斜板式ピストンポンプ

【課題】複数の負荷圧に応動する斜板式ピストンポンプの大型化を抑えること。
【解決手段】負荷圧に応じて吐出容量が変えられる斜板式ピストンポンプ1であって、第一の負荷圧(ピストンポンプ80の吐出圧)に応じて斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する第一制御ピン31と、第二の負荷圧(パイロット圧)に応じて斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する第二制御ピン32と、を備え、第一制御ピン31と第二制御ピン32とが直列に並んで結合される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷圧に応じて吐出容量が変えられる斜板式ピストンポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ミニショベル等の作業機にあっては、斜板式ピストンポンプがエンジンによって駆動され、ピストンポンプから吐出される作動油によって各種の作業を行う油圧アクチュエータが駆動される。この油圧アクチュエータの負荷圧が変化しても、斜板式ピストンポンプの動力が略一定に制御され、エンジンの回転変動を抑えるようになっている。
【0003】
従来、この種の斜板式ピストンポンプとして、負荷圧に応動する制御ピン(制御ピストン、傾転アクチュエータ)を備え、この制御ピンによって斜板を傾転させるものがある(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−3853号公報
【特許文献2】特開2002−202063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミニショベル等の作業機にあっては、空調装置(エアコン)が搭載され、この空調装置に備えられるコンプレッサがエンジンによって駆動される場合に、エンジンの動力が消費される要素が増えるため、この空調装置の作動に応じて斜板を傾転させる制御ピンを備える必要があり、制御ピンの本数が増えることによって斜板式ピストンポンプの大型化を招くという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の負荷圧に応動する斜板式ピストンポンプの大型化を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、負荷圧に応じて吐出容量が変えられる斜板式ピストンポンプであって、複数のピストンと、このピストンを収容する複数のシリンダを有し、回転するシリンダブロックと、このシリンダブロックの回転に伴ってシリンダの容積室を拡縮するようにピストンを往復動させる斜板と、この斜板を傾転角が大きくなる方向に付勢する付勢手段と、第一の負荷圧に応じて斜板を傾転角が小さくなる方向に駆動する第一制御ピンと、第二の負荷圧に応じて斜板を傾転角が小さくなる方向に駆動する第二制御ピンと、を備え、第一制御ピンと第二制御ピンとが直列に並んで結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第一制御ピンと第二制御ピンが、付勢手段の付勢力と釣り合う位置に斜板を傾転させることにより、第一の負荷圧と第二の負荷圧に応じてピストンポンプを駆動する動力が制御される。第一制御ピンと第二制御ピンとが直列に並んで配置されることにより、第一制御ピンと第二制御ピンを収容するスペースによってポンプハウジングが大型化することを抑えられる。これにより、複数の負荷圧に応じてピストンポンプの消費動力を制御することと、ピストンポンプの大型化を抑えることとが両立される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態を示すピストンポンプの断面図である。
【図2】図1の一部を拡大した断面図である。
【図3】(A)、(B)は、ピストンポンプの動作を示す断面図である。
【図4】ピストンポンプの吐出圧と吐出流量の関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に示すポンプユニット100は、例えばミニショベル等の作業機に搭載され、図示しないエンジンによって駆動されるものである。この作業機には、図示しない空調装置(エアコン)が搭載されており、この空調装置に備えられるコンプレッサが同じくエンジンによって駆動される。
【0012】
エンジンの動力が消費される要素として、メインのピストンポンプ1と、サブのピストンポンプ80と、空調装置に備えられるコンプレッサとがある。後述するように、メインのピストンポンプ1は、これらの消費動力の変化に応じて、その吐出容量(押しのけ容積)が変えられることにより、消費動力の合計値が略一定に保たれるようになっている。
【0013】
ポンプユニット100は、メインの斜板式ピストンポンプ1と、サブの斜板式ピストンポンプ80とが回転軸O上に並んで設けられる。
【0014】
