説明

播種機の種子繰出装置

【課題】
カルパーのようなコーティング剤で被覆した籾種子を用して播種する播種機は、播種作業中に種子外周部のコーティング剤が、繰出による摩擦抵抗等を受けて崩れ易く、鉄粉や、鉄粉を有したコーティング剤屑等の粉屑を発生し易く、これが繰出ロールの繰出溝等に付着して詰り易く、円滑な播種作業を継続し難い。
【解決手段】
播種ホッパー1の底部に収容種子を漏下させて繰出ロール2の回転する繰出室3へ供給する篩い体4を設け、この篩い体4には通電により磁力を発生可能の磁性体5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄粉を混入するカルパー等のコーティング剤で被覆した種子を播種対象とする播種機の種子繰出装置に関し、繰出ロールによる種子繰出作用を正確に、円滑に行わせるものである。
【背景技術】
【0002】
水稲直播機において、種子ホッパーに収容する種子を繰出ロールの回転する繰出ロール室へ流下供給して播種させる藩主種装置の技術(たとえば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2010−193773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カルパーのようなコーティング剤で被覆した籾種子を用して播種する播種機は、播種作業中に種子外周部のコーティング剤が、繰出による摩擦抵抗等を受けて崩れ易く、鉄粉や、鉄粉を有したコーティング剤屑等の粉屑を発生し易く、これが繰出ロールの繰出溝等に付着して詰り易く、円滑な播種作業を継続し難い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、播種ホッパー1の底部に収容種子を漏下させて繰出ロール2の回転する繰出室3へ供給する篩い体4を設け、この篩い体4には通電により磁力を発生可能の磁性体5を設けたことを特徴とする播種機の種子繰出装置の構成とる。
【0005】
播種ホッパー1にカルパー等のコーティング剤で被覆された種子を収容して、繰出ロール2を回転させて播種作業を行わせる。種子が繰出ロール2によって繰出されると、播種ホッパー1内の種子が篩い体4の漏下通路部を流下して繰出室3へ供給されて繰出作用を継続させる。播種ホッパー1内の種子がこの篩い体4の漏下通路部を流下するときは、前記磁性体5の通電して磁力を発生させておくことによって、この磁力によって吸引が働いて、鉄粉や、鉄粉を含むコーティング剤の粉屑が磁性体5に吸着されて、この鉄粉を有したコーティング剤粉屑を取除いた状態のコーティング種子を繰出ロール2側へ供給して播種させる。通電をOFFしたときは、磁性体5の磁力は無く、鉄粉を有したコーティング剤粉屑の吸着は解除される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記播種ホッパー1の篩い体4には、種子の漏下する漏下通路6に対面して上頂縁7から左右両側の下底縁8に亘って三角断面形状の傾斜面9を形成し、この篩い体4の左右傾斜面9間の内側には、前記磁性体5を収容する磁石室10を形成し、この傾斜面9には、磁石室10連通する吸引穴11を形成して、流下案内する種子に混入する鉄粉屑を磁石室10内へ吸引排除する形態とする。
【0007】
前記のように、播種ホッパー1内の種子が篩い体4の漏下通路6を流下するとき、この漏下通路6の左右両側面の傾斜面9に案内されて、途中の吸引穴11部に摺動して流下するため、この磁石室10の磁性体5によって働く吸引力によって、鉄粉を含んだコーティング剤粉屑が前記傾斜面9の吸引穴11から磁石室10内へ吸引除去される。
また、コーティング剤を有した種子や、コーティング剤を剥離した種子、更には鉄粉を含まないコーティング剤粉屑等は、前記吸引穴11から磁石室10は吸引されないで、繰出ロール2側へ供給される。又、前記各磁石室10の磁性体5に吸着されたコーティング剤の粉屑を掃除するときは、前記磁性体5の磁力をOFFにして、鉄粉を含んだコーティング剤粉屑の磁力吸着を解放させて、磁石室10から排出させることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記篩い体4を電磁石製として、この篩い体4を播種ホッパー1に着脱可能に設け、この篩い体4を播種ホッパー1に取付けることにより、この篩い体4側の端子ソケット12を播種ホッパー1側の電極ピン13と嵌合させて通電可能で、操作具17で通電量を変更可能に構成する。
