説明

放電処理システム

【課題】 種々の外乱要因に備えて適切な処置を講じることで、安定かつ効率の良い処理を行うことができるような放電処理システムを提供する。
【解決手段】 この放電処理システムは、被処理液中に配置された電極部4a,4b,4cと、この電極部に給電する給電部6a,6b,6cとを有する放電ユニット2a,2b,2cを用いるものである。放電ユニットは複数台設置され、複数台の放電ユニットの少なくとも1台が停止した場合に、残りの放電ユニットによって不足する放電エネルギーを補うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中で放電を行って種々の処理を行う放電処理システムに関し、より詳しくは、水の殺菌、微生物の殺菌や不活化、藻類の破壊や不活化、水生生物の槽や施設への付着防止、除去等に用いる放電処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水中に浸漬した電極間に水の絶縁破壊電圧以上の電圧を印加すると、電極間で放電を起こす。この放電に伴って紫外線や衝撃波等が発生することが知られており、これらは水中での各種の処理、例えば、水の殺菌、微生物の殺菌、不活化、槽や施設への付着物の除去や防止、藻類の破壊や不活化等に利用することができる。
【0003】
ところで、このような装置が使用される状況は、多くの場合精密な装置には厳しい環境であり、装置の誤作動や故障を引き起こすおそれが有る。したがって、所定のセンサを設けて、必要に応じて装置を調整するシステムが検討されている。また、このような装置は、重大な故障が起きた場合に、事故を未然に防ぐために、迅速に停止する必要も有る。しかしながら、このような装置は、例えば、無人の状態で自動運転する場合が多いことも予想され、そのような場合に、装置の停止が頻繁に起きると、作業の効率が大幅に低下してしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2004−89874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、種々の外乱要因に備えて適切な処置を講じることで、長時間にわたり安定かつ効率の良い処理を行うことができるような放電処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の放電処理システムは、被処理液中に配置された電極部と、該電極部に給電する給電部とを有する放電ユニットを用いる放電処理システムであって、前記放電ユニットを複数台設置し、前記複数台の放電ユニットの少なくとも1台が停止した場合に、残りの放電ユニットによって不足する放電エネルギーを補うようにすることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数台の放電ユニットの残りの放電ユニットによって不足する放電エネルギーが補われるので、交換や修理を行わずに必要な放電エネルギーを維持しながら運転を継続することができる。
【0008】
請求項2に記載の放電処理システムは、被処理液中に配置された電極部と、該電極部に給電する給電部とを有する放電ユニットを用いる放電処理システムであって、前記電極部又は給電部の少なくとも一方を複数台設置し、前記複数台の電極部又は給電部の少なくとも1台が停止した場合に、残りの電極部と給電部の接続を切り換え可能にしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、残りの電極部と給電部の接続を切り換えることにより、状況に応じた最適の組合せで運転を継続することができる。
【0009】
請求項3に記載の放電処理システムは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記放電ユニットの故障の判断を行なう故障判定手段を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、故障判定手段により故障あるいはその危険性が有ると判定された放電ユニットを停止させる等の措置を迅速に執ることができる。
【0010】
請求項4に記載の放電処理システムは、請求項3に記載の発明において、前記故障判定手段は、電気的放電検出手段、物理的放電検出手段、電極間隔検出手段の内の内1又は複数の検出結果に基づいて判定を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、放電ユニットのいずれの箇所で故障が生じているかあるいはその危険性が有るかを的確に判断することができる。
【0011】
