説明

撮像装置、記録装置、映像信号処理装置、撮像システム及び映像信号処理プログラム

【課題】撮像装置に備えた信号処理部の小型化を図り、CCUを用いることなく撮影を可能とする。
【解決手段】ダウンコンバート部12は、撮影者により撮影された被写体の映像である撮像素子映像信号をダウンコンバートして低解像度の映像信号を生成する。映像信号調整部13は、低解像度の映像信号に対し、所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の低解像度の映像信号をビューファインダ用映像信号としてビューファインダへ出力する。数値データ多重化部14は、調整パラメータの数値データを本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機に収録する。これにより、本線映像信号である撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像信号に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置1において信号処理量を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像技術及び映像信号の処理技術に関し、特に、信号処理量を低減する撮像装置、記録装置、映像信号処理装置、撮像システム及び映像信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイビジョン(登録商標)を上回る解像度を有する高精細映像システムの研究開発が進められている。高精細映像を撮影するためのカメラは、光学サイズ及びデータレートが従来のハイビジョンカメラ等と比較して大きく、その結果、カメラのサイズも大型化している。
【0003】
そのため、高精細カメラの小型化に向けた取り組みが行われている。例えば、ハイビジョンの16倍の画素数を有するスーパーハイビジョンでは、単板撮像方式を採用して色分解光学系を無くすことにより、カメラの小型化を進めている(非特許文献1を参照)。
【0004】
また、カメラヘッドとCCU(Camera Control Unit)とが分離されたカメラシステムにおいて、主要な映像信号処理をCCU側で行うことにより、カメラヘッド側の信号処理を最小限に止めることでカメラヘッド側の小型化を進めている(非特許文献2を参照)。
【0005】
ところで、このような高精細映像システムにおいて、撮影した被写体の映像信号を収録機に収録する撮像装置が知られている。この撮像装置により収録された映像信号を再生するには、全ての映像信号のフレームに調整パラメータを付加しておく必要がある。しかしながら、全ての映像信号のフレームに調整パラメータを付加すると、不自然な動画が生成されてしまう等、再生処理上不都合が多く、映像信号を適切に利用することができないという問題があった(特許文献1の段落11,12を参照)。
【0006】
この問題を解決するために、撮影した被写体の映像信号について、予め設定された一定間隔毎の飛び飛びのフレームに対し調整パラメータを付加する手法が知られている(特許文献1の段落18〜20を参照)。この手法によれば、映像信号に付加する調整パラメータを抑制することができ、一定間隔毎に調整パラメータが存在するから、映像信号を適切に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−55335号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】船津他、「3300万画素CMOS撮像素子を用いたスーパーハイビジョン単板カラー撮像実験」、映像情報メディア学会技術報告、Vol.34, no.16, IST2010-17、pp.43-46(2009)
【非特許文献2】H.Shimamoto, et al., “An 8kx4k Ultrahigh-Definition Color Video Camera with 8M-Pixel CMOS Imager”, SMPTE Motion Imaging Journal, Vol.114, no.7-8, 2005, pp.260-268(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ハイビジョンの映像信号を処理する撮像装置では、リアルタイムに信号処理することが比較的容易であった。これに対し、ハイビジョンを上回る解像度を有する映像信号を処理する高精細画素カメラの撮像装置(例えば4K、8Kカメラ)では、並列信号をリアルタイムに処理することから、回路規模が膨大かつ複雑となり、撮像装置全体として大型化してしまうという問題があった。
【0010】
前述のとおり、高精細映像システムに用いる撮像装置において、非特許文献1に記載された単板撮像方式の採用は、撮像装置を小型化するために非常に有効な手段である。しかしながら、撮像装置のさらなる小型化のためには、信号処理部の処理負荷を少なくすることが必要である。
【0011】
また、非特許文献2のように、主要な映像信号処理をCCU側で行うことも、撮像装置を小型化するために有効な手段である。しかしながら、撮像装置が小さくなる一方で、CCUは大きくなり、しかも常にCCUを伴って撮影を行う必要があることから、撮影に必要なシステム及び人員の規模が大きくなる。撮像装置により撮像された映像信号を直接収録することにより、CCUを用いることなく撮影を行うことも可能であるが、撮像装置だけでは映像信号を十分に調整することができないことから、最終的にどのような明るさ及び色バランスで映像が撮影されているかを撮影者が知ることができず、適正なアイリス調整等を行うことができない。
【0012】
また、特許文献1の手法を用いた撮像装置では、撮影した被写体の映像信号そのものに対して映像調整を行う必要があり、調整対象の映像信号は高精細な信号であるから、処理負荷が高く、回路規模が大きくかつ複雑になってしまうという問題があった。そのため、この撮像装置では、小型化を十分に実現することができないという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、撮像装置に備えた信号処理部の小型化を図り、CCUを用いることなく撮影が可能な撮像装置、記録装置、映像信号処理装置、撮像システム及び映像信号処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明による請求項1の撮像装置は、被写体を撮像し、前記被写体像に応じた本線映像信号を出力する撮像装置において、前記被写体像に応じた映像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子により出力された映像信号を、前記映像信号よりも低い所定解像度の映像信号に変換するダウンコンバート部と、前記ダウンコンバート部により変換された映像信号に対し、所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号調整部と、前記映像信号調整部にて用いた調整パラメータの数値データを、前記撮像素子により出力された映像信号に多重化し、前記本線映像信号として出力する数値データ多重化部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項2の撮像装置は、請求項1に記載の撮像装置において、さらに、前記撮像素子により出力された映像信号に対して前処理を行う映像信号前処理部を備え、前記ダウンコンバート部が、前記映像信号前処理部により前処理された映像信号を、前記前処理された映像信号よりも低い所定解像度の映像信号に変換し、前記数値データ多重化部が、前記映像信号調整部にて用いた調整パラメータの数値データを、前記映像信号前処理部により前処理された映像信号に多重化し、前記本線映像信号として出力する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項3の撮像装置は、請求項1または2に記載の撮像装置において、さらに、前記数値データ多重化部により出力された本線映像信号のうち、前記調整パラメータの数値データ以外の信号を所定の信号形式に符号化し、前記調整パラメータの数値データに対して符号化を行わず、前記調整パラメータの数値データが多重化された前記符号化後の本線映像信号を出力する符号化部、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による請求項4の撮像装置は、請求項3に記載の撮像装置において、前記符号化部が、前記調整パラメータの数値データに対して符号化を行わないことに代えて可逆圧縮の符号化を行う、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による請求項5の撮像装置は、請求項1から4までのいずれか一項に記載の撮像装置において、前記映像信号調整部が、前記ダウンコンバート部により変換された映像信号に対し、映像信号の値を所望の値