説明

擬微小重力環境下での三次元組織構築方法

【課題】三次元組織の構築方法の提供。
【解決手段】多分化能を有する細胞およびそれらから分化誘導された細胞または脱調節された増殖能を有する細胞からなる群から選択される少なくとも1種の第一の細胞タイプと骨髄細胞を含む第二の細胞タイプとを、擬微小重力環境下にて共培養することを含む、三次元組織の構築方法。多分化能を有する細胞が、骨髄細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、および胚性幹細胞からなる群から選択され、第二の細胞タイプが、骨髄細胞由来の間葉系幹細胞および骨髄細胞由来の浮遊細胞成分からなる群から選択される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬微小重力環境下で、複数の異なる細胞タイプを培養することによる三次元組織の構築方法に関する。より具体的には、本発明は、擬微小重力環境下で、複数の異なる細胞タイプを培養することによる、血管様組織を備えた骨組織構築方法に関する。本発明により作製される再生組織は、移植療法などの再生医療において有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、自家骨髄単核球系細胞移植による血管新生療法(非特許文献1)や骨髄細胞移植による心筋梗塞後の心機能の改善(非特許文献2)など、骨髄細胞を利用した再生治療が注目されている。
【0003】
骨髄細胞の中には間葉系幹細胞(MSC)以外にも造血幹細胞(HSC)など多分化能を有する多くの有用な細胞種が存在しており、それらが総合的に組織再生に寄与していると考えられている。
【0004】
一方、これまでにin vitro実験系において、骨髄細胞を培養細胞・組織と作用させ、組織工学的に組織を効率的に構築する方法は報告されていない。
【0005】
現在、様々な病気や障害の治療方法として、組織工学的に作製された移植用組織の利用が注目されている。例えば、従来、骨欠損の治療方法としては自家骨移植が一般的に用いられている。しかし、自家骨移植には、移植可能な大きさ及び/又は形状の骨が準備できない、移植用の骨組織を取得するために侵襲的に手術を行なう必要があるなどの問題がある(非特許文献3)。そこで、自家骨移植に代わる骨再生方法として、組織工学的に構築した骨組織の利用に対する需要が高まっている。
【0006】
また、組織再生の分野においては、血管を有さない移植組織は、組織が生存するために必要な酸素及び栄養素などを組織内部に送達することができないために、移植後、定着せずに内部が壊死することが問題となっていた。in vivoでの組織再生の試みはこれまでにも報告されているが(非特許文献4)、移植した組織への宿主由来の血管の侵入に時間がかかり、移植組織の壊死を生じていた。そのため、当該分野においては、in vitroにおいて血管を備えた組織を構築する方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Tateishi−Yuyama,E.,et al.,Lancet,2002. 360(9331):p.427−35.
【非特許文献2】Orlic,D.,et al.,Nature,2001.410(6829):p.701−5.
【非特許文献3】Nakasa,T.,et al.,J Biomed Mater Res A,2005.75(2):p.350−5.
【非特許文献4】Zhou,J.,et al.,Biomaterials.31(6):p.1171−9.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、移植などに有用な組織をin vitroにおいて効率的に構築する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、擬微小重力環境下、複数の異なる細胞タイプを用いて培養を行なうことにより、移植や薬剤スクリーニング、および動物実験モデルの代替法として利用することも可能な三次元組織を構築できることを見出した。
【0010】
特に、本発明者らは、擬微小重力環境下、複数の異なる細胞タイプを用いて培養を行なうことにより、血管様組織を備えた移植等に有用な骨組織を構築できることを見出した。本発明の方法により構築された骨組織を移植片として用いる場合、移植後の移植組織内での血管ネットワークの構築をスムーズに実現することができる。
【0011】
具体的には、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 多分化能を有する細胞およびそれらから分化誘導された細胞または脱調節された増殖能を有する細胞からなる群から選択される少なくとも1種の第一の細胞タイプと骨髄細胞を含む第二の細胞タイプとを、擬微小重力環境下にて共培養することを含む、三次元組織の構築方法。
[2] 多分化能を有する細胞が、骨髄細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、および胚性幹細胞からなる群から選択される、[1]の方法。
[3] 第一の細胞タイプが、骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を含む、[1]または[2]の方法。
[4] 脱調節された増殖能を有する細胞が、癌細胞から選択される、[1]の方法。
[5] 第二の細胞タイプが、骨髄細胞由来の間葉系幹細胞および骨髄細胞由来の浮遊細胞成分からなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] (a)第一の細胞タイプを培養液中または細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中で培養するステップ;および
(b)続いて、第二の細胞タイプの存在下にて、該第一の細胞タイプを擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中でさらに培養するステップ、
を含む、[1]〜[5]のいずれかの方法。
【0012】
[7] 分化誘導因子が、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、BMP、インシュリン、インドメタシン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、ニコチンアミド、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子―4、肝細胞増殖因子、オンコスタチンM、トランスフェリン、アルブミン、リノール酸、亜セレン酸ナトリウム、5−アザシチジン、塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子およびハイドロコルチゾンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[6]の方法。
[8] (a)骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下、内皮細胞分化誘導因子を含む培地中で培養するステップ;および
(b)続いて、骨髄細胞由来の間葉系幹細胞または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下にて、該骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を擬微小重力環境下、骨分化誘導因子を含む培地中でさらに培養するステップ、
を含む、[6]の方法。
[9] 内皮細胞分化誘導因子が、EGF、bFGFおよびVEGFからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[8]の方法。
【0013】
[10] 骨分化誘導因子が、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、およびBMPからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、[8]または[9]の方法。
