説明

搬送路開閉装置

【課題】鶏舎等の建物壁の貫通孔に取付けられ、ネズミ等の小動物の移動及び外気等の侵入を防ぐことが可能な搬送路開閉装置の提供を課題とする。
【解決手段】開閉装置1は、建物壁の貫通孔の一方に配設された断面コの字形状の装置本体6と、装置本体6の側板17a,17bの内側面29に枢支され、貫通孔に挿設された搬送コンベアの搬送路を閉塞する閉塞位置及び搬送路を開放する開放位置の間で変位する平板状の開閉シャッタ8と、装置本体6の上板18に取設されたリンク支持基部10と、開閉シャッタ8が回動自在に連結された長片状の主アーム12、及び主アーム12の中間付近とリンク支持基部10の一部とをそれぞれ回動自在に連結する長片状の副アーム13を有し、重心位置の変化によって閉塞位置及び開放位置に開閉シャッタ8を保持するリンク機構部14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路開閉装置に関するものであり、特に鶏舎等の建物の建物壁に設けられた貫通孔に挿設された鶏卵・鶏糞等の物品搬送用の搬送路の途中に設置され、建物間でのネズミ等の小動物の侵入または往来を防止する機能を備える搬送路開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数羽の鶏を収容し飼育可能な家禽ケージを多段に積重し、鶏舎内に立設した養鶏用多段家禽ケージを利用して鶏の飼育及び鶏卵の生産等が行われている。ここで、養鶏業者による養鶏作業の自動化及び効率化を図り、安定した品質及び価格の鶏肉や鶏卵とを供給するために、上記養鶏用多段家禽ケージ及び鶏舎には各種システムまたは装置が付設されている。例えば、家禽ケージ内で移動範囲が規制された状態で収容された鶏に対し、水や餌、栄養剤等を予め設定した供給量や供給間隔等の供給条件で与える給餌・給水システムや、鶏の排泄物の回収を自動化し、鶏舎及び家禽ケージの衛生状態を良好に保ち、鶏の健康状態を維持するための除糞システム、及び産み出された多数個の鶏卵を自動的に回収し、一箇所に集積する集卵システム等が知られている。
【0003】
上記集卵システムは、各養鶏用多段家禽ケージから鶏卵を回収するとともに、次工程の鶏卵の検査、洗浄、選別等の各工程に鶏卵を回収する機能を有している。各家禽ケージから回収された鶏卵は、産卵時及び回収時の衝撃によって卵の殻にヒビや欠け等の有無をチェックする検卵工程や、鶏卵の表面に付着した汚れを落とす洗浄工程、さらに出荷時の各鶏卵の大きさを整えるサイズ分別工程とを経て、パック詰めされ各市場に出荷されている。このとき、複数の鶏舎を備える養鶏施設では、上記検卵工程等の各工程を一箇所でまとめて行うことがある。そのため、養鶏施設内に複数立設された鶏舎から鶏卵を上記作業を行う作業施設に搬送する必要がある。そのため、各鶏舎間及び作業施設の建物と鶏舎とを搬送コンベアによって連結することが行われている。
【0004】
一例を説明すると、鶏舎の鶏舎壁及び上記作業施設の施設壁のそれぞれ相対する位置に貫通孔を設け、当該貫通孔に鶏卵搬送用の搬送コンベアを構築したものがある。これにより、搬送コンベアによって規定される搬送路を介して鶏卵を所望の場所まで搬送することができる。ここで、搬送コンベアについてさらに詳述すると、例えば、金属製の角筒形状を呈し、上方に開口したコンベア装置本体と、コンベア装置本体のコンベア空間に設置され、回収する鶏卵を所定方向に搬送させるコンベアベルトと、コンベアベルトを所定方向に回転駆動させるベルト駆動機構部等とを具備して主に構成されている。このとき、鶏舎から上記作業施設等へ鶏卵を搬送する搬送コンベア以外に、鶏舎内に水や餌等を供給するための水・餌用供給路や、家禽ケージから回収された鶏糞を鶏舎外に排出するための鶏糞排出路等の各種経路が設けられている。そのため、鶏舎壁等の建物壁には複数の貫通孔が貫設されている。また、鶏舎内を所定の空間に区画するための区画壁が設けられることがあり、当該区画壁にもそれぞれの空間を連通する貫通孔が設けられることがあり、当該貫通孔に搬送コンベア等が設置されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鶏舎の鶏舎壁等に貫通孔を構築し、鶏卵・鶏糞等の種々の物品の搬送または供給のための経路を設けることは下記に掲げるような問題点を生じることがあった。