説明

改良型流体力学的性能を有する緊張係留式プラットフォーム

一時的安定性モジュールや特別な設置技術を用いることなく、係船地区統合デッキを有して安定性のある緊張係留式プラットフォーム。浮体構造物は4つの中央環状ポンツーン部分と接続された4本の半径方向に配置された垂直な角のコラムを備えるのが好ましい。垂直コラムは中央ポンツーンの外周に固定される。コラムは主半径方向軸と短横方向軸により特徴付けられる。係留システムは、4本のコラムの外側底部の角で、半径方向に延長するテンドン支持構造物を追加せずに、直接テンドンポーチで支持されるテンドンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはオフショア石油ガス掘削生産用等の緊張係留式プラットフォームに関し、より具体的には、一時的安定性モジュールや他の特殊装置を用いることなく、上部構造を係船地区で組み立て、組立て浮体構造と上甲板を設置場所にけん引し、設置できるように十分な本質的安定性を有する、緊張係留式プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
オフショア石油ガス産業では、掘削および/または生産用緊張係留式プラットフォーム(TLP)のような浮体構造は一般的である。TLPは比較的大深水での掘削や生産に用いられるタイプの浮体式プラットフォームである。代表的TLP浮体構造物の構造は、1本、3本あるいは4本の垂直コラムと、水面下でコラムを連結する3つまたは4つのポンツーンとで構成される。コラムとポンツーンは、典型的には矩形または円筒形断面である。コラムの頂部には上部構造が設置され、上部構造は上甲板生産設備、掘削システム、生産ライザーおよび居住区等を含む。設置した喫水では、TLPのポンツーンは潜水し、コラムは水面下から水面上に延在する。
【0003】
TLPの係留システムは、テンドン(テザー<tether>とも呼ばれる)と呼ばれる鋼管部材を含み、鋼管部材テンドンは、潜水あるいは部分的に潜水する浮遊プラットフォ−ム浮体構造物に接続されるために強いテンション(緊張力)を受ける。テンドンの高い剛性は、主要な波動エネルギの固有周期より十分に低いレベルにまで係留システムの垂直方向固有周期を低減する。その結果、垂直運動の動的増幅はほとんど存在せず、プラットフォームは限定的な上下揺、横揺および縦揺しか有さない。強くテンションを受けたテンドンシステムでは、水平方向移動を水深のほんの僅かなパーセントまでに制限される。
【0004】
図1は、先行技術である従来型のTLP200の浮体構造物の平面図(コラムに沿った水平断面における)である。4本のコラム212が配置され、各コラム212の中心線VCが正方形の角をなして、正方形を形成する。4つのそれぞれのポンツーン214は正方形の各辺を形成する。ポンツーン214は、典型的には、その中心線HCがコラムの中心線VCの間に直線で並ぶように配置される。テンドンポーチ220は、係留テンドンに接続するためにコラム212の外側の角に直接備え付けられる。
【0005】
図2は、拡張緊張係留式プラットフォーム(ETLP)として知られる、先行技術である新世代のTLP300の平面図(コラムに沿った水平断面における)である。図1の先行技術のTLP200と同様に、図2のELTP300では、角のコラム312の垂直な中心線VCが、コラム312に接続するポンツーン314の軸中心線HCと交差するようにコラム312が配置される。同じような寸法の設置面積を有する図1の従来型TLP200との比較で、図2のETLPは、コラム312とポンツーン314をより内側に位置させて小さな正方形を形成する点で異なる。4つのテンドン支持構造330は、キールの高さでコラム312の外側の角に備え付けられる。テンドンポーチ320は、係留テンドンに接続するためにテンドン支持構造330の遠位端に備え付けられる。
【0006】
コラム312がプラットフォームの中心Cの近くに位置するので、単純化されたデッキ構造を用いることができ、図1のTLP200より大きな構造重量効率となる。リング形状のポンツーン構造314が小さいほど、より大きな構造重量効率に寄与し、構造を単純化し、サポートスパンや片持梁を低減させ、プラットフォームの改良型流体力学的性能を提供する。すなわち、浮体構造物と上部構造の与えられた組合せ荷重に対してより大きな荷重を支持できる。さらに、単純化された上部構造を有する図2のETLP300は、係船地区でのより経済的な上甲板組み立てを可能にし、あるいは重量物運搬船やフロートオーバーデッキの設置の必要性をなくす。
【0007】