[11] 細胞足場材料が、ハイドロキシアパタイト、α−TCP、β−TCP、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アガロース、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される材料を含む多孔性材料である、[6]〜[10]のいずれかの方法。
[12] 得られた三次元組織が、血管様組織および/または骨様組織を含む、[8]〜[11]のいずれかの方法。
[13] 擬微小重力環境が、1軸回転式バイオリアクターを用いて実現される、[1]〜[12]のいずれかの方法。
[14] 1軸回転式バイオリアクターがRWV(Rotating Wall Vessel)バイオリアクターである、[13]の方法。
【0014】
また、本発明は以下の特徴を有する。
〔1〕以下のステップ:
(a)第1の細胞タイプを培養液中又は細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下で培養するステップ、及び
(b)続いて、第1の細胞タイプとは異なる第2の細胞タイプを播種し、擬微小重力環境下でさらに培養するステップ
を含む、血管様構造を備えた骨組織構築方法。
〔2〕ステップ(a)の培養が内皮細胞への分化を誘導する条件下で行なわれる、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕第1の細胞タイプが、骨髄細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、胚性幹細胞、樹立細胞株細胞、癌細胞、骨髄細胞から分化誘導した血管内皮細胞様細胞、及びそれらのいずれかの混合物からなる群より選択され、第2の細胞タイプが、骨髄細胞、骨髄細胞由来細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、胚性幹細胞、樹立細胞株細胞、癌細胞、及びそれらのいずれかの混合物からなる群より選択される、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0015】
〔4〕第1の細胞タイプが骨髄細胞から分化誘導した血管内皮細胞様細胞であり、第2の細胞タイプが骨髄細胞又は間葉系幹細胞である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の方法。
〔5〕内皮細胞への分化誘導が、EGF、bFGF、VEGF、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される成長因子を用いて行なわれる、上記〔2〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の方法。
〔6〕擬微小重力環境が、時間平均して地球の重力の1/100〜1/10に相当する重力を物体に与える環境である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
〔7〕擬微小重力環境が、1軸回転式バイオリアクターを用いて実現される、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の方法。
〔8〕1軸回転式バイオリアクターがRWV(Rotating Wall Vessel)バイオリアクターである、上記〔7〕に記載の方法。
〔9〕細胞足場材料が、ハイドロキシアパタイト、α−TCP、β−TCP、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの2種以上から構成される複合体からなる群より選択される多孔性足場材料である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の方法。
〔10〕細胞培養を、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、BMP、及びこれらのうちいずれか2種以上の混合物からなる群より選択される骨分化誘導因子の存在下で行なう、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、様々な三次元組織を構築することができる。より詳細には、本発明によれば、骨移植等に有用な三次元骨組織を取得することができる。本発明により得られる骨組織を用いれば、移植組織内での血管ネットワークの構築がスムーズに実現されるため、移植組織がより確実に定着する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】骨髄細胞から内皮細胞への分化を表す図である。内皮細胞用培地中で培養した骨髄間葉系幹細胞(MSC)のFITC標識抗フォン・ウィルブラント因子(vWF)抗体染色の蛍光強度を示す。播種密度:黒菱形:1×10細胞/cm;黒四角:1×10細胞/cm;黒三角:2×10細胞/cm
【図2】骨髄細胞から内皮細胞への分化を表す図である。内皮細胞用培地中で培養した骨髄間葉系幹細胞の細胞表面CD31発現を示す。播種密度:点線:1×10細胞/cm;破線:1×10細胞/cm;実線:2×10細胞/cm
【図3】構築された組織のマクロ像を表す図である。骨髄間葉系幹細胞由来内皮細胞(EC)を、細胞足場材料と共に内皮細胞用培地中で1週間培養し、MSC添加(右)又は無添加(左)にて、骨形成培地中でさらに1週間培養した。
【図4】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを、細胞足場材料と共に内皮細胞用培地中で1週間培養し、MSC添加(下段)又は無添加(上段)にて、骨形成培地中でさらに1週間培養した。a、d:トルイジンブルー染色;b、e:HE染色;c、f:アリザリンレッドS染色。スケールバー:100μm。
【図5】構築された組織中の内皮細胞(EC)連絡を示す図である。MSC由来ECを、細胞足場材料と共に内皮細胞用培地中で1週間培養し、MSCを添加して、骨形成培地中でさらに1週間培養した。組織を、DyLight594標識トマト(Lycopersicon Esculentum)レクチンを用いて免疫組織学的に染色した。蛍光像(左)及び位相差顕微鏡像と蛍光像との重ね合わせ像(右)。スケールバー:20μm。
【図6】細胞足場材料中のMSC由来ECのHE染色像を表す図である。MSC由来ECを、足場材料に以下の各密度で播種し、1週間培養した。足場材料あたり:1×10細胞(a);3×10細胞(b);5×10細胞(c);1×10細胞(d);5×10細胞(e)。スケールバー:100μm。
【図7−1】足場材料中のEC連絡を示す図である。足場材料あたり(a)1×10細胞又は(b)5×10細胞の密度で細胞を播種し、1週間培養した。薄切し、切片をFITC標識フルオレセイントマトレクチンで免疫組織学的に染色した。蛍光像(左)及び位相差顕微鏡像と蛍光像との重ね合わせ像(右)。スケールバー:20μm。
【図7−2】足場材料中のEC連絡を示す図である。足場材料あたり1×10細胞の密度で細胞を播種し、1週間培養した。薄切し、切片をFITC標識フルオレセイントマトレクチンで免疫組織学的に染色した。スケールバー:20μm。
【図8】構築された組織の組織学的分析を示す図である。足場材料あたり5×10細胞密度でMSC由来ECを播種し、1週間培養し、MSC添加にて、骨形成培地中でさらに1週間培養した。(a):HE染色;(b):オステオポンチン染色;(c):オステオカルシン染色。スケールバー:100μm。
【図9】内皮細胞用培地で培養したMSC由来ECと、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分とを骨分化誘導培地中、回転培養装置により共培養して得られた組織のマクロ像を表す図である。スケールバー:1mm。
【図10】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを5×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地中で1週間培養した後、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下((a)、(b))または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の非存在下((c)、(d))にて、骨分化誘導培地中でさらに1週間培養した。(a)および(c):トルイジンブルー染色;(b)および(d):HE染色。スケールバー:100μm。
