉じ込めシステム100は、図に対象線で表示されたワイヤーループ104に接続された送信機102を含む。ワイヤーループ104は、閉じ込めエリア106の境界を定め、このワイヤーループは一般にワイヤーを破壊から保護するために、地下に埋め込まれている。このワイヤーループ104は、閉じ込め信号に対する送信アンテナとして作動する。点線は、閉じ込めエリア106内の矯正ゾーン108のエッジを示し、一点鎖線は、閉じ込めエリア106内の警告ゾーン110のエッジを示す。警告ゾーン110によって境界が画定されたエリアは、安全ゾーン112となっている。送信機102から、所望する境界位置までのワイヤーループ部分114は、安全ゾーン112内に位置していることが多く、一般にワイヤーループのこの部分112に対する閉じ込め信号の相殺の効果を得るように、共に撚られたワイヤーループの端部を有する。点描により示されたワイヤーループの外側のエリアは、脱出ゾーン116である。この方向検出動物閉じ込めシステム100は、極めて低い周波数、例えば7kHzまたは10kHzで作動し、近接検出のために近電磁界信号が使用される。
【0016】
方向検出動物閉じ込めシステム100は、閉じ込め信号に応答する受信ユニット118も含む。この受信ユニット118は、動物120に装着するか、または他の方法で動物が保持するようになっている。図示されている実施形態では、受信ユニット118は、首輪122上に装着されている。当業者であれば、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、ストラップ、ハーネスまたは動物用の服を使用する他の方法で、受信ユニット118を保持できることが理解できよう。受信ユニット118は閉じ込め信号を検出し、動物120が警告ゾーン110へ進入した場合、動物120に警告を発する。警告は一般に、動物が境界104へと向かい続けた場合、矯正が行われる旨を動物に警告する可聴音となっている。動物120が万が一矯正ゾーン108内に進入し続けた場合、動物120へ矯正刺激が加えられる。一般に使用される矯正技術は、境界104に向かって動物が接近し続ける気をそぐようにする電気ショックを与えることである。当業者であれば、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、任意の警告または矯正技術を使用できることが認識できよう。
【0017】
図2は、地下202に埋設されたワイヤー200から放射される電磁界を示し、ここで、dMAXは、境界電磁界の最大の幅であり、dWARNは信号強度が警告信号レベルに達する境界ワイヤーからの距離であり、dCORRECTは、信号強度が矯正信号レベルに達している境界ワイヤーからの距離である。この図面から正面に向かって電流が流れ出ると仮定した場合、電磁界は矢印204で示される方向に放射される。電流搬送ワイヤーに対する近似磁束密度は、次の式によって示される。
【数1】


ここで、Bφは磁束密度であり、Iは電流であり、dはワイヤーからの距離であり、μは透磁率(4π×10−7H/m)である。代表的な閉じ込め信号電流の大きさである、20mAの電流を搬送するワイヤーから、約30.5cm(約1フィート)の距離で生じる近似磁束密度は次のとおりである。
【数2】


よって、電流が流れる結果として、ワイヤーの近くの磁束密度は地球の磁界の約4000の1であり、ここで、米国における地球の磁界は約0.5Gである。
【0018】
通常、埋設されたワイヤーループ104は、ワイヤーループ104に対する検出コイルの位置に関する情報を与えることがない無極性のサイン信号によって電気的に励起される。したがって、閉じ込め境界106の両側では警告ゾーン110と矯正ゾーン108が鏡像関係となる。図2および3、ならびに式1および2から理解できるように、ゾーンの幅は動物電子閉じ込めシステムの出力パワーによって制限される。従来の動物電子閉じ込めシステムでは、送信機が最大パワーで作動されるとき、dmaxの値は、約9.1m(約30フィート)である。これにより、閉じ込め境界106内の警告ゾーン110および閉じ込めゾーン108の双方の幅は、約4.6m(約15フィート)となる。警告ゾーン110の幅が矯正ゾーン108の幅にほぼ等しい場合、閉じ込め境界106の内部および外部の双方における矯正ゾーンの全幅は、約4.6m(約15フィート)となる。毎時約32km(約20マイル)の速度で移動する飼い犬は、毎秒約8.8m(約29フィート)で走り、最大境界幅(最大送信機パワー)では、フルスピードで走る犬は約1秒の間に境界全体を横断し、1秒の約半分の間しか矯正を受けない。したがって、実際には、動物電子閉じ込めシステムの多くのユーザーは、ゾーンの幅を最大にするように、システムを最大パワーで作動させる。しかしながら、興奮した状態の犬は、不快感をほとんど受けることなく、従来の動物電子閉じ込めシステムの境界を破ることができると理解すべきである。
【0019】
図3は従来の動物電子閉じ込めシステムによって使用されるスレッショルド検出方式の代表的なワイヤーからの距離に対する閉じ込め信号の強度のグラフである。受信ユニットから見た閉じ込め信号の強度を測定することにより、ワイヤーループに対する相対的近接度が決定される。受信ユニットが境界ワイヤーに接近すればするほど、受信される信号も強くなる。受信ユニットは受信した信号強度とスレッショルドレベルとを比較する。第1エネルギーレベル、すなわち警告スレッショルドにおいて警告が発せられ、第2エネルギーレベル、すなわち矯正スレッショルドに達すると、矯正が行われる。かかるシステムでは、閉じ込め信号の最小レンジおよび最大レンジは、送信機の送信パワーによって制限される。
【0020】
単一ワイヤーを使用する従来の動物電子閉じ込めシステムには、動物が脱出ゾーン116から境界104に接近しているのか、または閉じ込めゾーン106から接近しているのかを判断する能力はない。したがって、動物120が逃げ、閉じ込めエリア106に戻ろうとする場合、動物120は、閉じ込めエリア106から逃げようとした場合に受けたのと同じ警告および矯正を受けることになる。したがって、一旦ワイヤーループの外側に逃れた場合は、動物は別の安全なゾーンに事実上は入り込んだ状態となる。最大パワーで送信することは、より大きなバッファを提供し、より大きな抑止効果のチャンスを提供できるだけでなく、動物が利用できる安全なゾーンを狭くすることもできる。
【0021】