請求項5に記載の放電処理システムは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記放電ユニットは、被処理流体が流通する配管内に設置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の放電処理システムは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の発明において、前記放電ユニットは、被処理流体が滞留する貯留部に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし請求項6に記載の放電処理システムによれば、故障した装置の交換や修理を行わずに必要な放電エネルギーを維持しながら運転を継続することができる。従って、このシステムを使用する処理装置の稼動効率を向上させること、すなわち、長時間の安定かつ高効率な運転ができ、特に、無人運転のような場合に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の放電処理システムが設置される浄水システムを示すものである。この浄水システムでは、河川、井戸等から供給される原水70に凝集剤を添加した後、急速混和池72、緩速混和池74a,74bにおいて撹拌して混和し、沈殿池76において凝集沈殿させる。処理水はさらに濾過池78に送られ、浮遊する固形物は砂又は膜等の濾材80により濾過され、配水池82から後工程に送られる。
【0014】
濾過池78では、濾材80の詰まりを解消するために、これを逆方向水流により間欠的に洗浄する逆洗浄装置84が設けられている。この逆洗浄装置84は、濾過池78に洗浄水を逆流させるためのポンプ86と、逆流した洗浄水を受ける排水池88と、排水池88における沈殿物を受ける排泥池90と、排水池88の上澄み液を返送配管92を介して急速混和池72へ返送するポンプ94とを備えている。排泥池90の上澄み液は戻しポンプ96により排水池88に戻される。
【0015】
返送配管92には、濾材80中に捕獲されて逆洗浄により逆流するクリプトスポリジウム、大腸菌のような有害生物や藻類を、殺菌、不活化処理するための放電処理システムAが設けられている。この放電処理システムAは、図2に示すように、配管10(返送配管92の一部)中に直列方向に3つの放電ユニット2a,2b,2cが設けられているもので、各放電ユニット2a,2b,2cは、電極部4a,4b,4cとこの電極部4a,4b,4cに給電するための給電部6a,6b,6cとを有している。各給電部6a,6b,6cは、図3に示すように、給電回路20と給電制御部26とから構成されている。さらに、放電処理システムAは、3つの放電ユニット2a,2b,2cを制御する制御部8を有している。
【0016】
各電極部4a,4b,4cは、図3に示すように、一対の棒状または板状の高圧側電極12と接地側電極14が左右の側壁を挿通して配管10の中心部で所定の間隙Gを形成するように対向して配置されて構成されている。高圧側電極12は、給電支持部18を介して支持され、給電部6a,6b,6cの給電回路20の高圧出力端子に接続されている。接地側電極14は、電流計16を介して接地されている。これらの接地側及び高圧側の電極12,14は、図示しないシール機構を介して配管10に挿入され、配管10の外部に設けられた電極駆動機構22a,22bにより、配管10の軸線を通る水平面内において前後移動可能になっている。
【0017】
図2に示すように、給電部6a,6b,6cから各電極部4a,4b,4cにつながる給電線には、開閉スイッチS1,S2,S3が設けられ、また、給電部6a,6b,6cの出力線を相互に連絡させる連絡スイッチS12,S23,S13が設けられている。これらのスイッチは、同じく制御部8によって開閉制御される。
【0018】
給電回路20は、図4に示すように、電源28と、電源電圧を充電電圧に昇圧するトランス(変圧器)30と、トランス30の1次側に配置されて充電をオンオフするスイッチング素子(IGBT)32と、トランス30の2次側に配置された充電用コンデンサ34と、充電用コンデンサ34と並列に配置されてその充電状態を検出する電圧計36とを有している。コンデンサ34の接地側端子は、電流計16を介して接地側電極14に接続され、コンデンサ34の高圧側端子は高圧側電極12に接続されている。トランス30の出力電圧は、被処理液の絶縁破壊電圧より高い適当な値に設定されている。
【0019】
この放電処理システムAでは、有害生物および藻類等の殺菌、不活化処理を行うために必要な単位水量当たりに負荷される放電エネルギー(=w)が予め決められている。従って、定常的に3台の放電ユニット2a,2b,2cで運転される状態では、各放電ユニット2a,2b,2cは総エネルギーの3分の1の放電エネルギー(=(1/3)w・v、但しvは流速)を負荷する。しかしながら、放電ユニット2a,2b,2cの定格は、2台でもこれをまかなえるように(1/2)w・v以上となっている。
【0020】