TLP200とETLP300の両方で、コラムとポンツーンとの内部は、損傷管理用に構造的仕切りで区画分けされ、構造物を強化し、また、種々の装置(例えば、アンカー、鎖、推進機構、等)を配置し保管し、燃料水のような液体やハイドロカーボン製品を保管し、バラストで安定させるための密閉空間を提供する。
【0008】
構造によっては、TLP(従来型または拡張)の安定性が、設置中には不十分であることがある。TLPを、初期の自由な浮遊喫水(たとえば、水上えい航喫水または浮き上がり喫水)と固定喫水(TLPのテンドンへの固定が始まる喫水)の間でバラストで安定させるとき、TLPの安定性が危うくなる喫水の範囲があり、TLPは不安定になり、あるいは、テンドンに固定されバラストが終わる前にかろうじて安定していることもある。
【0009】
固定しバラストを終える前に設置喫水を通過する際の、この安定性の問題に取り組む多くの方法がある。多くの先行技術の設置技術では、高価な特別の設置装置を使用することに頼っている。例えば、一つの方法は、浮体構造物がテンドンに接続された後、上甲板デッキをオフショアに設置することである。デッキをオフショアに設置することは、通常は重量物運搬船かフロートオーバーデッキの設置技術を要するので、高価でリスクの高い作業である。さらに、かなり長期間の好天が必要である。よって、可能であれば、上部構造を係船地区で組み立て、完成したプラットフォームを設置場所へけん引することが一般的に好ましい。
【0010】
別の方法では、より大きな設置支持船から組み立てられたTLPへの上向きフック荷重を使用する。フック荷重は、遅いバラストを終える工程を待つことなしに、固定後素早くテンドンにテンションを掛けることができるという利点を有する。しかし、通常のサイズのTLPで要求されるフック荷重を提供できる船は、世界中でも極めて少ない数しか存在しない。
【0011】
プラットフォーム設置の間の安定性を向上させるさらに別の方法は、浮体構造物が係留テンドンに固定されてその後にバラストを終える前に、浮体構造物を転覆から避ける一時的浮力モジュールを用いることである。例えば、2003年1月7日にHuangらに発行された米国特許第6,503,023号は、テンドン支持構造上のコラムの外側に位置する一時的安定性モジュールを使用するETLPを開示する。Huangらの方法では、プラットフォーム、デッキ、装置を含むTLP構造が直立姿勢で建造され、設置場所にけん引され、TLP構造または一時的安定性モジュールをバラストで安定させて設置することを可能にする。Huangらの配置では、ETLPが固定されバラストが終わった後に、水面での構造物の表面積を増大させ、ETLPに海面での波動領域でより大きな波動にさらすことになるので、一時的安定性モジュールは撤去されることが望ましい。
【0012】
1996年9月3日にWybroに発行された米国特許第5,551,802号、および2006年5月16日にWybroらに発行された米国特許第7,044,685号は、TLPの各角部で押し下げるまたは引き下げるライン(あるいは鎖)を用いてテンドンに固定する前にTLPが転覆するのを防止する、TLPの設置方法を開示する。押し下げまたは引き下げるラインは、その下端で、設置されたテンドンの頂部に固定される。ラインは、テンドンポーチと、その後にテンドンポーチ上に位置するラチェットグリッパー部材またはウィンチを貫通する。テンドンをテンドンポーチに受け入れるためにTLP喫水が大きくなるにつれ、グリッパーまたはウィンチはラインのテンションを維持し、よって、TLPがいずれか一方に倒れることを防止する。
【0013】
これらの特別な設置技術の代替として、TLPがけん引や設置に必要な本質的な安定性を有するように設計することも可能である。コラムのより広い間隔および/または大きなコラムまたは重心を下げるなどのプラットフォームのメタセンター高さを上げる設計変更の組合せを用いて、安定性を向上してもよい。たとえば、図1の従来のTLP構造は、その他はすべて同じである図2のETLP構造より本質的に大きな安定性を有する。複雑なシステムの設計は競合する要求の間でのトレードオフを必要とするので、図1の従来のTLP設計は、構造重量効率と流体力学的性能を犠牲にして、図2のETLP設計より大きな安定性を得る。
【0014】
Malcolmらによる米国特許出願第2002/0090270号は、コラム安定型半潜水オフショアプラットフォームを開示する。Malcolmらのプラットフォームは、3本の角のコラムの内側に位置する三角形の環状ポンツーン構造を用いる。特に、3つのポンツーン部材の長手中心線は、コラムの垂直中心線の角に位置することで画定される三角形の辺の内側になる。しかし、ポンツーンはコラムの僅か内側に位置するだけなので、幾何学的な三角形の辺は、ポンツーンの中心線の外側を通るだけで、ポンツーンを通り抜ける。