に調整するための所定の1つまたは複数の映像信号調整処理を、前記調整処理に対応した調整パラメータの数値データを用いて行う、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明による請求項6の撮像装置は、請求項1から5までのいずれか一項に記載の撮像装置において、前記数値データ多重化部が、調整パラメータの数値データを映像信号に多重化する処理を、前記映像信号のブランキング期間にて行う、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による請求項7の撮像装置は、請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像装置において、前記数値データ多重化部または前記符号化部により出力された本線映像信号を入力し、前記本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、前記調整パラメータの数値データと、を記録する記録部を備えることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明による請求項8の記録装置は、請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像装置により出力された本線映像信号を入力し、前記本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、前記調整パラメータの数値データと、を記録することを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明による請求項9の映像信号処理装置は、請求項1または2の撮像装置により出力された、前記調整パラメータの数値データが多重化された本線映像信号を入力し、映像信号処理を施す映像信号処理装置であって、前記本線映像信号から調整パラメータの数値データを抽出する数値データ抽出部と、前記数値データ抽出部により抽出された調整パラメータの数値データを用いて、前記本線映像信号を調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明による請求項10の映像信号処理装置は、請求項3または4の撮像装置により出力された、前記調整パラメータの数値データが多重化された符号化後の本線映像信号を入力し、映像信号処理を施す映像信号処理装置であって、前記符号化後の本線映像信号を復号化し、復号化後の映像信号を出力する復号化部と、前記復号化部により出力された映像信号から調整パラメータの数値データを抽出する数値データ抽出部と、前記数値データ抽出部により抽出された調整パラメータの数値データを用いて、前記復号化部により出力された映像信号を調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明による請求項11の撮像システムは、請求項1または2の撮像装置と、請求項9の映像信号処理装置と、を備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明による請求項12の撮像システムは、請求項3または4の撮像装置と、請求項10の映像信号処理装置と、を備えることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明による請求項13の映像信号処理プログラムは、コンピュータを、請求項9または10に記載の映像信号処理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、撮像装置において信号処理量を低減することができるから、信号処理部の小型化を図ることが可能となり、CCUを用いることなく撮影が可能となる。また、撮像装置により撮影された映像と同じ明るさ及び色バランスを持つ高精細映像を、映像信号処理装置にて生成することができるから、現行の映像制作と同じプロセスで高精細映像の制作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態(実施例1)による撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】撮像素子のベイヤー配列を説明する図である。
【図3】ダウンコンバート部の構成例を示すブロック図である。
【図4】(1)は、ダウンコンバート部により処理される映像信号の例を説明する図である。(2)は、ダウンコンバート部の処理を説明する図である。
【図5】映像信号調整部の構成例を示すブロック図である。
【図6】(1)は、数値データ多重化部の第1の構成例を示すブロック図である。(2)は、数値データ多重化部の第2の構成例を示すブロック図である。
【図7】HD−SDI信号の構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態(実施例2)による撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】映像信号前処理部の構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態(実施例3)による撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】実施例1の撮像装置に対応する映像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】映像信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図13】実施例3の撮像装置に対応する映像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】ダウンコンバート部による切り出し処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔実施例1/撮像装置〕
まず、本発明の第1の実施形態(実施例1)による撮像装置について説明する。図1は、実施例1による撮像装置の構成例を示すブロック図である。この撮像装置1は、レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14を備えている。撮像装置1は、撮影者により撮影された被写体の映像信号(被写体像に応じた映像信号、本線映像信号)をダウンコンバートして低解像度の映像信号を生成し、低解像度の映像信号に対し所定の調整パラメータを用いてビューファインダを確認しながら調整し、調整後の低解像度の映像信号はビューファインダ用映像信号としてビューファインダへ出力すると共に、前記調整パラメータの数値データ(各調整項目の信号調整量に対応する数値データ)を本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機(記録装置)に収録(記録)する(収録機は図示省略)。これにより、本線映像信号に対して映像調整を行わず、本線映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像信号に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置1において信号処理量を低減することができる。
【0030】
撮像素子11は、例えば有効画素数が7680×4320(3300万)画素の高精細撮像素子である。図2は、撮像素子11の配列を説明する図である。図2に示すように、撮像素子11のカラーフィルタはベイヤー配列により構成され、16素子のうち、緑色(G)の素子は8個、青色(B)及び赤色(R)の素子はそれぞれ4個である。したがって、総画素数Nに対して緑色(G)の解像度はN/2になり、青色(B)及び赤色(R)の解像度はN/4になる。撮像素子11は、図2に示したベイヤー配列のカラーフィルタにより、レンズ10を介して入力した被写体の光の三原色に色分解を行い、撮像素子映像信号をダウンコンバート部12及び数値データ多重化部14に出力する。
【0031】
(ダウンコンバート部)
ダウンコンバート部12は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力し、撮像素子映像信号の解像度を低下させ、撮像素子映像信号を低解像度の映像信号に変換し、低解像度の映像信号を映像信号調整部13に出力する。例えば、入力する撮像素子映像信号の画素数は、7680×4320(3300万)画素であり、出力する低解像度の映像信号の画素数は、ハイビジョンサイズの1920×1080(200万)画素であるとする。尚、後述する映像信号調整部13において、ハイビジョンサイズの映像信号がビューファインダ用映像信号としてビューファインダへ出力される。
【0032】
