説明

放射線変換器及び放射線画像撮影システム

【課題】電磁波の影響を受けることなく、必要な画像情報を迅速に取得して確認できるようにする。
【解決手段】筐体と、該筐体内に収容され、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、放射線画像情報Daに変換する放射線検出器44、カセッテ制御部50及びインターフェース54を有する電子カセッテ28において、筐体に対して着脱自在に装着されるメモリカード200を有し、カセッテ制御部50は、放射線画像情報Daをデータ圧縮して圧縮放射線画像情報Dbとするデータ圧縮回路214を有し、メモリカード200は、カセッテ制御部50及びインターフェース54を介して圧縮放射線画像情報Dbが記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に放射線を照射して放射線画像の撮影を行うための放射線変換器とそれを利用した放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。
【0003】
この場合、放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像が得られる。
【0004】
一方、手術室等の医療現場においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが要求される。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線変換パネルが開発されている。
【0005】
そして、従来では、上述の固体検出素子を用いた放射線変換パネルからの放射線画像情報を外部にデータ伝送する方法が種々提案されている(特許文献1〜4参照)。
【0006】
特許文献1記載の方法は、固体検出素子で検出した画像データを間引き処理し、無線信号に変換して外部に転送する。特許文献2記載の方法は、固体検出素子で検出した画像データを縮小し、無線アンテナを介して確認用ディスプレイに送信して表示する。特許文献3記載の方法は、電子カセッテの画像データを記録媒体に記録し、その記録媒体を取り出してストレージサーバ等に供給する。特許文献4記載の方法は、放射線変換パネルに記録された放射線画像データを着脱可能な画像メモリに記憶させ、外部機器に移動させるというものである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−101195号
【特許文献2】特開2005−296050号
【特許文献3】特開2002−190584号
【特許文献4】特開2006−267043号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2記載の方法は、電子カセッテと外部機器との間の電磁波の影響で、特に医療関係の設備においては、問題となるおそれがある。
【0009】
特許文献3及び4記載の方法は、電磁波の問題を回避することはできるが、大容量の記録媒体が必要となり、コストアップとなる。また、画像データを記録媒体に迅速に保存することができないという問題もある。
【0010】
本発明は、前記の課題に鑑みなされたものであり、電磁波の影響を受けることなく、必要な画像情報を迅速に取得して確認することができる放射線変換器及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明に係る放射線変換器は、筐体と、該筐体内に収容され、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、放射線画像情報に変換する放射線変換パネル及び電子回路を有する放射線変換器において、
前記筐体に対して着脱自在に装着される記憶装置を有し、
前記電子回路は、前記放射線画像情報をデータ圧縮して圧縮放射線画像情報とするデータ圧縮回路を有し、
前記記憶装置は、前記圧縮放射線画像情報が記憶されることを特徴とする。
【0012】
第2の本発明に係る放射線画像撮影システムは、筐体と、該筐体内に収容され、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、放射線画像情報に変換する放射線変換パネル及び電子回路を有する放射線変換器を有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線変換器の前記電子回路は、前記放射線画像情報をデータ圧縮して圧縮放射線画像情報とするデータ圧縮回路を有し、
前記放射線変換器の前記筐体に対して着脱自在に装着され、且つ、前記圧縮放射線画像情報が記憶される記憶装置と、
前記放射線変換器の前記筐体から取り外された前記記憶装置が装填され、前記記憶装置に記憶された前記圧縮放射線画像情報を表示する表示装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁波の影響を受けることなく、必要な画像情報を迅速に取得して確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る放射線変換器及び放射線画像撮影システムの実施の形態例を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0015】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、図1に示すように、撮影条件に従った線量からなる放射線Xを患者22(被写体)に照射する放射線源24と、放射線源24を制御する線源制御装置26と、患者22を透過した放射線Xを検出する放射線検出器(放射線変換パネル)を内蔵した放射線検出器(以下、電子カセッテ28と記す)と、電子カセッテ28の充電処理を行うクレードル30と、放射線源24の撮影スイッチを有し、撮影作業を含む状態確認のために技師が所持する携帯情報端末32と、線源制御装置26、電子カセッテ28、クレードル30及び携帯情報端末32を制御すると共に、必要な情報の授受を行うコンソール34(制御装置)とを備える。