図4は、埋設されたケーブルを示す一次巻線402と、受信ユニット内の検出コイルを示す二次巻線404を有する、疎く結合(lightly−coupled)されたトランス400をモデル化した回路図である。このモデル回路400は、テストポイントTPv1およびTPdv1を備え、これらテストポイントは図5および8を参照して説明する信号に対する基準ポイントとして働く。
【0022】
図5は、従来の動物電子閉じ込めシステムの波形を示す。従来の動物電子閉じ込めシステムでは、境界ワイヤーは、図5に示されるようなサイン波信号500により電気的に励起される。サイン波信号は無極性であり、このことは誘導信号/受信信号を観察しても、検出(ピックアップ)コイルの配向に関する情報を得ることができないことを意味する。従来の動物電子閉じ込めシステムの例では、プロセッサが矩形波出力を発生し、この出力はサイン波信号500を発生するようにフィルタにかけられる。サイン波信号500は、フィードバックパス内に電流ドライバー/アンプを有する演算増幅ステージに供給され、閉じ込め信号(図示せず)を発生する。
【0023】
図5には、テストポイントTPdv1で取り込まれた従来の動物電子閉じ込めシステムにおける受信信号502の波形も示されている。この受信された信号502はサイン波信号500の正の半サイクルおよび負の半サイクルに対応する対称的な矩形波となっている。この信号は、受信ユニットがワイヤーに接近する方向とは無関係に同一となっているが、明らかな例外は、磁界の向きが反転した場合である。受信信号500の結果、対称的な受信信号502が得られるので、受信された信号502は50%のデューティサイクルを有する信号を発生するが、検出コイルが反転しているのかどうかを判断するのには不充分な情報しか含んでいない。すなわち受信された信号の極性は、検出不能である。
【0024】
図6は、本発明の送信機102の一実施形態のブロック図である。この送信機102は、ユーザーが送信機102のための種々のパラメータを設定できるようにするユーザーインターフェース600を含む。ユーザーインターフェース600は、処理回路602と通信し、処理回路602は、送信機の作動を制御する。ユーザーインターフェースによって設定されるパラメータを使用し、処理回路602は、閉じ込め信号発生器604へ送られる出力を発生する。この閉じ込め信号発生器604は、接近方向を決定するのに充分な情報を含む非対称な閉じ込め信号を発生する。少なくとも閉じ込め信号発生器604と通信状態にある出力ステージ606は、閉じ込め信号の必要な増幅や他の信号調整を行う。出力ステージ606と通信状態にあるワイヤーループ104は、その全長に沿って閉じ込め信号を一斉送信する。
【0025】
ユーザーインターフェース600は、ユーザーが送信機102のパラメータを設定できるようにする入出力デバイスを備える。一実施形態では、ユーザーインターフェース600は処理回路602を介し、出力ステージ606を制御する。これとは異なり、ユーザーインターフェース600が処理回路602と組み合せて、または処理回路602と別個に、出力ステージ606を制御してもよい。入力デバイスの例として、データ入力のための種々のアナログまたはデジタル機構、例えばスイッチ、ボタン、ノブおよびキーパッドを挙げることができる。出力デバイスの例として、視覚的および可聴的インジケータ、例えば発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)およびスピーカーを挙げることができる。ユーザーインターフェース600は、処理回路によって入力信号を使用できるようにする、必要な信号調整も含む。ユーザーインターフェースが設定するパラメータの例として、一斉送信信号のレンジおよび作動モードを挙げることができる。一実施形態では、作動モードによって、閉じ込め信号が警告だけの情報を搬送するのか、または警告と矯正の双方のための情報を搬送するのかを、ユーザーが選択できるようにする。
【0026】
処理回路602は、送信機を作動させるための必要な判別およびシーケンス化能力を提供する任意の論理デバイスまたは回路(アナログまたはデジタル)である。処理回路に適した1つのデバイスとして、マイクロチップテクノロジーインコーポレーションからのPIC16C505がある。本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、処理回路602に対して他のデバイスおよび回路を使用することもできる。一実施形態では、処理回路602は、不均一(uneven)のデューティサイクル、例えば約60%のデューティサイクルを有する矩形波で、閉じ込め信号発生器をドライブ(駆動)する。
【0027】
閉じ込め信号発生器604は、ワイヤーループ104の各側で異なる特性を生じさせる閉じ込め信号を発生する。この閉じ込め信号発生器604は、不均一なデューティサイクルの矩形波を非対称の三角形波に変換する。一実施形態では、閉じ込め信号発生器604は、演算増幅器の積分ステージである。試験の際に本発明者達は、三角形波信号発生器の出力ステージの特性は部品選択により変化することに気付いた。例えば約1MHzの利得バンド幅(GBW)を有するLM641演算増幅器を使用すると、三角形波の正の部分がひどく歪んだ。約15メガヘルツの広いGBWおよび1マイクロ秒当たり50ボルトのスルーレートを有する演算増幅器は、より良好な三角形波を発生した。適当な1つのデバイスは、LM318演算増幅器である。更に三角形波は、接近方向の決定を行わないで閉じ込め機能を行う現行の動物電子閉じ込めシステムの受信機と下位互換性がある。
【0028】
別の実施形態では、閉じ込め信号発生器は、処理回路によらずに、三角形波を発生する。閉じ込め信号発生器は、立ち上がりの傾きおよび降下の傾きの調節を可能にするディスクリートの三角形波発生器を含む。このディスクリートの三角形波発生器は、出力電流ドライバーを直接ドライブし、三角形波に対して2つの振幅レベルを提供する。ディスクリート三角形波発生器は、3つの演算増幅ステージとコントローラとを含む。2つの第1演算増幅ステージは、ベース信号を三角形波に変換するための周波数および傾き調節を行う。第3演算増幅ステージは、DCオフセットおよび利得を調節する。コントローラは三角形の波形の振幅を変え、警告と矯正との区別を可能にすると共に、三角形波形のオン/オフタイミングを制御する。
【0029】
より詳細には、閉じ込め信号の波形は有極波形である。右手の法則によると、検出コイルがワイヤーループと交差するとき、垂直に向いた検出コイル内の単一極性が反転する。その理由は、電流搬送ワイヤーの一方において、垂直方向に向いた磁界方向は、そのワイヤーの反対側で垂直方向に向いている時間の方向と反対となるからである。図13を参照すると、ワイヤーの右側の磁界の方向は、地面に対して上向きであり、ワイヤーの左側で地面に対して下向きである。