また、制御部8は、3つの放電ユニット2a,2b,2cの給電部6a,6b,6cを制御して、それぞれの放電ユニット2a,2b,2cに所定のピッチで所定の放電電力を供給して放電を行わせる。放電のピッチは、場合によっては、被処理水の流速を考慮し、放電のタイミングを適当にずらせて、被処理水に均等に処理が行われるようにする。
【0021】
このように構成された放電ユニット2a,2b,2cにおいて、配管10に被処理水が流体する状態で、給電制御部26は所定のタイミングで電源28につながるスイッチング素子32をオンにする。これにより、トランス30により昇圧された電圧がコンデンサ34に印加されてコンデンサ34を充電する。充電電圧が配管10内の被処理液の絶縁破壊電圧より小さい間は放電は起こらず、単に電極12,14間に電圧が負荷された状態となる。充電電圧が被処理液の絶縁破壊電圧を超えると、電極12,14間にいくつかの筋状の電離放電路が延びるストリーマ放電状態となる。充電がさらに進行して充電電圧が上昇すると、1本の太い放電路が形成され、被処理液の蒸発とそれによる衝撃波を伴うアーク放電が発生し、コンデンサ34の蓄電エネルギーは消費されて充電電圧が初期の低電圧状態に戻る。放電のピッチは、スイッチング素子32を制御することにより行われる。本例は、アーク放電による処理であるが、アーク放電を起こさずにストリーマ放電を継続させるには、ストリーマ放電を維持するような放電電圧に設定すればよい。
【0022】
電流計16によって接地側電極に流れ込んだ電流が検出され、これが所定の下限値Imin以上である場合には、放電が電極間で起きていると推定される。すなわち、電流計16は電気的に放電を検知する手段である。また、この装置には、放電を物理的に検出する物理的放電検出手段が設けられている。すなわち、配管10の側壁部には、各電極12,14の挿入位置の近傍にそれぞれ接地側及び高圧側の振動センサ24a,24bが設けられている。これは、水中での放電を振動として検出するものであるが、放電が光の発生を伴う場合には光検出手段を用いても良く、その他の適宜のセンサを用いることができる。給電制御部26には、左右の振動センサ24a,24b、電圧計36、電流計16の出力信号が入力され、また、給電制御部26からは、スイッチング素子32、電極駆動機構22a,22b及び電源28にそれぞれ制御信号が出力されるようになっている。
【0023】
給電制御部26は、電圧計36の測定電圧が所定の電圧に到達してから放電が発生するまでの時間(電圧維持時間と呼ぶ。)を電極間隔を判断する値として用いることができる。すなわち、電圧維持時間Tと電極間隔Dの間には一定の関係が有るので、制御部と電圧計36により、電極間隔検出手段が構成される。電圧維持時間Tと電極間隔Dの関係は、装置の運転条件や被処理液の性状等によって変化するので、処理を開始する前に試験的に求めておくことが好ましい。なお、放電が発生したことは、電圧計36や電流計16により電気的に検知することができる。
【0024】
適切な放電をするためには、電極間隔Dが適切な範囲に有ることが必要である。すなわち、電極間隔Dが下限値Dmin以下であると、必要な充電電圧になる前に放電してしまい、また、電極間隔Dが上限値Dmaxを超えると放電のタイミングが遅れたり、過大な充電電圧になって、過大な放電電流が流れたり、あるいは放電が発生しなかったりする。このような電極間隔の正常範囲(Dmax>D>Dmin)も、被処理液の性状、放電のパターン等によって異なると考えられ、事前に試験等により求めておくことが好ましい。通常、処理の進行に伴い、電極の摩耗等によって電極間隔が拡大することが多いが、電極面への析出等によって縮小する場合も有る。制御部は、電圧維持時間Tを検出することにより、このような電極間隔の変化をモニターすることができる。
【0025】
給電制御部26は、このような電気的放電検出手段、物理的放電検出手段、及び電極間隔検出手段の判定結果の組み合わせに基づいて放電ユニット2a,2b,2cの稼動状況を判断する。もし、いずれかの放電ユニット2a,2b,2cに故障が生じた場合、制御部8は、給電制御部26からの情報に基づいて対応を判断する。もし、稼動を継続すべきでないような問題が有ると判断した場合には、運転を全面的に停止し、さらに返送配管92を閉鎖して逆洗浄作業を中止する等の措置、あるいは警報を発する等の措置を行う。
【0026】
また、例えば放電ユニット2a,2b,2cの電極間隔が範囲外であって調整可能な場合は、電極駆動機構22a,22bに駆動信号を送り、電極間隔が範囲内に入るようにすることにより、運転を継続する。さらに、例えば1つの放電ユニット2aに故障が有るような場合には、残りの2つの放電ユニット2b,2cを稼動させて、しかも同じエネルギーレベルの放電処理を行うことができるように、制御を行う。特に夜間で無人で運転している場合にはこのような制御方法が有効である。以下、そのような場合の工程について説明する。
