放熱装置
【課題】 発熱部材を効率的に放熱し、かつ、無駄なファンの騒音を抑制する放熱装置を提供すること。
【解決手段】 マイコン20は、アンプ部2の温度がA1℃以上である場合に、ファン8の回転速度を高速に設定し、A1℃未満である場合に、ファン8の回転速度を低速に設定する。CPU4aは、CPU4aの温度がB℃以上である場合、又は、アンプ部2の温度がA2℃以上である場合、排気用ファン9の回転速度を高速に設定し、CPU4aの温度がB℃未満であり、かつ、アンプ部2の温度がA2℃未満である場合、排気用ファン9の回転速度を低速に設定する。
【解決手段】 マイコン20は、アンプ部2の温度がA1℃以上である場合に、ファン8の回転速度を高速に設定し、A1℃未満である場合に、ファン8の回転速度を低速に設定する。CPU4aは、CPU4aの温度がB℃以上である場合、又は、アンプ部2の温度がA2℃以上である場合、排気用ファン9の回転速度を高速に設定し、CPU4aの温度がB℃未満であり、かつ、アンプ部2の温度がA2℃未満である場合、排気用ファン9の回転速度を低速に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンやオーディオ機器等の電子機器には、その内部にアンプ部、ハードディスクドライブ(HDD)、CPU、チップ部品、及びDVDドライブ等の発熱部材が配置されている。これらの発熱部材は動作することによって、内部に熱が蓄積し、時間の経過につれて発熱するようになる。このような発熱部材から熱が放出されると、電子機器筐体内は、極めて高温になる。電子機器筐体内が高温になると、電子部品や装置等が誤動作してしまう原因にもなるので、電子機器では、種々の発熱対策が実施されている。一般的には、発熱部材の近傍にファンを配置して、ファンによって空気の流路を形成することによって、発熱部材に冷たい空気を供給し、発熱部材を放熱させる。
【0003】
下記特許文献1は、ファン8によって吸入口16から筐体内に空気を吸入することによりアンプ部2及びHDD5を放熱すると共に、排気用ファン9によって排気口17から筐体内の空気を外部に排出することによりマザーボード4上に設けられたCPUを放熱する放熱装置を記載する。ここで、ファン8の回転速度の制御方法としては、アンプ部2の温度を温度センサで検出し、アンプ部2の温度に基づいてファン8の回転速度を制御することが提案されている。同様に、排気用ファン9の回転速度の制御方法としては、CPUの温度を温度センサで検出し、CPUの温度に基づいて排気用ファン9の回転速度を制御することが提案されている。
【0004】
しかし、アンプ部2の温度が高温であることが検出されファン8の回転速度が高速に制御されたとしても、CPUの温度があまり高くなっていないために排気用ファン9の回転速度が低速である場合には、アンプ部2を効率的に放熱することができない。すなわち、筐体内において、ファン8及び排気用ファン9が共に高速で回転し、吸入口16から外部の空気を筐体内に高速で吸入し、排気口17から筐体内の空気を外部に高速で放出することによってはじめて、筐体内の空気の流れが高速になり、アンプ部2を効率的に放熱できる。しかしながら、排気用ファン9の回転速度が低速であれば、ファン8の回転速度を高速に制御しても、筐体内の空気の流れを高速にすることができず、その結果、アンプ部2を効率的に放熱することができない。その上、ファン8の回転速度を高速に制御することによって、ファン8による騒音が増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2009/028434
【特許文献2】特開平10−307648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、発熱部材を効率的に放熱する放熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態による放熱装置は、吸入口および排気口が形成された筐体と、第1発熱部材、および第2発熱部材と、少なくとも前記第1発熱部材を放熱するための第1ファンと、前記第1発熱部材の温度を検出する第1温度検出手段と、少なくとも前記第2発熱部材を放熱するための第2ファンと、前記第2発熱部材の温度を検出する第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段によって検出された前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御し、前記第1発熱部材の温度および前記第2温度検出手段によって検出された前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御するファン制御手段とを備え、前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度が第1所定温度以上である場合に、前記第1ファンの回転速度を第1回転速度に設定し、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度未満である場合、前記第1ファンの回転速度を前記第1回転速度よりも低速である第2回転速度に設定し、前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が第3所定温度以上である場合、又は、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度以上である第2所定温度以上である場合、前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定し、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であり、かつ、前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度未満である場合、前記第2ファンの回転速度を前記第3回転速度よりも低速である第4回転速度に設定する。
【0008】
仮に第2ファンの回転速度が低速(第4回転速度)であれば、第1ファンの回転速度が高速(第1回転速度)に制御され吸入口から高速で筐体内に空気が吸入されていても排気口から空気を高速で放出することができないので、筐体1内の空気は高速で移動することができず、第1発熱部材を効率的に放熱することができない。そこで、本実施形態では、第1発熱部材の温度が第2所定温度以上である場合、第2ファンの回転速度を高速(第3回転速度)に設定する。これにより、第1ファンの回転速度が高速(第1回転速度)かつ第2ファンの回転速度が高速(第3回転速度)に設定され、吸入口から高速で筐体内に空気が吸入され、排気口から空気を高速で放出することができるので、筐体内の空気は高速で移動することができ、第1発熱部材を効率的に放熱することができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御する第1制御部と、前記第1発熱部材の温度および前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御する第2制御部とを有し、前記第1制御部が、前記第1発熱部材の温度を前記第2制御部に通知する。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であるが前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度以上であるために前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定した後で、前記第1発熱部材の温度が低下したか否かを判断し、前記第1発熱部材の温度が低下していない場合には、前記第2ファンの回転速度を前記第4回転速度に設定する。
【0011】
第1発熱部材の温度が低下していなければ、第2ファンの回転速度を高速に設定したことに意味がなく、むしろ第2ファンの回転速度を高速にすることにより、第2ファンによる騒音が増大したことになる。従って、第2ファンの回転速度を低速(第4回転速度)に設定することにより、第2ファンによる騒音を低減させることができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記第1発熱部材がアンプ部であり、前記第2発熱部材がCPUである。
【0013】
アンプはオーディオ信号のレベルが大きいときやボリューム値が大きいときに温度が上昇するが、この場合にはCPUの温度は余り上昇しない。つまり、アンプの温度とCPUの温度とは相関性が低い。従って、第2ファンの回転速度をCPUのみの温度に基づいて制御するとアンプを効率的に放熱できない。従って、第2ファンの回転速度をCPUの温度だけでなくアンプの温度に基づいても制御することによって上記効果はより顕著になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると発熱部材を効率的に放熱することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による放熱装置が適用されるパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)100の図であり、図1Aは左側から見た場合の断面図、図1Bは右側から見た場合の断面図、図1Cは空気の流路を示す断面図、図1Dはパソコン100内部から下部シャーシ12を見た場合の平面図、図1Eはケース部材6の断面図である。図2はパソコン100のハードウェア構成を示すブロック図である。本例では、前面パネル11側を前面側といい、後面パネル13側を後面側といい、前面パネル11を正面視して右側、左側ということにする。
【0016】
