放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラム
【課題】消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することのできる放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムを得る。
【解決手段】電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８により、撮影者による、電子カセッテ４０に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出し、被検者のポジショニングが完了したことが検出された場合、電子カセッテ４０を、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードへ移行させるように制御する。
【解決手段】電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８により、撮影者による、電子カセッテ４０に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出し、被検者のポジショニングが完了したことが検出された場合、電子カセッテ４０を、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードへ移行させるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムに係り、特に、撮影対象部位を透過した放射線により示される放射線画像を撮影する放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、ＴＦＴ（Thin Film Transistor）アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるＦＰＤ（Flat Panel Detector）等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が実用化されている。なお、この放射線画像撮影装置に用いられる放射線検出器には、放射線を変換する方式として、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式や、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【０００３】
ところで、上記のような放射線検出器では、ノイズの一因となる暗電流が存在するため、撮像時間をむやみに長くすることはできない。このため、従来の放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置では、放射線を照射する放射線照射装置との間で各種の信号の送受信を行い、放射線照射装置から放射線を照射する照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作とを同期させていた。
【０００４】
しかしながら、このように放射線照射装置による放射線の照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作との同期を必要とした場合、放射線照射装置と放射線画像撮影装置とを１つの一体化したシステムとして構築する必要があり、既存の放射線照射装置と組み合わせてシステムを構築しようとした場合、放射線照射装置側にも同期をとるための修正が必要となる。
【０００５】
そこで、放射線照射装置による放射線の照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作との同期を必要とせずに放射線画像の撮影を可能とするために適用することのできる技術として、特許文献１には、バイアス電流に基づいて放射線の照射開始を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０１０−２６４１８１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記特許文献１に開示されている技術では、放射線の照射開始を検出して撮影を行うためには放射線の照射の検出を常時行う必要があり、この場合、電力消費が大きくなってしまう、という問題点があった。特に、放射線検出器を内蔵し、バッテリで生成された電力により放射線画像の撮影を行う可搬型の放射線画像撮影装置（以下、「電子カセッテ」ともいう。）では電力消費が大きくなると駆動可能な時間が短くなってしまう。
【０００８】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することのできる放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、請求項１に記載の放射線画像撮影システムは、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を有する。
【００１０】
請求項１記載の放射線画像撮影システムによれば、検出手段により、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かが検出される。
【００１１】
ここで、本発明では、制御手段により、前記検出手段によって前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００１２】
このように、請求項１に記載の放射線画像撮影システムによれば、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１３】
なお、本発明は、請求項２に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置とは異なる装置、または前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置との組み合わせにより、前記ポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出してもよい。これにより、システムを構築する上での自由度を向上させることができる。
【００１４】
また、請求項２に記載の発明は、請求項３に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤ（Radio Frequency Identification）タグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置を含み、前記通信装置によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項４に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサにより前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項５に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサにより検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、特に、請求項５に記載の発明は、請求項６に記載の発明のように、前記人感センサが、前記撮影室の床面に設けられ、人の重量を検出する重量センサであるものとしてもよい。これらにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１５】
なお、上記ＲＦＩＤタグは、ＩＣタグ、無線タグ、ＩＤタグ、電磁誘導タグ等と呼ばれることもあるが、本明細書では、これらを総称してＲＦＩＤタグという。
【００１６】
また、請求項１に記載の発明は、請求項７に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよく、特に、請求項７に記載の発明は、請求項８に記載の発明のように、前記検出手段が、前記制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよい。これらによっても、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１７】
また、請求項１に記載の発明は、請求項９に記載の発明のように、前記検出手段が、予め定められた位置に設けられたスイッチを含み、前記スイッチが操作されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよく、さらに、請求項９に記載の発明は、請求項１０に記載の発明のように、前記スイッチが、表示手段によって表示されるソフトウェア・スイッチであるものとしてもよい。これらにより、容易な操作により、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１８】
一方、上記目的を達成するために、請求項１１に記載の放射線画像撮影装置は、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器と、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を備えている。
【００１９】
請求項１１記載の放射線画像撮影装置によれば、検出手段により、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かが検出され、制御手段により、前記検出手段によって前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００２０】
このように、請求項１１に記載の発明によれば、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２１】
一方、上記目的を達成するために、請求項１２に記載のプログラムは、コンピュータを、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、として機能させるためのものである。
【００２２】
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項１に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項１に記載の発明と同様に、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２３】
一方、上記目的を達成するために、請求項１３記載の放射線画像撮影システムは、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を有する。
【００２４】
請求項１３記載の放射線画像撮影システムによれば、受付手段により、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられる。
【００２５】
ここで、本発明では、制御手段により、前記受付手段によって前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００２６】
このように、請求項１３に記載の放射線画像撮影システムによれば、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２７】
なお、請求項１３に記載の発明は、請求項１４に記載の発明のように、前記制御手段が、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御してもよい。これにより、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【００２８】
特に、請求項１４に記載の発明は、請求項１５に記載の発明のように、撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出する第１検出手段をさらに備え、前記予め定められた処理が、前記第１検出手段により前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理であるものとしてもよい。これにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２９】
特に、請求項１５に記載の発明は、請求項１６に記載の発明のように、前記第１検出手段が、前記撮影者が前記被検者から予め定められた距離以上離れたことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項１７に記載の発明のように、前記第１検出手段が、前記放射線画像撮影装置の振動が予め定められた範囲内となったことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよい。
【００３０】
また、請求項１４から請求項１７の何れか１項記載の発明は、請求項１８に記載の発明のように、撮影者による撮影準備が完了したか否かを検出する第２検出手段をさらに備え、前記予め定められた処理は、前記第２検出手段により前記撮影準備が完了したことを検出する処理であるものとしてもよい。これにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００３１】
特に、請求項１８に記載の発明は、請求項１９に記載の発明のように、前記第２検出手段が、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよい。
【００３２】
さらに、請求項１３から請求項１９の何れか１項記載の発明は、請求項２０に記載の発明のように、前記受付手段により前記指示入力を受け付けることを報知する報知手段をさらに有してもよい。これにより、撮影者に対して指示入力を受け付けることを容易に把握させることができる結果、より利便性を向上させることができる。
【００３３】
一方、上記目的を達成するために、請求項２１に記載のプログラムは、コンピュータを、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、として機能させるためのものである。
【００３４】
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項１３に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項１３に記載の発明と同様に、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００３５】
なお、請求項２１に記載の発明は、請求項２２に記載の発明のように、前記制御手段が、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御してもよい。これにより、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【発明の効果】
【００３６】
第１の発明によれば、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる、という効果が得られる。
【００３７】
また、第２の発明によれば、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。
【図２】実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例を示す側面図である。
【図３】実施の形態に係る放射線検出器の３画素部分の概略構成を示す断面模式図である。
【図４】実施の形態に係る放射線検出器の１画素部分の信号出力部の構成を概略的に示した断面側面図である。
【図５】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す平面図である。
【図６】実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図７】実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す断面側面図である。
【図８】第１の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図９】第１の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１０】実施の形態に係る初期情報入力画面の一例を示す概略図である。
【図１１】第１の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１２】放射線画像の表面読取方式と裏面読取方式を説明するための断面側面図である。
【図１３】第２の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図１４】第２の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１５】第２の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１６】第３の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図１７】第３の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１８】第４の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１９】第５の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図２０】第５の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２１】第５の実施の形態に係る照射検出撮影モード移行指示画面の一例を示す概略図である。
【図２２】第５の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２３】第６の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２４】第６の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２５】第７の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２６】第８の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２７】第９の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図２８】第９の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２９】実施の形態に係るソフトウェア・スイッチの構成例を示す概略図である。
【図３０】実施の形態に係る電子カセッテの他の構成例を示す斜視図である。
【図３１】実施の形態に係る放射線検出器の他の形態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、病院における放射線科部門で取り扱われる情報を統括的に管理するシステムである放射線情報システムに適用した場合の形態例について説明する。
【００４０】
［第１の実施の形態］
まず、図１を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム（以下、「ＲＩＳ」（Radiology Information System）という。）１００の構成について説明する。
【００４１】
ＲＩＳ１００は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム（以下、「ＨＩＳ」（Hospital Information System）という。）の一部を構成する。
【００４２】
ＲＩＳ１００は、複数台の撮影依頼端末装置（以下、「端末装置」という。）１４０、ＲＩＳサーバ１５０、および病院内の放射線撮影室（あるいは手術室）の個々に設置された放射線画像撮影システム（以下、「撮影システム」という。）１０４を有しており、これらが有線や無線のＬＡＮ（Local Area Network）等から成る病院内ネットワーク１０２に各々接続されて構成されている。なお、ＲＩＳ１００は、同じ病院内に設けられたＨＩＳの一部を構成しており、病院内ネットワーク１０２には、ＨＩＳ全体を管理するＨＩＳサーバ（図示省略。）も接続されている。
【００４３】
端末装置１４０は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置１４０を介して行われる。各端末装置１４０は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、ＲＩＳサーバ１５０と病院内ネットワーク１０２を介して相互通信が可能とされている。
【００４４】
一方、ＲＩＳサーバ１５０は、各端末装置１４０からの撮影依頼を受け付け、撮影システム１０４における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース１５０Ａを含んで構成されている。
【００４５】
データベース１５０Ａは、患者（被検者）の属性情報（氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ＩＤ（Identification）等）、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報、撮影システム１０４で用いられる、後述する電子カセッテ４０の識別番号（ＩＤ情報）、型式、サイズ、感度、使用開始年月日、使用回数等の電子カセッテ４０に関する情報、および電子カセッテ４０を用いて放射線画像を撮影する環境、すなわち、電子カセッテ４０を使用する環境（一例として、放射線撮影室や手術室等）を示す環境情報を含んで構成されている。
【００４６】
撮影システム１０４は、ＲＩＳサーバ１５０からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム１０４は、放射線源１２１（図２も参照。）から曝射条件に従った線量とされた放射線Ｘ（図６も参照。）を被検者に照射する放射線発生装置１２０と、被検者の撮影対象部位を透過した放射線Ｘを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器２０（図６も参照。）を内蔵する電子カセッテ４０と、電子カセッテ４０に内蔵されているバッテリを充電するクレードル１３０と、電子カセッテ４０および放射線発生装置１２０を制御するコンソール１１０と、を備えている。
【００４７】
コンソール１１０は、ＲＩＳサーバ１５０からデータベース１５０Ａに含まれる各種情報を取得して後述するＨＤＤ１１６（図８参照。）に記憶し、必要に応じて当該情報を用いて、電子カセッテ４０および放射線発生装置１２０の制御を行う。
【００４８】
図２には、本実施の形態に係る撮影システム１０４の放射線撮影室１８０における各装置の配置状態の一例が示されている。
【００４９】
同図に示すように、放射線撮影室１８０には、立位での放射線撮影を行う際に用いられる立位台１６０と、臥位での放射線撮影を行う際に用いられる臥位台１６４とが設置されており、立位台１６０の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置１７０とされ、臥位台１６４の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置１７２とされている。
【００５０】
立位台１６０には電子カセッテ４０を保持する保持部１６２が設けられており、立位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ４０が保持部１６２に保持される。同様に、臥位台１６４には電子カセッテ４０を保持する保持部１６６が設けられており、臥位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ４０が保持部１６６に保持される。
【００５１】
また、放射線撮影室１８０には、単一の放射線源１２１からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源１２１を、水平な軸回り（図２の矢印ａ方向）に回動可能で、鉛直方向（図２の矢印ｂ方向）に移動可能で、さらに水平方向（図２の矢印ｃ方向）に移動可能に支持する支持移動機構１２４が設けられている。ここで、支持移動機構１２４は、放射線源１２１を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源１２１を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源１２１を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている（何れも図示省略。）。
【００５２】
一方、クレードル１３０には、電子カセッテ４０を収納可能な収容部１３０Ａが形成されている。
【００５３】
電子カセッテ４０は、未使用時にはクレードル１３０の収容部１３０Ａに収納された状態で内蔵されているバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時には放射線技師等によってクレードル１３０から取り出され、撮影姿勢が立位であれば立位台１６０の保持部１６２に保持され、撮影姿勢が臥位であれば臥位台１６４の保持部１６６に保持される。
【００５４】
ここで、本実施の形態に係る撮影システム１０４では、放射線発生装置１２０とコンソール１１０との間、および電子カセッテ４０とコンソール１１０との間で、無線通信によって各種情報の送受信を行う。
【００５５】
なお、電子カセッテ４０は、立位台１６０の保持部１６２や臥位台１６４の保持部１６６で保持された状態のみで使用されるものではなく、その可搬性から、腕部，脚部等を撮影する際には、保持部に保持されていない状態で使用することもできる。
【００５６】
次に、本実施の形態に係る放射線検出器２０の構成について説明する。図３は、本実施の形態に係る放射線検出器２０の３画素部分の構成を概略的に示す断面模式図である。
【００５７】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、絶縁性の基板１上に、信号出力部１４、センサ部１３、およびシンチレータ８が順次積層しており、信号出力部１４、センサ部１３により画素が構成されている。画素は、基板１上に複数配列されており、各画素における信号出力部１４とセンサ部１３とが重なりを有するように構成されている。
【００５８】
シンチレータ８は、センサ部１３上に透明絶縁膜７を介して形成されており、上方（基板１の反対側）または下方から入射してくる放射線を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。このようなシンチレータ８を設けることで、被写体を透過した放射線を吸収して発光することになる。
【００５９】
シンチレータ８が発する光の波長域は、可視光域（波長３６０ｎｍ〜８３０ｎｍ）であることが好ましく、この放射線検出器２０によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
【００６０】
シンチレータ８に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線としてＸ線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム（ＣｓＩ）を含むものが好ましく、Ｘ線照射時の発光スペクトルが４２０ｎｍ〜６００ｎｍにあるＣｓＩ（Ｔｌ）（タリウムが添加されたヨウ化セシウム）を用いることが特に好ましい。なお、ＣｓＩ（Ｔｌ）の可視光域における発光ピーク波長は５６５ｎｍである。
【００６１】
センサ部１３は、上部電極６、下部電極２、および当該上下の電極間に配置された光電変換膜４を有し、光電変換膜４は、シンチレータ８が発する光を吸収して電荷が発生する有機光電変換材料により構成されている。
【００６２】
上部電極６は、シンチレータ８により生じた光を光電変換膜４に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ８の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物（TCO;Transparent Conducting Oxide）を用いることが好ましい。なお、上部電極６としてＡｕなどの金属薄膜を用いることもできるが、透過率を９０％以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、ＴＣＯの方が好ましい。例えば、ＩＴＯ、ＩＺＯ、ＡＺＯ、ＦＴＯ、ＳｎＯ２、ＴｉＯ２、ＺｎＯ２等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはＩＴＯが最も好ましい。なお、上部電極６は、全画素で共通の一枚構成としてもよく、画素毎に分割してもよい。
【００６３】
光電変換膜４は、有機光電変換材料を含み、シンチレータ８から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含む光電変換膜４であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ８による発光以外の電磁波が光電変換膜４に吸収されることがほとんどなく、Ｘ線等の放射線が光電変換膜４で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【００６４】
光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、シンチレータ８で発光した光を最も効率よく吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ８の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ８の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ８から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ８の放射線に対する発光ピーク波長との差が、１０ｎｍ以内であることが好ましく、５ｎｍ以内であることがより好ましい。
