説明

故障解析システム、故障解析装置、受信装置、故障解析方法及びプログラム

【課題】ネットワークを介したデータ配信において異常が発生した際に、故障が発生している故障箇所を迅速に特定する。
【解決手段】故障解析装置10は、定期的に、映像提供事業者設備20を構成する各装置及び通信NW設備30を構成する各装置から接続情報を収集している。映像受信装置41は、映像サーバ21から映像信号を受信し、FEC復号する。FEC復号の際にエラーが発生し、予め取得した評価基準データが示す評価基準を超過していると判断した場合、映像受信装置41は、評価基準超過通知を故障解析装置10に送信する。故障解析装置10は、受信した評価基準超過通知が示すノード識別情報により特定される映像受信装置41の配信ルートを接続情報から読み出し、読み出した配信ルート上の装置や、評価基準超過通知が示すチャネルの共通性から故障箇所を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ配信における故障解析システム、故障解析装置、受信装置、故障解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送のIP(Internet Protocol)再配信や、IP多CH(チャンネル)放送の提供など、IP網の映像配信ネットワークを介した映像コンテンツ配信が行われている。配信される映像コンテンツの映像品質の劣化を防ぐ技術として、例えば、FEC(前方誤り訂正:Forward Error Correction)がある。FECを利用すると、データの受信側においてデータの誤りを検出し、訂正することができるため、少量のパケットロス等であればSTB(Set Top Box)等の映像受信機において映像コンテンツの誤りを訂正することが可能である。また、映像配信ネットワークでは、QoS(Quality of Service)技術による優先制御を利用し、許容される映像品質に応じて映像コンテンツを配信することが可能である。
【0003】
一方、特許文献1には、IP網を経由して映像データを配信する送信装置において、映像データの受信装置から得られる情報に基づいた映像品質測定を行なうことが記載されている。また、特許文献2には、パケット網を経由して映像通信用のパケットを配信し、受信機と接続されるサーバが、受信機におけるパケット転送品質に基づいて通信経路上のノードの転送品質を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98441号公報
【特許文献2】特開2011−10238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザ宅内設備の多様化や複雑化に伴い、映像コンテンツの配信に関わる故障発生ポイントが増加するとともに、故障発生箇所が映像提供事業者側にあるか、通信事業者側にあるか、あるいは、ユーザ側にあるかを迅速に切り分けることが困難になってきた。
例えば、映像配信ネットワークを構成する通信装置の故障は、SNMP(Simple Network Management Protocol)等の監視プロトコルにより検知可能である。しかし、この通信装置において故障検知や故障通知ができないサイレント故障が発生している場合、あるいは、輻輳や帯域超過による一時的なパケットロスが発生している場合は、SNMPによる故障検知はできない。従って、これらの事象の発見は、映像コンテンツの受信品質に問題が生じている旨のユーザからの申告に頼るしかない。
【0006】
一方、上述したように、映像配信ネットワークを構成する通信装置は、QoS技術によりネットワーク品質を最優先、優先、ベストエフォートなどに分類し、各映像コンテンツのパケットを、その映像コンテンツが許容する映像品質に応じたネットワーク品質により転送している。つまり、ネットワーク品質によって、輻輳や帯域超過によるパケットロス量の許容範囲が異なる。しかし、ユーザがこのネットワーク品質を理解し、また、そのネットワーク品質に従って映像コンテンツの映像品質評価を実施し、申告すべき異常が発生しているか否かを判断することは困難である。
このような理由により、ユーザからの申告があった場合であっても、その申告から実際に故障が発生しているか否かを迅速に判断したり、故障箇所を迅速に特定したりすることは困難であり、故障箇所を特定できないとり障範囲の特定もできない。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術は、映像データの受信装置における映像品質を見積もるものであり、故障が発生している箇所を判断するものではない。また、特許文献2に記載の技術は、映像コンテンツを配信するパケットの転送品質を制御するものであり、故障が発生している箇所を判断するものではない。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ネットワークを介したデータ配信において異常が発生した場合に、故障が発生している箇所を迅速に特定することができる故障解析システム、故障解析装置、受信装置、故障解析方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムであって、前記受信装置は、前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部と、前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部と、前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスによるエラーが発生した場合、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部とを備え、前記故障解析装置は、前記ネットワークの構成を示す構成情報を記憶するネットワーク情報格納部と、前記受信装置から前記エラー発生通知を受信するエラー発生通知受信部と、前記エラー発生通知受信部が受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施部と、を備える、ことを特徴とする故障解析システムである。
【0010】
また、本発明は、上述する故障解析システムであって、前記受信装置は、パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部と、前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部と、前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部とをさらに備え、前記エラー発生通知部は、前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、前記エラー発生通知を前記解析装置に通知する、ことを特徴とする。
なお、上記故障解析システムにおいて、前記受信装置は、前記データ配信装置から配信される評価基準データを受信し、前記評価基準格納部に書き込む評価基準受信部をさらに備えるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明は、上述する故障解析システムであって、前記データ処理部は、前方誤り符号化された前記データを復号し、前記解析部は、前記データ処理部において前記データの復号が失敗したときにパケットロスが発生したと判断する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述する故障解析システムであって、前記障害解析実施部は、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から、前記故障が発生している前記通信装置または前記データ配信装置と直接あるいは他の前記通信装置を介して接続される前記受信装置の情報を読み出し、読み出した前記情報が示す前記受信装置をり障範囲と判断する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述する故障解析システムであって、前記故障解析装置は、前記障害解析実施部において、前記受信装置が故障箇所であると判断した場合、当該受信装置が障害である旨を当該受信装置に通知する解析結果通知処理部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述する故障解析システムであって、前記データは、映像コンテンツのコンテンツデータであり、前記データ処理部は、前記映像コンテンツの配信を要求し、配信を要求した前記映像コンテンツのコンテンツデータを前記データ配信装置から受信するとともに、配信を要求した前記映像コンテンツとは異なる映像コンテンツのコンテンツデータを前記データ配信装置から受信し、前記受信装置は、前記異なる映像コンテンツのコンテンツデータを記憶する代替コンテンツ格納部をさらに備え、前記出力部は、前記データ処理部が受信した前記要求した映像コンテンツのコンテンツデータを表示装置に出力して表示させ、前記要求した映像コンテンツのコンテンツデータを出力できない場合には、前記代替コンテンツ格納部から読み出した前記異なる映像コンテンツのコンテンツデータを前記表示装置に出力して表示させる、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記故障解析装置であって、前記ネットワークの構成を示す構成情報を記憶するネットワーク情報格納部と、前記データ配信装置より配信されるデータの受信にエラーが発生した前記受信装置から、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を受信するエラー発生通知受信部と、前記エラー発生通知受信部において前記受信装置より受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施部と、を備えることを特徴とする故障解析装置である。
【0016】
また、本発明は、通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記受信装置であって、パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部と、前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部と、前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部と、前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部と、前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部と、前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部と、を備えることを特徴とする受信装置である。
【0017】
また、本発明は、通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムの故障解析方法であって、前記受信装置において、データ処理部が、前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理過程と、出力部が、前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力過程と、エラー発生通知部が、前記データ処理過程における前記データの受信にパケットロスによるエラーが発生した場合、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知過程と、前記故障解析装置において、エラー発生通知受信部が、前記受信装置から前記エラー発生通知を受信するエラー発生通知受信過程と、障害解析実施部が、前記エラー発生通知受信部において受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、ネットワーク情報格納部に記憶され、前記ネットワークの構成を示す構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施過程と、を有することを特徴とする故障解析方法である。
【0018】
また、本発明は、通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記受信装置に用いられるコンピュータを、パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部、前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部、前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部、前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部、前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部、前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ネットワークを介したデータ配信において異常が発生した場合に、故障が発生している箇所を迅速に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による映像配信システム(故障検出システム)の全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態による映像配信システムの動作概要を示す図である。
【図3】同実施形態による映像配信システムの動作概要を示す図である。
【図4】同実施形態による映像配信システムの動作概要を示す図である。
