説明

搭載物着脱式運搬車

【課題】搭載物を安定した状態で搭載したり、降ろしたりすることができる搭載物着脱式運搬車を提供する。
【解決手段】車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を昇降するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水平昇降するサブフレームを用いてリヤフレームにコンテナなどの搭載物を着脱自在として搭載することのできる搭載物着脱式運搬車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搭載物着脱式運搬車には、例えば図14〜18に示したようなものが存在する。
【0003】
この搭載物着脱式運搬車は、図に示すように、車体31後方のリヤフレーム32に装着したサブフレーム34の前部には、リヤフレーム32とサブフレーム34間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構38を備えた前部昇降機33aを配設すると共に、前部トグル支持機35aを配設したものとしている。さらに、前記サブフレーム34の後部には、リヤフレーム32とサブフレーム34間に介在させたリフトシリンダ機構40を備えた後部昇降機33bを配設すると共に、後部トグル支持機35bを配設したものとしている。
【0004】
そして、これら前後部昇降機33a、33bおよび前後部トグル支持機35a、35bを同調油圧回路に接続し、同時に作動させることにより、前記サブフレーム34を水平昇降するようにしたものとしている。前後部昇降機33a、33bによってサブフレーム34を上昇配置状態にすると、前後部トグル支持機35a、35bの前後部トグルシリンダ42a、42bの前後部ロッド43a、43bがそれぞれ収縮し、前後部トグルアーム41a、41bがそれぞれスライドしながら回動して立ち上がり、前後部トグルアーム41a、41bが前後部支持アーム45a、45bによってそれぞれ支持された状態で、前後部リフトビーム44a、44bによってサブフレーム34の前後部をそれぞれ支持するようにしたものとしている。
【0005】
さらに、前記サブフレーム34には搭載物(図示せず)を着脱自在として搭載可能とした搭載着脱機構37を備えたものとし、前記前部昇降機33aはサブフレーム34の上昇配置時に、このサブフレーム34をダンプ兼リフトシリンダ機構38によってダンプ操作可能なものとしている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4221650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の搭載物着脱式運搬車では、コンテナなどの搭載物の重心位置や、同調油圧回路に設けられた分流弁等の制御弁の精度によって、サブフレーム34の前部が先行して昇降したり、後部が先行して昇降するなど不安定な昇降となる場合があるが、このような場合には、昇降時に搭載物が傾斜して、コンテナなどに収容した荷がこぼれることが懸念される。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の課題を解決するために、搭載物の重心位置や同調油圧回路に設けられた分流弁等の制御弁の精度によって、サブフレームの前端側または後端側の何れかが先行して昇降しようとしても、サブフレームが水平状態に戻され、その搭載物を安定した状態で搭載したり、降ろしたりすることができる搭載物着脱式運搬車を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、この発明の搭載物着脱式運搬車は、車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を昇降するようにしている。
【0010】
そして、この発明の搭載物着脱式運搬車は、車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前部において、このサブフレーム4の前部トグル支持機5aを配設し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bおよび前部トグル支持機5aを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を昇降するようにしている。
【0011】
さらに、この発明の搭載物着脱式運搬車は、車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前部において、このサブフレーム4の前部トグル支持機5aを配設し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、このサブフレーム4の後部トグル支持機5bを配設すると共に、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bおよび前後部トグル支持機5a、5bを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を昇降するようにしている。
【0012】