【0030】
図7は、方向検出動物閉じ込めシステム100の一実施形態における受信ユニット118のブロック図である。受信ユニット118は、送信機102が発生した閉じ込め信号を検出できる1つ以上の誘導検出コイル700、702を含む。一実施形態では、2つの検出コイル700、702が使用されており、一方のコイルは10.7kHzの基本周波数に同調しており、他方のコイルは32kHzの三次高調波周波数に同調している。検出コイル700、702の出力は、信号調整回路704に送られる。信号調整回路704は、演算増幅加算ステージ706と、低ノイズの高利得演算増幅フロントエンド708と最終利得ステージ710とを含む。演算増幅器の加算器706は、処理のために2つの検出コイル700、702の出力を加算するのに使用される。検出コイル700、702の一方が受信した信号の位相をシフトするためのオプションの位相シフト回路712が設けられており、演算増幅器の加算器706内で検出コイルの出力を加算する前に、受信した信号が他の検出コイル700で受信した信号と整合する。図示されている実施形態では、受信ユニット118は、2つの別の検出コイル714、716を含む。検出コイル700、702、714、716の出力は、受信した信号を出力回路718で利用できるようにし、処理回路718は第1処理デバイス720と第2処理デバイス722とを含む。
【0031】
図示されている実施形態のように、受信ユニット118のための制御ロジックを提供する処理回路718は、接近方向を検出しない第1処理デバイス720、一般には現行の特定用途向け集積回路(ASIC)を使用するときには、別の検出コイル714、716が含まれる。このようなコイル配置により、新しいASICを設計することなく、現行の製品設計に接近方向検出能力を追加できる。図示されている実施形態では、ASIC720は、追加検出コイル714、716で受信された信号をデコードし、動物に対して警告刺激を加えるべきか、または矯正刺激を加えるべきかを判断する。この判断結果は第2処理デバイス722へ送られ、この第2処理デバイス722は、必要とされる刺激の発生を制御し、接近方向を決定する。
【0032】
図示されている実施形態では、ASIC720は、タイミング判断とスレッショルド判断との組み合わせを使って、受信された信号をデコードし、かつ分析し、スプリアス信号を除く。受信された信号が充分な時間の間、充分な振幅を有する場合、ASIC720は、動物が境界の近くにいることを示す出力を発生する。警告成分および閉じ込め成分毎に別個の信号レベルおよびタイミングを有する閉じ込め信号を符号化することによって、ASIC720は警告ゾーンに進入したことを示すのか、または矯正ゾーンに進入したことを示すのかを更に判断できる。この符号化方式の特定の例は、特定の時間中に生じる第1の大きさを有する警告成分を提供する。矯正成分は、特定の時間中にも生じる第1の大きさよりも小さい第2の大きさを有する。警告成分の直後に矯正成分が生じる。動物がワイヤーループに接近するにつれ、信号強度が高まる。警告ゾーン内では、警告成分だけがアクティブであるとみなされる程の充分な大きさを有しているので、ASIC720は警告信号の寿命中に閉じ込め信号に関するアクティビティしか認識しない。動物がワイヤーループに接近し続けるにつれ、受信された信号の大きさも大きくなる。動物が閉じ込めゾーンに進入すると、警告成分と矯正成分の双方は、アクティブと見なされる程の充分な大きさとなる。警告成分と矯正成分の双方は、まだ不均一な相対的な大きさとなっているが、これら成分は、ASIC720により、アクティブであると見なされ、アクティブな時間は警告コンポーネントと矯正コンポーネントの組み合せ時間となる。このようにASIC720は、受信ユニットが警告ゾーンにあるのか、または矯正ゾーンにあるのかを判断する。当業者であれば、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、受信ユニットが警告ゾーンにあるのか、または矯正ゾーンにあるのかを判断する他の符号化/デコード方式および方法を認識できよう。更に当業者であれば、他の境界検出方式および対応する回路を想到できよう。
【0033】
上記のように、第2処理デバイス722は、リクエストされた刺激を発生する役割、および接近方向を決定する役割を有する。第2処理デバイス722を構成するのに使用される1つの適当なデバイスとして、マイクロチップテクノロジーインコーポレーションからのPIC16F628Aマイクロコントローラがある。マイクロコントローラ722へ送られる、ASIC720からの出力の結果として、刺激の発生が生じる。しかしながら、ASIC720は受信した信号を処理し、その結果をマイクロコントローラ722へ送るだけであるので、受信された信号内の情報は、マイクロコントローラ722には利用できない。したがって、検出コイル700、702および信号調整回路704は、接近方向を決定するのに必要な、受信された信号内の情報を、マイクロコントローラ722へ提供するのに使用される。
【0034】
マイクロコントローラ722は、受信ユニット118が、閉じ込めエリアの内側からワイヤーループ104に接近しているのか、または閉じ込めエリアの外側からワイヤーループ104に接近しているのかを判断するために、受信された信号のデューティサイクルをモニタしている。続いて、図8を見ると、受信された信号のデューティサイクルは、非対称の波形により、方向に応じて変化することが理解できよう。マイクロコントローラ722は、第1処理デバイス720と通信する。特にマイクロコントローラ722は、ASIC720からの警告出力信号の受信時にスリープ(低パワー)状態からウェークアップする。矯正出力信号の発生前に警告出力信号の発生が行われるので、このような警告出力信号が使用される。受信ユニット118がワイヤーループに接近中であるときにしかマイクロコントローラ722をウェークアップしないので、受信ユニット118が消費するパワーを低減できる。
【0035】
図示されている実施形態では、受信ユニット118は、マイクロコントローラ722と通信するオプションの配向検出器724、例えば集積回路加速度計を含む。この配向検出器724は、一般に地球の重力場の方向を決定する。配向検出器724からの信号により、マイクロコントローラ722は受信ユニットの配向を決定し、受信した信号の極性を正確に解読する。