各図1に示すように、パソコン100は、略直方体形状に形成された筐体1と、アンプ部2と、電源トランス3と、マザーボード4と、ハードディスクドライブ(以下、HDDという。)5と、HDD5及びファン8を収納するためのケース部材6と、ケース部材6を覆うためのカバー部材7と、ファン(第1ファン)8と、排気用ファン(第2ファン)9と、ダクト部材10とを備えている。
【0017】
筐体1は、前面パネル11と、下部シャーシ12と、後面パネル13と、前面ブラケット14と、側面シャーシ15と、前面シャーシ24と、図示しない天板とを有し、これらが組み合わされて筐体1が形成される。筐体1の内部であって前面パネル11の裏側には、前面ブラケット14や前面シャーシ24が取り付けられている。
【0018】
各図1または図2に示すように、下部シャーシ12には、アンプ部2、電源トランス3、マザーボード4、および、マイコン20等が取り付けられている。
【0019】
アンプ部2は、発熱部材の1つであって、HDD5に記録されている音楽ファイルに基づいて再生された音楽信号、または、後面パネル13に設けられた音声入力端子から入力された音声信号を増幅するものである。アンプ部2によって増幅された音声信号は、後面パネル13に設けられたスピーカー端子に接続される図示しないスピーカーに供給され、音声として再生される。アンプ部2は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、前方左側の位置に取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、アンプ部2の近傍(周辺)には、アンプ部2の温度を検出するためのアンプ部用温度センサ2aが設けられている。アンプ部用温度センサ2aによって検出されたアンプ部2の温度情報はマイコン20に供給され、ファン8の回転速度を制御するための条件として使用される。また、アンプ部2の温度情報はマイコン20からCPU4aに送信され、排気用ファン9の回転速度を制御するための条件として使用される。
【0021】
電源トランス3は、発熱部材の1つであって、供給される交流電源電圧を1次巻線と二次巻線の巻数比に応じて変圧するものである。電源トランス3は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、前方右側の位置に取り付けられている。
【0022】
HDD5は、複数の音楽ファイルが記録され、OS(オペレーティングシステム)や音楽再生アプリケーション等のプログラムがインストールされている。
【0023】
ファン8は、後述する吸入口16から外部の空気を吸入することにより少なくともアンプ部2及びHDD5を放熱するためのものであり、その回転速度はマイコン20によって制御される。例えば、ファン8の回転速度は、高速(回転速度F1)、低速(回転速度F2)、停止の3段階に設定可能である。詳細には、ファン8は、アンプ部2の温度に基づいてマイコン20よって決定された回転速度で回転する。
【0024】
マザーボード4は、略矩形平板状に形成されたプリント基板によって構成されている。マザーボード4には、図2に示すように、発熱部材の1つであるCPU4a、サウンドカード4b、CPU用温度センサ4c、メモリ(ROM,RAM)4d、ヒートシンク、及び、電源回路部品(コンデンサや抵抗等)等が搭載されている。マザーボード4は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、後方側の位置に取り付けられている。
【0025】
CPU用温度センサ4cは、CPU4aの近傍(周辺)に設けられており、CPU4aの温度を検出する。CPU用温度センサ4cによって検出されたCPU4aの温度情報は、CPU4aに供給され、排気用ファン9の回転速度を制御するための条件として使用される。なお、CPU用温度センサ4cはCPU4a内部に設けられていてもよい。
【0026】
マザーボード4の上方には、図1Bに示すように、略L字状に折り曲げられたダクト部材10が設けられている。ダクト部材10のマザーボード4に対向する開口には排気用ファン9が下部シャーシ12に対して水平になるように取り付けられている。また、後面パネル13には、ダクト部材10の他方の開口に対向する位置に複数の排気口17が形成されている。排気用ファン9およびダクト部材10によって、筐体1内の暖められた空気は、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。なお、排気用ファン9が直接、後面パネル13の排気口17の位置に取り付けられる場合には、ダクト部材10は不要である。
【0027】
排気用ファン9は、筐体1内部の空気(特にマザーボード上方の空気)を排気口17から放出することによって、少なくともマザーボード4に搭載された発熱部材(CPU4a)を放熱するものである。また、排気用ファン9が動作することによって、ファン8による筐体1の前面側から後面側への空気の移動を促進させ、アンプ部2やHDD5の放熱に寄与する。
【0028】
マイコン20は、図示しないROM等のメモリに格納されているプログラムに基づいて、アンプ部2やファン8等の動作を制御するものである。マイコン20は、アンプ部用温度センサ2aから供給されたアンプ部2の温度情報に基づいて、ファン8の動作を制御する(ファン8のオンオフ、及び、ファン8の回転速度を制御する)。
【0029】
図3は、アンプ部2の温度とファン8の回転速度との関係を示す図である。なお、回転速度はF1>F2の関係になっている。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上であるときにファン8の回転速度を高速(回転速度F1)に制御する。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃未満であるときにファン8の回転速度を低速(回転速度F2、回転速度F2は0つまり停止でもよい。)に制御する。
【0030】
CPU4aは、メモリ4d又はHDD5に格納されているプログラムに基づいて、パソコン100全体(もしくはOS)の動作を制御するものである。CPU4aは、CPU用温度センサ4cから供給されたCPU4aの温度情報に基づいて、排気用ファン9の動作を制御する(排気用ファン9の回転オンオフおよび排気用ファン9の回転速度を制御する)。また、CPU4aは、マイコン20から送信されたアンプ部2の温度情報に基づいて、排気用ファン9の動作を制御する(排気用ファン9の回転速度を制御する)。
【0031】
図4は、CPU4aの温度とアンプ部2の温度と排気用ファン9の回転速度との関係を示す図である。なお、所定温度A2はA1以上の値であり、回転速度はG1>G2の関係になっている。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるときに排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御する。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃未満であり、かつ、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満であるときに排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2、回転速度G2は0つまり停止でもよい。)に制御する。
【0032】
CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるときに排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御する。これにより、アンプ部2の温度がA2℃以上のとき(この時ファン8の回転速度は高速(回転速度F1)である)には、CPU4aの温度がB℃未満であっても排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)にすることにより、筐体内の空気の移動を高速にし、アンプ部2を効率的に放熱することができる。つまり、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)であるときに、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御することにより、吸入口16から筐体1内に空気を高速で吸入し、筐体1内を通って、排気口17から外部に空気が高速で放出されるので、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0033】
図1Aに示すように、HDD5およびファン8は、ケース部材6の中に収納されており、ケース部材6は、側面シャーシ15および前面シャーシ24の上面に配された後に、カバー部材7によって上部の開口が覆われて、カバー部材7と共に側面シャーシ15にネジによって結合される。
【0034】
各図1に示すように、下部シャーシ12には、前方端部に左右方向に広がるようにして複数の吸入口16が形成されている。吸入口16は、ファン8の吸引力に基づいて、外部の空気を筐体1内に吸入するためのものである。吸入口16の形状および数は外部から吸入する空気の量に応じて任意の適切な形状及び数が採用され得るが、本例では長円形状の吸入口16が9つ形成されている。また、限定されないが、下部シャーシ12の裏面には図示しない脚部(又は、その他の、下部シャーシ12をパソコン100の設置面から浮かす手段)が取り付けられており、吸入口16が塞がれないようになっている。また、アンプ部2や電源トランス3は、吸入口16を塞がないように、吸入口16よりもやや後方に取り付けられている。
【0035】