【図11】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを5×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地中で1週間培養した後、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下(a)または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の非存在下(b)にて、骨分化誘導培地中でさらに1週間培養した。組織を、DyLight594標識トマト(Lycopersicon Esculentum)レクチンを用いて免疫組織学的に染色した。
【図12】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを5×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地中で1週間培養した後、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下にて、骨分化誘導培地中でさらに3週間培養した。丸で囲まれた領域は、細胞がマトリックスに埋もれている代表的な部位を示す。(a):トルイジンブルー染色;(b):HE染色。スケールバー:50μm。
【図13】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを1×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地中で1週間培養した後、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下(a)または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の非存在下(b)にて、骨分化誘導培地中でさらに1週間培養した。(a):トルイジンブルー染色;(b):抗コラーゲンI抗体を用いた免疫組織学的染色;スケールバー:(a)および(b)は50μm
【図14】構築された組織の組織学的分析を示す図である。MSC由来ECを5×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地中にて培養することなく、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下にて、骨分化誘導培地中でさらに1週間培養した。組織はトルイジンブルー染色した。
【図15】構築された組織の組織学的分析を示す図である。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)またはMSC由来ECを足場材料に播種し、内皮細胞用培地中で1週間、静置培養または回転培養した。(a)および(b):HUVEC;(c)および(d):MSC由来のEC。(a)および(c):回転培養;(c)および(d):静置培養。組織はトルイジンブルー染色した。スケールバー:100μm。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、多分化能を有する細胞およびそれらから分化誘導された細胞または脱調節された増殖能を有する細胞からなる群から選択される少なくとも1種の第一の細胞タイプと骨髄細胞を含む第二の細胞タイプとを、擬微小重力環境下にて共培養することを含む。
【0020】
本発明において「三次元組織」とは、少なくとも1種の細胞を三次元培養することによって得られる立体的な集合体(三次元集合体)を意味する。当該三次元集合体において、細胞は三次元的に増殖することが可能であり、細胞が細胞培養用プレートなどの上に張り付くように二次元的に延伸する細胞培養(二次元細胞培養)によって得られる組織モデルと比べて、より生体内に近い細胞環境を実現することができるために、実際の組織の細胞に近い機能を有することができる。
【0021】
本発明において構築される「三次元組織」としては、特に限定されないが、皮膚、毛髪、骨・軟骨、歯、角膜、血管、心臓、肝臓、膵臓、神経、食道などの生体組織や固形癌モデル(特に限定されないが、胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌、肝癌など)が挙げられる。好ましくは、骨組織であり、さらに好ましくは血管様組織を備える骨組織である。
【0022】
「多分化能を有する細胞」には、骨髄細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、胚性幹細胞が含まれる。ここで第一の細胞タイプにおける「骨髄細胞」には、骨髄間葉系幹細胞および骨髄細胞由来の浮遊細胞成分に特定されることなく、骨髄より採取された分化・増殖能力を有する未分化の細胞が全て含まれる。本発明に用いられる間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、胚性幹細胞は、当業者であれば公知の手法を用いて取得することができる(例えば、Haynesworth SE et al.,Bone 1992,13:81−88;Yoo JU et al.,J. Bone Joint Surg.1998,80:1745−1757;Ohyabu Y et al.,Biotechnol.Bioeng.2006,95(5):1003−8などを参照されたい)。特に骨髄間葉系幹細胞が好ましい。骨髄間葉系幹細胞は採取が比較的容易であり、増殖能力が高い。これらの細胞は、樹立された培養細胞株であっても良く、また患者の生体から単離された細胞を好適に用いて調製することができる。また、常法により一次培養を行い、予め増殖させてから用いてもよい。さらに、これらの細胞は、凍結保存されたものであってもよい。つまり、予め採取した細胞を凍結保存しておき、必要に応じて利用することもできる。
【0023】
「分化誘導された細胞」とは、多分化能を有する細胞を分化誘導して得られた分化細胞を意味する。今日、多分化能を有する細胞を様々な分化細胞、例えば、表皮細胞、神経細胞、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、血管細胞、筋細胞、肝細胞、内皮細胞などに分化誘導する方法が明らかにされている(Byrne,JA.,et.al.,2006,Curr Stem Cell Res Ther. 1(2)127−138;Hwang,NS.,2009,Wiley Interdiscip Rev Syst Biol Med.1(1),97−106;Bianco P.,2001,Nature,414,118−121)。例えば、このような細胞としては、骨髄細胞を分化誘導して得られる内皮細胞様細胞が挙げられる。骨髄細胞の内皮細胞様細胞への分化誘導は常法に従って行なうことができる。例えば、骨髄細胞を、EGF、bFGF、VEGF、又はこれらの組み合わせを含有する内皮細胞用培地中で培養することにより内皮細胞様細胞へ分化を誘導することができる。内皮細胞様細胞へ分化したことの確認は、内皮細胞のマーカー遺伝子またはタンパク質(例えば、フォン・ウィルブラント因子など)の発現を検出することによって行うことができる。なお、本明細書において、多分化能を有する細胞より分化誘導された内皮細胞様細胞を、単に「内皮細胞」と呼ぶこともある。
【0024】
「脱調節された増殖能を有する細胞」には、癌細胞が含まれる。癌細胞は固形癌に由来するものが好ましい。
【0025】
第二の細胞タイプとしての「骨髄細胞」には、骨髄間葉系幹細胞または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分が含まれる。
【0026】