【0036】
有極波形を受信するのに必要な周波数バンドは、現行の動物電子閉じ込めシステムの受信機で使用される基本波形の周波数バンドよりも広いので、受信ユニットの検出コイルの感度はより低い。受信ユニット118は、処理デバイス718へ提供される受信信号を減衰させ、イン/アウトの決定を行うのに受信される信号を処理するのに必要な感度と一致させる。一実施形態では、送信機102は、信号の減衰を補償するよう、閉じ込め信号のドライブ電流を増加するようになっている。
【0037】
最後に、受信ユニット118は、警告刺激送りシステム728を通して動物に送られる警告信号を発生する処理デバイス718に応答自在な警告刺激発生器726を含む。同じように、処理デバイス718に応答自在な矯正刺激発生器730も、矯正刺激送りシステム732を通して動物に送られる矯正信号を発生する。従来技術のシステムと異なり、方向検出動物閉じ込めシステム100は、動物が閉じ込めエリア内からワイヤーループに接近したときにしか、警告および矯正刺激を送らない。
【0038】
以上で受信ユニットの一実施形態について図示し、説明したが、当業者であれば、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、製造ユニットで望ましい種々の変形例を思いつくことができよう。例えば当業者であれば、信号調整回路704内のステージの数、構成および順序を、必要に応じて変更できることが認識できよう。更に当業者であれば、処理回路718の変更により、検出コイルの数を減少できることも認識できよう。例えば、ASICおよび/またはマイクロコントローラの替わりにASICおよび/またはマイクロコントローラの機能を実行できる再設計されたASICまたは別の汎用プロセッサを使用し、わずか1つの組の検出コイルが受信した信号から、必要なすべての情報を抽出できる。また、当業者であれば、演算増幅ステージのうちの1つをアクティブフィルターにすることにより、不要な高周波ノイズを除去できることが理解できよう。更に、処理回路を構成する処理デバイスのタイプおよび数は、受信ユニットの利用できるコンポーネント、特定の実現例、および所望する機能の組に応じて決まる。したがって、処理回路は本発明の必要な機能のすべてを実行する単一の処理デバイスを含むことができると理解すべきである。処理デバイスのタイプおよび数を変えることは、本発明の範囲および要旨内に留まると見なされる。
【0039】
単一検出コイルを使用する別の実施形態では、有極送信信号を受信するように、基本周波数よりも広いバンド幅にわたって検出コイルが作動する。この検出コイルは、19kHzに同調されており、3dB周波数がほぼ11.5kHzおよび31.3kHzであり、基本の10.7kHzおよび三次高調波周波数を通過させ、帯域外干渉をフィルタ除去することを助ける。
【0040】
当業者であれば、検出コイルのクオリティ・ファクターであるQと送信信号の分極量との間で、工学的なトレード・オフが可能であることを認識できよう。検出コイルをチューニングするために提供される数値は例示であり、本発明をいかなる意味においても限定するものではないことも認識できるはずである。更に当業者であれば、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、検出コイルのチューニングを変えることができると認識できよう。最後に、受信ユニットの受信セクションは一次元の実現例および二次元の実現例の双方で説明したが、当業者であれば、これまで説明した受信機の実現例を拡張することができよう。
【0041】
図8は、閉じ込め信号をドライブするために方向検出閉じ込めシステム100によって生じる非対称の励起波形800およびその結果受信ユニット内で生じる波形802、804を示す。本発明の方向検出動物閉じ込めシステムは、一般的に使用されているサイン波閉じ込め信号を、非対称の三角形波形800に置換するものである。この非対称の三角形の波形800は、波形発生器からの理想的な信号を示す。実際に大きな抵抗を有しない、ワイヤーループによって搬送される非対称の三角形波形は、より丸くなるが、この非対称の三角形波形は、検出のために充分な非対称を維持する。
【0042】
方向検出閉じ込めシステム100は、検出コイルにおける電圧が近接ワイヤー104内の電流の変化レートに比例するという原理に基づいて作動する。送信された波形の立ち上がり時間が降下時間よりも短いと、その結果、波形802、804が示すように、検出コイル内の電圧デューティサイクルは不均一となる。各半サイクルの間に変化レートが比較的一定に留まる限りワイヤー内の電流の流れの方向は、問題とはならない。
【0043】
励磁波形800は非対称となっているので、受信された信号802、804のデューティサイクルは、受信された信号の極性を示す。中間波形802は、受信ユニットがワイヤーループ内にあるときの検出コイルの出力を示す。より低いほうの波形804が検出コイルの出力を示す。
【0044】
図9は、互いに直交するように2つの検出コイルE、Eが配置された代表的な受信ユニット700を示す。
【数3】


および
【数4】


ここで、Eはいずれかのコイルが矯正電界ベクトルと完全に整合しているときに受信される最大閉じ込め信号である。受信ユニット700の垂直コイルEが重力ベクトルGに対して角度θに配向されており、矯正電界ベクトルHが重力ベクトルと共線上になっているとき、内部ベクトルの内積は次の成分を形成すると仮定する。
【数5】


これらの成分は、次の式で示される。
【数6】


幸運なことに、この仮定は動物がワイヤーループに接近する際のほとんどの領域にわたって良好に近似していると証明される。
【0045】
コイルによって検出される磁界密度の値は、コイルの出力ベクトルと磁界ベクトルとのベクトルの内積によって決定される。コイルのコアが磁界ベクトルと並列に配向されているときに、磁界のフル強度が検出される。コイルのコアと磁界ベクトルとがオフセットしているとき、検出される実際の磁界強度は、これらベクトルの間の角度のコサインだけ減少する。したがって、コイルのコアが磁界ベクトルに対して垂直に配向されていると、極めて小さい磁界しか検出されない。電磁界がコイルコアに対して平行に移動するように、検出コイルがワイヤーのまわりの仮想円(imaginary circle)に対して接線方向にあるとき、受信される信号の大きさは最大となる。明らかに動物がワイヤーループに接近するときには、少なくとも1つの検出コイルを実質的に垂直に配向させることが望ましい。
【0046】