図3は、ダウンコンバート部12の構成例を示すブロック図であり、図4(1)は、ダウンコンバート部12により処理される映像信号の例を説明する図であり、図4(2)は、ダウンコンバート部12の処理を説明する図である。このダウンコンバート部12は、除算部20−1〜20−3、加算部21−1〜21−3、ラインメモリ22−1〜22−3及び出力バッファ23−1〜23−3を備えている。図4(1)に示すように、ダウンコンバート部12が入力する撮像素子映像信号の画素数が7680×4320(3300万)画素であり、ダウンコンバート部12が出力する低解像度の映像信号の画素数が1920×1080(200万)画素の場合、図4(2)に示すように、撮像素子の4×4画素(16画素)のブロック内にある全てのG信号(G1〜G8信号)、B信号(B1〜B4信号)及びR信号(R1〜R4信号)が、それぞれ1画素ずつのG’信号、B’信号及びR’信号に変換される。すなわち、撮像素子11のカラーフィルタが図2に示したベイヤー配列の場合、4×4画素のブロックは8画素のG信号、4画素のB信号及び4画素のR信号により構成されるから、G信号を1/8に、B信号及びR信号を1/4にそれぞれ解像度を低下させる必要がある。
【0033】
そこで、ダウンコンバート部12は、撮像素子映像信号を構成するRGB信号のうちのG信号に対して8画素分の加算平均値を算出し、その加算平均値をG_HD(High Definition:高精細)信号として出力する。また、ダウンコンバート部12は、B信号及びR信号に対し、4画素分の加算平均値をそれぞれ算出し、それぞれの加算平均値をB_HD信号及びR_HD信号として出力する。すなわち、図4(2)に示すように、ダウンコンバート部12は、G1,・・・,G8,B1,・・・,B4,R1,・・・,R4,G’,B’,R’をG信号、B信号及びR信号のそれぞれの画素値とした場合、G’=(G1+G2+・・・+G8)/8、B’=(B1+・・・+B4)/4、R’=(R1+・・・+R4)/4の演算を行う。
【0034】
具体的には、ダウンコンバート部12は、RGB信号それぞれに対し、1920画素の信号が格納されるラインメモリ22−1〜22−3、及び1920画素の信号が格納される出力バッファ23−1〜23−3を備える。ラインメモリ22−1〜22−3は、同一の4×4画素ブロック内のRGB信号それぞれの加算平均を計算するために用いられる。ラインメモリ22−1〜22−3の全てのアドレスには初期値として0が格納されており、同一ブロック内の信号にはラインメモリ22−1〜22−3上の同一のアドレスが割り当てられている。G信号は、元信号の1/8の値がラインメモリ22−1の該当するアドレスに格納された値に加算され、その値で前記ラインメモリ22−1の前記アドレスの値が更新される。B信号及びR信号は、元信号の1/4の値がラインメモリ22−2,22−3の該当するアドレスに格納された値に加算され、その値で前記ラインメモリ22−2,22−3の前記アドレスの値が更新される。これらの操作は同一ブロック内の全ての画素に対して繰り返し行われ、G信号は、8画素分の加算平均値が生成された時点で、その値が出力バッファ23−1に格納され、B信号及びR信号は、それぞれ4画素分の加算平均値が生成された時点で、その値が出力バッファ23−2,23−3に格納される。同時に、ラインメモリ22−1〜22−3に保持された値はリセットされ、全ての値が0に戻る。つまり、除算部20−1〜20−3は、撮像素子映像信号を構成するG信号、B信号及びR信号をそれぞれ入力し、G信号に1/8を乗算し、B信号及びR信号に1/4を乗算し、解像度を低下させる。加算部21−1〜21−3は、除算部20−1〜20−3から解像度が低下した信号を入力すると共に、ラインメモリ22−1〜22−3から当該加算部21−1〜21−3の加算結果の信号を読み出し、除算部20−1〜20−3からの信号とラインメモリ22−1〜22−3から読み出した信号とを加算し、加算結果をラインメモリ22−1〜22−3にそれぞれ保持すると共に、出力バッファ23−1〜23−3に格納する。そして、出力バッファ23−1に、G信号の8画素分の加算平均値が格納され、出力バッファ23−2,23−3に、B信号及びR信号の4画素分の加算平均値がそれぞれ格納される。
【0035】
出力バッファ23−1〜23−3は、FIFO(First In First Out)のメモリとして構成され、加算平均値がG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号として格納される。そして、後段の映像信号調整部13によって、出力バッファ23−1〜23−3に格納された低解像度の映像信号であるG_HD信号(G信号の8画素分の加算平均値)、B_HD信号及びR_HD信号(B信号及びR信号の4画素分の加算平均値)が共通のタイミングにて読み出され、ハイビジョンサイズの映像信号に変換される。
【0036】
尚、図3に示したダウンコンバート部12は一例であり、ダウンコンバート部12は、折り返し歪みを抑圧するために、より高度なフィルタ処理を施すフィルタを備えるようにしてもよいし、逆に演算量を減らすために、出力バッファのみを用いた単純なサブサンプリング回路を備えるようにしてもよい。
【0037】
(映像信号調整部)
図1に戻って、映像信号調整部13は、ダウンコンバート部12から低解像度の映像信号(ハイビジョンサイズにダウンコンバートされた映像信号)を入力し、撮影者により手動で設定された調整パラメータを用いて、入力した低解像度の映像信号に対して通常のカメラのプロセス回路で行われる映像調整を行い、ビューファインダ用映像信号を生成し、ビューファインダへ出力する。これにより、撮影者は、調整パラメータにより調整された映像を、ビューファインダにて見ることができる。一般に、映像信号調整部13が、撮像素子映像信号に対し、後述するオフセット調整等の映像調整処理をリアルタイムで行う場合、回路規模が膨大になる。そこで、映像信号調整部13は、撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像に対して映像調整を行うようにした。前述した特許文献1では、高いデータレートかつ膨大な信号量を有するスーパーハイビジョンのような撮像素子映像信号に対し直接的に処理を行う必要があるが、この映像信号調整部13では、このような撮像素子映像信号に対し直接的に処理を行う必要がないから、信号処理量を低減することができる。また、映像信号調整部13は、映像調整量に対応する数値データ、すなわち調整パラメータの数値データを数値データ多重化部14に出力する。
【0038】
尚、映像信号調整部13は、撮影者により手動で設定された調整パラメータを用いるようにしたが、オートホワイトバランス等の機能を用いて自動で設定された調整パラメータを用いるようにしてもよい。
【0039】
図5は、映像信号調整部13の構成例を示すブロック図である。この映像信号調整部13は、オフセット調整部30、ゲイン調整部31、色補正リニアマトリクス部32、ニー補正部33、ガンマ補正部34、フレア補正部35及びYCマトリクス部36を備えている。映像信号調整部13は、ダウンコンバート部12から低解像度の映像信号であるG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、オフセット調整部30からYCマトリクス部36までの現行のハイビジョンカメラに搭載されている映像調整プロセスと同様の処理を行い、ビューファインダ用映像信号であるY_VF(ビューファインダ)信号、CB_VF信号及びCR_VF信号を生成し、これらの信号をビューファインダへ出力する。また、映像信号調整部13は、撮影者により設定され、映像処理にて使用した各種の調整パラメータの数値データを数値データ多重化部14に出力する。オフセット調整部30、ゲイン調整部31、ニー補正部33、ガンマ補正部34及びフレア補正部35は、G_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号にそれぞれ対応した3系統の構成部を有する。
【0040】
オフセット調整部30は、ダウンコンバート部12からG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定されたオフセット調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対しオフセットレベル調整を行い、オフセット調整したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号をゲイン調整部31にそれぞれ出力する。また、オフセット調整部30は、オフセット調整の処理のために使用したオフセット調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0041】
ゲイン調整部31は、オフセット調整部30からオフセット調整されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定されたゲイン調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対しゲイン調整を行い、ゲイン調整したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を色補正リニアマトリクス部32に出力する。また、ゲイン調整部31は、ゲイン調整の処理のために使用したゲイン調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0042】