サブのピストンポンプ80は、図示しないシリンダブロックと、このシリンダブロックに対して往復動する複数のピストンと、このピストンが追従する斜板とがケーシング81に収容される。このシリンダブロックは、シャフト82、シャフト5を介してエンジンから回転が伝達される。シリンダブロックが回転するのに伴って、シリンダブロックに対してピストンが往復動することによって、図示しないタンクからの作動流体(作動油)が図示しない配管を介してピストンによって画成される容積室に吸込まれる一方、容積室から吐出ポートへと吐出される作動流体が図示しない配管を介して流体圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)へと導かれる。
【0015】
一方、メインのピストンポンプ1は、シリンダブロック3と、このシリンダブロック3に対して往復動する複数のピストン8と、このピストン8が追従する斜板4とがケーシング2に収容される。このシリンダブロック3は、シャフト5を介してエンジンから回転が伝達される。シリンダブロック3が回転するのに伴って、シリンダブロック3に対してピストン8が往復動することによって、図示しないタンクからの作動流体が図示しない配管を介してピストン8によって画成される容積室7に吸込まれる一方、容積室7から吐出ポートへと吐出される作動流体が図示しない配管を介して流体圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)へと導かれる。
【0016】
以下、メインのピストンポンプ1の構成について説明する。
【0017】
ケーシング2として有底筒状のポンプハウジング50と蓋状のポンプカバー70が設けられ、これらの内側にシリンダブロック3および斜板4等が収容される。ポンプカバー70はポンプハウジング50に図示しない複数のボルトを介して締結される。
【0018】
シリンダブロック3は、シャフト5を介して回転駆動される。シャフト5は、ポンプカバー70から外部へ突出され、その一端に動力源として設けられるエンジンから回転が伝達される。シャフト5は、ポンプハウジング50にベアリング12を介して支持されるとともに、ポンプカバー70にベアリング11を介して支持される。
【0019】
シリンダブロック3には、複数本のシリンダ6がその回転軸Oと略平行に、かつその回転軸Oを中心とする略同一円周上に一定の間隔を持って並んで配置される。
【0020】
シリンダ6には、ピストン8がそれぞれ摺動可能に挿入され、シリンダ6とピストン8との間に容積室7が画成される。ピストン8はシリンダブロック3から突出され、その一端が斜板4に接するシュー9を介して支持される。シリンダブロック3が回転すると、各ピストン8が斜板4に追従して往復動し、容積室7を拡縮させる。
【0021】
ポンプハウジング50には、作動流体を容積室7に給排する通路が形成される底部50Aと、シリンダブロック3等を包囲する筒状の側壁部50Bとを有する。
【0022】
ポンプハウジング50の底部50Aには、シリンダブロック3が摺接するポートプレート15が設けられ、このポートプレート15に各容積室7に連通する図示しない吸込ポートと吐出ポートが形成される。ポンプハウジング50の底部50Aには、吸込ポートと吐出ポートに連通する図示しない給排通路が形成される。
【0023】
ピストンポンプ1は、シリンダブロック3の1回転につき、各ピストン8がシリンダ6を1回往復動する。シリンダ6の容積室7が拡張する吸込行程では、図示しないタンクからの作動流体が図示しない配管とポンプハウジング50内の通路を介して吸込ポートから各容積室7に吸込まれる一方、シリンダ6の容積室7が収縮する吐出行程では、各容積室7から吐出ポートへと吐出される作動流体が図示しないポンプハウジング50内の通路と配管を介して流体圧アクチュエータへと導かれる。
【0024】
ピストンポンプ1の吐出容量を可変にするため、斜板4は、軸受13を介してポンプカバー70に傾転可能に支持される。軸受13は、ポンプカバー70に設けられる。
【0025】
斜板4を傾転角が大きくなる方向に付勢する付勢手段として、ポンプハウジング50と斜板4との間には、第一、第二傾転スプリング21、22が介装される。
【0026】
コイル状の第一、第二傾転スプリング21、22は、ポンプハウジング50に取り付けられるリテーナ23と、斜板4に取り付けられるリテーナ24の間に介装される。リテーナ23は、作動流体圧によって変位可能に設けられ、アジャスタ25を介して初期位置が調整される。
【0027】
第一、第二傾転スプリング21、22は、線材の巻径が異なり、巻径の大きい第一傾転スプリング21の内側に巻径の小さい第二傾転スプリング22が配置される。図1のように斜板4の傾転角が最大になった状態で、巻径の大きい第一傾転スプリング21は、リテーナ23、24の間に圧縮された状態で介装される一方、巻径の小さい第二傾転スプリング22は、その一端がリテーナ24から離れた状態で介装されている。これにより、斜板4が所定角度を超えて傾転するのに伴って第二傾転スプリング22の両端がリテーナ23、24に当接して圧縮され、斜板4に付与される第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力が段階的に高まる。