「骨髄細胞由来の浮遊細胞成分」には、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、造血幹細胞、脂肪細胞、血球、顆粒球、巨核球(特に、これらに限定されない)からなる群から選択される少なくとも1種の細胞が含まれる。骨髄細胞由来の浮遊細胞成分は、従来公知の手法によって採取することが可能である(Sakai,S.,et al.,2008,79(3),445−448;Dobson,K.R.,et al.,1999,65(5),411−413)。すなわち、T−フラスコ(BD社製)など骨髄間葉系細胞の培養に一般的に用いられる培養フラスコに、採取されたまたは保存された骨髄細胞を播種して適当な培地中(例えば、10%FBS含有α−MEM(Sigma社製)など)にて1〜24時間培養し、培養フラスコに接着していない細胞を回収すればよい。
【0027】
これら「骨髄間葉系幹細胞」および「骨髄細胞由来の浮遊細胞成分」は、樹立された培養細胞株のほか、患者の生体から単離された骨髄細胞を好適に用いて調製することができる。また、常法により一次培養を行い、予め増殖させてから用いてもよい。さらに、患者から採取した骨髄細胞は、凍結保存されたものであってもよい。つまり、予め採取した骨髄細胞を凍結保存しておき、必要に応じて利用することもできる。
【0028】
本発明において「擬微小重力環境」とは、宇宙空間における微小重力環境を模して人工的に作り出された微小重力(simulated microgravity)環境を意味する。こうした擬微小重力環境は、例えば、回転で生じる応力によって地球の重力を相殺することにより実現される。すなわち、回転している物体は、地球の重力と応力とのベクトル和で表される力を受けるため、その大きさと方向は時間により変化する。したがって、時間平均すると物体には地球の重力(g)よりもはるかに小さな重力しか作用しないこととなり、宇宙空間によく似た「擬微小重力環境」が実現される。
【0029】
「擬微小重力環境」は、細胞が沈降することなく均一に分散した状態で増殖分化し、3次元的に凝集して、組織塊を形成できるような環境であることが必要である。言い換えれば、播種細胞の沈降速度に同調するように回転速度を調節して、細胞に対する地球の重力の影響を最小化することが望まれる。具体的には、培養細胞にかかる微小重力は、時間平均して地球の重力(g)の1/100〜1/10倍程度であることが望ましい。
【0030】
本発明では、擬微小重力環境を実現するために、好ましくは、回転式のバイオリアクターを使用する。そのようなバイオリアクターとしては、例えば、RWV(Ratating−Wall Vessel:米国特許第5,002,890号)、RCCS(Rotary Cell Culture SystemTM:Synthecon Incorporated)、3Dクリノスタット、並びに特開平8−173143号、特開平9−37767号、及び特開2002−45173号に記載されているものなどを用いることができる。なかでも、RWV及びRCCSはガス交換機能を備えているという点で優れている。
【0031】
また、1軸式と2軸式では、1軸式の回転式バイオリアクターの方が好ましい。2軸式(例えば、2軸式クリノスタット等)では、ずり応力(シェアストレス)を最小化することができず、またサンプル自体も回転するため、1軸式バイオリアクターのようにベッセル内にサンプルがふわふわと浮かんだ状態を再現することができないからである。このふわふわと浮かんだ状態が、特別な足場材料がない場合でも大きな3次元組織塊を得るために重要である。
【0032】
本発明の実施例で用いられているRWVは、NASAによって開発されたガス交換機能を備えた1軸式の回転式バイオリアクターである。RWVを用いる場合、横向き円筒形バイオリアクター内に培養液を満たし、細胞を播種した後、その円筒の水平軸方向に沿って回転しながら培養が行われる。バイオリアクター内には、回転による応力のため、実質的に地球の重力よりもはるかに小さい「微小重力環境」が実現される。この擬微小重力環境下において、細胞は培養液内に均一に懸濁され、最小のずり応力下で必要時間にわたって培養され、凝集して組織塊を形成する。足場材料を用いる培養の場合、細胞は足場材料全体に均一に広がり、良好に増殖する。
【0033】
RWVを用いる場合の好ましい回転速度は、ベッセルの直径並びに組織塊の大きさ及び質量に応じて適宜設定され、例えば直径5cmのベッセルを用いる場合であれば5〜25rpm程度、好ましくは7.5〜17rpmであることが望ましい。この条件であれば、播種細胞の沈降速度とベッセルの回転速度とが同調し、細胞に対する地球の重力の影響が最小化されるからである。この場合、ベッセル内の細胞に作用する重力は実質的に地上の重力(g)の1/100〜1/10倍程度となる。
【0034】
本発明における擬微小重力環境下での細胞培養は、細胞足場材料の存在下で行なってもよいし、足場材料なしで細胞懸濁液の状態から開始してもよい。好ましくは、細胞足場材料の存在下で行う。本発明における細胞足場材料としては多孔性ポリマー材料が好ましく用いられる。「多孔性ポリマー材料」とは、ポリマー材料であって、多孔質構造を形成しているものを指す。多孔質構造とは、数μm〜数10μm程度の無数の孔(空隙)が存在する構造であり、本発明においては、多孔質構造の空隙率(全体積に比した空隙部分の体積の割合)は40〜90%、より好ましくは60〜90%である。空隙率が低すぎると、細胞の侵入が不十分になり、空隙率が高すぎると、構造の強度を保つことができない。ポリマー材料は、ハイドロキシアパタイト、α−TCP、β−TCP、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アガロース、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される1又は2以上の化合物を含む。上記の材料の列挙は例示であって、限定的なものではない。特に、ポリカプロラクトン及びポリグリコール酸は、細胞との接着性が高く、適度な力学的強度を有することから、本発明の方法に好適である。これら化合物の「誘導体」には、上記化合物の表面にタンパク質や高分子が固定化またはコーティングされた複合体が含まれる。
【0035】
細胞足場材料の形状は、特に限定されず、球状、ディスク状、粒子状、ブロック状など任意の形状を用いることができる。細胞足場材料の大きさは、特に限定されず、例えば最長部の長さ(直径など)を、0.2mm〜30mmの範囲より適宜選択することができる。
【0036】
細胞足場材料は、市販のもの(特に限定されないが、OPLA(登録商標)スキャホールド(BD社製)など)を利用することができる。
【0037】
細胞の培養に用いられる培地としては、MEM培地、α−MEM培地、DMEM培地等、所望の細胞タイプの培養に通常用いられる培地を、細胞の特性に合わせて適宜選択して用いることができる。また、該培地には、FBS(ウシ胎児血清)、Antibiotic−Antimycotic(GIBCOBRL社製)等の抗生物質などを添加してもよい。
【0038】
培地には、細胞の分化誘導因子を添加する。「分化誘導因子」とは、上記多分化能を有する細胞を特定の分化状態へと誘導することができる、一または複数種の化合物を意味する。分化誘導因子としては、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、BMP、インシュリン、インドメタシン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、ニコチンアミド、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子―4、肝細胞増殖因子、オンコスタチンM、トランスフェリン、アルブミン、リノール酸、亜セレン酸ナトリウム、5−アザシチジン、塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、ハイドロコルチゾンなどが挙げられ、目的とする組織に応じて、これら化合物の少なくとも1種を培地に含めることができる。上記のとおり多分化能を保持する細胞の分化を誘導する方法は公知であり、本発明においてはそれらを利用することができる。