【0015】
Wybroらに発行された米国特許第7,140,317号はまた、改良型安定性を有する半潜水プラットフォームを開示する。Wybroらの第7,140,317号特許のプラットフォームは、4本のコラムと、コラムの内側に位置する矩形の環状ポンツーン構造を用いる。すなわち、4本のコラムの垂直中心線を正方形の4つの角部に位置させることにより確定される正方形の辺が、完全にポンツーンの外部および外側に位置する。Wybroらの第7,140,317号特許のポンツーンはコラムの内側に位置するので、プラットフォームは、低減された支持間隔と片持梁を有する単純化した建造と、各ポンツーンが両端のコラムの間の中心にあるとした場合よりも改良された流体力学的性能により、特徴付けられる。
【0016】
Malcolmの特許出願第2002/0090270号およびWybroらの第7,140,317号特許で記述されたそれぞれの半潜水プラットフォームは、プラットフォームの外周縁に対し半径方向に延びる複数の懸垂係留ラインで係留される。このために、これらのプラットフォームは、TLPのようには、上下揺が拘束されてはいない。したがって、強化された安定性のために広いコラム間隔を用いるが、改良型構造効率と流体力学的性能のためにコラムの内側に位置する小さなポンツーン構造を有する、上下揺拘束の緊張係留式プラットフォームを有することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の第一の目的は、オフショア石油ガス掘削生産用などの、オフショア用途用の緊張係留式プラットフォームであって、複数のコラムとコラムの内側に配置された中央のポンツーン構造を有する浮体構造物を有し、構造を単純化し、支持間隔と片持梁を低減し、プラットフォームの改良型流体力学的性能を提供する緊張係留式プラットフォームを提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、半径方向に正しく配置した矩形コラムとコラムの内側に配置され実質的に平板構造で形成された中央ポンツーン構造を有する浮体構造物を有し、よって構造物の建造を単純化する緊張係留式プラットフォームを提供することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、浮体構造物の中央から半径方向外側に正しく配置した主軸を有する矩形断面の垂直コラムを有し、垂直コラムはデッキの支持を提供し、従来のTLPのデッキ支持に必要なデッキ構造の支持間隔と片持梁を低減する、緊張係留式プラットフォームを提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、中央のムーンプール開口を有するか完全に包囲される、垂直コラムの内側に位置する統合中央ポンツーン構造を有し、従来の環状ポンツーンに比べてプラットフォームの流体力学的性能を改善し、単純な構造で重量が軽く鋼性懸垂およびフレキシブルライザーの支持を容易にする、緊張係留式プラットフォームを提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、半径方向に正しく配置された矩形コラムとムーンプール付きの中央のポンツーン構造を有する浮体構造物を有し、ポンツーン構造はコラムの内側に配置され、フレキシブルライザーの支持を中央のポンツーン構造の内側か外側にすることができる、緊張係留式プラットフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の上記の目的及び他の効果や特徴は、オフショア石油ガス掘削生産用などのオフショア用途に用いる緊張係留式プラットフォームに組み込まれ、緊張係留式プラットフォームは垂直支持コラム、コラムの下端でその内側に配置される中央ポンツーン構造、およびコラムの上端に支持されるデッキ構造を含む浮体構造物構造を有する。その構造物は、キールの高さでコラムの外側表面に接続され、海底へ垂直下方に延びる垂直テンションレグで固定される。垂直係留テンドンはテンドンポーチで接続され、テンドンポーチは、拡張テンドン支持構造物を使用することなく、コラムに直接配置される。
【0023】
垂直コラムとポンツーン構造は、実質的に平板で建造されるのが好ましい。垂直コラムは、中央ポンツーンの外周に隣接し、浮体構造物の中央点から半径方向外向きに向いた主軸を有する横断断面形状を有し、ポンツーンの外周から外側に離れた位置に中央垂直軸を有する。