ケース部材6は、HDD5を交換可能にするために、HDD5を着脱可能に収納し、筐体1の側面シャーシ15に着脱可能に取り付けられるものである。さらに、ケース部材6は、図1Cのように、HDD5を放熱するための流路A、および、アンプ部2および電源トランス3を放熱するための流路Bを形成するものである。ファン8がファン収納部6bに収納されることにより、図1Eに示すように、ファン8の一部(上側部分、例えば、上半分)は、HDD収納部6a(HDD5や開口6d)に対向し、ファン8の他の一部(下側部分、例えば、下半分)は筒状部6c(開口6e)に対向することになる。すなわち、ファン8の上半分は、HDD収納部6a内の空気を開口6fを介して外部に放出するように機能し、ファン8の下半分は、開口6eからの空気を開口6fを介して外部に放出するように機能する。その結果、ファン8を駆動させることによって、図1Cのように、以下の2つの空気の流路A、Bが形成されることになる。
【0036】
流路Aは、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1内に取り込まれた空気が、(アンプ部2や電源トランス3の位置を介さずに)開口6dを介してHDD収納部6a内に吸入され、ファン収納部6bを介して、開口6fからケース部材6の後方に放出される流路である。流路Aを流れる空気によってHDD5が放熱される。流路Bは、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1内に取り込まれた空気が、(HDD収納部6aを介さずに)アンプ部2や電源トランス3の位置を介して、開口6eから筒状部6c内に吸入され、ファン収納部6bを介して、開口6fからケース部材6の後方に放出される流路である。流路Bを流れる空気によって、流路B上に配されているアンプ部2や電源トランス3が放熱される。このようなケース部材6の構造を採用することによって、互いに分離された2つの流路A、Bが形成される。
【0037】
なお、筒状部6cが設けられることにより、開口部6fから放出された空気が、前方側に回り込んで、再び開口部6eからケース部材6内部に吸入されることを防止することができる。すなわち、筒状部6cを設けることで、開口部6fから放出された空気は、後方に設けられたダクト部材10内に取り込まれるようになる。
【0038】
以上の構成を有するパソコン100の放熱装置の作用について、図1Cを参照して、説明する。ファン8が駆動されると、ファン8の吸引力によって、ケース部材6のHDD収納部6a内部のHDD5によって暖められた空気は、矢印Aに示すように、HDD収納部6a内を後方に移動し、ファン収納部6bおよび開口6fを介してケース部材6の外部に放出される。そして、矢印Aに示すように、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1外部の冷たい空気が筐体1内部に吸入されて、その冷たい空気が開口6dを介してHDD収納部6a内に取り込まれる。このように、HDD収納部6a内では、HDD5によって暖められた空気がケース部材6の外部に放出され、外部から吸入された冷たい空気が取り込まれることにより、HDD収納部6aに収納されたHDD5を放熱することができる。
【0039】
また、ファン8が駆動されると、ファン8の吸引力によって、吸入口16と開口16eとを結ぶ略直線上の領域(流路B上)に配されているアンプ部2や電源トランス3周囲の暖められた空気は、矢印Bに示すように、開口6eを介して筒状部6c内に取り込まれ、ファン収納部6bおよび開口6fを介してケース部材6の外部に放出される。そして、矢印Bに示すように、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1外部の冷たい空気が筐体1内部に吸入されて、その冷たい空気がアンプ部2や電源トランス3の周囲に取り込まれる。このように、ケース部材6の下側では、アンプ部2および電源トランス3によって暖められた空気がケース部材6の筒状部6cを通ってケース部材6の後方に放出され、外部から吸入された冷たい空気が取り込まれることにより、ケース部材6の下方に配置されたアンプ部2や電源トランス3を放熱することができる。
【0040】
排気用ファン9が駆動されることによって、ファン8によってケース部材6の後面から放出された暖かい空気は、排気用ファン9の吸引力によって、ダクト部材10内に吸入される。ダクト部材10の後部開口には後面パネル13の排気口17が位置しているので、ダクト部材10に取り込まれた暖かい空気はダクト部材10内を移動し、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。また、排気用ファン9が駆動されることによって、マザーボード4上に配置されたCPU周辺の暖められた空気は、ダクト10内を移動し、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。従って、排気用ファン9を駆動することによって、CPUを放熱することができる。
【0041】
次に、アンプ部2の温度情報に基づいてファン8の回転速度をマイコン20が制御する動作を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
マイコン20は、初期状態としてファン8の回転速度を低速(回転速度F2)に設定する(S1)。マイコン20は、アンプ部用温度センサ2aからアンプ部2の温度情報を取得する(S2)。マイコン20は、取得したアンプ部2の温度情報をCPU4aに送信する(S3)。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上であるか否かを判断する(S4)。アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上である場合(S4でYES)、マイコン20は、ファン8の回転速度を高速(回転速度F1)に設定する(S5)。ファン8の回転速度を高速に制御することによって、吸入口16から吸入された空気がアンプ部2の周辺を高速に移動するので、アンプ部2を効率的に放熱することができる。一方、アンプ部2の温度が所定温度A1℃未満である場合(S4でNO)、マイコン20は、ファン8の回転速度を低速(回転速度F2)に設定する(S6)。マイコン20は、上記S2〜S6の処理を継続して実行することにより、アンプ部2の温度に応じてファン8の回転速度を制御する。
【0043】
次に、CPU4aの温度情報およびアンプ部2の温度情報に基づいて排気用ファン9の回転速度をCPU4aが制御する動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
CPU4aは、初期状態として排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S11)。CPU4aは、CPU用温度センサ4cからCPU4aの温度情報を取得する(S12)。CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を受信する(S13)。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるか否かを判断する(S14)。CPU4aの温度が所定温度B℃以上である場合(S14でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S16)。排気用ファン9の回転速度を高速に制御することによって、CPU4a周辺の暖められた空気が排気口17から高速に排気されるので、CPU4aを効率的に放熱することができる。
【0045】
CPU4aの温度が所定温度B℃未満である場合(S14でNO)、CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるか否かを判断する(S15)。アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合(S15でYES)、仮に排気用ファン9の回転速度が低速(回転速度G2)であれば、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)に制御され吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入されていても排気口17から空気を高速で放出することができないので、筐体1内の空気は高速で移動することができず、アンプ部2を効率的に放熱することができない。そこで、本実施形態では、この場合に、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S16)。これにより、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)かつ排気用ファン9の回転速度が高速(回転速度G1)に設定され、吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入され、排気口17から空気を高速で放出することができるので、筐体1内の空気は高速で移動することができ、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0046】
一方、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満である場合(S15でNO)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S17)。CPU4aは、上記S12〜S17の処理を継続して実行することにより、CPU4aおよびアンプ部2の温度に応じて排気用ファン9の回転速度を制御する。
