説明

搬送車と牽引台車との連結装置

【課題】簡単な構造で、連結時における連結体と被連結体との位置決めを、ピンポイントで行う必要なく容易にできるとともに、重量物の牽引にも十分耐えることができるようにする。
【解決手段】搬送車1の後部に設けられた連結部材11と、牽引台車6の前部に設けられた牽引杆25との連結装置10において、連結部材11の後部に係止部14を設け、この係止部14を昇降手段18により昇降可能にし、この昇降手段18により、連結部材11の係止部14を下降させることにより、後方に向け広域な連結スペースSを形成した牽引杆25の内側に係合させ、搬送車1の前進により、連結部材11の係止部14を、牽引杆25の前端部側に案内し得るようにし、かつ、後方への戻止め手段30をもって前記係止部を保持させることにより、牽引台車6を連結可能にするとともに、連結部材11の係止部14を上昇させることにより、牽引台車6との連結状態を解除可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工場や倉庫等において部品や製品等の物品を搬送する搬送車と牽引台車との連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送車と牽引台車との連結装置としては、搬送車に連結ピンを設け、牽引台車に前記連結ピンが掛合するピン溝、またはピン孔を設けたものが公知である (例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
しかし、上述の従来のものは、連結時において、搬送車の連結ピンと、牽引台車のピン溝またはピン孔との連結作業を、ピンポイントで行わねばならないため、位置決めが困難でるばかりでなく、連結ミスが多く、連結装置の構造も複雑であった。
しかも、ピン溝またはピン孔を備える牽引杆の取付け位置は、牽引台車における前部中央の一個所だけであるので、機械的強度と搬送時の安定性の面から重量物の牽引には、不向きであるという問題があった。
【特許文献1】特開平10−315956号公報
【特許文献2】特開平4−135905号公報
【特許文献3】特開平6−87308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、簡単な構造で、連結作業時における位置決めを、ピンポイントで行う必要なく容易にできるとともに、重量物の牽引にも十分耐えることができるようにした搬送車と牽引台車との連結装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 搬送車の後部に設けられた連結部材と、牽引台車の前部に設けられた牽引杆との連結装置において、連結部材の後部に係止部を設け、この係止部を昇降手段により昇降可能にし、この昇降手段により、連結部材の係止部を下降させることにより、後方に向け広域な連結スペースを形成した牽引杆の内側に係合させ、搬送車の前進により、連結部材の係止部を、牽引杆の前端部側に案内し得るようにし、かつ、後方への戻止め手段をもって前記掛止部を保持させることにより、牽引台車を連結可能にするとともに、連結部材の係止部を上昇させることにより、牽引台車との連結状態を解除可能にする。
【0006】
(2) 上記(1)項において、連結手段を、牽引台車に向けて後方に延出する揺動アーム部材と、この揺動アーム部材の後端部に取り付けた、前記係止部としての下向き昇降ピンとにより構成する。
【0007】
(3) 上記(2)項において、揺動アーム部材を、偏心カム手段をもって、上下に揺動可能とする。
【0008】
(4) 上記(3)項において、偏心カム手段を、搬送車の下面部に設置した駆動モータと、この駆動モータのモータ軸に連動しかつタイミングベルトをもって回転駆動する1対のプーリと、これらプーリにおける従動プーリのカム軸に偏心回転可能に設けた偏心カムとを備え、この偏心カムの外周面を、前記揺動アーム部材の下面部に摺接させて構成する。
【0009】
(5) 上記(2)項〜(4)項のいずれかにおいて、揺動アーム部材の中間下部に、非連結時に接地可能な転動体を設け、下向き昇降ピンを浮上状態に維持可能にする。
【0010】
(6) 上記(1)項〜(5)項のいずれかにおいて、牽引杆を、後方に向け広域な連結スペースを形成する平面視逆V字形をなす案内アーム部材と、この案内アーム部材における前端部の内側に、後方に向け開放するピン溝とを備えたものとする。
【0011】
(7) 上記(1)項〜(6)項のいずかにおいて、戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成されたローラを有し、このローラを、案内アーム部材の前端部に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設け、前記保持溝を、案内アーム部材のピン溝内に臨むように配置するとともに、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンの押込み動作に伴うローラの回転により、保持溝内に、下向き昇降ピンを取込み保持可能にすることにより構成する。