また、この発明の搭載物着脱式運搬車は、前記サブフレーム4の長手方向における中間位置に、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8の一端を軸支したものとし、前記前部昇降機3aがサブフレーム4の上昇配置時に、このサブフレーム4を前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8によってダンプ操作可能なものとしている。
【0013】
さらに、この発明の搭載物着脱式運搬車は、前記流量制御回路に、傾斜角センサSeのシーケンス制御によって流量を調整するための比例電磁弁Pb 、Pb を設けたものとしている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の搭載物着脱式運搬車は、以上に述べたように構成されているので、搭載物の重心位置や同調油圧回路に設けられた分流弁等の制御弁の精度によって、サブフレームの前端側または後端側の何れかが先行して昇降しようとしても、サブフレームが水平状態に戻され、その搭載物を安定した状態で搭載したり、降ろしたりすることができるものとなり、コンテナなどの搭載物に収容した荷がこぼれるようなことはなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の搭載物着脱式運搬車の一部破断側面図である。
【図2】この発明の搭載物着脱式運搬車の平面図である。
【図3】この発明の搭載物着脱式運搬車のサブフレームを上昇させた状態の一部破断側面図である。
【図4】この発明の搭載物着脱式運搬車のサブフレームをダンプ操作して傾動させた状態の一部破断側面図である。
【図5】この発明の搭載物着脱式運搬車の前部昇降機および前部トグル支持機の側面視説明図である。
【図6】この発明の搭載物着脱式運搬車のサブフレームを上昇させた状態の前部昇降機および前部トグル支持機の側面視説明図である。
【図7】この発明の搭載物着脱式運搬車の後部昇降機および後部トグル支持機の側面視説明図である。
【図8】この発明の搭載物着脱式運搬車のサブフレームを上昇させた状態の後部昇降機および後部トグル支持機の側面視説明図である。
【図9】この発明の搭載物着脱式運搬車の前後部昇降機および前後部トグル支持機の同調油圧回路に流量制御回路を組み込んだ概略回路図である。
【図10】この発明の搭載物着脱式運搬車に搭載する搭載物の一例であるコンテナの一部破断側面図である。
【図11】図10に示すコンテナの一部破断正面図である。
【図12】この発明の搭載物着脱式運搬車に搭載する搭載物の他の例であるタンクの一部破断側面図である。
【図13】この発明の搭載物着脱式運搬車に搭載する搭載物のさらに他の例であるパレットの一部破断側面図である。
【図14】従来の搭載物着脱式運搬車の一部破断側面図である。
【図15】従来の搭載物着脱式運搬車のサブフレームを上昇させた状態の一部破断側面図である。
【図16】従来の搭載物着脱式運搬車のサブフレームをダンプ操作して傾動させた状態の一部破断側面図である。
【図17】従来の搭載物着脱式運搬車の前部トグル支持機の側面視説明図である。
【図18】従来の搭載物着脱式運搬車の後部トグル支持機の側面視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の搭載物着脱式運搬車の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1〜3に示したようにこの発明の搭載物着脱式運搬車は、車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前部において、このサブフレーム4の前部トグル支持機5aを配設し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bおよび前部トグル支持機5aを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を水平昇降するようにしている。さらに、前記サブフレーム4には、搭載物6を着脱自在として搭載可能とした搭載着脱機構7を備えたものとしている。また、前記前部昇降機3aは、図4に示したように、サブフレーム4の上昇配置時に、このサブフレーム4をダンプ操作可能なものとしている。なお、前記サブフレーム4の前部に配設した前部トグル支持機5aは、必要に応じて省略したものとすることもできる。
【0018】
また、この発明の搭載物着脱式運搬車は、図7、8示したように他の実施の形態として、車体1後方のリヤフレーム2に装着したサブフレーム4に、地面との水平度を測定する傾斜角センサSeを設置し、前記サブフレーム4の前部において、このサブフレーム4の前部トグル支持機5aを配設し、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えた前部昇降機3aを配設し、前記サブフレーム4の後部において、このサブフレーム4の後部トグル支持機5bを配設すると共に、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えた後部昇降機3bを配設したものとし、これら前後部昇降機3a、3bおよび前後部トグル支持機5a、5bを同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム4を水平昇降するようにしてもよい。