【００６５】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物およびフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は５６０ｎｍであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ８の材料としてＣｓＩ（Ｔｌ）を用いれば、上記ピーク波長の差を５ｎｍ以内にすることが可能となり、光電変換膜４で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【００６６】
次に、本実施の形態に係る放射線検出器２０に適用可能な光電変換膜４について具体的に説明する。
【００６７】
本実施の形態に係る放射線検出器２０における電磁波吸収／光電変換部位は、１対の電極２，６と、当該電極２，６間に挟まれた有機光電変換膜４を含む有機層により構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、および層間接触改良部位等の積み重ね、もしくは混合により形成することができる。
【００６８】
上記有機層は、有機ｐ型化合物または有機ｎ型化合物を含有することが好ましい。
【００６９】
有機ｐ型半導体（化合物）は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体（化合物）であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは２つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【００７０】
有機ｎ型半導体（化合物）は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体（化合物）であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、２つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【００７１】
この有機ｐ型半導体および有機ｎ型半導体として適用可能な材料、および光電変換膜４の構成については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。なお、光電変換膜４は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【００７２】
光電変換膜４の厚みは、シンチレータ８からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜４の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜４に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、３０ｎｍ以上３００ｎｍ以下が好ましく、より好ましくは、５０ｎｍ以上２５０ｎｍ以下、特に好ましくは８０ｎｍ以上２００ｎｍ以下である。
【００７３】
なお、図３に示す放射線検出器２０では、光電変換膜４は、全画素で共通の一枚構成であるが、画素毎に分割してもよい。
【００７４】
下部電極２は、画素毎に分割された薄膜とする。下部電極２は、透明または不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。
【００７５】
下部電極２の厚みは、例えば、３０ｎｍ以上３００ｎｍ以下とすることができる。
【００７６】
センサ部１３では、上部電極６と下部電極２の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜４で発生した電荷（正孔、電子）のうちの一方を上部電極６に移動させ、他方を下部電極２に移動させることができる。本実施の形態の放射線検出器２０では、上部電極６に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極６に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜４で発生した電子が上部電極６に移動し、正孔が下部電極２に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であってもよい。
【００７７】
各画素を構成するセンサ部１３は、少なくとも下部電極２、光電変換膜４、および上部電極６を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜３および正孔ブロッキング膜５の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【００７８】
電子ブロッキング膜３は、下部電極２と光電変換膜４との間に設けることができ、下部電極２と上部電極６間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極２から光電変換膜４に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【００７９】
電子ブロッキング膜３には、電子供与性有機材料を用いることができる。
【００８０】
実際に電子ブロッキング膜３に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜４の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数（Ｗｆ）より１．３ｅＶ以上電子親和力（Ｅａ）が大きく、かつ、隣接する光電変換膜４の材料のイオン化ポテンシャル（Ｉｐ）と同等のＩｐもしくはそれより小さいＩｐを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
【００８１】
電子ブロッキング膜３の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部１３の光電変換効率の低下を防ぐため、１０ｎｍ以上２００ｎｍ以下が好ましく、さらに好ましくは３０ｎｍ以上１５０ｎｍ以下、特に好ましくは５０ｎｍ以上１００ｎｍ以下である。
【００８２】
正孔ブロッキング膜５は、光電変換膜４と上部電極６との間に設けることができ、下部電極２と上部電極６間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極６から光電変換膜４に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【００８３】
正孔ブロッキング膜５には、電子受容性有機材料を用いることができる。
【００８４】
正孔ブロッキング膜５の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部１３の光電変換効率の低下を防ぐため、１０ｎｍ以上２００ｎｍ以下が好ましく、さらに好ましくは３０ｎｍ以上１５０ｎｍ以下、特に好ましくは５０ｎｍ以上１００ｎｍ以下である。
【００８５】
実際に正孔ブロッキング膜５に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜４の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数（Ｗｆ）より１．３ｅＶ以上イオン化ポテンシャル（Ｉｐ）が大きく、かつ、隣接する光電変換膜４の材料の電子親和力（Ｅａ）と同等のＥａもしくはそれより大きいＥａを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
【００８６】
なお、光電変換膜４で発生した電荷のうち、正孔が上部電極６に移動し、電子が下部電極２に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜３と正孔ブロッキング膜５の位置を逆にすればよい。また、電子ブロッキング膜３と正孔ブロッキング膜５は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【００８７】
各画素の下部電極２下方の基板１の表面には信号出力部１４が形成されている。図４には、信号出力部１４の構成が概略的に示されている。
【００８８】
同図に示すように、本実施の形態に係る信号出力部１４は、下部電極２に対応して、下部電極２に移動した電荷を蓄積するコンデンサ９と、コンデンサ９に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する電界効果型薄膜トランジスタ（Thin Film Transistor、以下、単に薄膜トランジスタという場合がある。）１０が形成されている。コンデンサ９および薄膜トランジスタ１０の形成された領域は、平面視において下部電極２と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素における信号出力部１４とセンサ部１３とが厚さ方向で重なりを有することとなる。なお、放射線検出器２０（画素）の平面積を最小にするために、コンデンサ９および薄膜トランジスタ１０の形成された領域が下部電極２によって完全に覆われていることが望ましい。
【００８９】
コンデンサ９は、基板１と下部電極２との間に設けられた絶縁膜１１を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極２と電気的に接続されている。これにより、下部電極２で捕集された電荷をコンデンサ９に移動させることができる。
【００９０】
薄膜トランジスタ１０は、ゲート電極１５、ゲート絶縁膜１６、および活性層（チャネル層）１７が積層され、さらに、活性層１７上にソース電極１８とドレイン電極１９が所定の間隔を開けて形成されている。
【００９１】
活性層１７は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブなどにより形成することができる。なお、活性層１７を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【００９２】
活性層１７を構成する非晶質酸化物としては、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎのうちの少なくとも１つを含む酸化物（例えばＩｎ−Ｏ系）が好ましく、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎのうちの少なくとも２つを含む酸化物（例えばＩｎ−Ｚｎ−Ｏ系、Ｉｎ−Ｇａ−Ｏ系、Ｇａ−Ｚｎ−Ｏ系）がより好ましく、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎを含む酸化物が特に好ましい。Ｉｎ−Ｇａ−Ｚｎ−Ｏ系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がＩｎＧａＯ３（ＺｎＯ）ｍ（ｍは６未満の自然数）で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、ＩｎＧａＺｎＯ４がより好ましい。
【００９３】
活性層１７を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開２００９−２１２３８９号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【００９４】
薄膜トランジスタ１０の活性層１７を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、Ｘ線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部１４におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【００９５】
また、活性層１７をカーボンナノチューブで形成した場合、薄膜トランジスタ１０のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低い薄膜トランジスタ１０を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層１７を形成する場合、活性層１７に極微量の金属性不純物を混入するだけで、薄膜トランジスタ１０の性能は著しく低下するため、遠心分離などにより極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【００９６】
ここで、薄膜トランジスタ１０の活性層１７を構成する非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板１としては、半導体基板、石英基板、およびガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板や、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ（クロロトリフルオロエチレン）等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【００９７】
また、基板１には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【００９８】
一方、アラミドは、２００度以上の高温プロセスを適用できるために透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバＩＣの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ＩＴＯ（Indium Tin Oxide）やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板を形成してもよい。
【００９９】
また、バイオナノファイバは、バクテリア（酢酸菌、Acetobacter Xylinum）が産出するセルロースミクロフィブリル束（バクテリアセルロース）と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅５０ｎｍと可視光波長に対して１／１０のサイズで、かつ高強度、高弾性、低熱膨張である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を６０〜７０％も含有しながら、波長５００ｎｍで約９０％の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数（３〜７ｐｐｍ）を有し、鋼鉄並の強度（４６０ＭＰａ）、高弾性（３０ＧＰａ）で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板１を形成できる。
【０１００】
本実施の形態では、基板１上に、信号出力部１４、センサ部１３、透明絶縁膜７を順に形成することによりＴＦＴ基板３０を形成し、当該ＴＦＴ基板３０上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ８を貼り付けることにより放射線検出器２０を形成している。
【０１０１】
図５に示すように、ＴＦＴ基板３０には、上述したセンサ部１３、コンデンサ９、および薄膜トランジスタ１０を含んで構成される画素３２が一定方向（図５の行方向）、および当該一定方向に対する交差方向（図５の列方向）に２次元状に複数設けられている。
【０１０２】
また、放射線検出器２０には、上記一定方向（行方向）に延設され、各薄膜トランジスタ１０をオン・オフさせるための複数本のゲート配線３４と、上記交差方向（列方向）に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ１０を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線３６と、が設けられている。
【０１０３】
放射線検出器２０は、平板状で、かつ平面視において外縁に４辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
【０１０４】
ここで、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、画素３２の一部が放射線の照射状態を検出するために用いられており、残りの画素３２によって放射線画像の撮影を行う。なお、以下では、放射線の照射状態を検出するための画素３２を放射線検出用画素３２Ａといい、残りの画素３２を放射線画像取得用画素３２Ｂという。
【０１０５】
本実施の形態に係る放射線検出器２０では、画素３２における放射線検出用画素３２Ａを除いた放射線画像取得用画素３２Ｂにより放射線画像の撮影を行うため、放射線検出用画素３２Ａの配置位置における放射線画像の画素情報を得ることができない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、放射線検出用画素３２Ａを分散するように配置する一方、コンソール１１０により、放射線検出用画素３２Ａの配置位置における放射線画像の画素情報を、当該放射線検出用画素３２Ａの周囲に位置する放射線画像取得用画素３２Ｂにより得られた画素情報を用いて補間することにより生成する欠陥画素補正処理を実行する。
【０１０６】
そして、放射線の照射状態を検出するべく、本実施の形態に係る電子カセッテ４０には、放射線源１２１からの放射線Ｘの照射量を示す情報（以下、「放射線量情報」という。）を取得する放射線量取得機能が設けられている。
【０１０７】
このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０には、図５に示すように、放射線検出用画素３２Ａにおけるコンデンサ９と薄膜トランジスタ１０との接続部が接続された、当該コンデンサ９に蓄積された電荷を直接読み出すための直接読出配線３８が上記一定方向（行方向）に延設されている。なお、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、上記一定方向に並ぶ複数の放射線検出用画素３２Ａに対して１本の直接読出配線３８が割り当てられており、当該複数の放射線検出用画素３２Ａにおけるコンデンサ９と薄膜トランジスタ１０との接続部が共通（単一）の直接読出配線３８に接続されている。
【０１０８】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ４０の構成について説明する。図６には、本実施の形態に係る電子カセッテ４０の構成を示す斜視図が示されている。
【０１０９】
同図に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、放射線を透過させる材料からなる筐体４１を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ４０は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ４０を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、１つの電子カセッテ４０を繰り返し続けて使用することができる。
【０１１０】
筐体４１の内部には、種々の部品を収容する空間Ａが形成されており、当該空間Ａ内には、放射線Ｘが照射される筐体４１の照射面側から、被写体を透過した放射線Ｘを検出する放射線検出器２０、および放射線Ｘのバック散乱線を吸収する鉛板４３が順に配設されている。
【０１１１】
ここで、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、筐体４１の平板状の一方の面の放射線検出器２０の配設位置に対応する領域が放射線を検出可能な四辺形状の撮影領域４１Ａとされている。この筐体４１の撮影領域４１Ａを有する面が電子カセッテ４０における天板４１Ｂとされており、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、放射線検出器２０が、ＴＦＴ基板３０が天板４１Ｂ側となるように配置され、当該天板４１Ｂの筐体４１における内側の面（天板４１Ｂの放射線が入射される面の反対側の面）に貼り付けられている。
【０１１２】
一方、図６に示すように、筐体４１の内部の一端側には、放射線検出器２０と重ならない位置（撮影領域４１Ａの範囲外）に、後述するカセッテ制御部５８や電源部７０（共に図８参照。）を収容するケース４２が配置されている。
【０１１３】
筐体４１は、電子カセッテ４０全体の軽量化を図るために、例えば、カーボンファイバ（炭素繊維）、アルミニウム、マグネシウム、バイオナノファイバ（セルロースミクロフィブリル）、または複合材料等で構成されている。
【０１１４】
複合材料としては、例えば、強化繊維樹脂を含む材料が用いられ、強化繊維樹脂には、カーボンやセルロース等が含まれる。具体的には、複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック（ＣＦＲＰ）や、発泡材をＣＦＲＰでサンドイッチした構造のもの、または発泡材の表面にＣＦＲＰをコーティングしたもの等が用いられる。なお、本実施の形態では、発泡材をＣＦＲＰでサンドイッチした構造のものが用いられている。これにより、筐体４１をカーボン単体で構成した場合と比較して、筐体４１の強度（剛性）を高めることができる。
【０１１５】
一方、図７に示すように、筐体４１の内部には、天板４１Ｂと対向する背面部４１Ｃの内面に支持体４４が配置されており、支持体４４および天板４１Ｂの間に、放射線検出器２０および鉛板４３が放射線Ｘの照射方向にこの順で並んで配置されている。支持体４４は、軽量化の観点、寸法偏差を吸収する観点から、例えば、発泡材で構成されており、鉛板４３を支持する。
【０１１６】
同図に示すように、天板４１Ｂの内面には、放射線検出器２０のＴＦＴ基板３０を剥離可能に接着する接着部材８０が設けられている。接着部材８０としては、例えば、両面テープが用いられる。この場合、両面テープは、一方の接着面の接着力が他方の接着面の接着力よりも強くなるように形成されている。
【０１１７】
具体的には、接着力の弱い面（弱接着面）は、１８０°ピール接着力で１．０Ｎ／ｃｍ以下に設定されている。そして、接着力の強い面（強接着面）が天板４１Ｂに接し、弱接着面がＴＦＴ基板３０に接する。これにより、ねじ等の固定部材等によって放射線検出器２０を天板４１Ｂに固定する場合と比べて電子カセッテ４０の厚みを薄くすることができる。また、衝撃や荷重で天板４１Ｂが変形しても、放射線検出器２０は剛性の高い天板４１Ｂの変形に追従するため、大きな曲率（緩やかな曲がり）しか発生せず、局所的な低曲率で放射線検出器２０が破損する可能性が低くなる。さらに、放射線検出器２０が天板４１Ｂの剛性の向上に寄与する。
【０１１８】
このように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、放射線検出器２０を筐体４１の天板４１Ｂの内部に貼り付けているため、筐体４１が、天板４１Ｂ側と背面部４１Ｃ側とで２つに分離可能とされており、放射線検出器２０を天板４１Ｂに貼り付けたり、放射線検出器２０を天板４１Ｂから剥離したりする際には、筐体４１を天板４１Ｂ側と背面部４１Ｃ側とで２つに分離した状態とされる。
【０１１９】
なお、本実施の形態では、放射線検出器２０の天板４１Ｂへの接着をクリーンルーム等で行わなくてもよい。なぜなら、放射線検出器２０および天板４１Ｂの間に放射線を吸収する金属片等の異物が混入した場合に、放射線検出器２０を天板４１Ｂから剥離して当該異物を除去できるからである。
【０１２０】
次に、図８を参照して、本実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。
【０１２１】
同図に示すように、電子カセッテ４０に内蔵された放射線検出器２０は、隣り合う２辺の一辺側にゲート線ドライバ５２が配置され、他辺側に第１信号処理部５４が配置されている。ＴＦＴ基板３０の個々のゲート配線３４はゲート線ドライバ５２に接続され、ＴＦＴ基板３０の個々のデータ配線３６は第１信号処理部５４に接続されている。
【０１２２】
また、筐体４１の内部には、画像メモリ５６と、カセッテ制御部５８と、無線通信部６０と、を備えている。
【０１２３】
ＴＦＴ基板３０の各薄膜トランジスタ１０は、ゲート線ドライバ５２からゲート配線３４を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされた薄膜トランジスタ１０によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線３６を伝送されて第１信号処理部５４に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【０１２４】
図示は省略するが、第１信号処理部５４は、個々のデータ配線３６毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線３６を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、Ａ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に（シリアルに）入力され、Ａ／Ｄ変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【０１２５】
第１信号処理部５４には画像メモリ５６が接続されており、第１信号処理部５４のＡ／Ｄ変換器から出力された画像データは画像メモリ５６に順に記憶される。画像メモリ５６は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ５６に順次記憶される。
【０１２６】
画像メモリ５６はカセッテ制御部５８と接続されている。カセッテ制御部５８はマイクロコンピュータを含んで構成され、ＣＰＵ（中央処理装置）５８Ａ、ＲＯＭ（Read Only Memory）およびＲＡＭ（Random Access Memory）を含むメモリ５８Ｂ、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部５８Ｃを備えており、電子カセッテ４０全体の動作を制御する。
【０１２７】
さらに、カセッテ制御部５８には無線通信部６０が接続されている。無線通信部６０は、ＩＥＥＥ（Institute of Electrical and Electronics Engineers）８０２．１１ａ／ｂ／ｇ等に代表される無線ＬＡＮ（Local Area Network）規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部５８は、無線通信部６０を介して、放射線画像の撮影に関する制御を行うコンソール１１０などの外部装置と無線通信が可能とされており、コンソール１１０等との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【０１２８】
一方、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、前述した放射線量取得機能を実現するために、ＴＦＴ基板３０を隔ててゲート線ドライバ５２の反対側に第２信号処理部５５が配置されており、ＴＦＴ基板３０の個々の直接読出配線３８は第２信号処理部５５に接続されている。
【０１２９】
第２信号処理部５５は、直接読出配線３８毎に設けられた増幅器及びＡ／Ｄ変換器を備えており、カセッテ制御部５８と接続されている。第２信号処理部５５は、カセッテ制御部５８からの制御により、所定の周期で各直接読出配線３８のサンプリングを行って各直接読出配線３８を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部５８へ出力する。このデジタルデータが放射線量を示すものであり、前述した放射線量情報に相当する。
【０１３０】
ところで、本実施の形態に係る撮影システム１０４では、放射線技師等の撮影者に対して、ＲＦＩＤタグ７０を所持することを義務付ける一方、電子カセッテ４０に対して、ＲＦＩＤタグ７０と予め定められた距離（本実施の形態では、３ｍ）の範囲内で通信することのできるタグリーダ６２が備えられている。タグリーダ６２はカセッテ制御部５８に接続されており、カセッテ制御部５８は、タグリーダ６２によるＲＦＩＤタグ７０との通信状態を把握することができる。
【０１３１】
また、電子カセッテ４０には電源部７０が設けられており、上述した各種回路や各素子（ゲート線ドライバ５２、第１信号処理部５４、第２信号処理部５５、画像メモリ５６、無線通信部６０、タグリーダ６２、カセッテ制御部５８として機能するマイクロコンピュータ等）は、電源部７０から供給された電力によって作動する。電源部７０は、電子カセッテ４０の可搬性を損なわないように、バッテリ（充電可能な二次電池）を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。なお、図８では、電源部７０と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【０１３２】
一方、図８に示すように、コンソール１１０は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ１１１と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル１１２と、を備えている。
【０１３３】
また、本実施の形態に係るコンソール１１０は、装置全体の動作を司るＣＰＵ１１３と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたＲＯＭ１１４と、各種データを一時的に記憶するＲＡＭ１１５と、各種データを記憶して保持するＨＤＤ（ハードディスク・ドライブ）１１６と、ディスプレイ１１１への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ１１７と、操作パネル１１２に対する操作状態を検出する操作入力検出部１１８と、を備えている。また、コンソール１１０は、無線通信により、放射線発生装置１２０との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行うと共に、電子カセッテ４０との間で画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部１１９を備えている。
【０１３４】
ＣＰＵ１１３、ＲＯＭ１１４、ＲＡＭ１１５、ＨＤＤ１１６、ディスプレイドライバ１１７、操作入力検出部１１８、および無線通信部１１９は、システムバスＢＵＳを介して相互に接続されている。従って、ＣＰＵ１１３は、ＲＯＭ１１４、ＲＡＭ１１５、ＨＤＤ１１６へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ１１７を介したディスプレイ１１１への各種情報の表示の制御、および無線通信部１１９を介した放射線発生装置１２０および電子カセッテ４０との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、ＣＰＵ１１３は、操作入力検出部１１８を介して操作パネル１１２に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【０１３５】
