放電灯用安定器のケース構造

【目的】一対のケース半体を筒状に係合したケース本体と、このケース本体の内側形状よりわずかに大きな形状の樹脂製の底板を備え、この底板をケース本体の端部内側に筒を塞ぐように配置した放電灯用安定器のケース構造において、底板の周囲とケース本体との間に有害なスキマを生ずることがあるので、これを防止する。
【構成】一対のケース半体１、３を筒状に係合したケース本体（１、３）と、このケース本体（１、３）の内側形状よりわずかに大きな形状の樹脂製の底板５を備え、この底板５をケース本体（１、３）の端部内側に筒を塞ぐように配置する。さらに底板３の周囲にケース本体（１、３）の内側に圧接する薄肉状突出片部５１を形成する。薄肉状突出片部５１の先端は適宜に潰れ、ケース本体（１、３）と圧接するので、スキマは生じない。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は放電灯用安定器に係り、特に注入したコンパウンドの漏れを防止するのに好適な放電灯用安定器のケース構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】図４の様にケース半体１に底板２を載せ、もう一方のケース半体を合わせ、かつカシメた図５R>５、図６のごときケース構造は周知である。従来は底板２の周囲２１をケース本体（１、３）との接触面積を大きくするために、平面状に形成する。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上記のものでは、ケース半体１、３の加工寸法・形状が板厚・硬度のバラツキにより変化した場合でも、大きなカシメ圧で底板２の周囲２１形状を変形させ、ないしはケース半体１、３を変形させて、ケース本体１、３と底板２を密着させる。しかし、従来の底板２周囲２１は平面であるため、弾性限界内のカシメ圧では、例えば図６の様なスキマ４が生じ易く、注入した図外のコンパウンドが漏れるという問題があった。本発明の目的は上記問題を解決することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上記目的は、底板の周囲にケース本体の内側に圧接する薄肉状突出部を形成することにより達成される。
【０００５】
【作用】上記構造とすることにより、一対のケース半体をカシメる際に、底板周囲の薄肉突出片が変形してスキマを塞ぐ。よって、一対のケース半体等の加工寸法上のバラつきが吸収され、注入したコンパウンドの漏れを防止できる。
【０００６】
【実施例】以下、本発明に係る図１〜図３の実施例について説明する。本発明においては底板５を合成樹脂製のものとし、その周囲に薄肉突出片部５１を一体に形成する。薄肉突出片部５１の断面形状は三角形突起状を呈する。この底板５を一対のケース半体１、３で従来同様にカシメると、図２の様にケース半体１、３から受ける圧力で薄肉突出片部５１の先端が潰れて変形する。圧力が大きい部分５２は大きく変形し、圧力が小さい部分５３はわずかに変形し、スキマを塞ぐ。かくして、ケース半体１、３の加工寸法等のバラつきを吸収し、注入した図外のコンパウンドの漏れを防止する。薄肉突出片部５１の先端が永久的に変形しても、底板５は弾性を有しているため、ケース本体（１、３）と弾発的に圧接し続ける。本実施例ではケース半体１、３を底板５にカシメるが、これを他の手段たとえば嵌合等の手段に変えても同効である。
【０００７】
【発明の効果】本発明によれば、底板の周囲に薄肉突出片部を設けることにより、ケース半体上相互等に形状ないしは寸法上のバラツキを吸収し、底板との間の不所望なスキマを塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る放電灯用安定器のケース構造を示す正面図である。
【図２】その要図拡大断面図である。
【図３】その底板を示す拡大断面図である。
【図４】従来構造を示す分解説明図である。
【図５】その斜視図である。
【図６】その正面図である。
【符号の説明】
１…ケース半体、５…底板、３…ケース半体、５１…薄肉突出片部

【特許請求の範囲】
【請求項１】一対のケース半体を筒状に係合したケース本体と、このケース本体の内側形状よりわずかに大きな形状の樹脂製の底板を備え、この底板をケース本体の端部内側に筒を塞ぐように配置した放電灯用安定器のケース構造において、前記底板の周囲に前記ケース本体の内側に圧接する薄肉状突出片部を形成したことを特徴とする放電灯用安定器のケース構造。

【図１】