【0012】
(8) 上記(1)項〜(6)項のいずれかにおいて、戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成された左右1対のローラを有し、これら左右のローラを、案内アーム部材の前端部に、前記ピン溝の両側に、互いに相反する方向に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設け、前記左右のローラにおける保持溝を、案内アーム部材のピン溝内に対向させて臨むように配置するとともに、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンの押込み動作に伴うローラの回転により、保持溝内に、下向き昇降ピンを取込み保持可能にして構成する。
【0013】
(9) 上記(7)項または(8)項において、係止手段を、ローラの外周近傍に水平回動自在に設けた係止爪と、この係止爪の先端部をローラの外周における保持溝の一つに常に係合させるように付勢する付勢体とからなるラチェット機構とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a) 請求項1記載の発明によると、連結時、搬送車における連結部材の後部に昇降可能に設けた係止部を、牽引台車の前部に設けた牽引杆の広域な連結スペースの内側に下降させて係合させるようにしてあるので、連結作業を、ピンポイントで行う必要なく容易に行うことができ、連結ミスをなくすことができる。
また、後方への戻止め手段をもって係止部を保持させてあるため、係止部が、牽引杆の前端部側から後方の広域な連結スペース内に後戻りすることなく、安定した連結が得られる。
さらに、連結解除時、連結部材の係止部を上昇させるだけで、容易に連結を解除することができる。
【0015】
(b) 請求項2記載の発明によると、連結手段を、牽引台車に向けて後方に延出する揺動アーム部材と、この揺動アーム部材の後端部に取り付けた係止部としての下向き昇降ピンとにより構成してあるので、構造が簡単になる。
【0016】
(c) 請求項3記載の発明によると、偏心カム手段をもって、揺動アーム部材を、上下に揺動可能としてあるので、下向き昇降ピンの昇降動作を自動的に行うことができる。
【0017】
(d) 請求項4記載の発明によると、偏心カム手段を、搬送車の下面部に設置した駆動モータのモータ軸に連動して回転駆動する1対のプーリにおける従動プーリのカム軸に、偏心カムを偏心回転可能に設け、この偏心カムの外周面を、揺動アーム部材の下面部に摺接させてあるので、簡単な構造で、揺動アーム部材を上下に容易に揺動させることができる。
【0018】
(e) 請求項5記載の発明によると、揺動アーム部材の中間下部に転動体を設けてあるので、搬送車への揺動アーム部材の組付時や取外し時の搬送作業を容易に行うことができる。
【0019】
(f) 請求項6記載の発明によると、牽引杆を、前方に向け平面視逆V字形をなす案内アーム部材として、広域な連結スペースを形成してあるので、揺動アーム部材の下向き昇降ピンの係合を容易に行える。
また、案内アーム部材における前端部の内側に、後方に向け開放するピン溝を設けてあるので、搬送車の前進により、下向き昇降ピンを、ピン溝に向けて容易に案内することができ、下向き昇降ピンの左右方向の揺動を阻止することができ、安定した連結が行える。
さらに、案内アーム部材が、牽引台車の前部左右に二股状に2点支持状態で取り付けられるので、牽引台車の前部左右を、牽引杆により牽引することができ、走行安定性を高めるとともに、重量物の牽引に適する。
【0020】
(g) 請求項7記載の発明によると、戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成されたローラを、案内アーム部材の前端部に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設け、ローラの保持溝を、案内アーム部材のピン溝内に臨ませるようにしてあるので、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンを、ローラの保持溝内に容易に取込み保持することができ、下向き昇降ピンの後方への戻りを阻止することができるとともに、搬送車と件台車とが一体化し、停止時の安定性を高める。
【0021】