説明を続ける前に、便宜のために、方向検出動物閉じ込めシステムの設計を簡略化するいくつかの基本的な仮定について記載する。第1に、動物が保持する受信ユニットが、この動物と地面の間にあるものと仮定する。このことは、動物が立っている状態で閉じ込めエリア内に接近していることを意味する。第2に、垂直回転(水平軸線を中心とする回転)のレンジは、約90度以下(≦90°)であると仮定する。受信ユニットが、その仮定される垂直回転レンジ内に留まる場合、受信ユニットの配向は常に知ることができる。第3に、ワイヤーループ自体が元の方向に戻ることによって閉じ込め信号の極性を変えたり不明瞭にしたりしないと仮定する。一般に、これら仮定は、閉じ込め信号を標準化し、受信ユニットの起こり得る配向を制限し、受信された信号に関する極性の決定を簡略化するものである。
【0047】
上記仮定に基づく受信ユニットは、この受信ユニットがこれまでの仮定によって特定される配向に留まる限り、正しく作動する。特にこれら仮定は、動物が通常の体の配置で4本足のすべてで立っている状態で移動しながら、ワイヤーループに接近していることに限定している。これら仮定は、ほとんどのケースにおいて方向検出閉じ込めシステムが正しく作動する結果を生じさせる可能性が高い。
【0048】
第2の仮定をした場合のリスクは、単一検出コイルしか有しない受信ユニットに、90°より大きい角度で磁界ベクトルを検出させるようにする位置に受信ユニットが配向されるということである。90°より大きい角度では、検出コイルから見た極性はもはや正確ではなく、この結果、検出コイルは不良な極性を有する受信矩形波を発生する。上記のように、オプションの第2検出コイルを追加した場合、正確な極性検出をするためのレンジは、約180°となる。
【0049】
図7のブロック図に示されたオプションの配向検出器724は、これまで説明した仮定の一部またはすべてを有効にする必要がないように、方向検出閉じ込めシステム100の機能を拡張できる。配向検出器724により、より広いレンジにわたって極性を正確に測定することが可能となる。単一検出コイルでは、検出ユニットが裏返しになっているかどうかを判断できる能力により、約180°にわたり、極性の検出を可能としている。相互に直交する2つの検出コイルを使用すると、正確な極性決定をするためのレンジは、フルの360°に近づく。
【0050】
首輪の配向を決定する1つの方法は、重力ベクトルを電気的な形式で示すことである。図10および11は、重力ベクトルの発生により首輪の配向を決定するための平面状重力センサ1000の一実施形態を示す。図示されている実施形態では、この平面状重力センサ1000は、電気的に非導電性材料から製造され、一部が導電性の液体1004が充填された中空矩形体1002となっている。この液体1004は、平面状重力センサ1000内の容積の少なくとも半分を占める。矩形体1002の各コーナーは、電気的に絶縁された4つの接点1006a〜dのうちの1つを形成しており、これら接点1006a〜dは、コーナーを導電性材料でめっきまたは充填するか、または他の同様な技術によって形成されている。矩形体の中心の近くには追加接点1008が位置している。この近く接点1008は、4つのコーナーの接点から電気的に絶縁されている。平面状重力センサ1000の配向を測定するためのデコーダロジック回路1010へのコーナー接点の各々に電気リード線またはワイヤーが接続している。中心接点1008に接続された電気リード線またはワイヤーは、基準ポイントを提供している。コーナー接点1006a〜dのいずれかが、液体1004が中心接点1008に接続すると、完成した回路が形成される。
【0051】
図10は、コーナー接点のうちの2つの接点1006b〜cが液体に接触状態にある第1の配向における平面状入力センサ1000を示す。図11は、コーナー接点のうちの3つの接点1006a〜cが液体1004に接触状態にある、約45°回転している平面状重力センサ1000を示す。液体1004を介して中心接点1008に電気接触するコーナー接点1006a〜dを識別することにより、約45°の分解能で平面状重力センサ1000の相対的配向が決定される。粘性の選択により、動きをスムーズにすることができる。別の実施形態では、22.5°の分解能を得るために、約22.5°だけ平面状重力センサのうちの1つが他のセンサからオフセットされている2つの平面状重力センサが使用される。更に別の実施形態では、平面が互いに直交するように配置されている1つ以上の平面状重力センサの組を3つ使って、三次元における分解能が得られる。
【0052】
図12は、重力センサ1200の別の実施形態を示す。この図12のコア移動重力センサ1200は、内部に収納された円筒形コア1204を見せるように切り欠かれて、全体が円筒形をした本体1202を示す。本体1202の中心部分のまわりには、交流電流源1208によって駆動される中心巻き線1206が巻かれており、本体1202の各端部には、別個の端部巻き線1210a〜bが巻かれている。これら2つの端部巻き線1210a〜bは逆方向に巻かれている。本体1202が水平に配向されているとき、本体1202の中心部分にコア1204を位置決めするように、一対のスプリング1212a〜bが協働している。本体1202が水平に配向していることは、重力がゼロであることを示している。本体1202が水平の配向状態から移動すると、コア1204は重力を受けて、地面に最も近い本体1202の端部に向かって移動する。コア1204の位置は、中心巻き線1206と端部巻き線1210a〜bとの間の結合ファクターを決定する。コアが移動する重力センサ1200は、重力ベクトルに電界強度を乗算した出力を発生する。この理由は、結合ファクターはコアが重力にどれだけ良好に整合しているかを示す関数であるからである。コア1204が本体1202のいずれかの端部により接近するにつれ、対応する端部巻き線1210a〜bへの結合が増加する。端部巻き線1210a〜bは、逆方向に巻かれているので、この結果、出力は極性情報も含む。
【0053】
首輪の配向を決定するための別の技術は、静的な加速度(例えば重力)を測定できる加速度計を使用する。適当なデバイスとして、アナログデバイセス社からのADX202±2g二軸加速度計がある。このADX202デバイスは、加速力を受けると若干移動する容量性のフィンガー(細長いもの)を複数使用している。ADX202の出力はデューティサイクルが変調された信号であり、この信号は2つの検出軸線の各々における加速度に比例するデューティサイクルを有する。これら出力は、更なる変換をしなくても1つのプロセッサによって直接読み取り可能である。