【0028】
ピストンポンプ1の吐出容量を制御するため、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力に抗して斜板4を押す3本の制御ピンを備える。この制御ピンとして、メインのピストンポンプ1の吐出圧が負荷圧として導かれるメイン制御ピン(図示せず)と、サブのピストンポンプ80の吐出圧が第一の負荷圧として導かれる第一制御ピン31と、空調装置の作動時にパイロット圧が第二の負荷圧として導かれる第二制御ピン32と、を備える。
【0029】
図示しないメイン制御ピンは、第一制御ピン31と第二制御ピン32と並列に配置され、第一制御ピン31と第二制御ピン32の近傍に設けられる。
【0030】
円柱状のメイン制御ピンは、ポンプハウジング50に形成されるメインシリンダに摺動可能に挿入され、その一端が斜板4に当接する。メインシリンダとメイン制御ピンとの間には、図示しないメイン圧力室が画成される。このメイン圧力室には、ピストンポンプ1の吐出圧が導かれる。メイン制御ピンは、その端面に受けるピストンポンプ1の吐出圧によって斜板4を押して、斜板4を第一、第二傾転スプリング21、22に抗して傾転角が小さくなる方向に駆動する。
【0031】
図2にも示すように、第一制御ピン31と第二制御ピン32は、それぞれの外径が異なる円柱状に形成される。第一制御ピン31の外径が、第二制御ピン32の外径より小さく形成される。
【0032】
第一制御ピン31と第二制御ピン32は、同軸上にて直列に並び、互いに結合される。本実施形態では、第一制御ピン31と第二制御ピン32は、互いに一体形成される。これに限らず、第一制御ピン31と第二制御ピン32は、互いに別体で形成され、両者が結合手段を介して結合される構成としてもよい。
【0033】
このように第一制御ピン31と第二制御ピン32とが直列に並んで結合されることにより、従来の第一制御ピンと第二制御ピンが並列に配置される構造に比べて、第一制御ピン31と第二制御ピン32を収容する円周上のスペースが小さくて済み、ポンプハウジング50が小型化される。このため、ポンプユニット100を作業機の限られたスペースに搭載できる。
【0034】
ポンプハウジング50の側壁部50Bには、第一制御ピン31と第二制御ピン32をそれぞれ摺動可能に挿入させる小径穴51と大径穴52とが、それぞれ機械加工によって形成される。ポンプハウジング50は、ポンプカバー70が組み付けられる前の状態にて、斜板4に対向する部位が開放されているため、小径穴51と大径穴52をそれぞれ機械加工によって形成することが可能となる。
【0035】
小径穴51と第一制御ピン31との間には、第一圧力室41が画成される。第一制御ピン31の端面が第一圧力室41に面する受圧面31Aとなる。
【0036】
ポンプハウジング50の側壁部50Bには、第一圧力室41に開口する通孔57が形成される。第一圧力室41には、サブのピストンポンプ80の吐出圧が通孔87、57を介して導かれる。第一制御ピン31は、その受圧面31Aに受けるピストンポンプ80の吐出圧が上昇することにより図1にて右方向に移動する。
【0037】
大径穴52と第二制御ピン32との間には、第二圧力室42が画成される。第二制御ピン32の端面(環状段部)が第二圧力室42に面する受圧面32Aとなる。
【0038】
ポンプハウジング50の側壁部50Bには、第二圧力室42に開口する通孔58が形成される。第二圧力室42には、パイロット圧が通孔58を介して導かれる。第二制御ピン32は、その受圧面32Aに受けるパイロットポンプの吐出圧により図1にて右方向に移動する。
【0039】
第二制御ピン32の端部には、小径部32Bが形成され、通孔58の開口部を塞がないようになっている(図2参照)。
【0040】
第二圧力室42は、通孔58と図示しない配管を介して図示しないパイロットポンプに接続され、この配管には図示しない切り換えバルブが介装される。この切り換えバルブは、空調装置の作動時にパイロットポンプの吐出圧をパイロット圧として第二圧力室42に導き、空調装置の作動停止時にタンク圧をパイロット圧として第二圧力室42に導く。
【0041】
第一圧力室41、第二圧力室42に導かれる負荷圧がそれぞれ上昇するのに伴って、第一制御ピン31と第二制御ピン32が図1にて右方向に移動し、第二制御ピン32の先端部が大径穴52から段階的に突出し、斜板4に取り付けられるフォロア16を介して斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する。
【0042】
斜板4は、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力に対してメイン制御ピン(図示せず)の推力と第一制御ピン31の推力と第二制御ピン32との推力が釣り合う傾転角度に保持される。
【0043】
図3の(A)は、斜板4の傾転角が最大値θmaxとなる最大傾転時の状態を示す断面図である。この最大傾転時に、第一制御ピン31と第二制御ピン32とが図にて左方向に位置している。
【0044】