色補正リニアマトリクス部32は、ゲイン調整部31からゲイン調整されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定された色補正リニアマトリクス調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対し色補正リニアマトリクス調整を行い、色補正リニアマトリクス調整したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号をニー補正部33にそれぞれ出力する。具体的には、色補正リニアマトリクス部32は、色補正リニアマトリクス調整パラメータが反映された行列を用いて、入力したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を、色補正リニアマトリクス調整したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号に変換する。また、色補正リニアマトリクス部32は、色補正リニアマトリクス調整の処理のために使用した色補正リニアマトリクス調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0043】
ニー補正部33は、色補正リニアマトリクス部32から色補正リニアマトリクス調整されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定されたニー補正調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対しニー補正を行い、ニー補正したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号をガンマ補正部34にそれぞれ出力する。また、ニー補正部33は、ニー補正の処理のために使用したニー補正調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0044】
ガンマ補正部34は、ニー補正部33からニー補正されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定されたガンマ補正調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対しガンマ補正を行い、ガンマ補正したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号をフレア補正部35にそれぞれ出力する。また、ガンマ補正部34は、ガンマ補正の処理のために使用したガンマ補正調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0045】
フレア補正部35は、ガンマ補正部34からガンマ補正されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、撮影者により設定されたフレア補正調整パラメータを用いて、入力したそれぞれの信号に対しフレア補正を行い、フレア補正したG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号をYCマトリクス部36に出力する。また、フレア補正部35は、フレア補正の処理のために使用したフレア補正調整パラメータの数値データを、数値データ多重化部14に出力する。
【0046】
YCマトリクス部36は、フレア補正部35からフレア補正されたG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を入力し、YCマトリクス変換処理を行い、ビューファインダ用映像信号であるY_VF信号、CB_VF信号及びCR_VF信号に変換してビューファインダへ出力する。具体的には、YCマトリクス部36は、RGB信号をY(輝度)C(色度)信号に変換するための所定の行列を用いて、入力したフレア補正後のG_HD信号、B_HD信号及びR_HD信号を、Y_VF信号、CB_VF信号及びCR_VF信号に変換する。
【0047】
尚、映像信号調整部13におけるオフセット調整部30からYCマトリクス部36までのそれぞれの調整処理は既知であるから、ここでは詳細な説明を省略する。詳細については、「映像情報メディア学会編 テレビジョンカメラの設計技術(コロナ社)」を参照されたい。
【0048】
また、図5に示した映像信号調整部13では、それぞれの調整パラメータを用いて、オフセット調整、ゲイン調整、リニアマトリクスによる色補正、ニー補正、ガンマ補正及びフレア補正を行うようにしたが、調整処理は、図5に示したそれぞれの処理に限定されるものではない。例えば、映像信号調整部13は、これらの調整処理に加え、ホワイトクリップ処理等の他の処理を行うようにしてもよいし、予め設定された任意の1つまたは複数の調整処理を行うようにしてもよい。
【0049】
(数値データ多重化部)
図1に戻って、数値データ多重化部14は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力すると共に、映像信号調整部13から調整パラメータ(オフセット調整パラメータ、ゲイン調整パラメータ、色補正リニアマトリクス調整パラメータ、ニー補正調整パラメータ、ガンマ補正調整パラメータ及びフレア補正調整パラメータ)の数値データを入力し、これらの調整パラメータの数値データを撮像素子信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を出力し、収録機に収録する。この場合、収録機は、本線映像信号を入力し、本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、調整パラメータの数値データとを記録する。
【0050】
図6(1)は、数値データ多重化部14の第1の構成例を示すブロック図であり、図6(2)は、数値データ多重化部14の第2の構成例を示すブロック図である。図6(1)は、撮像素子11から入力する撮像素子映像信号に同期信号が埋め込まれていない場合の数値データ多重化部14の構成例を示しており、数値データ多重化部14は、撮像素子映像信号に加えて同期信号を入力する。図6(2)は、撮像素子11から入力する撮像素子映像信号に同期信号が埋め込まれている場合の数値データ多重化部14の構成例を示しており、数値データ多重化部14は、撮像素子映像信号として、例えばHD−SDI信号を入力する。
【0051】
図6(1)において、数値データ多重化部14−1は、タイミングパルス生成部40−1、調整データレジスタ41、及び、HD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部42を備えている。タイミングパルス生成部40−1は、撮像素子11から同期信号を入力し、同期信号に基づいて、撮像素子映像信号が所定のタイミングの水平または垂直のブランキング期間に到達したことを示す読み出しパルスを調整データレジスタ41に出力する。ここで、ブランキング期間とは、所定のデータレートで伝送される撮像素子映像信号のタイミングにおいて、実際の映像信号が存在しない期間をいう。
【0052】
調整データレジスタ41は、映像信号調整部13から調整パラメータの数値データを入力して格納する。調整データレジスタ41に格納された調整パラメータの数値データは、映像信号調整部13にて使用する調整パラメータの数値データが変更される毎に、随時更新される。また、調整データレジスタ41は、タイミングパルス生成部40−1から読み出しパルスを入力したタイミングで、格納されている調整パラメータの数値データを読み出し、HD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部42に出力する。これにより、撮像素子映像信号が所定のタイミングのブランキング期間に到達したときに、調整パラメータの数値データが、調整データレジスタ41から読み出され、HD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部42に出力される。
【0053】
HD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部42は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力すると共に、調整データレジスタ41から調整パラメータの数値データを入力し、入力した撮像素子映像信号をHD−SDI信号にフォーマット変換し、映像信号のフレーム単位で、撮像素子映像信号における水平または垂直のブランキング期間(後述する図7に示すHD−SDI信号の補助データ領域)に、調整パラメータの数値データを挿入(格納)し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を出力する。これにより、調整パラメータの数値データを多重化したカメラ本線映像(本線映像信号)が生成され、調整パラメータの数値データを損なわない形で、非圧縮収録機等の収録機に収録及び保存され、撮影は終了する。