一方、放射線発生装置１２０は、放射線源１２１と、コンソール１１０との間で曝射条件等の各種情報を送受信する無線通信部１２３と、受信した曝射条件に基づいて放射線源１２１を制御する線源制御部１２２と、を備えている。
【０１３６】
線源制御部１２２もマイクロコンピュータを含んで構成されており、受信した曝射条件等を記憶する。このコンソール１１０から受信する曝射条件には管電圧、管電流等の情報が含まれている。線源制御部１２２は、受信した曝射条件に基づいて放射線源１２１から放射線Ｘを照射させる。
【０１３７】
次に、本実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。
【０１３８】
まず、図９を参照して、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を説明する。なお、図９は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。
【０１３９】
同図のステップ３００では、予め定められた初期情報入力画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御し、次のステップ３０２にて所定情報の入力待ちを行う。
【０１４０】
図１０には、上記ステップ３００の処理によってディスプレイ１１１により表示される初期情報入力画面の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る初期情報入力画面では、これから放射線画像の撮影を行う被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および撮影時の放射線Ｘの曝射条件（本実施の形態では、放射線Ｘを曝射する際の管電圧および管電流）の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
【０１４１】
同図に示す初期情報入力画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、撮影対象とする被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および曝射条件を、各々対応する入力領域に操作パネル１１２を介して入力する。
【０１４２】
そして、撮影者は、被検者と共に放射線撮影室１８０に入室し、撮影時の姿勢が立位または臥位である場合は、対応する立位台１６０の保持部１６２または臥位台１６４の保持部１６６に電子カセッテ４０を保持させると共に放射線源１２１を対応する位置に位置決めした後、被検者を所定の撮影位置に位置（ポジショニング）させる。これに対し、撮影対象部位が腕部、脚部等の電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で放射線画像の撮影を行う場合に、撮影者は、当該撮影対象部位を撮影可能な状態に被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１を位置決め（ポジショニング）する。
【０１４３】
その後、撮影者は、放射線撮影室１８０を退室し、上記初期情報入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンを、操作パネル１１２を介して指定する。撮影者によって終了ボタンが指定されると、上記ステップ３０２が肯定判定となってステップ３０４に移行する。
【０１４４】
ステップ３０４では、上記初期情報入力画面において入力された情報（以下、「初期情報」という。）を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信した後、次のステップ３０６にて、上記初期情報に含まれる曝射条件を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて放射線発生装置１２０の線源制御部１２２は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
【０１４５】
次のステップ３０８では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信する。
【０１４６】
これに応じて、放射線源１２１は、放射線発生装置１２０がコンソール１１０から受信した曝射条件に応じた管電圧および管電流での放射線Ｘの射出を開始する。放射線源１２１から射出された放射線Ｘは、被検者を透過した後に電子カセッテ４０に到達する。
【０１４７】
一方、電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８は、前述した放射線量取得機能によって放射線量情報を取得し、取得した放射線量情報により示される放射線量が、放射線の照射が開始されたことを検出するための値として予め定められた第１閾値以上となるまで待機する。次いで、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を開始した後、上記放射線量情報により示される放射線量の累積値が、上記初期情報に含まれる撮影対象部位および曝射条件等に基づいて放射線Ｘの曝射を停止させるための値として予め定められた第２閾値に達した時点で撮影動作を停止すると共に、曝射停止情報をコンソール１１０に送信する。
【０１４８】
そこで、次のステップ３１０では、上記曝射停止情報の受信待ちを行い、次のステップ３１２にて、放射線Ｘの曝射の停止を指示する指示情報を放射線発生装置１２０に無線通信部１１９を介して送信する。これに応じて、放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が停止される。
【０１４９】
一方、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を停止すると、当該撮影によって得られた画像データをコンソール１１０に送信する。
【０１５０】
そこで、次のステップ３１４では、上記画像データが電子カセッテ４０から受信されるまで待機し、次のステップ３１６にて、受信した画像データに対し、前述した欠陥画素補正処理を施した後、シェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
【０１５１】
次のステップ３１８では、上記画像処理が行われた画像データ（以下、「補正画像データ」という。）をＨＤＤ１１６に記憶し、次のステップ３２０にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ１１１によって表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御する。
【０１５２】
次のステップ３２２では、補正画像データをＲＩＳサーバ１５０へ病院内ネットワーク１０２を介して送信し、その後に本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、ＲＩＳサーバ１５０へ送信された補正画像データはデータベース１５０Ａに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【０１５３】
次に、図１１を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図１１は、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が可能となった際に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。
【０１５４】
同図のステップ４００では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が不可能となるまで待機する。すなわち、本実施の形態では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０と通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なしてステップ４０２以降の処理（照射検出撮影モード）に移行する。
【０１５５】
ステップ４０２では、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得し、次のステップ４０４にて、取得した情報により示される放射線量が前述した第１閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ４０２に戻る一方、肯定判定となった場合には放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が開始されたものと見なしてステップ４０６に移行する。
【０１５６】
ステップ４０６では、放射線画像の撮影動作を開始し、次のステップ４０８にて、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得する。
【０１５７】
次のステップ４１０では、上記ステップ４０８の処理によって取得した情報により示される放射線量が前述した第２閾値以上となったか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ４１２に移行して、上記ステップ４０８の処理によって取得した放射線量を累積した後に上記ステップ４０８に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ４１４に移行する。なお、上記ステップ４０８〜ステップ４１２の処理を繰り返し実行する際に、上記ステップ４１０では、それまでに累積した放射線量が上記第２閾値以上となったか否かを判定する。
【０１５８】
ステップ４１４では、上記ステップ４０６の処理によって開始した撮影動作を停止し、次のステップ４１６にて、前述した曝射停止情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０１５９】
次のステップ４１８では、ゲート線ドライバ５２を制御してゲート線ドライバ５２から１ラインずつ順に各ゲート配線３４にオン信号を出力させ、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンさせる。
【０１６０】
放射線検出器２０は、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンされると、１ラインずつ順に各コンデンサ９に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線３６に流れ出す。各データ配線３６に流れ出した電気信号は第１信号処理部５４でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ５６に記憶される。
【０１６１】
そこで、本ステップ４１８では、画像メモリ５６に記憶された画像データを読み出し、次のステップ４２０にて、読み出した画像データをコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信した後、本カセッテ撮影処理プログラムを終了する。
【０１６２】
ところで、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、図７に示すように、放射線検出器２０がＴＦＴ基板３０側から放射線Ｘが照射されるように内蔵されている。
【０１６３】
ここで、放射線検出器２０は、図１２に示すように、シンチレータ８が形成された側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の裏面側に設けられたＴＦＴ基板３０により放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式とされた場合、シンチレータ８の同図上面側（ＴＦＴ基板３０の反対側）でより強く発光し、ＴＦＴ基板３０側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたＴＦＴ基板３０により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式とされた場合、ＴＦＴ基板３０を透過した放射線がシンチレータ８に入射してシンチレータ８のＴＦＴ基板３０側がより強く発光する。ＴＦＴ基板３０に設けられた各センサ部１３には、シンチレータ８で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器２０は、表面読取方式とされた場合の方が裏面読取方式とされた場合よりもＴＦＴ基板３０に対するシンチレータ８の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【０１６４】
また、放射線検出器２０は、光電変換膜４を有機光電変換材料により構成しており、光電変換膜４で放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、表面読取方式により放射線がＴＦＴ基板３０を透過する場合でも光電変換膜４による放射線の吸収量が少ないため、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。表面読取方式では、放射線がＴＦＴ基板３０を透過してシンチレータ８に到達するが、このように、ＴＦＴ基板３０の光電変換膜４を有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜４での放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、表面読取方式に適している。
【０１６５】
また、薄膜トランジスタ１０の活性層１７を構成する非晶質酸化物や光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板１を放射線の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。このように形成された基板１は放射線の吸収量が少ないため、表面読取方式により放射線がＴＦＴ基板３０を透過する場合でも、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。
【０１６６】
また、本実施の形態によれば、図７に示すように、放射線検出器２０をＴＦＴ基板３０が天板４１Ｂ側となるように筐体４１内の天板４１Ｂに貼り付けているが、基板１を剛性の高いプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器２０自体の剛性が高いため、筐体４１の天板４１Ｂを薄く形成することができる。また、基板１を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器２０自体が可撓性を有するため、撮影領域４１Ａに衝撃が加わった場合でも放射線検出器２０が破損しづらい。
【０１６７】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置（本実施の形態では、電子カセッテ４０）に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングが完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１６８】
また、本実施の形態では、前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置（本実施の形態では、ＲＦＩＤタグ７０）との組み合わせにより前記ポジショニングが完了したか否かを検出しているので、システムを構築する上での自由度を向上させることができる。
【０１６９】
特に、本実施の形態では、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤタグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置（本実施の形態では、タグリーダ６２）によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１７０】
［第２の実施の形態］
まず、図１３を参照して、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１７１】
同図に示すように、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４は、ドアセンサ７２が設けられている点、コンソール１１０に、ドアセンサ７２に接続されたインタフェース部（Ｉ／Ｆ）１３０が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１７２】
なお、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４では、コンソール１１０が、放射線撮影室１８０とは図示しない扉を隔てて設けられた制御室に設けられており、ドアセンサ７２は、当該扉の開閉状態を示す信号をコンソール１１０に送信するものである。
【０１７３】
次に、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。
【０１７４】
まず、図１４を参照して、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を説明する。なお、図１４は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１７５】
同図のステップ３０１Ａでは、ドアセンサ７２から受信した上記扉の開閉状態を示す信号に基づいて、当該扉が２回開閉されるまで待機し、次のステップ３０１Ｂにて、撮影者による被検者のポジショニングが完了したことを示すポジショニング完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１７６】
次に、図１５を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図１５は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図１１と同一の処理を行うステップについては図１１と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１７７】
同図のステップ４００Ａでは、上記ポジショニング完了情報の受信待ちを行い、当該ポジショニング完了情報が受信された時点でステップ４０２に移行する。
【０１７８】
すなわち、本実施の形態では、上記扉の１回目の開閉動作により撮影者および被検者が放射線撮影室１８０に入室し、上記扉の２回目の開閉動作により撮影者が放射線撮影室１８０から退室したものとしており、撮影者が放射線撮影室１８０から退室した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードに移行する。
【０１７９】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室（本実施の形態では、放射線撮影室１８０）と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置（本実施の形態では、コンソール１１０）が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサ（本実施の形態では、ドアセンサ７２）により前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１８０】
［第３の実施の形態］
まず、図１６を参照して、本第３の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１８１】
同図に示すように、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４は、重量センサ７４が設けられている点、コンソール１１０に、重量センサ７４に接続されたインタフェース部（Ｉ／Ｆ）１３０が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１８２】
なお、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４では、コンソール１１０が、放射線撮影室１８０とは図示しない扉を隔てて設けられた制御室に設けられており、重量センサ７４は、立位台１６０および臥位台１６４の周囲で、かつ撮影者が被検者のポジショニングを行う際に存在する領域を含む予め定められた領域（本実施の形態では、放射線撮影室１８０の全域）の重量を計測し、当該重量を示す情報をコンソール１１０に送信するものである。
【０１８３】
次に、本第３の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図１７を参照しつつ説明する。なお、図１７は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１８４】
同図のステップ３０１Ｃでは、重量センサ７４から受信した情報により示される重量が、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数であるものと見なすことができる値として予め定められた閾値以下となるまで待機し、次のステップ３０１Ｄにて、撮影者による被検者のポジショニングが完了したことを示すポジショニング完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１８５】
なお、本第３の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第２の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１８６】
すなわち、本実施の形態では、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数となった場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、電子カセッテ４０を照射検出撮影モードに移行させる。
【０１８７】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサ（本実施の形態では、重量センサ７４）により検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１８８】
［第４の実施の形態］
本第４の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、ＲＦＩＤタグ７０およびタグリーダ６２を有しない点を除いて上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１８９】
以下、本第４の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図１８を参照しつつ説明する。なお、図１８は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１９０】
同図のステップ３０３では、撮影者による撮影準備が完了したことを示す撮影準備完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１９１】
なお、本第４の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第２の実施の形態に係る電子カセッテ４０と、ポジショニング完了情報の受信待ちを行う点に代えて撮影準備完了情報の受信待ちを行う点を除いて同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１９２】
すなわち、本実施の形態では、コンソール１１０によって撮影者が予め定められた操作（ここでは、撮影条件を示す情報の登録）を行うことが検出された場合に撮影準備が完了したものと見なして、電子カセッテ４０を照射検出撮影モードに移行させる。
【０１９３】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置（本実施の形態では、コンソール１１０）によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１９４】
［第５の実施の形態］
まず、図１９を参照して、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１９５】
同図に示すように、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４は、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１９６】
次に、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２０を参照しつつ説明する。なお、図２０は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。
【０１９７】
同図のステップ５００では、一例として図１０に示される初期情報入力画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御し、次のステップ５０２にて所定情報の入力待ちを行う。
【０１９８】
図１０に示すように、本実施の形態に係る初期情報入力画面では、これから放射線画像の撮影を行う被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および撮影時の放射線Ｘの曝射条件（本実施の形態では、放射線Ｘを曝射する際の管電圧および管電流）の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
【０１９９】
同図に示す初期情報入力画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、撮影対象とする被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および曝射条件を、各々対応する入力領域に操作パネル１１２を介して入力する。
【０２００】
そして、撮影者は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチをオン状態として、被検者と共に放射線撮影室１８０に入室し、撮影時の姿勢が立位または臥位である場合は、対応する立位台１６０の保持部１６２または臥位台１６４の保持部１６６に電子カセッテ４０を保持させると共に放射線源１２１を対応する位置に位置決めした後、被検者を所定の撮影位置に位置（ポジショニング）させる。これに対し、撮影対象部位が腕部、脚部等の電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で放射線画像の撮影を行う場合に、撮影者は、当該撮影対象部位を撮影可能な状態に被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１を位置決め（ポジショニング）する。
【０２０１】
その後、撮影者は、放射線撮影室１８０を退室し、上記初期情報入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンを、操作パネル１１２を介して指定する。撮影者によって終了ボタンが指定されると、上記ステップ５０２が肯定判定となってステップ５０４に移行する。
【０２０２】
ステップ５０４では、上記初期情報入力画面において入力された情報（初期情報）を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信した後、次のステップ５０６にて、上記初期情報に含まれる曝射条件を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて放射線発生装置１２０の線源制御部１２２は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
【０２０３】
次のステップ５０８では、一例として図２１に示される照射検出撮影モード移行指示画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御した後、次のステップ５１０にて所定情報の入力待ちを行う。
【０２０４】
図２１に示すように、本実施の形態に係る照射検出撮影モード移行指示画面では、照射検出撮影モードへの移行を指示する際に指定されるソフトウェア・スイッチ１１１’が表示される。
【０２０５】
同図に示す照射検出撮影モード移行指示画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、照射検出撮影モードに移行させる場合にはソフトウェア・スイッチ１１１’を、操作パネル１１２を介して指定する。なお、撮影者は、被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１の少なくとも１つのポジションがずれた、電子カセッテ４０および放射線源１２１の少なくとも一方が故障した等といった何らかの理由で照射検出撮影モードに移行させない場合には当該理由が解消されるまで、ソフトウェア・スイッチ１１１’の指定を待機する。撮影者によってソフトウェア・スイッチ１１１’が指定されると、上記ステップ５１０が肯定判定となってステップ５１２に移行する。
【０２０６】
ステップ５１２では、照射検出撮影モードへの移行を指示する照射検出撮影モード移行指示情報を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信し、次のステップ５１４では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信する。
【０２０７】
これに応じて、放射線源１２１は、放射線発生装置１２０がコンソール１１０から受信した曝射条件に応じた管電圧および管電流での放射線Ｘの射出を開始する。放射線源１２１から射出された放射線Ｘは、被検者を透過した後に電子カセッテ４０に到達する。
【０２０８】
一方、電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８は、前述した放射線量取得機能によって放射線量情報を取得し、取得した放射線量情報により示される放射線量が、放射線の照射が開始されたことを検出するための値として予め定められた第１閾値以上となるまで待機する。次いで、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を開始した後、上記放射線量情報により示される放射線量の累積値が、上記初期情報に含まれる撮影対象部位および曝射条件等に基づいて放射線Ｘの曝射を停止させるための値として予め定められた第２閾値に達した時点で撮影動作を停止すると共に、曝射停止情報をコンソール１１０に送信する。