【図5】同実施形態によるDBサーバの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図6】同実施形態による通知サーバの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図7】同実施形態による解析サーバの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図8】同実施形態による映像サーバの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図9】同実施形態によるエッジ装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図10】同実施形態による映像受信装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図11】同実施形態による映像配信システムの接続構成例を示す図である。
【図12】同実施形態による接続情報の設定例を示す図である。
【図13】同実施形態によるNW状態情報の設定例を示す図である。
【図14】同実施形態による評価基準データの設定例を示す図である。
【図15】同実施形態による評価情報の設定例を示す図である。
【図16】同実施形態による映像受信装置情報の設定例を示す図である。
【図17】同実施形態による映像評価データパケットのフォーマット例を示す図である。
【図18】同実施形態による映像配信システムのシーケンス図である。
【図19】同実施形態による映像配信システムのシーケンス図である。
【図20】同実施形態による映像配信システムのシーケンス図である。
【図21】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図22】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図23】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図24】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図25】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図26】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図27】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図28】同実施形態による映像配信システムの処理フロー図である。
【図29】同実施形態による映像配信システムの解析結果例である。
【図30】同実施形態による映像配信システムの解析結果例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態では、故障検出システムを映像配信システムに適用した例を示す。つまり、ネットワークを介して配信されるデータが、映像コンテンツのコンテンツデータ(以下、「映像コンテンツデータ」と記載する。)である場合の例である。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による映像配信システム(故障検出システム)の全体構成図である。同図に示すように、本実施形態の映像配信システムは、映像提供事業者の映像提供事業者設備20と、通信事業者の通信事業者設備と、視聴ユーザ宅に設置されるユーザ宅内設備40とを備えて構成される。
【0023】
ユーザ宅内設備40は、映像コンテンツの受信装置である映像受信装置41と、映像コンテンツの映像表示及び音声出力を行う表示装置である受像機43とを備える。例えば、ユーザ宅内設備40の映像受信装置41は、STB(セット・トップ・ボックス)であり、受像機43は、テレビ受像機であるが、映像受信装置41及び受像機43を1台の装置、例えば、STBを内蔵したテレビ受像機や、コンピュータ端末などで実現してもよい。
【0024】
映像提供事業者設備20は、映像提供事業者ネットワーク2(以下、「ネットワーク」を「NW」とも記載する。)を介して接続される映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23及びNW装置25を備える。映像サーバ21及び蓄積映像用サーバ23は、映像コンテンツを配信するデータ配信装置であり、NW装置25は、ルータなどの通信装置である。
【0025】
通信事業者設備は、通信NW3を介して接続されるコア装置31及びエッジ装置33を備える通信NW設備30と、通信事業者NW1に接続される故障解析装置10とからなる。コア装置31は、ルータなどの通信装置であり、エッジ装置33は、映像受信装置41を収容する通信装置である。故障解析装置10は、データベースサーバ11(以下、「DBサーバ11」と記載する。)、通知サーバ13、及び、解析サーバ15により構成される。
【0026】
通信事業者NW1、映像提供事業者NW2、通信NW3は、IP(Internet Protocol)網であり、NW装置25とコア装置31とは相互に接続し、エッジ装置33と映像受信装置41とは相互に接続する。また、故障解析装置10は、通信事業者NW1を介して映像提供事業者NW2及び通信NW3と接続される。
【0027】
このように、通信装置であるNW装置25、コア装置31及びエッジ装置33により構成され、データ配信装置である映像サーバ21及び蓄積映像用サーバ23から配信されるコンテンツのデータを、データの受信装置である映像受信装置41へルーチングするネットワークと、このネットワークに接続される故障解析装置10からなる。このネットワークは、通信事業者のネットワークと、映像提供事業者のネットワークで構成される。
【0028】
なお、同図においては、映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31、エッジ装置33、及び、ユーザ宅内設備40を1台のみ記載しているが、複数台が設けられ得る。以下、映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31、エッジ装置33、及び、ユーザ宅内設備40を総称して、単に「装置」とも記載する。
【0029】
次に、図2〜図4を用いて、本実施形態の映像配信システムの動作概要を説明する。本実施形態では、視聴ユーザが要求したVOD(Video On Demand)のチャンネル(以下、「CH」とも記載する。)の映像コンテンツをユニキャストにより配信する場合について説明する。
【0030】
図2は、正常時のコンテンツ視聴要求中の映像配信システムの動作概要を示す図である。
故障解析装置10は、定期的に映像提供事業者設備20を構成する各装置からNW情報を収集するとともに(ステップS11)、通信NW設備30を構成する各装置からNW情報を収集する(ステップS12)。DBサーバ11は、各装置から通知されたNW情報を記憶する(ステップS13)。NW情報には、各装置の状態(正常、障害発生等)を示すNW状態情報、及び、当該装置が接続している他の装置を示す接続情報が含まれる。
【0031】
映像サーバ21は、映像コンテンツ配信前に、CH毎のNW品質の評価基準を示す評価基準データをエッジ装置33宛に送信する(ステップS14)。評価基準は、エラーが発生しているかを判断するための条件(基準)であり、評価基準データには、その条件を示す評価方法が含まれる。エッジ装置33は、NW装置25及びコア装置31を経由して受信した評価基準データを内部に備えるデータベース(以下、「DB」と記載する。)に記憶する。
【0032】
映像受信装置41は、映像コンテンツの視聴要求をエッジ装置33に送信し、応答を受信する(ステップS15)。エッジ装置33は、視聴要求により要求されたCHの映像コンテンツを配信する映像サーバ21に視聴要求を送信し、応答を受信する(ステップS16)。エッジ装置33は、内部に備えるDBに記憶していた評価基準データを映像受信装置41に送信し、映像受信装置41は、受信した評価基準データを内部に備えるDBに記憶する(ステップS17)。
【0033】
図3は、正常時のコンテンツ視聴中の映像配信システムの動作概要を示す図である。
図2と同様に、故障解析装置10は、定期的に映像提供事業者設備20を構成する各装置からNW情報を収集するとともに(ステップS21)、通信NW設備30を構成する各装置からNW情報を収集し(ステップS22)、DBサーバ11は、各装置から通知されたNW情報を記憶する(ステップS23)。
【0034】
一方、視聴要求を受信した映像サーバ21は、応答の送信後、視聴要求により要求されたVODの映像コンテンツの映像信号を送信する。また、蓄積映像用サーバ23は、VODの映像コンテンツが表示できないときに受像機43に代替して表示させるために、映像受信装置41に蓄積しておく蓄積映像コンテンツの映像信号(以下、「蓄積映像信号」と記載する。)を送信する(ステップS24)。映像信号とは、映像コンテンツデータをFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)符号化したデータである。
【0035】
映像受信装置41は、NW装置25、コア装置31及びエッジ装置33を経由して映像サーバ21から映像信号及び蓄積映像信号を受信し、FEC復号する。映像受信装置41は、評価基準データが示すNW品質の評価基準に照らして映像信号のFEC復号において評価基準を超過するエラーが発生していないかをチェックする(ステップS25)。映像受信装置41は、蓄積映像信号をFEC復号した蓄積映像の映像コンテンツデータ(以下、「蓄積映像コンテンツデータ」と記載する。)をHDD(ハードディスクドライブ)に書き込み(ステップS26)、映像信号をFEC復号して得た映像コンテンツデータを受像機43に出力し、表示させる(ステップS27)。
【0036】
図4は、コンテンツ視聴中におけるエラー検出時の映像配信システムの動作概要を示す図である。
映像受信装置41は、評価基準データが示すNW品質の評価基準と照合し、評価基準を超過したエラーの発生、例えば、瞬断を検出したとする(ステップS31)。映像受信装置41は、エラー発生を通知するための評価基準超過通知を送信する(ステップS32)。評価基準超過通知には、違反した評価基準を特定する情報(評価基準番号)、ユーザID、エラーが発生した映像信号を特定する情報(エラー映像信号)、発生したエラー状態、エラー発生時刻などの情報が含まれる。また、映像受信装置41は、瞬断の発生と、その原因を解析中である旨の表示を受像機43に表示させるとともに(ステップS33)、HDDに記憶していた蓄積コンテンツの映像信号を受像機43に表示させる。
【0037】
解析サーバ15は、映像受信装置41からの評価基準超過通知と、DB11に記憶されているNW情報とから、瞬断の原因となる故障箇所を解析するとともに、り障範囲を特定する(ステップS34)。通知サーバ13は、解析サーバ15による解析結果を映像受信装置41、映像提供事業者設備20の装置、通信NW設備30の装置に通知する(ステップS35)。映像受信装置41は、受信した解析結果を受像機43に表示させる(ステップS36)。また、映像提供事業者設備20の装置、通信NW設備30の装置は、受信した解析結果を、当該装置が備える図示しないディスプレイなどに表示する。
【0038】
上述したように、映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31、及び、エッジ装置33は、SNMP(Simple Network Management Protocol)などにより故障解析装置10にNW情報を通知しているが、これらの装置はそれぞれ二重化されている。そのため、運用系に故障が発生した場合には、待機系が運用系に切り替わる。この故障の発生と、それに伴う系の切り替わりによって瞬断が起こり、切り替え前の運用系においてパケットロスが発生する。しかし、系が切り替わってしまった後、新たな運用系からは、故障の発生を示すSNMPの報告を故障解析装置10に送信できない場合がある。このようにSNMPによって報告できない故障を「サイレント故障」という。また、輻輳や帯域超過による一時的なパケットロスもSNMPでは報告できない。
本実施形態では、故障解析装置10は、映像提供事業者設備20や通信NW設備30から故障の発生の通知がない場合でも、映像受信装置41から通知される評価基準超過通知と、すでに蓄積されているNW情報(接続情報)に基づいて、故障の発生箇所を特定し、り障範囲を判断する。
【0039】
次に各装置の内部構成を説明する。
【0040】
図5は、DBサーバ11の内部構成を示す機能ブロック図である。DBサーバ11は、コンピュータサーバにより実現することができ、同図に示すように、評価基準格納部111、映像受信装置情報蓄積部112、NW情報格納部113、サーバ連携部114、及び、NW状態通知処理部115を備えて構成される。
【0041】
評価基準格納部111は、評価基準データを記憶する。評価基準データは、映像コンテンツ毎の評価基準を示し、映像コンテンツの識別情報と、NW品質を特定する情報と、NW品質の評価方法とを対応付けた情報である。映像コンテンツの識別情報として、CH番号が用いられる。映像受信装置情報蓄積部112は、映像受信装置情報を記憶する。映像受信装置情報は、エラーを検出した映像受信装置41の識別情報及びアドレス情報と、エラー発生時刻と、発生したエラーの内容と、エラーが発生した映像コンテンツの識別情報(CH番号)とを対応付けた情報である。NW情報格納部113は、NW情報を記憶する。NW情報は、各装置の状態を示すNW状態情報と、各装置が接続している他の装置を示す接続情報とからなる。
【0042】
サーバ連携部114は、通信事業者NW1を経由して通知サーバ13及び解析サーバ15との間でデータの送受信を行う。NW状態通知処理部115は、サーバ連携部114を介して通知サーバ13からNW情報を受信し、NW情報格納部113に書き込む。また、NW状態通知処理部115は、NW情報格納部113に記憶されているNW情報を読み出し、解析サーバ15へ出力するようサーバ連携部114に指示する。
【0043】
図6は、通知サーバ13の内部構成を示す機能ブロック図である。通知サーバ13は、コンピュータサーバにより実現することができ、同図に示すように、パケット送受信部131、評価基準送受信部132、サーバ連携部133、NW状態通知処理部134、評価基準超過通知処理部135、及び、解析結果通知処理部136を備えて構成される。
【0044】
パケット送受信部131は、映像提供事業者NW2、通信NW3を経由し通信NW1を介してデータパケットにより各種データを送受信する。サーバ連携部133は、通信事業者NW1を介してDBサーバ11及び解析サーバ15とデータを送受信する。