【0054】
より広いレンジの正確な極性検出をするためのコストは、金銭的、時間的および処理の複雑さに関係してくる。配向検出器を追加すると、ユニットの金銭的コストが増す。更に、配向検出器から重力ベクトルを得て、これを処理するには別の時間が必要である。最後に、極性検出に重力ベクトルを組み入れることは、計算の複雑さを増す。したがって、動物が移動する際に加速ベクトルが変化し、重力ベクトルの相対的方向を決定する最低限の時間分析をすることが必要となる。極性を決定するには配向センサの各出力を検討し、測定された磁界の極性を証明しなければならない。
【0055】
集積回路ベースの加速度計を使用すると、デジタル出力を発生することがより容易となり、機械式インターフェース、例えば上記センサを不要にする。しかしながら、首輪の配向を決定するための種々の技術のうちのいずれも、サイズ、重量、パワー消費量、コスト、信頼性、精度および正確さによって調節される広い範囲の設計上の仕様内での実行可能な代替技術である。
【0056】
ASICが発生した警告制御信号を受信すると、マイクロコントローラはスリープ(低電力)状態からウェイクアップし、処理を開始する。マイクロコントローラは配向検出器から複数のサイクルを読み出し、受信ユニットを配向、例えばアップ/ダウン結果を決定する。更にマイクロコントローラは、ASICからの受信信号から複数のサイクルを読み出し、デューティサイクルに基づく信号の極性、例えば正/負の結果を決定する。アップ/ダウン結果および正/負の結果は、処理され、イン/アウトの結果を決定する。一実施形態における、イン/アウトの決定および結果を論理真理表としてまとめる。
【表1】

【0057】
イン/アウトの結果がインであり、このことが閉じ込めエリアの内部からワイヤーループに接近中であることを意味する場合、警告/矯正信号が発せられる。イン/アウトの結果がアウトであり、動物が閉じ込めエリアの外部からワイヤーループに接近中であることを意味する場合、警告/矯正信号は発せられない。更に、動物が外部からワイヤーループに接近し始めたことを受信ユニットが知っている場合には、動物が安全ゾーンに再進入するまで、警告および/または矯正信号の発生を抑制する。このように、動物は閉じ込めエリア内に戻ろうとする意志がそがれることはなく、復帰が禁止されることはない。
【0058】
イン/アウト決定により、動物が閉じ込めエリアの内部からワイヤーループに接近する場合に限り、警告および矯正信号を発生することが可能となるので、より効果的な調教をするために、警告/矯正スキームをカスタム化できる。一実施形態では、警告/矯正スキームはトリガーされた期間を可能にする。動物が閉じ込めエリア内の矯正ゾーンから、ワイヤーループの外側の脱出ゾーンに移動した場合、受信ユニットは選択された時間の間、矯正信号を発生し続ける。この矯正時間の長さは、従来の閉じ込め信号の距離よりもかなり長い距離にわたって矯正を行うために充分長くなるように選択されている。この矯正時間の最大長さは人が決定する事項およびバッテリーの寿命にのみ依存する。例えば毎時約32km(毎時20マイル(20mph))で移動する動物の例を再び挙げると、矯正時間を8秒とすると、矯正エリアの有効幅はワイヤーループを越えて約70.7m(約232フィート)の長さまで延長する。従来の動物電子閉じ込めシステムのワイヤーループの外側の矯正エリアの最大幅と比較すると、有効幅は15倍広い。明らかに、有効幅は動物の移動速度に拘束される。より低速で移動する動物に対しては、より広い有効矯正エリアの最終結果は同じままであるが、実際の寸法は異なる。図13は、警告および矯正ゾーンは磁界の存在に関しては閉じ込めエリアの内部にしか存在しないが、矯正ゾーンは、脱出方向にしか発生しない磁界の存在と無関係の時限関数として、閉じ込めエリアの外側まで延びている基本概念を示す。
【0059】
従来の動物電子閉じ込めシステムでは、トリガーされた時間の警告/矯正スキームは実用的ではない。動物が実際に閉じ込めエリアを離れたのかどうか分からない場合、時限矯正時間を開始することは、安全ゾーンに戻る動物を不必要に矯正してしまうことになる。このような不必要な矯正は、動物を不公正に罰することになり、有効な調教をする上で生産的ではない。
【0060】
方向検出動物閉じ込めシステム100の受信ユニット118は、標準的な動物電子閉じ込めシステムの受信ユニットとして、実質的に同様な電力条件で作動する。方向検出動物閉じ込めシステム100の受信ユニット118内に追加される回路は、アクティブ中は2.5mA未満であり、かつスリープ中は10μA未満であると計算されている。配向検出器724を使用すると、アクティブ時間中約0.6〜1mA増加する。
【0061】
以上で、方向検出動物閉じ込めシステムを示し、このシステムについて説明した。この結果得られる方向検出閉じ込めシステムは、非対称の閉じ込め信号を発生する。この閉じ込め信号パルスの立ち上がり時間は、閉じ込め信号パルスの立ち下がり時間には等しくないので、受信ユニットが受信する信号は、不均一なデューティサイクルを有する。したがって、送信機からの電流の方向を知ることにより、デューティサイクルを評価すれば、受信した信号の極性を決定できる。受信ユニットの垂直の回転がほぼ90°に制限できる場合、単一の検出コイルが使用される。第2の検出コイルを追加すれば、検出レンジを約180°に広げることができる。1つの配向検出器を追加することにより、受信ユニットの実際の配向を決定することが可能となり、よって検出レンジをフルの360°まで広げることができる。警告および/または矯正信号は、動物が閉じ込めエリアの内部からワイヤーループに接近する場合にしか発生されない。万が一閉じ込めエリアから動物が逃げ、その後、安全ゾーンに再び進入しようと試みる場合、動物の戻ろうとする気をそがないように、警告および/または矯正は抑制される。閉じ込め信号のレンジ外にあっても、閉じ込めエリアから離れる動物に対して、警告および/または矯正を加え続けることを可能にするカスタム化された警告/矯正スキームも使用できる。
【0062】
以上で、数種の実施形態の説明により、本発明について解説し、かつ図示した実施形態を詳細に説明したが、本出願人の意図は、いかなる意味においても特許請求の範囲をかかる細部だけに限定するものではない。したがって、より広い特徴における本発明は、特定の細部、代表的な装置および方法、更に図示し、説明した説明上の例だけに限定されるものではない。したがって、本願出願人の一般的な発明の概念の要旨または発明から逸脱することなく、かかる細部から逸脱することも可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたエリアの境界を定めると共に、安全ゾーン、矯正ゾーンおよび脱出ゾーンを画定するワイヤーループであって、前記安全ゾーンおよび前記矯正ゾーンは前記選択されたエリア内に位置し、前記脱出ゾーンは前記選択されたエリア外に位置する前記ワイヤーループと、