【０２０９】
そこで、次のステップ５１６では、上記曝射停止情報の受信待ちを行い、次のステップ５１８にて、放射線Ｘの曝射の停止を指示する指示情報を放射線発生装置１２０に無線通信部１１９を介して送信する。これに応じて、放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が停止される。
【０２１０】
一方、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を停止すると、当該撮影によって得られた画像データをコンソール１１０に送信する。
【０２１１】
そこで、次のステップ５２０では、上記画像データが電子カセッテ４０から受信されるまで待機し、次のステップ５２２にて、受信した画像データに対し、前述した欠陥画素補正処理を施した後、シェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
【０２１２】
次のステップ５２４では、上記画像処理が行われた画像データ（以下、「補正画像データ」という。）をＨＤＤ１１６に記憶し、次のステップ５２６にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ１１１によって表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御する。
【０２１３】
次のステップ５２８では、補正画像データをＲＩＳサーバ１５０へ病院内ネットワーク１０２を介して送信し、その後に本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、ＲＩＳサーバ１５０へ送信された補正画像データはデータベース１５０Ａに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【０２１４】
次に、図２２を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２２は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。
【０２１５】
同図のステップ６５０では、上記照射検出撮影モード移行指示情報がコンソール１１０から受信されるまで待機し、次のステップ６５２では、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得し、次のステップ６５４にて、取得した情報により示される放射線量が前述した第１閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ６５２に戻る一方、肯定判定となった場合には放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が開始されたものと見なしてステップ６５６に移行する。
【０２１６】
ステップ６５６では、放射線画像の撮影動作を開始し、次のステップ６５８にて、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得する。
【０２１７】
次のステップ６６０では、上記ステップ６５８の処理によって取得した情報により示される放射線量が前述した第２閾値以上となったか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ６６２に移行して、上記ステップ６５８の処理によって取得した放射線量を累積した後に上記ステップ６５８に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ６６４に移行する。なお、上記ステップ６５８〜ステップ６６２の処理を繰り返し実行する際に、上記ステップ６６０では、それまでに累積した放射線量が上記第２閾値以上となったか否かを判定する。
【０２１８】
ステップ６６４では、上記ステップ６５６の処理によって開始した撮影動作を停止し、次のステップ６６６にて、前述した曝射停止情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０２１９】
次のステップ６６８では、ゲート線ドライバ５２を制御してゲート線ドライバ５２から１ラインずつ順に各ゲート配線３４にオン信号を出力させ、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンさせる。
【０２２０】
放射線検出器２０は、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンされると、１ラインずつ順に各コンデンサ９に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線３６に流れ出す。各データ配線３６に流れ出した電気信号は第１信号処理部５４でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ５６に記憶される。
【０２２１】
そこで、本ステップ６６８では、画像メモリ５６に記憶された画像データを読み出し、次のステップ６７０にて、読み出した画像データをコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信した後、本カセッテ撮影処理プログラムを終了する。
【０２２２】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態では、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置（本実施の形態では、電子カセッテ４０）に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力（本実施の形態では、ソフトウェア・スイッチ１１１’の指定）が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２２３】
また、本実施の形態では、少なくとも１つの予め定められた処理（本実施の形態では、初期情報（本発明の「撮影条件を示す情報」に相当。）を登録する処理）が終了した後に前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【０２２４】
特に、本実施の形態では、前記予め定められた処理を、撮影者による撮影準備が完了したことを検出する処理としているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２２５】
さらに、本実施の形態では、前記指示入力を受け付けることを報知（本実施の形態では、照射検出撮影モード移行指示画面による報知）しているので、撮影者に対して指示入力を受け付けることを容易に把握させることができる結果、より利便性を向上させることができる。
【０２２６】
［第６の実施の形態］
本第６の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２２７】
以下、本第６の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２３を参照しつつ説明する。なお、図２３は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２２８】
後述するように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、電源スイッチがオン状態にされると、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０と通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、コンソール１１０にポジショニング完了情報を送信する。
【０２２９】
そこで、同図のステップ５０７では、上記ポジショニング完了情報が受信されるまで待機し、その後にステップ５０８に移行する。
【０２３０】
次に、図２４を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２４は、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が可能となった際に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２２と同一の処理を行うステップについては図２２と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２３１】
同図のステップ６４６では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が不可能となるまで待機した後、次のステップ６４８にて、ポジショニング完了情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０２３２】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第５の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記予め定められた処理を、前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理としているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２３３】
［第７の実施の形態］
本第７の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、図１３に示される上記第２の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２３４】
以下、本第７の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２５を参照しつつ説明する。なお、図２５は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２３５】
同図のステップ５０１Ａでは、ドアセンサ７２から受信した上記扉の開閉状態を示す信号に基づいて、当該扉が２回開閉されるまで待機し、その後にステップ５０２に移行する。
【０２３６】
なお、本第７の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第５の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２３７】
すなわち、本実施の形態では、上記扉の１回目の開閉動作により撮影者および被検者が放射線撮影室１８０に入室し、上記扉の２回目の開閉動作により撮影者が放射線撮影室１８０から退室したものとしており、撮影者が放射線撮影室１８０から退室した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力の受け付けを行うことができるようにしている。
【０２３８】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２３９】
［第８の実施の形態］
本第８の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、図１６に示される上記第３の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２４０】
以下、本第８の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２６を参照しつつ説明する。なお、図２６は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２４１】
同図のステップ５０１Ｂでは、重量センサ７４から受信した情報により示される重量が、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数であるものと見なすことができる値として予め定められた閾値以下となるまで待機し、その後にステップ５０２に移行する。
【０２４２】
なお、本第８の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第５の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２４３】
すなわち、本実施の形態では、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数となった場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力の受け付けを行うことができるようにしている。
【０２４４】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２４５】
［第９の実施の形態］
まず、図２７を参照して、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０２４６】
同図に示すように、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４は、電子カセッテ４０に設置位置の振動を検出する振動検出部６１が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。振動検出部６１はカセッテ制御部５８に接続されており、カセッテ制御部５８は振動検出部６１による検出状態に基づいて、振動状態を把握することができる。
【０２４７】
本実施の形態に係る振動検出部６１は、振動を検出できれば、加速度センサ、ジャイロセンサ、歪みゲージ、重力センサ、地磁気センサ等の何れとしてもよい。
【０２４８】
振動検出部６１として加速度センサまたはジャイロセンサを適用した場合は、加速度が検出されなくなった場合、または加速度が一定値以内に収まった場合に、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。また、振動検出部６１として歪みゲージを適用した場合は、ひずみがなくなる、またはひずみが安定したら、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。さらに、振動検出部６１として重力センサ、地磁気センサを適用した場合は、重力、地磁気の向きを検出し、重力、地磁気の向きが安定になったら、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。
【０２４９】
次に、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。なお、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用は上記第６の実施の形態と同一であるので、ここでの説明は省略し、以下、図２８を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２８は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２４と同一の処理を行うステップについては図２４と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２５０】
ステップ６４６Ａでは、振動検出部６１により検出された振動の状態が、撮影準備が完了したとみなすことができる予め定められた状態となるまで待機し、その後にステップ６４８に移行する。
【０２５１】
ここで、電子カセッテ４０を立位台１６０の保持部１６２や臥位台１６４の保持部１６６に保持させた状態で撮影を行う場合と電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で撮影を行う場合とでは、被検者や電子カセッテ４０のポジショニングによって振動検出部６１により検出される振動の大きさが異なり、保持部に保持された状態の方が保持部に保持させない状態よりもポジショニングによって振動検出部６１により検出される振動が小さい。
【０２５２】
このため、電子カセッテ４０を保持部に保持させた状態での撮影と電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態での撮影かを特定し、撮影準備が完了したとみなすことができる状態の条件を変えてもよい。
【０２５３】
例えば、所定時間（例えば、５秒）の間で振動検出部６１により検出される振動値の変動量が所定の閾値以下となった場合に撮影準備が完了したとみなすものとした場合、電子カセッテ４０を保持部に保持させた状態での撮影よりも電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態での撮影で、閾値の値を小さく変更するようにしてもよい。
【０２５４】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２５５】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【０２５６】
また、上記の実施の形態は、クレーム（請求項）にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【０２５７】
例えば、上記第２の実施の形態および上記第７の実施の形態では、扉の２回の開閉動作をポジショニング完了の判断基準とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、扉の１回の開閉動作を判断基準とする形態としてもよい。これは、撮影者が扉を開けたまま被検者のポジショニングを行う場合もあるためであり、扉を開けたままポジショニングすれば、放射線源のインターロック（安全装置）により、放射線撮影室の外にいる第３者に誤って放射線照射用のボタンを押されることもない。
【０２５８】
また、上記第３の本実施の形態および上記第８の実施の形態では、本発明の人感センサとして重量センサを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサ等の他の人感センサを適用する形態としてもよい。この場合も、上記第３の実施の形態および上記第８の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２５９】
また、上記第４の実施の形態および上記第５の実施の形態では、撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に撮影準備が完了したと検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図２９に示すように、コンソール１１０のディスプレイ１１１により、撮影準備が完了した際に指定されるソフトウェア・スイッチ１１１Ａを表示させ、当該ソフトウェア・スイッチ１１１Ａが指定されたことを検出することによって撮影準備が完了したと検出する形態としてもよく、また、例えば、一例として図３０に示すように、電子カセッテ４０に撮影準備が完了した際に押圧操作されるハードウェア・スイッチ４５を設け、当該ハードウェア・スイッチ４５が押圧操作されたことを検出することによって撮影準備が完了したと検出する形態としてもよい。なお、この場合、ハードウェア・スイッチ４５を設ける位置は電子カセッテ４０に限らず、コンソール１１０、放射線発生装置１２０、立位台１６０、臥位台１６４、放射線撮影室１８０の壁面等の他の位置としてもよいことは言うまでもない。
【０２６０】
これらの場合、容易な操作により、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２６１】
また、上記各実施の形態では、一例として図３１（Ａ）に示すように、放射線検出用画素３２Ａとして放射線画像取得用画素３２Ｂの一部を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図３１（Ｂ）に示すように、放射線検出用画素３２Ａを、放射線画像取得用画素３２Ｂの間隙に設ける形態としてもよい。この場合、放射線検出用画素３２Ａが設けられた位置に対応する放射線画像取得用画素３２Ｂの面積が小さくなるため、当該画素の感度は低減するものの、当該画素も放射線画像の検出用として用いることができるため、放射線画像の品質を向上させることができる。
【０２６２】
また、放射線の照射を検出する手段としては、前述した特許文献１に開示されているように、バイアス電流をモニタしたり、特開２０１０−２６３５１７号公報に開示されているように、上記増幅器（アンプ）を流れる電流をモニタしたりすることによって、電流の変化から放射線の照射を検出してもよい。
【０２６３】
また、上記各実施の形態では、放射線検出器２０に設けられた画素３２の一部を放射線検出用画素３２Ａとして用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線検出用画素３２Ａを、画素３２とは別層として放射線検出器２０に積層する形態としてもよい。この場合、欠陥画素が生じることがないため、上記各実施の形態に比較して、放射線画像の品質を向上させることができる。
【０２６４】
また、上記各実施の形態では、センサ部１３が、シンチレータ８で発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、センサ部１３として有機光電変換材料を含まずに構成されたものを適用する形態としてもよい。
【０２６５】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ４０の筐体４１の内部にカセッテ制御部５８や電源部７０を収容するケース４２と放射線検出器２０とを重ならないように配置した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、放射線検出器２０とカセッテ制御部５８や電源部７０を重なるように配置してもよい。
【０２６６】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ４０とコンソール１１０との間、放射線発生装置１２０とコンソール１１０との間で、無線にて通信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらの少なくとも一方を有線にて通信を行う形態としてもよい。
【０２６７】
また、上記各実施の形態では、放射線としてＸ線を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、γ線等の他の放射線を適用する形態としてもよい。
【０２６８】
その他、上記各実施の形態で説明したＲＩＳ１００の構成（図１参照。）、放射線撮影室の構成（図２参照。）、電子カセッテ４０の構成（図３〜図７，図３０参照。）、撮影システム１０４の構成（図８，図１３，図１６，図１９，図２７参照。）は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【０２６９】
また、上記各実施の形態で説明した初期情報の構成も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
【０２７０】
また、上記各実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ（図９，図１１，図１４，図１５，図１７，図１８，図２０，図２２〜図２６，図２８参照。）も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【０２７１】
さらに、上記実施の形態で説明した各種画面の構成（図１０，図２１，図２９参照。）も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【０２７２】
４０ 電子カセッテ
４５ ハードウェア・スイッチ
５８ カセッテ制御部
５８Ａ ＣＰＵ（検出手段，制御手段，受付手段）
６０ 無線通信部
６２ タグリーダ（通信装置）
７０ ＲＦＩＤタグ
７２ ドアセンサ（センサ）
７４ 重量センサ
１００ ＲＩＳ
１１０ コンソール
１１１ ディスプレイ
１１１’ ソフトウェア・スイッチ
１１１Ａ ソフトウェア・スイッチ
１１２ 操作パネル
１１３ ＣＰＵ
１１６ ＨＤＤ
１１９ 無線通信部
Ｘ 放射線
【技術分野】
【０００１】
本発明は、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムに係り、特に、撮影対象部位を透過した放射線により示される放射線画像を撮影する放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、ＴＦＴ（Thin Film Transistor）アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるＦＰＤ（Flat Panel Detector）等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が実用化されている。なお、この放射線画像撮影装置に用いられる放射線検出器には、放射線を変換する方式として、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式や、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【０００３】
ところで、上記のような放射線検出器では、ノイズの一因となる暗電流が存在するため、撮像時間をむやみに長くすることはできない。このため、従来の放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置では、放射線を照射する放射線照射装置との間で各種の信号の送受信を行い、放射線照射装置から放射線を照射する照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作とを同期させていた。
【０００４】
しかしながら、このように放射線照射装置による放射線の照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作との同期を必要とした場合、放射線照射装置と放射線画像撮影装置とを１つの一体化したシステムとして構築する必要があり、既存の放射線照射装置と組み合わせてシステムを構築しようとした場合、放射線照射装置側にも同期をとるための修正が必要となる。
【０００５】
そこで、放射線照射装置による放射線の照射動作と放射線画像撮影装置による撮像動作との同期を必要とせずに放射線画像の撮影を可能とするために適用することのできる技術として、特許文献１には、バイアス電流に基づいて放射線の照射開始を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０１０−２６４１８１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上記特許文献１に開示されている技術では、放射線の照射開始を検出して撮影を行うためには放射線の照射の検出を常時行う必要があり、この場合、電力消費が大きくなってしまう、という問題点があった。特に、放射線検出器を内蔵し、バッテリで生成された電力により放射線画像の撮影を行う可搬型の放射線画像撮影装置（以下、「電子カセッテ」ともいう。）では電力消費が大きくなると駆動可能な時間が短くなってしまう。
【０００８】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することのできる放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記目的を達成するために、請求項１に記載の放射線画像撮影システムは、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を有する。
【００１０】
請求項１記載の放射線画像撮影システムによれば、検出手段により、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かが検出される。
【００１１】
ここで、本発明では、制御手段により、前記検出手段によって前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００１２】
このように、請求項１に記載の放射線画像撮影システムによれば、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１３】
なお、本発明は、請求項２に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置とは異なる装置、または前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置との組み合わせにより、前記ポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出してもよい。これにより、システムを構築する上での自由度を向上させることができる。
【００１４】
また、請求項２に記載の発明は、請求項３に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤ（Radio Frequency Identification）タグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置を含み、前記通信装置によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項４に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサにより前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項５に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサにより検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、特に、請求項５に記載の発明は、請求項６に記載の発明のように、前記人感センサが、前記撮影室の床面に設けられ、人の重量を検出する重量センサであるものとしてもよい。これらにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１５】
なお、上記ＲＦＩＤタグは、ＩＣタグ、無線タグ、ＩＤタグ、電磁誘導タグ等と呼ばれることもあるが、本明細書では、これらを総称してＲＦＩＤタグという。
【００１６】
