説明

放射線画像情報読取装置及びその制御方法

【課題】カセッテに収納されて供給される放射線変換パネル、例えば、蓄積性蛍光体パネルの被曝を確実に回避することのできる放射線画像情報読取装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】カセッテ装填部38に蓄積性蛍光体パネルPを収納したカセッテ24が装填されているとき、蓄積性蛍光体パネルPをケーシング36内に移動させた後、撮影装置に撮影許可信号を出力し、撮影が終了した後、蓄積性蛍光体パネルPをカセッテ24に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線変換パネルに記録された放射線画像情報を読み取る放射線画像情報読取装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ある種の蛍光体に放射線(X線、α線、β線、γ線、紫外線、電子線等)を照射すると、この放射線のエネルギの一部が蛍光体に蓄積され、その後、その蛍光体に可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギに応じた輝尽発光光が出力される。
【0003】
このような蛍光体からなる蓄積性蛍光体パネルを利用し、撮影装置を用いて人体等の被写体の放射線画像情報を蓄積性蛍光体パネルに蓄積記録した後、読取装置を用いて、放射線画像情報が記録された蓄積性蛍光体パネルを励起光で走査し、得られる輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号に変換し、この画像信号を処理して診断適性に優れた画像を得る放射線画像情報処理システムが開発されている。
【0004】
この場合、放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体パネルは、蛍光体の励起光波長領域の光を含む消去光を照射し、残存する放射線画像情報を消去することにより、繰り返し使用することができる。
【0005】
そこで、被写体を介して放射線が照射される撮影台と、蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線画像情報を読み取る読取部と、蓄積性蛍光体パネルに消去光を照射することで消去処理を行う消去部とを循環搬送路で連結し、撮影台、読取部及び消去部間で蓄積性蛍光体パネルを循環搬送させて放射線画像情報を取得するようにした放射線画像情報記録読取装置が提案されている。
【0006】
ところで、このように撮影台を一体化した放射線画像情報記録読取装置では、内部に収納されている蓄積性蛍光体パネルとは別に、撮影台に外部から蓄積性蛍光体パネルを装着して撮影を行うことがある。この場合、撮影に係わらない内部の蓄積性蛍光体パネルが撮影台の近傍に移動していると、その蓄積性蛍光体パネルが被曝してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、特許文献1、2に開示された従来技術では、撮影台に蓄積性蛍光体パネルを装着して撮影を行う際、内部の蓄積性蛍光体パネルを所定の待避位置に移動させることで、被曝を回避するようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−256134号公報
【特許文献2】特開平4−153644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、いずれの従来技術の場合も、放射線画像情報記録読取装置に予め内蔵されている蓄積性蛍光体パネルを所定の待避位置に移動させるものであって、撮影装置とは独立に構成された読取装置に供給される蓄積性蛍光体パネルを所定の待避位置に移動させるものではない。
【0010】
撮影装置とは独立に構成された読取装置の場合、蓄積性蛍光体パネルを収納したカセッテが読取装置の装填部に装填された状態で、近傍に配設された撮影装置により撮影処理が行われると、カセッテ内の蓄積性蛍光体パネルが被曝してしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、カセッテに収納されて供給される放射線変換パネル、例えば、蓄積性蛍光体パネルの被曝を確実に回避することのできる放射線画像情報読取装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の放射線画像情報読取装置は、放射線画像情報が記録される放射線変換パネルを収納するカセッテが着脱自在に装填される装填部と、