すなわち、係る貫通孔は、鶏舎内空間と鶏舎外空間とを連通するものであり、互いの間の流通を自在とするものであった。そのため、鶏舎外から鶏舎内への侵入等が容易となった。特に、ネズミや昆虫等の小動物は、上記貫通孔或いは搬送コンベアの搬送路を伝って鶏舎内に侵入することができ、また複数の鶏舎等の建物が上記搬送コンベアで連結されていた場合、建物間の移動を自由にすることができた。さらに、鶏卵の回収及び集積は鶏の産卵のタイミングに沿って稼動させるものであり、常に搬送コンベアが稼動状態にあるものではない。そのため、搬送コンベアが停止状態にあるときは、特に上記移動が容易となった。
【0006】
さらに、鶏を飼育する鶏舎内は、飼育に適した温度及び湿度等の条件に設定され、かつネズミ等の餌となる鶏用の飼料や鶏卵も豊富に存在している。そのため、ネズミ等の小動物にとっても生育しやすい場所であった。これにより、鶏舎内の衛生状態が悪化し、鶏卵の生産及び出荷に影響を及ぼす虞があった。さらに、上記小動物以外にも、鶏舎外空間と鶏舎内空間との間の空気の流通が容易となり、外気が侵入しやすいことがあった。その結果、上述した鶏の飼育に最適な条件を維持することが難しく、或いは当該条件を維持するためのコストが余計にかかることがあった。
【0007】
そこで、上記不具合を解消するために、鶏舎の鶏舎壁に貫設された貫通孔を閉塞するシャッタ部材を設置することが試みられている(特許文献1参照)。これによると、鶏卵を回収し所定位置まで搬送する集卵用の搬送コンベアが挿設された貫通孔の近傍に、バネの弾性力を利用して変位するシャッタ部材を取付け、シャッタ部材をシャッタ軸に従って揺動させることで搬送を閉塞した状態を創出することができる。これにより、搬送コンベアで連通された鶏舎間の小動物の移動を一応制限することができる。
【0008】
ところが、上記したシャッタ部材は、バネの弾性力を利用してシャッタ部材を垂直位置(閉塞位置)及び水平位置(開放位置)の間で揺動変位させるものであり、弾性力によっては閉塞位置から水平位置に容易に解除される傾向があった。また、搬送コンベアの搬送路を閉塞する際の閉塞操作がバネの弾性力を微妙に変化させる必要があり、複雑かつ時間を要することがあった。そのため、鶏舎内に複数のシャッタ部材を設置した場合であっても、個々のシャッタ部材を閉塞位置にするために多くの時間を要することがあった。さらに、シャッタ部材の状態を外部から視認することが困難であり、特に、広い鶏舎内で遠方位置にあるシャッタ部材の状態を確認することができなかった。そのため、作業員が個々の開閉シャッタの開閉状態を確認するために、実際に近づく必要があり、作業時間の長時間化及び作業員への作業負担となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、特に鶏舎等の建物の建物壁の貫通孔に挿設された搬送コンベアの搬送路を閉塞し、ネズミ等の小動物の移動及び外気等の侵入を防ぐことが可能な搬送路開閉装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送路開閉装置は、「一対の側板及び前記側板の上端同士を連結する上板を有し、建物壁の貫通孔の一方に配設される断面コの字形状の装置本体と、前記装置本体の前記側板の内側面に枢支され、前記貫通孔に挿設された搬送コンベアの搬送路を閉塞する閉塞位置及び前記搬送路を開放する開放位置の間で変位する平板状の開閉シャッタと、前記装置本体の前記上板に取設されたリンク支持基部と、前記開閉シャッタと回動自在に連結された長片状の主アーム、及び前記主アームの中間付近及び前記リンク支持基部の一部をそれぞれ回動自在に連結する長片状の副アームを有し、重心位置の変化によって前記閉塞位置及び前記開放位置に前記開閉シャッタを保持するリンク機構部と」を主に具備して構成されている。
【0011】