第一圧力室41、第二圧力室42に導かれる負荷圧がそれぞれ高まるのに伴って、第一制御ピン31と第二制御ピン32が図にて右方向に段階的に移動し、斜板4に取り付けられるフォロア16を介して斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する。
【0045】
図3の(B)は、斜板4の傾転角が最小値θminとなる最小傾転時の状態を示す断面図である。この最小傾転時に、第一制御ピン31と第二制御ピン32とが図にて右方向に位置している。
【0046】
図4は、ピストンポンプ1の吐出圧(負荷圧)と吐出流量(押しのけ容積)の関係を示す特性図である。図4において、目標特性(1)は、メインのピストンポンプ1を駆動するエンジンの出力が一定値となる双曲線であり、ピストンポンプ1の吐出圧と吐出流量の積が一定となるように設定されている。実際の設定特性(2)は、この目標特性(1)に近似して設定されるもので、線分ABと、線分BCとで構成される。点Aでは斜板4の傾転角が最大となり、点Aから点Bの間では第一傾転スプリング21のみが斜板4を介して圧縮される。点Bから点Cの間では第一、第二傾転スプリング21、22の両方が圧縮される。すなわち、線分ABの特性は、第一傾転スプリング21のみのバネ力によって定まり、線分BCの特性は、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力を合わせた力によって定まる。ピストンポンプ1の吐出圧に応じて作動するメイン制御ピン(図示せず)が、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、ピストンポンプ1を駆動する動力が略一定となるように制御される。
【0047】
図4において、目標特性(3)は、メインのピストンポンプ1とサブのピストンポンプ80をそれぞれ駆動するエンジンの出力が一定値となる双曲線であり、ピストンポンプ1の吐出圧と吐出流量の積が上記の目標特性(1)に比べてサブのピストンポンプ80の負荷分だけ小さくなるように設定されている。実際の設定特性(4)は、この目標特性(3)に近似して設定されるもので、線分DEと、線分EFとで構成される。点Dでは斜板4の傾転角が最大となり、点Dから点Eの間では第一傾転スプリング21のみが斜板4を介して圧縮される。点Eから点Fの間では第一、第二傾転スプリング21、22の両方が圧縮される。サブのピストンポンプ80の吐出圧が高まるのに伴って、サブのピストンポンプ80の吐出圧に応動する第一制御ピン31が第二制御ピン32を介して斜板4を押し、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、上記の設定特性(2)から設定特性(4)に切り換えられる。この設定特性(4)に切り換えられた状態においても、メインのピストンポンプ1の吐出圧に応じて作動するメイン制御ピンが、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、ピストンポンプ1とピストンポンプ80をそれぞれ駆動する動力が略一定となるように制御される。
【0048】
図4において、目標特性(5)は、メインのピストンポンプ1とサブのピストンポンプ80と空調装置のコンプレッサ(図示せず)をそれぞれ駆動するエンジンの出力が一定値となる双曲線であり、ピストンポンプ1の吐出圧と吐出流量の積が上記の目標特性(1)に比べてサブのピストンポンプ80の負荷分と空調装置のコンプレッサの負荷分との合計値だけ小さくなるように設定されている。実際の設定特性(6)は、この目標特性(5)に近似して設定されるもので、線分GHと、線分HIとで構成される。点Gでは斜板4の傾転角が最大となり、点Gから点Hの間では第一傾転スプリング21のみが斜板4を介して圧縮される。点Hから点Iの間では第一、第二傾転スプリング21、22の両方が圧縮される。サブのピストンポンプ80の吐出圧に応じて作動する第一制御ピン31と、パイロット圧に応じて作動する第二制御ピン32とが、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、上記の設定特性(2)から設定特性(6)に切り換えられる。この設定特性(6)に切り換えられた状態においても、メインのピストンポンプ1の吐出圧に応じて作動するメイン制御ピンが、第一、第二傾転スプリング21、22のバネ力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、ピストンポンプ1とピストンポンプ80と空調装置のコンプレッサとをそれぞれ駆動する動力が略一定となるように制御される。
【0049】
以上のように、メインのピストンポンプ1、サブのピストンポンプ80、空調装置に備えられるコンプレッサの負荷変動に応じて、これらの消費動力が略一定に保たれるように、メインのピストンポンプ1の吐出容量が変えられ、エンジンの回転変動を抑えられる。
【0050】
以下、本発明の要旨と作用、効果を説明する。
【0051】