【0016】
放射線源24、線源制御装置26及びクレードル30は、撮影室36内に配置され、コンソール34は、撮影室36外の操作室38に配置される。また、線源制御装置26、携帯情報端末32及びコンソール34の間では、無線通信による必要な情報の送受信が行われる。
【0017】
電子カセッテ28は、図2に示すように、放射線Xを透過させる材料からなる筐体40を備える。筐体40の内部には、放射線Xが照射される照射面側から、患者22による放射線Xの散乱線を除去するグリッド42、患者22を透過した放射線Xを検出する放射線検出器44(固体検出器)、及び、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板46が順に配設される。
【0018】
また、筐体40の内部には、電子カセッテ28の電源であるバッテリ48と、放射線検出器44を駆動制御するカセッテ制御部50と、放射線検出器44によって検出した放射線Xの画像情報(放射線画像情報)等を記憶する画像メモリ52(図3参照)と、インターフェース54とが収容される。なお、カセッテ制御部50、画像メモリ52、インターフェース54等の電子回路には、放射線Xが照射されることによる損傷を回避するため、筐体40の照射面側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0019】
図2に示すように、筐体40の1つの側面には、メモリカード200(記憶装置)が着脱自在に装着されるスロット202が設けられている。スロット202内には、図3に示すように、メモリカード200の外部端子204と接続される第1接続端子206が設置され、該第1接続端子206はインターフェース54に接続されている。メモリカードとしては、例えばUSBメモリ等の各種市販製品を使用することができる。
【0020】
また、筐体40の側面には、コンソール34と接続するためのケーブル208が装着される第2接続端子210が設置されている。この第2接続端子210もインターフェース54に接続されている。
【0021】
放射線検出器44は、図3に示すように、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層64を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)66のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量68に蓄積した後、各行毎にTFT66を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図3では、光電変換層64及び蓄積容量68からなる1つの画素70と1つのTFT66との接続関係のみを示し、その他の画素70の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、電子カセッテ28内に放射線検出器44を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0022】
各画素70に接続されるTFT66には、行方向と平行に延びるゲート線72と、列方向と平行に延びる信号線74とが接続される。各ゲート線72は、ライン走査駆動部76に接続され、各信号線74は、読取回路を構成するマルチプレクサ78に接続される。
【0023】
ゲート線72には、行方向に配列されたTFT66をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部76から供給される。この場合、ライン走査駆動部76は、ゲート線72を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力する第1アドレスデコーダ80とを備える。第1アドレスデコーダ80には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。
【0024】
また、信号線74には、列方向に配列されたTFT66を介して各画素70の蓄積容量68に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器82によって増幅される。増幅器82には、サンプルホールド回路84を介してマルチプレクサ78が接続される。マルチプレクサ78は、信号線74を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力する第2アドレスデコーダ86とを備える。第2アドレスデコーダ86には、カセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ78には、A/D変換器88が接続され、A/D変換器88によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部50に供給される。