【0054】
また、図6(2)において、数値データ多重化部14−2は、タイミングパルス生成部40−2、調整データレジスタ41及びブランキング数値データ挿入部43を備えている。
【0055】
タイミングパルス生成部40−2は、撮像素子11から撮像素子映像信号(例えば、後述する図7に示すHD−SDI信号の補助データ領域)を入力し、撮像素子映像信号が所定のタイミングの水平または垂直のブランキング期間に到達したときに、読み出しパルスを調整データレジスタ41に出力する。ブランキング期間とは、後述する図7に示すように、撮像素子映像信号であるHD−SDI信号を構成する信号のうち、映像データ及び制御パラメータのように映像信号に直接関連する信号ではなく、補助データのようにユーザが自由に使用できる信号が存在する期間をいう。
【0056】
調整データレジスタ41は、図6(1)に示したものと同様であるから、説明を省略する。調整データレジスタ41は、タイミングパルス生成部40−2から読み出しパルスを入力したタイミングで、格納されている調整パラメータの数値データを読み出し、ブランキング数値データ挿入部43に出力する。これにより、撮像素子映像信号が所定のタイミングのブランキング期間に到達したときに、調整パラメータの数値データが、調整データレジスタ41から読み出され、ブランキング数値データ挿入部43に出力される。
【0057】
ブランキング数値データ挿入部43は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力すると共に、調整データレジスタ41から調整パラメータの数値データを入力し、撮像素子映像信号のフレーム単位で、撮像素子映像信号における水平または垂直のブランキング期間に、調整パラメータの数値データを挿入(格納)し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を出力する。これにより、調整パラメータの数値データを多重化したカメラ本線映像(本線映像信号)が生成され、調整パラメータの数値データを損なわない形で、非圧縮収録機等の収録機に収録及び保存され、撮影は終了する。
【0058】
図7は、図6(1)に示した数値データ多重化部14−1のHD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部42により撮像素子映像信号がHD−SDI信号に変換される場合、または、図6(2)に示した数値データ多重化部14−2により入力される撮像素子映像信号がHD−SDI信号である場合のHD−SDI信号の構成を示す図である。図7に示すHD−SDI信号は、収録機に収録される本線映像信号の例であり、EAV(End of Active Video)、LN(Line Number)、CRCC(Cyclic Redundancy Check Code)、補助データ、SAV(Start of Active Video)及び映像データ(デジタルアクティブライン)により構成される。数値データ多重化部14は、調整パラメータの数値データを、HD−SDI信号の補助データ領域に挿入(格納)する。
【0059】
尚、数値データ多重化部14は、撮像素子映像信号のブランキング期間に調整パラメータの数値データを挿入することで、調整パラメータの数値データを多重化するようにしたが、必ずしもブランキング期間に挿入する必要はない。例えば、数値データ多重化部14は、調整パラメータの数値データを、本線映像信号のうち、映像品質にさほど影響を与えない映像データの最下位ビットに格納するようにしてもよい。
【0060】
以上のように、実施例1の撮像装置1によれば、ダウンコンバート部12が、撮影者により撮影された被写体の映像である撮像素子映像信号をダウンコンバートして低解像度の映像を生成し、映像信号調整部13が、低解像度の映像に対し、所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の低解像度の映像をビューファインダ用映像としてビューファインダへ出力するようにした。また、数値データ多重化部14が、映像信号調整部13にて使用した調整パラメータの数値データを本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機に収録するようにした。これにより、本線映像信号である撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置1において信号処理量を低減することができる。したがって、撮像装置1の信号処理部の回路を削減し、小型化及び省電力化を図ることが可能となる。また、CCUを用いることなく撮影することができるから、カメラの撮像装置1と収録機(カメラの撮像装置1と収録機が一体化したカムコーダを含む)のみを用いればよく、機動性が大幅に向上する。
【0061】
〔映像信号処理装置(実施例1の撮像装置に対応)〕
次に、実施例1の撮像装置1に対応する専用の映像信号処理装置について説明する。図11は、実施例1の撮像装置1に対応する映像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。この映像信号処理装置4は、数値データ抽出部50及び映像信号処理部51を備えている。図1に示したカメラヘッドの撮像装置1では、ダウンコンバートした低解像度の映像信号のみに映像調整を行うようにしたが、この映像信号処理装置4では、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を入力し、本線映像信号から調整パラメータの数値データを抽出し、その数値データ(撮像装置1にて使用した同じ調整パラメータの数値データ)を用いて本線映像信号に対し映像調整を行い、最終的な映像信号に変換して出力する。尚、映像信号処理装置4は、撮像装置1から本線映像信号を直接入力するようにしてもよいし、撮像装置1により収録された本線映像信号を、収録機から再生信号として入力するようにしてもよい。
【0062】
数値データ抽出部50は、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を入力し、本線映像信号に多重化された調整パラメータの数値データを抽出し、調整パラメータの数値データを映像信号処理部51に出力する。具体的には、数値データ抽出部50は、本線映像信号が所定のタイミングのブランキング期間に到達したときに、調整パラメータの数値データを抽出する。図7に示したHD−SDI信号の例では、数値データ抽出部50は、補助データ領域から調整パラメータの数値データを抽出する。
【0063】
映像信号処理部51は、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を入力すると共に、数値データ抽出部50から調整パラメータの数値データを入力し、調整パラメータを用いて本線映像信号に対し、撮像装置1の映像信号調整部13と同一の映像調整を行い、最終的な映像信号に変換して出力する。
【0064】
図12は、映像信号処理部51の構成例を示すブロック図である。この映像信号処理部51は、オフセット調整部60、ゲイン調整部61、色補正リニアマトリクス部62、ニー補正部63、ガンマ補正部64及びフレア補正部65を備えている。映像信号処理部51は、図5に示した映像信号調整部13の各種処理のうち、YCマトリクス部36のYCマトリクス処理を除いた同一の処理を同一の順番で、同一の調整パラメータを用いて行う。すなわち、映像信号処理部51は、収録機から本線映像信号であるG_IN信号、B_IN信号及びR_IN信号を入力し、数値データ抽出部50から入力した調整パラメータの数値データを用いて、オフセット調整部60からフレア補正部65までの映像調整プロセスの処理を行い、最終的な映像信号であるG_OUT信号、B_OUT信号及びR_OUT信号を生成し、これらの信号を出力する。また、オフセット調整部60、ゲイン調整部61、ニー補正部63、ガンマ補正部64及びフレア補正部65は、G_IN信号、B_IN信号及びR_IN信号にそれぞれ対応した3系統の構成部を有する。尚、映像信号処理部51の各構成部は図5に示したものと同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0065】