【0009】
前記のような篩い体4は、通電性を有した素材の電磁石製として構成されて、播種ホッパー1に着脱することができ、この篩い体4を取付けたときは、この篩い体4の端子ソケット12が播種ホッパー1の電極ピン13に嵌合接続されて通電可能の状態となり、電気回路からボリュームの如き操作具17を介して通電することより、篩い体4の磁力が形成されて、前記播種ホッパー1内を流下するコーティング種子から鉄粉を有したコーティング剤粉屑をこの篩い体4の磁極部に吸着して、この吸着したコーティング剤粉屑を繰出ロール2側へ供給させないように滞留保持する。
また、この篩い体4の磁力を調節、変更するときは、前記操作具17を操作して電流調節を行う。この電流量に応じて篩い体4の磁力も変更調節される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記篩い体4は、通電によって熱を発生して前記漏下通路6を流下する種子を加熱乾燥するヒータ14を有する。
【0011】
前記のように播種ホッパー1に収容された種子は、篩い体4の漏下通路部6等を経て下方の繰出ロール2側へ流下供給される。このとき篩い体4は通電によって磁力を形成する磁製体5を有し、かつ、通電によって加熱乾燥するヒータ14を有するものであるから、このヒータ14による加熱によって種子がさらさらの乾燥状態に維持されて、播種ホッパー1の外部の水分過多に拘らず、この篩い体4部を漏下するコーティング剤種子の流下が円滑に行われる。この状態で磁製体5による電磁力によって鉄粉を有するコーティング剤粉屑を吸引除去を円滑に行わせる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記繰出ロール2の回転する繰出室3の外周部に、繰出ロール2の繰出溝15内に残留する鉄粉屑を吸引排除する掃除磁石16を設ける。
【0013】
播種ホッパー1内の種子は、前記篩い体4を経て繰出ロール2へ供給されて、この供給途中で磁性体5によって鉄粉を有するコーティング剤粉屑が吸着除去されるが、この種子は前記繰出ロール2の回転によって、この回転周面の繰出溝15毎に嵌合され量決めされて繰出室3を繰出される。この繰出ロール2の繰出溝15から種子が排出されると、繰出溝15が掃除磁石16の位置に対向するとき、この掃除磁石16が通電されて、電磁力により吸引力を生じ、各種子を排出させた跡の繰出溝15内部に鉄粉を有するコーティング剤粉屑が残留しているときは、このコーティング剤粉屑を掃除磁石16に吸着して、繰出溝15内部に鉄粉が残留しないように掃除する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は、篩い体4には磁性体5を設けることにより、種子のコーティング剤が崩れて飛散しても、このコーティング剤に含む鉄分によって前記磁性体5によって吸引吸着されて、鉄粉の繰出ロール2側への供給を阻止して、繰出ロール2周面の繰出溝や、繰出室3との間の間隙部等に対する鉄粉コーティング剤屑の付着、堆積、詰り等を軽減することができる。又、この磁性体5は磁力を解除することによって、吸着保持している鉄粉屑を解放することができ、鉄粉屑を保持していた篩い体4をきれいに、簡単、容易に掃除することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前記篩い体4に中空上の磁石室10を形成して、この磁石室10外側に三角断面形態の傾斜面9と吸引穴11を形成して、種子の流下供給される漏下通路6を構成するものであるから、種子の繰出ロール2側への流下供給を均分化して、磁性体5による磁力吸着性を有効に均一に行わせて、効率よく鉄粉を含むコーティング剤粉屑の除去を行わせることができる。又、磁石室10内の磁性体5の磁力をOFFにしたり、磁器性体5を篩い体4から外したり、篩い体4と共に播種ホッパー1から取り外す等によって、吸着していた鉄粉を含むコーティング剤粉屑の吸着解放して簡単、容易に掃除することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、前記篩い体4自体を電導性のある磁性体で構成したことにより、コーティング剤を有した種子を漏下させて繰出ロール2の側へ供給させる篩い体4の種子漏下面積を広く形成することができ、しかも、この篩い体4における通電量を操作具17によって変更、調節することによって、コーティング剤粉屑を吸着するに適した磁力として最適の吸引性能を簡単、容易に設定することができる。