【0024】
ライザーはポンツーンの内側または外側に支持され、デッキへと延びる。中央ポンツーンおよび外側コラム構造は、建造を単純化し、支持間隔と片持梁を減少し、プラットフォームの改良型流体力学的性能を提供する。
【0025】
本発明は、添付の図面に示される実施の形態に基づいて、以下に詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、垂直コラムの間に配置され垂直コラムを接続するポンツーンを示す、先行技術の従来のTLP浮体構造物の断面における平面図である。
【図2】図2は、(同じ係留設置面積を有する図1の従来のTLP浮体構造物との比較で)横方向の間隔が狭くなった垂直コラム、垂直コラムの間に配置され垂直コラムを接続するポンツーン、およびコラムから半径外向きに延在するテンドン支持構造物を示す、先行技術の拡張TLP(ETLP)浮体構造物の断面における平面図である。
【図3】図3は、コラムの内側に位置する環状のポンツーンにより一緒に接続された垂直コラムを示す、本発明の好適な実施の形態による緊張係留式プラットフォームの斜視図である。
【図4】図4は、図3の緊張係留式プラットフォームの浮体構造物(コラムとポンツーン)の図3の4−4線に沿った断面における平面図である。
【図5】図5は、本発明の代替の実施の形態による緊張係留式プラットフォームの浮体構造物(コラムとポンツーン)の斜視図であり、中央ポンツーン構造は中央の開口を有さず、コラムの内側に大きな隔たりをもって位置し、矩形の延長によりコラムに接する。
【図6】図6は、垂直コラムが広い内側壁と狭い外側壁を有するほぼ台形の横断断面を有する点を除き、図5の実施の形態に類似する、本発明の別の代替の実施の形態による緊張係留式プラットフォームの浮体構造物(コラムとポンツーン)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
2006年11月28日にWybroらに発行され、「中央ポンツーン半潜水プラットフォーム(Central Pontoon Semisubmersible Floating Platform)」と題する米国特許第7,140,317号は、その全体を参照して本書に組み込む。
【0028】
図3および4は、オフショア石油ガス掘削および生産のようなオフショア用途に用いる本発明の好適な実施の形態による緊張係留式プラットフォーム10を示す。プラットフォーム10は、垂直支持コラム12と、コラムの下端の内側に配置された中央ポンツーン構造14とを含む浮体構造物11を有する。TLP10は、コラム12の上端に支持されたデッキ構造物13を含む。
【0029】
コラム12とポンツーン14との内部は構造的仕切り(不図示)で区分けされるのが好ましく、構造物を強化し、種々の装置(例えば、アンカー、鎖、推進機構、等)を置いて保管する密閉空間を提供し、浮体構造をバラストしたり種々の流体や掘削の間に必要またはあった方がよい他の材料や井戸での生産物を貯蔵するための複数の別々のタンクを提供する。
【0030】
TLP10は、コラム12の外側面の下端のテンドンポーチ18に接続される垂直またはほぼ垂直な複数の係留テンドン17により固定される。各コラム12は、少なくとも1つ、通常は2つ以上のテンドン17と結合するように設計される。テンドンポーチはキール高さの近くに位置し、テンドン17の上端部を収容して固定する接続スリーブ(不図示)を含む。接続スリーブは、テンドン17の垂直入口がある環状であってもよく、あるいは、テンドン17が横に入るスロットを形成されてもよい。
【0031】
種々のタイプのライザー19は、浮体構造物11により支持することができ、ほぼ垂直の上部引張りライザー(TTR)、フレキシブルライザー、または鋼管懸垂ライザー(SCR)を含む。フレキシブルライザーまたは鋼管懸垂ライザー(SCR)は、中央ポンツーン構造14の内側または外側で支持でき、単一の長さの部材または浮体構造に支持された配管でデッキ13まで延長される。上部引張りライザー(TTR)はデッキ13で支持でき、ライザーキールジョイント(不図示)によりポンツーンの高さで横方向に支持することもできる。
【0032】