以上のように、実施例1の撮像装置1に対応する映像信号処理装置4によれば、数値データ抽出部50が、本線映像信号に多重化された調整パラメータの数値データを抽出し、映像信号処理部51が、その調整パラメータを用いて、本線映像信号に対し映像調整を行い、最終的な映像信号を生成して出力するようにした。これにより、撮像装置1にて撮影しビューファインダで確認した映像と同じ明るさ及び色バランスを持つ同品質の高精細映像が生成される。また、撮影者等が、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号が収録された収録機を放送局へ持ち帰ることで、放送局に設置された映像信号処理装置4にて、本線映像の生成処理を実現することができる。したがって、映像信号処理装置4を放送局の編集機の入力側に設置することにより、現行のハイビジョンの映像制作に近いプロセスで高精細映像の制作が可能になる。
【0066】
尚、実施例1の撮像装置1及び実施例1の撮像装置1に対応する映像信号処理装置4は、それぞれ単独に構成された装置であるが、撮像装置1と映像信号処理装置4とを備えた撮像システムを構成するようにしてもよい。
【0067】
〔実施例2/撮像装置〕
次に、本発明の第2の実施形態(実施例2)による撮像装置について説明する。図8は、実施例2による撮像装置の構成例を示すブロック図である。この撮像装置2は、レンズ10、撮像素子11、映像信号前処理部15、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14を備えている。撮像装置2は、撮影者により撮影された被写体の映像信号(本線映像信号)に対し、ノイズ除去及びフォーマット変換等の前処理を行い、前処理後の映像信号をダウンコンバートして低解像度の映像信号を生成し、低解像度の映像信号に対し所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の低解像度の映像信号をビューファインダ用映像信号としてビューファインダへ出力すると共に、前記調整パラメータの数値データを本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機に収録する。これにより、本線映像信号に対して映像調整を行わず、前処理後の本線映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像信号に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置2において信号処理量を低減することができる。また、前処理により、映像品質を改善し、後段の回路規模の単純化を実現することができる。
【0068】
図1に示した実施例1の撮像装置1と、図8に示す実施例2の撮像装置2とを比較すると、両撮像装置1,2共に、レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14を備えている点で同一である。一方、撮像装置2は、撮像装置1の構成に加え、さらに撮像素子11の後段に映像信号前処理部15を備えている点で相違する。レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14については実施例1にて既に説明済みであるから、ここでは省略する。
【0069】
映像信号前処理部15は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力し、ノイズ除去等の映像調整後に行うことが困難な信号処理、後段の信号処理部に合わせた映像フォーマットの変換等を行い、これらの前処理により生成した映像信号(前処理後の映像信号)をダウンコンバート部12及び数値データ多重化部14に出力する。
【0070】
図9は、映像信号前処理部15の構成例を示すブロック図である。この映像信号前処理部15は、固定パターンノイズ除去部70及び映像フォーマット変換部71を備えている。固定パターンノイズ除去部70は、撮像素子11から撮像素子映像信号を入力し、ノイズ除去の処理を行い、ノイズ除去後の映像信号を映像フォーマット変換部71に出力する。一般に、撮像素子11からの撮像素子映像信号には、後段の映像信号調整部13による映像調整後に除去することが困難な固定パターンノイズ等が含まれることが多い。そこで、固定パターンノイズ除去部70は、映像信号調整部13による映像調整後には除去が困難な固定パターンノイズ等を、撮像素子映像信号から除去する。例えば、固定パターンノイズ除去部70は、予めレンズ10を遮光した状態で、撮像素子11から撮像素子映像信号である黒画像を入力し、複数フレームの加算平均値を算出しておく。そして、固定パターンノイズ除去部70は、撮像素子11から入力した撮像素子映像信号の値から、黒画像の加算平均値を減算することで、黒補正を行う。これにより、映像品質を改善することができる。
【0071】
映像フォーマット変換部71は、固定パターンノイズ除去部70からノイズ除去後の映像信号を入力し、カメラ本線出力に合わせた映像フォーマットの変換処理を行い、前処理後の映像信号をダウンコンバート部12及び数値データ多重化部14に出力する。一般に、撮像装置2により出力される本線映像信号の映像フォーマットと、撮像素子11により出力される撮像素子映像信号の映像フォーマットとが一致することは少ない。そこで、映像フォーマット変換部71は、撮像素子11により出力される撮像素子映像信号の映像フォーマットを、撮像装置2により出力される本線映像信号の映像フォーマット、すなわちカメラ本線出力に合わせた映像フォーマットに変換する。これにより、所望の映像フォーマットに合わせることができる。
【0072】
以上のように、実施例2の撮像装置2によれば、実施例1の撮像装置1と同様に、撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置2において信号処理量を低減することができる。したがって、撮像装置2の信号処理部の回路を削減し、小型化及び省電力化を図ることが可能となる。また、CCUを用いることなく撮影することができるから、カメラの撮像装置2と収録機(カメラの撮像装置2と収録機が一体化したカムコーダを含む)のみを用いればよく、機動性が大幅に向上する。
【0073】
また、映像信号前処理部15を備えることにより、映像調整後には処理が困難な固定パターンノイズ等を除去するようにしたから、映像品質を改善できる。また、映像信号前処理部15により、撮像装置2により出力される本線映像信号に合わせた所望の映像フォーマットに変換することができる。
【0074】
尚、実施例2の撮像装置2に対応する専用の映像信号処理装置は、図11に示した実施例1の撮像装置1に対応する映像信号処理装置4と同様であるから、ここでは説明を省略する。また、実施例2の撮像装置2及び実施例2の撮像装置2に対応する映像信号処理装置4は、それぞれ単独に構成された装置であるが、撮像装置2と、撮像装置2に対応する映像信号処理装置4とを備えた撮像システムを構成するようにしてもよい。
【0075】
〔実施例3/撮像装置〕
次に、本発明の第3の実施形態(実施例3)による撮像装置について説明する。図10は、実施例3による撮像装置の構成例を示すブロック図である。この撮像装置3は、レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13、数値データ多重化部14及び符号化部16を備えている。撮像装置3は、撮影者により撮影された被写体の映像信号(本線映像信号)をダウンコンバートして低解像度の映像信号を生成し、低解像度の映像信号に対し所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の低解像度の映像信号をビューファインダ用映像としてビューファインダへ出力すると共に、前記調整パラメータの数値データを本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を符号化して収録機に収録する。これにより、本線映像信号に対して映像調整を行わず、本線映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像信号に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置3において信号処理量を低減することができる。また、本線映像信号の符号化により、データ量を削減し、収録機の小型化及び収録時間の長尺化が可能となる。
【0076】
図1に示した実施例1の撮像装置1と、図10に示す実施例3の撮像装置3とを比較すると、両撮像装置1,3共に、レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14を備えている点で同一である。一方、撮像装置3は、撮像装置1の構成に加え、さらに数値データ多重化部14の後段に符号化部16を備えている点で相違する。レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13及び数値データ多重化部14については実施例1にて既に説明済みであるから、ここでは省略する。
【0077】