【0025】
カセッテ制御部50は、図4に示すように、メモリ制御回路212とデータ圧縮回路214とを有する。メモリ制御回路212は、以下の処理を行う。
【0026】
(1)放射線検出器44からカセッテ制御部50に供給された放射線画像情報Daをそのまま画像メモリ52の第1記憶領域216aに記憶する。
【0027】
(2)カセッテ制御部50に供給された放射線画像情報Daをデータ圧縮回路214に供給し、放射線画像情報Daをデータ圧縮処理して圧縮放射線画像情報Dbとし、この圧縮放射線画像情報Dbを画像メモリ52の第2記憶領域216bに記憶する。
【0028】
画像メモリ52の第1記憶領域216aに記憶された放射線画像情報Daは、カセッテ制御部50の制御によってインターフェース54を介して第2接続端子210に供給され、第2接続端子210に接続されているケーブル208を通じてコンソール34に転送される。従って、放射線画像情報Daのコンソール34へのデータ転送は、電子カセッテ28にケーブル208が接続された段階で行われることになる。
【0029】
一方、画像メモリ52の第2記憶領域216bに記憶された圧縮放射線画像情報Dbは、カセッテ制御部50の制御によってインターフェース54を介して第1接続端子206に供給され、スロット202の第1接続端子206に装着されているメモリカード200に転送され、記憶される。
【0030】
図5は、放射線画像撮影システム10の構成ブロック図である。コンソール34には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像情報やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)90が接続され、また、RIS90には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)92が接続される。
【0031】
一方、クレードル30の第1制御部110は、電子カセッテ28のバッテリ48の充電処理を行う充電処理部112を制御する一方、第1送受信部114を介してコンソール34から受信した情報を第1表示部116に表示すると共に、必要に応じて第1スピーカ118を鳴動させる。
【0032】
また、クレードル30は、メモリカード200が着脱自在に装着される第1スロット218が設けられている。第1スロット218内には、メモリカード200の外部端子204と接続される接続端子220が設置され、該接続端子220は図示しないインターフェースを介して第1制御部110に接続されている。従って、第1スロット218内にメモリカード200が装着されると、第1制御部110は、メモリカード200に記憶されている圧縮放射線画像情報Dbを取得して第1表示部116にプレビュー画像として表示する。
【0033】
また、携帯情報端末32の第2制御部124は、放射線源24を駆動する撮影スイッチ126によって生成された撮影信号を第2送受信部128を介して線源制御装置26に供給する。また、第2制御部124は、第2送受信部128を介してコンソール34から受信した情報を第2表示部130に表示すると共に、必要に応じて第2スピーカ132を鳴動させる。なお、携帯情報端末32は、必要な情報を設定することのできる操作部134を有する。
【0034】
また、携帯情報端末32は、メモリカード200が着脱自在に装着される第2スロット222が設けられている。第2スロット222内には、メモリカード200の外部端子204と接続される接続端子224が設置され、該接続端子224は図示しないインターフェースを介して第2制御部124に接続されている。従って、第2スロット222内にメモリカード200が装着されると、第2制御部124は、メモリカード200に記憶されている圧縮放射線画像情報Dbを取得して第2表示部130にプレビュー画像として表示する。
【0035】
コンソール34は、第3制御部142と、線源制御装置26、携帯情報端末32に対して、必要な情報を無線通信により送受信する第3送受信部144と、患者情報を設定する患者情報設定部146と、患者22の撮影部位を撮影メニューから選択して設定する撮影メニュー設定部147と、線源制御装置26による撮影に必要な撮影条件を設定する撮影条件設定部148と、電子カセッテ28からデータ転送された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部150と、処理した放射線画像情報を記憶する画像メモリ152と、放射線画像情報や患者情報、撮影メニュー等を表示する第3表示部154と、必要に応じた警報を鳴動させる第3スピーカ156とを備える。
【0036】
なお、患者情報とは、患者22の氏名、性別、患者ID番号等、患者22を特定するための情報である。撮影メニューは、患者22の撮影部位を選択するためのメニューであり、撮影部位としては、例えば、患者22の頭部、胸部、四肢等を上げることができる。撮影条件とは、患者22の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間等を決定するための条件である。患者情報、撮影メニュー及び撮影条件を含む撮影のオーダリング情報は、コンソール34で直接設定し、あるいは、RIS90を介してコンソール34に外部から供給することができる。
【0037】
