説明

携帯電話機用の集音装置およびハンドフリー通話システム

【課題】各種の携帯電話機に使用でき汎用性に優れた携帯電話機用の集音装置を提供する。
【解決手段】集音装置4は、所定の曲面形状をなす1枚の集音反射板部26で構成した集音部21と、集音部21からの音を携帯電話機2の送話口部3まで案内する音案内部22とを備える。音案内部22の案内終端部には、音案内部22の案内終端部を送話口部3との対向位置に位置決めするクリップ式の着脱部23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用性に優れた携帯電話機用の集音装置およびこれを具備するハンドフリー通話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体の一部に装着しなければならないイヤフォンマイクを用いることなく、携帯電話機を利用した自動車室内でのハンドフリー通話を可能にするハンドフリー製品が普及しつつある。
【0003】
例えばそのようなハンドフリー製品として、自動車室内の運転席前方位置に取り付けて使用するもので、携帯電話機のイヤフォンマイク端子に接続するジャックを先端に有する延出コードの基端が取り付けられかつ外部スピーカーおよび外部マイク等が内蔵されたホルダ兼ハンドフリーユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−368246号公報(第3頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯電話機のイヤフォンマイク端子は、その形状が統一されておらず、丸型や平型等、複数種ある。
【0005】
このため、例えばホルダ兼ハンドフリーユニットのジャックに対応した携帯電話機をセットした場合にはハンドフリー通話が可能であるが、その携帯電話機とはイヤフォンマイク端子の形状が異なる他の種類の携帯電話機の場合には、ジャック接続が不可能で、ハンドフリー通話ができない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、汎用性に優れた携帯電話機用の集音装置およびこれを具備するハンドフリー通話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の携帯電話機用の集音装置は、集音部と、この集音部にて集音された音を携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部とを備えるものである。
【0008】
そして、集音部で集音した音を音案内部で携帯電話機の送話口部まで案内することができるので、各種の携帯電話機に対応でき、汎用性に優れている。
【0009】
請求項2記載の携帯電話機用の集音装置は、携帯電話機に着脱可能に取り付けて使用する携帯電話機用の集音装置であって、集音部と、この集音部にて集音された音を前記携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部と、前記携帯電話機に着脱可能に取り付けられ、前記音案内部の案内終端部を前記送話口部との対向位置に位置決めする着脱部とを備えるものである。
【0010】
そして、着脱部を携帯電話機に取り付けることで、集音部からの音を携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部の案内終端部をその送話口部との対向位置に位置決めできるため、各種の携帯電話機に対応でき、汎用性に優れている。
【0011】
請求項3記載の携帯電話機用の集音装置は、請求項1または2記載の携帯電話機用の集音装置において、集音部は、所定の曲面形状に形成された1枚の集音反射板部にて構成されているものである。
【0012】
そして、集音部を所定の曲面形状に形成された1枚の集音反射板部にて構成することにより、構成の簡素化を図ることが可能である。
【0013】
請求項4記載の携帯電話機用の集音装置は、請求項2記載の携帯電話機用の集音装置において、着脱部は、携帯電話機を掴む一対のクランプ部材を有するクリップ部にて構成されているものである。
【0014】
そして、着脱部を携帯電話機を掴む一対のクランプ部材を有するクリップ部にて構成することにより、音案内部の案内終端部の位置決めを容易に行なうことが可能である。
【0015】
請求項5記載のハンドフリー通話システムは、携帯電話機と、集音した音を前記携帯電話機の送話口部まで案内する請求項1ないし4のいずれか一記載の携帯電話機用の集音装置と、前記携帯電話機の受話口部に着脱可能に取り付けられるマイクロフォン部を有する無線送信装置と、この無線送信装置からの音情報を受信し、この受信した音情報に基づいて外部スピーカー部から音を出す無線受信装置とを具備するものである。
【0016】
