説明

改変タンパク質

【課題】グリコシルトランスフェラーゼによりペプチドおよびタンパク質を結合させる方法を提供する。
【解決手段】治療用タンパク質の便利な合成または半合成を可能にする手段および方法であって、改変の導入が上記の問題に対処している手段および方法。可溶性糖タンパク質誘導体の循環半減期を延長して、治療または予防のための循環する糖タンパク質の治療的有効レベルを維持するために必要な、注射剤の量および注射の頻度を減少させる方法。一定の治療的に活性な糖タンパク質の短いインビボ血漿半減期は、治療または予防に必要とされる可溶性タンパク質の頻度および量に起因して望ましくないものである。糖タンパク質構造を効果的に変化させ、また生物学的活性を実質的に維持して、このような糖タンパク質の循環半減期を延長するための手段。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発分子M’の改変類似体P-B’-L-Mを調製する方法であって、該類似体は前記出発分子に比較して改善された薬理学的性質を有し、前記方法は、
a)グリコシルトランスフェラーゼの存在下において、反応基を備えた前記出発分子を、次式Iを有するドナー物質と反応させて、式B-L-MまたはL’-Mを有し、ここでのMは、前記反応基が存在せずまたは実質的に非反応性にされているときはM'である前記出発物質の中間改変類似体を得る工程と;
【化1】