ここで、本発明の搬送路開閉装置は、鶏舎の鶏舎壁(建物壁に相当)等に取設されるものであり、鶏舎壁に設けられた貫通孔を閉塞または開放する機能を有している。ここで、鶏舎壁の貫通孔には、鶏卵等の物品を鶏舎間等で搬送するための搬送コンベアが挿設されている。搬送コンベアは、上方に開口した断面コの字形状を呈し、搬送方向に沿って長手形状に構築されたコンベア装置本体と、コンベア装置本体の基部空間に収容され、搬送方向(長手方向)に沿って可動するコンベアベルトと、当該コンベアベルトを所定方向に回転可動させるベルト駆動部とを具備して主に構成されている。なお、搬送装置基部は外表面の一部が建物壁の貫通孔の孔周壁と当接している。そのため、本発明の搬送路開閉装置の装置本体は、貫通孔に近接し、かつ搬送コンベアの上方から被せるようにして取設されている。ここで、装置本体の一対の側板のそれぞれと搬送装置本体の本体の一部とが固定されることにより、貫通孔への取設が行われる。
【0012】
装置本体に枢支された平板状の開閉シャッタは、一対の側板及び上板で囲まれた空間、すなわち、搬送コンベアの搬送路(搬送空間)を閉塞することが可能となる。特に、開閉シャッタと接続したリンク機構部の動きによってリンク機構部及び開閉シャッタの重心位置を変化させ、閉塞位置及び開放位置を維持することが可能となっている。
【0013】
したがって、本発明の搬送路開閉装置によれば、装置本体に枢支された開閉シャッタによって貫通孔に挿設された搬送コンベアの搬送路を閉塞及び閉塞解除(開放)することが可能となる。なお、開閉シャッタの回動範囲は、閉塞位置及び開放位置の間に規制されている。
【0014】
さらに、本発明の搬送路開閉装置は、上記構成に加え、「前記閉塞位置の前記開閉シャッタは、下端辺部が前記搬送コンベアのコンベアベルトと少なくとも一部が当接している」ものであっても構わない。
【0015】
したがって、本発明の搬送路開閉装置によれば、閉塞位置にある開閉シャッタの下端辺部が搬送コンベアのコンベアベルトと当接している。係る状態でコンベアベルトの可動を開始すると、当接したコンベアベルトによって開閉シャッタの下端辺部を搬送方向に押出すことが可能となる。これにより、重心位置の変化が生じ、開閉シャッタを開放位置にすることが可能となる。その結果、鶏舎による集卵工程の開始に合わせて貫通孔の閉塞状態を解除することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の搬送路開閉装置は、上記構成に加え、「前記装置本体は、前記側板の前記内側面から互いに対向する方向にそれぞれ突設された一対の枢軸部をさらに具備し、前記開閉シャッタは、前記枢軸部に挿通される長孔状の孔部を有する一対の枢軸受部」を具備するものであっても構わない。
【0017】
したがって、本発明の搬送路開閉装置によれば、装置本体に開閉シャッタを回動自在に枢支するために、装置本体に設けられた一対の枢軸部の挿通される長孔状の孔部を有する枢軸受部を開閉シャッタは備えている。これにより、リンク機構部の動きに連動し開閉シャッタが閉塞位置及び開放位置の間を変位する際の動きが滑らかなものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、鶏舎間または鶏舎及び作業施設間を連結して設けられた搬送コンベアの挿通された貫通孔に設けられることにより、搬送コンベアの稼動停止時に当該搬送コンベアを伝って隣の鶏舎等にネズミ等の小動物が移動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の搬送路開閉装置の構成を示す斜視図である。
【図2】搬送路開閉装置の構成を示す正面図である。
【図3】搬送路開閉装置の構成を示す右側面図である。
【図4】搬送路開閉装置の構成を示す分解斜視図である。
【図5】開閉シャッタによる搬送路の閉塞の様子を模式的に示す断面図である。
【図6】開閉シャッタによる搬送路の開放の様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態である搬送路開閉装置1(以下、単に「開閉装置1」と称す)について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の開閉装置1の構成を示す斜視図であり、図2は開閉装置1の構成を示す正面図であり、図3は開閉装置1の構成を示す右側面図であり、図4は開閉装置1の構成を示す分解斜視図であり、図5は開閉シャッタ8による搬送路5の閉塞の様子を模式的に示す断面図であり、図6は開閉シャッタ8による搬送路5の開放の様子を模式的に示す断面図である。本実施形態の開閉装置1は、鶏舎等の建物の建物壁2の貫通孔3に取設され、貫通孔3に挿設された搬送コンベア4の搬送路5を開閉塞し、複数の鶏舎間或いは鶏舎とその他の建物との間での小動物の移動を規制するものについて例示するものとする。