又、このため、磁力が強過ぎて鉄粉を有するコーティング剤で覆われた整粒種子が、篩い体4に吸着保持された状態となることを防止する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の発明の効果に加えて、前記播種ホッパー1内の篩い体4に通電によって加熱するヒータ14を設けるものであるから、この播種ホッパー1内を乾燥状態に維持して、コーティング剤を有した種子の流下供給を円滑に行わせて安定維持し、鉄粉を有したコーティング剤粉屑の水分による凝結状態となることを防止して、鉄粉を有したコーティング剤粉屑を有効に吸着除去することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の発明の効果に加えて、前記播種ホッパー1内の篩い体4において、鉄粉を有したコーティング剤粉屑の吸着除去を受けた種子が、繰出ロール2で繰出される行程で再度鉄粉を有し他コーティング剤粉屑を発生する等により、繰出作用後の繰出溝15内に鉄粉を有するコーティング剤粉屑が残留したときは、この種子繰出跡の繰出溝15に掃除磁石16の磁力が働いて、残留して付き回りする鉄粉を有するコーティング剤粉屑を吸引除去して各繰出溝15内掃除するもので、常時正確で、安定した種子繰出の作用を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】直播種機の側面図
【図2】直播種機の播種ホッパー部の側面図
【図3】直播種機の篩い体部の平面図
【図4】直播種機の篩い体部のの側断面図
【図5】直播種機の篩い体部の一部の作用状態を示す側断面図
【図6】直播種機の篩い体部のの一部の作用状態を示す側断面図
【図7】繰出ロール部の側面図
【図8】磁性体等のブロック図
【図9】運転席の側面図(A)と、背面図(B)と、その作用を示す側面図(C)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面に基づいて、直播形態の播種機24は、乗用四輪駆動走行形態のトラクタ車体19の後側にリフトシリンダ22の伸縮によって昇降回動されるリフトリンク40を介して連結され、土壌面を滑走するフロート25上に支持されて、繰出ロール2を回転させる繰出ケース26の上側に播種ホッパー1を有し、播種ホッパー1に収容した種子を繰出ケース26内の繰出ロール2を回転駆動することにより、下方の播種ホース27を流下させて、前記フロート25によって均平されて土壌面に形成された播種溝に播種するもので、多条播種の各繰出ロール2の回転によって播種ホース27に繰出される種子は、ブロワー28からの送風圧によって土壌面へ噴出播種される。
また、前記播種機24は、リフトリンク40の後端のヒッチリンク43に連結する伝動ケース29を主体として、この伝動ケース29の下側にセンタフロート、及びサイドフロート25等を配置し、上側に各播種条毎の播種ホッパー1や、繰出ケース26等を配置して、伝動ケース29から伝動することができる。又、各フロート26には均平土壌面に播種溝を形成する作溝器30、播種を案内する播種ガイド31、播種された跡の土壌面を覆土する覆土板32、各播種条間の土壌面に作溝しながら培土する培土器33等を配置して、この培土器33はリフトシリンダ34の伸縮によって昇降することができ、培土するときはフロート25の後側下部へ下降し、培土しないときはフロート25よりも上方へ上昇させて非作業位置に維持する。
【0021】
前記車体19は、中央上部にシートカバー35下にエンジン20を搭載し、上側に運転席36を設け、フロア37を介して前方のダッシュボード38上にはステアリングハンドル39を設ける。このフロア37の下部に油圧無段変速装置44やミッションケース41、及びフロントアクスルハウジング42等を設けて、このフロントアクスルハウジング42の左右両端部に配置の前輪45を伝動回転し、前記ステアリングハンドル39によって操向することができる。前記エンジン20から油圧無段変速装置44の入力軸に亘ってベルト21伝動している。車体19の後部にはリヤアクスルハウジング18の外側に後輪46を軸装して、前記ミッションケース41側から伝動機構を介して伝動駆動する。
【0022】