例えば、細胞の血管内皮への分化を誘導するためには、EBM(内皮細胞基本培地)中に、EGF、bFGF、VEGF、アスコルビン酸およびハイドロコルチゾンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した内皮細胞用培地を用いることができる。細胞の骨分化を誘導するためには、α−MEM等の基本培地に、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、およびBMPからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した骨分化誘導培地を用いて培養を行えばよい。細胞の脂肪細胞への分化を誘導するためには、基本培地に、インシュリン、インドメタシン、3−イソブチル−1−メチルキサンチンおよびデキサメタゾンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した脂肪細胞分化誘導培地を用いて培養を行えばよい。細胞の心筋細胞への分化を誘導するためには、基本培地に、リノール酸、亜セレン酸ナトリウム、5−アザシチジン、デキサメタゾン、アスコルビン酸、トランスフェリンおよびインシュリンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した心筋細胞分化誘導培地を用いて培養を行えばよい。細胞の肝細胞への分化を誘導するためには、基本培地に、ニコチンアミド、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子―4、肝細胞増殖因子、オンコスタチンMおよびデキサメタゾンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した肝細胞分化誘導培地を用いて培養を行えばよい。
【0039】
なお、上記第一の細胞タイプおよび/または第二の細胞タイプは、擬微小重力環境下にて共培養する前に、別個の分化誘導因子を添加したそれぞれ培地中で予め培養されていてもよい。それぞれの細胞を別個に分化誘導することによって、構築される組織に複数の組織を含めることが可能となると共に、他方の分化誘導因子の干渉(例えば、細胞増殖の阻害など)を避けることができる。
【0040】
すなわち、本発明は以下のステップを含み得る。
(a)第一の細胞タイプを培養液中または細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中で培養するステップ;および
(b)続いて、第二の細胞タイプの存在下にて、該第一の細胞タイプを擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中でさらに培養するステップ。
【0041】
本発明の一実施形態において、ステップ(a)では、第一の細胞タイプの血管内皮への分化を誘導するために、EBM(内皮細胞基本培地)中に、EGF、bFGFおよびVEGFからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した内皮細胞用培地を用いて、多分化能を有する細胞および/またはそれらから分化誘導された内皮細胞の培養を行ない、ステップ(b)では、ステップ(a)で得られた内皮細胞を含む培養組織塊と第二の細胞タイプ(骨髄間葉系幹細胞または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分)の骨分化を誘導するために、当該培養組織塊と第二の細胞タイプをα−MEM等の基本培地に、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェートおよびBMPからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を添加した骨分化誘導培地を用いて共培養を行なう。本発明において、多分化能を有する細胞として、骨髄間葉系幹細胞を利用することが好ましい。また、骨髄間葉系幹細胞は骨に分化するのみならず、血管内皮細胞に分化することも報告されている(Asahara,T.,et al.,Circ Res,1999.85(3):p.221−8.)。さらに、血管周囲の細胞の供給源となり血管を安定化させることができる(Crisan,M.,et al.,Cell Stem Cell,2008.3(3):p.301−13.;Au,P.,et al.,Blood,2008.111(9):p.4551−8.)。すなわち、骨髄間葉系幹細胞は骨成分の細胞を供給し、さらに血管を形成、安定化させることが期待できる。ステップ(b)において、第二の細胞タイプ(骨髄間葉系幹細胞または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分)はステップ(a)で得られた培養組織塊に播種してもよいし、培地中に添加してもよい。また、下記表1に示すとおり、第二の細胞タイプは使用せずに、目的の三次元組織を構築することも可能である。
【0042】
本実施形態においては、血管様組織を備えた骨様組織からなる三次元組織を構築することができる。本発明において、「血管様組織」とは、顕微鏡的に観察される内皮細胞(例えば、内皮細胞のマーカーを発現している細胞)の管状構造、網状構造等を意味する。なお、本明細書において、血管様組織を単に、「血管組織」と呼ぶこともある。また、本発明において、「骨様組織」とは、顕微鏡的に観察される骨組織の構造(例えば、細胞がマトリックスに埋もれている状態)を有する、また例えばアリザリンレッドS染色、オステオポンチン染色、オステオカルシン染色など骨組織を染色する手法により染色される組織を意味する。なお、本明細書において、骨様組織を単に、「骨組織」と呼ぶこともある。
【0043】
また、本発明において、第一の細胞タイプ、第二の細胞タイプおよび培地に添加する分化誘導因子を適宜組み合わせることによって、様々な組織を分化誘導することが可能である。以下に第一の細胞タイプ、第二の細胞タイプおよび培地に添加する分化誘導因子の組み合わせの代表的な実施形態を挙げる。目的とする組織の分化を誘導するために、下記細胞および分化誘導因子を適宜選択して使用することができる。ただし、本発明は、これらの組み合わせに限定されるものではない。
【0044】
【表1】

【0045】
細胞の培養は、3〜10%CO、30〜40℃、特に5%CO、37℃の条件下で行なうことが望ましい。培養期間は特に限定されないが、例えば、ステップ(a)及び(b)がそれぞれ、少なくとも3日間、好ましくは少なくとも5日間、最も好ましくは少なくとも7日間である。
【0046】
足場材料を使用する培養では、好ましくは第一の細胞タイプを1cmの足場材料あたり1×10〜5×10細胞の密度で、足場材料を使用しない培養では、好ましくは第一の細胞タイプを1×10〜1×10/cmの密度で播種する。また、第二の細胞タイプについては、足場材料を使用する培養では、1cmの足場材料あたり1×10〜5×10細胞の密度で、足場材料を使用しない培養では、1×10〜1×10/cmの密度で播種または添加することができる。
【0047】
特に、上記血管様組織を備えた骨組織からなる三次元組織を構築する実施形態についていえば、ステップ(a)において足場材料あたり1×10〜5×10細胞を播種し、1〜2週間培養することができる。ただし、培養期間は足場材料に播種する細胞量および足場材料の大きさなどの要因によって適宜変更することができる。例えば、直径5mm×高さ2mmのサイズを有する足場材料あたり、5×10細胞を播種して14日培養すると、細胞が足場材料の外周を覆ってしまい、内部が壊死することがある。この場合は、最適な培養期間は14日よりも少ない日数である。
【0048】
本発明の方法を再生医療に応用すれば、自己由来の細胞を利用した組織の再生が可能になる。すなわち、患者から採取した骨髄細胞等を擬微小重力環境下で3次元的に培養して、障害・欠損を有する組織に移植可能な新たな組織を構築し、該患者に移植することができる。また、本発明の方法により構築された組織は拒絶反応の危険性がない上、自家骨移植と比較して正常組織の侵襲が少なく、また生体内での血管ネットワークの構築もスムーズであるため、より安全かつ確実な組織再生を実現することができる。また、本発明の方法により構築される三次元組織は、生体内に近い細胞環境を実現することができるために、実際の組織に近い機能を有し、薬剤スクリーニング、および動物実験モデルの代替法として利用することも可能である。