評価基準送受信部132は、パケット送受信部131を介して評価基準データを受信し、受信した評価基準データをDBサーバ11へ出力するようサーバ連携部133に指示する。NW状態通知処理部134は、映像提供事業者設備20を構成する各装置及び通信NW設備30を構成する各装置からパケット送受信部131を介してNW情報を受信し、受信したNW情報をDBサーバ11へ出力するようサーバ連携部133に指示する。評価基準超過通知処理部135は、パケット送受信部131を介して映像受信装置41から評価基準超過通知を受信し、受信した評価基準超過通知をDBサーバ11へ出力するようサーバ連携部133に指示する。解析結果通知処理部136は、サーバ連携部133を介して解析サーバ15から解析結果を受信し、解析結果を映像受信装置41、映像提供事業者設備20の装置、通信NW設備30の装置へ送信するようパケット送受信部131に指示する。
【0045】
図7は、解析サーバ15の内部構成を示す機能ブロック図である。解析サーバ15は、コンピュータサーバにより実現することができ、同図に示すように、サーバ連携部151、映像受信装置情報受信部152、NW状態情報受信部153、解析情報送受信部154、障害解析実施部155を備えて構成される。
【0046】
サーバ連携部151は、通信事業者NW1を経由してDBサーバ11及び通知サーバ13との間で各種データの送受信を行う。解析情報送受信部154は、NW情報の読み出しをNW状態情報受信部153に指示するとともに、映像受信装置情報の読み出しを映像受信装置情報受信部152に指示する。解析情報送受信部154は、障害解析実施部155による解析結果を通知サーバ13へ出力するようサーバ連携部15に指示する。映像受信装置情報受信部152は、サーバ連携部151を介してDBサーバ11から映像受信装置情報を受信する。NW状態情報受信部153は、サーバ連携部151を介してDBサーバ11からNW情報を受信する。障害解析実施部155は、映像受信装置情報受信部152が受信したNW情報と、NW状態情報受信部153が受信した映像受信装置情報とを解析情報送受信部154から受信し、これらの情報に基づいて故障箇所を特定するとともに、り障範囲を特定する。障害解析実施部155は、特定した故障箇所及びり障範囲を示す解析結果を解析情報送受信部154へ出力する。
【0047】
図8は、映像サーバ21の内部構成を示す機能ブロック図である。映像サーバ21は、コンピュータサーバにより実現することができ、同図に示すように、評価基準格納部211、映像信号蓄積部212、パケット送受信部213、NW状態通知処理部214、NW状態収集処理部215、評価基準送受信部216及び映像信号送信部217を備えて構成される。
【0048】
評価基準格納部211は、評価基準データを記憶する。映像信号蓄積部212は、映像コンテンツデータを記憶する。映像コンテンツデータは、映像データ、音声データ及び関連データ等の映像視聴に必要なデータからなる。パケット送受信部213は、映像提供事業者NW2を介してデータパケットにより各種データを送受信する。NW状態収集処理部215は、当該映像サーバ21の稼動状態を収集する。NW状態通知処理部214は、NW状態収集処理部215が収集した当該映像サーバ21の稼動状態を示すNW状態情報と、当該映像サーバ21が接続している他の装置を示す接続情報とからなるNW情報を通知サーバ13に送信するようパケット送受信部213に指示する。評価基準送受信部216は、評価基準格納部211から評価基準データを読み出し、パケット送受信部213に送信を指示する。映像信号送信部217は、映像信号蓄積部212から読み出した映像コンテンツデータをFEC符号化して映像信号を生成し、生成した映像信号の送信をパケット送受信部213に指示する。
【0049】
なお、蓄積映像用サーバ23も映像サーバ21と同様の構成である。ただし、映像サーバ21の評価基準格納部211は、蓄積映像コンテンツデータを記憶する。なお、蓄積映像用サーバ23は、評価基準格納部211及び評価基準送受信部216を備えていなくともよい。
【0050】
図9は、エッジ装置33の内部構成を示す機能ブロック図である。エッジ装置33は、例えば、ルータなどのコンピュータ装置により実現することができ、同図に示すように、パケット送受信部331、NW状態通知処理部332、NW状態収集処理部333、評価基準送受信部334、評価基準格納部335及び視聴要求処理部336を備えて構成される。
【0051】
パケット送受信部331は、映像受信装置41と、また、通信NW3を介して他の装置とデータパケットにより各種データを送受信する。NW状態収集処理部333は、当該エッジ装置33の稼動状態を収集する。NW状態通知処理部332は、NW状態収集処理部333が収集した当該エッジ装置33の稼動状態を示すNW状態情報と、当該エッジ装置33が接続している他の装置を示す接続情報とからなるNW情報を通知サーバ13に送信するようパケット送受信部331に指示する。評価基準送受信部334は、パケット送受信部331を介して映像サーバ21から受信した評価基準データを評価基準格納部335に書き込んだり、評価基準格納部335から読み出した評価基準データを映像受信装置41へ送信するようパケット送受信部331に指示したりする。評価基準格納部335は、評価基準データを記憶する。視聴要求処理部336は、パケット送受信部331を介して映像受信装置41からのコンテンツの配信要求を受信し、受信した配信要求を映像サーバ21に送信するようパケット送受信部331に指示する。
【0052】
図10は、映像受信装置41の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、映像受信装置41は、パケット送受信部411、評価基準送受信部412、評価基準格納部413、映像音声処理部414、映像信号解析部415、代替コンテンツ格納部416、評価実施部417、評価情報格納部418及び映像信号出力部419を備えて構成される。
【0053】
パケット送受信部411は、通信NW3を介してデータパケットにより各種データを送受信する。評価基準格納部413は、評価基準データを記憶する。評価情報格納部418は、評価情報を記憶する。評価情報は、パケットロスの発生時刻と、パケットロスが発生したCH番号と、パケットロス発生状況とを対応づけた情報である。代替コンテンツ格納部416は、HDDであり、映像音声処理部414によりFEC復号された蓄積映像コンテンツデータを記憶する。
【0054】
評価基準送受信部412は、パケット送受信部411を介して受信した評価基準データを評価基準格納部413に書き込む。また、評価基準送受信部412は、評価実施部417が評価基準を超過したと判断した場合、評価基準超過通知をエッジ装置33に送信するようパケット送受信部411に指示する。映像音声処理部414は、パケット送受信部411を介して受信した映像信号をFEC復号し、映像コンテンツデータを得る。また、映像音声処理部414は、パケット送受信部411を介して受信した蓄積映像信号をFEC復号し、蓄積映像コンテンツデータを得て、代替コンテンツ格納部416に書き込む。映像信号出力部419は、映像音声処理部414がFEC復号した映像コンテンツデータ、あるいは、映像信号解析部415が代替コンテンツ格納部416から読み出した蓄積映像コンテンツデータを受像機43に出力する。
【0055】
映像信号解析部415は、映像音声処理部414が実行したFEC復号処理においてパケットロスが発生したかを判断し、パケットロスが発生したと判断した場合は、評価実施部417に通知する。また、映像信号解析部415は、代替コンテンツ格納部416から読み出した蓄積映像コンテンツデータを映像信号出力部419に出力する。評価実施部417は、映像信号解析部415から入力された映像コンテンツの識別情報(CH番号)に対応した評価基準データを評価基準格納部413から読み出すとともに、当該識別情報(CH番号)に対応した評価情報を評価情報格納部418から読み出す。評価実施部417は、読み出した評価基準データと、映像信号解析部415が検出したエラーを加えた評価情報とに基づいて、エラーが発生しているか否かを判断する。
【0056】
図11は、本実施形態の映像配信システムのネットワーク構成例を示す図である。同図に示すネットワークは、2台の映像サーバ21を備える。これら2台の映像サーバ21のノードIDはそれぞれ、「SV1」、「SV2」であり、これら2台の映像サーバ21に接続されているNW装置25のノードIDは「B1」である。ノードID「B1」のNW装置25には2台のコア装置31が接続されており、これら2台のコア装置31のノードIDはそれぞれ「C1」、「C2」である。ノードID「C1」、「C2」のコア装置31にはそれぞれ、2台のエッジ装置33が接続されており、ノードID「C1」に接続されている2台のエッジ装置33のノードIDはそれぞれ「E1」、「E2」であり、ノードID「C2」に接続されている2台のエッジ装置33のノードIDはそれぞれ「E3」、「E4」である。ノードID「E1」、「E2」、「E3」、「E4」のエッジ装置33にはそれぞれ3台の映像受信装置41が接続されており、ノードID「E1」のエッジ装置33に接続されている映像受信装置41のノードIDはそれぞれ「U1」、「U2」、「U3」であり、ノードID「E2」のエッジ装置33に接続されている映像受信装置41のノードIDはそれぞれ「U4」、「U5」、「U6」であり、ノードID「E3」のエッジ装置33に接続されている映像受信装置41のノードIDはそれぞれ「U7」、「U8」、「U9」であり、ノードID「E4」のエッジ装置33に接続されている映像受信装置41のノードIDはそれぞれ「U10」、「U11」、「U12」である。なお、映像受信装置41のノードIDは、視聴ユーザを特定するユーザIDを用いる。
映像サーバ21に近いほうを上位、映像受信装置41に近いほうを下位とする。
【0057】
なお、映像提供事業者NW2、通信NW3はそれぞれ、ルータなどの通信装置から構成されうる。そのため、映像サーバ21とNW装置25が、映像提供事業者NW2を構成する通信装置を介して接続されたり、コア装置31とエッジ装置33が、通信NW3を構成する通信装置を介して接続されたりする構成もある。
【0058】
図12は、DBサーバ11のNW情報格納部113に記憶される接続情報の設定例を示す図である。
同図に示すように、接続情報は、収容装置のノードIDを示す収容装置情報と、当該収容装置に接続される下位装置のノードID及びそのアドレス情報を示す下位装置情報と、当該収容装置に接続される上位装置のノードIDを示す上位装置情報とを対応付けたレコードからなる。ノードIDは、装置を一意に特定する識別情報である。アドレス情報には、IPアドレス、MAC(Medium Access Control)アドレスなどが設定される。
【0059】
例えば、収容装置情報に記述されているノードID「E1」で特定されるエッジ装置33の上位装置は、上位装置情報に記述されているノードID「C1」で特定されるコア装置31であり、下位装置は、下位装置情報のノードID「U1」で特定される映像受信装置41であり、当該映像受信装置41のアドレスは、アドレス情報に記述されている「IPアドレスu1」である。
【0060】
また、収容装置情報に記述されているノードID「C1」で特定されるコア装置31の上位装置は、上位装置情報に記述されているノードID「B1」で特定されるNW装置25であり、下位装置は、下位装置情報のノードID「E1」、「E2」で特定されるエッジ装置33であり、ノードID「E1」のエッジ装置33のアドレスは、アドレス情報に記述されている「IPアドレスe1」、ノードID「E2」のエッジ装置33のアドレスは、アドレス情報に記述されている「IPアドレスe2」である。
【0061】
図13は、DBサーバ11のNW情報格納部113に記憶されるNW状態情報の設定例を示す図である。
NW状態情報は、各装置のノードIDと、当該装置の稼動状態とを対応付けた情報であり、同図においては、稼動状態として、障害発生が発生している旨と、障害が発生した時刻とを対応付けた情報のみを示している。
【0062】
図14は、評価基準データの設定例を示す図である。
同図に示すように、評価基準データは、評価基準番号(No.)と、映像コンテンツの識別情報(視聴映像)と、NW品質の識別情報(NW品質)と、NW品質の評価方法とを対応づけたデータである。NW品質の識別情報は、QoS(Quality of Service)のレベルを特定する。映像コンテンツを特定する情報として、VODのCH番号を用いている。
【0063】
図14(a)は、同じ視聴映像(CH番号)「CH100」についての2種類の評価基準の例を示す。評価基準No.「1」により示される評価基準データは、映像乱れを許容しない高品質配信の場合の評価基準であり、評価方法には、パケットロス(「パケロス」とも記載する。)が1個以上発生した場合にエラー発生(評価基準超過)と判断することが記述されている。一方、評価基準No.「2」により示される評価基準データは、映像乱れを許容する低品質配信の場合の評価基準であり、評価方法には、5秒間パケット受信なしが3回以上発生した場合にエラー発生と判断することが記述されている。
【0064】
図14(b)は、最も厳しい評価基準の例を示す。図14(b)に示す評価基準No.「3」の評価基準データは、映像乱れを許容しない緊急警報放送の評価基準であり、評価方法には、パケットロスが1個以上発生した場合にエラー発生と判断することが記述されている。
【0065】
図14(c)は、IP放送についての2種類の評価基準の例を示す。評価基準No.「4」により示される評価基準データは、映像乱れを許容する低品質放送の場合の評価基準であり、評価方法には、視聴映像「CH1〜10」のいずれか1つのCHあたり1分間以内にパケットロスが10個以上発生した場合にエラー発生と判断することが記述されている。一方、評価基準No.「5」により示される評価基準データは、映像乱れを許容し、全断以外を許容する評価基準であり、視聴映像「CH1〜10」のいずれか1つのCHあたり30秒間パケット受信なしが発生した場合にエラー発生と判断することが記述されている。
【0066】
図15は、映像受信装置41の評価情報格納部418に記憶される評価情報の設定例を示す図である。
同図に示すように、評価情報は、パケットロスが発生した映像信号の識別情報(エラー映像信号)と、パケットロスの発生時刻と、パケットロスの発生状況とを対応づけたレコードからなる。