【0047】
以上のように、本発明によると、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合には、ファン8及び排気用ファン9の回転速度が高速に設定されることにより、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0048】
図7は、他の実施形態によるCPU4aの動作を示すフローチャートである。なお、マイコン20の動作は図5と同じである。
【0049】
CPU4aは、初期状態として排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S21)。CPU4aは、CPU用温度センサ4cからCPU4aの温度情報を取得する(S22)。CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を受信する(S23)。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるか否かを判断する(S24)。CPU4aの温度が所定温度B℃以上である場合(S24でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S25)。排気用ファン9の回転速度を高速に制御することによって、CPU4a周辺の暖められた空気が排気口17から高速に排気されるので、CPU4aを効率的に放熱することができる。
【0050】
CPU4aの温度が所定温度B℃未満である場合(S24でNO)。CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるか否かを判断する(S26)。アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合(S26でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S27)。これにより、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)かつ排気用ファン9の回転速度が高速(回転速度G1)に設定され、吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入され、排気口17から空気を高速で放出することができるので、筐体1内の空気は高速で移動することができ、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0051】
CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を再度受信する(S28)。CPU4aは、S23で受信したアンプ部2の温度情報と、S28で受信したアンプ部2の温度情報とを比較し、S27で排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことによって、アンプ部2が放熱されアンプ部2の温度が低下したか否かを判断する(S29)。アンプ部2の温度が低下していれば(S29でYES)、排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことに意味があったので、S22に戻る。一方、アンプ部2の温度が低下していなければ(S29でNO)、排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことに意味がなく、むしろ排気用ファン9の回転速度を高速にすることにより、排気用ファン9による騒音が増大したことになる。従って、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S30)ことにより、排気用ファン9による騒音を低減させる。なお、この場合に、CPU4aは、マイコン20にファン8の回転速度を超高速(回転速度F0>F1)に設定するように指示し、マイコン20がこれに応じてファン8の回転速度を超高速(回転速度F0>F1)に設定してもよい。
【0052】
一方、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満である場合(S26でNO)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S30)。CPU4aは、上記S22〜S30の処理を継続して実行することにより、CPU4aおよびアンプ部2の温度に応じて排気用ファン9の回転速度を制御する。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、CPU4a又はマイコン20のいずれか一方が、ファン8及び排気用ファン9の両方の回転速度を制御してもよい。ファン8および排気用ファン9の回転速度は4段階や5段階等に設定できるようにしてもよい。ファン8及び排気用ファン9の回転の向きが逆であってもよい。つまり、開口17から外部の空気を筐体内に吸入し、開口16から筐体内の空気を外部に放出してもよい。発熱部材は、アンプ部2、およびCPU4aに限定されず、HDD、他のチップ部品、DVDドライブ等でもよい。図1の構成においてアンプ部2とHDD5との配置が逆にされていてもよい。本発明は、HDDレコーダ、アンプ、AVアンプ等のパソコン以外の電子機器に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明はパソコン、AVアンプ、アンプなどの放熱装置に特に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の好ましい実施形態によるパソコン100を示す断面図である。
【図1B】本発明の好ましい実施形態によるパソコン100を示す断面図である。
【図1C】ケース部材6及びファン8によって形成される流路A,Bを説明する図である。
【図1D】下部シャーシ12上に取り付けられた部品を説明する平面図である。
【図1E】ケース部材6を左側から見た断面図である。
【図2】パソコン100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】ファン8の制御条件を示す表である。
【図4】排気用ファン9の制御条件を示す表である。
【図5】マイコン20によるファン8の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】CPU4aによる排気用ファン9の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態によるCPU4aによる排気用ファン9の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
100 パソコン
1 筐体
2 アンプ部
2a アンプ部用温度センサ
3 電源トランス
4 マザーボード
4a CPU
4c CPU用温度センサ
5 HDD
6 ケース部材
7 カバー部材
8 ファン
9 排気用ファン
10 ダクト部材
11 前面パネル
12 下部シャーシ
13 後面パネル
14 前面ブラケット
15 側面シャーシ
16 吸入口
17 排気口
20 マイコン
24 前面シャーシ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンやオーディオ機器等の電子機器には、その内部にアンプ部、ハードディスクドライブ(HDD)、CPU、チップ部品、及びDVDドライブ等の発熱部材が配置されている。これらの発熱部材は動作することによって、内部に熱が蓄積し、時間の経過につれて発熱するようになる。このような発熱部材から熱が放出されると、電子機器筐体内は、極めて高温になる。電子機器筐体内が高温になると、電子部品や装置等が誤動作してしまう原因にもなるので、電子機器では、種々の発熱対策が実施されている。一般的には、発熱部材の近傍にファンを配置して、ファンによって空気の流路を形成することによって、発熱部材に冷たい空気を供給し、発熱部材を放熱させる。
【0003】
下記特許文献1は、ファン8によって吸入口16から筐体内に空気を吸入することによりアンプ部2及びHDD5を放熱すると共に、排気用ファン9によって排気口17から筐体内の空気を外部に排出することによりマザーボード4上に設けられたCPUを放熱する放熱装置を記載する。ここで、ファン8の回転速度の制御方法としては、アンプ部2の温度を温度センサで検出し、アンプ部2の温度に基づいてファン8の回転速度を制御することが提案されている。同様に、排気用ファン9の回転速度の制御方法としては、CPUの温度を温度センサで検出し、CPUの温度に基づいて排気用ファン9の回転速度を制御することが提案されている。
【0004】
しかし、アンプ部2の温度が高温であることが検出されファン8の回転速度が高速に制御されたとしても、CPUの温度があまり高くなっていないために排気用ファン9の回転速度が低速である場合には、アンプ部2を効率的に放熱することができない。すなわち、筐体内において、ファン8及び排気用ファン9が共に高速で回転し、吸入口16から外部の空気を筐体内に高速で吸入し、排気口17から筐体内の空気を外部に高速で放出することによってはじめて、筐体内の空気の流れが高速になり、アンプ部2を効率的に放熱できる。しかしながら、排気用ファン9の回転速度が低速であれば、ファン8の回転速度を高速に制御しても、筐体内の空気の流れを高速にすることができず、その結果、アンプ部2を効率的に放熱することができない。その上、ファン8の回転速度を高速に制御することによって、ファン8による騒音が増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2009/028434