【0027】
通常は、図2(a)に示すように、各放電ユニット2a,2b,2cの開閉スイッチS1,S2,S3はONに、放電ユニット2a,2b,2c間の連絡スイッチS12,S23,S13はOFFにして、各放電ユニット2a,2b,2cが個別に運転されている。ここで、放電ユニット2aの電極部4a又は給電部6aに故障が発生した場合、制御部8は給電部6aの動作を停止し、開閉スイッチS1をOFFにする。そして、可能な場合には、電極駆動機構22a,22b(図3)を作動させて電極12,14を配管10の中心部から待避させる。そして、制御部8は、残りの2台の放電ユニット2b,2cにおける放電量がそれぞれ1.5倍になるように給電部6b,6cの制御を行う。図4の装置では、例えば、スイッチング素子32の開閉のタイミングを早めることで放電のサイクルを1.5倍とし、処理に必要な電力量を維持して継続運転を行うことができる。このようにすることで、運転を継続して行い、当面の逆洗浄作業が終了した後に、故障した放電ユニット2aの取り外し、修理、交換等を行えばよい。
【0028】
上記の実施の形態では、3台の放電ユニット2a,2b,2cを設置したが、2台以上任意の数とすることができる。但し、2台の場合には、1台が停止した後に同じ放電エネルギー量を維持するためには、残りの1台が定常運転時の2倍の放電エネルギーで稼動する必要が有り、定常運転に必要な性能よりかなり高い性能が要求される。すなわち、2台の場合は、定常運転時には定格の2分の1で運転する必要が有り、コスト的には不利である。逆に、台数が多ければ、高い定格性能は必要が無いが、設備コストが増加する。従って、放電ユニット2a,2b,2cの配置数は3〜6台くらいが最も経済的である。
【0029】
なお、例えば、放電ユニット2a,2b,2cにおいて停止(故障)が多く発生し、放電ユニット2a,2b,2cの放電エネルギーを完全に補うことができない場合でも、本発明を用いることができる。例えば、3台の放電ユニット2a,2b,2cをそれぞれの定格の4分の3で運転していた場合には、1台が停止すると、他の2台を定格で運転しても定常運転時の8/9しかカバーできない。その場合には、返送ポンプや返送配管92中に流量調整弁を設置して送水量を調整可能としておき、1台が停止した時に、制御部8はこれらの調整機構を作動させて、送水量を8/9に減らすことにより、同じ放電エネルギーで運転を継続することができる。
【0030】
また、上記の例では、故障した放電ユニット2aを完全に切り離し、他の放電ユニット2b,2cで補うようにしたが、故障したのが給電部6a,6b,6c側か電極部4a,4b,4c側かを特定して、故障した部分のみを切り離し、故障していない部分を活用するようにしてもよい。例えば、放電ユニット2aの電極部4aと放電ユニット2cの給電部6cが故障した場合、図2(b)に示すように、放電ユニット2aの開閉スイッチS1を開とし、放電ユニット2aと放電ユニット2cの連絡スイッチS13を閉とすることで、放電ユニット2a,2b,2cの給電部6a,6bと放電ユニット2a,2b,2cの電極部4b,4cを接続し、2台で運転を継続することができる。なお、故障が放電ユニット2a,2b,2cのどの部分で発生したかは、上述した電気的放電検出手段、物理的放電検出手段、及び電極間隔検出手段の判定結果の組み合わせに基づいて判断することができる。
【0031】
また、例えば放電ユニット2aの電極部4aが故障した場合、放電ユニット2aの開閉スイッチS1を開にし、連絡スイッチS12,S13を閉とすることで、給電部6aから電極部4b又は電極部4cに給電することができる。この場合、同じ電極部に2つの給電部が接続すると干渉する可能性が有るので、それを排除するためのスイッチを設けたり、あるいは給電部6aの給電の位相を他とずらせる等が必要となる。
【0032】
図5に示すのは、この発明の他の実施の形態の放電ユニット2a,2b,2cであって、放電ユニット2a,2b,2cの接地側電極及び高圧側電極を、流体を流通させる配管の中に同軸状に配置している。すなわち、高圧側電極12Aは中心軸線に沿って延び、接地側電極14Aはこれを囲む筒状に形成されている。
【0033】
高圧側電極12Aは、配管10の一側(ここでは上側)に軸方向に間隔を置いて設けられた開口フランジ40から配管10内に挿入された棒状の絶縁体からなる一対の高圧側支持部材42により両端を支持されている。高圧側電極12Aの端部は、高圧側支持部材42を挿通する導線44により配管10の外部に導出され、給電回路20の高圧端子に接続されている。
【0034】