ここで、
x=1または2であり、
Aは、下記から選択され
【化2】

Lは、二価の部分、結合、またはM’においてアクセス可能でなく且つ他の反応基と特異的に反応できる保護されたもしくは保護されない反応基を備えた一価の部分L’であり、
Bは、LがL’のときは存在せず、またはBは、M’においてアクセス可能でなく且つ他の反応基と特異的に反応できる保護されたもしくは保護されない反応基を備えた部分である;
b)必要であれば、Bにおける反応基を脱保護する工程と;
c)前記中間改変類似体を、LおよびMにおいてはアクセス可能でなく且つ前記中間体B-L-MにおけるBと特異的に反応できる式P’の分子に結合させて、式P-B’-L-Mを有する改変類似体を得る工程であって、ここでのPは、反応基が存在せずまたは実質的に非反応性にされているときはP’であり、B’は結合であるか、または反応基が存在しないか実質的に非反応性にされているBであり、或いはBが存在しないときは、P’は前記中間体L’-MにおけるL’と反応してP-L-Mを生じることができ、ここでのLは、反応基が存在しないか実質的に非反応性にされているL’である工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記出発物質がグリコシル化されたポリペプチドもしくはタンパク質、またはセリン-、スレオニン-、リジン-、アスパラギン-、グルタミン-、トリプトファン-、チロシン-、シスチン-、アルギニン-、ヒスチジン-、グルタミン酸-、アスパラギン酸-、ヒドロキシプロリン-、γ-カルボキシグルタミン酸-含有のポリペプチドもしくはタンパク質である方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記出発物質がグリコシル化されたポリペプチドもしくはタンパク質、またはセリン-もしくはスレオニン-含有のポリペプチドまたはタンパク質である方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法であって、前記ポリペプチドもしくはタンパク質がN-グリコシル化またはO-グリコシル化されている方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の方法であって、前記M’における反応基が、前記グリコシル部分に存在する方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法であって、前記Pがビオチニル基とは異なる方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法であって、前記改変類似体が、前記出発分子に比較して改善された薬理学的性質を有することを確認する更なる工程を含んでなる方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の方法であって、前記改善された薬理学的性質が、増大したバイオアベイラビリティ、増大した機能的インビボ半減期、増大したインビボ血漿半減期、低下した免疫原性、増大したプロテアーゼ抵抗性、増大したインビボ血漿半減期、アルブミンに対する増大した親和性、受容体に対する改善された親和性、増大した保存安定性、減少した機能的インビボ半減期、減少したインビボ血漿半減期からなる群から選択される方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記増大した半減期は、腎クリアランスを低下させまたは無くすように分子量を増大させる基であるPによって、および/または肝臓受容体の結合パートナーをマスクする基であるPによって得られる方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記低下した免疫原性は、免疫原部位に対する抗体の結合を阻止する基であるPによって得られる方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、アルブミンに対する前記改善された親和性は、アルブミンに対する高い親和性を有する基であるPによって得られる方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、受容体に対する前記改善された親和性は、標的細胞上の表面受容体に特異的に結合する基であるPによって得られる方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法であって、Pは、1以上のカルボン酸、アミン、スルホン酸、リン酸またはそれらの組合せを含んでよい低分子量有機帯電基;シクロデキストリンまたは任意に分岐したポリエチレン鎖のような低分子量の中性親水性分子;脂肪酸もしくはコール酸またはその誘導体のような低分子量の疎水性分子;平均分子量2〜40 kDaのポリエチレングリコール;700 Da〜20 kDaの範囲の正確な分子量をもったデンドリマーような充分に定義された精密ポリマー;アルブミン、抗体、または任意にFcドメインを含む抗体の一部のような非免疫原性ポリペプチド;および高分子量有機ポリマーからなる群から選択される方法。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の方法であって、Pは、デンドリマー、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)のようなポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、分岐PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン-co-無水マレイン酸、ポリスチレン-co-無水マレイン酸、デキストラン、カルボキシメチル-デキストランからなる群から選択される方法。
【請求項15】
請求項1〜13の何れか1項に記載の方法であって、Pは、生理学的条件化で帯電特性を変化させる部分、グリカンが受容体に結合するのを阻害する構造、およびグリカン特異的な認識を妨げる構造を含んだ、血清タンパク質結合性リガンドおよび有機小分子から選択される方法。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に記載の方法であって、P’が、下記からなる群から選択される官能基を具備する方法:何れかの遊離アミノ、カルボキシル、チオール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、クロロギ酸エステル、アリールオキシカーボネート、ヒドロキシル、α-ハロアセタミド、マレイミド、アジド、カルボニル基またはアルデヒド基;p-ニトロフェニルまたはスクシンイミジルのようなカーボネート;カルボニルイミダゾール;塩化カルボニル;インサイチューで活性化されるカルボン酸;ハロゲン化カルボニル;N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルのような活性化されたエステル、1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オンを含むもののようなエステル;ホスホラミダイト;H-ホスホネート;インサイチューで活性化されたホスホルトリエステルまたはホスホルジエステル;イソシアネート;イソチオシアネート;NH2、OH、N3、NHR’、OR’、O-NH2、アルキン、アルケン、ジエン、α,β-不飽和ケトン、α,β-不飽和エステル、α,β-不飽和アミド、3-カルボキシ-4-ニトロフェニルジスルファニル、ピリジン-2-イルジスルファニル、
ヒドラジン誘導体 -NH-NH2
ヒドラジンカルボキシレート誘導体 -O-C(O)-NH-NH2
セミカルバジド誘導体 -NH-C(O)-NH-NH2
チオセミカルバジド誘導体 -NH-C(S)-NH-NH2
カルボン酸ジヒドラジド誘導体 -NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2
カルバジド誘導体 -NH-NH-C(O)-NH-NH2
チオカルバジド誘導体 -NH-NH-C(S)-NH-NH2
アリールヒドラジン誘導体 -NH-C(O)-C6H4-NH-NH2
ヒドラジド誘導体 -C(O)-NH-NH2;および
オキシラミン誘導体、例えば-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2、および-NH-C(S)-O-NH2
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の方法であって、Bが、下記からなる群から選択される官能基を具備する方法:何れかの遊離アミノ、カルボキシル、チオール、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、クロロギ酸エステル、アリールオキシカーボネート、ヒドロキシル、α-ハロアセタミド、マレイミド、アジド、カルボニル基またはアルデヒド基;p-ニトロフェニルまたはスクシンイミジルのようなカーボネート;カルボニルイミダゾール;塩化カルボニル;インサイチューで活性化されるカルボン酸;ハロゲン化カルボニル;N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルのような活性化されたエステル、1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オンを含むもののようなエステル;ホスホラミダイト;H-ホスホネート;インサイチューで活性化されたホスホルトリエステルまたはホスホルジエステル;イソシアネート;イソチオシアネート;NH2、OH、N3、NHR’、OR’、O-NH2、アルキン、アルケン、ジエン、α,β-不飽和ケトン、α,β-不飽和エステル、α,β-不飽和アミド、3-カルボキシ-4-ニトロフェニルジスルファニル、ピリジン-2-イルジスルファニル、
ヒドラジン誘導体 -NH-NH2
ヒドラジンカルボキシレート誘導体 -O-C(O)-NH-NH2
セミカルバジド誘導体 -NH-C(O)-NH-NH2
チオセミカルバジド誘導体 -NH-C(S)-NH-NH2
カルボン酸ジヒドラジド誘導体 -NHC(O)-NH-NH-C(O)-NH-NH2
カルバジド誘導体 -NH-NH-C(O)-NH-NH2
チオカルバジド誘導体 -NH-NH-C(S)-NH-NH2
アリールヒドラジン誘導体 -NH-C(O)-C6H4-NH-NH2
ヒドラジド誘導体 -C(O)-NH-NH2;および
オキシラミン誘導体、例えば-C(O)-O-NH2、-NH-C(O)-O-NH2、および-NH-C(S)-O-NH2
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法であって、LおよびL’が、直鎖もしくは分岐鎖の二価の有機基、環式の二価の有機基、および結合からなる群から選択される方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記直鎖の二価の有機基には、18以下の炭素原子を含む多重官能化された直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が含まれる方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記多重官能化された直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が、2〜10の炭素原子を含む方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法であって、前記アルキル鎖が、炭素とは異なる少なくとも一つの原子を含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記炭素とは異なる少なくとも一つの原子が、N、OおよびSからなる群から選択される方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、LおよびL’が5〜7員環である方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記5〜7員環構造が、N、OまたはSから独立に選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む方法。
【請求項25】
請求項1〜24の何れか1項に記載の方法であって、前記ドナー物質が下記から選択される一般式を有する方法:
【化3】