【特許文献2】特開平10−307648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、発熱部材を効率的に放熱する放熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態による放熱装置は、吸入口および排気口が形成された筐体と、第1発熱部材、および第2発熱部材と、少なくとも前記第1発熱部材を放熱するための第1ファンと、前記第1発熱部材の温度を検出する第1温度検出手段と、少なくとも前記第2発熱部材を放熱するための第2ファンと、前記第2発熱部材の温度を検出する第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段によって検出された前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御し、前記第1発熱部材の温度および前記第2温度検出手段によって検出された前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御するファン制御手段とを備え、前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度が第1所定温度以上である場合に、前記第1ファンの回転速度を第1回転速度に設定し、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度未満である場合、前記第1ファンの回転速度を前記第1回転速度よりも低速である第2回転速度に設定し、前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が第3所定温度以上である場合、又は、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度以上である第2所定温度以上である場合、前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定し、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であり、かつ、前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度未満である場合、前記第2ファンの回転速度を前記第3回転速度よりも低速である第4回転速度に設定する。
【0008】
仮に第2ファンの回転速度が低速(第4回転速度)であれば、第1ファンの回転速度が高速(第1回転速度)に制御され吸入口から高速で筐体内に空気が吸入されていても排気口から空気を高速で放出することができないので、筐体1内の空気は高速で移動することができず、第1発熱部材を効率的に放熱することができない。そこで、本実施形態では、第1発熱部材の温度が第2所定温度以上である場合、第2ファンの回転速度を高速(第3回転速度)に設定する。これにより、第1ファンの回転速度が高速(第1回転速度)かつ第2ファンの回転速度が高速(第3回転速度)に設定され、吸入口から高速で筐体内に空気が吸入され、排気口から空気を高速で放出することができるので、筐体内の空気は高速で移動することができ、第1発熱部材を効率的に放熱することができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御する第1制御部と、前記第1発熱部材の温度および前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御する第2制御部とを有し、前記第1制御部が、前記第1発熱部材の温度を前記第2制御部に通知する。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であるが前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度以上であるために前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定した後で、前記第1発熱部材の温度が低下したか否かを判断し、前記第1発熱部材の温度が低下していない場合には、前記第2ファンの回転速度を前記第4回転速度に設定する。
【0011】
第1発熱部材の温度が低下していなければ、第2ファンの回転速度を高速に設定したことに意味がなく、むしろ第2ファンの回転速度を高速にすることにより、第2ファンによる騒音が増大したことになる。従って、第2ファンの回転速度を低速(第4回転速度)に設定することにより、第2ファンによる騒音を低減させることができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記第1発熱部材がアンプ部であり、前記第2発熱部材がCPUである。
【0013】
アンプはオーディオ信号のレベルが大きいときやボリューム値が大きいときに温度が上昇するが、この場合にはCPUの温度は余り上昇しない。つまり、アンプの温度とCPUの温度とは相関性が低い。従って、第2ファンの回転速度をCPUのみの温度に基づいて制御するとアンプを効率的に放熱できない。従って、第2ファンの回転速度をCPUの温度だけでなくアンプの温度に基づいても制御することによって上記効果はより顕著になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると発熱部材を効率的に放熱することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による放熱装置が適用されるパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)100の図であり、図1Aは左側から見た場合の断面図、図1Bは右側から見た場合の断面図、図1Cは空気の流路を示す断面図、図1Dはパソコン100内部から下部シャーシ12を見た場合の平面図、図1Eはケース部材6の断面図である。図2はパソコン100のハードウェア構成を示すブロック図である。本例では、前面パネル11側を前面側といい、後面パネル13側を後面側といい、前面パネル11を正面視して右側、左側ということにする。
【0016】
各図1に示すように、パソコン100は、略直方体形状に形成された筐体1と、アンプ部2と、電源トランス3と、マザーボード4と、ハードディスクドライブ(以下、HDDという。)5と、HDD5及びファン8を収納するためのケース部材6と、ケース部材6を覆うためのカバー部材7と、ファン(第1ファン)8と、排気用ファン(第2ファン)9と、ダクト部材10とを備えている。
【0017】
筐体1は、前面パネル11と、下部シャーシ12と、後面パネル13と、前面ブラケット14と、側面シャーシ15と、前面シャーシ24と、図示しない天板とを有し、これらが組み合わされて筐体1が形成される。筐体1の内部であって前面パネル11の裏側には、前面ブラケット14や前面シャーシ24が取り付けられている。
【0018】
各図1または図2に示すように、下部シャーシ12には、アンプ部2、電源トランス3、マザーボード4、および、マイコン20等が取り付けられている。
【0019】
アンプ部2は、発熱部材の1つであって、HDD5に記録されている音楽ファイルに基づいて再生された音楽信号、または、後面パネル13に設けられた音声入力端子から入力された音声信号を増幅するものである。アンプ部2によって増幅された音声信号は、後面パネル13に設けられたスピーカー端子に接続される図示しないスピーカーに供給され、音声として再生される。アンプ部2は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、前方左側の位置に取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、アンプ部2の近傍(周辺)には、アンプ部2の温度を検出するためのアンプ部用温度センサ2aが設けられている。アンプ部用温度センサ2aによって検出されたアンプ部2の温度情報はマイコン20に供給され、ファン8の回転速度を制御するための条件として使用される。また、アンプ部2の温度情報はマイコン20からCPU4aに送信され、排気用ファン9の回転速度を制御するための条件として使用される。
【0021】
電源トランス3は、発熱部材の1つであって、供給される交流電源電圧を1次巻線と二次巻線の巻数比に応じて変圧するものである。電源トランス3は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、前方右側の位置に取り付けられている。
【0022】
HDD5は、複数の音楽ファイルが記録され、OS(オペレーティングシステム)や音楽再生アプリケーション等のプログラムがインストールされている。
【0023】
ファン8は、後述する吸入口16から外部の空気を吸入することにより少なくともアンプ部2及びHDD5を放熱するためのものであり、その回転速度はマイコン20によって制御される。例えば、ファン8の回転速度は、高速(回転速度F1)、低速(回転速度F2)、停止の3段階に設定可能である。詳細には、ファン8は、アンプ部2の温度に基づいてマイコン20よって決定された回転速度で回転する。
【0024】
マザーボード4は、略矩形平板状に形成されたプリント基板によって構成されている。マザーボード4には、図2に示すように、発熱部材の1つであるCPU4a、サウンドカード4b、CPU用温度センサ4c、メモリ(ROM,RAM)4d、ヒートシンク、及び、電源回路部品(コンデンサや抵抗等)等が搭載されている。マザーボード4は、図1Dに示すように、下部シャーシ12の上面であって、後方側の位置に取り付けられている。
【0025】