そして、集音装置、無線送信装置および無線受信装置を用いることで、携帯電話機の種類に拘わらず、ハンドフリー通話を適切に行なうことが可能である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、集音部で集音した音を音案内部で携帯電話機の送話口部まで案内することができるので、各種の携帯電話機に対応でき、汎用性に優れている。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、着脱部を携帯電話機に取り付けることで、集音部からの音を携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部の案内終端部をその送話口部との対向位置に位置決めできるため、各種の携帯電話機に対応でき、汎用性に優れている。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、集音部を所定の曲面形状に形成された1枚の集音反射板部にて構成することにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、着脱部を携帯電話機を掴む一対のクランプ部材を有するクリップ部にて構成することにより、音案内部の案内終端部の位置決めを容易に行なうことができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、集音装置、無線送信装置および無線受信装置を用いることで、携帯電話機の種類に拘わらず、ハンドフリー通話を適切に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のハンドフリー通話システムの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1および図2において、1はハンドフリー通話システムで、このハンドフリー通話システム1は、例えば自動車の運転席に座った運転者が携帯電話機2を手に持たずに自動車室内でハンドフリー通話を行なうことを可能にする自動車用ハンドフリー通話システムである。
【0024】
ハンドフリー通話システム1は、携帯電話機2と、携帯電話機2の送話口部3に着脱可能に取り付けて使用する携帯電話機用の集音装置4と、携帯電話機2の受話口部5に着脱可能に取り付けられるマイクロフォン部6を有する無線送信装置7と、無線送信装置7からの音情報(受話音声信号)を受信しこの受信した音情報に基づいて外部スピーカー部8から音(受話音声)を出す無線受信装置9とを具備している。
【0025】
携帯電話機2は、例えば折畳み式のもので、展開状態で上端部に受話口部(スピーカー部)5を備えているとともに下端部に送話口部(マイクロフォン部)3を備えている。また、携帯電話機2は、アンテナ部11、液晶表示部12および操作ボタン部13等を備えている。
【0026】
集音装置4は、図3ないし図6にも示されるように、自動車の運転席に座った運転者の声(送話音声)を集音する略板状の集音部21と、集音部21にて集音された音を携帯電話機2の送話口部3まで案内する略筒状の音案内部22と、携帯電話機2の送話口部3に着脱可能に取り付けられその送話口部3に取り付けられた状態で音案内部22の案内終端部を送話口部3との隣接対向位置に位置決めするクリップ式の着脱部23とを備えている。
【0027】
集音部21は、音案内部22の案内始端側に対して凹状をなす所定の曲面形状(例えばパラボラアンテナに似た形状)に形成され運転者の声(送話音声)を1点に集音反射する1枚の集音反射板部26にて構成されている。なお、集音反射板部26の幅寸法は携帯電話機2の幅寸法と略同じである。
【0028】
音案内部22は、集音反射板部26側に向って開口する案内始端開口27が形成され集音反射板部26と離間対向して位置する第1音案内部28と、集音反射板部26の向きを調節できるように屈曲可能とされ先端部が第1音案内部28の管状部分28aに連通接続され基端部に案内終端開口29が形成された蛇腹管状の第2音案内部30とにて構成されている。なお、第1音案内部28の管状部分28aに集音反射板部26が固定的に設けられている。
【0029】
着脱部23は、携帯電話機2の下端部を前後面から掴む一対のクランプ部材31を有する洗濯ばさみ状のクリップ部32にて構成されている。両クランプ部材31は軸部材33を介して互いに回動可能に連結され、両クランプ部材31間にはこれら両クランプ部材31を携帯電話機2の掴み方向に付勢するねじりばね等のばね部材34が配設されている。なお、第2音案内部30の基端部である案内終端部にクリップ部32が固定的に設けられている。すなわち、片方のクランプ部材31に形成された孔部35内に第2音案内部30の案内終端部が嵌入され、このクランプ部材31の携帯電話機2の前面と接触する部分にはスポンジ材36が貼着されている。
【0030】
無線送信装置7は、図1および図2に示されるように、自動車室内の運転席前方位置に固定して使用するもので、例えば携帯電話機2を保持するホルダ機能を持ったFMトランスミッターである。
【0031】
無線送信装置7は、1ユニット状の装置本体部41を備え、この装置本体部41の左右両側には携帯電話機を保持するホルダ部42が左右位置調節可能に設けられている。