また、請求項１に記載の発明は、請求項７に記載の発明のように、前記検出手段が、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよく、特に、請求項７に記載の発明は、請求項８に記載の発明のように、前記検出手段が、前記制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよい。これらによっても、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１７】
また、請求項１に記載の発明は、請求項９に記載の発明のように、前記検出手段が、予め定められた位置に設けられたスイッチを含み、前記スイッチが操作されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよく、さらに、請求項９に記載の発明は、請求項１０に記載の発明のように、前記スイッチが、表示手段によって表示されるソフトウェア・スイッチであるものとしてもよい。これらにより、容易な操作により、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００１８】
一方、上記目的を達成するために、請求項１１に記載の放射線画像撮影装置は、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器と、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を備えている。
【００１９】
請求項１１記載の放射線画像撮影装置によれば、検出手段により、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かが検出され、制御手段により、前記検出手段によって前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００２０】
このように、請求項１１に記載の発明によれば、撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２１】
一方、上記目的を達成するために、請求項１２に記載のプログラムは、コンピュータを、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、として機能させるためのものである。
【００２２】
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項１に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項１に記載の発明と同様に、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２３】
一方、上記目的を達成するために、請求項１３記載の放射線画像撮影システムは、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、を有する。
【００２４】
請求項１３記載の放射線画像撮影システムによれば、受付手段により、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられる。
【００２５】
ここで、本発明では、制御手段により、前記受付手段によって前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置が前記照射検出撮影モードへ移行されるように制御される。
【００２６】
このように、請求項１３に記載の放射線画像撮影システムによれば、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２７】
なお、請求項１３に記載の発明は、請求項１４に記載の発明のように、前記制御手段が、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御してもよい。これにより、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【００２８】
特に、請求項１４に記載の発明は、請求項１５に記載の発明のように、撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出する第１検出手段をさらに備え、前記予め定められた処理が、前記第１検出手段により前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理であるものとしてもよい。これにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００２９】
特に、請求項１５に記載の発明は、請求項１６に記載の発明のように、前記第１検出手段が、前記撮影者が前記被検者から予め定められた距離以上離れたことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよく、請求項１７に記載の発明のように、前記第１検出手段が、前記放射線画像撮影装置の振動が予め定められた範囲内となったことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出してもよい。
【００３０】
また、請求項１４から請求項１７の何れか１項記載の発明は、請求項１８に記載の発明のように、撮影者による撮影準備が完了したか否かを検出する第２検出手段をさらに備え、前記予め定められた処理は、前記第２検出手段により前記撮影準備が完了したことを検出する処理であるものとしてもよい。これにより、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００３１】
特に、請求項１８に記載の発明は、請求項１９に記載の発明のように、前記第２検出手段が、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出してもよい。
【００３２】
さらに、請求項１３から請求項１９の何れか１項記載の発明は、請求項２０に記載の発明のように、前記受付手段により前記指示入力を受け付けることを報知する報知手段をさらに有してもよい。これにより、撮影者に対して指示入力を受け付けることを容易に把握させることができる結果、より利便性を向上させることができる。
【００３３】
一方、上記目的を達成するために、請求項２１に記載のプログラムは、コンピュータを、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、として機能させるためのものである。
【００３４】
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項１３に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項１３に記載の発明と同様に、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【００３５】
なお、請求項２１に記載の発明は、請求項２２に記載の発明のように、前記制御手段が、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御してもよい。これにより、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【発明の効果】
【００３６】
第１の発明によれば、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる、という効果が得られる。
【００３７】
また、第２の発明によれば、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。
【図２】実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例を示す側面図である。
【図３】実施の形態に係る放射線検出器の３画素部分の概略構成を示す断面模式図である。
【図４】実施の形態に係る放射線検出器の１画素部分の信号出力部の構成を概略的に示した断面側面図である。
【図５】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す平面図である。
【図６】実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図７】実施の形態に係る電子カセッテの構成を示す断面側面図である。
【図８】第１の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図９】第１の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１０】実施の形態に係る初期情報入力画面の一例を示す概略図である。
【図１１】第１の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１２】放射線画像の表面読取方式と裏面読取方式を説明するための断面側面図である。
【図１３】第２の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図１４】第２の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１５】第２の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１６】第３の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図１７】第３の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１８】第４の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図１９】第５の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図２０】第５の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２１】第５の実施の形態に係る照射検出撮影モード移行指示画面の一例を示す概略図である。
【図２２】第５の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２３】第６の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２４】第６の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２５】第７の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２６】第８の実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２７】第９の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図２８】第９の実施の形態に係るカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図２９】実施の形態に係るソフトウェア・スイッチの構成例を示す概略図である。
【図３０】実施の形態に係る電子カセッテの他の構成例を示す斜視図である。
【図３１】実施の形態に係る放射線検出器の他の形態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００３９】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、病院における放射線科部門で取り扱われる情報を統括的に管理するシステムである放射線情報システムに適用した場合の形態例について説明する。
【００４０】
［第１の実施の形態］
まず、図１を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム（以下、「ＲＩＳ」（Radiology Information System）という。）１００の構成について説明する。
【００４１】
ＲＩＳ１００は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム（以下、「ＨＩＳ」（Hospital Information System）という。）の一部を構成する。
【００４２】
ＲＩＳ１００は、複数台の撮影依頼端末装置（以下、「端末装置」という。）１４０、ＲＩＳサーバ１５０、および病院内の放射線撮影室（あるいは手術室）の個々に設置された放射線画像撮影システム（以下、「撮影システム」という。）１０４を有しており、これらが有線や無線のＬＡＮ（Local Area Network）等から成る病院内ネットワーク１０２に各々接続されて構成されている。なお、ＲＩＳ１００は、同じ病院内に設けられたＨＩＳの一部を構成しており、病院内ネットワーク１０２には、ＨＩＳ全体を管理するＨＩＳサーバ（図示省略。）も接続されている。
【００４３】
端末装置１４０は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置１４０を介して行われる。各端末装置１４０は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、ＲＩＳサーバ１５０と病院内ネットワーク１０２を介して相互通信が可能とされている。
【００４４】
一方、ＲＩＳサーバ１５０は、各端末装置１４０からの撮影依頼を受け付け、撮影システム１０４における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース１５０Ａを含んで構成されている。
【００４５】
データベース１５０Ａは、患者（被検者）の属性情報（氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ＩＤ（Identification）等）、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報、撮影システム１０４で用いられる、後述する電子カセッテ４０の識別番号（ＩＤ情報）、型式、サイズ、感度、使用開始年月日、使用回数等の電子カセッテ４０に関する情報、および電子カセッテ４０を用いて放射線画像を撮影する環境、すなわち、電子カセッテ４０を使用する環境（一例として、放射線撮影室や手術室等）を示す環境情報を含んで構成されている。
【００４６】
撮影システム１０４は、ＲＩＳサーバ１５０からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム１０４は、放射線源１２１（図２も参照。）から曝射条件に従った線量とされた放射線Ｘ（図６も参照。）を被検者に照射する放射線発生装置１２０と、被検者の撮影対象部位を透過した放射線Ｘを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器２０（図６も参照。）を内蔵する電子カセッテ４０と、電子カセッテ４０に内蔵されているバッテリを充電するクレードル１３０と、電子カセッテ４０および放射線発生装置１２０を制御するコンソール１１０と、を備えている。
【００４７】
コンソール１１０は、ＲＩＳサーバ１５０からデータベース１５０Ａに含まれる各種情報を取得して後述するＨＤＤ１１６（図８参照。）に記憶し、必要に応じて当該情報を用いて、電子カセッテ４０および放射線発生装置１２０の制御を行う。
【００４８】
図２には、本実施の形態に係る撮影システム１０４の放射線撮影室１８０における各装置の配置状態の一例が示されている。
【００４９】
同図に示すように、放射線撮影室１８０には、立位での放射線撮影を行う際に用いられる立位台１６０と、臥位での放射線撮影を行う際に用いられる臥位台１６４とが設置されており、立位台１６０の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置１７０とされ、臥位台１６４の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の被検者の撮影位置１７２とされている。
【００５０】
立位台１６０には電子カセッテ４０を保持する保持部１６２が設けられており、立位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ４０が保持部１６２に保持される。同様に、臥位台１６４には電子カセッテ４０を保持する保持部１６６が設けられており、臥位での放射線画像の撮影を行う際には、電子カセッテ４０が保持部１６６に保持される。
【００５１】
また、放射線撮影室１８０には、単一の放射線源１２１からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源１２１を、水平な軸回り（図２の矢印ａ方向）に回動可能で、鉛直方向（図２の矢印ｂ方向）に移動可能で、さらに水平方向（図２の矢印ｃ方向）に移動可能に支持する支持移動機構１２４が設けられている。ここで、支持移動機構１２４は、放射線源１２１を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源１２１を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源１２１を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている（何れも図示省略。）。
【００５２】
一方、クレードル１３０には、電子カセッテ４０を収納可能な収容部１３０Ａが形成されている。
【００５３】
電子カセッテ４０は、未使用時にはクレードル１３０の収容部１３０Ａに収納された状態で内蔵されているバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時には放射線技師等によってクレードル１３０から取り出され、撮影姿勢が立位であれば立位台１６０の保持部１６２に保持され、撮影姿勢が臥位であれば臥位台１６４の保持部１６６に保持される。
【００５４】
ここで、本実施の形態に係る撮影システム１０４では、放射線発生装置１２０とコンソール１１０との間、および電子カセッテ４０とコンソール１１０との間で、無線通信によって各種情報の送受信を行う。
【００５５】
なお、電子カセッテ４０は、立位台１６０の保持部１６２や臥位台１６４の保持部１６６で保持された状態のみで使用されるものではなく、その可搬性から、腕部，脚部等を撮影する際には、保持部に保持されていない状態で使用することもできる。
【００５６】
次に、本実施の形態に係る放射線検出器２０の構成について説明する。図３は、本実施の形態に係る放射線検出器２０の３画素部分の構成を概略的に示す断面模式図である。
【００５７】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、絶縁性の基板１上に、信号出力部１４、センサ部１３、およびシンチレータ８が順次積層しており、信号出力部１４、センサ部１３により画素が構成されている。画素は、基板１上に複数配列されており、各画素における信号出力部１４とセンサ部１３とが重なりを有するように構成されている。
【００５８】
シンチレータ８は、センサ部１３上に透明絶縁膜７を介して形成されており、上方（基板１の反対側）または下方から入射してくる放射線を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。このようなシンチレータ８を設けることで、被写体を透過した放射線を吸収して発光することになる。
【００５９】
シンチレータ８が発する光の波長域は、可視光域（波長３６０ｎｍ〜８３０ｎｍ）であることが好ましく、この放射線検出器２０によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
【００６０】
シンチレータ８に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線としてＸ線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム（ＣｓＩ）を含むものが好ましく、Ｘ線照射時の発光スペクトルが４２０ｎｍ〜６００ｎｍにあるＣｓＩ（Ｔｌ）（タリウムが添加されたヨウ化セシウム）を用いることが特に好ましい。なお、ＣｓＩ（Ｔｌ）の可視光域における発光ピーク波長は５６５ｎｍである。
【００６１】
センサ部１３は、上部電極６、下部電極２、および当該上下の電極間に配置された光電変換膜４を有し、光電変換膜４は、シンチレータ８が発する光を吸収して電荷が発生する有機光電変換材料により構成されている。
【００６２】
上部電極６は、シンチレータ８により生じた光を光電変換膜４に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ８の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物（TCO;Transparent Conducting Oxide）を用いることが好ましい。なお、上部電極６としてＡｕなどの金属薄膜を用いることもできるが、透過率を９０％以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、ＴＣＯの方が好ましい。例えば、ＩＴＯ、ＩＺＯ、ＡＺＯ、ＦＴＯ、ＳｎＯ２、ＴｉＯ２、ＺｎＯ２等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはＩＴＯが最も好ましい。なお、上部電極６は、全画素で共通の一枚構成としてもよく、画素毎に分割してもよい。
【００６３】
光電変換膜４は、有機光電変換材料を含み、シンチレータ８から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含む光電変換膜４であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ８による発光以外の電磁波が光電変換膜４に吸収されることがほとんどなく、Ｘ線等の放射線が光電変換膜４で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【００６４】
光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、シンチレータ８で発光した光を最も効率よく吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ８の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ８の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ８から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ８の放射線に対する発光ピーク波長との差が、１０ｎｍ以内であることが好ましく、５ｎｍ以内であることがより好ましい。
【００６５】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物およびフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は５６０ｎｍであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ８の材料としてＣｓＩ（Ｔｌ）を用いれば、上記ピーク波長の差を５ｎｍ以内にすることが可能となり、光電変換膜４で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【００６６】
次に、本実施の形態に係る放射線検出器２０に適用可能な光電変換膜４について具体的に説明する。
【００６７】
本実施の形態に係る放射線検出器２０における電磁波吸収／光電変換部位は、１対の電極２，６と、当該電極２，６間に挟まれた有機光電変換膜４を含む有機層により構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、および層間接触改良部位等の積み重ね、もしくは混合により形成することができる。
【００６８】
上記有機層は、有機ｐ型化合物または有機ｎ型化合物を含有することが好ましい。
【００６９】
有機ｐ型半導体（化合物）は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体（化合物）であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは２つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【００７０】
有機ｎ型半導体（化合物）は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体（化合物）であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、２つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【００７１】
この有機ｐ型半導体および有機ｎ型半導体として適用可能な材料、および光電変換膜４の構成については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。なお、光電変換膜４は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【００７２】
光電変換膜４の厚みは、シンチレータ８からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜４の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜４に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、３０ｎｍ以上３００ｎｍ以下が好ましく、より好ましくは、５０ｎｍ以上２５０ｎｍ以下、特に好ましくは８０ｎｍ以上２００ｎｍ以下である。
【００７３】
なお、図３に示す放射線検出器２０では、光電変換膜４は、全画素で共通の一枚構成であるが、画素毎に分割してもよい。
【００７４】
下部電極２は、画素毎に分割された薄膜とする。下部電極２は、透明または不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。
【００７５】
下部電極２の厚みは、例えば、３０ｎｍ以上３００ｎｍ以下とすることができる。
【００７６】
センサ部１３では、上部電極６と下部電極２の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜４で発生した電荷（正孔、電子）のうちの一方を上部電極６に移動させ、他方を下部電極２に移動させることができる。本実施の形態の放射線検出器２０では、上部電極６に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極６に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜４で発生した電子が上部電極６に移動し、正孔が下部電極２に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であってもよい。
【００７７】
各画素を構成するセンサ部１３は、少なくとも下部電極２、光電変換膜４、および上部電極６を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜３および正孔ブロッキング膜５の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【００７８】
電子ブロッキング膜３は、下部電極２と光電変換膜４との間に設けることができ、下部電極２と上部電極６間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極２から光電変換膜４に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【００７９】
電子ブロッキング膜３には、電子供与性有機材料を用いることができる。
【００８０】
実際に電子ブロッキング膜３に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜４の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数（Ｗｆ）より１．３ｅＶ以上電子親和力（Ｅａ）が大きく、かつ、隣接する光電変換膜４の材料のイオン化ポテンシャル（Ｉｐ）と同等のＩｐもしくはそれより小さいＩｐを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
【００８１】
電子ブロッキング膜３の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部１３の光電変換効率の低下を防ぐため、１０ｎｍ以上２００ｎｍ以下が好ましく、さらに好ましくは３０ｎｍ以上１５０ｎｍ以下、特に好ましくは５０ｎｍ以上１００ｎｍ以下である。
【００８２】
正孔ブロッキング膜５は、光電変換膜４と上部電極６との間に設けることができ、下部電極２と上部電極６間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極６から光電変換膜４に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【００８３】
正孔ブロッキング膜５には、電子受容性有機材料を用いることができる。
【００８４】
正孔ブロッキング膜５の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部１３の光電変換効率の低下を防ぐため、１０ｎｍ以上２００ｎｍ以下が好ましく、さらに好ましくは３０ｎｍ以上１５０ｎｍ以下、特に好ましくは５０ｎｍ以上１００ｎｍ以下である。
【００８５】
実際に正孔ブロッキング膜５に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜４の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数（Ｗｆ）より１．３ｅＶ以上イオン化ポテンシャル（Ｉｐ）が大きく、かつ、隣接する光電変換膜４の材料の電子親和力（Ｅａ）と同等のＥａもしくはそれより大きいＥａを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開２００９−３２８５４号公報において詳細に説明されているため、説明を省略する。
【００８６】