【0067】
図16は、DBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112に記憶される映像受信装置情報の設定例を示す図である。
同図に示すように、映像受信装置は、エラーの発生時刻、エラーが発生した映像受信装置41のノードID及びアドレス情報、エラー状態、違反した評価基準の番号、及び、エラーが発生した映像信号を対応づけたレコードからなる。エラーが発生した映像信号は、CH番号によって示される。
【0068】
図17は、各ノード間で送受信される映像評価データパケットのフォーマットの例を示す図である。同図に示すようにデータパケットは、IPv6ヘッダ部と、ペイロード部からなる。
【0069】
IPv6ヘッダ部は、送信元アドレス及び宛先アドレス、及び、プロトコル番号を含む。なお、ユニキャストの場合、宛先アドレスには宛先の装置のアドレスが設定されるが、マルチキャストの場合、マルチキャストであることを示すアドレスが設定される。プロトコル番号は、映像評価データパケットであることを特定する値が設定される。
【0070】
ペイロード部は、データ種別と、データ種別に応じた詳細データとを含む。データ種別には、映像評価基準通知、映像評価基準受信応答、評価基準超過通知、超過通知受信応答、解析結果通知、または、解析結果受信応答のいずれであるかを示す値が設定される。データ種別が映像評価基準通知または映像評価基準受信応答である場合、詳細データには評価基準データが設定される。データ種別が評価基準超過通知または超過通知受信応答の場合、詳細データには、違反した評価基準の番号(No.)、ユーザID、エラー映像信号、エラー状態及びエラーの発生時刻が設定される。データ種別が解析結果通知、及び、解析結果受信応答である場合、詳細データには解析結果が設定される。
【0071】
図18〜図20は、図1に示す映像配信システムのシーケンス図である。
図18は、正常時のNW情報収集処理のシーケンス図である。
故障解析装置10は、定期的に、映像提供事業者設備20を構成する映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、及び、NW装置25などの各設備からNW情報を収集している(ステップS105)。同様に、故障解析装置10は、定期的に、通信NW設備30を構成するコア装置31及びエッジ装置33などの各設備からNW情報を収集している(ステップS110)。故障解析装置10のDBサーバ11は、収集したNW情報を記憶する。
【0072】
映像提供事業者設備20の映像サーバ21は、評価基準格納部211から読み出した評価基準データをエッジ装置33宛に送信する(ステップS115)。エッジ装置33は、NW装置25及びコア装置31を介して映像サーバ21から受信した評価基準データを評価基準格納部335に書き込むと、映像評価基準受信応答を返送する(ステップS120)。映像サーバ21は、コア装置31及びNW装置25を介してエッジ装置33からの映像評価基準受信応答を受信する。また、エッジ装置33は、評価基準格納部335に書き込んだ評価基準データを、故障解析装置10に送信する(ステップS125)。故障解析装置10は、エッジ装置33から受信した評価基準データを記憶し、映像評価基準受信応答を返送する(ステップS130)。
【0073】
図19は、正常時の映像配信処理のシーケンス図である。
映像受信装置41は、視聴要求をエッジ装置33に送信する(ステップS205)。視聴要求には、CH番号と映像受信装置41のアドレス情報等が含まれる。エッジ装置33は、視聴要求を受信すると、映像受信装置41に応答を返送するとともに(ステップS210)、評価基準格納部335から読み出した評価基準データを設定した映像評価基準通知を返送する(ステップS215)。
【0074】
映像受信装置41は、エッジ装置33から受信した映像評価基準通知に設定されている評価基準データを評価基準格納部413に書き込むとともに、映像評価基準受信応答を返送する(ステップS220)。エッジ装置33は、映像評価基準受信応答を受信すると、ステップS205において受信した視聴要求を、当該視聴要求に設定されているCH番号の映像コンテンツを配信する映像サーバ21宛に送信する(ステップS225)。映像サーバ21は、エッジ装置33に応答を返送した後(ステップS230)、視聴要求の送信元に設定されている映像受信装置41のアドレス宛に、要求されたCH番号の映像信号を送信する(ステップS235)。映像受信装置41は、受信した映像信号をFEC復号して得た映像コンテンツデータを受像機43に出力する(ステップS240)。受像機43は、映像コンテンツデータの映像データをディスプレイに表示し、音声データをスピーカから出力する。
【0075】
映像サーバ21は、視聴要求の送信元から取得した映像受信装置41のアドレス情報を蓄積映像用サーバ23に通知する。あるいは、エッジ装置33が、視聴要求を蓄積映像用サーバ23に送信してもよい。蓄積映像用サーバ23は、映像サーバ21から受信したアドレス情報が示す映像受信装置41のアドレス宛、あるいは、エッジ装置33から受信した視聴要求の送信元が示す映像受信装置41のアドレス宛に蓄積映像信号を送信する(ステップS245)。映像受信装置41は、受信した蓄積映像信号をFEC復号して得た蓄積映像コンテンツデータを代替コンテンツ格納部416に記憶する。蓄積映像コンテンツデータの書き込みが終了すると、映像受信装置41は、蓄積完了通知をエッジ装置33に通知し(ステップS250)、エッジ装置33は、受信した蓄積完了通知を、蓄積映像用サーバ23に送信する(ステップS255)。
【0076】
図20は、エラー発生時のシーケンス図である。
映像サーバ21は、映像信号を映像受信装置41に送信し(ステップS305)、映像受信装置41は、映像信号をFEC復号して得た映像コンテンツデータを受像機43に出力する(ステップS310)。受像機43は、映像受信装置41から出力された映像コンテンツデータを表示している。
【0077】
映像受信装置41は、映像サーバ21から受信した映像信号のFEC復号処理において、パケットロスにより映像信号エラーを検出すると(ステップS315)、これまでのパケットロスの発生状況と評価基準データにより示される評価方法とを比較する(ステップS320)。映像受信装置41は、エラー発生状況が評価方法に合致している、すなわち、評価基準を超過していると判断した場合(ステップS325)、エッジ装置33に評価基準超過通知を送信する(ステップS330)。エッジ装置33は、超過通知受信応答を映像受信装置41に返送するとともに、保守者などが確認できるように、図示しないディスプレイなどに評価基準超過通知の内容を表示する(ステップS335)。映像受信装置41は、超過通知受信応答を受信すると、受像機43にエラーの発生と、エラー解析中である旨を映像受信装置41に表示させる(ステップS340)。
なお、エッジ装置33からの超過通知受信応答が返送されなかった場合、映像受信装置41は、代替コンテンツ格納部416に記憶している蓄積コンテンツのコンテンツデータを受像機43に出力し、表示させる(ステップS345)。映像受信装置41は、超過通知受信応答が返送されるまで、評価基準超過通知をエッジ装置33に再送する。
【0078】
エッジ装置33は、ステップS335において受信した評価基準超過通知を、映像提供事業者設備20を構成する装置、例えば、映像サーバ21に送信する(ステップS350)。映像サーバ21は、評価基準超過通知を受信すると、超過通知受信応答をエッジ装置33に返送するとともに、保守者などが確認できるように、図示しないディスプレイなどに評価基準超過通知の内容を表示する(ステップS355)。
【0079】
さらに、エッジ装置33は、ステップS335において受信した評価基準超過通知を、故障解析装置10に送信する(ステップS360)。故障解析装置10は、評価基準超過通知を受信すると、超過通知受信応答をエッジ装置33に返送し(ステップS365)、これまでに受信した評価基準超過通知を示す映像受信装置情報と、NW情報とに基づいて故障解析処理を行う(ステップS370)。故障解析装置10は、故障解析処理を終了すると(ステップS375)、故障解析処理により特定した故障発生箇所及びり障範囲を設定した解析結果通知を映像サーバ21及びエッジ装置33に送信する(ステップS380、S385)。また、故障解析装置10は、故障発生箇所及びり障範囲を図示しないディスプレイなどに表示する。
【0080】
映像サーバ21は、解析結果通知を受信すると、解析結果受信応答を故障解析装置10に返送するとともに、図示しないディスプレイなどに解析結果受信応答が示す故障発生箇所及びり障範囲を表示する(ステップS390)。
エッジ装置33は、解析結果通知を受信すると、ステップS330において評価基準超過通知を送信した映像受信装置41に解析結果通知を送信し(ステップS395)、故障解析装置10に解析結果受信応答を返送する(ステップS400)。エッジ装置33は、図示しないディスプレイなどに解析結果受信応答が示す故障発生箇所及びり障範囲を表示する。映像受信装置41は、受信した解析結果通知が示す故障箇所及びり障範囲を受像機43に表示させる(ステップS405)。
【0081】
続いて、映像配信システムの詳細な処理手順について説明する。
【0082】
図21は、図18のステップS105、S110に示すNW情報収集及び蓄積処理の処理フローを示す。通知サーバ13のNW状態通知処理部134は、SNMP等を用い、映像提供事業者設備20を構成する各装置及び通信NW設備30を構成する各装置にNW情報収集指示を送信するようパケット送受信部131に指示する。パケット送受信部131は、NW情報収集指示を映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31及びエッジ装置33に送信する(ステップS505)。
【0083】
映像サーバ21のパケット送受信部213がNW情報収集指示を受信すると、NW状態収集処理部215は、当該映像サーバ21の稼動状態を収集する。NW状態通知処理部214は、図示しない接続情報記憶部から、当該サーバが接続している下位装置のノードID及びアドレス情報を読み出す。NW状態通知処理部214は、下位装置のノードID及びアドレス情報を設定した下位装置情報と、当該映像サーバ21のノードIDを設定した収容装置情報とからなる接続情報を生成する。NW状態通知処理部214は、生成した接続情報と、NW状態収集処理部215が収集した当該映像サーバ21の稼動状態を示すNW状態情報とからなるNW情報をパケット送受信部213に出力し、パケット送受信部213は、NW状態通知処理部214から入力されたNW情報を通知サーバ13に送信する。蓄積映像用サーバ23も、映像サーバ21と同様の処理により、NW情報を通知サーバ13に送信する。
【0084】
エッジ装置33のパケット送受信部331がNW情報収集指示を受信すると、NW状態収集処理部333は、当該エッジ装置33の稼動状態を収集する。NW状態通知処理部332は、図示しない接続情報記憶部から、当該エッジ装置33が接続している下位装置のノードID及びアドレス情報と、上位装置のノードIDを読み出す。NW状態通知処理部332は、収容している下位装置である映像受信装置41のノードID及びアドレス情報を設定した下位装置情報と、上位装置であるNW装置25のノードIDを設定した上位装置情報と、自装置のノードIDを設定した収容装置情報とからなる接続情報を生成する。NW状態通知処理部332は、生成した接続情報と、NW状態収集処理部333が収集した当該エッジ装置33の稼動状態を示すNW状態情報とからなるNW情報をパケット送受信部331に出力し、パケット送受信部331は、NW状態通知処理部332から入力されたNW情報を通知サーバ13に送信する。
コア装置31、及び、NW装置25も、エッジ装置33と同様の処理により、NW情報を通知サーバ13に送信する(ステップS510)。
【0085】
通知サーバ13のNW状態通知処理部134は、パケット送受信部131を介して映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31及びエッジ装置33から送信されたNW情報を受信すると、受信したNW情報をサーバ連携部133に出力する。サーバ連携部133は、NW状態通知処理部134から入力されたNW情報をDBサーバ11に送信する。DBサーバ11のNW状態通知処理部115は、通知サーバ13から送信されたNW情報を、サーバ連携部114を介して受信する。NW状態通知処理部115は、NW情報に設定されているNW状態情報及び接続情報により、NW情報格納部113に現在記憶されているNW状態情報及び接続情報を更新する(ステップS515)。
【0086】
図22は、図18のステップS115〜S130に示す映像サーバ21、エッジ装置33及び故障解析装置10間における評価基準データ送受信処理の処理フローを示す。
映像サーバ21の評価基準送受信部216は、定期的に、あるいは、評価基準格納部211に格納されている評価基準データが更新された場合などに、評価基準格納部211から評価基準データを読み出してパケット送受信部213に出力し、エッジ装置33に送信するよう指示する。1つのCHに1つの評価基準データが対応してもよく、1つのCHに複数の評価基準データが対応してもよい。パケット送受信部213は、評価基準送受信部216から入力された評価基準データを図17に示すパケットによりエッジ装置33宛に送信する(ステップS605)。送信元アドレスには、映像サーバ21のアドレスが設定され、宛先アドレスには、エッジ装置33のアドレスが設定され、データ種別には映像評価基準通知を示す値が設定され、詳細データには、評価基準データが設定される。
【0087】
エッジ装置33のパケット送受信部331は、映像サーバ21から受信したパケットのデータ種別に映像評価基準通知を示す値が設定されていると判断すると、受信したパケットを評価基準送受信部334に出力する。評価基準送受信部334は、受信したパケットの詳細データに評価基準データが設定されている場合、その評価基準データを評価基準格納部335に書き込み、映像評価基準受信応答の返送をパケット送受信部331に指示する(ステップS615)。パケット送受信部331は、図17に示すパケットにより映像サーバ21に映像評価基準受信応答を送信する(ステップS620)。送信元アドレスには、エッジ装置33のアドレスが設定され、宛先アドレスには、映像サーバ21のアドレスが設定され、データ種別には映像評価基準受信応答を示す値が設定され、詳細データには、映像評価基準通知に設定されていた評価基準データが設定される。映像サーバ21の評価基準送受信部216は、パケット送受信部213を介して映像評価基準受信応答を受信する。