前記ワイヤーループと通信する閉じ込め信号発生器であって、前記ワイヤーループを介して一斉送信される、非対称成分を有する閉じ込め信号を発生する前記閉じ込め信号発生器と、
前記閉じ込め信号の前記非対称成分に応答する受信ユニットであって、前記安全ゾーンから前記矯正ゾーンに進入する動物を矯正して、前記脱出ゾーンから前記矯正ゾーンに進入する動物に対して矯正を行うことなく、前記動物が前記矯正ゾーンに進入できるようにする前記受信ユニットと、を備えた方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項2】
前記受信ユニットは、前記動物が前記矯正ゾーンから前記脱出ゾーンに進入する際に、選択された時間の間、前記動物を矯正する、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項3】
前記受信ユニットは、前記非対称成分に基づき、前記閉じ込め信号の極性を決定する、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項4】
前記受信ユニットは、前記非対称成分に関連するデューティサイクルを決定する、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項5】
前記非対称成分は、非対称の三角波形となっている、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項6】
前記受信ユニットは、不均一なデューティサイクルを有する波形として前記非対称の成分を受信し、前記不均一なデューティサイクルは、前記矯正ゾーンにおける第1の比および前記脱出ゾーンおよび前記矯正ゾーンの他方における第2の比を有し、前記第1の比と前記第2の比とは異なり、前記受信ユニットは、前記第2の比を検出することなく前記第1の比が検出されたときに、前記動物が前記安全ゾーンから前記矯正ゾーンに進入していると判断し、前記受信ユニットは、前記第2の比の前に前記第1の比が検出されたときに前記動物が前記矯正ゾーンから前記脱出ゾーンに進入中であると判断し、前記受信ユニットは前記第1の比を検出する前に前記第2の比が検出されたときに前記動物が前記脱出ゾーンから前記矯正ゾーンに進入中であると判断する、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項7】
前記受信ユニットは、前記受信ユニットの配向に関する配向情報を提供する配向検出器を更に備え、前記配向情報は、前記非対称成分と共に使用され、前記動物が前記安全ゾーンから前記矯正ゾーンに進入中であること、前記動物が前記脱出ゾーンから前記矯正ゾーンに進入中であること、および前記動物が前記矯正ゾーンから前記脱出ゾーンに進入中であることを判断するようになっている、請求項1に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項8】
非対称成分を有する閉じ込め信号を発生する閉じ込め信号発生器と、
前記閉じ込め信号発生器と通信すると共に、動物を閉じ込めるための閉じ込めエリアの境界を定め、前記閉じ込め信号を搬送するワイヤーループと、
前記閉じ込め信号に応答する受信機であって、前記閉じ込め信号に対応する受信された信号を発生し、前記受信された信号は前記閉じ込め信号の前記非対称成分から誘導された極性情報を含み、
前記受信機と通信し、前記受信された信号に応答する処理回路であって、前記動物が前記閉じ込めエリア内部から前記ワイヤーループに接近中であることを前記受信機の配向および前記極性情報が示すと、刺激制御信号を発生し、前記動物が前記閉じ込めエリアの外部から前記ワイヤーループに接近中であることを前記受信機の配向および前記極性情報が示すときには、前記処理回路は刺激制御信号を発生しないようになっている前記処理回路と、
前記処理回路と通信する刺激送りデバイスであって、前記刺激送りデバイスは、前記刺激制御信号に応答して刺激を発生し、前記刺激送りデバイスは前記刺激を動物に送るようになっている前記刺激送りデバイスと、を備えた方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項9】
前記受信機の前記配向を想定する、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項10】
前記受信機に関連する配向検出器を更に備え、前記配向検出器は、前記受信機の前記配向を識別する、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項11】
前記処理回路と通信する配向センサを更に備え、前記配向センサは、重力ベクトルを示す配向信号を発生し、前記処理回路は前記配向信号および前記受信した信号を処理し、前記受信した信号が所定の極性であることを前記処理回路が判断できるようにする、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項12】
前記処理回路は、前記配向信号と前記受信した信号とのベクトル内積を計算する、請求項11に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項13】
前記受信された信号は、前記閉じ込め信号の前記非対称成分の結果生じる不均一なデューティサイクルを有する、請求項11に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項14】
前記受信機は、第1の検出コイルと前記第2の検出コイルとを備え、前記第1検出コイルと前記第2検出コイルとは、直交するように配向されている、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項15】
前記閉じ込め信号は、三角形波であり、前記三角形波の各三角形は非対称の形状となっている、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項16】