如何なる適切な形状を用いてもよいが、中央ポンツーン構造14は、八角形であることが好ましく、4つの直交方向の辺部分14Aを有し、辺部分14Aは4つの対角方向の角部分14Bで隔てられ、角部分14Bはポンツーン構造14に接続されて、プラットフォームの中央垂直軸Cを中心とする統合構造物を形成する。図3および4に示される実施の形態では、中央ポンツーン構造14は中央ムーンプール開口14Cを含み、ムーンプール開口14Cは八角形の開口として図示されるが、他の適切な形状を有してもよい。辺部分14Aおよび角部分14Bは、それぞれ中央の水平軸または水平中央軸HCを囲むほぼ矩形の横断断面を特徴とするのが好ましい。
【0033】
それぞれの垂直コラム12は、下端12Aと上端12Bを有する。コラム12は、四辺形の横断(水平)断面を有するのが好ましく、断面は概して矩形または台形構造である。図3および4は、浮体構造物11の中心点Cから半径方向外向きの主軸Aを有する横断面形状を有するコラム12を長方形として示す。具体的には、コラム12は、狭い内壁12Dと外壁12Eにそれぞれ接続する2つの平行な広い横壁12Cで形成された矩形の横断断面を画定する。よって、各垂直支持コラム12は、内壁12Dと外壁12Eの間に延在する主軸Aと2つの横壁12Cの間に延在する短軸Aを画定する。各垂直支持コラム12は、垂直長手軸または垂直中心線VCを主軸Aと短軸Aの交点に画定する。各垂直支持コラム12の主軸Aは、プラットフォームの中心Cから半径方向外向きであるのが好ましい。各垂直支持コラム12の内壁12Dの下部は、ポンツーン構造14の対角の角部分14Bに隣接し、接続する。
【0034】
垂直支持コラム12は、中央ポンツーン構造14の実質的に外側に配置される。各コラム12の垂直軸VCは、ポンツーン構造14の角部分14Bの外周から外側の距離Dで、ポンツーン角部分14Bを通って延在する中央水平軸または水平中心線HCから外側に距離Dに配置される。よって、本発明の浮体構造物構造で、中央ポンツーン構造14は、垂直支持コラム12の内側に位置し、2本の隣接コラム12の垂直中心線VC間に画定される線Sが、ポンツーン辺部分の水平中心線HCの外側、より好ましくは、ポンツーン構造14の外周の外側に位置するようにする。この設計上の特徴は、支持コラムの垂直中心線が隣接するポンツーンの水平中心線と交差して、典型的にはコラム間の中央に個々のポンツーンを有する従来技術の緊張係留式プラットフォーム設計(例えば、図1および2に図示される)とは異なる。
【0035】
図5は、本発明の代替の実施の形態によるTLPの浮体構造物11Aを図示する。図3および4の実施の形態のTLP浮体構造物11と同様に、浮体構造物11Aはコラム12の内側に位置する中央ポンツーン構造114を有するが、図3および4のTLP10とは異なり、図5のポンツーン構造114は中央ムーンプール開口を有していない。さらに、ポンツーン構造の外周は、垂直支持コラム12から半径方向内側に大きな距離を隔てている(すなわち、ポンツーン114の外周は、プラットフォームの中心線Cに近い)。本実施の形態では、各垂直支持コラム12の内壁12Dの下部は、矩形の延長15によりポンツーン構造114の対角の角部114Bに備え付けられ固定され、矩形の延長15はポンツーンの角部とコラム12の内壁12Dとの間に固定され、統合構造物を形成する。
【0036】
図6は、本発明の第三の実施の形態によるTLPの浮体構造物11Bを図示する。この代替の実施の形態では、各垂直支持コラム112は、下端112Aと上端112Bとを有し、2つの非平行な横に離れた壁112Cにより平行に離間した関係で相互接続された幅広の内壁112Dと狭い外壁112Eにより概して台形の横断断面を画定する。
【0037】
図3〜6の実施の形態やそれらの変形を含む本発明の種々の実施の形態によれば、コラム間隔を広げると安定性が向上し、中央ポンツーン構造14、114を垂直支持コラム12、112の半径方向内側に配置することは、プラットフォームの流体力学的性能を向上させ、支持間隔と片持梁を低減する。コラム12、112とポンツーン14、114は好ましくは円筒形ではないので、実質的に鋼製平板で建造できる(単純な半径のカーブや鋭いコーナーに提供される角部を除いて)。この特徴は、浮体構造物の建造を単純化する。
【0038】
本開示の要旨は、ざっと読むことで技術的な開示の本質と主旨を素早く判断する方法を米国特許商標庁と社会全般に提供するためだけに書かれたもので、好適な実施の形態を代表するだけであり、本発明の全ての本質を示してはいない。
【0039】
本発明のいくつかの実施の形態が詳細に述べられたが、本発明は示された実施の形態に限定されない。上述の実施の形態の改変や改作を当業者は気付くであろう。そのような改変や改作は、本書に明記されたように、本発明の思想と範囲に属する。