【0021】
本実施形態の開閉装置1は、図1乃至図6に示すように、建物壁2の貫通孔3に配設される装置本体6と、装置本体6の内側空間7に回動自在に枢支される平板状の開閉シャッタ8と、装置本体6の下流側上板18の上面18aに取設されたリンク支持基部10と、開閉シャッタ8の上端辺部8aから延設された延設部11と連結される長片状の主アーム12、及び主アーム12とリンク支持基部10との間をそれぞれ回動自在に連結する長片状の副アーム13を有するリンク機構部14と、主アーム12に取設された操作部15とを具備して主に構成されている。
【0022】
さらに、具体的な構成について説明すると、装置本体6は貫通孔3に挿設された搬送コンベア4の搬送方向(例えば、図5における紙面左方向(矢印A参照))の左右両側位置(図5における紙面奥行き方向及び紙面手前方向に相当)に設けられ、上辺が搬送方向の下流が高く、上流が低くなるように階段状に形成された一対の側板17a,17bと、当該側板17a,17bの搬送方向下流側の上辺同士を連結し貫通孔3の孔幅に略一致する長さの下流側上板18と、搬送方向上流側の上辺同士を連結し貫通孔3の孔幅に略一致する長さの上流側上板19と、貫通孔3の形状に刳抜かれた刳抜孔20を有し、一対の側板17a,17b及び上流側上板19とそれぞれの板側面21と当接し固定される貫通孔板22と、装置本体6の一対の側板17a,17bの階段状の上辺の段差部分の近傍の内側面29から互いに向かい合うようにして一対の枢軸部30とを具備して主に構成されている。ここで、階段状の上辺が形成された側板17a,17bにおいて、搬送方向下流側の上辺の長さに対し、下流側上板18の短辺側は短く設定されている。そのため、下流側上板18及び上流側上板19の間には、搬送方向及び高さ方向に開口した隙間23が形成されている。係る隙間23は後述する開閉シャッタ8の回動を滑らかに行うことができる利点を有している。ここで下流側上板18及び上流側上板19が本発明の上板に相当する。
【0023】
さらに、貫通孔板22は、刳抜孔20の孔側面24から搬送方向に向けて曲折された一対の曲折片25a,25bを有している。係る曲折片25a,25bにはボルト軸の挿通可能なボルト孔26が設けられている。一方、一対の側板17a,17bにも同様にそれぞれ二箇所にボルト孔26が設けられている。さらに、貫通孔3に挿設された搬送コンベア4の下方に位置する断面コの字形状のコンベア装置本体27(図4等参照)にも相対する位置にボルト孔28が設けられている。これにより、下方に開口した断面コの字形状を呈する装置本体6は、搬送コンベア4に上方から被せるようにして締結固定される。なお、貫通孔板22は、貫通孔3の設けられた建物壁2の壁面と当接し周知の固定手段によって固定される。その結果、搬送コンベア4の搬送路5の途中に本実施形態の開閉装置1の装置本体6が装着される。
【0024】
一方、開閉シャッタ8は、平板状を呈して構成されるものであり、その上端辺部8aの中央部分から延設された延設部11と、装置本体6の一対の側板17a,17bにそれぞれ相対する開閉シャッタ側面8b,8cの上端辺部8aの近傍で曲折され、長孔状の孔部31を有し、前述の枢軸部30する一対の枢軸受部32a,32bとを具備して主に構成されている。なお、開閉シャッタ8の下端辺部8dは僅かにテーパー状に形成されている。枢軸受部32a,32bによって枢軸部30に対して回動自在となった開閉シャッタ8は、閉塞板面8eを搬送方向に対して直交させた閉塞位置CP及び搬送方向と平行に閉塞板面8eを配した開放位置OPにそれぞれ変位することができる。その結果、閉塞位置CPに開閉シャッタ8をセットすることで搬送コンベア4の搬送路5を閉塞し、小動物の移動を規制することができる。なお、開閉シャッタ8の上端辺部8a及び延設部11は、装置本体6の隙間23から上方に突出している。また、開閉シャッタ8が回動し、開放位置OPにあるときは、側板17a,17bの階段状の段差分の高さによって上記突出分が上流側上板19と接触することがなく、スムースな回動操作が可能となる。さらに、長孔状の孔部31を有する枢軸受部32a,32bによって開閉シャッタ8の回動時の動きが安定するとともに後述する重心位置の変位も滑らかとなる。その結果、閉塞位置CP及び開放位置OPのそれぞれの状態を安定して維持することができる。