前記放射線変換パネルに記録された前記放射線画像情報を読み取る読取部と、
前記カセッテと前記読取部との間で前記放射線変換パネルを搬送する搬送手段と、
被写体に放射線を照射することで前記放射線画像情報を前記放射線変換パネルに記録する撮影装置に連動して、前記装填部における前記放射線変換パネルの有無を判定する判定手段と、
を備え、前記カセッテは、一部が前記装填部から外部に突出した状態で装填されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の放射線画像情報読取装置の制御方法は、放射線変換パネルを収納するカセッテの一部が外部に突出した状態で装填され、前記カセッテから取り出された前記放射線変換パネルに記録された放射線画像情報を読み取る放射線画像情報読取装置の制御方法であって、
前記カセッテが装填される装填部における放射線変換パネルの有無を判定し、前記装填部に前記放射線変換パネルが有ると判定されたとき、放射線画像情報の撮影処理を禁止し、あるいは、前記放射線変換パネルを前記カセッテから取り出して当該放射線画像情報読取装置内の放射線を遮蔽する待避部に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の放射線画像情報読取装置及びその制御方法では、撮影装置に連動して、装填部における放射線画像情報の有無を判定することにより、装填部に放射線画像情報が有ると判定されたとき、放射線画像情報の撮影を禁止し、あるいは、撮影に先立って放射線変換パネルを放射線画像情報読取装置内に移動させることにより、放射線変換パネルを被曝されることのない良好な状態で保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の放射線画像情報読取装置及びその制御方法が適用される放射線画像形成システム10の構成を示す。放射線画像形成システム10は、台車12に載置された状態で病室等に搬送可能に構成される。
【0016】
台車12には、放射線画像情報を撮影するための撮影情報等を入力し、あるいは、外部から取得するためのディスプレイを備えたコンソール14と、コンソール14から供給された撮影情報に従ってX線源16を制御し、被写体18にX線20を照射するX線源制御装置22と、被写体18を透過したX線20が照射されることで放射線画像情報が記録される蓄積性蛍光体パネルP(放射線変換パネル)を収納したカセッテ24が装填され、前記蓄積性蛍光体パネルPから放射線画像情報を読み取る読取装置26と、蓄積性蛍光体パネルPから読み取られた放射線画像情報を外部に送信する一方、外部から必要な情報を取得する送受信機28と、コンソール14、X線源16、X線源制御装置22、読取装置26及び送受信機28に対して電力を供給するバッテリ27とが載置される。X線源16は、アーム部材29を介してX線源制御装置22に連結される。また、バッテリ27には、充電器31が接続されており、必要に応じてバッテリ27の充電を行うことができる。なお、X線源16、X線源制御装置22及び後述するX線照射スイッチ76は、撮影装置を構成する。
【0017】
図2は、読取装置26の内部構成を示す。ここで、読取装置26に装填されるカセッテ24は、開閉自在な蓋部材30を有するとともに、当該カセッテ24を識別するためのID情報が記録された図示しないバーコードが装着されている。
【0018】
読取装置26は、ケーシング36(遮蔽手段)の上部にカセッテ装填部38を備え、このカセッテ装填部38には、矢印方向にスライド自在な蓋部材40が配設される。放射線画像情報が記録された蓄積性蛍光体パネルPを収納したカセッテ24は、蓋部材30を下にした状態でカセッテ装填部38に装填される。なお、ケーシング36は、外部からのX線20の侵入を阻止すべく、鉛等の重金属を含む材料で形成される。
【0019】
カセッテ装填部38には、カセッテ24に装着されているバーコードを読み取るバーコードリーダ42と、カセッテ24の蓋部材30のロックを解除するロック解除機構46と、カセッテ24から蓄積性蛍光体パネルPを吸着して取り出す吸着盤48と、吸着盤48によって取り出された蓄積性蛍光体パネルPを挟持搬送するニップローラ50とが配設される。