【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の垂直コラム(12、112)と、前記コラムの内側に配置され前記コラムの下端(12A、112A)で前記コラムに接続されるポンツーン構造(14、114)とを含む浮体構造物(11、11A、11B)であって、各前記コラムは前記浮体構造物の中心点(C)から半径方向外向きの主軸(A)を画定する水平断面形状を有する、浮体構造物(11、11A、11B)と;
前記コラムの上端(12B、112B)で支持されるデッキ(13)と;
所望の海底位置上に緊張係留式プラットフォームを維持し、該緊張係留式プラットフォームを垂直な上下揺動から実質的に拘束するために前記コラムと海底との間にテンションを受けて接続される複数のテンドン(17)とを備える;
緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項2】
前記コラム(12、112)と前記ポンツーン構造(14、114)は実質的に平板で建造される;
請求項1の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項3】
前記複数のコラム(12、112)の各々は多角形の横断断面を有する;
請求項1の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項4】
前記複数のコラム(12、112)の各々は四辺形の横断断面を有する;
請求項1の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項5】
前記複数のコラム(12、112)の各々は、2つの非平行に横方向に離れた壁(112C)により平行に離れた関係で相互接続される内壁(112D)と外壁(112E)により画定されるほぼ台形の横断断面を有し、前記外壁(112E)は前記内壁(112D)より幅が広く、前記主軸(A)は前記内壁と前記外壁の間に延在する;
請求項4の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項6】
前記複数のコラム(12、112)の各々は、2つの平行に横方向に離れた壁(12C)により平行に離れた関係で相互接続される、ほぼ同じ幅の内壁(12D)と外壁(12E)により画定されるほぼ矩形の水平横断断面を有し、前記2つの平行に横方向に離れた壁(12C)は前記内壁(12D)と前記外壁(12E)より幅が広く、前記主軸(A)は前記内壁と前記外壁の間に延在する;
請求項4の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項7】
前記ポンツーン構造(14、114)は八角形である;
請求項1の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項8】
前記コラム(12、112)の各々は、延長部材(15)により前記ポンツーン構造(14、114)の角部分(14B、114B)に接合される;
請求項7の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項9】
前記ポンツーン構造(14)は、垂直方向に形成された中央ムーンプール開口(14C)を含む;
請求項1の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項10】
前記ポンツーン構造(14)は、4つの対角方向の角部分(14B)で相互接続された4つの直交方向の辺部分(14A)を含み;
前記辺部分(14A)と角部分(14B)の各々は横断断面でほぼ矩形であり、水平軸(HC)を画定する;
請求項9の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項11】
前記コラム(12、112)の各々は、延長部材(15)により前記ポンツーン構造(14)の角部分(14B)に接合される;
請求項9の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項12】
中央垂直軸(C)を囲む外周を有するポンツーン構造(14、114)と、前記ポンツーン構造の外周に下端(12A、112A)で接続する垂直コラム(12、112)とを含む浮体構造物(11、11A、11B)であって、前記ポンツーン構造は前記コラムの内側に配置され、前記コラムの各々は前記ポンツーン構造の外周から第1のゼロではない距離(D)だけ前記中央垂直軸(C)から半径方向外側に位置する垂直コラム軸(VC)を画定する、浮体構造物(11、11A、11B)と;
前記コラムの上端(12B、112B)で支持されるデッキ(13)と;