【0049】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0050】
本明細書中で引用する全ての特許文献、刊行物、技術文書は、それらが本明細書に記載されているのと同程度に参照により本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0051】
実施例1:骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)から内皮細胞(EC)への分化
日本白色家兎(JW/SCK、10日齢、メス)より骨髄細胞を採取し、T−75フラスコ(底面積:75cm;BD社製)に播種した。1〜3週間の培養後、T−25フラスコ(底面積:25cm;BD社製)に2×10細胞/cmの密度で継代した。骨髄細胞の培養は、α−MEM(Sigma社製)、10% FBS中で行ない、継代後は内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地;Lonza社製)中で行なった。EGM−2−MV培地の組成は以下の通りである(内皮細胞添加因子セット(EGM(登録商標)−2 SingleQuots(カタログ番号:CC−4176)):
【0052】
EGM−2−MV
・EBM(内皮細胞基本培地) 500mL
・hEGF(組換えヒト上皮細胞成長因子) 約0.5mL
・hFGF−B(組換えヒト線維芽細胞成長因子) 約2mL
・VEGF(血管内皮細胞成長因子) 約0.5mL
・アスコルビン酸 約0.5mL
・ヒドロコルチゾン 約0.2mL
・R3−IGF(インスリン様成長因子)−1 約0.5mL
・GA−1000(50mg/mL ゲンタマイシン、50μg/mL アンホテリシン−B) 約0.5mL
・FBS(ウシ胎児血清) 約25mL(5%)
骨髄細胞から内皮細胞への分化を確認するため、フォン・ウィルブラント因子(vWF)についての蛍光免疫染色、及び細胞表面CD31発現解析を行った。
【0053】
播種3日後と1週間後の細胞をガラスボトムディッシュ(底面積:1cm;IWAKI)に継代し、24時間培養した。リン酸緩衝液(PBS)で洗浄後、4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液で固定し、0.2% TritonX−100/PBS溶液中で1% FITC標識抗フォン・ウィルブラント因子(vWF)抗体(ヒツジポリクローナル;abcam社より入手)(PBS中)と30分間反応させた。蛍光顕微鏡を用いて染色像を観察した。得られた画像の蛍光強度を、Axio Vision Rel 4.6(カール・ツァイス社製)を用いて測定し、細胞の面積あたりの蛍光強度を算出し、分化前のMSCについての蛍光強度と比較した。各サンプルから8個の細胞を無作為に選定し、その平均値を算出した(n=1)。
【0054】
さらに、播種1週間後の細胞表面におけるCD31(血小板細胞接着因子(PECAM))の発現をFACS(BD社製FACSAriaTMセルソーター)により解析した。各密度で播種した細胞を1×10個ずつ回収し、PBSで洗浄した後、PBS−2% FBS中で1% FITC標識抗CD31抗体(マウスモノクローナル(WM−59);abcam社より入手)と30分間、氷上で反応させた。PBSで洗浄後、200μg/mL PI(ヨウ化プロピジウム)を加え、FACSで解析した。
【0055】
結果
vWFの免疫蛍光染色の結果(図1)から、1×10細胞/cm、2×10細胞/cmで播種した細胞は、培養日数が増えるにつれ蛍光強度が増加することが観察された。一方、1×10細胞/cmで播種した細胞は、培養1週間では蛍光強度の増加は観察されなかった。
【0056】
図2に示されるように、1週間培養した細胞のCD31発現について調べたところ、2×10細胞/cmで播種した細胞は、1×10細胞/cm、1×10細胞/cmで播種した細胞と比較してCD31を多く発現していた。CD31は成熟した内皮細胞が発現するマーカーとして知られているため(Joachim,O.,et al.,Stem Cells,2004.22(3):p.377−384.)、1×10細胞/cm、1×10細胞/cmで播種した細胞は1週間の培養では成熟していないと考えられる。結果から、高密度で細胞を播種し、培養することにより、分化を促進することができることが確認された。
【0057】
実施例2:骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)と骨髄由来間葉系幹細胞由来内皮細胞(MSC−derived EC)の回転培養
実施例1に記載のように調製した内皮細胞(EC)を、細胞足場材料であるOPLA(登録商標)スキャホールド(BD社製)(直径5mm×高さ2mm)に、足場材料あたり1×10〜5×10細胞の密度で播種し、減圧(100mmHg、5分間)により細胞懸濁液を足場材料内部に取り込ませた(Dong,J.,et al.,Biomed Mater Eng,2002.12(2):p.203−9.;Uemura,T.,et al.,Biomaterials,2003.24(13):p.2277−86.)。5%CO、37℃で3時間インキュベートした後、回転培養装置(RWVバイオリアクター;Synthecon社製)で培養を行なった。EGM−2−MV培地中で1週間培養し、MSC(1×10〜5×10細胞/足場材料)を播き足し、さらに1週間、下記の組成を有する骨分化誘導培地中で培養した。培地は3日おきに交換した。回転速度は、培養サンプルの沈降の様子を確認しながら調節した(7.5〜12rpm)。
【0058】
骨分化誘導培地
・α−MEM
・10mM β−グリセロホスフェート
・50μg/mL L−アスコルビン酸
・10nM デキサメタゾン
【0059】
実施例3:組織学的評価
実施例2に記載のように、EC(1×10細胞/足場材料)をEGM−2−MV培地中で1週間培養し、MSC(1×10細胞/足場材料)を播き足した後に、骨分化誘導培地中で1週間培養した(図3、右)。対照として、EC(1×10細胞/足場材料)をEGM−2−MV培地中で1週間培養し、MSCを添加せずに骨分化誘導培地中で1週間培養した(図3、左)。
【0060】
図4に示すHE染色の結果から、MSCを播き足したサンプルでは、足場材料の中心部付近に細胞が集まり、MSCを添加していないサンプルでは、足場材料全体に細胞が点在していた。また、いずれのサンプルにおいても、アリザリンレッドS染色に対して陽性であり、骨組織が形成されていることが確認された(図4、右)。さらに、レクチン染色(図5)により、MSCを添加したサンプルでは血管様の細胞が観察された。
【0061】
ECの播種密度について検討したところ、図6のHE染色の結果から示されるように、細胞の播種密度が上昇するにつれ、細胞が足場材料内に多く侵入し、1×10細胞/足場材料でプラトーに達していた。
【0062】
また、図7−1に示すレクチン染色の結果から、足場材料内により多くの細胞が取り込まれたサンプル(1×10及び5×10細胞/足場材料)では、血管様の構造が観察された。また、分岐を有する血管様の構造も観察された(図7−2)。
【0063】
さらに実施例2に記載のように、MSC由来のEC(5×10細胞/足場材料)をEGM−2−MV培地中で1週間培養し、MSC(5×10細胞/足場材料)を播き足した後に、骨分化誘導培地中で1週間培養した。得られた組織の切片を公知の手法に基づいて作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、オステオポンチン染色およびオステオカルシン染色を行った。
【0064】
各染色結果を図8に示す。
図8より明らかなように、得られた組織はオステオポンチン(図8(b))およびオステオカルシン(図8(c))染色に対し陽性であることから、得られた組織中に骨組織が形成されたことが示された。
【0065】
実施例4:骨髄細胞由来の浮遊細胞成分存在下における骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)由来内皮細胞(MSC−derived EC)の回転培養