【0020】
ニップローラ50に連設して、複数の搬送ローラ52a〜52g及び複数のガイド板54a〜54fが配設され、これらにより湾曲搬送路56(搬送手段)が構成される。搬送ローラ52c、52d間の湾曲搬送路56は、蓄積性蛍光体パネルPを搬送方向と直交する方向に幅寄せする幅寄せ部を構成する。湾曲搬送路56は、カセッテ装填部38から下方向に延在した後、最下部において略水平状態となり、次いで、略鉛直上方向に延在する。略鉛直上方向に延在する部位は、後搬送路を構成する。このように湾曲搬送路56を湾曲して構成することにより、読取装置26の小型化が達成される。
【0021】
なお、湾曲搬送路56の各位置は、X線源16を用いた撮影時において蓄積性蛍光体パネルPを待避させる待避部として機能する。また、湾曲搬送路56の所定部位には、搬送される蓄積性蛍光体パネルPを検出するセンサ55a〜55dが配設される。
【0022】
ニップローラ50と搬送ローラ52aとの間には、読取処理が終了した蓄積性蛍光体パネルPに残存する放射線画像情報を消去するための消去ユニット60(消去部)が配設される。消去ユニット60は、消去光を出力する冷陰極管からなる複数の消去光源62を有する。
【0023】
一方、湾曲搬送路56の最下部に配設される搬送ローラ52d、52e間には、プラテンローラ64が配設される。そして、プラテンローラ64の上部には、蓄積性蛍光体パネルPに蓄積記録された放射線画像情報を読み取る走査ユニット66(読取部)が配設される。
【0024】
走査ユニット66は、励起光であるレーザビームLBを導出して蓄積性蛍光体パネルPを搬送方向と直交する方向に走査する励起部68と、レーザビームLBによって励起されることで放出される放射線画像情報に係る輝尽発光光を集光する集光ガイド70と、集光ガイド70によって集光された輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライヤ72とを備える。なお、集光ガイド70の一端部には、輝尽発光光の集光効率を高めるための集光ミラー74が近接して配設される。
【0025】
図3は、放射線画像形成システム10の制御ブロックを示す。X線源制御装置22には、作業者の操作によってX線源16を駆動し、X線20を被写体18に照射するX線照射スイッチ76が接続される。
【0026】
読取装置26は、読取装置制御部80(撮影許可信号出力手段、判定手段)を有する。読取装置制御部80には、読取装置26の電源スイッチ82、カセッテ24を読取装置26から排出させるためのカセッテ排出ボタン88、カセッテ24のバーコードを読み取るバーコードリーダ42、走査ユニット66を制御する走査ユニット制御部84、消去ユニット60を制御する消去ユニット制御部86、及び、湾曲搬送路56を制御して蓄積性蛍光体パネルPを搬送するパネル搬送制御部90が接続される。読取装置制御部80は、蓄積性蛍光体パネルPを所定の待避部に移動させた後、X線源16による撮影を許可する撮影許可信号をX線源制御装置22に出力する。
【0027】
本実施形態の放射線画像形成システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作につき図4に示すフローチャートに従って説明する。
【0028】
先ず、作業者は、放射線画像形成システム10を台車12とともに被写体18の場所、例えば、病室まで移動させ、放射線画像形成システム10の電源を投入した後、撮影の準備を行う。
【0029】
作業者は、コンソール14を操作して、被写体18の名前、撮影方法等の撮影情報を入力し、あるいは、送受信機28を介して外部から撮影情報を取得するとともに、被写体18の放射線画像情報を記録するカセッテ24を選択し、カセッテ24に装着されているバーコードを読み取ることで、カセッテ24のID情報を取得する。このようにして、撮影情報及びカセッテ24のID情報が設定され、撮影準備が完了すると、X線源制御装置22は、読取装置26の読取装置制御部80に撮影準備完了信号を出力する。
【0030】
読取装置制御部80は、X線源制御装置22から撮影準備完了信号が入力されると(ステップS1)、読取装置26のカセッテ装填部38に蓄積性蛍光体パネルPを収納したカセッテ24が装填されているか否かを確認する(ステップS2)。なお、カセッテ24の有無は、例えば、カセッテ装填部38に配設されているバーコードリーダ42がカセッテ24のバーコードを読み取ることができるか否かによって判定することができる。