【0019】
前部昇降機3aは、図1〜4に示したように、前記サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構8を備えたものとしており、このダンプ兼リフトシリンダ機構8の一端を、前記サブフレーム4の長手方向における中間位置に軸支し、ダンプ兼リフトシリンダ機構8の他端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した前部ブラケット9aの下端部に軸支したものとしている。
【0020】
後部昇降機3bは、図1〜4に示したように、前記サブフレーム4の後部において、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたリフトシリンダ機構10を備えたものとしている。
【0021】
前部トグル支持機5aは、図5、6に示したように、前部トグルアーム11aの下端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した前部ブラケット9aの下端部に軸支し、前部トグルシリンダ12aの前端をリヤフレーム2に軸支し、前部トグルシリンダ12aの前部ロッド13aの先端を前部トグルリンク14aの下端中央に軸支し、前部トグルリンク14aの下端両側を前記前部トグルアーム11aの上端に軸支し、前部支持アーム15aの前端を、前記前部トグルシリンダ12aの前端と同軸として前記リヤフレーム2に軸支している。さらに、前記前部支持アーム15aの後端と、前記前部トグルリンク14aの上端を、前記サブフレーム4に設けた前部リフトビーム4aを支持するサポートブラケット16に同軸として軸支している。
【0022】
後部トグル支持機5bは、図7、8に示したように、後部トグルアーム11bの下端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した後部ブラケット9bの下端部に軸支し、後部トグルシリンダ12bの前端をリヤフレーム2に軸支し、後部トグルシリンダ12bの後部ロッド13bの先端を後部トグルリンク14bの下端中央に軸支し、後部トグルリンク14bの下端両側を前記後部トグルアーム11bの上端に軸支し、後部支持アーム15bの前端を、前記後部トグルシリンダ12bの前端と同軸として前記リヤフレーム2に軸支し、後部支持アーム15bの後端を、後部トグルリンク14bの上端と同軸として前記サブフレーム4に軸支したものとしている。
【0023】
ダンプ兼リフトシリンダ機構8は、図5、6に示したように、シリンダ8aとロッド8bからなり、このダンプ兼リフトシリンダ機構8の一端、すなわちシリンダ8aの上端を、前記サブフレーム4の長手方向における中間位置に軸支したものとし、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8の他端、すなわちロッド8bの先端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した前部ブラケット9aの下端部に軸支したものとしている。なお、図示していないが、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8のロッド8bの先端を、前記サブフレーム4の長手方向における中間位置に軸支したものとし、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8のシリンダ8aの下端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した前部ブラケット9aの下端部に軸支したものとしてもよい。
【0024】
リフトシリンダ機構10は、図7、8に示したように、シリンダ10aとロッド10bからなり、このリフトシリンダ機構10の一端、すなわちシリンダ10aの下端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した後部ブラケット9bの下端部に軸支し、前記リフトシリンダ機構10の他端、すなわちロッド10bの先端を、前記後部支持アーム15bの後端および後部トグルリンク14bの上端と同軸として前記サブフレーム4に軸支したものとしている。なお、図示していないが、前記リフトシリンダ機構10のロッド10bの先端を、前記リヤフレーム2の下方に向かって突設した後部ブラケット9bの下端部に軸支し、前記リフトシリンダ機構10のシリンダ10aの上端を、前記後部支持アーム15bの後端および後部トグルリンク14bの上端と同軸として前記サブフレーム4に軸支したものとしてもよい。
【0025】
そして、前記サブフレーム4の上昇配置時には、前部昇降機3aのダンプ兼リフトシリンダ機構8のロッド8bを伸長させ、前部トグル支持機5aの前部トグルシリンダ12aの前部ロッド13aを収縮させると共に、後部昇降機3bのリフトシリンダ機構10のロッド10bを伸長させる。すると、前部トグルアーム11aと前部トグルリンク14aが回動し、一直線となって立ち上がった状態で前部支持アーム15aによって支持され、サブフレーム4の前部が上昇位置で固定され、前記リフトシリンダ機構10の伸長したロッド10bは後部支持アーム15bによって支持され、サブフレーム4の後部も上昇位置で固定されることになる。