なお、光電変換膜４で発生した電荷のうち、正孔が上部電極６に移動し、電子が下部電極２に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜３と正孔ブロッキング膜５の位置を逆にすればよい。また、電子ブロッキング膜３と正孔ブロッキング膜５は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【００８７】
各画素の下部電極２下方の基板１の表面には信号出力部１４が形成されている。図４には、信号出力部１４の構成が概略的に示されている。
【００８８】
同図に示すように、本実施の形態に係る信号出力部１４は、下部電極２に対応して、下部電極２に移動した電荷を蓄積するコンデンサ９と、コンデンサ９に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する電界効果型薄膜トランジスタ（Thin Film Transistor、以下、単に薄膜トランジスタという場合がある。）１０が形成されている。コンデンサ９および薄膜トランジスタ１０の形成された領域は、平面視において下部電極２と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素における信号出力部１４とセンサ部１３とが厚さ方向で重なりを有することとなる。なお、放射線検出器２０（画素）の平面積を最小にするために、コンデンサ９および薄膜トランジスタ１０の形成された領域が下部電極２によって完全に覆われていることが望ましい。
【００８９】
コンデンサ９は、基板１と下部電極２との間に設けられた絶縁膜１１を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極２と電気的に接続されている。これにより、下部電極２で捕集された電荷をコンデンサ９に移動させることができる。
【００９０】
薄膜トランジスタ１０は、ゲート電極１５、ゲート絶縁膜１６、および活性層（チャネル層）１７が積層され、さらに、活性層１７上にソース電極１８とドレイン電極１９が所定の間隔を開けて形成されている。
【００９１】
活性層１７は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブなどにより形成することができる。なお、活性層１７を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【００９２】
活性層１７を構成する非晶質酸化物としては、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎのうちの少なくとも１つを含む酸化物（例えばＩｎ−Ｏ系）が好ましく、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎのうちの少なくとも２つを含む酸化物（例えばＩｎ−Ｚｎ−Ｏ系、Ｉｎ−Ｇａ−Ｏ系、Ｇａ−Ｚｎ−Ｏ系）がより好ましく、Ｉｎ、ＧａおよびＺｎを含む酸化物が特に好ましい。Ｉｎ−Ｇａ−Ｚｎ−Ｏ系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がＩｎＧａＯ３（ＺｎＯ）ｍ（ｍは６未満の自然数）で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、ＩｎＧａＺｎＯ４がより好ましい。
【００９３】
活性層１７を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開２００９−２１２３８９号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【００９４】
薄膜トランジスタ１０の活性層１７を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、Ｘ線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部１４におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【００９５】
また、活性層１７をカーボンナノチューブで形成した場合、薄膜トランジスタ１０のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低い薄膜トランジスタ１０を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層１７を形成する場合、活性層１７に極微量の金属性不純物を混入するだけで、薄膜トランジスタ１０の性能は著しく低下するため、遠心分離などにより極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【００９６】
ここで、薄膜トランジスタ１０の活性層１７を構成する非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板１としては、半導体基板、石英基板、およびガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板や、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ（クロロトリフルオロエチレン）等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【００９７】
また、基板１には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【００９８】
一方、アラミドは、２００度以上の高温プロセスを適用できるために透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバＩＣの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ＩＴＯ（Indium Tin Oxide）やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板を形成してもよい。
【００９９】
また、バイオナノファイバは、バクテリア（酢酸菌、Acetobacter Xylinum）が産出するセルロースミクロフィブリル束（バクテリアセルロース）と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅５０ｎｍと可視光波長に対して１／１０のサイズで、かつ高強度、高弾性、低熱膨張である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を６０〜７０％も含有しながら、波長５００ｎｍで約９０％の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数（３〜７ｐｐｍ）を有し、鋼鉄並の強度（４６０ＭＰａ）、高弾性（３０ＧＰａ）で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板１を形成できる。
【０１００】
本実施の形態では、基板１上に、信号出力部１４、センサ部１３、透明絶縁膜７を順に形成することによりＴＦＴ基板３０を形成し、当該ＴＦＴ基板３０上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ８を貼り付けることにより放射線検出器２０を形成している。
【０１０１】
図５に示すように、ＴＦＴ基板３０には、上述したセンサ部１３、コンデンサ９、および薄膜トランジスタ１０を含んで構成される画素３２が一定方向（図５の行方向）、および当該一定方向に対する交差方向（図５の列方向）に２次元状に複数設けられている。
【０１０２】
また、放射線検出器２０には、上記一定方向（行方向）に延設され、各薄膜トランジスタ１０をオン・オフさせるための複数本のゲート配線３４と、上記交差方向（列方向）に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ１０を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線３６と、が設けられている。
【０１０３】
放射線検出器２０は、平板状で、かつ平面視において外縁に４辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
【０１０４】
ここで、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、画素３２の一部が放射線の照射状態を検出するために用いられており、残りの画素３２によって放射線画像の撮影を行う。なお、以下では、放射線の照射状態を検出するための画素３２を放射線検出用画素３２Ａといい、残りの画素３２を放射線画像取得用画素３２Ｂという。
【０１０５】
本実施の形態に係る放射線検出器２０では、画素３２における放射線検出用画素３２Ａを除いた放射線画像取得用画素３２Ｂにより放射線画像の撮影を行うため、放射線検出用画素３２Ａの配置位置における放射線画像の画素情報を得ることができない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、放射線検出用画素３２Ａを分散するように配置する一方、コンソール１１０により、放射線検出用画素３２Ａの配置位置における放射線画像の画素情報を、当該放射線検出用画素３２Ａの周囲に位置する放射線画像取得用画素３２Ｂにより得られた画素情報を用いて補間することにより生成する欠陥画素補正処理を実行する。
【０１０６】
そして、放射線の照射状態を検出するべく、本実施の形態に係る電子カセッテ４０には、放射線源１２１からの放射線Ｘの照射量を示す情報（以下、「放射線量情報」という。）を取得する放射線量取得機能が設けられている。
【０１０７】
このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０には、図５に示すように、放射線検出用画素３２Ａにおけるコンデンサ９と薄膜トランジスタ１０との接続部が接続された、当該コンデンサ９に蓄積された電荷を直接読み出すための直接読出配線３８が上記一定方向（行方向）に延設されている。なお、本実施の形態に係る放射線検出器２０では、上記一定方向に並ぶ複数の放射線検出用画素３２Ａに対して１本の直接読出配線３８が割り当てられており、当該複数の放射線検出用画素３２Ａにおけるコンデンサ９と薄膜トランジスタ１０との接続部が共通（単一）の直接読出配線３８に接続されている。
【０１０８】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ４０の構成について説明する。図６には、本実施の形態に係る電子カセッテ４０の構成を示す斜視図が示されている。
【０１０９】
同図に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、放射線を透過させる材料からなる筐体４１を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ４０は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ４０を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、１つの電子カセッテ４０を繰り返し続けて使用することができる。
【０１１０】
筐体４１の内部には、種々の部品を収容する空間Ａが形成されており、当該空間Ａ内には、放射線Ｘが照射される筐体４１の照射面側から、被写体を透過した放射線Ｘを検出する放射線検出器２０、および放射線Ｘのバック散乱線を吸収する鉛板４３が順に配設されている。
【０１１１】
ここで、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、筐体４１の平板状の一方の面の放射線検出器２０の配設位置に対応する領域が放射線を検出可能な四辺形状の撮影領域４１Ａとされている。この筐体４１の撮影領域４１Ａを有する面が電子カセッテ４０における天板４１Ｂとされており、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、放射線検出器２０が、ＴＦＴ基板３０が天板４１Ｂ側となるように配置され、当該天板４１Ｂの筐体４１における内側の面（天板４１Ｂの放射線が入射される面の反対側の面）に貼り付けられている。
【０１１２】
一方、図６に示すように、筐体４１の内部の一端側には、放射線検出器２０と重ならない位置（撮影領域４１Ａの範囲外）に、後述するカセッテ制御部５８や電源部７０（共に図８参照。）を収容するケース４２が配置されている。
【０１１３】
筐体４１は、電子カセッテ４０全体の軽量化を図るために、例えば、カーボンファイバ（炭素繊維）、アルミニウム、マグネシウム、バイオナノファイバ（セルロースミクロフィブリル）、または複合材料等で構成されている。
【０１１４】
複合材料としては、例えば、強化繊維樹脂を含む材料が用いられ、強化繊維樹脂には、カーボンやセルロース等が含まれる。具体的には、複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック（ＣＦＲＰ）や、発泡材をＣＦＲＰでサンドイッチした構造のもの、または発泡材の表面にＣＦＲＰをコーティングしたもの等が用いられる。なお、本実施の形態では、発泡材をＣＦＲＰでサンドイッチした構造のものが用いられている。これにより、筐体４１をカーボン単体で構成した場合と比較して、筐体４１の強度（剛性）を高めることができる。
【０１１５】
一方、図７に示すように、筐体４１の内部には、天板４１Ｂと対向する背面部４１Ｃの内面に支持体４４が配置されており、支持体４４および天板４１Ｂの間に、放射線検出器２０および鉛板４３が放射線Ｘの照射方向にこの順で並んで配置されている。支持体４４は、軽量化の観点、寸法偏差を吸収する観点から、例えば、発泡材で構成されており、鉛板４３を支持する。
【０１１６】
同図に示すように、天板４１Ｂの内面には、放射線検出器２０のＴＦＴ基板３０を剥離可能に接着する接着部材８０が設けられている。接着部材８０としては、例えば、両面テープが用いられる。この場合、両面テープは、一方の接着面の接着力が他方の接着面の接着力よりも強くなるように形成されている。
【０１１７】
具体的には、接着力の弱い面（弱接着面）は、１８０°ピール接着力で１．０Ｎ／ｃｍ以下に設定されている。そして、接着力の強い面（強接着面）が天板４１Ｂに接し、弱接着面がＴＦＴ基板３０に接する。これにより、ねじ等の固定部材等によって放射線検出器２０を天板４１Ｂに固定する場合と比べて電子カセッテ４０の厚みを薄くすることができる。また、衝撃や荷重で天板４１Ｂが変形しても、放射線検出器２０は剛性の高い天板４１Ｂの変形に追従するため、大きな曲率（緩やかな曲がり）しか発生せず、局所的な低曲率で放射線検出器２０が破損する可能性が低くなる。さらに、放射線検出器２０が天板４１Ｂの剛性の向上に寄与する。
【０１１８】
このように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０では、放射線検出器２０を筐体４１の天板４１Ｂの内部に貼り付けているため、筐体４１が、天板４１Ｂ側と背面部４１Ｃ側とで２つに分離可能とされており、放射線検出器２０を天板４１Ｂに貼り付けたり、放射線検出器２０を天板４１Ｂから剥離したりする際には、筐体４１を天板４１Ｂ側と背面部４１Ｃ側とで２つに分離した状態とされる。
【０１１９】
なお、本実施の形態では、放射線検出器２０の天板４１Ｂへの接着をクリーンルーム等で行わなくてもよい。なぜなら、放射線検出器２０および天板４１Ｂの間に放射線を吸収する金属片等の異物が混入した場合に、放射線検出器２０を天板４１Ｂから剥離して当該異物を除去できるからである。
【０１２０】
次に、図８を参照して、本実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。
【０１２１】
同図に示すように、電子カセッテ４０に内蔵された放射線検出器２０は、隣り合う２辺の一辺側にゲート線ドライバ５２が配置され、他辺側に第１信号処理部５４が配置されている。ＴＦＴ基板３０の個々のゲート配線３４はゲート線ドライバ５２に接続され、ＴＦＴ基板３０の個々のデータ配線３６は第１信号処理部５４に接続されている。
【０１２２】
また、筐体４１の内部には、画像メモリ５６と、カセッテ制御部５８と、無線通信部６０と、を備えている。
【０１２３】
ＴＦＴ基板３０の各薄膜トランジスタ１０は、ゲート線ドライバ５２からゲート配線３４を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされた薄膜トランジスタ１０によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線３６を伝送されて第１信号処理部５４に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【０１２４】
図示は省略するが、第１信号処理部５４は、個々のデータ配線３６毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線３６を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、Ａ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に（シリアルに）入力され、Ａ／Ｄ変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【０１２５】
第１信号処理部５４には画像メモリ５６が接続されており、第１信号処理部５４のＡ／Ｄ変換器から出力された画像データは画像メモリ５６に順に記憶される。画像メモリ５６は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ５６に順次記憶される。
【０１２６】
画像メモリ５６はカセッテ制御部５８と接続されている。カセッテ制御部５８はマイクロコンピュータを含んで構成され、ＣＰＵ（中央処理装置）５８Ａ、ＲＯＭ（Read Only Memory）およびＲＡＭ（Random Access Memory）を含むメモリ５８Ｂ、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部５８Ｃを備えており、電子カセッテ４０全体の動作を制御する。
【０１２７】
さらに、カセッテ制御部５８には無線通信部６０が接続されている。無線通信部６０は、ＩＥＥＥ（Institute of Electrical and Electronics Engineers）８０２．１１ａ／ｂ／ｇ等に代表される無線ＬＡＮ（Local Area Network）規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部５８は、無線通信部６０を介して、放射線画像の撮影に関する制御を行うコンソール１１０などの外部装置と無線通信が可能とされており、コンソール１１０等との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【０１２８】
一方、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、前述した放射線量取得機能を実現するために、ＴＦＴ基板３０を隔ててゲート線ドライバ５２の反対側に第２信号処理部５５が配置されており、ＴＦＴ基板３０の個々の直接読出配線３８は第２信号処理部５５に接続されている。
【０１２９】
第２信号処理部５５は、直接読出配線３８毎に設けられた増幅器及びＡ／Ｄ変換器を備えており、カセッテ制御部５８と接続されている。第２信号処理部５５は、カセッテ制御部５８からの制御により、所定の周期で各直接読出配線３８のサンプリングを行って各直接読出配線３８を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部５８へ出力する。このデジタルデータが放射線量を示すものであり、前述した放射線量情報に相当する。
【０１３０】
ところで、本実施の形態に係る撮影システム１０４では、放射線技師等の撮影者に対して、ＲＦＩＤタグ７０を所持することを義務付ける一方、電子カセッテ４０に対して、ＲＦＩＤタグ７０と予め定められた距離（本実施の形態では、３ｍ）の範囲内で通信することのできるタグリーダ６２が備えられている。タグリーダ６２はカセッテ制御部５８に接続されており、カセッテ制御部５８は、タグリーダ６２によるＲＦＩＤタグ７０との通信状態を把握することができる。
【０１３１】
また、電子カセッテ４０には電源部７０が設けられており、上述した各種回路や各素子（ゲート線ドライバ５２、第１信号処理部５４、第２信号処理部５５、画像メモリ５６、無線通信部６０、タグリーダ６２、カセッテ制御部５８として機能するマイクロコンピュータ等）は、電源部７０から供給された電力によって作動する。電源部７０は、電子カセッテ４０の可搬性を損なわないように、バッテリ（充電可能な二次電池）を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。なお、図８では、電源部７０と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【０１３２】
一方、図８に示すように、コンソール１１０は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ１１１と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル１１２と、を備えている。
【０１３３】
また、本実施の形態に係るコンソール１１０は、装置全体の動作を司るＣＰＵ１１３と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたＲＯＭ１１４と、各種データを一時的に記憶するＲＡＭ１１５と、各種データを記憶して保持するＨＤＤ（ハードディスク・ドライブ）１１６と、ディスプレイ１１１への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ１１７と、操作パネル１１２に対する操作状態を検出する操作入力検出部１１８と、を備えている。また、コンソール１１０は、無線通信により、放射線発生装置１２０との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行うと共に、電子カセッテ４０との間で画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部１１９を備えている。
【０１３４】
ＣＰＵ１１３、ＲＯＭ１１４、ＲＡＭ１１５、ＨＤＤ１１６、ディスプレイドライバ１１７、操作入力検出部１１８、および無線通信部１１９は、システムバスＢＵＳを介して相互に接続されている。従って、ＣＰＵ１１３は、ＲＯＭ１１４、ＲＡＭ１１５、ＨＤＤ１１６へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ１１７を介したディスプレイ１１１への各種情報の表示の制御、および無線通信部１１９を介した放射線発生装置１２０および電子カセッテ４０との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、ＣＰＵ１１３は、操作入力検出部１１８を介して操作パネル１１２に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【０１３５】
一方、放射線発生装置１２０は、放射線源１２１と、コンソール１１０との間で曝射条件等の各種情報を送受信する無線通信部１２３と、受信した曝射条件に基づいて放射線源１２１を制御する線源制御部１２２と、を備えている。
【０１３６】
線源制御部１２２もマイクロコンピュータを含んで構成されており、受信した曝射条件等を記憶する。このコンソール１１０から受信する曝射条件には管電圧、管電流等の情報が含まれている。線源制御部１２２は、受信した曝射条件に基づいて放射線源１２１から放射線Ｘを照射させる。
【０１３７】
次に、本実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。
【０１３８】
まず、図９を参照して、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を説明する。なお、図９は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。
【０１３９】
同図のステップ３００では、予め定められた初期情報入力画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御し、次のステップ３０２にて所定情報の入力待ちを行う。
【０１４０】
図１０には、上記ステップ３００の処理によってディスプレイ１１１により表示される初期情報入力画面の一例が示されている。同図に示すように、本実施の形態に係る初期情報入力画面では、これから放射線画像の撮影を行う被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および撮影時の放射線Ｘの曝射条件（本実施の形態では、放射線Ｘを曝射する際の管電圧および管電流）の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
【０１４１】
同図に示す初期情報入力画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、撮影対象とする被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および曝射条件を、各々対応する入力領域に操作パネル１１２を介して入力する。
【０１４２】
そして、撮影者は、被検者と共に放射線撮影室１８０に入室し、撮影時の姿勢が立位または臥位である場合は、対応する立位台１６０の保持部１６２または臥位台１６４の保持部１６６に電子カセッテ４０を保持させると共に放射線源１２１を対応する位置に位置決めした後、被検者を所定の撮影位置に位置（ポジショニング）させる。これに対し、撮影対象部位が腕部、脚部等の電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で放射線画像の撮影を行う場合に、撮影者は、当該撮影対象部位を撮影可能な状態に被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１を位置決め（ポジショニング）する。
【０１４３】
その後、撮影者は、放射線撮影室１８０を退室し、上記初期情報入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンを、操作パネル１１２を介して指定する。撮影者によって終了ボタンが指定されると、上記ステップ３０２が肯定判定となってステップ３０４に移行する。
【０１４４】
ステップ３０４では、上記初期情報入力画面において入力された情報（以下、「初期情報」という。）を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信した後、次のステップ３０６にて、上記初期情報に含まれる曝射条件を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて放射線発生装置１２０の線源制御部１２２は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
【０１４５】
次のステップ３０８では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信する。
【０１４６】
これに応じて、放射線源１２１は、放射線発生装置１２０がコンソール１１０から受信した曝射条件に応じた管電圧および管電流での放射線Ｘの射出を開始する。放射線源１２１から射出された放射線Ｘは、被検者を透過した後に電子カセッテ４０に到達する。
【０１４７】
一方、電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８は、前述した放射線量取得機能によって放射線量情報を取得し、取得した放射線量情報により示される放射線量が、放射線の照射が開始されたことを検出するための値として予め定められた第１閾値以上となるまで待機する。次いで、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を開始した後、上記放射線量情報により示される放射線量の累積値が、上記初期情報に含まれる撮影対象部位および曝射条件等に基づいて放射線Ｘの曝射を停止させるための値として予め定められた第２閾値に達した時点で撮影動作を停止すると共に、曝射停止情報をコンソール１１０に送信する。
【０１４８】
そこで、次のステップ３１０では、上記曝射停止情報の受信待ちを行い、次のステップ３１２にて、放射線Ｘの曝射の停止を指示する指示情報を放射線発生装置１２０に無線通信部１１９を介して送信する。これに応じて、放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が停止される。
【０１４９】
一方、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を停止すると、当該撮影によって得られた画像データをコンソール１１０に送信する。
【０１５０】
そこで、次のステップ３１４では、上記画像データが電子カセッテ４０から受信されるまで待機し、次のステップ３１６にて、受信した画像データに対し、前述した欠陥画素補正処理を施した後、シェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
【０１５１】
次のステップ３１８では、上記画像処理が行われた画像データ（以下、「補正画像データ」という。）をＨＤＤ１１６に記憶し、次のステップ３２０にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ１１１によって表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御する。
【０１５２】
次のステップ３２２では、補正画像データをＲＩＳサーバ１５０へ病院内ネットワーク１０２を介して送信し、その後に本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、ＲＩＳサーバ１５０へ送信された補正画像データはデータベース１５０Ａに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【０１５３】
次に、図１１を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図１１は、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が可能となった際に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。
【０１５４】