【0025】
リンク支持基部10は、断面L字形状を呈し、下流側上板18と当接する短片部33と、短片部33から曲折された長片部34とを具備して構成されている。ここで、短片部33にはボルト孔35が貫設され、装置本体6の下流側上板18とボルト36及びナット37を利用して締結固定されている。さらに、リンク支持基部10の長片部34の上角部38の一方(装置本体6の隙間23に面する側)に、リンク機構部14の副アーム13と回動自在に連結するための連結孔39が設けられている。
【0026】
一方、リンク機構部14は、装置本体6に回動自在に枢支された開閉シャッタ8に延設された延設部11と一端12aが回動自在に連結され、中間部分で副アーム13の他端13bと回動自在に連結される長片状の主アーム12と、リンク支持基部10の連結孔39に一端13aが回動自在に連結され、他端13bが主アーム12と回動自在に連結される副アーム13とを具備して構成されている。ここで、主アーム12及び副アーム13等を連結し、リンク機構を構築するために、各連結部は連結孔とボルト36及びナット37とによって支持されている。これにより、開閉シャッタ8を枢支する枢軸部30を含む四点のリンク機構が可能となる。
【0027】
また、主アーム12の他端12bには、複数のボルト及びナットを組み合わせて構築した操作部15を有している。なお、係る操作部15は後述するリンク機構の動作における重心位置を決定するための錘部としても機能している。
【0028】
次に、本実施形態の開閉装置1の使用方法について、主に図5及び図6に基づいて説明する。なお、本実施形態では開閉シャッタ8が閉塞位置CPから開放位置OP、さらに再び閉塞位置CPに変位する動きを示している。図5に示すように、開閉シャッタ8が閉塞位置CPにある場合、装置本体6の枢軸部30に枢支された開閉シャッタ8は閉塞板面8eを搬送方向Aに対向させて鉛直方向に沿った状態となっている。このとき、開閉シャッタ8の下端辺部8dは、搬送コンベア4のコンベアベルト40と当接している。ここで、コンベアベルト40は可撓性を有するため、上記下端辺部8dとの当接により下方に僅かに撓んでいる。係る状態では、リンク機構部14は、主アーム12がほぼ垂直となっており、リンク機構部14及び開閉シャッタ8を含む重心位置は、開閉シャッタ8を枢支する枢軸部30と一致若しくは、枢軸部30よりも搬送方向下流側(図5における左方向に相当)に設定されている。そのため、係る状態を保持することができる。
【0029】
これにより、搬送方向下流側から上流側に向かって(図5における紙面左方向から右方向に相当)小動物が移動しようとしても、開閉シャッタ8によって搬送路5が閉塞され、開閉装置1の前後の空間を遮蔽しているため、当該移動が制限されることになる。特に、下流側から上流側に向かって小動物が移動し、開閉シャッタ8に衝突したとしても、リンク機構部14に支持された開閉シャッタ8は回動範囲が規制されているために、閉塞位置CPを維持することになる。そのため、搬送コンベア4の稼動を停止した深夜時間帯等のおいて、搬送コンベア4を介してネズミ等の鶏舎等を行き交うことがなくなる。また、コンベアベルト40と当接し開閉シャッタ8が上方に押付けられているため、紙面右方向から左方向に向かう力が加えられた場合でも、コンベアベルト40によってある程度は閉塞位置CPを維持することができる。
【0030】