【0026】
また、前記サブフレーム4の下降配置時には、前部昇降機3aのダンプ兼リフトシリンダ機構8のロッド8bを収縮させ、前部トグル支持機5aの前部トグルシリンダ12aの前部ロッド13aを伸長させると共に、後部昇降機3bのリフトシリンダ機構10のロッド10bを収縮させる。すると、前部トグルアーム11aと前部トグルリンク14aが一直線となって立ち上がった状態から、「く」の字状に曲がった状態となり、サブフレーム4の前部が下降位置で固定され、前記リフトシリンダ機構10のロッド10bも収縮した状態となり、サブフレーム4の後部も下降位置で固定されることになる。
【0027】
なお、図7、8に示したように、前記サブフレーム4の後部トグル支持機5bを配設した場合には、この後部トグル支持機5bも前部トグル支持機5aと同様に作動し、サブフレーム4の後部を上昇位置および下降位置で固定することになる。
【0028】
前記傾斜角センサSeとしては、有効傾斜角が±30°であり、傾斜角感度がほぼ無限小であるものとしており、さらに応答性、耐振動性等に優れたものを用いるのが好ましい。このような傾斜角センサSeとしては、例えば「緑測器」社製の傾斜角センサ「ESC1030Z」等を挙げることができる。この傾斜角センサSeからの制御信号は、図9に示したように、シーケンサSqを介して、後に述べる比例電磁弁Pb 、Pb に送られるようにしている。
【0029】
前記前後部昇降機3a、3bおよび前後部トグル支持機5a、5bは、図9に示したような同調油圧回路に接続したものとしている。すなわち、この同調油圧回路は、タンクTからの作動油がポンプPを経て、ソレノイドバルブSbを通過し、制御弁としての分集流弁Tbにより分流され、分流された一方の作動油が前部昇降機3aおよび前部トグル支持機5aに送られるようにした油圧回路Aを構成すると共に、分流された他方の作動油が後部昇降機3bおよび後部トグル支持機5bに送られるようにした油圧回路Bを構成している。
【0030】
さらに、前記傾斜角センサSeの制御によって作動する流量制御回路は、油圧回路Aおよび油圧回路Bからの作動油が、それぞれ比例電磁弁Pb 、Pb を通過してタンクTに戻す油圧回路C、Dを構成している。
【0031】
前記搭載物6は、図10、11に示したような、岩石、鉱石、土砂等の搬送に適したバケット型のコンテナ、図12に示したような、散水用、油やガス等の輸送用に適したタンク、図13に示したような、木材、金属材等の長尺物の搬送に適したパレットなどとすることができる。このような搭載物6の本体部6aの両側部の下方には支持脚6bが設けられ、これら支持脚6bの間をリヤフレーム2の進入空間Sとしている。さらに、支持脚6bの前端上部寄りにはそれぞれクッション体Cが取り付けられている。また、本体部6aの底部フレーム6cには、前端部に前部ロック部材17aを設けたものとし、略中央部に中部ロック部材17bを幅方向に複数個(図示したものは二個)、並列させて設けたものとしている。前部ロック部材17aは、前記本体部6aから下方向に突設したプレートとしており、中部ロック部材17bは、前記本体部6aから下方向に突設した二個のブラケット18間にピン19を軸支したものとしている。そして、前記搭載物6を地上に置いた場合、下降配置時のサブフレーム4が本体部6aの底部フレーム6c下に配置される高さとし、サブフレーム4の上昇配置時に、本体部6aの底部フレーム6cが押し上げられることにより本体部6aが上昇して支持脚6bが浮き上がり、運搬可能となるようにしている。
【0032】
前記搭載着脱機構7は、図1〜3に示したように、サブフレーム4の前両側部に水平方向に突設したストッパー20と、サブフレーム4の前端部に上方向に突設した前部ロック体21aと、サブフレーム4の略中央部において、幅方向に複数個(図示したものは二個)、並列させて設け、リヤフレーム2に突設したガイド22によって作動する中部ロック体21bからなるものとしている。そして、サブフレーム4の下降配置時においては、中部ロック体21bが略水平状態となっており、搭載物6の本体部6aの底部フレーム6cに設けた中部ロック部材17bのピン19から離脱した状態となっている。そこで、この下降配置時のサブフレーム4を徐々に上昇させていくと、前記搭載物6の前部ロック部材17aが搭載着脱機構7の前部ロック体21aにロックされると共に、前記中部ロック体21bが搭載物6の本体部6aの底部フレーム6cに設けた中部ロック部材17bのピン19に引っ掛かって、搭載物6が跳ね上がるのを防止する。
【0033】
このように構成したこの発明の搭載物着脱式運搬車を用いて、サブフレームに搭載物を着脱自在として搭載するには、次のようにして行う。
【0034】
先ず、車体1を後退させ、あらかじめ岩石、鉱石、土砂等を荷積みされ地上に置かれた搭載物6の進入空間S内に、前後部昇降機3a、3bによってサブフレーム4を図1、2に示す下降配置状態にしたリヤフレーム2を進入させて行き、搭載着脱機構7のストッパー20に搭載物6の支持脚6bに取り付けたクッション体Cが接触したところでリヤフレーム2の進入を停止させる。
【0035】