同図のステップ４００では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が不可能となるまで待機する。すなわち、本実施の形態では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０と通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なしてステップ４０２以降の処理（照射検出撮影モード）に移行する。
【０１５５】
ステップ４０２では、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得し、次のステップ４０４にて、取得した情報により示される放射線量が前述した第１閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ４０２に戻る一方、肯定判定となった場合には放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が開始されたものと見なしてステップ４０６に移行する。
【０１５６】
ステップ４０６では、放射線画像の撮影動作を開始し、次のステップ４０８にて、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得する。
【０１５７】
次のステップ４１０では、上記ステップ４０８の処理によって取得した情報により示される放射線量が前述した第２閾値以上となったか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ４１２に移行して、上記ステップ４０８の処理によって取得した放射線量を累積した後に上記ステップ４０８に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ４１４に移行する。なお、上記ステップ４０８〜ステップ４１２の処理を繰り返し実行する際に、上記ステップ４１０では、それまでに累積した放射線量が上記第２閾値以上となったか否かを判定する。
【０１５８】
ステップ４１４では、上記ステップ４０６の処理によって開始した撮影動作を停止し、次のステップ４１６にて、前述した曝射停止情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０１５９】
次のステップ４１８では、ゲート線ドライバ５２を制御してゲート線ドライバ５２から１ラインずつ順に各ゲート配線３４にオン信号を出力させ、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンさせる。
【０１６０】
放射線検出器２０は、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンされると、１ラインずつ順に各コンデンサ９に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線３６に流れ出す。各データ配線３６に流れ出した電気信号は第１信号処理部５４でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ５６に記憶される。
【０１６１】
そこで、本ステップ４１８では、画像メモリ５６に記憶された画像データを読み出し、次のステップ４２０にて、読み出した画像データをコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信した後、本カセッテ撮影処理プログラムを終了する。
【０１６２】
ところで、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、図７に示すように、放射線検出器２０がＴＦＴ基板３０側から放射線Ｘが照射されるように内蔵されている。
【０１６３】
ここで、放射線検出器２０は、図１２に示すように、シンチレータ８が形成された側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の裏面側に設けられたＴＦＴ基板３０により放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式とされた場合、シンチレータ８の同図上面側（ＴＦＴ基板３０の反対側）でより強く発光し、ＴＦＴ基板３０側から放射線が照射されて、当該放射線の入射面の表面側に設けられたＴＦＴ基板３０により放射線画像を読み取る、いわゆる表面読取方式とされた場合、ＴＦＴ基板３０を透過した放射線がシンチレータ８に入射してシンチレータ８のＴＦＴ基板３０側がより強く発光する。ＴＦＴ基板３０に設けられた各センサ部１３には、シンチレータ８で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器２０は、表面読取方式とされた場合の方が裏面読取方式とされた場合よりもＴＦＴ基板３０に対するシンチレータ８の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【０１６４】
また、放射線検出器２０は、光電変換膜４を有機光電変換材料により構成しており、光電変換膜４で放射線がほとんど吸収されない。このため、本実施の形態に係る放射線検出器２０は、表面読取方式により放射線がＴＦＴ基板３０を透過する場合でも光電変換膜４による放射線の吸収量が少ないため、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。表面読取方式では、放射線がＴＦＴ基板３０を透過してシンチレータ８に到達するが、このように、ＴＦＴ基板３０の光電変換膜４を有機光電変換材料により構成した場合、光電変換膜４での放射線の吸収が殆どなく放射線の減衰を少なく抑えることができるため、表面読取方式に適している。
【０１６５】
また、薄膜トランジスタ１０の活性層１７を構成する非晶質酸化物や光電変換膜４を構成する有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板１を放射線の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。このように形成された基板１は放射線の吸収量が少ないため、表面読取方式により放射線がＴＦＴ基板３０を透過する場合でも、放射線に対する感度の低下を抑えることができる。
【０１６６】
また、本実施の形態によれば、図７に示すように、放射線検出器２０をＴＦＴ基板３０が天板４１Ｂ側となるように筐体４１内の天板４１Ｂに貼り付けているが、基板１を剛性の高いプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器２０自体の剛性が高いため、筐体４１の天板４１Ｂを薄く形成することができる。また、基板１を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器２０自体が可撓性を有するため、撮影領域４１Ａに衝撃が加わった場合でも放射線検出器２０が破損しづらい。
【０１６７】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置（本実施の形態では、電子カセッテ４０）に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出し、前記被検者のポジショニングが完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１６８】
また、本実施の形態では、前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置（本実施の形態では、ＲＦＩＤタグ７０）との組み合わせにより前記ポジショニングが完了したか否かを検出しているので、システムを構築する上での自由度を向上させることができる。
【０１６９】
特に、本実施の形態では、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤタグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置（本実施の形態では、タグリーダ６２）によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１７０】
［第２の実施の形態］
まず、図１３を参照して、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１７１】
同図に示すように、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４は、ドアセンサ７２が設けられている点、コンソール１１０に、ドアセンサ７２に接続されたインタフェース部（Ｉ／Ｆ）１３０が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１７２】
なお、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４では、コンソール１１０が、放射線撮影室１８０とは図示しない扉を隔てて設けられた制御室に設けられており、ドアセンサ７２は、当該扉の開閉状態を示す信号をコンソール１１０に送信するものである。
【０１７３】
次に、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。
【０１７４】
まず、図１４を参照して、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を説明する。なお、図１４は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１７５】
同図のステップ３０１Ａでは、ドアセンサ７２から受信した上記扉の開閉状態を示す信号に基づいて、当該扉が２回開閉されるまで待機し、次のステップ３０１Ｂにて、撮影者による被検者のポジショニングが完了したことを示すポジショニング完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１７６】
次に、図１５を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図１５は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図１１と同一の処理を行うステップについては図１１と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１７７】
同図のステップ４００Ａでは、上記ポジショニング完了情報の受信待ちを行い、当該ポジショニング完了情報が受信された時点でステップ４０２に移行する。
【０１７８】
すなわち、本実施の形態では、上記扉の１回目の開閉動作により撮影者および被検者が放射線撮影室１８０に入室し、上記扉の２回目の開閉動作により撮影者が放射線撮影室１８０から退室したものとしており、撮影者が放射線撮影室１８０から退室した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードに移行する。
【０１７９】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室（本実施の形態では、放射線撮影室１８０）と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置（本実施の形態では、コンソール１１０）が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサ（本実施の形態では、ドアセンサ７２）により前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１８０】
［第３の実施の形態］
まず、図１６を参照して、本第３の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１８１】
同図に示すように、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４は、重量センサ７４が設けられている点、コンソール１１０に、重量センサ７４に接続されたインタフェース部（Ｉ／Ｆ）１３０が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１８２】
なお、本第２の実施の形態に係る撮影システム１０４では、コンソール１１０が、放射線撮影室１８０とは図示しない扉を隔てて設けられた制御室に設けられており、重量センサ７４は、立位台１６０および臥位台１６４の周囲で、かつ撮影者が被検者のポジショニングを行う際に存在する領域を含む予め定められた領域（本実施の形態では、放射線撮影室１８０の全域）の重量を計測し、当該重量を示す情報をコンソール１１０に送信するものである。
【０１８３】
次に、本第３の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図１７を参照しつつ説明する。なお、図１７は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１８４】
同図のステップ３０１Ｃでは、重量センサ７４から受信した情報により示される重量が、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数であるものと見なすことができる値として予め定められた閾値以下となるまで待機し、次のステップ３０１Ｄにて、撮影者による被検者のポジショニングが完了したことを示すポジショニング完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１８５】
なお、本第３の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第２の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１８６】
すなわち、本実施の形態では、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数となった場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、電子カセッテ４０を照射検出撮影モードに移行させる。
【０１８７】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサ（本実施の形態では、重量センサ７４）により検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１８８】
［第４の実施の形態］
本第４の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、ＲＦＩＤタグ７０およびタグリーダ６２を有しない点を除いて上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１８９】
以下、本第４の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図１８を参照しつつ説明する。なお、図１８は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図９と同一の処理を行うステップについては図９と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０１９０】
同図のステップ３０３では、撮影者による撮影準備が完了したことを示す撮影準備完了情報を電子カセッテ４０に送信する。
【０１９１】
なお、本第４の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第２の実施の形態に係る電子カセッテ４０と、ポジショニング完了情報の受信待ちを行う点に代えて撮影準備完了情報の受信待ちを行う点を除いて同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０１９２】
すなわち、本実施の形態では、コンソール１１０によって撮影者が予め定められた操作（ここでは、撮影条件を示す情報の登録）を行うことが検出された場合に撮影準備が完了したものと見なして、電子カセッテ４０を照射検出撮影モードに移行させる。
【０１９３】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第１の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置（本実施の形態では、コンソール１１０）によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出しているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０１９４】
［第５の実施の形態］
まず、図１９を参照して、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０１９５】
同図に示すように、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４は、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。
【０１９６】
次に、本第５の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２０を参照しつつ説明する。なお、図２０は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。
【０１９７】
同図のステップ５００では、一例として図１０に示される初期情報入力画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御し、次のステップ５０２にて所定情報の入力待ちを行う。
【０１９８】
図１０に示すように、本実施の形態に係る初期情報入力画面では、これから放射線画像の撮影を行う被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および撮影時の放射線Ｘの曝射条件（本実施の形態では、放射線Ｘを曝射する際の管電圧および管電流）の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
【０１９９】
同図に示す初期情報入力画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、撮影対象とする被検者の氏名、撮影対象部位、撮影時の姿勢、および曝射条件を、各々対応する入力領域に操作パネル１１２を介して入力する。
【０２００】
そして、撮影者は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチをオン状態として、被検者と共に放射線撮影室１８０に入室し、撮影時の姿勢が立位または臥位である場合は、対応する立位台１６０の保持部１６２または臥位台１６４の保持部１６６に電子カセッテ４０を保持させると共に放射線源１２１を対応する位置に位置決めした後、被検者を所定の撮影位置に位置（ポジショニング）させる。これに対し、撮影対象部位が腕部、脚部等の電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で放射線画像の撮影を行う場合に、撮影者は、当該撮影対象部位を撮影可能な状態に被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１を位置決め（ポジショニング）する。
【０２０１】
その後、撮影者は、放射線撮影室１８０を退室し、上記初期情報入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンを、操作パネル１１２を介して指定する。撮影者によって終了ボタンが指定されると、上記ステップ５０２が肯定判定となってステップ５０４に移行する。
【０２０２】
ステップ５０４では、上記初期情報入力画面において入力された情報（初期情報）を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信した後、次のステップ５０６にて、上記初期情報に含まれる曝射条件を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信することにより当該曝射条件を設定する。これに応じて放射線発生装置１２０の線源制御部１２２は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
【０２０３】
次のステップ５０８では、一例として図２１に示される照射検出撮影モード移行指示画面をディスプレイ１１１により表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御した後、次のステップ５１０にて所定情報の入力待ちを行う。
【０２０４】
図２１に示すように、本実施の形態に係る照射検出撮影モード移行指示画面では、照射検出撮影モードへの移行を指示する際に指定されるソフトウェア・スイッチ１１１’が表示される。
【０２０５】
同図に示す照射検出撮影モード移行指示画面がディスプレイ１１１に表示されると、撮影者は、照射検出撮影モードに移行させる場合にはソフトウェア・スイッチ１１１’を、操作パネル１１２を介して指定する。なお、撮影者は、被検者、電子カセッテ４０、および放射線源１２１の少なくとも１つのポジションがずれた、電子カセッテ４０および放射線源１２１の少なくとも一方が故障した等といった何らかの理由で照射検出撮影モードに移行させない場合には当該理由が解消されるまで、ソフトウェア・スイッチ１１１’の指定を待機する。撮影者によってソフトウェア・スイッチ１１１’が指定されると、上記ステップ５１０が肯定判定となってステップ５１２に移行する。
【０２０６】
ステップ５１２では、照射検出撮影モードへの移行を指示する照射検出撮影モード移行指示情報を電子カセッテ４０に無線通信部１１９を介して送信し、次のステップ５１４では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置１２０へ無線通信部１１９を介して送信する。
【０２０７】
これに応じて、放射線源１２１は、放射線発生装置１２０がコンソール１１０から受信した曝射条件に応じた管電圧および管電流での放射線Ｘの射出を開始する。放射線源１２１から射出された放射線Ｘは、被検者を透過した後に電子カセッテ４０に到達する。
【０２０８】
一方、電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８は、前述した放射線量取得機能によって放射線量情報を取得し、取得した放射線量情報により示される放射線量が、放射線の照射が開始されたことを検出するための値として予め定められた第１閾値以上となるまで待機する。次いで、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を開始した後、上記放射線量情報により示される放射線量の累積値が、上記初期情報に含まれる撮影対象部位および曝射条件等に基づいて放射線Ｘの曝射を停止させるための値として予め定められた第２閾値に達した時点で撮影動作を停止すると共に、曝射停止情報をコンソール１１０に送信する。
【０２０９】
そこで、次のステップ５１６では、上記曝射停止情報の受信待ちを行い、次のステップ５１８にて、放射線Ｘの曝射の停止を指示する指示情報を放射線発生装置１２０に無線通信部１１９を介して送信する。これに応じて、放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が停止される。
【０２１０】
一方、電子カセッテ４０は、放射線画像の撮影動作を停止すると、当該撮影によって得られた画像データをコンソール１１０に送信する。
【０２１１】
そこで、次のステップ５２０では、上記画像データが電子カセッテ４０から受信されるまで待機し、次のステップ５２２にて、受信した画像データに対し、前述した欠陥画素補正処理を施した後、シェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
【０２１２】
次のステップ５２４では、上記画像処理が行われた画像データ（以下、「補正画像データ」という。）をＨＤＤ１１６に記憶し、次のステップ５２６にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ１１１によって表示させるようにディスプレイドライバ１１７を制御する。
【０２１３】
次のステップ５２８では、補正画像データをＲＩＳサーバ１５０へ病院内ネットワーク１０２を介して送信し、その後に本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、ＲＩＳサーバ１５０へ送信された補正画像データはデータベース１５０Ａに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【０２１４】
次に、図２２を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２２は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。
【０２１５】
同図のステップ６５０では、上記照射検出撮影モード移行指示情報がコンソール１１０から受信されるまで待機し、次のステップ６５２では、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得し、次のステップ６５４にて、取得した情報により示される放射線量が前述した第１閾値以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ６５２に戻る一方、肯定判定となった場合には放射線源１２１からの放射線Ｘの曝射が開始されたものと見なしてステップ６５６に移行する。
【０２１６】
ステップ６５６では、放射線画像の撮影動作を開始し、次のステップ６５８にて、前述した放射線量取得機能により放射線量情報を取得する。
【０２１７】
次のステップ６６０では、上記ステップ６５８の処理によって取得した情報により示される放射線量が前述した第２閾値以上となったか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ６６２に移行して、上記ステップ６５８の処理によって取得した放射線量を累積した後に上記ステップ６５８に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ６６４に移行する。なお、上記ステップ６５８〜ステップ６６２の処理を繰り返し実行する際に、上記ステップ６６０では、それまでに累積した放射線量が上記第２閾値以上となったか否かを判定する。
【０２１８】
ステップ６６４では、上記ステップ６５６の処理によって開始した撮影動作を停止し、次のステップ６６６にて、前述した曝射停止情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０２１９】
次のステップ６６８では、ゲート線ドライバ５２を制御してゲート線ドライバ５２から１ラインずつ順に各ゲート配線３４にオン信号を出力させ、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンさせる。
【０２２０】
放射線検出器２０は、各ゲート配線３４に接続された各薄膜トランジスタ１０を１ラインずつ順にオンされると、１ラインずつ順に各コンデンサ９に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線３６に流れ出す。各データ配線３６に流れ出した電気信号は第１信号処理部５４でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ５６に記憶される。
【０２２１】
そこで、本ステップ６６８では、画像メモリ５６に記憶された画像データを読み出し、次のステップ６７０にて、読み出した画像データをコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信した後、本カセッテ撮影処理プログラムを終了する。
【０２２２】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態では、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置（本実施の形態では、電子カセッテ４０）に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力（本実施の形態では、ソフトウェア・スイッチ１１１’の指定）が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、消費電力を抑制しつつ、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２２３】
また、本実施の形態では、少なくとも１つの予め定められた処理（本実施の形態では、初期情報（本発明の「撮影条件を示す情報」に相当。）を登録する処理）が終了した後に前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御しているので、誤操作による前記指示入力の受け付けを防止することができる。
【０２２４】
特に、本実施の形態では、前記予め定められた処理を、撮影者による撮影準備が完了したことを検出する処理としているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２２５】
さらに、本実施の形態では、前記指示入力を受け付けることを報知（本実施の形態では、照射検出撮影モード移行指示画面による報知）しているので、撮影者に対して指示入力を受け付けることを容易に把握させることができる結果、より利便性を向上させることができる。
【０２２６】
［第６の実施の形態］
本第６の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２２７】
以下、本第６の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２３を参照しつつ説明する。なお、図２３は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２２８】
後述するように、本実施の形態に係る電子カセッテ４０は、電源スイッチがオン状態にされると、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０と通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、コンソール１１０にポジショニング完了情報を送信する。
【０２２９】
そこで、同図のステップ５０７では、上記ポジショニング完了情報が受信されるまで待機し、その後にステップ５０８に移行する。