放射線画像撮影システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0038】
患者22の放射線画像を撮影する際、コンソール34の患者情報設定部146を用いて当該患者22の患者情報を設定するとともに、撮影条件設定部148を用いて必要な撮影条件を設定する。また、撮影メニュー設定部147を用いて、第3表示部154に表示させた撮影メニューから所望の撮影部位、例えば、胸部、頭部、四肢等を選択して設定する。
【0039】
設定された患者情報、撮影条件及び撮影部位は、技師が所持する携帯情報端末32に送信され、その第2表示部130に表示される。この場合、技師は、携帯情報端末32の第2表示部130に表示された患者情報、撮影条件及び撮影部位を確認して、所望の撮影準備を行うことができる。
【0040】
続いて、技師は、メモリカード200をスロット202を介して電子カセッテ28に装着し、その状態で、撮影メニューから選択した患者22の所望の撮影部位に電子カセッテ28を設置する。もちろん、電子カセッテ28を所望の撮影部位に設置した後に、メモリカード200を装着してもよい。
【0041】
患者22に対して電子カセッテ28が適切な状態に設置されると、技師は、携帯情報端末32の撮影スイッチ126を操作し、放射線画像の撮影を行う。撮影スイッチ126が操作されると、携帯情報端末32の第2制御部124は、第2送受信部128を介して撮影開始信号を線源制御装置26に送信する。撮影開始信号を受信した線源制御装置26は、予めコンソール34から供給されている撮影条件に従って放射線源24を制御し、放射線Xを患者22に照射する。
【0042】
患者22を透過した放射線Xは、電子カセッテ28のグリッド42によって散乱線が除去された後、放射線検出器44に照射され、放射線検出器44を構成する各画素70の光電変換層64によって電気信号に変換され、蓄積容量68に電荷として保持される(図3参照)。次いで、各蓄積容量68に保持された患者22の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御部50からライン走査駆動部76及びマルチプレクサ78に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0043】
すなわち、ライン走査駆動部76の第1アドレスデコーダ80は、カセッテ制御部50から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線72に接続されたTFT66のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ78の第2アドレスデコーダ86は、カセッテ制御部50から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部76によって選択されたゲート線72に接続された各画素70の蓄積容量68に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線74を介して順次読み出す。
【0044】
放射線検出器44の選択されたゲート線72に接続された各画素70の蓄積容量68から読み出された放射線画像情報は、各増幅器82によって増幅された後、各サンプルホールド回路84によってサンプリングされ、マルチプレクサ78を介してA/D変換器88に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報Daは、カセッテ制御部50のメモリ制御回路212によって画像メモリ52の第1記憶領域216aに記憶され、さらに、メモリ制御回路212及びデータ圧縮回路214によってデータ圧縮されて圧縮放射線画像情報Dbとして画像メモリ52の第2記憶領域216bに記憶される。
【0045】
同様にして、ライン走査駆動部76の第1アドレスデコーダ80は、カセッテ制御部50から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線72に接続されている各画素70の蓄積容量68に保持された電荷情報である放射線画像情報Daを信号線74を介して読み出し、マルチプレクサ78及びA/D変換器88を介して画像メモリ52の第1記憶領域216aに記憶させ、さらにその圧縮放射線画像情報Dbを第2記憶領域216bに記憶させる。
【0046】
画像メモリ52の第2記憶領域216bに記憶された圧縮放射線画像情報Dbは、カセッテ制御部50及びインターフェース54を介してメモリカード200に記憶される。従って、技師は、一旦、撮影が終了した段階で、メモリカード200をスロット202から取り出し、携帯情報端末32の第2スロット222に装着することで第2表示部130に圧縮放射線画像情報Dbをプレビュー画像として表示させる。あるいは、クレードル30の第1スロット218に装着することで第1表示部116に圧縮放射線画像情報Dbをプレビュー画像として表示させる。
【0047】
技師は、第1表示部116又は第2表示部130に表示された圧縮放射線画像情報Dbを確認し、再撮影の要否等の判断を行うことができる。特に、圧縮放射線画像情報Dbは、データ圧縮されることで情報量が削減されているため、速やかに表示することができる。
【0048】