【0088】
エッジ装置33の評価基準送受信部334は、映像サーバ21から受信した映像評価基準通知を通知サーバ13に送信するようパケット送受信部331に指示する。パケット送受信部331は、映像サーバ21から受信した映像評価基準通知のパケットをDBサーバ11に送信する(ステップS625)。送信元アドレスには、エッジ装置33のアドレスが設定され、宛先アドレスには、通知サーバ13のアドレスが設定される。
【0089】
通知サーバ13の評価基準送受信部132は、パケット送受信部131を介してエッジ装置33から送信された映像評価基準通知を受信すると、映像評価基準通知から取得した評価基準データをDBサーバ11に送信するようサーバ連携部133に指示する。サーバ連携部133は、評価基準データをDBサーバ11に送信する。DBサーバ11の評価基準格納部111は、サーバ連携部114を介して受信した評価基準データを記憶する(ステップS630)。
【0090】
通知サーバ13の評価基準送受信部132は、映像評価基準受信応答を返送するようパケット送受信部131に指示する。パケット送受信部131は、エッジ装置33宛に映像評価基準受信応答を送信する(ステップS635)。エッジ装置33の評価基準送受信部334は、パケット送受信部331を介して映像評価基準受信応答を受信する。
【0091】
一方、ステップS610において、エッジ装置33のパケット送受信部331は、映像サーバ21から受信したデータ種別に映像評価基準通知を示す値とは異なる値が設定されていると判断すると、受信したパケットを破棄する(ステップS640)。
【0092】
図23は、図19のステップS205〜S220に示すエッジ装置33及び映像受信装置41間の評価基準データ送受信処理の処理フローを示す。
映像受信装置41の映像音声処理部414は、視聴ユーザにより図示しない入力部により視聴要求送信指示及びCH番号が入力された場合や、予め視聴ユーザがCH番号と対応させて入力した視聴要求送信時刻になったことを検出した場合に、CH番号を設定した視聴要求をパケット送受信部411に出力する。パケット送受信部411は、映像音声処理部414から入力された視聴要求をエッジ装置33に送信する(ステップS705)。エッジ装置33の視聴要求処理部336が、パケット送受信部331を介して映像受信装置41から視聴要求を受信すると、視聴応答を返送するようパケット送受信部331に指示する。パケット送受信部331は、視聴要求送信元の映像受信装置41に視聴応答を送信し、映像受信装置41の映像音声処理部414は、パケット送受信部411を介して視聴応答を受信する。
【0093】
エッジ装置33が視聴要求を返送すると、評価基準送受信部334は、評価基準格納部335から評価基準データを読み出してパケット送受信部331に出力し、映像受信装置41に送信するよう指示する。なお、契約等により、ユーザに異なる評価基準が適用される場合、予め評価基準格納部335にユーザ毎の契約品質を記憶しておく。評価基準送受信部334は、同じCH番号に対応して複数の評価基準データが評価基準格納部335に記憶されている場合、視聴要求に設定されている映像受信装置41のユーザIDやユーザアドレスに対応した契約品質を評価基準格納部335から読み出し、読み出した契約品質に対応したQoSのレベルが設定されている評価基準データを選択して読み出す。パケット送受信部213は、評価基準送受信部334から入力された評価基準データを図17に示すパケットにより、視聴要求の送信元の映像受信装置41宛に送信する(ステップS710)。
【0094】
映像受信装置41のパケット送受信部411は、エッジ装置33から受信したパケットのデータ種別に映像評価基準通知を示す値が設定されていると判断すると(ステップS715:YES)、受信したパケットを評価基準送受信部412に出力する。評価基準送受信部412は、受信したパケットの詳細データに評価基準データが設定されている場合、その評価基準データを評価基準格納部413に書き込み、映像評価基準受信応答を返送するようパケット送受信部411に指示する(ステップS720)。パケット送受信部331は、図17に示すパケットによりエッジ装置33宛に映像評価基準受信応答を送信する(ステップS725)。エッジ装置33の評価基準送受信部334は、パケット送受信部331を介して映像評価基準受信応答を受信する。
【0095】
エッジ装置33の評価基準送受信部334が映像評価基準受信応答を受信すると、視聴要求処理部336は、ステップS705において受信した視聴要求を、当該視聴要求に設定されているCH番号の映像信号を配信する映像サーバ21宛に送信するようパケット送受信部331に指示する。パケット送受信部331は、視聴要求を映像サーバ21に送信する。視聴要求には、視聴要求送信元の映像受信装置41のアドレス情報が設定されている。映像サーバ21の映像信号送信部217は、パケット送受信部213を介して視聴要求を受信すると、視聴要求に設定されているCH番号の映像コンテンツデータを映像信号蓄積部212から読み出し、FEC符号化して映像信号を生成する。映像信号送信部217は、生成した映像信号と、視聴要求に設定されている映像受信装置41のアドレスをパケット送受信部213に出力し、送信を指示する。パケット送受信部213は、映像信号送信部217から入力された映像信号を、映像受信装置41のアドレスを宛先として送信する。
【0096】
また、視聴要求処理部336は、ステップS705において受信した視聴要求を、蓄積映像用サーバ23に送信するようパケット送受信部331に指示し、パケット送受信部331は、蓄積映像用サーバ23宛に視聴要求を送信する。蓄積映像用サーバ23の映像信号送信部217は、パケット送受信部213を介して視聴要求を受信すると、蓄積映像コンテンツデータを映像信号蓄積部212から読み出し、FEC符号化して蓄積映像信号を生成する。映像信号送信部217は、生成した蓄積映像信号と、視聴要求に設定されている映像受信装置41のアドレスとをパケット送受信部213に出力し、送信を指示する。パケット送受信部213は、映像信号送信部217から入力された蓄積映像信号を、映像受信装置41のアドレスを宛先として送信する。
【0097】
なお、ステップS715において、映像受信装置41のパケット送受信部411は、エッジ装置33から受信したパケットのデータ種別に映像評価基準通知を示す値が設定されていないと判断すると(ステップS715:NO)、受信したパケットを破棄する(ステップS730)。
【0098】
なお、エッジ装置33は、視聴要求を映像サーバ21及び蓄積映像用サーバ23に送信し、蓄積映像用サーバ23のパケット送受信部213は、エッジ装置33から視聴要求を受信してもよい。
【0099】
図24は、図20のステップS305〜S335に示すエラー検出及び通知処理の処理フローを示す。
映像受信装置41の映像音声処理部414は、映像サーバ21から送信された映像信号のデータパケットをパケット送受信部411を介して受信すると、受信したデータパケットに設定されている映像信号をFEC復号する(ステップS805)。映像信号解析部415は、パケット送受信部411によるFEC復号の結果から、パケットロスが発生したか否かを判断する(ステップS810)。例えば、映像信号解析部415は、FEC復号が失敗した場合や、映像信号のデータパケットに付加されたシーケンス番号が連続していなかった場合、パケットロスと判断する。あるいは、映像信号のデータパケットが受信できないため、映像音声処理部414においてFEC復号が所定時間以上行なわれない場合も、パケットロスと判断する。
【0100】
映像信号解析部415は、パケットロスが発生していると判断した場合(ステップS810:YES)、パケットロスが発生した映像コンテンツのCH番号(以下、「エラーCH番号」と記載する。)と、パケットロスの発生時刻とを取得し、パケットロスの発生状況(パケットロス1個、10秒間パケット受信なし等)とともに評価実施部417に通知する。
【0101】
評価実施部417は、映像信号解析部415から入力されたエラーCH番号を評価基準格納部413に出力し、評価基準格納部413は、評価実施部417から入力されたエラーCH番号に対応した評価基準データを評価実施部417に出力する。続いて、評価実施部417は、映像信号解析部415から入力されたエラーCH番号を評価情報格納部418に出力する。評価情報格納部418は、入力されたエラーCH番号に対応した評価情報を評価実施部417に出力する。
【0102】
評価実施部417は、評価情報格納部418から取得した評価情報に、映像信号解析部415から入力されたパケットロスの発生時刻及び発生状況を追加し、更新評価情報を生成する。なお、評価情報格納部418は、エラーCH番号に対応した評価情報が登録されていない場合は、評価情報なしを評価実施部417へ出力する。この場合、評価実施部417は、映像信号解析部415から入力されたエラーCH番号、パケットロスの発生時刻及び発生状況を対応付けた更新評価情報を生成する。
【0103】
評価実施部417は、更新評価情報に基づいて、評価基準データが示す評価方法を満たしているかにより評価基準の超過を判断する(ステップS815)。
例えば、図14(a)に示す評価No.「01」の評価基準データの場合、評価方法は「パケロス1個以上発生」であり、更新評価情報に1以上のエラー発生時刻が設定されているため、評価実施部417は、評価基準を超過していると判断する。
また、図14(a)に示す評価No.「02」の評価基準データの場合、評価方法は「5秒間パケット受信なしが3回以上発生」であるため、評価実施部417は、更新評価情報にエラーの種類「x秒間パケット受信なし」(x≧5)が3以上含まれている場合、評価基準を超過していると判断する。
あるいは、図14(c)に示す評価No.「04」の評価基準データの場合、評価方法は「1つのCHあたり1分間以内にパケロス10個以上発生」である。評価実施部417は、現在時刻から1分前の時刻まで時刻を示すエラー発生時刻に対応して更新評価情報のパケットロス発生状況が示すパケットロスの個数の合計が10個以上である場合、評価基準を超過していると判断する。なお、パケットロス発生状況が、パケット受信なしの時間で示されている場合、その時間で受信が想定されるパケットの個数に変換する。
【0104】
評価実施部417は、更新評価情報を評価情報格納部418に出力し、評価情報格納部418は、エラーCH番号に対応して記憶している評価情報を、評価情報格納部418から入力された更新評価情報で上書する。なお、評価情報格納部418は、エラーCH番号に対応した評価情報を記憶していない場合、評価情報格納部418から入力された更新評価情報を評価情報として新たに記憶する。
【0105】
評価実施部417が、評価基準を超過していると判断した場合(ステップS820:YES)、評価方法を満たしていると判断したときに用いた評価基準データの評価基準No.と、エラーCH番号を示すエラー映像信号、パケットロスを示すエラー状態、及び、現在時刻を示すエラー発生時刻を設定したパケットロス情報とを映像信号解析部415に出力する。映像信号解析部415は、図17に示すパケットにより評価基準超過通知を生成してパケット送受信部411に出力する。ペイロード部の詳細データには、評価実施部417から入力された評価基準No.及びパケットロス情報と、当該映像受信装置41のユーザIDとが設定され、宛先には、エッジ装置33のアドレスが設定される。パケット送受信部411は、映像信号解析部415から入力された評価基準超過通知をエッジ装置33に送信する(ステップS825)。エッジ装置33のパケット送受信部331は、映像受信装置41から評価基準超過通知を受信すると、映像受信装置41に超過通知受信応答を返送する(ステップS830)。
【0106】
なお、ステップS810において、映像信号解析部415が、パケットロスが発生していないと判断した場合(ステップS810:NO)、または、ステップS820において、評価実施部417が評価基準を超過していないと判断した場合(ステップS820:NO)、映像受信装置41は、エラー検出及び通知処理を終了する。
【0107】
映像信号解析部415は、映像音声処理部414がFEC復号した映像コンテンツデータを映像信号出力部419に出力し、映像信号出力部419は、映像信号解析部415から入力された映像コンテンツデータを受像機43に出力し、表示させる。映像受信装置41は、次の映像信号のパケットを受信した場合、ステップS805からの処理を行う。
【0108】
図25は、図20のステップS330〜S345に示す蓄積映像送信処理の処理フローを示す。
映像受信装置41は、図24のステップS825において評価基準超過通知をエッジ装置33に送信し(ステップS905)、評価基準超過通知の送信後、所定時間内にエッジ装置33からの超過通知受信応答を受信しなかった場合(ステップS910:NO)、映像信号解析部415は、映像信号の瞬断の原因を解析中である旨のメッセージを表示させる表示データを映像信号出力部419に出力し、映像信号出力部419は、表示データを受像機43に出力する。受像機43は、映像受信装置41から入力された表示データを画面に表示する(ステップS915)。超過通知受信応答を受信しなかった場合は、エッジ装置33が正常に稼動していない可能性が高く、映像サーバ21から配信される映像信号も映像受信装置41に送信できないため、映像受信装置41は、映像コンテンツデータを受像機43に表示させることができない。そこで、映像受信装置41の映像信号解析部415は、代替コンテンツ格納部416から蓄積映像コンテンツデータを読み出し、映像信号出力部419に出力する。映像信号出力部419は、蓄積映像コンテンツデータを受像機43に出力し、受像機43は、蓄積映像コンテンツデータを画面に表示する(ステップS920)。
【0109】