前記車体19の後端部にはリヤフレーム47を設けて、後側に平行状のリフトリンク40を連結し、このリヤフレーム47上に施肥器48を搭載し、施肥ホッパー49に収容した粉、粒剤肥料を繰出ケース50内の繰出ロールの回転によって繰出しながら、前記播種機24によって播種される土壌面位置近くに施肥案内させるものである。又、前記ミッションケース41から後方へ取出されるPTO軸51から、クラッチ52機構等を階凍て、前記施肥機48や、播種機24、及びブロワー28等を伝動する形態である。
【0023】
前記播種機24の前側には、フロート25で滑走均平すべき土壌面を予め掻き均す代掻ロータ53を設け、前記リヤアクスルハウジング18の伝動機構部から連動軸54を取出して駆動回転する形態とし、前記播種機24の伝動ケース29上方に配置のレバー55によって昇降操作することができる。
【0024】
ここにおいて、播種ホッパー1の底部に収容種子を漏下させて繰出ロール2の回転する繰出室3へ供給する篩い体4を設け、この篩い体4には通電により磁力を発生可能の磁性体5を設けた播種機の種子繰出装置の構成とる。
【0025】
播種ホッパー1にカルパー等のコーティング剤で被覆された種子を収容して、繰出ロール2を回転させて播種作業を行わせる。種子が繰出ロール2によって繰出されると、播種ホッパー1内の種子が篩い体4の漏下通路部を流下して繰出室3へ供給されて繰出作用を継続させる。播種ホッパー1内の種子がこの篩い体4の漏下通路部を流下するときは、前記磁性体5に通電して磁力を発生させておくことによって、この磁力によって吸引が働いて、鉄粉や、鉄粉を含むコーティング剤の粉屑が磁性体5に吸着されて、この鉄粉を有したコーティング剤粉屑を取除いた状態のコーティング種子を繰出ロール2側へ供給して播種させる。通電をOFFしたときは、磁性体5の磁力は無く、鉄粉を有したコーティング剤粉屑の吸着は解除される。
【0026】
又、前記播種ホッパー1の篩い体4には、種子の漏下する漏下通路6に対面して上頂縁7から左右両側の下底縁8に亘って三角断面形状の傾斜面9を形成し、この篩い体4の左右傾斜面9間の内側には、前記磁性体5を収容する磁石室10を形成し、この傾斜面9には、磁石室10連通する吸引穴11を形成して、流下案内する種子に混入する鉄粉屑を磁石室10内へ吸引排除する形態とする。
【0027】
前記のように、播種ホッパー1内の種子が篩い体4の漏下通路6を流下するとき、この漏下通路6の左右両側面の傾斜面9に案内されて、途中の吸引穴11部に摺動して流下するため、この磁石室10の磁性体5によって働く吸引力によって、鉄粉を含んだコーティング剤粉屑が前記傾斜面9の吸引穴11から磁石室10内へ吸引除去される。又、コーティング剤を有した種子や、コーティング剤を剥離した種子、更には鉄粉を含まないコーティング剤粉屑等は、前記吸引穴11から磁石室10は吸引されないで、繰出ロール2側へ供給される。又、前記各磁石室10の磁性体5に吸着されたコーティング剤の粉屑を掃除するときは、前記磁性体5の磁力をOFFにして、鉄粉を含んだコーティング剤粉屑の磁力吸着を解放させて、磁石室10から排出させることができる。
【0028】
また、前記篩い体4を電磁石製として、この篩い体4を播種ホッパー1に着脱可能に設け、この篩い体4を播種ホッパー1に取付けることにより、この篩い体4側の端子ソケット12を播種ホッパー1側の電極ピン13と嵌合させて通電可能で、操作具17で通電量を変更可能に構成する。
【0029】
前記のような篩い体4は、通電性を有した素材の電磁石製として構成されて、播種ホッパー1に着脱することができ、この篩い体4を取付けたときは、この篩い体4の端子ソケット12が播種ホッパー1の電極ピン13に嵌合接続されて通電可能の状態となり、電気回路からボリュームの如き操作具17を介して通電することより、篩い体4の磁力が形成されて、前記播種ホッパー1内を流下するコーティング種子から鉄粉を有したコーティング剤粉屑をこの篩い体4の磁極部に吸着して、この吸着したコーティング剤粉屑を繰出ロール2側へ供給させないように滞留保持する。又、この篩い体4の磁力を調節、変更するときは、前記操作具17を操作して電流調節を行う。この電流量に応じて篩い体4の磁力も変更調節される。
また、前記篩い体4は、通電によって熱を発生して前記漏下通路6を流下する種子を加熱乾燥するヒータ14を有する。
【0030】