【0031】
カセッテ装填部38にカセッテ24が装填されていると判定された場合、カセッテ24内に蓄積性蛍光体パネルPが収納されているか否かを確認する(ステップS3)。この場合、本実施形態の読取装置26では、カセッテ装填部38に装填されたカセッテ24から1枚の蓄積性蛍光体パネルPのみがケーシング36の内部に供給されて処理されるものとする。従って、例えば、パネル搬送制御部90が湾曲搬送路56を制御しておらず、あるいは、湾曲搬送路56の所定部位に配設されたセンサ55a〜55dが蓄積性蛍光体パネルPを検出していない場合、蓄積性蛍光体パネルPがカセッテ24内に収納されていると判定することができる。
【0032】
カセッテ24内に蓄積性蛍光体パネルPが収納されていると判定された場合、ケーシング36から一部が露出するカセッテ24内の蓄積性蛍光体パネルPが被曝するおそれがあるため、読取装置制御部80は、カセッテ24から蓄積性蛍光体パネルPを取り出してケーシング36内の所定の待避部に移動させ待避させる(ステップS4)。
【0033】
なお、カセッテ24内に蓄積性蛍光体パネルPが収納されているか否かを判定するための検出処理は、例えば、作業者がコンソール14を操作して撮影情報を設定する撮影準備を行う際、あるいは、作業者の操作によってX線源制御装置22から撮影準備完了信号が出力される際に実行することにより、必要のない検出処理、あるいは、無用な蓄積性蛍光体パネルPの待避部への移動処理を回避することができる。
【0034】
そこで、カセッテ装填部38に配設されたロック解除機構46が蓋部材30のロックを解除し、蓋部材30が開蓋された後、吸着盤48により蓄積性蛍光体パネルPが吸着されてカセッテ24から取り出され、ニップローラ50に供給される。ニップローラ50は、蓄積性蛍光体パネルPを挟持して湾曲搬送路56に供給する。湾曲搬送路56を構成する搬送ローラ52a〜52gは、蓄積性蛍光体パネルPを所定の待避部まで搬送した後、そこで待機させる。
【0035】
ここで、ケーシング36は、X線20を遮蔽する材料で形成されているため、湾曲搬送路56のどの部位を待避部としてもよいが、X線源16から最も離間するガイド板54fの近傍を待避部として蓄積性蛍光体パネルPを搬送することにより、被曝の影響を可能な限り少なくすることができる。また、蓄積性蛍光体パネルPを待避させる待避部近傍のみを放射線遮蔽材料で形成することにより、必要最小限のコストで蓄積性蛍光体パネルPをX線20の被曝から保護することができる。なお、消去ユニット60を構成する消去光源62が蛍光灯である場合、X線20の影響で蛍光が発生するおそれがあるため、消去ユニット60の近傍を回避して待機させることが望ましい。
【0036】
一方、カセッテ装填部38にカセッテ24が装填されていない場合(ステップS2)、あるいは、カセッテ24内に蓄積性蛍光体パネルPが収納されておらず、湾曲搬送路56に配設された何れかのセンサ55a〜dが蓄積性蛍光体パネルPを検出している場合には(ステップS3)、少なくともカセッテ装填部38に蓄積性蛍光体パネルPが存在しないため、蓄積性蛍光体パネルPを待避部に移動させる処理は不要である。なお、蓄積性蛍光体パネルPが読取装置26のケーシング36内にある場合には、その蓄積性蛍光体パネルPをガイド板54f近傍の最適な待避部まで搬送するようにしてもよい。
【0037】
蓄積性蛍光体パネルPがケーシング36内の所定の待避部に待避しており、あるいは、カセッテ装填部38に蓄積性蛍光体パネルPが存在しない場合、読取装置制御部80は、X線源制御装置22に対して撮影許可信号を出力する(ステップS5)。
【0038】
X線源制御装置22は、撮影許可信号が入力された後、作業者によるX線照射スイッチ76からショット信号が入力されると、X線源16を駆動して放射線画像情報の撮影を行う(ステップS6)。X線源16から出力されたX線20は、被写体18を透過し、カセッテ24に収納された蓄積性蛍光体パネルPに照射されて放射線画像情報が蓄積記録される。撮影が終了すると、X線源制御装置22は、撮影終了信号を読取装置制御部80に出力する。
【0039】