(h) 請求項8記載の発明によると、戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成された左右1対のローラを、案内アーム部材の前端部に、ピン溝の両側に、互いに相反する方向に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設けるとともに、左右のローラにおける保持溝を、案内アーム部材のピン溝内に対向させて臨ませるようにしてあるので、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンを、左右のローラの保持溝内に容易に取込み保持することができ、下向き昇降ピンの後方への戻りを阻止することができる。
【0022】
(i) 請求項9記載の発明によると、係止手段を、ローラの外周近傍に水平回動自在に設けた係止爪の先端部を、付勢体により、ローラの外周における保持溝の一つに常に係合させるようにしてあるので、ラチェット機構の機能により、ローラの逆回転を確実に防止することができ、下向き昇降ピンを安定して保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の連結装置を備えた搬送車と牽引台車との連結状態を示す斜視図、図2は、連結部材と牽引杆の連結状態を拡大して示す要部側面図、図3は、同じく、平面図、図4は、連結部材における揺動アーム部材の上下揺動に伴う昇降ピンの昇降状態を拡大して示す側面図、図5は、牽引台車における牽引杆の戻止め手段による連結状態を示す底面図、図6は、牽引杆の底面図である。
【0024】
図1に示すように、搬送車(1)は、台車(2)の前後部における下面に、左右1対の従動車輪(3)及び駆動車輪(4)がそれぞれ取り付けられているとともに、台車(2)上に搭載したバッテリー、駆動モータ及びコントロールボックス等を含む駆動装置(5)により、例えば無人誘導方式により自動的に走行可能になっている。この無人搬送車(1)に連結される牽引台車(6)は、物品(W)が積載された台車(7)と、この台車(7)の前後部における下面にそれぞれ取り付けられた左右2個の従動車輪(8)(9)とにより移動可能になっている。
【0025】
図1、図4に示すように、搬送車(1)における台車(2)の後部には、本発明の連結装置(10)を構成する一部材である連結部材(11)が設けられている。この連結部材(11)は、台車(2)の後部中央に、後方に向けて延出させた揺動アーム部材(12)と、この揺動アーム部材(12)の後端部に、掛け金具(13)をもって取り付けられた係止部としての下向き昇降ピン(14)と、揺動アーム部材(12)の中間下部に取り付けられたキャスタ(15)とより構成されている。
【0026】
図4に示すように、揺動アーム部材(12)は、基端部(12a)が、台車(2)の下面に取り付けられた軸受部材(16)に軸支された水平軸(17)に、上下方向に回動自在に枢着されており、昇降手段としての偏心カム手段(18)をもって上下に揺動可能となっている。
【0027】
この偏心カム手段(18)は、搬送車(1)における台車(2)の後部下面に設置した駆動モータ(19)と、この駆動モータ(19)のモータ軸(20)にタイミングベルト(21)をもって連動させることにより回転駆動する1対のプーリ(22A)(22B)と、この従動プーリ(22B)のカム軸(23)に偏心回転可能に設けた偏心カム(24)とより構成されている。
【0028】
この偏心カム(24)の外周面は、揺動アーム部材(12)の基端部(12a)側における下面に摺接するようになっており、偏心カム(24)を駆動モータ(19)の駆動をもって回転させることにより、揺動アーム部材(12)を、図4において、実線で示す、ほぼ水平の下降状態と、想像線で示す、後方に向け上向きの上昇状態とに上下に揺動させ、下向き昇降ピン(14)を、下降位置と上昇位置とに昇降可能になっている。なお、揺動アーム部材(12)に取り付けられているキャスタ(15)は、揺動アーム部材(12)の下降状態及び上昇状態において、接地面から浮上しており、揺動アーム部材(12)の台車(2)からの取外し時及び組付時に、接地させることにより、取外し作業を容易にしている。
【0029】
図1に示すように、牽引台車(6)には、台車(7)の前部に牽引杆(25)が備えられている。この牽引杆(25)は、図3および図5に示すように、後方に向け広域な連結スペース(S)を形成する平面視後向V字形をなす案内アーム部材(26)と、後記する戻止め手段(30)とにより構成されている。案内アーム部材(26)における前端部(26a)の内側には、後方に向け開放するピン溝(27)が設けられている(図6参照)。案内アーム部材(26)における左右の後端部(26b)(26b)は、台車(7)の前部左右に取り付けたブラケット(28)(28)に、ボルト(29)(29)をもって締結されている。
【0030】