一方、評価基準超過通知の送信後、所定時間内にエッジ装置33から超過通知受信応答を受信した場合(ステップS910:YES)、映像信号解析部415は、映像信号の瞬断の原因を解析中である旨のメッセージを表示させる表示データを映像信号出力部419に出力し、映像信号出力部419は、表示データを受像機43に出力する。受像機43は、表示データを画面に表示する(ステップS925)。映像受信装置41は、解析結果待ち状態となり、映像信号出力部419は、映像音声処理部414がFEC復号した映像コンテンツデータを受像機43に出力し、表示させる(ステップS930)。
【0110】
図26は、図20のステップS360〜S365に示す評価基準超過通知処理の処理フローを示す。
図24のステップS825において、エッジ装置33のパケット送受信部331は、映像受信装置41からの評価基準超過通知を受信すると(ステップS1005)、超過通知受信応答を返送する。さらに、パケット送受信部331は、映像受信装置41から受信した評価基準超過通知を通知サーバ13及び映像提供事業者設備20の各装置に送信する(ステップS1010)。通知サーバ13の評価基準超過通知処理部135は、パケット送受信部131を介してエッジ装置33から送信された評価基準超過通知を受信すると、超過通知受信応答を返送するようパケット送受信部131に指示する。パケット送受信部131は、エッジ装置33宛に超過通知受信応答を送信する。同様に、映像提供事業者設備20の各装置は、エッジ装置33から送信された評価基準超過通知を受信すると、超過通知受信応答を返送する(ステップS1015)。
【0111】
通知サーバ13の評価基準超過通知処理部135は、受信した評価基準超過通知の詳細データ部を読み出し、映像受信装置情報としてDBサーバ11に送信するようサーバ連携部133に指示する。サーバ連携部133は、映像受信装置情報をDBサーバ11に送信する。DBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112は、サーバ連携部114が受信した映像受信装置情報を記憶する(ステップS1020)。なお、DBサーバ11は、所定周期毎に映像受信装置情報蓄積部112に蓄積されている映像受信装置情報を消去する。
【0112】
図27は、図20のステップS370〜S375に示す故障解析処理の処理フローを示す。
図26のステップS1010において、通知サーバ13が評価基準超過通知を受信する(ステップS1105)、評価基準超過通知処理部135は、評価基準超過通知を解析サーバ15に送信するようサーバ連携部133に指示する。サーバ連携部133は、評価基準超過通知を解析サーバ15に送信する(ステップS1110)。
【0113】
解析サーバ15の解析情報送受信部154は、サーバ連携部151を介して評価基準超過通知を受信すると、映像受信装置情報受信部152に映像受信装置情報の読み出しを指示する。映像受信装置情報受信部152は、サーバ連携部151へ映像受信装置情報取得要求の送信を指示し、サーバ連携部151は、DBサーバ11へ映像受信装置情報取得要求を送信する。DBサーバ11のサーバ連携部114は、映像受信装置情報取得要求を受信すると、映像受信装置情報蓄積部112から映像受信装置情報を読み出して解析サーバ15へ返送する。このとき、発生時刻情報に現在時刻から所定時間時間遡った時刻までの時刻が設定されている映像受信装置情報のみを読み出して返送してもよい。解析サーバ15の映像受信装置情報受信部152は、サーバ連携部151を介して受信した映像受信装置情報を解析情報送受信部154に出力する。
【0114】
障害解析実施部155は、映像受信装置情報に設定されているユーザID(以下、障害発生ユーザID)が、異なるユーザIDからなるか、全て同一のユーザIDであるかを判断する(ステップS1115)。障害発生ユーザIDが全て同一のユーザIDであると判断した場合(ステップS1115:NO)、障害解析実施部155は、障害発生ユーザIDにより特定される視聴ユーザのユーザ宅内設備40の要因でパケットロスが発生したと判断し、故障解析処理を終了する(ステップS1120)。
【0115】
ステップS1115において、障害発生ユーザIDが異なるユーザIDからなると判断した場合(ステップS1115:YES)、障害解析実施部155は、DBサーバ11から接続情報を読み出し、この接続情報から映像受信装置情報に設定されている障害発生ユーザIDそれぞれについて、次のように映像信号の配信ルートを読み出す(ステップS1125)。
まず、障害解析実施部155は、NW状態情報受信部153に接続情報の読み出しを指示する。NW状態情報受信部153は、サーバ連携部151へ接続情報取得要求の送信を指示し、サーバ連携部151は、DBサーバ11へNW情報取得要求を送信する。DBサーバ11のNW状態通知処理部115は、サーバ連携部114を介して接続情報取得要求を受信すると、NW情報格納部113から接続情報を読み出してサーバ連携部114に出力し、サーバ連携部114は、接続情報を解析サーバ15へ送信する。解析サーバ15のNW状態情報受信部153は、サーバ連携部151を介して受信した接続情報を解析情報送受信部154に出力する。
【0116】
障害解析実施部155は、障害発生ユーザIDが下位装置情報のノードIDに設定されている収容装置情報のレコードから収容装置情報及び上位装置情報を読み出し、さらに、読み出した上位装置情報が示すノードIDが収容装置情報のノードIDに設定されている上位装置情報を読み出す処理を、上位装置情報が設定されていないレコードに達するまで繰り返す。
【0117】
例えば、障害発生ユーザIDが「U1」である場合、障害解析実施部155は、下位装置情報のノードID「U1」が設定されている接続情報(図12)のレコードから収容装置情報「E1」及び上位装置情報「C1」を読み出す。続いて障害解析実施部155は、読み出した上位装置情報「C1」が収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから上位装置情報「B1」を読み出し、さらに、読み出した上位装置情報「B1」が収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから上位装置情報「SV1」、「SV2」を読み出す。上位装置情報「SV1」、「SV2」が収容装置情報に設定されている接続情報のレコードには上位装置情報が設定されていないため、障害解析実施部155は配信ルートの検索を終了する。先に読み出したノードIDは配信ルートにおいては下位となるため、障害発生ユーザ「U1」の配信ルートは、読み出した順のノードIDを逆順に並べた「SV1」、「SV2」→「B1」→「C1」→「E1」→「U1」である。
【0118】
障害解析実施部155は、障害発生ユーザID全てについて配信ルートを得ると、それら配信ルート全て(あるいは、95%などの所定の閾値以上)に共通する通信NW設備30(コア装置31またはエッジ装置33)のノードIDがあるかを判断する(ステップS1130)。共通する通信NW設備30のノードIDがあると判断した場合(ステップS1130:YES)、障害解析実施部155は、その共通する通信NW設備30のノードIDで特定される装置のうち、最も下位の装置が被疑装置であると判断する(ステップS1135)。
【0119】
例えば、障害発生ユーザが「U1」〜「U6」であった場合、「U1」〜「U3」の配信ルートは、「SV1」、「SV2」→「B1」→「C1」→「E1」→「U1」〜「U3」であり、「U4」〜「U6」の配信ルートは、「SV1」、「SV2」→「B1」→「C1」→「E2」→「U4」〜「U6」である。この場合、ノードID「C1」のコア装置31が共通であるため、被疑装置と判断される。
また、例えば、障害発生ユーザが「U1」、「U2」であった場合、これらの配信ルートでは、ノードID「C1」のコア装置31及びノードID「E1」のエッジ装置33が共通であるが、これらのうち下位の装置であるノードID「E1」のエッジ装置33が被疑装置と判断される。
【0120】
さらに、障害解析実施部155は、映像受信装置情報から障害発生ユーザIDに対応したエラー映像信号が示すCH番号を読み出し、読み出したCH番号全て(あるいは、所定の閾値以上)が、同一の映像サーバ21により配信される映像コンテンツのCH番号であるかを判断する(ステップS1140)。読み出したCH番号が異なる映像サーバ21のCH番号であると判断した場合(ステップS1140:NO)、後述するステップS1170の処理を行う。一方、同一の映像サーバ21のCH番号であると判断した場合(ステップS1140:YES)、障害解析実施部155は、そのCH番号の映像信号を配信する映像サーバ21もさらに被疑装置であると判断する(ステップS1145)。
【0121】
ステップS1130において、障害発生ユーザID全ての配信ルートに共通する通信NW設備30のノードIDがないと判断した場合(ステップS1130:NO)、障害解析実施部155は、障害発生ユーザID全て(あるいは、所定の閾値以上)の配信ルートに共通する映像事業者設備のノードIDがあるかを判断する(ステップS1150)。共通する映像提供事業者設備のノードIDがないと判断した場合(ステップS1150:NO)、障害解析実施部155は、障害発生ユーザIDにより特定される視聴ユーザのユーザ宅内設備40の要因でパケットロスが発生したと判断する(ステップS1120)。
【0122】
ステップS1150において、共通する映像提供事業者設備20のノードIDがあると判断した場合(ステップS1150:YES)、障害解析実施部155は、映像受信装置情報から障害発生ユーザIDに対応したエラー映像信号が示すCH番号を読み出し、読み出したCH番号全て(あるいは、所定の閾値以上)が、1つの映像サーバ21により配信される映像コンテンツのCH番号であるかを判断する(ステップS1155)。同一の映像サーバ21のCH番号ではないと判断した場合(ステップS1155:NO)、障害解析実施部155は、共通する映像提供事業者設備20のノードIDにより特定されるNW装置25が被疑装置であると判断する(ステップS1160)。
ステップS1155において、同一の映像サーバ21のCH番号であると判断した場合(ステップS1155:YES)、障害解析実施部155は、共通する映像提供事業者設備20のノードIDにより特定される装置(映像サーバ21、NW装置25)が被疑装置であると判断する(ステップS1165)。
【0123】
ステップS1140においてNOと判断した場合、あるいは、ステップS1145、ステップS1160、または、ステップS1165の処理の後、障害解析実施部155は、被疑装置の故障を示すNW状態情報がDBサーバ11に登録されているかを判断する(ステップS1170)。そこでまず、障害解析実施部155は、NW状態情報受信部153にNW状態情報の読み出しを指示する。NW状態情報受信部153は、サーバ連携部151へNW状態情報取得要求の送信を指示し、サーバ連携部151は、DBサーバ11へNW状態取得要求を送信する。DBサーバ11のNW状態通知処理部115は、サーバ連携部114を介してNW状態情報取得要求を受信すると、NW情報格納部113からNW状態情報を読み出してサーバ連携部114に出力する。サーバ連携部114は、NW状態情報を解析サーバ15へ送信する。解析サーバ15のNW状態情報受信部153は、サーバ連携部151を介して受信したNW状態情報を解析情報送受信部154に出力する。
【0124】
障害解析実施部155は、被疑装置のノードIDに対応してNW状態情報に障害発生が記録されている場合(ステップS1170:YES)、被疑装置の故障によりパケットロスが発生したと判断し、故障解析処理を終了する(ステップS1175)。被疑装置のノードIDに対応してNW状態情報に障害発生が記録されていない場合(ステップS1170:NO)、障害解析実施部155は、被疑装置のサイレント故障によりパケットロスが発生したと判断し、故障解析処理を終了する(ステップS1180)。
【0125】
図28は、図20のステップS380に示す解析結果通知処理の処理フローを示す。
解析サーバ15の障害解析実施部155は、図27の処理を完了すると(ステップS1205)、要因はユーザ宅内設備40によるものか否かを判断する(ステップS1210)。
【0126】
要因はユーザ宅内設備40であると判断した場合(ステップS1210:YES)、障害解析実施部155は、ユーザ宅内設備40が要因の故障が発生した旨と、要因となったユーザ宅内設備40のユーザIDとを詳細データに設定した解析結果通知を生成してサーバ連携部151に出力し、エッジ装置33などの通信NW設備30や、映像サーバ21、NW装置25などの映像事象者設備へ送信するよう指示する。サーバ連携部151は、解析結果通知と、エッジ装置33、映像サーバ21及びNW装置25のノードIDまたはアドレスである宛先情報を通知サーバ13に送信する。通知サーバ13の解析結果通知処理部136は、サーバ連携部133を介して解析サーバ15から解析結果通知及び宛先情報を受信してパケット送受信部131に出力する。パケット送受信部131は、解析結果通知を、宛先情報で示されるエッジ装置33、映像サーバ21、及び、NW装置25宛に送信する(ステップS1215)。
【0127】
エッジ装置33のパケット送受信部331、映像サーバ21のパケット送受信部213、及び、NW装置25は、解析結果を受信すると、解析結果通知応答を通知サーバ13に返送する(ステップS1220)。エッジ装置33、映像サーバ21、及び、NW装置25は、受信した解析結果を、図示しないディスプレイなどに表示する。
【0128】
エッジ装置33のパケット送受信部331は、受信した解析結果通知を、映像受信装置41に送信する(ステップS1225)。映像受信装置41のパケット送受信部411は解析結果通知を受信すると、映像信号出力部419は、受信した解析結果通知の詳細データの内容(ユーザ宅内設備40が要因の故障が発生)を受像機43に表示させる。
【0129】
一方、ステップS1210において、要因はユーザ宅内設備40ではないと判断した場合(ステップS1210:NO)、図28のステップS1125において読み出した接続情報を参照して、り障範囲を特定する(ステップS1230)。つまり、障害解析実施部155は、図28のステップS1175において故障と判断された装置、または、ステップS1180において故障と判断された装置(以下、「故障発生装置」と記載する。)のノードIDが収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから、下位装置情報のノードID及びアドレス情報を読み出し、さらに読み出したノードIDが収容装置情報に設定されている接続情報のレコードの下位装置情報からノードID及びアドレス情報を読み出すことを、映像受信装置41のノードIDが得られるまで繰り返す。障害解析実施部155は、読み出した全てのノードIDをり障範囲とする。