前記三角形波の各三角形は、立ち上がりの傾きおよび立ち下がりの傾きを有し、前記立ち上がりの傾きと前記立ち下がりの傾きとは等しくない、請求項15に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項17】
前記受信された信号は、不均一なデューティサイクルを有する波形であり、前記不均一なデューティサイクルは、前記受信された信号が前記閉じ込めエリア内で受信されたときに第1の比を有し、前記不均一なデューティサイクルは、前記受信された信号が前記閉じ込めエリアの外部で受信されたときに第2の比を有する、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項18】
前記受信機が第1の配向にあるときに、前記第1の比は、前記受信された信号に対する第1の極性を示し、前記第2の比は、前記受信された信号に対する第2の極性を示し、前記受信機が第2の配向にあるときに、前記第1の比は、前記受信された信号に対する前記第2の極性を示し、前記第2の比は、前記受信された信号に対する前記第1の極性を示す、請求項17に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項19】
前記受信された信号は、不均一なデューティサイクルを有する波形を有し、前記不均一なデューティサイクルは、前記ワイヤーループを通って進む前記閉じ込め信号の磁界の方向に対応する方向を有する、前記非対称成分の結果生じる比を有し、前記比は、前記受信機が前記ワイヤーループ内に位置するときの第1の値、および前記受信機が、選択された配向となっている間に前記受信機が前記ワイヤーループ外に位置するときの第2の値を有する、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項20】
前記比は、前記受信機が前記ワイヤーループ内に位置するときの前記第2の値、および前記受信機が前記選択された配向と異なる第2の配向となっている間に前記受信機が前記ワイヤーループ外に位置するときの前記第1の値を有する、請求項19に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項21】
前記受信ユニットが前記選択された配向にある間、前記不均一なデューティサイクル信号が第1の比を有すると前記処理回路が判断したときに、前記刺激制御信号が発生され、前記受信ユニットが、前記選択された配向となっている間に前記不均一なデューティサイクル信号が第1の比から第2の比に変化したと前記処理回路が判断したときに、選択された時間の間、前記刺激制御信号が発生され、前記受信ユニットが前記選択された配向となっている間に、前記不均一なデューティサイクル信号が第1の比から第2の比に変化したと前記処理回路が判断したときには、前記刺激制御信号は発生されない、請求項19に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項22】
前記動物が前記閉じ込めエリアの内部から前記ワイヤーループを横断したと前記処理回路が判断したときに、選択された時間の間、前記刺激が生じる、請求項8に記載の方向検出動物電子閉じ込めシステム。
【請求項23】
動物が、閉じ込め信号を一斉送信している閉じ込め境界に、前記閉じ込め境界の内部から接近しているのか、または前記閉じ込め境界の外部から接近しているのかを判断する方法において、
(a)非対称成分を有する閉じ込め信号を発生するステップと、
(b)検出コイルからの前記閉じ込め信号を、受信された信号として受信するステップと、
(c)前記閉じ込め信号の前記非対称成分に基づく、前記受信された信号の極性を判断するステップと、
(d)前記デューティサイクルおよび前記検出コイルの配向に基づき、前記動物が前記閉じ込め境界の内部から前記閉じ込め境界に接近しているのか、または前記閉じ込め境界の外部から前記閉じ込め境界に接近しているのかを示す結果を発生するステップとを備える方法。
【請求項24】
前記受信された信号のデューティサイクルから前記受信された信号の前記極性を決定し、前記デューティサイクルは、前記閉じ込め信号の前記非対称成分に関連する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検出コイルの前記配向を想定する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記検出コイルの前記配向を決定するステップを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
閉じ込め信号を発生する前記ステップは、非対称の三角形波を含む閉じ込め信号を発生する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記動物が前記閉じ込め境界内から前記閉じ込め境界に接近していることを前記結果が示したときに、前記動物を矯正するステップを更に含む、接近して23に記載の方法。
【請求項29】
前記動物が前記閉じ込め境界の外部から前記閉じ込め境界に接近していることを前記結果が示したときに、前記動物が矯正を受けることなく、前記閉じ込め境界に再進入できるようにするステップを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記動物が前記閉じ込めエリア内から前記閉じ込めエリアの外部へ通過した後に、前記動物が前記閉じ込めエリアの外部にある間、選択された時間の間、動物を矯正するステップを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記動物が前記閉じ込めエリアを出た後に、選択された時間の間前記動物を矯正し続けるステップを更に備える、請求項23に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−516248(P2010−516248A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546421(P2009−546421)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/000611
【国際公開番号】WO2008/088844
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(502293371)ラジオ システムズ コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】