(ア)負荷圧に応じて吐出容量が変えられる斜板式ピストンポンプ1であって、複数のピストン8と、このピストン8を収容する複数のシリンダ6を有し、回転するシリンダブロック3と、このシリンダブロック3の回転に伴ってシリンダ6の容積室7を拡縮するようにピストン8を往復動させる斜板4と、この斜板4を傾転角が大きくなる方向に付勢する付勢手段(第一、第二傾転スプリング21、22)と、第一の負荷圧(ピストンポンプ80の吐出圧)に応じて斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する第一制御ピン31と、第二の負荷圧(パイロット圧)に応じて斜板4を傾転角が小さくなる方向に駆動する第二制御ピン32と、を備え、第一制御ピン31と第二制御ピン32とが直列に並んで結合される構成とした。
【0052】
上記構成に基づき、第一制御ピン31と第二制御ピン32が、付勢手段(第一、第二傾転スプリング21、22)の力と釣り合う位置に斜板4を傾転させることにより、第一の負荷圧と第二の負荷圧に応じてピストンポンプ1を駆動する動力が制御される。第一制御ピン31と第二制御ピン32とが直列に並んで配置されることにより、第一制御ピン31と第二制御ピン32を収容するスペースによってポンプハウジング50が大型化することを抑えられる。これにより、複数の負荷圧に応じてピストンポンプ1の消費動力を制御することと、ピストンポンプ1の大型化を抑えることとが両立される。
【0053】
(イ)シリンダブロック3とピストン8と斜板4と付勢手段と第一制御ピン31と第二制御ピン32とを収容するケーシング2を備え、このケーシング2は、ポンプハウジング50とポンプカバー70とを備え、ポンプカバー70に斜板4を傾転可能に支持する軸受13が設けられ、ポンプハウジング50に、第一制御ピン31が摺動可能に挿入される小径穴51と、第二制御ピン32が摺動可能に挿入される大径穴52と、が同軸上に形成され、第一制御ピン31と小径穴51との間に第一の負荷圧が導かれる第一圧力室41が画成され、第二制御ピン32と大径穴52との間に第二の負荷圧が導かれる第二圧力室42が画成される構成とした。
【0054】
上記構成に基づき、ポンプハウジング50は、ポンプカバー70が組み付けられる前の状態にて、斜板4に対向する部位が開放されているため、小径穴51と大径穴52をそれぞれ機械加工によって形成することが可能となる。第一制御ピン31と第二制御ピン32が、ポンプハウジング50に形成された小径穴51と大径穴52にそれぞれ収容されるため、部品点数が削減され、ピストンポンプ1の大型化を抑えられる。
【0055】
なお、前記実施形態において、ピストンポンプ1は、各容積室7にて加圧された作動流体が一つの吐出ポートから吐出される一連式(1フロータイプ)のものであったが、これに限らず、各容積室にて加圧された作動流体が二つ以上の吐出ポートから吐出される多連式のものとしてもよい。
【0056】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0057】
1 ピストンポンプ
2 ケーシング
3 シリンダブロック
4 斜板
6 シリンダ
8 ピストン
13 軸受
21、22 第一、第二傾転スプリング(付勢手段)
31、32 第一、第二制御ピン
41、42 第一、第二圧力室
50 ポンプハウジング
51 小径シリンダ
52 大径シリンダ
70 ポンプカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷圧に応じて吐出容量が変えられる斜板式ピストンポンプであって、
複数のピストンと、
前記ピストンを収容する複数のシリンダを有し、回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの回転に伴って前記シリンダの容積室を拡縮するように前記ピストンを往復動させる斜板と、
前記斜板を傾転角が大きくなる方向に付勢する付勢手段と、
第一の負荷圧に応じて前記斜板を傾転角が小さくなる方向に駆動する第一制御ピンと、
第二の負荷圧に応じて前記斜板を傾転角が小さくなる方向に駆動する第二制御ピンと、を備え、
前記第一制御ピンと前記第二制御ピンとが直列に並んで結合されることを特徴とする斜板式ピストンポンプ。
【請求項2】
前記シリンダブロックと前記ピストンと前記斜板と前記付勢手段と前記第一制御ピンと前記第二制御ピンとを収容するケーシングを備え、
前記ケーシングは、ポンプハウジングとポンプカバーとを備え、
前記ポンプカバーに前記斜板を傾転可能に支持する軸受が設けられ、
前記ポンプハウジングに、前記第一制御ピンが摺動可能に挿入される小径穴と、前記第二制御ピンが摺動可能に挿入される大径穴と、が同軸上に形成され、
前記第一制御ピンと前記小径穴との間に前記第一の負荷圧が導かれる第一圧力室が画成され、
前記第二制御ピンと前記大径穴との間に前記第二の負荷圧が導かれる第二圧力室が画成されることを特徴とする請求項1に記載の斜板式ピストンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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