この状態で搬送コンベア4を稼動状態とし、コンベアベルト40を搬送方向に可動させる。このとき、下端辺部8dとコンベアベルト40とが接触しているため、上記可動によって開閉シャッタ8を枢軸部30を軸として時計方向(図5における矢印B参照)に回転させようとする力が作用する。その結果、開閉シャッタ8及びリンク機構部14の重心位置が枢軸部30の図5における紙面右方向にずれる。その結果、開閉シャッタ8は開放位置OPに変位する(図6参照)。これにより、コンベアベルト40に載って鶏卵等の物品が搬送される。すなわち、搬送コンベア4の稼動時は本実施形態の開閉装置1は開閉シャッタ8が開放位置OPに常にあることとなる。さらに、搬送コンベア4の稼動開始に応じて自然に開放位置OPに変位することができ、稼動の度に開閉装置1を操作する必要がない。さらに、側板17a,17bの階段状の上辺及び下流側上板18と上流側上板19の間の隙間23から開閉シャッタ8の一部及び延設部11が突出されているため、開閉シャッタ8の回動がスムースとなり、かつ開放位置OPの開閉シャッタ8がさらに時計回り方向に回動することを規制することができる。
【0031】
一方、搬送コンベア4の搬送作業が完了し、コンベアベルト40の可動を停止した場合、開閉装置1の操作部15を上方に引上げる操作を行う(図6における矢印D参照)。これにより、リンク機構部14等による重心位置が再び枢軸部30の上若しくは紙面左側に変位するため、開閉シャッタ8が枢軸部30を軸として反時計方向(図6における矢印C参照)に回動し、閉塞位置CPで再び維持される(図5参照)。ここで、本実施形態の開閉装置1における操作部15は、閉塞位置CP及び開放位置OPのそれぞれの状態におけるリンク機構部14及び開閉シャッタ8の重心位置の変化を顕著にするための錘部としての機能を有している。その結果、開放位置OPから重心位置がずれることによって速やかに閉塞位置CPに開閉シャッタ8の状態を移行することができる。これにより、搬送路5が開放状態から再び閉塞状態となる。
【0032】
上記示したように、本実施形態の開閉装置1によれば、鶏舎等の建物の建物壁2の貫通孔3に近接して設置されることにより、鶏舎等の建物間の小動物の移動を規制することができる。特に、開閉シャッタ8により搬送路5が閉塞状態になった場合、搬送方向の下流側から上流側に向かう小動物は、開閉シャッタ8の回動がそれ以上制限されているため、搬送方向上流側への侵入が困難となる。これにより、ネズミ等の小動物による飼料の被害或いは鶏舎の衛生状態の悪化を防ぐことができる。
【0033】
さらに、本実施形態の開閉装置1は、閉塞位置CPから開放位置OPに開閉シャッタ8を変位させる動きを搬送コンベア4の稼動開始に連動させることができる。これにより、上記操作を作業者が行う必要がない。そのため、複数の鶏舎を施設内に有する大規模経営の養鶏施設では、個々の開閉装置1の設定を搬送作業の開始時に一つずつ確認する必要がなく、作業開始に要する時間を短縮することができる。
【0034】
また、本実施形態の開閉装置1によって、鶏舎等の建物内への外気の侵入或いは内部から外気への熱の放出を防ぐことができる。そのため、鶏等の飼育に適する温度や湿度条件に設定された鶏舎等の室内環境条件をそのまま維持することができ、飼育環境を常に一定に整えることができる。
【0035】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0036】
すなわち、本実施形態の開閉装置1において、主に多数個の鶏卵を回収する鶏卵搬送用の搬送コンベア4を想定して説明したが、これに限定されるものではなく鶏舎または鶏卵用の作業施設以外のその他の建築物の建物壁2に設けられた貫通孔3を適宜閉塞可能にするものであっても構わない。さらに、本実施形態の開閉装置1において主アーム12の他端12bに設けられた操作部15が、リンク機構部14等の重心位置の変化を補助するための錘部として機能するものを示したが、これに限定されるものではなく、重心位置の変位が顕著なものであれば係る機能を有しないものであっても構わない。また、主アーム12自体を操作部として機能させるものであっても構わない。
【0037】