符号化部16は、数値データ多重化部14から、調整パラメータの数値データが多重化された本線映像信号を入力し、調整パラメータの数値データを損なわない形で本線映像信号を所定の信号形式に符号化し、符号化後の本線映像信号を収録機に収録する。具体的には、本線映像信号に含まれる調整パラメータの数値データを符号化しない(圧縮しない)でそのままのデータとし、それ以外のデータを符号化する(圧縮する)。一般に、カメラ本線出力の本線映像信号は非常に大きなデータレートを持つため、非圧縮信号のままでは、容量の大きな収録機が必要になり、収録時間も十分に確保することができない。そこで、符号化部16は、データレートを小さくするために、本線映像信号を符号化する。これにより、収録機に収録する本線映像信号のデータ量を削減することができる。また、調整パラメータの数値データは符号化されないから、後述する映像信号処理装置5において、本線映像信号を復号化して元の信号に復元する際に、調整パラメータの数値データを復号化する必要がない。復号化処理では、元の数値データに正確に復元することができない場合があることから、映像信号処理装置5は、正確な調整パラメータの数値データを用いることができる。
【0078】
尚、符号化部16は、調整パラメータの数値データを、可逆圧縮可能な手法で符号化するようにしてもよい。可逆圧縮可能な手法を用いる場合、復号化の際、正確な調整パラメータの数値データに復元することができるからである。
【0079】
以上のように、実施例3の撮像装置3によれば、実施例1の撮像装置1と同様に、撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号をダウンコンバートした低解像度の映像に対して映像調整を行うから、カメラヘッドの撮像装置3において信号処理量を低減することができる。したがって、撮像装置3の信号処理部の回路を削減し、小型化及び省電力化を図ることが可能となる。また、CCUを用いることなく撮影することができるから、カメラの撮像装置3と収録機(カメラの撮像装置3と収録機が一体化したカムコーダを含む)のみを用いればよく、機動性が大幅に向上する。
【0080】
また、符号化部16を備えることにより、調整パラメータの数値データを損なわない形で本線映像信号の符号化を行うようにしたから、収録機に収録する本線映像信号のデータ量を削減することができる。したがって、収録機の小型化及び収録時間の長尺化が可能になる。また、後述する映像信号処理装置5において、正確な調整パラメータの数値データ(撮像装置3にて用いたものと同じ調整パラメータの数値データ)を映像信号処理のために用いることができる。
【0081】
〔映像信号処理装置(実施例3の撮像装置に対応)〕
次に、実施例3の撮像装置3に対応する専用の映像信号処理装置について説明する。図13は、実施例3の撮像装置3に対応する映像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。この映像信号処理装置5は、復号化部80、数値データ抽出部50及び映像信号処理部51を備えている。
【0082】
図11に示した実施例1,2の撮像装置1,2に対応する映像信号処理装置4と、図13に示す実施例3の撮像装置3に対応する映像信号処理装置5とを比較すると、両映像信号処理装置4,5は、数値データ抽出部50及び映像信号処理部51を備えている点で同一である。一方、映像信号処理装置5は、映像信号処理装置4の構成に加え、さらに数値データ抽出部50及び映像信号処理部51の前段に復号化部80を備えている点で相違する。数値データ抽出部50及び映像信号処理部51については、映像信号処理装置4にて既に説明済みであるから、ここでは省略する。
【0083】
復号化部80は、図10に示した符号化部16に対応する処理を行うために、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号(符号化された本線映像信号)を入力し、本線映像信号を復号化し、復号化した本線映像信号を数値データ抽出部50及び映像信号処理部51に出力する。具体的には、本線映像信号に含まれる調整パラメータの数値データ以外が符号化されているから、これらのデータを復号化する。
【0084】
以上のように、実施例3の撮像装置3に対応する映像信号処理装置5によれば、実施例1,2の撮像装置1,2に対応する映像信号処理装置4と同様に、撮像装置3にて撮影しビューファインダで確認した映像と同じ明るさ及び色バランスを持つ同品質の高精細映像が生成される。また、撮影者等が、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号が収録された収録機を放送局へ持ち帰ることで、放送局に設置された映像信号処理装置5にて、本線映像の生成処理を実現することができる。したがって、映像信号処理装置5を放送局の編集機の入力側に設置することにより、現行のハイビジョンの映像制作に近いプロセスで高精細映像の制作が可能となる。
【0085】
また、復号化部80を備えることにより、本線映像信号を復号化するようにしたから、元の本線映像信号に復元することができる。したがって、収録機に収録される本線映像信号のデータ量の削減を実現し、収録機の小型化及び収録時間の長尺化を実現することが可能となる。
【0086】
尚、実施例3の撮像装置3及び実施例3の撮像装置3に対応する映像信号処理装置5は、それぞれ単独に構成された装置であるが、撮像装置3と映像信号処理装置5とを備えた撮像システムを構成するようにしてもよい。
【0087】
〔変形例1〕
次に、変形例1について説明する。変形例1の撮像装置は、実施例1の撮像装置1の構成に加え、実施例2の撮像装置2における映像信号前処理部15、及び実施例3の撮像装置3における符号化部16を備える。すなわち、変形例1の撮像装置は、レンズ10、撮像素子11、ダウンコンバート部12、映像信号調整部13、数値データ多重化部14、映像信号前処理部15及び符号化部16を備える。変形例1の撮像装置によれば、実施例1の撮像装置1と同様の効果に加え、実施例2の撮像装置2及び実施例3の撮像装置3と同様の効果も奏する。
【0088】
〔変形例2〕
次に、変形例2について説明する。前述の実施例2では、撮像装置2の映像信号前処理部15は、前処理として、撮像素子11から入力した撮像素子映像信号の値から黒画像の加算平均値を減算することで、黒補正を行うようにした。これに対し、変形例2では、撮像装置が前処理として黒補正を行う代わりに、映像信号処理装置が後処理として黒補正を行う。具体的には、変形例2の撮像装置は、予めレンズ10を遮光した状態で、撮像素子11から撮像素子映像信号である黒画像を入力し、収録機に収録する。そして、変形例2の映像信号処理装置は、図11または図13の構成において、映像信号処理部51の前段に映像信号後処理部を備え、映像信号後処理部が、収録機から読み出した黒画像に対し、複数フレームの加算平均値を算出し、そして、収録機から読み出した本線映像信号の値から黒画像の加算平均値を減算することで、黒補正を行う。映像信号処理部51は、黒補正された本線映像信号を入力する。
【0089】
以上のように、変形例2では、撮像装置が前処理として黒補正を行う必要がなく、映像信号処理装置が後処理として黒補正を行うようにしたから、カメラヘッドの撮像装置において信号処理量を一層低減することができ、小型化及び省電力化を図ることが可能となる。
【0090】
〔変形例3〕
次に、変形例3について説明する。前述の撮像装置1〜3のダウンコンバート部12は、撮像素子映像信号を構成するRGB信号のうちのG信号に対し、8画素分の加算平均値を算出し、その加算平均値をG_HD信号として出力し、B信号及びR信号に対し、4画素分の加算平均値をそれぞれ算出し、それぞれの加算平均値をB_HD信号及びR_HD信号として出力することで、撮像素子映像信号の解像度を低下させるようにした。これに対し、変形例3の撮像装置におけるダウンコンバート部12は、撮像素子映像信号から所定エリアの映像信号を切り出し、切り出し後の映像信号を出力する。
【0091】
図14は、ダウンコンバート部12による切り出し処理を説明する図である。このダウンコンバート部12は、7680×4320(3300万)画素の撮像素子映像信号を入力し、この映像信号の中の任意の1920×1080(200万)画素の領域の映像信号を切り出す。これにより、切り出された領域の映像信号がビューファインダ用映像信号としてビューファインダへ出力される。
【0092】
以上のように、変形例3の撮像装置によれば、本線映像信号である撮像素子映像信号に対して映像調整を行わず、撮像素子映像信号から切り出したエリアの映像に対して映像調整を行うから、実施例1の撮像装置1と同様に、カメラヘッドの撮像装置において信号処理量を低減することができ、小型化及び省電力化を図ることが可能となる。