読取装置制御部80は、X線源制御装置22から撮影終了信号が入力された後(ステップS7)、作業者がカセッテ排出ボタン88を操作することでカセッテ24の排出指示がなされると(ステップS8)、パネル搬送制御部90により湾曲搬送路56を制御し、ケーシング36内に待機している蓄積性蛍光体パネルPを搬送してカセッテ24に収納した後(ステップS9)、蓋部材30を閉蓋してカセッテ装填部38に対するカセッテ24のロック状態を解除する(ステップS10)。従って、作業者は、蓄積性蛍光体パネルPを収納したカセッテ24をカセッテ装填部38から抜き取ることができる。
【0040】
次に、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体パネルPを収納したカセッテ24を読取装置26に装填し、読取処理を行う場合について説明する。
【0041】
カセッテ24がカセッテ装填部38に装填されると、バーコードリーダ42がカセッテ24に装着されているバーコードを読み取ってカセッテ24のID情報を取得した後、ロック解除機構46により蓋部材30のロックが解除されて開蓋される。次いで、吸着盤48によってカセッテ24内の蓄積性蛍光体パネルPが吸着されて取り出され、ニップローラ50により湾曲搬送路56に供給される。湾曲搬送路56を構成する搬送ローラ52a〜52gは、蓄積性蛍光体パネルPを搬送する。
【0042】
蓄積性蛍光体パネルPが搬送ローラ52d、52e間を副走査搬送されるとともに、励起部68からのレーザビームLBが蓄積性蛍光体パネルPを主走査することにより、放射線画像情報の読み取りが行われる。すなわち、励起部68から出力されたレーザビームLBが蓄積性蛍光体パネルPに照射されると、蓄積性蛍光体パネルPから放射線画像情報に対応した輝尽発光光が出力される。この輝尽発光光は、集光ガイド70を介してフォトマルチプライヤ72に導かれ、電気信号としての放射線画像情報に変換される。読み取られた放射線画像情報は、カセッテ24のID情報とともに図示しない記憶手段に記憶され、あるいは、コンソール14を介して送受信機28から外部に送信される。
【0043】
放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体パネルPは、一旦ガイド板54f側まで搬送された後、再び走査ユニット66の下部を介してカセッテ装填部38側に戻される。カセッテ装填部38側に戻された蓄積性蛍光体パネルPは、ニップローラ50、搬送ローラ52a間に配設されている消去ユニット60を構成する消去光源62から出力される消去光により、蓄積性蛍光体パネルPに残存する放射線画像情報が除去される。
【0044】
残存する放射線画像情報の消去処理が終了した蓄積性蛍光体パネルPは、ニップローラ50及び吸着盤48を用いてカセッテ24に収納されて蓋部材30が閉蓋された後、カセッテ排出ボタン88が操作されることでカセッテ装填部38から抜き取られ、次の撮影に使用される。
【0045】
なお、放射線画像情報の撮影を行う間には、放射線画像情報の読取処理又は消去処理を行わないことが望ましい。X線20の影響により、読み取られた放射線画像情報にノイズが混入し、あるいは、消去むらが惹起するおそれがあるためである。
【0046】
また、カセッテ排出ボタン88が操作されたとき、カセッテ24に収納されている蓄積性蛍光体パネルPを一旦消去ユニット60まで戻し、消去処理を再度行ってからカセッテ24を抜き取り可能な状態とすれば、カセッテ24がカセッテ装填部38に放置されている間に被曝した場合であっても、確実に消去処理を行って良好な状態の蓄積性蛍光体パネルPを再使用することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0048】
例えば、放射線画像形成システム10を構成する読取装置26には、撮影装置を構成するX線源16が連結されているが、撮影装置とは独立に構成されて撮影室内に配置されている読取装置に対しても本発明を適用することができる。また、蓄積性蛍光体パネルPに代えて、例えば、半導体素子を利用した他の形態からなる放射線変換パネルを読取装置26に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態の放射線画像形成システムの構成図である。
【図2】読取装置の内部構成図である。
【図3】放射線画像形成システムの制御ブロック図である。
【図4】読取装置の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10…放射線画像形成システム 12…台車