そこで、前後部昇降機3a、3bを同時に作動させることによってサブフレーム4を上昇配置状態にするが、搭載物6重心位置や分集流弁Tbの精度によって、サブフレーム4の前端側または後端側の何れかが先行して上昇することがあり、サブフレーム4に搭載される搭載物6が傾いた状態で持ち上げられることがある。しかし、この場合、傾斜角センサSeの制御によって、前記先行して上昇したサブフレーム4の前端側または後端側の前後部昇降機3a、3bの流量制御回路の何れかの比例電磁弁Pb 、Pb が開かれ、作動油がタンクTに戻され、前記先行して上昇したサブフレーム4の前端側または後端側が下げられ、前記搭載物6を水平状態に戻される。
【0036】
すなわち、前記サブフレーム4の前端側が先行して上昇した場合には、比例電磁弁Pb が閉じられ、比例電磁弁Pb が開かれ、作動油がタンクTに戻され、前記サブフレーム4の後端側が先行して上昇した場合には、比例電磁弁Pb が閉じられ、比例電磁弁Pbが開かれ、作動油がタンクTに戻される。
【0037】
この状態で、前後部昇降機3a、3bによってサブフレーム4を上昇配置状態にすると、前記したように搭載物6の前部ロック部材17aが搭載着脱機構7の前部ロック体21aにロックされ、搭載物6が水平方向に移動しない安定した状態となる共に、搭載着脱機構7の中部ロック体21bが搭載物6の本体部6aの底フレーム6cに設けた中部ロック部材17bのピン19に引っ掛かって、搭載物6が跳ね上がるのを防止し、搭載物6が水平方向にも垂直方向にも移動しない安定した状態としてサブフレーム4に搭載される。
【0038】
また、この発明の搭載物着脱式運搬車では、搭載した搭載物6を降ろすには、前後部昇降機3a、3bを同時に作動させることによってサブフレーム4を下降配置状態にするが、搭載物6の重心位置や分集流弁Tbの精度によって、サブフレーム4の前端側または後端側の何れかが先行して下降することがあり、サブフレーム4に搭載された搭載物6が傾いた状態で降ろされることがある。しかし、この場合、傾斜角センサSeの制御によって、前記先行して下降したサブフレーム4の前端側または後端側の前後部昇降機3a、3bの流量制御回路の何れかの比例電磁弁Pb 、Pb が閉じられ、作動油がタンクTに戻されるのが停止され、前記先行して下降したサブフレーム4の前端側または後端側が下がるのが止められ、前記搭載物6を水平状態に戻される。
【0039】
すなわち、前記サブフレーム4の前端側が先行して下降した場合には、比例電磁弁Pb が閉じられ、比例電磁弁Pbが開かれ、作動油がタンクTに戻され、前記サブフレーム4の後端側が先行して下降した場合には、比例電磁弁Pb が閉じられ、比例電磁弁Pb が開かれ、作動油がタンクTに戻される。
【0040】
この状態で、前後部昇降機3a、3bによってサブフレーム4を下降配置状態にすると、中部ロック体21bが略水平状態となり、中部ロック体21bは搭載物6の本体部6aの底部フレーム6cに設けた中部ロック部材17bのピン19から離脱する。そこで、前記前後部昇降機3a、3bによってサブフレーム4を下降配置にした状態で、車体1を前進させればよい。このようにすれば、搭載物6の進入空間S内からリヤフレーム2が引き出され、サブフレーム4に搭載した搭載物6を降ろすことができる。
【0041】
したがって、この発明の搭載物着脱式運搬車では、搭載物6の重心位置や分集流弁Tbの精度によって、サブフレーム4の前端側または後端側の何れかが先行して昇降しようとしても、サブフレーム4が水平状態に戻され、その搭載物6を安定した状態で搭載したり、降ろしたりすることができる。
【0042】
さらに、この発明の搭載物着脱式運搬車では、岩石、鉱石、土砂等の積み荷は前記したように搭載物6ごと降ろしたり、積み荷のみクレーン等によって吊り降ろすこともできるが、搭載物6をサブフレーム4上に搭載したまま、図4に示したようにダンプ兼リフトシリンダ機構8によりサブフレーム4を傾動させて、搭載物6内から積み荷を滑り降ろすことができる。なお、搭載物6は、前部ロック部材17aが搭載着脱機構7の前部ロック体21aにロックされているので滑り落ちることはない。
【0043】
この場合、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8は、サブフレーム4の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム2とサブフレーム4間に介在させたものとしているので、このサブフレーム4の長手方向における中間位置にダンプ兼リフトシリンダ機構8の一端を軸支したものとするには、図16に示した従来例のような、ストロークの長い一段式のシリンダ機構を採用することなく、図4に示したような、ストロークの短い多段式のシリンダ機構を採用することができるので、非常に嵩の低いものとなる。
【0044】
しかも、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構8は、図1に示したように、サブフレーム4との取り付け角度が深くなり、その結果サブフレーム4をダンプ操作する力は負荷荷重に対して効率が良くなるので、サブフレーム4に搭載される搭載物6の重量が大きい場合にも、ダンプ操作が行い易く、このダンプ兼リフトシリンダ機構8が大型化してしまうということはない。