(1)骨髄間葉系幹細胞(MSC)から内皮細胞(EC)への分化
上記実施例1と同様に、MSCからECを調製した。調製後の細胞は、内皮細胞の表現系の代表的なマーカーである、フォン・ウィルブラント因子(vWF)とCD31(血小板細胞接着因子(PECAM))の発現を解析することで分化を確認した。
【0066】
(2)骨髄細胞からの浮遊細胞成分の分離
上記MSCを採取したウサギとは異なる個体より骨髄細胞を採取し、T−75フラスコ(底面積:75cm;BD社製)に播種した。α−MEM(Sigma社製)および10% FBSを含む培地中、インキュベーターで24時間培養後、フラスコに接着していない細胞を回収した。回収した浮遊細胞成分は、遠心処理によりチューブに集め、使用時まではインキュベーター中に保管した。
【0067】
(3)骨髄間葉系幹細胞由来内皮細胞と浮遊細胞成分とのRWV回転共培養
上記(1)にて調製したMSC由来のECをOPLA(登録商標)スキャホールド(BD社製)(直径5mm×高さ2mm)に播種し(5×10細胞/足場材料、または1×10細胞/足場材料)、減圧(100mmHg,5min)により細胞懸濁液を足場材料内部へ浸透させ((Dong,J.,et al.,上掲;Uemura,T.,et al.,上掲)、内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地;Lonza社製)中で2時間培養した。EGM−2−MV培地の組成は上記の通りである。その後、回転培養装置(RWVバイオリアクター;Synthecon社製)で回転培養を行った。EGM−2−MV培地中にて3日または1週間培養を行った後、骨分化誘導培地に切り替えて培養を行った。骨分化誘導培地の組成は上記のとおりである。骨分化誘導培地には、上記(2)にて調製した浮遊細胞成分を添加して用いた。浮遊細胞成分は、一羽のウサギから採取できる量の12分の1量を骨分化誘導培地に添加した。培養は、5%CO,37℃にて、浮遊細胞成分を添加した骨分化誘導培地を用いて、2日おきに培地交換を行った。回転速度は、培養サンプルの沈降の様子を確認しながら調節した(7.5〜30rpm)。
【0068】
(4)組織学的評価
上記(3)で得られた各組織を4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液中で固定し(4℃、3日間)、その後、0.1M tris−0.5M EDTA溶液で脱灰(25℃、3日間)を行い、パラフィンに包埋しパラフィンブロックを作製した。なお、当該組織は約3mmの直径を有した(図9)。さらに、上記(3)で得られた各組織を凍結包埋剤(4%カルボキシメチルセルロース(CMC)(Leica))で包埋し、凍結ブロックを作製した。パラフィンブロックおよび凍結ブロックをミクロトームで5μmの厚さの切片にし、トルイジンブルー、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色し、組織学的評価を行った。
【0069】
また、各切片上の組織をプロテイナーゼK溶液(Dako Cytomation)でタンパク質除去し、Peroxidase Blocking Regent (Dako Cytomation)、Blocking Regent (Roche Diagnostics)と反応させた後に、抗コラーゲンI抗体(第一ファインケミカル株式会社)またはFluorescein Lycopersicon Esculentum (Tomato) Lectin (Vector Laboratories)を、製造元のプロトコルに従って用いて免疫染色を行った。
【0070】
MSC由来のECを5×10細胞/足場材料にて足場材料に播種し、内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地)で1週間培養した後、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下、骨分化誘導培地中で1週間培養して得られた組織の染色像を図10および11に示す。
【0071】
図10(トルイジンブルー染色:(a)および(c);HE染色:(b)および(d))より明らかなように、MSC由来のECを骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下で培養することにより(図10(a)および(b))、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の非存在下で培養した場合(図10(c)および(d))と比べて、より高密度な組織を構築できることが確認された。
【0072】
図11(レクチン染色:(a)および(b))より明らかなように、MSC由来のECを骨髄細胞由来の浮遊細胞成分と共培養して得られた組織中には、浮遊細胞成分の非存在下にて培養して得られた組織中に観察される血管様組織(図11(b))と比べて、より太い血管様組織が観察された(図11(a))。
【0073】
MSC由来のECを骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下で、骨分化誘導培地で3週間培養して得られた組織の染色像(トルイジンブルー染色:(a);HE染色:(b)を図12に示す。上記1週間の培養結果(図11)と比べ、組織中心部においてもマトリックスが産生されていることが観察された。また、骨細胞(osteocyte)の様に細胞がマトリックスに埋もれている様子が観察された(図12(a)、丸で囲まれた領域)。
【0074】
また、MSC由来のECの足場材料に対する播種濃度を1×10細胞/足場材料として、上記と同様の条件で培養して得られた組織切片をプロテイナーゼK溶液(Dako Cytomation)でタンパク質除去し、Peroxidase Blocking Regent(Dako Cytomation)、Blocking Regent(Roche Diagnostics)と反応させた後に、抗コラーゲンI抗体(第一ファインケミカル株式会社)またはFluorescein Lycopersicon Esculentum (Tomato) Lectin (Vector Laboratories)を、製造元のプロトコルに従って用いて免疫染色を行った。
【0075】
この結果を図13に示す。図13(トルイジンブルー染色:(a);抗コラーゲンI抗体染色:(b))より明らかなように、1週間の培養により得られた組織の中心部においてもマトリックスの産生が観察された。当該組織を抗コラーゲンI抗体を用いて免疫染色した結果を図13(b)に示す。この結果より、産生されたマトリックスがI型コラーゲンであることが示唆された。
【0076】
(5)コントロール実験
コントロール実験として、MSC由来のECを上記(3)と同様に足場材料に播種した後、内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地)で培養することなく、上記(3)同様に骨髄細胞由来の浮遊細胞成分と骨分化誘導培地中で1週間共培養を行った。
【0077】
結果を図14に示す。
図14より明らかなように、MSC由来のECを内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地)で培養することなく、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分と共に骨分化誘導に付した場合、組織はほとんど構築されず、足場材料中に細胞が点在しているのみであった。
【0078】
また、骨髄細胞を上記(3)と同様に足場材料に播種し、内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地)で培養した後、上記(3)同様に骨髄細胞由来の浮遊細胞成分と骨分化誘導培地中で1週間共培養を行った。この場合においても、組織はほとんど構築されず、足場材料中に細胞が点在しているのみであった。
【0079】