また、接地側電極14Aは筒体を軸線を含む面に沿って2分割した一対の分割電極板14a,14b(図示略)から構成されている。そして、これらの各分割電極板14a,14bはそれぞれ配管10の側部に対向して配置された一対の開口フランジ40から配管10内に挿入された棒状の絶縁体からなる接地側支持部材46により支持されている。接地側電極14Aは、接地側支持部材46を挿通する導線45により配管10の外部に導出され、アーク放電の発生またはストリーマ放電の消失検出用の電流計16を介して接地されている。配管10の側壁部には、放電を物理的に検出する振動センサ24a,24bが設けられている。
【0035】
各接地側支持部材46は、開口フランジ40の外側にそれぞれ設けられた電極駆動機構22a,22bにより、配管10に直交する面内において水平方向に移動可能になっている。電極駆動機構22a,22bは、電動モータ等の電気駆動アクチュエータや、エアシリンダ等の流体圧駆動アクチュエータなど、適宜のアクチュエータと、必要に応じて支持部材を直線駆動させるネジ送り機構等の駆動力変換機構と、所定の位置検出センサの出力に基づいて変位を制御するサーボ機構等を備えている。この実施の形態において、故障等の場合の対応における制御の方法は、基本的に図3に示す先の実施の形態の場合と同様である。
【0036】
図6は、この発明の放電処理システムを用いた他の実施形態の浄水施設の構成を示す図である。この浄水施設では、急速混和池72と緩速混和池74の間に、放電により藻類の破壊、不活化を行う処理池98を設置し、これに放電処理システムAを設置している。この放電処理システムAは、3台の放電ユニット2a,2b,2cを有する点で、前記図2〜図4の場合と同じであるが、配管中ではなく、開放された滞留水中に設置されている点が異なる。電極部4a,4b,4cの構造は、前記と基本的に同一であるが、水中に浸漬させるために、電極駆動機構22a,22bのようなものは設けていない。本例の放電の形式はストリーマ放電であるが、故障等の場合の対応における制御の方法は、基本的に図2〜図4に示す先の実施の形態の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態の放電処理システムを用いた浄水施設の全体の構成を示す図である。
【図2】(a)および(b)はそれぞれのこの発明の第1の実施の形態の放電処理システムを示す図である。
【図3】放電ユニットの構成を示す図である。
【図4】放電ユニットの要部である給電部を示す図である。
【図5】他の実施の形態の放電処理システムを示す図である。
【図6】この発明の放電処理システムを用いた他の実施の形態の浄水施設の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
2a,2b,2c 放電ユニット
4a,4b,4c 電極部
6a,6b,6c 給電部
8 制御部
10 配管
16 電流計(電気的放電検出手段)
24a,24b 振動センサ(物理的放電検出手段、電極間隔検出手段)
26 給電制御部(故障判定手段)
98 処理池
A 放電処理システム
S1,S2,S3 開閉スイッチ
S12,S23,S13 連絡スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液中に配置された電極部と、該電極部に給電する給電部とを有する放電ユニットを用いる放電処理システムであって、
前記放電ユニットを複数台設置し、前記複数台の放電ユニットの少なくとも1台が停止した場合に、残りの放電ユニットによって不足する放電エネルギーを補うようにすることを特徴とする放電処理システム。
【請求項2】
被処理液中に配置された電極部と、該電極部に給電する給電部とを有する放電ユニットを用いる放電処理システムであって、
前記電極部又は給電部の少なくとも一方を複数台設置し、前記複数台の電極部又は給電部の少なくとも1台が停止した場合に、残りの電極部と給電部の接続を切り換え可能にしたことを特徴とする放電処理システム。
【請求項3】
前記放電ユニットの故障の判断を行なう故障判定手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放電処理システム。
【請求項4】
前記故障判定手段は、電気的放電検出手段、物理的放電検出手段、電極間隔検出手段の内の内1又は複数の検出結果に基づいて判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の放電処理システム。
【請求項5】
前記放電ユニットは、被処理流体が流通する配管内に設置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放電処理システム。
【請求項6】
前記放電ユニットは、被処理流体が滞留する貯留部に設置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放電処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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