前記のように播種ホッパー1に収容された種子は、篩い体4の漏下通路部6等を経て下方の繰出ロール2側へ流下供給される。このとき篩い体4は通電によって磁力を形成する磁製体5を有し、かつ、通電によって加熱乾燥するヒータ14を有するものであるから、このヒータ14による加熱によって種子がさらさらの乾燥状態に維持されて、播種ホッパー1の外部の水分過多に拘らず、この篩い体4部を漏下するコーティング剤種子の流下が円滑に行われる。この状態で磁製体5による電磁力によって鉄粉を有するコーティング剤粉屑を吸引除去を円滑に行わせる。
【0031】
更には、前記繰出ロール2の回転する繰出室3の外周部に、繰出ロール2の繰出溝15内に残留する鉄粉屑を吸引排除する掃除磁石16を設ける。
【0032】
播種ホッパー1内の種子は、前記篩い体4を経て繰出ロール2へ供給されて、この供給途中で磁性体5によって鉄粉を有するコーティング剤粉屑が吸着除去されるが、この種子は前記繰出ロール2の回転によって、この回転周面の繰出溝15毎に嵌合され量決めされて繰出室3を繰出される。この繰出ロール2の繰出溝15から種子が排出されると、繰出溝15が掃除磁石16の位置に対向するとき、この掃除磁石16が通電されて、電磁力により吸引力を生じ、各種子を排出させた跡の繰出溝15内部に鉄粉を有するコーティング剤粉屑が残留しているときは、このコーティング剤粉屑を掃除磁石16に吸着して、繰出溝15内部に鉄粉が残留しないように掃除する。
【0033】
前記播種ホッパー1に着脱する篩い体4は、この播種ホッパー1の内周部の形態に沿うように方形状形態で、縦桟56と横桟57とにより格子状の篩い網として、ホッパー1内部に嵌脱させることができ、周囲を播種ホッパー1の底部58の漏斗状傾斜の上端縁部59に嵌合支持させて取付けることができる。前記篩い体4の縦桟56は、適宜高さと幅を有した断面三角筒形状で、中空状形態の磁石室10を形成し、左右両側面に二等辺三角形状に形成される傾斜面9には、種子Sは漏下させないで、この種子よりも細い粉粒屑Kを漏下させる円形状、乃至スリット状等の吸引穴11を形成する。この吸引穴11の位置は、傾斜面9の中央位置に形成している(図5)が、傾斜面9の上下位置に偏倚させたり、左右両傾斜面9で上下に異なる位置に配置形成する(図6)こともできる。
前記磁石室10の底辺部60上に磁性体5を入れて支持させる。この磁性体5は電磁コイルを有して、このコイルに通電することにより、バッテリー61から送られる電流によって磁力を形成して鉄粉を吸着する電磁石製の形態とする。更には、前記縦桟56や、横桟57等自体を磁性体として、磁石室10に磁力吸引力を生ずる形態とすることもできる。このように磁性体5や、篩い体4自体、乃至この篩い体4を構成する縦桟56や、横桟57等に通電して磁力を発生させる場合は、この篩い体4の角部に形成の端子ソケット12を、播種ホッパー1側底部58の角部に配置の電極ピン13に嵌合させて、バッテリー61、及び電流調節操作具17等を有した通電回路62を経て、前記篩い体4、乃至磁性体5に磁力を形成させることができる。前記篩い体4を播種ホッパー1から取外すときは、この篩い体4の端子ソケット12が、播種ホッパー1の電極ピン13から抜き外されて、通電回路62が解放される。
【0034】
前記繰出ロール2を有する繰出ケース26は、この繰出ロール2をロール軸63によって軸装して回転し、この繰出ロール2の回転周面に形成の繰出溝15によって、上側の供給口64から流下される種子を受けて、一定粒量毎に量決めしながら回転方向へ汲出して、この繰出室3下方の播種ホース27側へ繰出すものである。この繰出室3の供給口64側と播種ホース27側との間には、前記繰出溝15によって種子の繰出作用を行う繰出行程65と、これと反対側の返り行程66が形成されて、この繰出行程65には、先端の掻出片67を繰出ロール2の回転周面に摺接させて、繰出溝15内の繰出種子を播種ホース27に連通する繰出口73側へ掻出す掻出板68を設けている。
【0035】
又、前記繰出室3の返り行程66部には、下部に前記掃除磁石16を設け、この上部に残留種子を排出する排出口69を設けている。この掃除磁石16は、繰出ロール2の回転下面に接近して播種ホース27側へ傾斜する傾斜案内面70を形成した磁石室71を形成し、この磁石室71に繰出ケース26の外側から着脱できる掃除磁石16を設け、前記通電回路62と同様形態のバッテリー61、操作具17等を有する通電回路72を介して磁力を発生させることができる。
【0036】