CPU用温度センサ4cは、CPU4aの近傍(周辺)に設けられており、CPU4aの温度を検出する。CPU用温度センサ4cによって検出されたCPU4aの温度情報は、CPU4aに供給され、排気用ファン9の回転速度を制御するための条件として使用される。なお、CPU用温度センサ4cはCPU4a内部に設けられていてもよい。
【0026】
マザーボード4の上方には、図1Bに示すように、略L字状に折り曲げられたダクト部材10が設けられている。ダクト部材10のマザーボード4に対向する開口には排気用ファン9が下部シャーシ12に対して水平になるように取り付けられている。また、後面パネル13には、ダクト部材10の他方の開口に対向する位置に複数の排気口17が形成されている。排気用ファン9およびダクト部材10によって、筐体1内の暖められた空気は、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。なお、排気用ファン9が直接、後面パネル13の排気口17の位置に取り付けられる場合には、ダクト部材10は不要である。
【0027】
排気用ファン9は、筐体1内部の空気(特にマザーボード上方の空気)を排気口17から放出することによって、少なくともマザーボード4に搭載された発熱部材(CPU4a)を放熱するものである。また、排気用ファン9が動作することによって、ファン8による筐体1の前面側から後面側への空気の移動を促進させ、アンプ部2やHDD5の放熱に寄与する。
【0028】
マイコン20は、図示しないROM等のメモリに格納されているプログラムに基づいて、アンプ部2やファン8等の動作を制御するものである。マイコン20は、アンプ部用温度センサ2aから供給されたアンプ部2の温度情報に基づいて、ファン8の動作を制御する(ファン8のオンオフ、及び、ファン8の回転速度を制御する)。
【0029】
図3は、アンプ部2の温度とファン8の回転速度との関係を示す図である。なお、回転速度はF1>F2の関係になっている。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上であるときにファン8の回転速度を高速(回転速度F1)に制御する。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃未満であるときにファン8の回転速度を低速(回転速度F2、回転速度F2は0つまり停止でもよい。)に制御する。
【0030】
CPU4aは、メモリ4d又はHDD5に格納されているプログラムに基づいて、パソコン100全体(もしくはOS)の動作を制御するものである。CPU4aは、CPU用温度センサ4cから供給されたCPU4aの温度情報に基づいて、排気用ファン9の動作を制御する(排気用ファン9の回転オンオフおよび排気用ファン9の回転速度を制御する)。また、CPU4aは、マイコン20から送信されたアンプ部2の温度情報に基づいて、排気用ファン9の動作を制御する(排気用ファン9の回転速度を制御する)。
【0031】
図4は、CPU4aの温度とアンプ部2の温度と排気用ファン9の回転速度との関係を示す図である。なお、所定温度A2はA1以上の値であり、回転速度はG1>G2の関係になっている。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるときに排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御する。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃未満であり、かつ、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満であるときに排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2、回転速度G2は0つまり停止でもよい。)に制御する。
【0032】
CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるときに排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御する。これにより、アンプ部2の温度がA2℃以上のとき(この時ファン8の回転速度は高速(回転速度F1)である)には、CPU4aの温度がB℃未満であっても排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)にすることにより、筐体内の空気の移動を高速にし、アンプ部2を効率的に放熱することができる。つまり、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)であるときに、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に制御することにより、吸入口16から筐体1内に空気を高速で吸入し、筐体1内を通って、排気口17から外部に空気が高速で放出されるので、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0033】
図1Aに示すように、HDD5およびファン8は、ケース部材6の中に収納されており、ケース部材6は、側面シャーシ15および前面シャーシ24の上面に配された後に、カバー部材7によって上部の開口が覆われて、カバー部材7と共に側面シャーシ15にネジによって結合される。
【0034】
各図1に示すように、下部シャーシ12には、前方端部に左右方向に広がるようにして複数の吸入口16が形成されている。吸入口16は、ファン8の吸引力に基づいて、外部の空気を筐体1内に吸入するためのものである。吸入口16の形状および数は外部から吸入する空気の量に応じて任意の適切な形状及び数が採用され得るが、本例では長円形状の吸入口16が9つ形成されている。また、限定されないが、下部シャーシ12の裏面には図示しない脚部(又は、その他の、下部シャーシ12をパソコン100の設置面から浮かす手段)が取り付けられており、吸入口16が塞がれないようになっている。また、アンプ部2や電源トランス3は、吸入口16を塞がないように、吸入口16よりもやや後方に取り付けられている。
【0035】
ケース部材6は、HDD5を交換可能にするために、HDD5を着脱可能に収納し、筐体1の側面シャーシ15に着脱可能に取り付けられるものである。さらに、ケース部材6は、図1Cのように、HDD5を放熱するための流路A、および、アンプ部2および電源トランス3を放熱するための流路Bを形成するものである。ファン8がファン収納部6bに収納されることにより、図1Eに示すように、ファン8の一部(上側部分、例えば、上半分)は、HDD収納部6a(HDD5や開口6d)に対向し、ファン8の他の一部(下側部分、例えば、下半分)は筒状部6c(開口6e)に対向することになる。すなわち、ファン8の上半分は、HDD収納部6a内の空気を開口6fを介して外部に放出するように機能し、ファン8の下半分は、開口6eからの空気を開口6fを介して外部に放出するように機能する。その結果、ファン8を駆動させることによって、図1Cのように、以下の2つの空気の流路A、Bが形成されることになる。
【0036】
流路Aは、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1内に取り込まれた空気が、(アンプ部2や電源トランス3の位置を介さずに)開口6dを介してHDD収納部6a内に吸入され、ファン収納部6bを介して、開口6fからケース部材6の後方に放出される流路である。流路Aを流れる空気によってHDD5が放熱される。流路Bは、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1内に取り込まれた空気が、(HDD収納部6aを介さずに)アンプ部2や電源トランス3の位置を介して、開口6eから筒状部6c内に吸入され、ファン収納部6bを介して、開口6fからケース部材6の後方に放出される流路である。流路Bを流れる空気によって、流路B上に配されているアンプ部2や電源トランス3が放熱される。このようなケース部材6の構造を採用することによって、互いに分離された2つの流路A、Bが形成される。
【0037】
なお、筒状部6cが設けられることにより、開口部6fから放出された空気が、前方側に回り込んで、再び開口部6eからケース部材6内部に吸入されることを防止することができる。すなわち、筒状部6cを設けることで、開口部6fから放出された空気は、後方に設けられたダクト部材10内に取り込まれるようになる。
【0038】
以上の構成を有するパソコン100の放熱装置の作用について、図1Cを参照して、説明する。ファン8が駆動されると、ファン8の吸引力によって、ケース部材6のHDD収納部6a内部のHDD5によって暖められた空気は、矢印Aに示すように、HDD収納部6a内を後方に移動し、ファン収納部6bおよび開口6fを介してケース部材6の外部に放出される。そして、矢印Aに示すように、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1外部の冷たい空気が筐体1内部に吸入されて、その冷たい空気が開口6dを介してHDD収納部6a内に取り込まれる。このように、HDD収納部6a内では、HDD5によって暖められた空気がケース部材6の外部に放出され、外部から吸入された冷たい空気が取り込まれることにより、HDD収納部6aに収納されたHDD5を放熱することができる。
【0039】
また、ファン8が駆動されると、ファン8の吸引力によって、吸入口16と開口16eとを結ぶ略直線上の領域(流路B上)に配されているアンプ部2や電源トランス3周囲の暖められた空気は、矢印Bに示すように、開口6eを介して筒状部6c内に取り込まれ、ファン収納部6bおよび開口6fを介してケース部材6の外部に放出される。そして、矢印Bに示すように、下部シャーシ12の吸入口16から筐体1外部の冷たい空気が筐体1内部に吸入されて、その冷たい空気がアンプ部2や電源トランス3の周囲に取り込まれる。このように、ケース部材6の下側では、アンプ部2および電源トランス3によって暖められた空気がケース部材6の筒状部6cを通ってケース部材6の後方に放出され、外部から吸入された冷たい空気が取り込まれることにより、ケース部材6の下方に配置されたアンプ部2や電源トランス3を放熱することができる。