【０２３０】
次に、図２４を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２４は、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が可能となった際に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２２と同一の処理を行うステップについては図２２と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２３１】
同図のステップ６４６では、タグリーダ６２によってＲＦＩＤタグ７０との通信が不可能となるまで待機した後、次のステップ６４８にて、ポジショニング完了情報をコンソール１１０に無線通信部６０を介して送信する。
【０２３２】
以上、詳細に説明したように、本実施の形態では、上記第５の実施の形態と略同様の効果を奏することができると共に、前記予め定められた処理を、前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理としているので、撮影者による特別な動作を要することなく、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２３３】
［第７の実施の形態］
本第７の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、図１３に示される上記第２の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２３４】
以下、本第７の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２５を参照しつつ説明する。なお、図２５は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２３５】
同図のステップ５０１Ａでは、ドアセンサ７２から受信した上記扉の開閉状態を示す信号に基づいて、当該扉が２回開閉されるまで待機し、その後にステップ５０２に移行する。
【０２３６】
なお、本第７の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第５の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２３７】
すなわち、本実施の形態では、上記扉の１回目の開閉動作により撮影者および被検者が放射線撮影室１８０に入室し、上記扉の２回目の開閉動作により撮影者が放射線撮影室１８０から退室したものとしており、撮影者が放射線撮影室１８０から退室した場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力の受け付けを行うことができるようにしている。
【０２３８】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２３９】
［第８の実施の形態］
本第８の実施の形態に係る撮影システム１０４の構成は、図１６に示される上記第３の実施の形態に係る撮影システム１０４と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２４０】
以下、本第８の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用として、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用を、図２６を参照しつつ説明する。なお、図２６は、操作パネル１１２を介して実行する旨の指示入力が行われた際にコンソール１１０のＣＰＵ１１３によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはＲＯＭ１１４の所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２０と同一の処理を行うステップについては図２０と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２４１】
同図のステップ５０１Ｂでは、重量センサ７４から受信した情報により示される重量が、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数であるものと見なすことができる値として予め定められた閾値以下となるまで待機し、その後にステップ５０２に移行する。
【０２４２】
なお、本第８の実施の形態に係る電子カセッテ４０の作用は、上記第５の実施の形態に係る電子カセッテ４０と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【０２４３】
すなわち、本実施の形態では、放射線撮影室１８０に存在する人の数が被検者のみの数となった場合に、撮影者による被検者のポジショニングが完了したものと見なして、照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力の受け付けを行うことができるようにしている。
【０２４４】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２４５】
［第９の実施の形態］
まず、図２７を参照して、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４の電気系の要部構成について説明する。なお、同図における図８と同一の構成要素には図８と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【０２４６】
同図に示すように、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４は、電子カセッテ４０に設置位置の振動を検出する振動検出部６１が設けられている点、ＲＦＩＤタグ７０が用いられず、かつ電子カセッテ４０にタグリーダ６２が設けられていない点のみが上記第１の実施の形態に係る撮影システム１０４と異なっている。振動検出部６１はカセッテ制御部５８に接続されており、カセッテ制御部５８は振動検出部６１による検出状態に基づいて、振動状態を把握することができる。
【０２４７】
本実施の形態に係る振動検出部６１は、振動を検出できれば、加速度センサ、ジャイロセンサ、歪みゲージ、重力センサ、地磁気センサ等の何れとしてもよい。
【０２４８】
振動検出部６１として加速度センサまたはジャイロセンサを適用した場合は、加速度が検出されなくなった場合、または加速度が一定値以内に収まった場合に、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。また、振動検出部６１として歪みゲージを適用した場合は、ひずみがなくなる、またはひずみが安定したら、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。さらに、振動検出部６１として重力センサ、地磁気センサを適用した場合は、重力、地磁気の向きを検出し、重力、地磁気の向きが安定になったら、振動がおさまり、撮影準備が完了したと判断できる。
【０２４９】
次に、本第９の実施の形態に係る撮影システム１０４の作用を説明する。なお、放射線画像の撮影を行う際のコンソール１１０の作用は上記第６の実施の形態と同一であるので、ここでの説明は省略し、以下、図２８を参照して、電子カセッテ４０の作用を説明する。なお、図２８は、電子カセッテ４０の図示しない電源スイッチがオン状態とされた場合に電子カセッテ４０のカセッテ制御部５８におけるＣＰＵ５８Ａにより実行されるカセッテ撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ５８Ｂの所定領域に予め記憶されている。また、同図における図２４と同一の処理を行うステップについては図２４と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【０２５０】
ステップ６４６Ａでは、振動検出部６１により検出された振動の状態が、撮影準備が完了したとみなすことができる予め定められた状態となるまで待機し、その後にステップ６４８に移行する。
【０２５１】
ここで、電子カセッテ４０を立位台１６０の保持部１６２や臥位台１６４の保持部１６６に保持させた状態で撮影を行う場合と電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態で撮影を行う場合とでは、被検者や電子カセッテ４０のポジショニングによって振動検出部６１により検出される振動の大きさが異なり、保持部に保持された状態の方が保持部に保持させない状態よりもポジショニングによって振動検出部６１により検出される振動が小さい。
【０２５２】
このため、電子カセッテ４０を保持部に保持させた状態での撮影と電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態での撮影かを特定し、撮影準備が完了したとみなすことができる状態の条件を変えてもよい。
【０２５３】
例えば、所定時間（例えば、５秒）の間で振動検出部６１により検出される振動値の変動量が所定の閾値以下となった場合に撮影準備が完了したとみなすものとした場合、電子カセッテ４０を保持部に保持させた状態での撮影よりも電子カセッテ４０を保持部に保持させない状態での撮影で、閾値の値を小さく変更するようにしてもよい。
【０２５４】
本実施の形態でも、上記第６の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２５５】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【０２５６】
また、上記の実施の形態は、クレーム（請求項）にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【０２５７】
例えば、上記第２の実施の形態および上記第７の実施の形態では、扉の２回の開閉動作をポジショニング完了の判断基準とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、扉の１回の開閉動作を判断基準とする形態としてもよい。これは、撮影者が扉を開けたまま被検者のポジショニングを行う場合もあるためであり、扉を開けたままポジショニングすれば、放射線源のインターロック（安全装置）により、放射線撮影室の外にいる第３者に誤って放射線照射用のボタンを押されることもない。
【０２５８】
また、上記第３の本実施の形態および上記第８の実施の形態では、本発明の人感センサとして重量センサを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサ等の他の人感センサを適用する形態としてもよい。この場合も、上記第３の実施の形態および上記第８の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【０２５９】
また、上記第４の実施の形態および上記第５の実施の形態では、撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に撮影準備が完了したと検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図２９に示すように、コンソール１１０のディスプレイ１１１により、撮影準備が完了した際に指定されるソフトウェア・スイッチ１１１Ａを表示させ、当該ソフトウェア・スイッチ１１１Ａが指定されたことを検出することによって撮影準備が完了したと検出する形態としてもよく、また、例えば、一例として図３０に示すように、電子カセッテ４０に撮影準備が完了した際に押圧操作されるハードウェア・スイッチ４５を設け、当該ハードウェア・スイッチ４５が押圧操作されたことを検出することによって撮影準備が完了したと検出する形態としてもよい。なお、この場合、ハードウェア・スイッチ４５を設ける位置は電子カセッテ４０に限らず、コンソール１１０、放射線発生装置１２０、立位台１６０、臥位台１６４、放射線撮影室１８０の壁面等の他の位置としてもよいことは言うまでもない。
【０２６０】
これらの場合、容易な操作により、適切なタイミングで放射線の照射開始を検出することができる。
【０２６１】
また、上記各実施の形態では、一例として図３１（Ａ）に示すように、放射線検出用画素３２Ａとして放射線画像取得用画素３２Ｂの一部を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図３１（Ｂ）に示すように、放射線検出用画素３２Ａを、放射線画像取得用画素３２Ｂの間隙に設ける形態としてもよい。この場合、放射線検出用画素３２Ａが設けられた位置に対応する放射線画像取得用画素３２Ｂの面積が小さくなるため、当該画素の感度は低減するものの、当該画素も放射線画像の検出用として用いることができるため、放射線画像の品質を向上させることができる。
【０２６２】
また、放射線の照射を検出する手段としては、前述した特許文献１に開示されているように、バイアス電流をモニタしたり、特開２０１０−２６３５１７号公報に開示されているように、上記増幅器（アンプ）を流れる電流をモニタしたりすることによって、電流の変化から放射線の照射を検出してもよい。
【０２６３】
また、上記各実施の形態では、放射線検出器２０に設けられた画素３２の一部を放射線検出用画素３２Ａとして用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線検出用画素３２Ａを、画素３２とは別層として放射線検出器２０に積層する形態としてもよい。この場合、欠陥画素が生じることがないため、上記各実施の形態に比較して、放射線画像の品質を向上させることができる。
【０２６４】
また、上記各実施の形態では、センサ部１３が、シンチレータ８で発生した光を受光することにより電荷が発生する有機光電変換材料を含んで構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、センサ部１３として有機光電変換材料を含まずに構成されたものを適用する形態としてもよい。
【０２６５】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ４０の筐体４１の内部にカセッテ制御部５８や電源部７０を収容するケース４２と放射線検出器２０とを重ならないように配置した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、放射線検出器２０とカセッテ制御部５８や電源部７０を重なるように配置してもよい。
【０２６６】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ４０とコンソール１１０との間、放射線発生装置１２０とコンソール１１０との間で、無線にて通信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらの少なくとも一方を有線にて通信を行う形態としてもよい。
【０２６７】
また、上記各実施の形態では、放射線としてＸ線を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、γ線等の他の放射線を適用する形態としてもよい。
【０２６８】
その他、上記各実施の形態で説明したＲＩＳ１００の構成（図１参照。）、放射線撮影室の構成（図２参照。）、電子カセッテ４０の構成（図３〜図７，図３０参照。）、撮影システム１０４の構成（図８，図１３，図１６，図１９，図２７参照。）は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【０２６９】
また、上記各実施の形態で説明した初期情報の構成も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
【０２７０】
また、上記各実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ（図９，図１１，図１４，図１５，図１７，図１８，図２０，図２２〜図２６，図２８参照。）も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【０２７１】
さらに、上記実施の形態で説明した各種画面の構成（図１０，図２１，図２９参照。）も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【０２７２】
４０ 電子カセッテ
４５ ハードウェア・スイッチ
５８ カセッテ制御部
５８Ａ ＣＰＵ（検出手段，制御手段，受付手段）
６０ 無線通信部
６２ タグリーダ（通信装置）
７０ ＲＦＩＤタグ
７２ ドアセンサ（センサ）
７４ 重量センサ
１００ ＲＩＳ
１１０ コンソール
１１１ ディスプレイ
１１１’ ソフトウェア・スイッチ
１１１Ａ ソフトウェア・スイッチ
１１２ 操作パネル
１１３ ＣＰＵ
１１６ ＨＤＤ
１１９ 無線通信部
Ｘ 放射線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、
撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項２】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置とは異なる装置、または前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置との組み合わせにより、前記ポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項３】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤタグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置を含み、前記通信装置によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項４】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサにより前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項５】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサにより検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項６】
前記人感センサは、前記撮影室の床面に設けられ、人の重量を検出する重量センサである
請求項５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項７】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項８】
前記検出手段は、前記制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項７記載の放射線画像撮影システム。
【請求項９】
前記検出手段は、予め定められた位置に設けられたスイッチを含み、前記スイッチが操作されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１０】
前記スイッチは、表示手段によって表示されるソフトウェア・スイッチである
請求項９記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１１】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器と、
撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項１２】
コンピュータを、
撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項１３】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、
前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項１４】
前記制御手段は、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する
請求項１３記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１５】
撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出する第１検出手段をさらに備え、
前記予め定められた処理は、前記第１検出手段により前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理である
請求項１４記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１６】
前記第１検出手段は、前記撮影者が前記被検者から予め定められた距離以上離れたことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項１５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１７】
前記第１検出手段は、前記放射線画像撮影装置の振動が予め定められた範囲内となったことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項１５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１８】
撮影者による撮影準備が完了したか否かを検出する第２検出手段をさらに備え、
前記予め定められた処理は、前記第２検出手段により前記撮影準備が完了したことを検出する処理である
請求項１４から請求項１７の何れか１項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１９】
前記第２検出手段は、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１８記載の放射線画像撮影システム。
【請求項２０】
前記受付手段により前記指示入力を受け付けることを報知する報知手段をさらに有する
請求項１３から請求項１９の何れか１項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項２１】
コンピュータを、
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項２２】
前記制御手段は、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する
請求項２１記載のプログラム。
【請求項１】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、
撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項２】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置とは異なる装置、または前記放射線画像撮影装置と当該放射線画像撮影装置とは異なる装置との組み合わせにより、前記ポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項３】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記撮影者によって所持されるＲＦＩＤタグと予め定められた距離の範囲内で通信することのできる通信装置を含み、前記通信装置によって前記ＲＦＩＤタグと通信できる状態から通信できない状態に移行した場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項４】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室と前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置が配置された制御室との間の扉の開閉を検出するセンサにより前記撮影者が前記撮影室から退室したことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項５】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置が配置された撮影室に存在する人を検出する人感センサにより検出された前記撮影室に存在する人の数が予め定められた数である場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項２記載の放射線画像撮影システム。
【請求項６】
前記人感センサは、前記撮影室の床面に設けられ、人の重量を検出する重量センサである
請求項５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項７】
前記検出手段は、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記撮影者が予め定められた操作を行うことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項８】
前記検出手段は、前記制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項７記載の放射線画像撮影システム。
【請求項９】
前記検出手段は、予め定められた位置に設けられたスイッチを含み、前記スイッチが操作されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１０】
前記スイッチは、表示手段によって表示されるソフトウェア・スイッチである
請求項９記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１１】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線検出器と、
撮影者による被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線検出器を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項１２】
コンピュータを、
撮影者による、放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により前記被検者のポジショニングまたは撮影準備が完了したことが検出された場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項１３】
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置と、
前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項１４】
前記制御手段は、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する
請求項１３記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１５】
撮影者による前記放射線画像撮影装置に対する被検者のポジショニングが完了したか否かを検出する第１検出手段をさらに備え、
前記予め定められた処理は、前記第１検出手段により前記被検者のポジショニングが完了したことを検出する処理である
請求項１４記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１６】
前記第１検出手段は、前記撮影者が前記被検者から予め定められた距離以上離れたことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項１５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１７】
前記第１検出手段は、前記放射線画像撮影装置の振動が予め定められた範囲内となったことが検出された場合に前記ポジショニングが完了したと検出する
請求項１５記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１８】
撮影者による撮影準備が完了したか否かを検出する第２検出手段をさらに備え、
前記予め定められた処理は、前記第２検出手段により前記撮影準備が完了したことを検出する処理である
請求項１４から請求項１７の何れか１項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項１９】
前記第２検出手段は、前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置によって前記放射線画像撮影装置による撮影条件を示す情報が登録されたことが検出された場合に前記撮影準備が完了したと検出する
請求項１８記載の放射線画像撮影システム。
【請求項２０】
前記受付手段により前記指示入力を受け付けることを報知する報知手段をさらに有する
請求項１３から請求項１９の何れか１項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項２１】
コンピュータを、
放射線の照射開始を検出して放射線画像を撮影する照射検出撮影モードを備えた放射線画像撮影装置に対する前記照射検出撮影モードへの移行を指示する指示入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項２２】
前記制御手段は、少なくとも１つの予め定められた処理が終了した後に前記受付手段により前記指示入力が受け付けられた場合、前記放射線画像撮影装置を前記照射検出撮影モードへ移行させるように制御する
請求項２１記載のプログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【公開番号】特開２０１２−１４８０４６（Ｐ２０１２−１４８０４６Ａ）
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−５１９７６（Ｐ２０１１−５１９７６）
【出願日】平成２３年３月９日（２０１１．３．９）
【出願人】（３０６０３７３１１）富士フイルム株式会社 (25,513)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月９日（２０１１．３．９）
【出願人】（３０６０３７３１１）富士フイルム株式会社 (25,513)
【Ｆターム（参考）】
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