【0130】
例えば、故障発生装置がノードID「C1」のコア装置31である場合、障害解析実施部155は、収容装置情報に「C1」が設定されている接続情報のレコードから下位装置情報のノードID「E1」及びアドレス情報「IPアドレスe1」、ノードID「E2」及びアドレス情報「IPアドレスe2」を読み出す。続いて障害解析実施部155は、読み出したノードID「E1」が収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから下位装置情報のノードID「U1」、「U2」、「U3」とそれらのアドレス情報を読み出し、ノードID「E2」が収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから下位装置情報のノードID「U4」、「U5」、「U6」とそれらのアドレス情報を読み出す。ノードID「U1」、「U2」、「U3」、「U4」、「U5」、「U6」は、映像受信装置41のノードIDであるため、検索を終了する。障害解析実施部155は、り障範囲をノードID「E1」、「E2」、「U1」、「U2」、「U3」、「U4」、「U5」、「U6」とする。
【0131】
障害解析実施部155は、故障が発生した旨及び故障発生装置のノードIDを示す解析結果と、り障範囲とを詳細データに設定した解析結果通知を生成してサーバ連携部151に出力し、エッジ装置33などの通信NW設備30や、映像サーバ21、NW装置25などの映像事象者設備へ送信するよう指示する。サーバ連携部151は、解析結果通知と、エッジ装置33、映像サーバ21及びNW装置25のノードIDまたはアドレスである宛先情報を通知サーバ13に送信する。通知サーバ13の解析結果通知処理部136は、サーバ連携部133を介して解析サーバ15から解析結果通知及び宛先情報を受信してパケット送受信部131に出力する。パケット送受信部131は、解析結果通知を、宛先情報で示されるエッジ装置33、映像サーバ21、及び、NW装置25宛に送信する(ステップS1235)。
【0132】
エッジ装置33のパケット送受信部331、映像サーバ21のパケット送受信部213、及び、NW装置25は、解析結果を受信すると、解析結果通知応答を通知サーバ13に返送する(ステップS1240)。エッジ装置33、映像サーバ21、及び、NW装置25は、受信した解析結果を、図示しないディスプレイなどに表示する。
【0133】
エッジ装置33のパケット送受信部331は、受信した解析結果通知を、映像受信装置41に送信する(ステップS1245)。映像受信装置41のパケット送受信部411は解析結果通知を受信すると、映像信号出力部419は、受信した解析結果通知の詳細データの内容を受像機43に表示する。
【0134】
また、解析サーバ15は、障害解析実施部155による解析結果を、図示しないディスプレイなどに表示する。保守者は、表示された解析結果により故障の発生や、故障発生装置のノードID、り障範囲などを確認すると、必要に応じて、解析サーバ15の図示しない入力手段により、評価基準データ、映像受信装置情報、NW情報などの表示指示を入力する。解析サーバ15は、DBサーバ11から評価基準格納部111内の評価基準データ、映像受信装置情報蓄積部112内の映像受信装置情報、NW情報格納部113内のNW情報など読み出してディスプレイに表示する。
【0135】
なお、解析サーバ15の障害解析実施部155は、解析結果通知と、り障範囲に含まれる装置のアドレス情報とをサーバ連携部151に出力し、送信を指示してもよい。サーバ連携部151は、解析結果通知と、り障範囲に含まれる装置のアドレス情報とを通知サーバ13に送信する。通知サーバ13のパケット送受信部131は、解析結果通知を、り障範囲に含まれる各装置のアドレス情報を宛先として送信する。解析結果通知を受信した各装置は、解析結果通知に含まれる詳細データの内容を表示させる。
【0136】
図29及び図30は、解析結果例を示す図である。
図29に示すPT(パターン)1は、エッジ装置33において故障が発生した場合の例である。この場合、ユーザID「U1」、「U2」、「U3」の映像受信装置41から送信された評価基準超過通知がDBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112に格納される。そして、図27のステップS1115において、故障ユーザID「U1」、「U2」、「U3」が読み出され(ステップS1115:YES)、ステップS1125において読み出されたこれらの故障ユーザIDの配信ルートは、ノードID「C1」のコア装置31及びノードID「E1」のエッジ装置33が共通である(ステップS1130:YES)。従って、ステップS1135において、下位のノードID「E1」のエッジ装置33が被疑と判断される。
【0137】
PT2は、コア装置31において故障が発生した場合の例である。この場合、ユーザID「U1」〜「U6」の映像受信装置41から送信された評価基準超過通知がDBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112に格納される。そして、図27のステップS1115において、故障ユーザID「U1」〜「U6」が読み出され(ステップS1115:YES)、ステップS1125において読み出されたこれらの故障ユーザIDの配信ルートは、ノードID「C1」のコア装置31が共通である(ステップS1130:YES)。従って、ステップS1135において、ノードID「C1」のコア装置31が被疑と判断される。
【0138】
図30に示すPT3は、NW装置25において故障が発生した場合の例である。この場合、ユーザID「U1」〜「U12」の映像受信装置41から送信された評価基準超過通知がDBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112に格納される。そして、図27のステップS1115において、故障ユーザID「U1」〜「U12」が読み出され(ステップS1115:YES)、ステップS1125において読み出されたこれらの故障ユーザIDの配信ルートは、ノードID「B1」のNW装置25、ノードID「SV1」の映像サーバ21、及び、ノードID「SV2」の映像サーバ21が共通である(ステップS1130:NO、ステップS1150:YES)。また、エラーが発生したCH番号に共通性がない場合(ステップS1155:NO)、映像サーバ21を除き、ノードID「B1」のNW装置25が被疑と判断される。
【0139】
PT4は、映像サーバ21において故障が発生した場合の例である。この場合、ユーザID「U1」、「U3」、「U6」、「U9」の映像受信装置41から送信された評価基準超過通知がDBサーバ11の映像受信装置情報蓄積部112に格納される。そして、図27のステップS1115において、故障ユーザID「U1」、「U3」、「U6」、「U9」が読み出され(ステップS1115:YES)、ステップS1125において読み出されたこれらの故障ユーザIDの配信ルートは、ノードID「B1」のNW装置25、ノードID「SV1」の映像サーバ21、及び、ノードID「SV2」の映像サーバ21が共通である(ステップS1130:NO、ステップS1150:YES)。エラーが発生したCH番号に共通性があるため(ステップS1155:YES)、ノードID「B1」のNW装置25と、共通するCH番号の映像信号を送信するノードID「SV1」の映像サーバ21とが被疑と判断される。ノードID「SV1」の映像サーバ21のアラームがNW状態情報に設定されているため(ステップS1170:YES)、ノードID「SV1」の映像サーバ21の故障であると判断される。
【0140】
なお、上記実施形態では、映像信号をユニキャストで送信しているが、マルチキャストにより送信してもよい。その場合、映像サーバ21は、マルチキャストアドレスを示す宛先アドレスを付加して映像信号を送信し、NW装置25は、受信した映像信号をコピーして下位のコア装置31に送信する。コア装置31は、受信した映像信号をコピーして下位のエッジ装置33に送信する。エッジ装置33は、視聴要求の送信元の映像受信装置41に、映像信号をコピーして送信する。
【0141】
また、上記においては、CH毎の評価基準を用いているが、各映像コンテンツ毎の評価基準を用いてもよい。この場合、評価基準データの視聴映像には、CH番号に代えて、映像コンテンツデータの名称など、映像コンテンツデータ毎に異なる識別情報が設定される。映像受信装置41の評価実施部417は、映像信号解析部415からエラーが発生したコンテンツの識別情報を受け、評価基準格納部413からエラーが発生したコンテンツの識別情報に対応した評価基準データを取得する。評価基準超過通知のエラー映像信号には、コンテンツの識別情報が設定される。解析サーバ15は、CH番号に代えて、コンテンツの識別情報を用いて動作する。
【0142】
また、図21のステップS510において、エッジ装置33のNW状態通知処理部332は、エッジ装置33が映像配信要求を受信した映像受信装置41、すなわち、映像視聴中の映像受信装置41のノードID及びアドレス情報を下位装置情報に設定した接続情報を生成してもよい。この場合、ステップS1165において、障害解析実施部155は、障害発生ユーザID全ての配信ルートに共通するNW装置25の配下の映像受信装置41のユーザIDを読み出し、読み出した全て(あるいは、所定の閾値以上)のユーザIDが、障害発生ユーザIDである場合は当該NW装置25も被疑と判断し、そうでない場合は、当該NW装置25は被疑ではないと判断してもよい。なお、障害解析実施部155は、NW装置25のノードIDが収容装置情報に設定されている接続情報のレコードから、下位装置情報のノードIDを読み出し、さらに読み出したノードIDが収容装置情報に設定されている接続情報のレコードの下位装置情報からノードIDを読み出すことを繰り返すことにより、配下の映像受信装置41のユーザIDを読み出す。
【0143】
なお、蓄積映像用サーバ23から蓄積映像コンテンツデータに対応した評価基準データをエッジ装置33に送信し、エッジ装置33から視聴要求送信元の映像受信装置41に当該評価基準データを送信してもよい。映像受信装置41は、上述した映像信号受信時と同様の処理を、蓄積映像信号受信時にも行う。
【0144】
また、上記実施形態では、ユーザ宅内設備40は、映像サーバ21または蓄積映像用サーバ23が送信した評価基準データを視聴要求送信時にエッジ装置33から受信しているが、ユーザがVODを契約したときなどに、当該ユーザの契約品質に応じた評価基準データを予め映像受信装置41の評価基準格納部413に格納してもよい。この場合、映像受信装置41は、評価基準データはエッジ装置33から受信してもよく、コンピュータ読取可能な記録媒体から読み出してもよい。
【0145】
なお、上記実施形態においては、故障解析装置10を、DBサーバ11、通知サーバ13、解析サーバ15の3台のコンピュータサーバにより構成しているが、これら全てのコンピュータサーバ、あるいは、任意の2台のコンピュータサーバを1台のコンピュータサーバにより実現してもよい。また、DBサーバ11、通知サーバ13、解析サーバ15は、NWを介して接続してもよく、これらのサーバ同士を直接接続してもよい。
【0146】
上述したように、本実施形態によれば、映像受信装置41は、映像品質に基づく評価基準と、配信された映像信号のパケットロス量とを比較し、評価基準を超過した際、その旨を故障解析装置10に通知する。故障解析装置10は、映像受信装置41から受信した通知と、NWの状態及び接続構成に基づいて、故障発生箇所とり障範囲の特定を行う。これによれば、通信NW設備30の装置、あるいは、映像提供事業者設備20の装置においてサイレント故障が発生した場合でも、それを発見し、故障原因箇所の切り分けや影響範囲の特定を行うことが可能となる。また、ユーザ宅内設備40の不具合の可能性がある場合、その旨をユーザ宅内設備40宛に通知することが可能となる。
【0147】
また、ユーザ宅内設備40において映像コンテンツを表示させている時に、ユーザ宅内設備40、映像提供事業者設備20の装置、通信NW設備30の装置、及び、故障解析装置10間で評価基準を超過したエラーが発生した旨の情報を交換する。そして、映像受信装置41は、エラーの発生後、映像コンテンツを受像機43に表示できない場合、蓄積映像用サーバ23から予め受信して蓄積していた蓄積映像コンテンツを受像機43に表示させる。従って、ユーザ宅内設備40において、視聴ユーザが要求した映像コンテンツが表示できない場合も、他の映像コンテンツを視聴する機会を視聴ユーザに提供することができる。この蓄積コンテンツを広告とすることにより、収益の向上につながる。
【0148】
また、上記実施形態によれば、ユーザ宅内設備40において、映像提供事業者、通信事業者、視聴ユーザ間で合意した映像品質基準により映像コンテンツの品質評価を実施し、異常を検出した際には、故障解析装置10へ通知する。従って、視聴ユーザ自身が、契約した映像品質を考慮して異常が発生しているか否かを判断したり、異常の発生を報告したりする必要もない。また、故障解析装置10などの通信事業者側の装置において、各ユーザ宅内設備40における映像品質を常に監視する必要がなく、通信NWを構成する装置以外でパケットロスが発生した場合でも、視聴ユーザが視聴している映像信号への影響を把握することができる。
【0149】
例えば、特許文献1では、映像データの送信装置において各受信端末の映像品質の測定を行うため、送信装置の負荷が大きいことに加え、映像品質測定時には、パケットロスがユーザと契約した映像品質に応じた範囲内であるかを考慮していない。つまり、特許文献1の技術の場合、パケットロスが発生すると必ずその旨を示す情報をサーバへ送信している。また、特許文献2に記載の技術では、各受信端末におけるパケットロスの検出を、受信端末に接続されるサーバが行っており、サーバの負荷が大きいことに加え、サーバは、受信端末が単位時間あたりに受信可能なパケット数に基づいてパケットロスを検出している。このように、特許文献1、2では、事業者側の装置の負担が大きく、パケットロスを許容するサービスは考慮されていない。一方、本実施形態では、映像提供事業者(または通信事業者)が指定した評価基準が許容する範囲内でパケットロスが発生しても、ユーザ宅内設備40は解析システムへは通知しない。このように、本実施形態では、ユーザに提供するサービスに応じたパケットロスの許容範囲を考慮した異常検出を行うため、パケットロス検出に対する柔軟性が高い。