画像メモリ52の第1記憶領域216aに記憶されている放射線画像情報Daは、電子カセッテ28がケーブル208を介してコンソール34と接続された段階で、カセッテ制御部50及びインターフェース54を介してコンソール34にデータ転送される。コンソール34にデータ転送された放射線画像情報Daは、画像処理部150により画像処理が施された後、患者情報と関連付けられた状態でコンソール34の画像メモリ152に記憶される。次いで、画像メモリ152に記憶された放射線画像情報Daは、第3表示部154に表示される。
【0049】
撮影処理が行われた電子カセッテ28は、バッテリ48が消耗する。この場合、電子カセッテ28は、クレードル30に装着することで充電処理が行われる。
【0050】
このように、放射線画像撮影システム10においては、電子カセッテ28で得られた放射線画像情報Daをデータ圧縮してメモリカード200に記憶し、そのメモリカード200をクレードル30や携帯情報端末32に装着して表示させるようにしたので、電磁波の影響を受けることなく、必要な画像情報を迅速に取得して確認することができる。
【0051】
上述の例では、電子カセッテ28の筐体40内にバッテリ48を収容し、このバッテリ48から放射線検出器44や電子回路等に電力を供給するようにしたが、その他、筐体40内にバッテリ48を収容せずに、外部から電源ケーブルを介して電子カセッテ28の放射線検出器44や電子回路等に電力を供給するようにしてもよい。この場合、電子カセッテ28の軽量化を図ることが可能となる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0053】
例えば、電子カセッテ28に収容される放射線検出器44(放射線変換パネル)は、入射した放射線Xの線量を光電変換層64によって直接電気信号に変換するものであるが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0054】
また、光変換方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光変換方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0055】
さらに、放射線変換パネルとして、蓄積性蛍光体パネルを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図2】電子カセッテの内部構成図である。
【図3】電子カセッテに収納される放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図4】電子カセッテのカセッテ制御部を主体に示す構成ブロック図である。
【図5】放射線画像撮影システムの構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
10…放射線画像撮影システム
28…電子カセッテ
30…クレードル
32…携帯情報端末
34…コンソール
40…筐体
44…放射線検出器
50…カセッテ制御部
52…画像メモリ
54…インターフェース
200…メモリカード
208…ケーブル
212…メモリ制御回路
214…データ圧縮回路
Da…放射線画像情報
Db…圧縮放射線画像情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に収容され、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、放射線画像情報に変換する放射線変換パネル及び電子回路を有する放射線変換器において、
前記筐体に対して着脱自在に装着される記憶装置を有し、
前記電子回路は、前記放射線画像情報をデータ圧縮して圧縮放射線画像情報とするデータ圧縮回路を有し、
前記記憶装置は、前記圧縮放射線画像情報が記憶されることを特徴とする放射線変換器。
【請求項2】
筐体と、該筐体内に収容され、被写体を透過した放射線源からの放射線を検出し、放射線画像情報に変換する放射線変換パネル及び電子回路を有する放射線変換器を有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線変換器の前記電子回路は、前記放射線画像情報をデータ圧縮して圧縮放射線画像情報とするデータ圧縮回路を有し、
前記放射線変換器の前記筐体に対して着脱自在に装着され、且つ、前記圧縮放射線画像情報が記憶される記憶装置と、
前記放射線変換器の前記筐体から取り外された前記記憶装置が装填され、前記記憶装置に記憶された前記圧縮放射線画像情報を表示する表示装置とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項3】
請求項2記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線変換器は、前記筐体内に、少なくとも前記放射線変換パネル及び電子回路に電力を供給するためのバッテリが収容され、
前記表示装置は、前記放射線変換器が装着されることで、少なくとも前記バッテリに対して充電を行うクレードルに設けられ、
前記クレードルは、前記記憶装置が着脱自在に装着されることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記表示装置は、使用者が所持する携帯情報端末に設けられ、
前記携帯情報端末は、前記記憶装置が着脱自在に装着されることを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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