さらに、本実施形態の開閉装置1において、鶏卵搬送用としてコンベアベルト40を有する搬送コンベア4に対して適用するものを示したが、これに限定されるものでない。例えば、鶏舎内の鶏卵搬送の際に多く利用され、一対の載置バー上に鶏卵を載置し水平方向等に鶏卵を搬送するバーコンベアに適用するものであっても構わない。具体的に説明すると、バーコンベアは、一対の無端コンベア(チェーン組立体)、複数のスプロケット、スプロケットを軸支する回転軸、及び当該回転軸を所定方向に回転させる回転駆動部等を具備して主に構成されている。そして、一対の無端コンベアの間に架渡すようにして互いに離間した一対の載置バーが当該無端コンベアの環周上に等間隔で複数配設されている。これにより、無端コンベアの回転によって一対の載置バーが所定方向(例えば、水平方向)に移動することにより、当該載置バー上に載置された鶏卵を搬送することができる。ここで、上記バーコンベアに本実施形態の開閉装置1を適用する場合、バーコンベアの上側、換言すれば、鶏卵を搬送方向に搬送するための載置バーの間に閉塞位置CPにセットした開閉シャッタ8を挿入することにより、バーコンベア上方のネズミ等の小動物の侵入を防ぐことができる。しかしながら、バーコンベアは上記スプロケットによって転換され、搬送方向と逆方向(戻り方向)に移動する載置バーがその下方にある。そのため、バーコンベアの上側(搬送方向)と下側(戻り方向)の間に対応する位置に、ネズミ等の侵入を防止するための閉塞用の仕切り板(図示しない)を設けるものであっても構わない。これにより、係る仕切板と本実施形態の開閉装置1の開閉シャッタ8によって搬送路を完全に閉塞することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 開閉装置(搬送路開閉装置)
2 建物壁
3 貫通孔
5 搬送路
6 装置本体
8 開閉シャッタ
8a 上端辺部
8d 下端辺部
10 リンク支持基部
12 主アーム
12a 一端
12b 他端
13 副アーム
13a 一端
13b 他端
14 リンク機構部
15 操作部
17a,17b 側板
18 下流側上板(上板)
18a 上面
19 上流側上板(上板)
29 内側面
30 枢軸部
31 孔部
32a,32b 枢軸受部
A 搬送方向
CP 閉塞位置
OP 開放位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】実用新案登録第3088093号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側板及び前記側板の上端同士を連結する上板を有し、建物壁の貫通孔の一方に配設される断面コの字形状の装置本体と、
前記装置本体の前記側板の内側面に枢支され、前記貫通孔に挿設された搬送コンベアの搬送路を閉塞する閉塞位置及び前記搬送路を開放する開放位置の間で変位する平板状の開閉シャッタと、
前記装置本体の前記上板に取設されたリンク支持基部と、
前記開閉シャッタと回動自在に連結された長片状の主アーム、及び前記主アームの中間付近及び前記リンク支持基部の一部をそれぞれ回動自在に連結する長片状の副アームを有し、重心位置の変化によって前記閉塞位置及び前記開放位置に前記開閉シャッタを保持するリンク機構部と
を具備することを特徴とする搬送路開閉装置。
【請求項2】
前記閉塞位置の前記開閉シャッタは、
下端辺部が前記搬送コンベアのコンベアベルトと少なくとも一部が当接していることを特徴とする請求項1に記載の搬送路開閉装置。
【請求項3】
前記装置本体は、
前記側板の前記内側面から互いに対向する方向にそれぞれ突設された一対の枢軸部をさらに具備し、
前記開閉シャッタは、
前記枢軸部に挿通される長孔状の孔部を有する一対の枢軸受部をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送路開閉装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−14(P2013−14A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131860(P2011−131860)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(390030661)株式会社ハイテム (22)
【Fターム(参考)】