案内アーム部材(26)の前端部(26a)には、戻止め手段(30)が備えられている。この戻止め手段(30)は、左右1対のローラ(31)(31)を有し、その外周には、複数の保持溝(32)が形成されている。これらローラ(31)(31)は、軸(33)(33)をもって、案内アーム部材(26)の前端下面部におけるピン溝(27)の両側に、互いに相反する方向に、それぞれ水平回転可能に軸支されている。左右のローラ(31)(31)における保持溝(32)(32)は、案内アーム部材(26)のピン溝(27)内に対向させて臨むように配置されている。
【0031】
左右のローラ(31)(31)の外周近傍には、係止手段としての係止爪(34)がそれぞれ配置され、これら係止爪(34)は、軸(35)をもって水平回動自在に取り付けられている。係止爪(34)の先端部は、ローラ(31)の外周におけるピン溝(27)内に対向して臨む複数の保持溝(32)の一つに常に係合するように、一端が支軸(36)をもって支持されたスプリング(37)により付勢され、これにより、左右のローラ(31)(31)の回転が、一方向に規制されるように、ラチェット機構を構成している。
【0032】
なお、案内アーム部材(26)には、図6に示すように、左右の後端部(26b)(26b)にボルト(29)(29)が螺合されるボルト孔(29a)(29a)と、前端部(26a)には、ピン溝(27)の両側に、左右のローラ(31)(31)の軸(33)(33)が植設される軸孔(33a)(33a)と、左右の係止爪(34)(34)の軸(35)(35)が植設される軸孔(35a)(35a)と、左右のスプリング(37)(37)の一端を支持する支軸(36)が植設される軸孔(36a)(36a)とが、それぞれ穿設されている。
【0033】
搬送車(1)の後部に設けられた連結部材(11)と、牽引台車(6)の前部に設けられた牽引杆(25)との連結は、次のようにして行われる。
図7は、図2の連結状態における昇降ピンの案内アーム部材における連結スペースへの係合状態を示す側面図、図8は、同じく、平面図である。
図4、図7及び図8に想像線で示すように、連結部材(11)の揺動アーム部材(12)を上昇させて、下向き昇降ピン(14)を上昇位置にして、搬送車(1)の後部を牽引台車(6)の前部に接近させ、下向き昇降ピン(14)が、案内アーム部材(26)の広域な連結スペース(S)の上方に位置するようにする。
【0034】
次いで、図4に実線で示すように、揺動アーム部材(12)の下降により、下向き昇降ピン(14)を下降させ、図7及び図8に実線で示すように、後方に向け広域な連結スペース(S)が形成された案内アーム部材(26)の内側に係合させる。この状態で、搬送車(1)を前進させ、下向き昇降ピン(14)を、案内アーム部材(26)における前端部(26a)側のピン溝(27)に向けて案内する。
【0035】
下向き昇降ピン(14)が、ピン溝(27)の後端から前端に向けて移動するとき、戻止め手段(30)が作動し、下向き昇降ピン(14)の前方への押込み動作に伴う左右のローラ(31)(31)の回転により、左右に対向する保持溝(32)(32)内に、下向き昇降ピン(14)を取込み保持し得るようにして連結される(図5参照)。
【0036】
搬送車(1)と牽引台車(6)との連結の解除は、図4、図7及び図8に想像線で示すように、揺動アーム部材(12)の上動により、下向き昇降ピン(14)を上昇させて保持溝(32)(32)から離脱させることにより行われる。
【0037】
なお、上記の実施形態においては、搬送車(1)を、無人遊動方式を例に説明したが、作業者が操縦する一般車にも適用することができる。
また、戻止め手段(30)において、2個のローラ(31)(31)を用いて構成したが、1個のローラでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の連結装置を備えた搬送車と牽引台車との連結状態を示す斜視図である。
【図2】連結部材と牽引杆の連結状態を拡大して示す要部側面図である。
【図3】同じく、平面図である。
【図4】連結部材における揺動アーム部材の上下揺動に伴う昇降ピンの昇降状態を拡大して示す側面図である。
【図5】牽引台車における牽引杆の戻止め手段により連結状態を示す底面図である。
【図6】牽引杆の底面図である。
【図7】図2の連結状態における昇降ピンの案内アーム部材における連結スペースへの係合状態を示す要部側面図である。
【図8】同じく、平面図である。
【符号の説明】
【0039】
(1)搬送車
(2)台車
(3)従動車輪
(4)駆動車輪
(5)駆動装置
(6)牽引台車
(7)台車
(8)(9)従動車輪
(10)連結装置
(11)連結部材
(12) 揺動アーム部材
(12a)基端部
(13)掛け金具
(14)下向き昇降ピン(係止部)
(15)キャスタ(転動体)
(16)軸受部材
(17)水平軸
(18)偏心カム手段(昇降手段)
(19)駆動モータ
(20)モータ軸
(21)タイミングベルト
(22A)駆動プーリ
(22B)従動プーリ
(23)カム軸
(24)偏心カム
(25)牽引杆
(26)案内アーム部材
(26a)前端部
(26b)(26b)後端部
(27)ピン溝