【0032】
また、装置本体部41から延出コード43が延出し、この延出コード43の先端には携帯電話機2の受話口部5に着脱可能に取り付けられるクリップ式のマイクロフォン部6が設けられている。そして、このクリップ式のマイクロフォン部6は、携帯電話機2の上端部を前後面から掴む一対のクランプ部材44を有する洗濯ばさみ状のクリップ45と、片方のクランプ部材44の先端に設けられたエレクトリックコンデンサマイク(EMC)46とを備えている。クリップ45の両クランプ部材44は軸部材47を介して互いに回動可能に連結され、これら両クランプ部材44間にはこれら両クランプ部材44を携帯電話機2の掴み方向に付勢するねじりばね等のばね部材(図示せず)が配設されている。
【0033】
なお、装置本体部41には、アンテナ部48、電源スイッチ部49および電池収容部50等が設けられている。また、装置本体部41から紐51が延出し、この紐51の先端に集音装置4が設けられている。
【0034】
無線受信装置9は、例えば自動車に設置され無線送信装置7であるFMトランスミッターからのFM電波を受信するカーラジオである。この無線受信装置9であるカーラジオは、無線送信装置7から送られてくるFM電波に乗った音情報をアンテナ部52から受信し、この受信した音情報に基づいて外部スピーカー部8から音を出す。この外部スピーカー部8は自動車のドア部等に設けられている。
【0035】
次に、上記ハンドフリー通話システム1を使用して自動車室内でハンドフリー通話を行なう場合について説明する。
【0036】
自動車の運転席に座った運転者は、まず、自動車室内の運転席前方位置に固定された無線送信装置(FMトランスミッター)7のホルダ部42に自分の携帯電話機を引掛けるようにして保持させる。
【0037】
続いて、そのホルダ部42にて保持された携帯電話機2の送話口部3に集音装置4のクリップ式の着脱部23を着脱可能に取り付けて音案内部22の案内終端部の案内終端開口29と携帯電話機2の送話口部3とをスポンジ材36を介して互いに隣接対向させるとともに、そのホルダ部42にて保持された携帯電話機2の受話口部5に無線送信装置7のクリップ式のマイクロフォン部6を着脱可能に取り付けてこのマイクロフォン部6のエレクトリックコンデンサマイク46と携帯電話機2の受話口部5とを互いに隣接対向させる。
【0038】
このように携帯電話機2をセットした状態時に、この携帯電話機2に対して電話がかかってきた場合、相手の声は、受話口部5および無線送信装置(FMトランスミッター)7を経て無線受信装置(カーラジオ)9の外部スピーカー部8から出力され、運転者はその外部スピーカー部8からの相手の声を運転席に座ったまま聞くことができる。
【0039】
また、運転者の声は、集音装置4の集音反射板部26にて集音反射された後、第1音案内部28内および第2音案内部30内を経て携帯電話機2の送話口部3まで導かれ、携帯電話機2の内部で所定の処理が行なわれてアンテナ部11から相手側へ無線送信される。なお、携帯電話機2の送話口部3に集音装置4が取り付けられているため、携帯電話機2から約1メートル離れた位置からの運転者の声であっても送話口部3に届くようになっている。
【0040】
このようにして自動車の運転席に座った運転者は、イヤフォンマイクを身体の一部に装着することなく、携帯電話機2を手に持たずに、ハンドルを握ったまま、自動車室内でハンドフリー通話を行なうことができる。
【0041】
そして、上記の自動車用ハンドフリー通話システム1によれば、集音装置4および無線送信装置7をイヤフォンマイク端子の形状が異なる各種の携帯電話機2に使用できるため、集音装置4、無線送信装置7および無線受信装置9を用いることで、携帯電話機2の種類に拘わらず、自動車室内でハンドフリー通話を適切に行なうことができる。また、携帯電話機2に対して着脱する集音装置4は機械的なものであるため、電力を必要とせず、省エネを図ることもできる。
【0042】
なお、携帯電話機用の集音装置4は、図3ないし図6に示すものには限定されず、例えば図7ないし図10に示すものでもよい。
【0043】
図7ないし図10に示す集音装置4の集音部21は、球冠状の第1集音反射板部61と、この第1集音反射板部61の中央部と離間対向した球冠状の第2集音反射板部62とにて構成されている。また、図7ないし図10に示す集音装置4の音案内部22は、第1集音反射板部61の向きを調節できるように屈曲可能とされ先端部である上端部に案内始端開口27が形成され基端部である下端部に案内終端開口29が形成された蛇腹管63にて構成されている。この蛇腹管63の上端部が第1集音反射板部61の中央部に取り付けられ、この蛇腹管63の案内始端開口27が第2集音反射板部62に向って開口している。そして、運転者の声(送話音声)は、2枚の集音反射板部61,62にて集音反射された後、音案内部22の蛇腹管63内を経て携帯電話機2の送話口部3まで導かれる。
【0044】