【0093】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、調整パラメータの数値データが多重化された本線映像信号が収録される収録機は、撮像装置1、撮像装置2または撮像装置3と一体化して構成するようにしてもよい。この場合、撮像装置1〜3は、撮像装置1,2の数値データ多重化部14または撮像装置3の符号化部16により出力された本線映像信号を入力し、本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、調整パラメータの数値データとを記録する記録部を備える。
【0094】
また、撮像装置1〜3に備えた撮像素子11は、高精細撮像素子として、カメラの小型化に最も有利な単板式による撮像方式を例にしたが、色分解プリズムを用いる3板式または4板式等の撮像方式にも適用できる。
【0095】
また、撮像装置1〜3の数値データ多重化部14は、調整パラメータの数値データを本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機に収録するようにしたが、さらに、撮像装置1〜3の撮影条件であるレンズ10についてのアイリス、フォーカス及びズームに関するパラメータの数値データも本線映像信号に多重化し、調整パラメータの数値データ及びレンズ10のパラメータの数値データを含む本線映像信号を収録機に収録するようにしてもよい。この場合、映像信号処理装置4,5の数値データ抽出部50は、本線映像信号から調整パラメータの数値データに加え、さらにレンズ10のパラメータの数値データも抽出する。これにより、映像信号処理装置4,5において、調整パラメータだけでなく、撮影時のレンズデータも取得することができ、これらのデータに基づいて、色収差補正等の、画質改善のための信号処理が可能になる。
【0096】
尚、映像信号処理装置4,5のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。映像信号処理装置4,5は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。映像信号処理装置4に備えた数値データ抽出部50及び映像信号処理部51の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、映像信号処理装置5に備えた復号化部80、数値データ抽出部50及び映像信号処理部51の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0097】
1,2,3 撮像装置
4,5 映像信号処理装置
10 レンズ
11 撮像素子
12 ダウンコンバート部
13 映像信号調整部
14 数値データ多重化部
15 映像信号前処理部
16 符号化部
20 除算部
21 加算部
22 ラインメモリ
23 出力バッファ
30,60 オフセット調整部
31,61 ゲイン調整部
32,62 色補正リニアマトリクス部
33,63 ニー補正部
34,64 ガンマ補正部
35,65 フレア補正部
36 YCマトリクス部
40 タイミングパルス生成部
41 調整データレジスタ
42 HD−SDI信号変換及びブランキング数値データ挿入部
43 ブランキング数値データ挿入部
50 数値データ抽出部
51 映像信号処理部
70 固定パターンノイズ除去部
71 映像フォーマット変換部
80 復号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し、前記被写体像に応じた本線映像信号を出力する撮像装置において、
前記被写体像に応じた映像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子により出力された映像信号を、前記映像信号よりも低い所定解像度の映像信号に変換するダウンコンバート部と、
前記ダウンコンバート部により変換された映像信号に対し、所定の調整パラメータを用いて調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号調整部と、
前記映像信号調整部にて用いた調整パラメータの数値データを、前記撮像素子により出力された映像信号に多重化し、前記本線映像信号として出力する数値データ多重化部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
さらに、前記撮像素子により出力された映像信号に対して前処理を行う映像信号前処理部を備え、
前記ダウンコンバート部は、前記映像信号前処理部により前処理された映像信号を、前記前処理された映像信号よりも低い所定解像度の映像信号に変換し、
前記数値データ多重化部は、前記映像信号調整部にて用いた調整パラメータの数値データを、前記映像信号前処理部により前処理された映像信号に多重化し、前記本線映像信号として出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
さらに、前記数値データ多重化部により出力された本線映像信号のうち、前記調整パラメータの数値データ以外の信号を所定の信号形式に符号化し、前記調整パラメータの数値データに対して符号化を行わず、前記調整パラメータの数値データが多重化された前記符号化後の本線映像信号を出力する符号化部、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記符号化部は、前記調整パラメータの数値データに対して符号化を行わないことに代えて可逆圧縮の符号化を行う、ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記映像信号調整部は、前記ダウンコンバート部により変換された映像信号に対し、映像信号の値を所望の値に調整するための所定の1つまたは複数の映像信号調整処理を、前記調整処理に対応した調整パラメータの数値データを用いて行う、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記数値データ多重化部は、調整パラメータの数値データを映像信号に多重化する処理を、前記映像信号のブランキング期間にて行う、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記数値データ多重化部または前記符号化部により出力された本線映像信号を入力し、前記本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、前記調整パラメータの数値データと、を記録する記録部を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の撮像装置により出力された本線映像信号を入力し、前記本線映像信号のうち、少なくとも本線映像信号のブランキング期間以外の映像信号と、前記調整パラメータの数値データと、を記録することを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1または2の撮像装置により出力された、前記調整パラメータの数値データが多重化された本線映像信号を入力し、映像信号処理を施す映像信号処理装置であって、
前記本線映像信号から調整パラメータの数値データを抽出する数値データ抽出部と、
前記数値データ抽出部により抽出された調整パラメータの数値データを用いて、前記本線映像信号を調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号処理部と、
を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項10】
請求項3または4の撮像装置により出力された、前記調整パラメータの数値データが多重化された符号化後の本線映像信号を入力し、映像信号処理を施す映像信号処理装置であって、
前記符号化後の本線映像信号を復号化し、復号化後の映像信号を出力する復号化部と、
前記復号化部により出力された映像信号から調整パラメータの数値データを抽出する数値データ抽出部と、
前記数値データ抽出部により抽出された調整パラメータの数値データを用いて、前記復号化部により出力された映像信号を調整し、調整後の映像信号を出力する映像信号処理部と、
を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項11】
請求項1または2の撮像装置と、請求項9の映像信号処理装置と、を備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項12】
請求項3または4の撮像装置と、請求項10の映像信号処理装置と、を備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項13】
コンピュータを、請求項9または10に記載の映像信号処理装置として機能させるための映像信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−115480(P2013−115480A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257494(P2011−257494)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】