所望の海底位置上に緊張係留式プラットフォームを維持し、該緊張係留式プラットフォームを垂直な上下揺動から実質的に拘束するために、テンションを受けて、上端で前記コラム(12、112)に直接備え付けられたテンドンポーチ(18)により前記コラムに接続され、下端で海底に接続される、テンドン(17)とを備える;
緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項13】
前記コラム(12、112)の各々は、前記中央垂直軸(C)から半径方向外向きの水平主軸(A)を有する横断断面形状を有する;
請求項12の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項14】
前記ポンツーン構造(14)は、貫通する垂直中央開口(14C)を含み;
前記ポンツーン構造(14)は、4つの対角方向の角部分(14B)で隔てられた4つの直交方向の辺部分(14A)を含み;
前記辺部分(14A)と角部分(14B)の各々は、多角形の垂直断面を有し、水平長手軸(HC)を画定し;
各コラム(12、112)の各垂直コラム軸(VC)は前記ポンツーン構造(14)の隣接角部分(14B)の水平長手軸(HC)から第2のゼロではない距離(D)だけ半径方向外側に位置する;
請求項13の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項15】
前記コラム(12、112)の各々は、多角形の横断断面を有する;
請求項13の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項16】
前記複数のコラム(12、112)の各々は、2つの非平行に横方向に離れた壁(112C)により平行に離れた関係で相互接続される内壁(112D)と内壁(112D)より幅の狭い外壁(112E)とにより形成されるほぼ台形の横断断面を有する;
請求項15の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項17】
前記複数のコラム(12、112)の各々は、2つの平行に横方向に離れた壁(12C)により平行に離れた関係で相互接続される、ほぼ同じ幅の内壁(12D)と外壁(12E)により形成されるほぼ矩形の横断断面を有し、前記2つの平行に横方向に離れた壁(12C)は前記内壁と前記外壁より幅が広い;
請求項15の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項18】
2本の隣接コラム(12、112)の垂直コラム軸(VC)間に延在する架空線(S)は、前記ポンツーン構造外周の外側に位置する;
請求項12の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項19】
2本の隣接コラム(12、112)の垂直コラム軸(VC)間に延在する架空線(S)は、前記2本の隣接コラムの間に位置する辺部分(14A)の水平長手軸(HC)の外側に位置する;
請求項14の緊張係留式プラットフォーム(10)。
【請求項20】
中央開口(14C)を囲み、横断断面で水平中心線(HC)を画定する複数の部分(14A、14B)で形成される環状ポンツーン構造(14)と;
前記ポンツーン構造(14)の外側に下端(12A、112A)で各々接続される垂直コラム(12、112)であって、前記ポンツーン構造が前記コラムの内側に配置され、前記コラムのそれぞれは前記水平軸中心線(HC)から距離(D)だけプラットフォームの中心(C)から半径方向外側に配置される中心垂直長手軸(VC)を画定し、前記中心垂直長手軸が前記水平軸中心線と交差しないようにする、垂直コラム(12、112)と;
前記コラムと海底との間を接続する垂直係留テンドン(17)とを備える;
緊張係留式プラットフォーム(10)。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−521170(P2013−521170A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555112(P2012−555112)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2011/025916
【国際公開番号】WO2011/106418
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512222080)モデク・インターナショナル・インク (1)