【0040】
排気用ファン9が駆動されることによって、ファン8によってケース部材6の後面から放出された暖かい空気は、排気用ファン9の吸引力によって、ダクト部材10内に吸入される。ダクト部材10の後部開口には後面パネル13の排気口17が位置しているので、ダクト部材10に取り込まれた暖かい空気はダクト部材10内を移動し、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。また、排気用ファン9が駆動されることによって、マザーボード4上に配置されたCPU周辺の暖められた空気は、ダクト10内を移動し、排気口17を介して筐体1の外部に放出される。従って、排気用ファン9を駆動することによって、CPUを放熱することができる。
【0041】
次に、アンプ部2の温度情報に基づいてファン8の回転速度をマイコン20が制御する動作を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
マイコン20は、初期状態としてファン8の回転速度を低速(回転速度F2)に設定する(S1)。マイコン20は、アンプ部用温度センサ2aからアンプ部2の温度情報を取得する(S2)。マイコン20は、取得したアンプ部2の温度情報をCPU4aに送信する(S3)。マイコン20は、アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上であるか否かを判断する(S4)。アンプ部2の温度が所定温度A1℃以上である場合(S4でYES)、マイコン20は、ファン8の回転速度を高速(回転速度F1)に設定する(S5)。ファン8の回転速度を高速に制御することによって、吸入口16から吸入された空気がアンプ部2の周辺を高速に移動するので、アンプ部2を効率的に放熱することができる。一方、アンプ部2の温度が所定温度A1℃未満である場合(S4でNO)、マイコン20は、ファン8の回転速度を低速(回転速度F2)に設定する(S6)。マイコン20は、上記S2〜S6の処理を継続して実行することにより、アンプ部2の温度に応じてファン8の回転速度を制御する。
【0043】
次に、CPU4aの温度情報およびアンプ部2の温度情報に基づいて排気用ファン9の回転速度をCPU4aが制御する動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
CPU4aは、初期状態として排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S11)。CPU4aは、CPU用温度センサ4cからCPU4aの温度情報を取得する(S12)。CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を受信する(S13)。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるか否かを判断する(S14)。CPU4aの温度が所定温度B℃以上である場合(S14でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S16)。排気用ファン9の回転速度を高速に制御することによって、CPU4a周辺の暖められた空気が排気口17から高速に排気されるので、CPU4aを効率的に放熱することができる。
【0045】
CPU4aの温度が所定温度B℃未満である場合(S14でNO)、CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるか否かを判断する(S15)。アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合(S15でYES)、仮に排気用ファン9の回転速度が低速(回転速度G2)であれば、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)に制御され吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入されていても排気口17から空気を高速で放出することができないので、筐体1内の空気は高速で移動することができず、アンプ部2を効率的に放熱することができない。そこで、本実施形態では、この場合に、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S16)。これにより、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)かつ排気用ファン9の回転速度が高速(回転速度G1)に設定され、吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入され、排気口17から空気を高速で放出することができるので、筐体1内の空気は高速で移動することができ、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0046】
一方、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満である場合(S15でNO)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S17)。CPU4aは、上記S12〜S17の処理を継続して実行することにより、CPU4aおよびアンプ部2の温度に応じて排気用ファン9の回転速度を制御する。
【0047】
以上のように、本発明によると、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合には、ファン8及び排気用ファン9の回転速度が高速に設定されることにより、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0048】
図7は、他の実施形態によるCPU4aの動作を示すフローチャートである。なお、マイコン20の動作は図5と同じである。
【0049】
CPU4aは、初期状態として排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S21)。CPU4aは、CPU用温度センサ4cからCPU4aの温度情報を取得する(S22)。CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を受信する(S23)。CPU4aは、CPU4aの温度が所定温度B℃以上であるか否かを判断する(S24)。CPU4aの温度が所定温度B℃以上である場合(S24でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S25)。排気用ファン9の回転速度を高速に制御することによって、CPU4a周辺の暖められた空気が排気口17から高速に排気されるので、CPU4aを効率的に放熱することができる。
【0050】
CPU4aの温度が所定温度B℃未満である場合(S24でNO)。CPU4aは、アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上であるか否かを判断する(S26)。アンプ部2の温度が所定温度A2℃以上である場合(S26でYES)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を高速(回転速度G1)に設定する(S27)。これにより、ファン8の回転速度が高速(回転速度F1)かつ排気用ファン9の回転速度が高速(回転速度G1)に設定され、吸入口から高速で筐体1内に空気が吸入され、排気口17から空気を高速で放出することができるので、筐体1内の空気は高速で移動することができ、アンプ部2を効率的に放熱することができる。
【0051】
CPU4aは、マイコン20からアンプ部2の温度情報を再度受信する(S28)。CPU4aは、S23で受信したアンプ部2の温度情報と、S28で受信したアンプ部2の温度情報とを比較し、S27で排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことによって、アンプ部2が放熱されアンプ部2の温度が低下したか否かを判断する(S29)。アンプ部2の温度が低下していれば(S29でYES)、排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことに意味があったので、S22に戻る。一方、アンプ部2の温度が低下していなければ(S29でNO)、排気用ファン9の回転速度を高速に設定したことに意味がなく、むしろ排気用ファン9の回転速度を高速にすることにより、排気用ファン9による騒音が増大したことになる。従って、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S30)ことにより、排気用ファン9による騒音を低減させる。なお、この場合に、CPU4aは、マイコン20にファン8の回転速度を超高速(回転速度F0>F1)に設定するように指示し、マイコン20がこれに応じてファン8の回転速度を超高速(回転速度F0>F1)に設定してもよい。
【0052】