【0150】
また、本実施形態では、ユーザ宅内設備40にすでに組み込まれているFECを利用することができるため、ユーザ宅内設備40の負荷の増加を抑えることができる。特許文献1の技術では、RTP(Real-Time Transport Protocol)パケットのシーケンス番号の順次走査を実施し、パケットロスを検出している。しかし、RTPパケットロスが発生した際でも、FECにより映像パケットを補完できる場合があるため、RTPのシーケンス番号の順次走査では、視聴ユーザが実際に視聴した際の映像劣化をカウントしたことにならず、ユーザ視聴状態を反映した映像劣化検出ができない。一方、本実施形態では、FECで補完できなかった映像パケットをパケットロスの対象としているため、よりユーザ視聴状態を反映した映像劣化検出が可能である。
また、特許文献2では、ユーザ宅内設備と映像配信網との間に分岐器を設置し、ユーザ宅内設備が受信するパケットを分岐させてキャプチャを行うことによりパケット情報を取得している。本実施形態では、視聴ユーザ宅内に分岐器を設定したり、キャプチャしたパケットを事業者側で受信するために必要な網を新たに導入したりする必要もない。
【0151】
このように、本実施形態によれば、ユーザ宅内設備40が映像配信ネットワークを経由して配信された映像信号を受信し、表示させる映像配信システムにおいて、映像配信に異常が発生した場合に、その異常が発生している故障箇所を迅速に切り分けることができる。つまり、発生した異常に影響している故障箇所が、ユーザ宅内設備40、通信NW設備30の装置、あるいは、映像提供事業者設備20の装置のいずれであるかを通信事業者の故障解析装置10により迅速かつ詳細に切り分け、故障範囲を明確に把握することが可能となる。この切り分けにより、通信NW設備30の装置に発生したサイレント故障、輻輳、帯域超過によるパケットロスを早期に発見することができる。
【0152】
また、故障箇所を切り分け、故障の影響範囲を特定することによって、パケットロス等による映像乱れの影響が発生する可能性のある視聴ユーザを特定して故障を通知したり、あるいは、ユーザ宅内設備40に不具合が発生している可能性があることを視聴ユーザに通知したりすることによって、視聴ユーザの利便性向上させることが可能となる。さらには、故障の影響によって視聴が出来ない視聴ユーザに、代替コンテンツを提供し、視聴ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0153】
なお、DBサーバ11、通知サーバ13、解析サーバ15、映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31、エッジ装置33及び映像受信装置41は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述したDBサーバ11、通知サーバ13、解析サーバ15、映像サーバ21、蓄積映像用サーバ23、NW装置25、コア装置31、エッジ装置33及び映像受信装置41の各部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPUや各種メモリ、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0154】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0155】
1…通信事業者NW
10…故障解析装置
11…DBサーバ
111…評価基準格納部
112…映像受信装置情報蓄積部
113…NW情報格納部(ネットワーク情報格納部)
114…サーバ連携部
115…NW状態通知処理部
13…通知サーバ
131…パケット送受信部
132…評価基準送受信部
133…サーバ連携部
134…NW状態通知処理部
135…評価基準超過通知処理部(エラー発生通知受信部)
136…解析結果通知処理部
15…解析サーバ
151…サーバ連携部
152…映像受信装置情報受信部
153…NW状態情報受信部
154…解析情報送受信部
155…障害解析実施部
2…映像提供事業者NW
20…映像提供事業者設備
21…映像サーバ(データ配信装置)
211…評価基準格納部
212…映像信号蓄積部
213…パケット送受信部
214…NW状態通知処理部
215…NW状態収集処理部
216…評価基準送受信部
217…映像信号送信部
23…蓄積映像用サーバ(データ配信装置)
25…NW装置(通信装置)
3…通信NW
30…通信NW設備
31…コア装置(通信装置)
33…エッジ装置(通信装置)
331…パケット送受信部
332…NW状態通知処理部
333…NW状態収集処理部
334…評価基準送受信部
335…評価基準格納部
336…視聴要求処理部
40…ユーザ宅内設備
41…映像受信装置(受信装置)
411…パケット送受信部
412…評価基準送受信部(エラー発生通知部)
413…評価基準格納部
414…映像音声処理部(データ処理部)
415…映像信号解析部(解析部)
416…代替コンテンツ格納部
417…評価実施部
418…評価情報格納部
419…映像信号出力部(出力部)
43…受像機(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムであって、
前記受信装置は、
前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部と、
前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部と、
前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスによるエラーが発生した場合、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部とを備え、
前記故障解析装置は、
前記ネットワークの構成を示す構成情報を記憶するネットワーク情報格納部と、
前記受信装置から前記エラー発生通知を受信するエラー発生通知受信部と、
前記エラー発生通知受信部が受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施部と、
を備える、
ことを特徴とする故障解析システム。
【請求項2】
前記受信装置は、
パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部と、
前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部と、
前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部とをさらに備え、
前記エラー発生通知部は、前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、前記エラー発生通知を前記解析装置に通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の故障解析システム。
【請求項3】
前記データ処理部は、前方誤り符号化された前記データを復号し、
前記解析部は、前記データ処理部において前記データの復号が失敗したときにパケットロスが発生したと判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の故障解析システム。
【請求項4】
前記障害解析実施部は、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から、前記故障が発生している前記通信装置または前記データ配信装置と直接あるいは他の前記通信装置を介して接続される前記受信装置の情報を読み出し、読み出した前記情報が示す前記受信装置をり障範囲と判断する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の故障解析システム。
【請求項5】
前記故障解析装置は、
前記障害解析実施部において、前記受信装置が故障箇所であると判断した場合、当該受信装置が障害である旨を当該受信装置に通知する解析結果通知処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の故障解析システム。
【請求項6】
前記データは、映像コンテンツのコンテンツデータであり、
前記データ処理部は、前記映像コンテンツの配信を要求し、配信を要求した前記映像コンテンツのコンテンツデータを前記データ配信装置から受信するとともに、配信を要求した前記映像コンテンツとは異なる映像コンテンツのコンテンツデータを前記データ配信装置から受信し、
前記受信装置は、
前記異なる映像コンテンツのコンテンツデータを記憶する代替コンテンツ格納部をさらに備え、
前記出力部は、前記データ処理部が受信した前記要求した映像コンテンツのコンテンツデータを表示装置に出力して表示させ、前記要求した映像コンテンツのコンテンツデータを出力できない場合には、前記代替コンテンツ格納部から読み出した前記異なる映像コンテンツのコンテンツデータを前記表示装置に出力して表示させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の故障解析システム。
【請求項7】
通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記故障解析装置であって、
前記ネットワークの構成を示す構成情報を記憶するネットワーク情報格納部と、
前記データ配信装置より配信されるデータの受信にエラーが発生した前記受信装置から、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を受信するエラー発生通知受信部と、
前記エラー発生通知受信部において前記受信装置より受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、前記ネットワーク情報格納部に記憶されている前記構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施部と、
を備えることを特徴とする故障解析装置。
【請求項8】
通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記受信装置であって、
パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部と、
前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部と、
前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部と、
前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部と、
前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部と、
前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムの故障解析方法であって、
前記受信装置において、
データ処理部が、前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理過程と、
出力部が、前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力過程と、
エラー発生通知部が、前記データ処理過程における前記データの受信にパケットロスによるエラーが発生した場合、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知過程と、
前記故障解析装置において、
エラー発生通知受信部が、前記受信装置から前記エラー発生通知を受信するエラー発生通知受信過程と、
障害解析実施部が、前記エラー発生通知受信部において受信した前記エラー発生通知から前記ノード識別情報及び前記データ識別情報を読み出し、読み出した前記ノード識別情報それぞれについて、ネットワーク情報格納部に記憶され、前記ネットワークの構成を示す構成情報から当該ノード識別情報で特定される前記受信装置のデータ配信経路を読み出し、読み出したデータ配信経路に共通する前記通信装置があるか否か、読み出した前記ノード識別情報が共通しているか否か、読み出した前記データ識別情報が共通しているか否かに基づいて、故障が発生している前記受信装置、前記通信装置または前記データ配信装置を特定する障害解析実施過程と、
を有することを特徴とする故障解析方法。
【請求項10】
通信装置により構成され、データ配信装置から配信されるデータを受信装置へルーチングするネットワークと、前記ネットワークに接続される故障解析装置とからなる故障解析システムにおける前記受信装置に用いられるコンピュータを、
パケットロスによるエラーが発生したと判断する条件を示す評価基準データを記憶する評価基準格納部、
前記データ配信装置から配信されるデータを前記ネットワークを介して受信するデータ処理部、
前記データ処理部が受信した前記データを出力する出力部、
前記データ処理部における前記データの受信にパケットロスが発生したことを検出する解析部、
前記解析部が検出したパケットロスの発生状況が前記評価基準格納部に格納されている前記評価基準データにより示される前記条件に合致するか否かを判断する評価実施部、
前記評価実施部において、パケットロスの発生状況が前記評価基準データにより示される前記条件に合致していると判断された場合に、当該受信装置を特定するノード識別情報と、前記データを特定するデータ識別情報とを設定したエラー発生通知を前記解析装置に通知するエラー発生通知部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−213057(P2012−213057A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77917(P2011−77917)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】