前記繰出ロール2の各繰出溝15によって汲出される種子は、繰出室3の直下の繰出口73へ排出落下されるが、このとき掻出板68の掻出片67が各繰出溝15内へ嵌合して、種子やコーティング剤の粉屑等を残留させることのないように掻出排出させる。この掻出作用にも拘らずこれら粉屑や鉄粉等が繰出溝15底面に吸着残留しているときは、この繰出溝15が磁石室71の傾斜案内面70の位置に対面したとき、この磁石室71の掃除磁石16の磁力による吸引力によって、繰出溝15内の残留鉄粉が傾斜案内面70上面に吸引排出されて、この傾斜案内面70上面を前、後いずれかの方向へ移送排出される。
また、通電回路72のスイッチをOFFすると共に、繰出ロール2の回転を停止したときでも、この傾斜案内面70上に排出された鉄粉等は、排出口73側へ流下排出される。このように、繰出ロール2の各繰出溝15は、常時きれいに掃除されて、特に吸着残留状態になり易い鉄粉、乃至鉄粉を結合したコーティング剤粉屑等の排除掃除によって、後続の種子繰出作用を正確に、円滑に行わせるものである。
【0037】
次に、主として図9に基づいて、前記車体19の運転席36は、底部をシートカバー35上のヒンジピン80の周りに前後方向へ回動させて、運転席36を前方へ回動したときは(C)、このバックレスト81をステアリングハンドル39の上側部に接近させて、このステアリングハンドル39の上側部を覆う状態となる。このような運転席36の回動姿勢において、バックレスト81の背面に取付けた収納バッグ82の上端部に形成のループ形態のヘッドレスト83部を、前記ハンドル39上側に重合させて、これらハンドル39内側と、ヘッドレスト83の内側の枕穴部84部との間に、チエンキー85を挿通して、ハンドル39の回動操作を行うことができないようにすることができる。又、前ヘッドレスト83は、バックレスト81と一体的成形構成として、運転席36からは分離し難い形態とすることが好ましく盗難防止のためにはより有効である。
【符号の説明】
【0038】
1 播種ホッパー
2 繰出ロール
3 繰出室
4 篩い体
5 磁性体
6 漏下通路
7 上頂縁
8 下底縁
9 傾斜面
10 磁石室
11 吸引穴
12 端子ソケット
13 電極ピン
14 ヒータ
15 繰出溝
16 掃除磁石
17 操作具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
播種ホッパー(1)の底部に収容種子を漏下させて繰出ロール(2)の回転する繰出室(3)へ供給する篩い体(4)を設け、この篩い体(4)には磁力を発生可能の磁性体(5)を設けたことを特徴とする播種機の種子繰出装置。
【請求項2】
前記播種ホッパー(1)の篩い体(4)には、種子の漏下す漏下通路(6)に対面して上頂縁(7)から左右両側の下底縁(8)に亘って三角断面形状に傾斜の傾斜面(9)を形成し、この篩い体(4)の左右傾斜面(9)間の内側には、前記磁性体(5)を収容する磁石室(10)を形成し、この傾斜面(9)には、磁石室(10)開口連通する吸引穴(11)を形成して、流下案内する種子に混入する鉄粉屑を磁石室(10)内へ吸引排除することを特徴とする請求項1に記載の播種機の種子繰出装置。
【請求項3】
前記篩い体(4)を電磁石製として、この篩い体(4)を播種ホッパー(1)に着脱可能に設け、この篩い体(4)を播種ホッパー(1)に取付けることにより、この篩い体(4)側の端子ソケット(12)を播種ホッパー(1)側の電極ピン(13)と嵌合させて通電可能で、操作具(17)で通電量を変更可能に構成することを特徴とする請求項1または2に記載の播種機の種子繰出装置。
【請求項4】
前記篩い体(4)は、通電によって熱を発生して前記漏下通路(6)を流下する種子を加熱乾燥するヒータ(14)を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の播種機の種子繰出装置。
【請求項5】
前記繰出ロール(2)の回転する繰出室(3)の外周部に、繰出ロール(2)の繰出溝(15)内に残留する鉄粉屑を吸引排除する掃除磁石(16)を設けたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の播種機の種子繰出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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