【0045】
さらに、この発明の搭載物着脱式運搬車において、前記サブフレーム4の後部において、このサブフレーム4の後部トグル支持機5bを配設していないものとした場合には、リヤフレーム2の後部空間が広いものとなり、ダンプ操作時の自由度が制限されず、ダンプ操作時の運転者の視界もよくなるのでダンプ操作が非常に行い易いものとなる。
【符号の説明】
【0046】
1 車体
2 リヤフレーム
3a 前部昇降機
3b 後部昇降機
4 サブフレーム
5a 前部トグル支持機
5b 後部トグル支持機
8 ダンプ兼リフトシリンダ機構
10 リフトシリンダ機構
Pb 比例電磁弁
Pb 比例電磁弁
Se 傾斜角センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)後方のリヤフレーム(2)に装着したサブフレーム(4)に、地面との水平度を測定する傾斜角センサ(Se)を設置し、前記サブフレーム(4)の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構(8)を備えた前部昇降機(3a)を配設し、前記サブフレーム(4)の後部において、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたリフトシリンダ機構(10)を備えた後部昇降機(3b)を配設したものとし、これら前後部昇降機(3a、3b)を同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサ(Se)の制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム(4)を昇降するようにしたことを特徴とする搭載物着脱式運搬車。
【請求項2】
車体(1)後方のリヤフレーム(2)に装着したサブフレーム(4)に、地面との水平度を測定する傾斜角センサ(Se)を設置し、前記サブフレーム(4)の前部において、このサブフレーム(4)の前部トグル支持機(5a)を配設し、前記サブフレーム(4)の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構(8)を備えた前部昇降機(3a)を配設し、前記サブフレーム(4)の後部において、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたリフトシリンダ機構(10)を備えた後部昇降機(3b)を配設したものとし、これら前後部昇降機(3a、3b)および前部トグル支持機(5a)を同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサ(Se)の制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム(4)を昇降するようにしたことを特徴とする搭載物着脱式運搬車。
【請求項3】
車体(1)後方のリヤフレーム(2)に装着したサブフレーム(4)に、地面との水平度を測定する傾斜角センサ(Se)を設置し、前記サブフレーム(4)の前部において、このサブフレーム(4)の前部トグル支持機(5a)を配設し、前記サブフレーム(4)の前後部間の前部寄りにおいて、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたダンプ兼リフトシリンダ機構(8)を備えた前部昇降機(3a)を配設し、前記サブフレーム(4)の後部において、このサブフレーム(4)の後部トグル支持機(5b)を配設すると共に、リヤフレーム(2)とサブフレーム(4)間に介在させたリフトシリンダ機構(10)を備えた後部昇降機(3b)を配設したものとし、これら前後部昇降機(3a、3b)および前後部トグル支持機(5a、5b)を同調油圧回路に接続し、さらにこの同調油圧回路に前記傾斜角センサ(Se)の制御によって作動する流量制御回路を組み込んだものとして、前記サブフレーム(4)を昇降するようにしたことを特徴とする搭載物着脱式運搬車。
【請求項4】
前記サブフレーム(4)の長手方向における中間位置に、前記ダンプ兼リフトシリンダ機構(8)の一端を軸支したものとし、前記前部昇降機(3a)がサブフレーム(4)の上昇配置時に、このサブフレーム(4)を前記ダンプ兼リフトシリンダ機構(8)によってダンプ操作可能なものとしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の搭載物着脱式運搬車。
【請求項5】
前記流量制御回路には、傾斜角センサ(Se)のシーケンス制御によって流量を調整するための比例電磁弁(Pb 、Pb )を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の搭載物着脱式運搬車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−236448(P2012−236448A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105281(P2011−105281)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(391004908)三輪運輸工業株式会社 (4)