一方、アンプ部2の温度が所定温度A2℃未満である場合(S26でNO)、CPU4aは、排気用ファン9の回転速度を低速(回転速度G2)に設定する(S30)。CPU4aは、上記S22〜S30の処理を継続して実行することにより、CPU4aおよびアンプ部2の温度に応じて排気用ファン9の回転速度を制御する。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、CPU4a又はマイコン20のいずれか一方が、ファン8及び排気用ファン9の両方の回転速度を制御してもよい。ファン8および排気用ファン9の回転速度は4段階や5段階等に設定できるようにしてもよい。ファン8及び排気用ファン9の回転の向きが逆であってもよい。つまり、開口17から外部の空気を筐体内に吸入し、開口16から筐体内の空気を外部に放出してもよい。発熱部材は、アンプ部2、およびCPU4aに限定されず、HDD、他のチップ部品、DVDドライブ等でもよい。図1の構成においてアンプ部2とHDD5との配置が逆にされていてもよい。本発明は、HDDレコーダ、アンプ、AVアンプ等のパソコン以外の電子機器に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明はパソコン、AVアンプ、アンプなどの放熱装置に特に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の好ましい実施形態によるパソコン100を示す断面図である。
【図1B】本発明の好ましい実施形態によるパソコン100を示す断面図である。
【図1C】ケース部材6及びファン8によって形成される流路A,Bを説明する図である。
【図1D】下部シャーシ12上に取り付けられた部品を説明する平面図である。
【図1E】ケース部材6を左側から見た断面図である。
【図2】パソコン100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】ファン8の制御条件を示す表である。
【図4】排気用ファン9の制御条件を示す表である。
【図5】マイコン20によるファン8の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】CPU4aによる排気用ファン9の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態によるCPU4aによる排気用ファン9の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
100 パソコン
1 筐体
2 アンプ部
2a アンプ部用温度センサ
3 電源トランス
4 マザーボード
4a CPU
4c CPU用温度センサ
5 HDD
6 ケース部材
7 カバー部材
8 ファン
9 排気用ファン
10 ダクト部材
11 前面パネル
12 下部シャーシ
13 後面パネル
14 前面ブラケット
15 側面シャーシ
16 吸入口
17 排気口
20 マイコン
24 前面シャーシ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および排気口が形成された筐体と、
第1発熱部材、および第2発熱部材と、
少なくとも前記第1発熱部材を放熱するための第1ファンと、
前記第1発熱部材の温度を検出する第1温度検出手段と、
少なくとも前記第2発熱部材を放熱するための第2ファンと、
前記第2発熱部材の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1温度検出手段によって検出された前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御し、前記第1発熱部材の温度および前記第2温度検出手段によって検出された前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御するファン制御手段とを備え、
前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度が第1所定温度以上である場合に、前記第1ファンの回転速度を第1回転速度に設定し、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度未満である場合、前記第1ファンの回転速度を前記第1回転速度よりも低速である第2回転速度に設定し、
前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が第3所定温度以上である場合、又は、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度以上である第2所定温度以上である場合、前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定し、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であり、かつ、前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度未満である場合、前記第2ファンの回転速度を前記第3回転速度よりも低速である第4回転速度に設定する、放熱装置。
【請求項2】
前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御する第1制御部と、前記第1発熱部材の温度および前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御する第2制御部とを有し、
前記第1制御部が、前記第1発熱部材の温度を前記第2制御部に通知する、請求項1に記載の放熱装置。
【請求項3】
前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であるが前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度以上であるために前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定した後で、前記第1発熱部材の温度が低下したか否かを判断し、前記第1発熱部材の温度が低下していない場合には、前記第2ファンの回転速度を前記第4回転速度に設定する、請求項1または2に記載の放熱装置。
【請求項4】
前記第1発熱部材がアンプ部であり、前記第2発熱部材がCPUである、請求項1〜3のいずれかに記載の放熱装置。
【請求項1】
吸入口および排気口が形成された筐体と、
第1発熱部材、および第2発熱部材と、
少なくとも前記第1発熱部材を放熱するための第1ファンと、
前記第1発熱部材の温度を検出する第1温度検出手段と、
少なくとも前記第2発熱部材を放熱するための第2ファンと、
前記第2発熱部材の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記第1温度検出手段によって検出された前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御し、前記第1発熱部材の温度および前記第2温度検出手段によって検出された前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御するファン制御手段とを備え、
前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度が第1所定温度以上である場合に、前記第1ファンの回転速度を第1回転速度に設定し、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度未満である場合、前記第1ファンの回転速度を前記第1回転速度よりも低速である第2回転速度に設定し、
前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が第3所定温度以上である場合、又は、前記第1発熱部材の温度が前記第1所定温度以上である第2所定温度以上である場合、前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定し、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であり、かつ、前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度未満である場合、前記第2ファンの回転速度を前記第3回転速度よりも低速である第4回転速度に設定する、放熱装置。
【請求項2】
前記ファン制御手段が、前記第1発熱部材の温度に基づいて前記第1ファンの回転を制御する第1制御部と、前記第1発熱部材の温度および前記第2発熱部材の温度に基づいて前記第2ファンの回転を制御する第2制御部とを有し、
前記第1制御部が、前記第1発熱部材の温度を前記第2制御部に通知する、請求項1に記載の放熱装置。
【請求項3】
前記ファン制御手段が、前記第2発熱部材の温度が前記第3所定温度未満であるが前記第1発熱部材の温度が前記第2所定温度以上であるために前記第2ファンの回転速度を第3回転速度に設定した後で、前記第1発熱部材の温度が低下したか否かを判断し、前記第1発熱部材の温度が低下していない場合には、前記第2ファンの回転速度を前記第4回転速度に設定する、請求項1または2に記載の放熱装置。
【請求項4】
前記第1発熱部材がアンプ部であり、前記第2発熱部材がCPUである、請求項1〜3のいずれかに記載の放熱装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−22680(P2011−22680A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165282(P2009−165282)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】
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