また、集音装置4の着脱部23は、携帯電話機2を掴む一対のクランプ部材31を有するクリップ部32にて構成されたものには限定されず、例えば図示しないが、携帯電話機2の送話口部3に吸着する吸着盤を有するようなものや、携帯電話機2に装着するゴムを有するようなもの等でもよい。
【0045】
さらに、集音装置4は、携帯電話機2に対して着脱する着脱部23を有さないものでもよい。例えば図11および図12に示す集音装置4は、着脱部23を有さず、無線送信装置7の装置本体部41の下部に形成され携帯電話機2の下端部が出し入れ可能に収容されこの携帯電話機2を保持する収容部分(ホルダ部)71に固着されている。すなわち、装置本体部41の収容部分71における携帯電話機2の送話口部3と対向する部分に形成された孔部72内に蛇腹管状の第2音案内部30の案内終端部が嵌入されている。なお、この第2音案内部30は、送話口部3側に向って徐々に拡径した截頭円錐形状の蛇腹管にて構成されている。すなわち、図11および図12に示す集音装置4では、集音部21にて集音された音を送話口部3まで案内する音案内部22の案内終端側が携帯電話機2の送話口部3側に向って徐々に拡径した截頭円錐形状に形成されている。
【0046】
また一方、無線送信装置7はFMトランスミッターには限定されず、例えばAMトランスミッター等でもよく、またホルダ機能を有さないもの等でもよい。
【0047】
さらに、無線受信装置9は自動車に設置されたカーラジオには限定されず、無線送信装置7からの音情報を再生可能なものであれば、ラジカセ、CDプレイヤー、カーナビ等、いかなる装置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のハンドフリー通話システムの一実施の形態を示す概要図である。
【図2】同上ハンドフリー通話システムのハンドフリー通話状態時における概要図である。
【図3】同上ハンドフリー通話システムの集音装置を示す斜視図である。
【図4】同上集音装置の平面図である。
【図5】同上集音装置の側面図である。
【図6】同上集音装置の側面視断面図である。
【図7】同上集音装置の変形例を示す斜視図である。
【図8】同上集音装置の平面図である。
【図9】同上集音装置の側面図である。
【図10】同上集音装置の側面視断面図である。
【図11】本発明のハンドフリー通話システムの他の実施の形態を示す概要図である。
【図12】同上ハンドフリー通話システムの集音装置および無線送信装置の一部断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ハンドフリー通話システム
2 携帯電話機
3 送話口部
4 携帯電話機用の集音装置
5 受話口部
6 マイクロフォン部
7 無線送信装置
8 外部スピーカー部
9 無線受信装置
21 集音部
22 音案内部
23 着脱部
26 集音反射板部
31 クランプ部材
32 クリップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集音部と、
この集音部にて集音された音を携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部と
を備えることを特徴とする携帯電話機用の集音装置。
【請求項2】
携帯電話機に着脱可能に取り付けて使用する携帯電話機用の集音装置であって、
集音部と、
この集音部にて集音された音を前記携帯電話機の送話口部まで案内する音案内部と、
前記携帯電話機に着脱可能に取り付けられ、前記音案内部の案内終端部を前記送話口部との対向位置に位置決めする着脱部と
を備えることを特徴とする携帯電話機用の集音装置。
【請求項3】
集音部は、所定の曲面形状に形成された1枚の集音反射板部にて構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の携帯電話機用の集音装置。
【請求項4】
着脱部は、携帯電話機を掴む一対のクランプ部材を有するクリップ部にて構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の携帯電話機用の集音装置。
【請求項5】
携帯電話機と、
集音した音を前記携帯電話機の送話口部まで案内する請求項1ないし4のいずれか一記載の携帯電話機用の集音装置と、
前記携帯電話機の受話口部に着脱可能に取り付けられるマイクロフォン部を有する無線送信装置と、
この無線送信装置からの音情報を受信し、この受信した音情報に基づいて外部スピーカー部から音を出す無線受信装置と
を具備することを特徴とするハンドフリー通話システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−60739(P2006−60739A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243328(P2004−243328)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000102108)イワヤ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】