14…コンソール 16…X線源
18…被写体 20…X線
22…X線源制御装置 24…カセッテ
26…読取装置 27…バッテリ
28…送受信機 60…消去ユニット
66…走査ユニット 76…X線照射スイッチ
80…読取装置制御部 82…電源スイッチ
84…走査ユニット制御部 86…消去ユニット制御部
88…カセッテ排出ボタン 90…パネル搬送制御部
P…蓄積性蛍光体パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像情報が記録される放射線変換パネルを収納するカセッテが着脱自在に装填される装填部と、
前記放射線変換パネルに記録された前記放射線画像情報を読み取る読取部と、
前記カセッテと前記読取部との間で前記放射線変換パネルを搬送する搬送手段と、
被写体に放射線を照射することで前記放射線画像情報を前記放射線変換パネルに記録する撮影装置に連動して、前記装填部における前記放射線変換パネルの有無を判定する判定手段と、
を備え、前記カセッテは、一部が前記装填部から外部に突出した状態で装填されることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記放射線変換パネルを待避させる待避部と、
前記待避部を放射線に対して遮蔽状態とする遮蔽手段と、
を備え、前記判定手段により前記放射線変換パネルが前記装填部に有ると判定されたとき、前記搬送手段を制御し、前記放射線変換パネルを前記装填部から前記待避部に移動させることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記放射線変換パネルに記録された前記放射線画像情報を消去する消去部を備え、前記搬送手段は、前記放射線変換パネルを前記消去部に搬送することを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項4】
請求項2記載の装置において、
前記遮蔽手段は、当該放射線画像情報読取装置を構成するケーシングであり、前記待避部は、前記ケーシング内に配置されることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項5】
請求項2記載の装置において、
前記放射線変換パネルを前記待避部に移動させた後、前記放射線変換パネルの撮影を許可する撮影許可信号を前記撮影装置に出力する撮影許可信号出力手段を備えることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記判定手段は、前記撮影装置による撮影を行う際に、前記放射線変換パネルの有無を判定する処理を行うことを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置において、
当該放射線画像情報読取装置には、前記撮影装置が併設され、前記放射線画像情報読取装置及び前記撮影装置が台車に載置されて搬送可能に構成されることを特徴とする放射線画像情報読取装置。
【請求項8】
放射線変換パネルを収納するカセッテの一部が外部に突出した状態で装填され、前記カセッテから取り出された前記放射線変換パネルに記録された放射線画像情報を読み取る放射線画像情報読取装置の制御方法であって、
前記カセッテが装填される装填部における放射線変換パネルの有無を判定し、前記装填部に前記放射線変換パネルが有ると判定されたとき、放射線画像情報の撮影処理を禁止し、あるいは、前記放射線変換パネルを前記カセッテから取り出して当該放射線画像情報読取装置内の放射線を遮蔽する待避部に移動させることを特徴とする放射線画像情報読取装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記放射線変換パネルを前記待避部に移動させた後、前記放射線変換パネルの撮影を許可する撮影許可信号を出力することを特徴とする放射線画像情報読取装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−90220(P2008−90220A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273896(P2006−273896)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】