ここで、
Yは、0、1、または2であり;
任意に、前記環構造における何れか一つの炭素は独立に、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、N-アシルアミノ、アルキル、アルキルオキシ、ハロゲン、アルカノイル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロアリールオキシで置換される。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか1項に記載の方法であって、前記ドナー物質が次式Idを有する方法:
【化4】

ここで、R1およびR2は各々独立に、水素、アルキル、ハロゲン、アルカノイル、アリールおよびヘテロアリールから選択される。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、LおよびL’が下記からなる群から選択される方法:
【化5】

ここで、R3〜R7のうちの一つは、一般式IにおいてBに結合される二価の有機基、または一般式IにおけるBへの原子価結合であり、残りのR3〜R7の各々は、-H、-OH、-CH2OH、-NH2、-NHAcを含むN-アシルアミノ基、アルキル、アルキルオキシ、ハロゲン、アルカノイル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリールおよびヘテロアリールオキシから独立に選択される。
【請求項28】
請求項1〜27の何れか1項に記載の方法であって、Bが存在せず、L’が下記からなる群から選択される方法:
【化6】

ここで、R3〜R7は独立に、請求項17で定義したとおりである。
【請求項29】
請求項1〜28の何れか1項に記載の方法であって、前記ドナー物質が下記からなる群から選択される式を有するもの、並びに前記群から選択された化合物の何れかの立体異性体またはナトリウム塩以外の塩である方法:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項30】
請求項1〜29の何れか1項に記載の方法であって、M’が、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにそれらの配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン、例えばインターロイキン、α-、β-、およびγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、血小板由来成長因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンおよびリシンのような植物タンパク質、腫瘍壊死因子および関連対立遺伝子、腫瘍壊死因子受容体の可溶性形態、インターロイキン受容体および可溶性形態のインターロイキン受容体、成長因子、例えばTGFaまたはTGFpおよび上皮成長因子のような組織成長因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、および免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、並びにそれらの断片、または何れかの上記タンパク質もしくはそれらの断片を含む融合タンパク質から選択される方法。
【請求項31】
請求項1〜5および17〜30の何れか1項で定義した式B-L-M またはL’-Mの改変中間体を調製する方法であって、請求項1〜5および17〜30に記載の方法における工程aおよび工程bを含み、且つ工程cを省略してなる方法。
【請求項32】
請求項1〜5および17〜30の何れか1項で定義した一般式を有するドナー物質。
【請求項33】
請求項1〜5および17〜30の何れか1項で定義した式B-L-M またはL’-Mの改変中間体。
【請求項34】
下記からなる群から選択されるドナー物質、並びにこれら化合物の何れかの立体異性体またはナトリウム塩以外の塩:
【化14】

【化15】

【化16】

【請求項35】
請求項1〜30の何れか1項に記載の方法により得られた改変類似体P-B’-L-M、またはP-L-Mであって、ここでのP、B’、L、およびMは請求項1に定義した通りである改変類似体。
【請求項36】
請求項1〜30の何れか1項に記載の改変類似体P-B’-L-M、またはP-L-Mを、医薬的に許容可能なキャリア、希釈剤、担体または賦形剤との混合物として含有する医薬粗製物。
【請求項37】
治療に使用するための、請求項35に記載の改変類似体P-B’-L-M、またはP-L-M。

【公開番号】特開2013−107885(P2013−107885A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−243892(P2012−243892)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2007−534020(P2007−534020)の分割
【原出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstrasse 36/38, CH−8050 Zurich, Switzerland
【Fターム(参考)】