以上の結果より明らかなように、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下、MSC由来のECを骨分化誘導培地中で培養することにより、骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の非存在下にて得られる組織と比べて、in vitroで太い血管様組織を備え、かつマトリックスを多く産生した三次元組織を構築することができた。心筋梗塞モデルのサルに骨髄幹細胞であるCD34細胞の移植を行った結果、局所血流と心機能の有意な改善は観察されたが、移植細胞由来の新生血管も心筋細胞もほとんど検出されなかったこと、および移植細胞は血管内皮増殖因子(VEGF)を分泌していることが報告されている(Yoshioka, T., et al., Repair of infarcted myocardium mediated by transplanted bone marrow−derived CD34 stem cells in a nonhuman primate model.Stem Cells,2005.23(3):p.355−64.)。このことから、共培養した浮遊細胞成分により、VEGFの分泌が促進された結果として、in vitroで太い血管様組織を備え、かつマトリックスを多く産生した三次元組織を構築された可能性が示唆される。
【0080】
また、コントロール実験においてはいずれの場合も、組織はほとんど構築されなかった。これはMSC由来のECを浮遊細胞成分と共培養させたことで、MSCを内皮細胞用培地で培養したことでそれぞれの細胞の分化が促進され、増殖が抑制されたために組織が構築できなかったことが示唆される。
【0081】
実施例5:細胞源と培養法の比較
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とMSC由来のECの静置培養とRWV回転培養における細胞増殖について比較を行った。
【0082】
HUVECはBDより入手した。MSC由来のECは、上記実施例1と同様に、調製した。
【0083】
各細胞をOPLA(登録商標)スキャホールド(BD社製)(直径5mm×高さ2mm)に播種し(HUVEC(5×10細胞/足場材料)、MSC由来のEC(5×10細胞/足場材料))、減圧(100mmHg,5min)により細胞懸濁液を足場材料内部へ浸透させ((Dong,J.,et al.,上掲;Uemura,T.,et al.,上掲)、内皮細胞用培地(EGM−2−MV培地;Lonza社製)中で、静置培養または回転培養に付した。培養期間はいずれも1週間とした。EGM−2−MV培地の組成は上記の通りである。
【0084】
各培養方法における各細胞の増殖結果を図15に示す。
図15より明らかなように、いずれの培養方法であってもMSC由来のEC(図15(c)および(d))がHUVEC(図15(a)および(b))に比べてより増殖した。また、いずれの細胞であっても、回転培養(図15(a)および(c))が静置培養(図15(b)および(d))よりも効率的に細胞を増殖させることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、複数の組織を含む三次元組織の構築を可能とし、再生医療、薬剤開発等、組織工学等の分野で利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多分化能を有する細胞およびそれらから分化誘導された細胞または脱調節された増殖能を有する細胞からなる群から選択される少なくとも1種の第一の細胞タイプと骨髄細胞を含む第二の細胞タイプとを、擬微小重力環境下にて共培養することを含む、三次元組織の構築方法。
【請求項2】
多分化能を有する細胞が、骨髄細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、体性幹細胞、iPS細胞、および胚性幹細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一の細胞タイプが、骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
脱調節された増殖能を有する細胞が、癌細胞から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第二の細胞タイプが、骨髄細胞由来の間葉系幹細胞および骨髄細胞由来の浮遊細胞成分からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
(a)第一の細胞タイプを培養液中または細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中で培養するステップ;および
(b)続いて、第二の細胞タイプの存在下にて、該第一の細胞タイプを擬微小重力環境下、分化誘導因子を含む培地中でさらに培養するステップ、
を含む、請求項2,3および5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
分化誘導因子が、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェート、BMP、インシュリン、インドメタシン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、ニコチンアミド、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子―4、肝細胞増殖因子、オンコスタチンM、トランスフェリン、アルブミン、リノール酸、亜セレン酸ナトリウム、5−アザシチジン、塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子およびハイドロコルチゾンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(a)骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を細胞足場材料に播種し、擬微小重力環境下、内皮細胞分化誘導因子を含む培地中で培養するステップ;および
(b)続いて、骨髄細胞由来の間葉系幹細胞または骨髄細胞由来の浮遊細胞成分の存在下にて、該骨髄細胞から分化誘導した内皮細胞を擬微小重力環境下、骨分化誘導因子を含む培地中でさらに培養するステップ、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
内皮細胞分化誘導因子が、EGF、bFGFおよびVEGFからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
骨分化誘導因子が、デキサメタゾン、アスコルビン酸、β−グリセロホスフェートおよびBMPからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
細胞足場材料が、ハイドロキシアパタイト、α−TCP、β−TCP、コラーゲン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アガロース、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される材料を含む多孔性材料である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
得られた三次元組織が、血管様組織および/または骨様組織を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
擬微小重力環境が、1軸回転式バイオリアクターを用いて実現される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1軸回転式バイオリアクターがRWV(Rotating Wall Vessel)バイオリアクターである、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−80874(P2012−80874A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83789(P2011−83789)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】