(28)ブラケット
(29)ボルト
(29a)ボルト孔
(30)戻止め手段
(32)保持溝
(33)軸
(33a)軸孔
(34)係止爪
(35)軸
(35a)軸孔
(36) 支軸
(36a)軸孔
(37)スプリング(付勢体)
(S)連結スペース
(W)物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車の後部に設けられた連結部材と、牽引台車の前部に設けられた牽引杆との連結装置において、
連結部材の後部に係止部を設け、この係止部を昇降手段により昇降可能にし、この昇降手段により、連結部材の係止部を下降させることにより、後方に向け広域な連結スペースを形成した牽引杆の内側に係合させ、搬送車の前進により、連結部材の係止部を、牽引杆の前端部側に案内し得るようにし、かつ、後方への戻止め手段をもって前記係止部を保持させることにより、牽引台車を連結可能にするとともに、連結部材の係止部を上昇させることにより、牽引台車との連結状態を解除可能にしたことを特徴とする搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項2】
連結手段を、牽引台車に向けて後方に延出する揺動アーム部材と、この揺動アーム部材の後端部に取り付けた、前記係止部としての下向き昇降ピンとにより構成したことを特徴とする請求項1記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項3】
揺動アーム部材を、偏心カム手段をもって、上下に揺動可能としたことを特徴とする請求項2記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項4】
偏心カム手段を、搬送車の下面部に設置した駆動モータと、この駆動モータのモータ軸に連動しかつタイミングベルトをもって回転駆動する1対のプーリと、これらプーリにおける従動プーリのカム軸に偏心回転可能に設けた偏心カムとを備え、この偏心カムの外周面を、前記揺動アーム部材の下面部に摺接させて構成したことを特徴とする請求項3記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項5】
揺動アーム部材の中間下部に、転動体を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項6】
牽引杆を、後方に向け広域な連結スペースを形成する平面視逆V字形をなす案内アーム部材と、この案内アーム部材における前端部の内側に、後方に向け開放するピン溝とを備えたものとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項7】
戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成されたローラを有し、このローラを、案内アーム部材の前端部に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設け、前記保持溝が、案内アーム部材のピン溝内に臨むように配置するとともに、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンの押込み動作に伴うローラの回転により、保持溝内に、下向き昇降ピンを取込み保持可能にすることにより構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項8】
戻止め手段を、外周に複数の保持溝が形成された左右1対のローラを有し、これら左右のローラを、案内アーム部材の前端部に、前記ピン溝の両側に、互いに相反する方向に、係止手段をもって一方向に水平回転可能に設け、前記左右のローラにおける保持溝を、案内アーム部材のピン溝内に対向させて臨むように配置するとともに、搬送車の前進により、ピン溝の後端から前端に向けて移動する下向き昇降ピンの押込み動作に伴うローラの回転により、保持溝内に、下向き昇降ピンを取込み保持可能にして構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搬送車と牽引台車との連結装置。
【請求項9】
係止手段を、ローラの外周近傍に水平回動自在に設けた係止爪と、この係止爪の先端部をローラの外周における保持溝の一つに常に係合させるように付勢する付勢体とからなるラチェット機構としたことを特徴とする請求項7または8記載の搬送車と牽引台車との連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−276580(P2007−276580A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104073(P2006−104073)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)